カンヌ映画祭のコンペティション部門でバイオレンス映画『アウトレイジ』が上映される“快挙”を成した北野武監督が、このほどシネマカフェほかの合同インタビューに応じ、本作に込めた思いから人間行動論までを語った。今回の暴力映画は「たまに食べたくなったカツ丼」新作は、ここ最近の3作『TAKESHIS’』、『監督・ばんざい!』、『アキレスと亀』と打って変わり、バイオレンスへの原点回帰とも言われる9年ぶりの力作。常に意表をついて周囲を驚かせる北野監督らしく、秀でたエンターテイメント作品として仕上がった。「前3作から“ゴダール病”とでも呼べるような自省的な内容の作品にはまっちゃって、先進的なアートとかワケ分かんないこと考えてやったら完全に失敗して、ダメだこりゃ、と。次、何やろう?と思ったら、暴力映画を全然撮っていないなって思って。食べ物と同じで、たまにはカツ丼食いたいな、と。ただ『ソナチネ』とかと比較されて、『何も進歩していない』とか言われるのは嫌だから、もうエンターテイメントだ!観客全員が喜べるようなものを撮ろうってなった。次に思いついた暴力シーンを書き出して、そっからストーリーを逆算したの。コイツはこう来てこう死ぬ、とか、こんな死に方はしないだろって。で、またひっくり返していって、こうなると思ったら大間違いだとか、ここで(観る側を)騙すとか、いろいろ考えて。そしたら完全にエンターテイメントだなって言える作品ができた」。5月のカンヌ国際映画祭ではコンペ上映され、激しい賛否両論で話題を振りまいた。ホラー、ファンタジーを好むティム・バートン監督が審査委員長を務めた賞レースでは賞を逃したものの、芸術性を好む同映画祭のメーン部門でヤクザもののバイオレンス・エンターテイメントが上映されただけで“珍事”だった。「海外のアート的なフェスティバルとかとは関係ねぇなと思ったら、急にカンヌとか呼ばれてしまって、これは結構大騒ぎになるぞ、って思ってたら、案の定、賛否両論になっちゃって。だから『ざまあみやがれ、こんな映画をコンペに選んだのはそっちなんだから、俺は知らないよ』って言ったんだけど。悪口言う人と褒める人と正反対で、まあまあっていう人がいなくて、いいか悪いかはっきりしていたね。でもまあ狙い通りだった。ショックな映画だろうな、とは思っていたから」。“全員悪人”をテーマに暴力団組織内部の抗争を描く同作では、自身、新たな試みとして主演と言えるキャラクターを7〜8人描く群像劇に挑戦。さらに北野組常連の俳優陣をキャスティングせず椎名桔平、三浦友和、國村隼、小日向文世、北村総一朗ら初タッグの俳優を揃えたのも新趣向。中でもインテリヤクザに扮した加瀬亮の怪演が、前評判を呼んでいる。「英語を使うシーンが途中からいっぱいあるインテリヤクザ役があって、英語も話せる役者を探していたら加瀬くんが来た。けど、普段の雰囲気からはどう見てもヤクザに見えないじゃない。どうしよう、と思ってメイクさんと相談して、オールバックにして、眉毛を剃ってみたり、結構苦労した。最終的に四角くて細いサングラスをかけさせたり。それでも『コノ野郎、バカ野郎』って怒鳴り合っている場面で、加瀬くんも入ってきて同じ台詞言っても全然怖くない。だから、この人は無口にしよう、でも、ひとつキレたら殴り出すという風に、徹底的に暴力に寄せた。キレたら怖い奴に設定に変えて台本を書き直して、かなり悪い奴に仕上がった。やっぱりパッと印象に残るようになったと思うし、うまいこといったかなって思うよね」。とはいえ、抗争の中心人物として動くのは、ビートたけし演じる、大友組の組長・大友。『戦場のメリークリスマス』を機に、俳優としても国内外で高い評価を得ているが、自身では顔をクシャクシャにして照れ笑いしながら厳しく自己評価する。「俺は基本的には演技、上手くないからねぇ。へたくそだから、しゃべんない方がいいもん。しゃべるとね、怪しいんだ俺は。『バカ野郎』なんて言ったら、単なる松村(邦洋)のモノマネになっちゃう。『ダンカン、バカ野郎』(松村さんによる、たけしさんのモノマネ)と変わってないって。『てめえ、何言ってんだ、バカ野郎』(本作の台詞)と同じだったっていう。だからできるだけ、怒鳴らないようにしようと思ったけど、みんなが怒鳴っているから、しょうがなくて怒鳴っていると、ふと我に返って、コレ、松村がモノマネするときと俺と、変わってないじゃないか、って(笑)」。大きな見どころのひとつが、バイオレンス描写の過激さ故に北野映画特有のバイオレンスと笑いが繋がって楽しめる感覚だ。「今回、あんまりにも描写が痛くてなぜか笑ってしまう。っていうか、これだけ追い込まれると人間笑うんだなって。編集していても順撮りじゃないから始めは気がつかなくて、ある程度繋がってくるとバカ笑いしちゃうシーンが出てきた。アレ?これ、お笑い映画撮っちゃった、参ったなーと思ったら、編集マンの人が『これだけ痛ければ笑いますよ、喜劇じゃないけど笑わずにはいられない状態になりますもの、これ』って。大丈夫かなって思っていたら、その感覚は世界共通で、カンヌでも観客がバカ笑いしてた。バカ笑いしている割にはみんな暴力映画って言っているわけ」。登場人物たちは、裏切り、騙し合いを続ける。北野監督の考える、人間の悪は?「悪っていうのは人間社会が進化する過程において、人間本来の欲望を規制するために、社会が悪と決め付けたこととも考えられる。例えば、人間が成長してある程度、性的能力とか体に備わって意識するようになったときには、ほかの奴を殴ってでも女を取るのが、生物として本能的だと思うよ。