苦手を補うテクノロジーで、発達障害のある子は進化できる!?出典 : こんにちは。「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。発達障害のある子の苦手なこと、実はキカイは得意です。正確な計算や事務作業、情報の丸暗記、スケジュールや体調・お金の管理、うっかりミスの防止や確認チェック…キカイにできることはキカイに任せて、クリエイティブな発想力や、職人的なこだわり・独自のセンス、興味のあることへの探求心や好奇心、経験則と直感力、ヒラメキ、行動力…などなど、凸凹さんの素敵な長所を活かしましょう。苦手な部分を補ってくれるテクノロジーやAIと共存できれば、私は発達障害のある子たちは次の時代をリードする「新しい人類」に進化できると思っています!一方、以前ニュースになった、海外のスーパーでクビになったペッパー君の話題など、真面目すぎて言葉通りに受け取ってしまうロボットや、空気が読めずになかなか会話が噛み合わないスマホの音声AIには、どこかうちの子に似た親近感を覚えます(笑)。きっと仲良くなれるハズ。発達障害の子どもにとって、ICT機器は「身体の一部」として、今のうちからガンガン使いこなせるようになっておきたいものの一つです。英スーパーマーケットで働く「Pepper」くん、1週間でクビに|Discoveryうちの3兄妹の宿題サポートには、ICT機器が大活躍!出典 : わが家の発達障害&グレーゾーンの3兄妹には、早い時期から、タブレット、パソコン、キッズケータイ・ジュニアスマホなどを積極活用しています。学習の補助や時間の管理など、勉強する時には常になくてはならないツールです。とはいえ、IT機器の積極利用は、視力低下や過度な集中、有害サイトへのアクセス、SNSでのトラブルなどもご心配かと思います。うちでは親(または、スマホ販売店)によるフィルタリングでの時間・アクセス制限設定や、ブルーライト・カットのフィルム、PCメガネ…そして、子どもたちとのルールづくり(貼り紙)などで、まあまあ上手につき合っています。子供にも安心! Windows 10 でインターネット安全対策 - Microsoft atLifeお子様用の iPhone、iPad、iPod touch でペアレンタルコントロールを使う方法- Apple Support有害サイトアクセス制限サービス |一般社団法人 電気通信事業者協会では、今回は、標準機能や比較的シンプルなアプリでできることを中心に、宿題のサポートなどに役立つアイデア・活用術をご紹介しますね。夏休みの宿題にも即・使えますよ!出典 : ゲームや動画に夢中だったり、ダラダラゴロゴロしてばかりで、宿題にちっとも取りかからない。せっかく始めても寄り道ばかり…。勉強以前の、時間の管理や集中力の問題は悩みのタネですよね(うちもです!)。まず、お子さんには「宿題いつからやる予定?」と意思や都合の確認を。「○時から宿題やる」と決められたら、パソコンやスマホ標準機能の「時計」のアラームや、リマインダーなどで、約束の時刻にお知らせが来るようにセット。そこで、時間通りに(あるいは、ちょっとくらいオーバーしても)宿題に取り掛かり始めたら「自分で決めた時間を守れたね」「ゲーム、やめてこれたね」等、まずは、宿題を始めたこと自体をほめるといいでしょう。、iPad、iPod touch でリマインダーを使う|Apple カレンダーにリマインダーを追加する|Google次に、せっかく宿題を始めても脱線しちゃったり、イスに座ったままぼーっとしてしまい、集中力が続かない場合。これも、スマホのタイマーアプリや、「時計」機能のストップウォッチなどを併用して「時間を見える化」します。「おやつの前に10分だけ、がんばろうか」「プリントのここまでなら、何分でできそう?」など、比較的短い時間で区切ったり、課題を小分けにして、その子が達成しやすく調節します。特に好奇心が強く、何時間も続けて集中するのが難しい子は、10〜15分単位など短いスパンで次々課題を変えていくと、飽きずに取り組めることも。