主演作『アントキノイノチ』の公開を控える俳優の岡田将生が、メガホンをとった瀬々敬久監督とともに取材に応じ、作品への思いや今後の目標を語った。その他の写真第35回モントリオール世界映画祭で、革新的かつ質の高い作品に授与されるイノベーションアワードを受賞し、第16回釜山国際映画祭の“アジアの窓”部門での上映も大反響を呼ぶなど、早くも国際的な評価を集める本作。岡田自身も、海外の映画人と交流する機会を得て「とても刺激になりました。海外の方と接して思うのは、もっと自分自身が日本や社会のことを知らなくちゃということ。海外進出?今は目の前にある仕事を一生懸命やるだけですが、たくさんのことを吸収し、自分から何かを発信できる俳優になりたい」と抱負を語る。原作はさだまさしの同名小説。ある事件を機に、心に大きな傷を抱えた青年・杏平(岡田)が父の紹介で働き始めた遺品整理業の現場で、残された遺品とそこにある故人の思いに触れ“イノチ”の尊さを見つめる。「自分にとって大切な作品。台本を呼んで、すぐにこの役をやりたいと思ったんです。漠然とした未来を前に、『自分はこれからどうなるのか』『どうやって生きていけばいいのか』という杏平の不安が、僕自身もとてもリアルに感じられたからですね」(岡田)。そんな岡田の魅力を、瀬々監督は「若い世代にありがちな『こう見られたい』という自意識がなくて、何より素直。だから現場での実感を感じ取って、邪念のない生々しい演技を見せてくれる」と分析する。「ジョニー・デップ的なカメレオン俳優だと思う。今度は岡田君が、カメレオン役をやれば?」(瀬々監督)、「監督はいつもそうやって、ふざけるんだから」(岡田)。前作『ヘヴンズ ストーリー』が第61回ベルリン国際映画祭で二冠に輝くなど、海外からも注目を浴びる瀬々監督は、「無縁社会や孤独死といった、今の日本が抱える問題を描いたつもりだったが、海外での反応に触れ、作品のテーマが世界共通で共有できるものだと確信した」と自信を深める。岡田、瀬々監督ともに海外で真っ向勝負できる『アントキノイノチ』に対する手応えは十分だ。「海外の作品って、基本的に視点がポリティカル。一方、日本映画はどこか自分探しに終始している気がする。震災を機に“内への意識”が強くなっているのかもしれないが、今こそ社会的なテーマと向き合うべき時期だし、この作品にはその可能性がある」(瀬々監督)、「海外の、特に若い人は社会のことをすごく考えているんです。今、日本の人はそういうところに目を背けているのかなと思う。僕自身、社会的なテーマを扱う作品にどんどん参加したいですね」(岡田)。『アントキノイノチ』11月19日(土)全国ロードショー取材・文・写真:内田涼
2011年11月16日俳優、タレントとして幅広く活躍する照英が、22日(土)公開のSF超大作『カウボーイ&エイリアン』の宣伝ナビゲーターを務めることになり、同作の見どころを大いに語ってくれた。その他の写真19世紀の西部を舞台に、記憶を失くした男が町の権力者と手を組んで、未知なるエイリアンと戦うSFアクション。“男泣き”キャラとしても知られる照英は、「実は泣ける作品なんです」と涙ながらに(!?)本作を猛プッシュする。製作総指揮を手掛けるのはスティーブン・スピルバーグ。もともとスピルバーグの大ファンだといい「このお話をいただいたときは、『映画に出れるのかな』って思っちゃいましたが(笑)、『E.T.』や『インディ・ジョーンズ』など数多くの作品に親しんできたんで、やっぱり光栄ですよ」。同作では6代目ジェームズ・ボンドのダニエル・クレイグと、インディ・ジョーンズ役のハリソン・フォードが豪華共演を果たしており、「どちらも大好き。この2人をキャスティングできるのもスピルバーグさんだから。だって、ポスター見てくださいよ。ハリソンさんが(真ん中ではなく)脇にいるんですよ」と興奮気味だ。西部劇とSFをミックスさせた斬新な内容はもちろん、エイリアンの襲来を機に、人間が愛する者を守ろうと一致団結する感動的なストーリー展開も見どころ。「そうなんですよ!やっぱりですね、守るべき者のために戦う姿。これが泣けるんですよ!!」とPRもヒートアップする。現在は一男一女のパパという顔も持ち、「確かに家族ができて、大きく変わりましたね。正直、昔は子ども得意じゃなかったんですが、今は『とにかく家族を守らなきゃいけない』っていう責任がある。自分で言うのもなんですが、いいパパやってるぞって自信はあります」と胸を張る。そんな照英といえば、やはり“男泣き”。日本人にはまだまだ「男が泣くなんて」という風潮も強いが「いやいや、男だから泣くんですよ!