でもそれ、社会として成り立つために、悪=犯罪という括りを付けないと、人間社会自体が成り立たないというだけ。オットセイが周りの奴をかみ殺して十何匹もメスのオットセイをはべらせてハーレム作っているのを『恥ずかしくないのか、お前は。もっと女を分け与えろ、それじゃオットセイの社会は成り立たない』って言ったって、しょうがないじゃない。それは考えてないだけだもん。人間だったら少し頭が発達してきたから、弱者を救うことによって、全体的に盛り上げようとすることで、性とか食べ物の欲望とかそういうものを、独りよがりに行使することを悪としただけ。それがなきゃ、美味いものを食っている奴を後ろからぶん殴って、気絶している間に食って帰っちゃえばいいんだから。それは誰でもしたいと思うよ」。人間は欲望に抑制の効かない未完成な存在そういった悪とキッチリ一線ひけない人間の未熟さも明確に指摘する。「人間ってのは未完成な動物で、こういう暴力映画っていうと暴力は社会に対して悪影響があるんじゃないでしょうか?って言う。だけど拍手して観ている奴がいる。悪いことなら止めるんだけど止めないんだよ。食べ物でも何で腹いっぱい食っているんだ?肝臓壊したり糖尿になったり、体に悪いのになぜ食うかと言うと、頭と体のバランスが人間って全然取れていない。教えてくれないんだよ、体から信号出ていないんだもん。『それ以上食うと体に悪いです』なんて絶対言わないでしょ?だから食っちゃうの。それだけ人間ってね、欲望に対しては規制が効いていない、だからすごい未完成な動物なんだよ」。劇中、数人、生き残るワルがいる。現実社会で生き残るために必要なことは?「多分、グループがあってそこで生き残ろうとする。だから葛藤があるんじゃない?このグループじゃないところにポンと出ちゃえばいい。そうすればこのグループからしたらその人、関係ないだから、客観的に見たらその人、生き残っているってことじゃん、もしかしたらね。漫才ブームのときに一番最初に漫才辞めたの俺なんだもん、もう終わりだと思って。B&Bとかみんなそこにいたけど、俺、ポンと外に出ちゃった。で、結果的にブームはなくなって、たけしと紳助が漫才ブームを生き抜いたって言われるんだけど。俺、TVの次に、今度ラジオに行っちゃった。TV界からラジオに行っただけなんだけど、たけしはお笑いから生き抜いたってことになる。で、次に映画に行っちゃった。TVのタレントから俺だけ映画に行ったら、また生き抜いた、みたいなことを言われる。要するにグループの中に属さないってことじゃないかな。そうすりゃ生き抜いたことになる。怪しいんだけど、俺」。騙す、騙される、どっちが好き?の問いに、「あーあ」と嘆くような口調と優しい笑顔で答えた。「俺ら、騙す商売だからなぁ。騙す商売だけど、騙されることによってプラスマイナスゼロにしているところ、あるよね。よく騙されるの、騙してもらったお金、騙されてぼられているだけだよ」。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:アウトレイジ 2010年6月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開© 2010『アウトレイジ』製作委員会■関連記事:モナもシビれた!北野監督作『アウトレイジ』女性座談会ランキング企画!シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5社長になってほしい俳優といえば?【カンヌレポート 最終回】バルデム受賞にペネロペ涙!最高賞はタイ作品山本モナと“男たち”を語ろう!『アウトレイジ』女性限定試写会&座談会に10組20名様ご招待【カンヌレポート 04】たけし、批評家の採点は辛口も観客からは5分の拍手の嵐
2010年06月10日ナインティナインの岡村隆史が主演する映画『てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~』。夢に向かって真っすぐに走る主人公(岡村)と、彼を支える妻(松雪泰子)の“奇跡”を描いた作品だが、製作においても“奇跡の連続”だったという。その他の写真映画は、沖縄のかつての美しい海を、愛する妻と子どもたちに見せたいとの思いから、絶滅の危機にひんしたサンゴを養殖、海に移植し、世界初の産卵に成功した金城さんの物語。岡村は笑いを一切封印し、久々の主演、初の父親役に挑んだ。「金城さんとは2008年5月に初めて会ったのですが、翌年5月にはクランクインしていました。1年後に撮影を開始できたことが奇跡だと思います。映画の製作が決まるまで時間がかかるものなのですが、プロデューサーが即断即決。岡村さんも出演即決だし、松雪さんにもすぐに快諾していただいて」と李闘士男監督。多忙を極める岡村は、脚本に目を通すまでに多少時間を要したが、初稿を読んで「出演を即決しました」と快諾。事務所サイドからも「やります」という返事が返ってきた。クランクイン後も奇跡は起こった。象徴的なのは、クライマックスとなるサンゴの産卵シーン。李監督は「CGだと思っている方がいるみたいですが、本物のサンゴの産卵シーンを撮影するために1か月間、沖縄のあちこちの海にもぐり続けました。産卵は5月下旬から6月上旬で、産卵しない可能性もあると言われて心配しましたが、この年は例年より2週間以上遅れて産卵しました。奇跡というまさしくドキュメンタリーを撮影しているような感じでした」と振り返る。苦労が生んだ映像はまさに神秘的で圧巻の一言だ。共演は、吉沢悠、國村隼、原田美枝子、長澤まさみ、渡部篤郎ら。プロデューサーは「第一希望の方ばかりでしたね」とキャスティングにも自信を見せている。『てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~』4月24日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー
2010年04月16日“世界のキタノ”が再びカンヌの地へ!北野武監督の最新作『アウトレイジ』が、第63回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されることが発表された。北野監督自ら、ビートたけしとして出演するほか、椎名桔平、三浦友和、加瀬亮、國村隼、杉本哲太、塚本高史、石橋蓮司、小日向文世ら豪華俳優陣が集結。ヤクザの世界に生きる男たちが、生き残りを賭け、裏切りや駆け引きなど激しい権力闘争を繰り広げられ、登場人物は全員“悪人”というバイオレンス・アクション。北野組初参加の俳優陣ばかりを揃えているが、中でも“いい人”の役柄のイメージが強い、加瀬さんや小日向さんがどのようにタンカを切り、拳をふるい、悪に手を染めていくのか注目したいところ。『BROTHER』、『座頭市』以来7年ぶりとなる本格的なバイオレンス作品となるが、北野監督は「久しぶりのアクション映画だから期待感もあると思うし、自分としてもお客さんの反応が楽しみだね」と自信のほどをうかがわせるコメント。ちなみに、北野作品がカンヌのコンペティション部門に出品されるのは、第52回の『菊次郎の夏』以来2度目。パルムドール獲得となれば、邦画では1997年『うなぎ』以来5作目の快挙となるが果たして?映画祭は5月12日(現地時間)から23日までの日程で開催され、審査委員長を、まもなく日本で公開される『アリス・イン・ワンダーランド』の鬼才、ティム・バートンが務める。北野監督は上映に合わせ、現地入りする予定になっており、現地フランスでも根強い人気を持つ“世界のキタノ”から目が離せない!『アウトレイジ』は6月12日(土)より丸の内ルーブルほか全国にて公開。■関連作品:アウトレイジ 2010年6月12日より丸の内ルーブルほか全国にて公開■関連記事:たけし帰国会見仏芸術文化勲章最高章は「黒澤さんが貰ったやつ、すげえ」“いい人”加瀬亮がヤクザ役でマジギレ!?たけし最新作、題名の意味は“極悪非道”
2010年04月16日映画『花のあと』が3月13日(土)に公開を迎え、初の時代劇出演となった主演の北川景子がしだれ桜の柄の美しい着物で舞台挨拶に登場!共演の宮尾俊太郎、甲本雅裕、國村隼、中西健二監督らと共に公開を迎えた喜びを語った。北川さんが登場すると、その美しさに会場中が思わず息を呑んだ。「(着物を着ると)撮影期間中のことが思い出されます。こうしてみんなで揃って着物で出席できて嬉しいです」と笑顔の北川さん。初日を迎えた気持ちを「1年半前に時代劇のためのいろいろな稽古を始め、それからずっと今日という日を待ち望んでいました」と語った。北川さん扮する以登(いと)の許婚である才助を演じた甲本さんは「1年前のこの時期に撮影していたときの、満開の桜を思い出します。映画は今日、“開花”しましたが、これからみなさんの力で“満開”になったら嬉しい」と呼びかけた。温かく、優しく以登を見守る才助を演じたことで好感度がアップしたのでは?という司会者の言葉に甲本さんは照れながら「才助は人間味にあふれた男の理想像。人間誰しも表の顔と裏の顔を持っていますが、才助は裏の顔が見えれば見えるほど魅力的に映る。僕の裏の顔は、とてもお見せできないほど醜いので(苦笑)、自分を見せないことを心がけました」と謙虚な…というか自虐気味のコメント。バレエの世界から初めて映画に参加した宮尾さんは「ゼロからのスタートでしたが、監督、スタッフ、共演者のみなさんに助けられ、演じることができました。日本の、日本人の美しさが伝わればと思います」と語った。そして翌日がホワイトデーということで、男性陣を代表して國村さんが北川さんにプレゼントを手渡した。桜をあしらったスイーツのプレゼントに北川さんは大喜び!だが、國村さんが「バレンタインに特に何ももらっていないんですが…」と語ると「すみません…」と苦笑を浮かべ、会場は笑いに包まれた。『花のあと』は全国にて公開中。■関連作品:花のあと 2010年3月13日より全国にて公開© 2010「花のあと」製作委員会■関連記事:北川景子、桜シャンパン少々で頬ピンク色『花のあと』完成披露来年の東映は『ゼブラーマン2』セクシー衣裳から『桜田門外ノ変』まで注目作ズラリ!北川景子、うわさのバレエダンサー宮尾俊太郎に剣で圧勝?『花のあと』完成会見北川景子主演の時代劇の主題歌に一青窈が決定!藤沢周平作品は3度目北川景子が藤沢周平原作『花のあと』で時代劇初挑戦!女剣士役で殺陣も自らこなす