勉強タイマー-受験生のための集中するための勉強専用タイマー/id925437228?mt=8勉強タイマー 受験生のための集中するための勉強専用タイマー(SOTOCHA)Upload By 楽々かあさんそして、漢字書き取りや計算ドリルなど、苦手かつ膨大で単調な作業的課題になかなか意欲がわかない場合(気持ちは分かります)。好きなことをしながらだと、比較的前向きになれることもあります。次男はスマホの音楽プレイヤーなどで、好きなボカロの曲などを聴きながらだと作業がはかどるみたいです(昔の受験生はラジオを聴きながら頑張ったものですが…)。音の情報が多いと気になっちゃうタイプは、ノイズキャンセリングつきのヘッドフォンやデジタル耳栓などもオススメ。書字に困難さのあった長男は、字を書く負担だけでなく書きたい文字が「思い出せない」ことでも、かなりイライラしていました。だから、国語の漢字だけでなく、どの科目の宿題でも時間がすごーくかかって「遊び時間が削られる!」と、ストレスに…。長男は読めるのに書けないことが多く、「『都道フ県』の『フ』がない!」とか、いつも字が出てこないと「ナイ、ナイ」言ってましたっけ。紙の辞書引き学習も効果が高そうですが、長男の場合、引く言葉が多すぎて数分で戦意喪失です。そこで大活躍なのが電子辞書。うちのオススメは「筆順辞典」と「例解学習国語辞典」。「筆順辞典」は字が大きくて見やすく、また書き順アニメーションが分かりやすく、長女も進んでなぞり書きの練習をしています。Upload By 楽々かあさん「例解学習国語辞典」は、辞書に好きな写真・画像を添えることができるスグレモノ。例えば「弟」の項に自分の弟の写真を添えたり、抽象的な言葉も「それって、こういうことだよね」と自分で理解したことを描いたラクガキをその場で写真で撮って記録できるので、実際の経験とつなげたり、イメージがあると覚えやすい子にはピッタリ。漢字や語彙の理解に役立ちます。また、大人もよく使う技だと思いますが、あやふやな漢字や熟語をスマホなどの検索窓やメモ帳などで入力して、変換候補からさっと確認するのも手軽ですよね。これで「字が出てこない」ストレスをかなり減らせるので、全体的な取り組みが良くなりますし、何度も参照・検索しているうちに覚えられる場合もあります。「常用漢字筆順辞典」NOWPRO「例解学習国語辞典 第九版[+漢検過去問ドリル](小学館)」物書堂Upload By 楽々かあさん基本機能の「写真」も、記録係として大活躍!短期の記憶の弱さを補ったり、過去の経験を参照する手がかりになります(うっかり屋の私も、ちょっとしたメモ替わりによく使っています)。例えば、夏休みの宿題の定番「植物の観察記録」と「絵日記」!もうね、面倒くさくて後回しにしてると、8月31日には時既に遅し!アサガオもミニヒマワリも、全身茶色に…。元気なうちに、写真だけでも撮っておきましょう(親も保険をかけて、自分のスマホでも撮っておきましょう)。そして、日付順に変化を見比べたり、ズームで画面を超拡大して細かい部分をじっくり観察。動いているものや立体的な物を平面に描くのが苦手なお子さんでも、一旦写真にすれば少し描きやすくなると思いますよ。「絵日記」も、うちの長男はせっかく家族でキャンプ旅行に行ったというのに、帰り道に寄ったカレー屋の絵を描いて「楽しかったです。」と一行殴り書き。…「一体、何しに行ったの!?」と言いたくなりますが、これも悪気はなくても最初の方のことはケロッと忘れちゃってるから。だから、お出かけ先では、お子さん自身がスマホ等のカメラを使って、とにかく写真をいっぱい撮るべし!(リュックにこっそり宿題を詰めといたって、どうせやりませんしね…)そして、いざ書く段階になったら、写真を参照しながら記憶を呼び起こしましょう。この時「このあと、こんなことがあったよね」「ここでは、何食べたんだっけ?」など、言葉でも思い出すお手伝いを。そして、親子で会話をしながらメモを取るべし。アプリのメモ帳やマインドマップなどでもいいし、アナログの「ふせん」でもいいです。これを見渡してテーマを決めてメモを整理して並べ、「そして」「それから」「でも」などの接続詞でつなげれば(ふせんやカードに接続詞を書き出すのもテ)、文章のほうもなんとかそれらしいモノになります。