泣けない人間ほど悲しいものはないと思います。人間は弱くて、デリケート。だから涙は必要なんです」と熱弁する。一方で「けれど無駄な涙は流しちゃダメ。本当に泣きたいとき、泣かなきゃいけないときに、泣けなくなるし、涙を流している人の支えにもなれませんから」と“男泣き”の極意を語った。その照英が「泣ける」と太鼓判を押す『カウボーイ&エイリアン』。手に汗握る興奮と、抑えきれない感動を大スクリーンで体感し、大いに涙を流してほしい。『カウボーイ&エイリアン』10月22(土)より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー取材・文・写真:内田涼
2011年10月14日細川貂々(てんてん)の人気コミックエッセイを実写映画化した『ツレがうつになりまして。』に出演する宮崎あおいと堺雅人。NHK大河ドラマ『篤姫』に続き夫婦役で再共演するふたりが、夫のうつ病という現実と向き合う姿を軽やかに、そして真摯に演じきった。「堺さんとなら絶対、大丈夫だなって」(宮崎)、「あおいちゃんには、絶大なる安心感がある」(堺)と相思相愛ぶりをアピールするふたりが、作品にこめた想いを語る。その他の写真結婚5年目を迎えた売れない漫画家の妻(宮崎)とうつ病になったサラリーマンの夫(堺)が、病を機に夫婦関係を見つめ直し、手を取り合いながら困難を乗り越えていく。「何日か前に、改めて映画を観直したんです。“そこにいる夫婦”という日常をこんなに自然に表現できたことが、自分にとってはすごく幸せなことだなって思いました」としみじみ語る宮崎。「それは堺さんが隣にいてくれたからなんです」と再共演した喜びを隠さない。堺は当初、今回の再共演を「へー、すごいな」と客観的に捉えていたといい「だって、このふたりで夫婦役ですからね。自分の中で相当にハードルが上がってしまうんじゃないかって」。それでも宮崎との再会には「何の不安もなくて、むしろ『絶対大丈夫、こりゃラクチンだな』って(笑)。変な言い方だけど、達成感もなくて。いいコメントが出せなくてゴメンなさい」とサラリ。そんな二人が出した結論は「自分たちなりの“ツレうつ”を作り上げる」ということ。当事者が書き上げた実話エッセイが原作ではあるが、「僕らがお手本(原作)に近づく必要はないなって」(堺)。うつ病患者という役どころも「形だけ真似れば、うつ病に見えるじゃないかというのは絶対にイヤだった。たとえ実際にうつ病になられた方に、お叱りを受けても、自分なりに病気と向き合いたかった」と気負わず、そしてこだわりを忘れない。夫の闘病と同時に、宮崎演じる妻の成長も描かれる本作。「役柄としては、大雑把な女性なんですね。そういう面は少し意識しましたけど、いざお芝居が始まったら、堺さんをはじめみなさんがすべてを受け止めてくれた感じです」(宮崎)、「むしろ、あおいちゃんの演じる成長物語が、映画の“幹”になってくれるから、僕は安心して“枝葉”になれた」(堺)。やはり俳優として、相性バッチリなのだ。こうなると宮崎&堺のさらなる再共演を期待したくなるもの。堺もすっかり乗り気で「次は敵対する関係もいいかもね。バイキンマンとドキンちゃんじゃないけど、好きなんだけど嫌いみたいね。だって、あおいちゃん、時々“悪い目”してるもん(笑)」。宮崎も「じゃあ、次はドキンちゃん役で(笑)」と再共演に意欲を見せた。『ツレがうつになりまして。』10月8日(土)公開取材・文・写真:内田涼
2011年10月07日斬新な設定と衝撃的なクライマックスで、今なおSF映画の金字塔として名高い『猿の惑星』。その後、世界的な大ヒットを受けてシリーズ化され、その世界観は拡大した。そして2011年。誰もが知りたかった「いかに猿が人類を支配したのか!?」の謎を明らかにするのが、シリーズ最新作『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』だ。その他の写真現代を舞台に、アルツハイマー治療薬の実験台として、遺伝子操作され、高い知能を手にした一匹の猿が仲間を従え、人類に反旗を翻す過程がダイナミックに描かれる本作。全米ではすでにシリーズ最高興収を記録し、批評家のレビューも軒並み高評価。シリーズ最高傑作の呼び声も高い。優れた遺伝子を受け継いだ主人公の猿同様、本作には『猿の惑星』シリーズへのオマージュが満載だ。そこで一説には20を超えるといわれるオマージュの一部を紹介しよう。特に注意深く見てほしいのは、研究所のテレビに映し出されるロケット発射のシーン。