2010年03月13日女優の井上真央が2月25日(木)、ザ・ペニンシュラ東京で行われた主演映画『ダーリンは外国人』(宇恵和昭監督)の完成披露会見で、バンクーバー五輪に出場中の女子フィギュアスケート、浅田真央選手にエールを送った。浅田選手はショートプログラムで、78.50点で首位に立った韓国のキム・ヨナ選手と4.72点差で2位。25日(現地時間)に行われるフリーで金メダル争いに臨む。井上さんは“真央”つながりで、「スケートリンクまで行って試合を見せてもらい、応援させてもらったことがあります。同じ名前の方が活躍しているのは嬉しい」と親近感タップリ。「ショートプログラムもハラハラドキドキしながら見ていましたし、昔から応援していましたし、真央ちゃんならやってくれる、フリーで金をとってくれる!と信じています」とエール。「今日の夜、完成披露試写会があり緊張していますが、明日の(浅田選手の)フリーの方が気になっています」とソワソワしていた。同作は、漫画家の小栗左多里さんが、自身とアメリカ人ライター、トニー・ラズロさんとの恋愛から国際結婚、日常生活に見た異文化間のギャップを描き、シリーズ4作累計売上250万部超(2010年1月現在)のロングセラーとなっている同名コミックの映画化。会見には井上さんのほか、オーディションでトニー役に抜擢されたジョナサン・シェア、小栗さん&トニーさん夫妻が出席。井上さんは「(劇中)イラストを小栗先生に教えてもらって描いたので、見てください」と“漫画家デビュー”を報告。小栗さんから「本当にすごく上手です。思い切りがいいし力の抜き方が上手。マンガ界にスカウトしているんですけど…」とラブコールを送られ、「困ったときは先生のところに行こうと思っています」とまんざらでもなさそうだった。共演はほかに、小栗さんの母親役を大竹しのぶ、父親役を國村隼、姉役を国仲涼子ら個性的な面々。小栗さんは「大竹さんと聞いたときは3歩くらい後ろに下がりました。大変喜んでおります。国仲さんと聞いたときには(私の)姉の夫が絶句していました。っていうか、あたしの役が真央ちゃんと決まったとき、周りからブーイングが起こったんですけど、『何か?』という姿勢で挑んでおります」と話し、会場の笑いを誘っていた。『ダーリンは外国人』は4月10日(土)TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:ダーリンは外国人 2010年4月10日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて公開© 2010 映画「ダーリンは外国人」フィルムパートナーズ■関連記事:井上真央、新CMでのトヨエツのお姫さま抱っこにウットリ
2010年02月25日女優の永作博美が2月23日(火)、東京・帝国ホテルで行われたWOWOWの主演ドラマ「蛇のひと」の発表会見に、ブルガリの約450万円相当のジュエリーを付けて登場した。商社のOL・陽子(永作さん)が、上司の部長が自殺した日に失踪した課長(西島秀俊)を探す過程を通じ、人間の不可解な業を描き出すヒューマン・サスペンス。第2回WOWOWシナリオ大賞受賞(三好晶子)作品のドラマ化。監督を『重力ピエロ』などの森淳一が務める。タイトルに引っ掛けて、蛇をモチーフにしたホワイトゴールドにダイヤモンドを散りばめたバングルを左手首に付けた永作さんは、左腕を上下させて450万円の重みを感じて笑顔。自身の中に蛇は潜んでいる?の問いに「人間、頭があるワケですから善悪、損得を考えるし、間違いなく潜んでいる、確かです。それに気づけていないのか、これから出てくるのか。出てきても対応できる人間でいたい。そういう部分があることを認めたいですね」と、どんとした構え。同じ質問に西島さんは「確信を持って人に害を及ぼす役が多くて、自分はそういう人ではないんですけど、そういう役をもらって『できる!』と思うので…潜んでいるのかなと思います」と思案顔。左手人さし指には約124万円のブルガリの蛇型指輪を付けており「普段ジュエリーって付けませんが、これから前向きにチャレンジしたい」と照れていた。同作について永作さんは「台本を読み、とにかく新鮮で読んだことがないと思い、自分でどう形にしていくか楽しみだった。人間の変化、心の変化を感じながら見てほしい」とクオリティをアピール。劇中、口笛を吹く場面があるが「口笛でしょ、って思ったんですが、肺活量の問題で大変でした。息が続かないんですよ。難しいですね、口笛って」と愛嬌タップリに語った。西島さんは劇中、大阪出身の設定で「正直、関西弁の役は避けていました。ハードルが高いので。今回はしかも言葉で人をふっとある方向に持っていく役で。國村隼さんとか実際に関西出身の人の前だったのでプレッシャーでした」と苦笑いし、会場の笑いを誘っていた。ドラマW「蛇のひと」は3月7日(日)午後10:15〜WOWOWにて放送。ドラマW「蛇のひと」公式サイト(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:酔いがさめたら、うちに帰ろう。 2010年秋、公開© 『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』製作委員会サヨナライツカ 2010年1月23日より新宿バルト9、丸の内TOEI2ほか全国にて公開© 2009 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved.■関連記事:【読者レビューをウォッチ】『アバター』旋風に負けず、邦画勢に高ポイント続々中山美穂、凱旋舞台挨拶で感涙!すかさず西島秀俊がハンカチ差し出す中山美穂がフランスから緊急帰国!『サヨナライツカ』日本横断凱旋舞台挨拶が決定中山美穂、ファンの「おかえり」に笑顔西島秀俊は劇中の浮気に「しょうがない」連発【シネマモード】恋する女心を解く鍵は衣裳にあり?『サヨナライツカ』を彩るのは…