このロケットに乗っているのが、他ならぬ第1作『猿の惑星』の主人公であるテイラー(チャールトン・ヘストン)ら3人の宇宙飛行士なのだ。最新作ではロケット発射の数日後に、「宇宙船、行方不明?」の見出しが躍る。ロケットがたどり着いたのが、時空を越えた猿の惑星=地球だったことは言うまでもない。オマージュという意味合いを越えて、最新作と過去シリーズを結びつける重要なリンクとして、見逃せないポイントだ。最新作では違法に監禁された猿たちが、収容所所長の息子であるドッジ(演じるのは『ハリー・ポッター』シリーズのドラコ役でおなじみ、トム・フェルトン)に虐待を受けているという設定。猿たちがホースから激しく水を浴びせられるシーンは、第1作『猿の惑星』にも登場する。もちろん、猿と人間の立場が逆転し、ヘストン演じるテイラーに水がぶちまけられるのだが。また、ドッジは猿に囲まれた環境で「こっちの頭がヘンになる」「その汚い手をどけろ」という台詞を発するが、これも第1作でテイラーが猿たちに言い放つ言葉である。また、主人公の猿であるシーザーという名前は、『猿の惑星 征服』で猿たちの革命を率いたリーダーと同じ。最新作に登場する猿たちの名称は、過去シリーズに登場する猿や俳優に由来している。『…創世記(ジェネシス)』にはこれ以外にも、数多くの旧作オマージュが散りばめられている。コアなファンでも1回見ただけでは、すべてを発見することは難しいはず。一方、『猿の惑星』シリーズを知らない観客には、ぜひ最新作を入り口にループ状に広がる『猿の惑星』ワールドを満喫してほしい。『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』10月7日(金)、全国ロードショー文:内田涼
2011年10月06日犯人制圧や災害救助などの任務を行う“警備犬”と訓練士である警察官のきずなを描いた『DOG × POLICE 純白の絆』。俳優の時任三郎が、警備犬の訓練所である警視庁警備部警備二課装備第四係の係長・向井寛役で、主演の市原隼人らを静かに見つめるリーダー的ポジションを存在感たっぷりに演じている。その他の写真俳優デビューから早30年。それでも「役者ってキャリアは関係ないと思うんですよ。ときには子役から大切なことを学ぶことも」と語り、共演した市原を「すごくナイスガイで、作品や演技に対する姿勢がまっすぐ。今どき珍しいピュアな青年で『純白の絆』ってタイトルは市原君に捧げたいほど」と振り返る。刑事志望の主人公・早川勇作(市原)が、不本意な人事異動で警備部に配属。そこで人命救助や犯罪者の制圧に活躍する“警備犬”と出会い、絆を深めながら、成長を遂げる。これまで一般的にはほとんど知られることのなかった警備犬にスポットを当てた物語に、時任は「この作品をきっかけに、警備犬はもちろん、彼らに関わる人々の環境がより良いものになり『もっと頑張ろう』と思ってもらえれば、役者冥利に尽きる」と思いも格別だ。撮影中の2011年3月11日に東日本大震災が発生し、ロケが一時中断。警視庁警備犬チームが東北の被災地に出動する中、「災害時に救助するのが警備犬。その事実を広く認知してほしいという気持ちがより強いものになった」(時任)。多くの被災者が困難と向き合う現実を前に、俳優として複雑な胸中にもなったというが「それだけに、社会的な意義も大きいこの映画に参加することで、気持ちの整理がついた部分もある」と今は胸を張る。自身が演じた役柄は「あくまで現場の自主性に任せる人物。もちろん責任者として最終的な判断は下しますが『ああしろ、こうしろ』って口出しするタイプじゃない。リーダー像も時代とともに変わりますからね」。出演作『海猿』シリーズの再始動も決定し「これからも日常性や生活者としての感覚は失いたくない。役者って特殊な職業だから、ついつい“普通”が薄れてしまいがち。でも、そういう部分を演じられなければ、役者とは言えないですからね」と眼差しは未来に向けられる。俳優にキャリアは関係ない。その言葉通り、今後も真摯に演技と向き合う時任の姿がスクリーンで見られるはずだ。最後に「ストレートに楽しめて、疾走感あふれる作品。犬と人間のきずなが、きっと感情に訴えかけてくれる。いろんな意味で大変だったから、その分愛着もありますね」と作品を力強くアピールしてくれた。『DOG×POLICE 純白の絆』10月1日(土)から全国ロードショー取材・文・写真:内田涼
2011年09月29日映画『孫文の義士団』のトークイベントに、日本の“義士”として、ロックンローラーの内田裕也が登場!東日本大震災の復興に関して内田節を爆発させた。革命家の孫文を暗殺団の手から守るため、身を挺して戦う名もなき8人の義士たちの姿を描いた作品でドニー・イェン、レオン・ライ、ニコラス・ツェーなど、アジアを代表する名優たちが揃って出演している。震災発生直後から、様々な形で支援活動を続ける内田さん。「寄付活動でバテ気味ですが…」と言いつつ、映画のトークイベント出演という初めての経験に「石田純一になったみたいだな」と少し照れくさそうに語る。ROCK(石)&ROLL(巻)とかけて、被災地の宮城県石巻市を訪れていたが、「“義”というのは難しいもので、俺は“10%の正義”を持つことが大事だと思う。今回はカッコつけてる場合じゃない」と熱弁。被災者に対しては「何と言っていいのか…」と言葉が見つからない様子。言葉の代わりに人々を励ます歌としてジョン・レノンの「POWER TO THE PEOPLE」を挙げ「日本には本当に人を励ます歌がなかなかない。さすがジョン・レノンと感心しながら歌ってます」と語った。さらに「政治家に、本気の“義士団”のような人はいなくなってしまった。ヘリで被災地に行って、被災者の肩を叩いて10分で帰ってくるというのは嘘っぽい。危機感というものが全くない」と怒りを爆発させた。さらに「自粛ムードばかりでは経済も停滞してしまう。最初の1週間は喪に服せばいいが、あとは普通に生活を送るように、とリーダーシップをとるべき」と熱く続ける。そして「(支援の)継続こそ本当の“義”。体動く限り、地味でも続けていきたい。ヨロシク。ロックンロール!」と改めて決意を口にした。『孫文の義士団』は4月16日(土)よりシネマスクエアとうきゅうほか全国にて公開。■関連作品:孫文の義士団 2011年4月16日よりシネマスクエアとうきゅうほか全国にて公開© 2009 Cinema Popular Ltd. All Rights Reserved.■関連記事:アジア映画界の総力を結集した超大作『孫文の義士団』試写会に30組60名様ご招待
2011年04月14日こんにちは、おーまえです。京都のちょっといいこと、連載5回目の今回は、京都の涼です。京都も夏本番!盆地で湿度が高く、蒸し暑いのが京都の夏の特徴。ジリジリ、ムシムシしていて本当に京都の暑さって身体に堪えるんですよねー。そんなこともあって、昔から涼をとりながら夏の風情を楽しむ、鴨川納涼床や川床などの文化が生まれました。さて、そんなあっつい京都の夏。市内の中心地に比べると−5°の気温差があると言われる京都の奥座敷、鞍馬-貴船へ出かけてきました。鞍馬へは、出町柳駅から叡山電車へ乗っていきます。ただ昨年の台風の影響で現在も市原駅までの運行となっていますので、ご注意を。1日も早い復旧を願うばかりです。叡電市原駅からはバスに乗り換えて鞍馬へ向かいます。▲市原駅は無人駅。緑がいっぱいののどかな駅周辺。鞍馬寺は、西暦770年建立の歴史あるお寺で、また牛若丸が修行をした場所など、伝説もいっぱいです。鞍馬山はお山自体が尊天の御神体と考えられており、天狗が住むと言われる京都屈指のパワースポット。なるほど、見るからに圧倒されるパワーを感じるお寺です。山門をくぐって参道を30分ほど登って本殿へ。ケーブルカーを使って登る方法もあるので脚力に自信のない方もご安心を。▲バスを降りたらすぐに登場!幻想的で神々しい雰囲気が漂っています。▲途中にある神社も厳かな雰囲気。立派な杉の木が目を引きます。そこからもうひと頑張り。清少納言も『枕草子』で「近うて遠きもの、鞍馬のつづら折りという道」と書いた「木の根道」を通って川床の名店が立ち並ぶ、まさに京都の涼の聖地、貴船へ向かいます。歩いて約40分ほどの道のりです。▲これが木の根道。すごい迫力です。▲山を下ると川のせせらぎが。ついに貴船へ到着!やはり街中よりも少し涼しい気が!それに川の流れる音が聞こえることで、気持ちも洗われるようです。川床料理のお店の間を少し歩けば、貴船神社に到着です。▲青紅葉が美しい貴船神社。縁結びで有名です。ここも京都市内かと疑いたくなるくらい、清涼感のある場所でした。いつかはリッチに川床で流しそうめんや懐石料理を楽しんでみたいものです。京都へ住んでいてもなかなか近くて遠い鞍馬と貴船。大人がしっとり涼を楽しむ地域としておすすめです。ぜひ足を運んでくださいね。今月の京都のちょっといいことは、ここまで。また来月お会いしましょう! おーまえ京都在住。ほぼ毎日自転車行動。時間があると気になる場所やお店をウロウロ探し回りがち。お笑いと犬がずっと好き。最近はリボベジに小さな幸せを感じてます。
2001年12月05日