2010年02月23日宮崎あおいと大竹しのぶが角川映画製作の映画『オカンの嫁入り』で初めて共演することになり、東映京都撮影所にて、1月13日(水)に製作第一報を伝える現場会見が行われ、2人揃って出席した。本作は第3回日本ラブストーリー大賞のニフティ/ココログ賞を受賞した、咲乃月音による小説「さくら色?オカンの嫁入り?」(宝島社刊)を映画化した作品。月子(宮崎さん)と陽子(大竹さん)は母ひとり子ひとりで、仲良く支え合って暮らしてきたが、ある日突然、陽子は家に若い金髪男・研二を連れ帰り、彼との結婚を宣言!あまりに突然のことで、母に裏切られた思いの月子は、陽子にも研二にも頑なに心を閉ざす。実は、この母と娘はそれぞれに秘密を抱えており…。母と娘、そして彼女たちを実の家族のように温かく見守ってきた周囲の人々の人間模様が描かれる。クランクインは1月6日。この日で撮影8日目だが、2人の様子は仲睦まじい母娘そのもの!宮崎さんは、初対面での大竹さんの印象を尋ねられ「お話していて“キュンキュン”してしまいました。大先輩なのに、本当にキュートな方で…ドキドキではなくて“キュン”なんです」と表現。全編関西弁での演技となるが、「音を合わせると感情がなくなってしまうし…元々、関西弁はテンポが良くて好きなのですが、難しいです。関西の方に笑われないようにがんばります」と意気込みを語った。さらに「去年はのんびりとしていたので、今年は常に動いている1年にしたいです。この作品を大切にみんなで作って、育てて、きちんとみなさんに観ていただける作品になるようにがんばります」と気合十分。一方の大竹さんは宮崎さんについて「かわいらしいし、意見もしっかり言えて、女優としても女性としてもしっかりしている方だなあ、と思いました」と笑顔で印象を語ってくれた。“嫁入り”ということで、白無垢姿の大竹さんをスクリーンで見られるかと思うと完成が楽しみだが、話を向けられると大竹さんは「とんでもない!」とかぶりを振るも「でも、以前テレビ番組で着たとき、意外に気持ちよくて…。できるだけ(カメラを)引きで撮ってもらいます(笑)」と、照れながらもまんざらでもなさそう?そして「私は舞台もやっていますが、改めて映像の世界が好きだなあと感じたので、この作品が今年の仕事始めにできて嬉しいです。人生っていいなあって思ってもらえる作品にしたいです」と意気込みを語った。メガホンを握るのは、『酒井家のしあわせ』(’06)で各方面から高い評価を受けた呉美保。宮崎さんと大竹さんに加え、話題作への出演が続く桐谷健太に、國村隼らがキャストに名を連ねる。宮崎さん&大竹さん母娘のチャキチャキな関西弁でのやり取りも楽しみな『オカンの嫁入り』。クランクアップは2月5日(金)の予定で、公開は今秋、全国にて。■関連作品:オカンの嫁入り 2010年秋、全国にて公開© 「オカンの嫁入り」製作委員会
2010年01月15日芸人、俳優として異才を発揮する板尾創路が自ら主演した初監督作品、その名も『板尾創路の脱獄王』の完成披露試写会が1月11日(月・祝)に開催され、板尾さんが國村隼、木下ほうか、木村祐一と共に舞台挨拶に登壇した。映画と絡めて“「脱・未成年」=「祝・成人の日」”ということで、登壇者と新成人の観客が壇上で鏡割りを行い、映画のヒットを祈願した。独創的なアイディアで脱獄を繰り返し、“脱獄王”の異名をとった男のドラマを描いた本作。なぜ脱獄をテーマに?という問いに板尾さんは「当初、沖縄映画祭で上映するために作ったので、何の構想もなくゼロから作った。刑事モノ、カンフーアクションなどのアイディアはあったが、行き着いたのは脱獄だった。(スティーヴ・)マックイーンの『大脱走』や『パピヨン』など、脱獄映画がきっかけで映画が好きになったので、脱獄モノにはエンターテイメントが詰まっていると考えてこのテーマを選んだ。玄人受けしているみたいだけど、難しい話じゃないので、みんなに観てもらいたい作品です」と説明した。國村さんは「台本を読んだときに、まさに“板尾創路”だと思った。昔からよく知っている大好きな人なので、その長編初監督作品に参加出来てよかった」と称賛を贈った。木下さん、木村さんも「板尾さんとは同い年で同級生で、役者仲間でもあるので、監督ができて羨ましい。映画を観れば、このタイトルがついている意味が分かります」(木下さん)、「いまのタイミングで付けなくても、後世に“板尾創路の”と付いたタイトルになると思った」(木村さん)と大絶賛。現場での初めての演出も、板尾“監督”は「コントは自分で作って、演じて、ジャッジしてきたので違和感はなかったです。本当にその役にふさわしいと思った方にやっていただけたので、過度の演出は要らなかった」と語り、俳優陣との強い信頼関係をうかがわせた。さらに、新成人へのアドバイスを求められた一同。國村さんが「僕はもう、50年以上生きちゃったんですけど、最近になって、節目節目が大事だと実感しています。初めての節目の年を迎えたことを自覚して、大切に過ごしてください。おめでとうございます」とエールを贈ると、木下さんは「國村さんの仰るとおりです(笑)!」。木村さんは「色んなものを吸収して、吸い込んでください」と呼びかけ、板尾さんは「ハタチのときの記憶はあまりないけど、四十になって初めて成人くらいに思ってるからね」と含蓄のあるコメントを発したかと思えば、会場に集まった新成人の女性客に「いい男見つけてね!変な男いっぱいいるからね」と大人の(?)警告。会場は笑いに包まれた。『板尾創路の脱獄王』は1月16日(土)より角川シネマ新宿ほか全国にて公開。■関連作品:板尾創路の脱獄王 2010年1月16日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開©2009「板尾創路の脱獄王」製作委員会
2010年01月12日女性から絶大な人気を誇る江國香織の同名小説を中谷美紀×大森南朋という組み合わせで映画化し注目を集める『スイートリトルライズ』の予告編がこのほど初めて公開された。一見、理想的な家庭を築いているかのようで、心のすれ違いを感じている一組の夫婦。それぞれに家の外に心惹かれる相手を持ち、家の中では嘘と秘密を重ねつつも、互いへの愛の深さを確認し合う姿が生々しく描かれる。映画の製作が決定した当初から、江國作品独特の言葉遣いが、生身の俳優によってどのようなトーンでどのように表現されるのか?と注目を集めていたが、今回解禁となった予告編では、妻・瑠璃子(中谷さん)の「恋をしているの。本当は夫だけを愛していたいのに」、「この部屋には、恋が足りないと思うの」などのセリフが登場している。小林十市が演じる不思議な青年、池脇千鶴扮する大学の後輩に、瑠璃子と聡(大森さん)がそれぞれ惹かれていく様子もしっかりと描かれているので、こちらもぜひチェック!ちなみに原作者の江國さんは、映像化された本作について「書いたことではなく書きたかったことを、視覚化されて愕然とした、というのが正直なところです。一体どうしてこんなことができたのかわかりません。小さな、美しい映画」と独特の表現で称賛している。原作者を“愕然と”させるとは、一体どのような作品に仕上がっているのか?『スイートリトルライズ』は2010年3月、シネマライズほかにて公開。こちらの予告編はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:スイートリトルライズ 2010年3月、シネマライズにて公開© 2009 江國香織/「スイートリトルライズ」製作委員会■関連記事:中谷美紀、官能&ドッキリ表現「肌の上をなめくじが這うような作品」「変態監督?」大人な秘密の恋をしてみたい俳優、第1位は大森南朋! デップ&ブラピに競り勝つスガシカオが江國香織×中谷美紀×大森南朋『スイートリトルライズ』の主題歌を担当!『スイートリトルライズ』クランクアップ!中谷美紀×大森南朋の自宅写真を独占初公開中谷美紀×大森南朋が夫婦役に!江國香織原作『スイートリトルライズ』が映画化
2009年12月19日北野武監督が『アキレスと亀』以来1年ぶりの新作にして、『BROTHER』(’01)以来、久々にヤクザを主人公にした本格バイオレンス作品として期待が集まる作品のタイトルが決定!その名も『アウトレイジ』(OUTRAGE=極悪非道)というストレートなタイトルで、しかも登場人物が全て“悪(ワル)”という、異色のバイオレンス・エンタテイメントになっている。物語は、関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織である山王会の組長・関内が若頭の加藤に、直参である池元組の組長・池元について苦言を呈すところから始まる。加藤を通じて池元は、直系ではない村瀬組を締め付けるように命令を受ける。その後すぐさま、池元は灰化にある大友組の組長・大友に役目を言い渡す。命令はいつも小さい者へ弱い者へと流れゆく。大友はいつも、上の尻拭いや汚れ役に奔走させられたきたのだった。生き残りと面子を賭け、裏切りや駆け引きを駆使した激しい権力闘争が幕を開ける――。北野監督自ら、ビートたけしとして主人公・大友役を演じるほか、三浦友和(加藤役)、椎名桔平(大友組若頭・水野役)、加瀬亮(大友組組員・石原役)、さらに國村隼(池元役)、杉本哲太、石橋蓮司、小日向文世、北村総一朗(関内役)、塚本高史、中野英雄など、北野映画初登場の豪華俳優陣が集結している本作。注目は話題作への出演が続く加瀬亮のヤクザっぷり。柔和で親しみやすいイメージで語られることが多い彼だが、そんな世評とは裏腹に、これまでも『female フィーメイル』(短編「玉虫」)や『パッセンジャー』など狂気に満ちた役で存在感を示してきた。そして、本作でついに本格的なヤクザ役に初挑戦!その“キレ”の演技には監督が思わず拍手をする一幕もあったとか。監督からは「面白くて仕方ない」という発言が飛び出すなど、早くも本作に対する満足度と自信を感じさせる。今年の夏にクランクインし、現在、順調に編集作業が進められているとのこと。『アウトレイジ』は2010年全国にて公開。■関連作品:アウトレイジ 2010年、全国にて公開
2009年12月01日江國香織の人気小説を中谷美紀×大森南朋という、この世代を代表する実力派俳優2人を主演に迎えて映画化した『スイートリトルライズ』の主題歌が、スガシカオの書き下ろし曲「雨上がりの朝に」に決定した。原作小説は、2004年に刊行され、透明感あふれる文体の中に強烈な“孤独”と“恐怖”を散りばめた名作として江國ファンの間でも人気の高い作品。結婚生活3年目を迎えた夫婦が、それぞれに家庭以外の場で恋をし、小さな嘘を積み重ねつつも寄り添って共に生きていくさまが綴られる。スガシカオさんにとっては、『DEATH NOTE デスノート』に挿入歌として提供した「真夏の夜のユメ」以来、3年ぶりとなる映画とのタイアップ。今回の「雨あがりの朝に」は、スガシカオさん自身が映画を観た上で書き下ろした。映画化に際し、原作の中の「恋をしているの。本当は夫だけを愛していたいのに」、「この部屋には、恋が足りないと思うの」といった女性の心に強く響く、江國さん独特のセリフが映画でどのように再現されるのか?といった声が多数聞かれたが、スガシカオさんによる、軽やかさの中にもどこか切なさを含んだ詞とメロディは、江國作品に通じるものが。スガシカオさんはこの主題歌について「大人になってもうまくいかないことは多くて、自分が思っていた“大人”とはずい分違うなぁ…なんて思ったりして…。そんなことを映画を見ながら感じて出来上がった曲です」と説明。中谷さんは「横断歩道で信号待ちをしながら『君に会いにいくよ』と、思わず口ずさみたくなるような素敵な曲ですね」と曲を聴いての感想を寄せている。美しく切ない大人の恋愛映画のラストにスガシカオさんの艶やかな歌声が響き渡る!『スイートリトルライズ』は2010年春、シネマライズほか全国にて公開。■関連作品:スイートリトルライズ 2010年公開予定© 2009 江國香織/「スイートリトルライズ」製作委員会■関連記事:大人な秘密の恋をしてみたい俳優、第1位は大森南朋! デップ&ブラピに競り勝つ『スイートリトルライズ』クランクアップ!中谷美紀×大森南朋の自宅写真を独占初公開中谷美紀×大森南朋が夫婦役に!江國香織原作『スイートリトルライズ』が映画化
2009年11月13日累計400万部の売上を突破した人気コミックを原作に、人気沸騰中の市原隼人を主演に迎えてドラマ化され、今年7月より放送された「猿ロック」。兼ねてから映画化が囁かれていた本作だが、その真相がこのたび明らかに!映画『猿ロック THE MOVIE』というタイトルで、強力な新キャストも加わり、撮影がスタートした。ドラマからの続投で、市原さんが演じるのは主人公の天才鍵師・猿丸耶太郎、通称“サル”。映画では謎の美女に依頼された仕事で、警察の権威に関わる重大な秘密が入ったトランクを手にしてしまったサルは、ブツを取り戻そうとする銀行強盗犯、そして警察に追われるハメに…。市原さんに加え、共演陣には芦名星、渡部豪太、高岡蒼甫らがドラマに続き、サルの幼なじみとして配役。さらに、劇場版新キャストとして、NHKドラマ「どんと晴れ」で脚光を浴びた比嘉愛未がサルを美貌で騙す謎の美女を、小西真奈美は超エリート警察官僚役で事件の最大のカギを握る人物として出演するほか、光石研に西村雅彦、國村隼などベテラン勢も集結。また、鍵屋vs警察の激しいアクションも見どころとなる本作。カーチェイスに車の横転、海に車ごとダイブもあり!制作には、『海猿』の制作スタッフが何名か入っているが、先日都内某所で行われた銀行強盗のシーンの撮影では半径約100メートルの道路を一日中封鎖して敢行。警察隊や報道陣、野次馬といった数百人ものエキストラもおり、一般の通行人は本物の事件と間違えて、野次馬となって押し寄せたとか…。ドラマから映画に、パワーアップした映像が展開される。『猿ロック THE MOVIE』は2010年2月27日(土)より公開。■関連作品:猿ロック THE MOVIE 2010年2月27日より公開© 2010「猿ロック」製作委員会
2009年10月29日藤沢周平の時代小説を映画化した『花のあと』の完成報告会見が8日(木)に開かれ、主演の北川景子に甲本雅裕、宮尾俊太郎、市川亀治郎、國村隼、柄本明に中西健二監督が出席した。美しい着物姿の北川さんを始め一同、和の装いで登場!時代劇初挑戦で藤沢作品に主演となった北川さんは「元々、藤沢先生の作品は大好きでした。ファンの多い作品であり『自分でいいのか?』という思いもありました。藤沢作品への出演は全ての俳優にとって憧れですし、しかも今回は女性が主人公ということで、自身と誇りを持って演じました」と堂々のコメント。撮影前から6か月にわたって所作の先生について学び、茶道や華、そして剣術シーンのために殺陣の練習も積んだというが「所作の先生が厳しい方で『同じことを何度言わせるの?』と怒られ泣いてしまったこともありました。殺陣の練習は楽しかったです」とふり返った。甲本さんは、北川さん演じる以登を優しく見守る許婚の才助を演じた。以登は才助という婚約者がいながら、一度剣を合わせただけの孫四郎(宮尾さん)に心惹かれ、孫四郎の死後、その謎についての調査を何と、才助に頼む。これについて甲本さんは「普通、別の男について調べてくれってありえないですよね。『ウソー?』って感じです(笑)。僕だったら(別の男のところに)行かせないですけど…」と複雑な心境を吐露。本作で悪役に挑戦した勘解由(かげゆ)役の亀次郎さんは「(同じ藤沢作品が原作の)『武士の一分』の(坂東)三津五郎兄さんの演技をお手本にしました。悪役は大抵、いい人がやるとうまくいくと言いますが、まあまあいい仕上がりになっていたので『いい人でよかったなあ』と思ってます(笑)」とユーモラスに自身の演技について語った。先日、宮尾さんと北川さんの関係が一部マスコミで報じられたこともあり、その言動に注目が集まったが、2人は何ら気にすることなく隣同士で腰掛けていた。北川さんは普段はバレエの世界で活躍する宮尾さんについて「生の舞台で一発にかける集中力、エンターテイナーとしての才能を目の当たりにして勉強になりました。とても尊敬しています」と笑顔でコメント。宮尾さんは「慣れない現場で、気軽に話しかけていただきました。実際の殺陣では、2回も面をとられてしまいました」と“完敗”を明かした。この日、最も会場を沸かせたのは、柄本さん&國村さんのベテランコンビ。父親役を演じた國村さんが北川さんについて「以登の持つ、凛としていて、かつ内から匂い立つような女性らしさ、色気を備えている。撮影の後はすごくさばさばしていて『誰?』と思うようなときもあった」と明かすと北川さんは「内緒にしてたのに…」と苦笑い。一方で柄本さんは「実は今日、(北川さんに) 初めて会ったので…」と正直に明かし、撮影についても「よく覚えてないです。というか僕は國村さんと囲碁を打ってただけで、何でこの場にいるのか分からない」、「囲碁のこともよく知らないんですよ」とあけすけに語り会場を笑いに包んだ。『花のあと』は2010年春、全国にて公開。■関連作品:花のあと 2010年春、全国にて公開■関連記事:北川景子主演の時代劇の主題歌に一青窈が決定!藤沢周平作品は3度目北川景子が藤沢周平原作『花のあと』で時代劇初挑戦!女剣士役で殺陣も自らこなす
2009年10月10日木村拓哉主演で大ヒットを記録した『武士の一分』、日本アカデミー賞で全部門優秀賞受賞の快挙を成し遂げた『たそがれ清兵衛』など、近年、映画化が続く文豪・藤沢周平の作品がまたひとつ映画化。珠玉の短編小説「花のあと」(文春文庫刊)が映画化されることになり、主人公の以登を北川景子が演じることが決まった。「花のあと」は、藤沢さんが郷里の山形県・鶴岡をモデルに創作した海坂藩を舞台にした短編を集めた作品集「海坂藩大全」の中に収められた一編。女でありながら、男顔負けの剣術の腕を持つ以登は、ただ一度、竹刀を交えた江口孫四郎に一瞬にして恋心を抱く。だが、以登、孫四郎ともに決まった許婚があった…。凛とした佇まいの以登を演じる北川さんは今回が時代劇初挑戦となる。今回の出演について「元々、時代劇はずっと挑戦してみたいと思っており、藤沢映画は演技をする者みなの憧れの作品でもあるので迷わず出演させていただきました。藤沢作品にしては珍しく、女性が主人公だと聞いたことも興味深く、一生に一度あるか分からない藤沢作品との出会いで役者として成長したい、という気持ちで臨みました」とコメント。また、撮影については「最初は着物に慣れることが大変でした。着物を身に付けた状態での歩き方、座り方などの所作はとても難しく、クランクイン前にたくさん稽古しました。今回は、殺陣も吹き替えなしでやるということで、立ち回りのシーンもかなり練習が必要とされたので苦労しました」とふり返った。以登がほのかな恋心を抱く孫四郎を演じるのは、熊川哲也率いる「Kバレエカンパニー」に所属するバレエ界の期待の新星、宮尾俊太郎。以登の許婚の片桐才助には甲本雅裕が扮し、以登の父・寺井甚左衛門を國村隼が、そして孫四郎を罠に陥れる藩の重鎮・藤井勘解由を市川亀治郎が演じる。メガホンを握るのは、原田眞人監督や篠原哲雄監督の下で助監督を務め、2008年に阿部寛主演の『青い鳥』で劇場映画デビューを果たした新鋭・中西健二。監督にとってもこれが初の時代劇となる。これまで映画化された藤沢作品において『たそがれ清兵衛』では宮沢りえが、『隠し剣 鬼の爪』では松たか子が、主人公が恋に落ちるヒロインを、『武士の一分』では檀れいが盲目の主人公を支える妻の役を演じた。北川さんが演じる以登は、たおやかさと、凛とした独立心を併せ持った女性。女性剣士としてどのような姿を見せてくれるのか?『花のあと』は2010年春、全国にて公開。■関連作品:花のあと 2010年春、全国にて公開
2009年08月04日美しくも切ない恋愛模様を独特の表現で切り取り、圧倒的な人気を誇る江國香織。竹野内豊とケリー・チャン共演の『冷静と情熱の間』、岡田准一と黒木瞳による『東京タワー』を始め、これまで多くの作品が映画化されてきたが、このたび、江國作品の中からまたひとつ新たな恋愛映画が誕生!小さな優しい嘘を重ねながらも共に歩んでいく夫婦の姿を描いた「スイートリトルライズ」(幻冬舎)が中谷美紀と大森南朋主演で映画化されることが決まった。物語はテディベア作家の瑠璃子とIT会社に勤務する聡の夫婦を軸に展開。傍からは幸せそうに見える瑠璃子と聡だが、実は家の中でも携帯電話でやり取りし、3年間セックスレスで心のすれ違いが続いていた。そんな2人それぞれに、新たに心惹かれる相手が現れ…。中谷さん扮する瑠璃子が恋に落ちるのは、個展で出会い、瑠璃子の作ったテディベアを欲しがる青年・春夫。一方の大森さん演じる聡が心惹かれるのは、同窓会で久々に再会した大学時代の後輩のしほ、という具合に、共に年下の相手と恋に落ちるというところも物語のポイント。この年下の恋人たちを誰が演じることになるのかも気になるところ。池脇千鶴主演の『ストロベリーショートケイクス』などを手がけた矢崎仁司がメガホンを握る。「恋をしているの。本当は夫だけを愛していたいのに」、「この部屋には、恋が足りないと思うの」など女性読者の心に強く響く、江國ワールドの独特のセリフが、映画でどのように再現されるのかも楽しみだ。2人の心の距離を埋めるように積み重ねられていく優しい嘘がもたらすのは――?『スイートリトルライズ』は2010年公開予定。■関連作品:スイートリトルライズ 2010年公開予定© 2009 江國香織/「スイートリトルライズ」製作委員会
2009年06月10日