写真をきっかけに、音や味、ニオイなど、様々な情報が連想ゲームで出てくれば、文の表現も豊かになりますよ。出典 : 「読み」が苦手な子は、音声読み上げの活用スキルを是非身につけましょう。スマホもパソコンも標準機能でできます。設定さえすれば、大抵クリックひとつでOKです。視覚のアクセシビリティ-VoiceOver(iPhone)|Apple(日本)テキスト読み上げの出力-Android Accessibility ヘルプ|Google 10 のアクセシビリティ機能|Microsoft「Google翻訳」は紙に書かれている文章を写真に撮り、選択してテキスト化・読み上げもでき、「日本語→日本語」の翻訳も可能です。宿題プリントや街の看板など、ちょっとした文を簡易的に読み上げてもらう…といった裏技も。「Google 翻訳」Google読み上げ音声のついた電子書籍・動く絵本・朗読アプリも最近は沢山ありますし、Podcastで英会話や各種の講座や講義を聴くのも楽しいですよ。字を読むのが苦手でも、知識・教養の学びの幅が広がる時代になりましたね。よくある質問:Podcastを楽しむには|AppleUpload By 楽々かあさん「書き」が苦手な子には、早めにパソコンでWordなどのワープロソフトや、PowerPoint、Keynoteなどのプレゼンテーションソフトの使い方を教えてしまいましょう(パパもいいトコ見せるチャンス!)。自由研究などをきっかけにするのもいいですよ。「紙とエンピツ」だと何時間もかかるので、最後は殴り書きになってしまう長男ですが、日頃からプログラミングとオンラインゲームで鍛えキーボード入力に慣れていて、タイピングスピードは驚異的。大人になれば直接紙に字を書く機会は減りますから、「字が書けない」はパソコンさえ使えれば全然大丈夫!慣れるまでは、親がマンツーマンでWordの使い方を教えるのが大変ではありますが、やっといて損はありません。最近は小学校でも基本的な使い方は教えているので、今の子たちは吸収が早いかもしれませんね。うちでは、高学年から自由研究のまとめにWordを使って文章(タイトル・解説・本人のコメントなど)をプリント出力し、大きめのスケッチブックに写真や色紙の吹き出しを切り貼り(最終的には親の気合でコラージュ!)したものを提出していました。また、自由研究の写真素材がちょっと足りない時の荒技ですが、複合プリンターのコピー機能で、「実物大」で直接コピーしたり、カブトムシの写真を超・超・拡大コピーで乗り切ったことも。キーボードによるタイピングが難しい場合などは、音声入力の機能やボイスレコーダーを利用しましょう。キカイに正確に認識してもらうには、正しい文法(主語・述語をはっきりと)や、聞き取りやすい発音を意識せざるを得ないので、コミュニケーション力UPにもなりますよ。、iPad、iPod touch で音声入力を使う-Appleサポート|Apple音声で入力する-ドキュメント エディタ ヘルプ|Google、Officeでの音声入力を可能にする「Dictate」[佐藤由紀子,ITmedia]Upload By 楽々かあさんiPadなどのタブレットでの文章入力には外づけキーボードも便利です(うちではLogicoolのワイヤレスキーボードを使用)。「Logicool ロジクール K480BK Bluetooth ワイヤレス キーボード マルチOS:Windows Mac iOS Android Chrome OS 対応」Amazonただし、ひらがなばかりでしたがギリギリ字が書けた長男は、作文・読書感想文などでワープロ打ちでの提出が認められない場合、ワープロ入力→プリントアウト→紙の原稿用紙に写し書き…というアナログ併用もしました。まあ「文章を考える」ことと「書く」ことを別々に行うので、同時にやるより多少負担感は減ります(と、ポジティブに考えざるを得ず…)。それでも、自筆がとても困難なお子さんの場合には、学校と相談してみましょう。こういった小さな実績の積み重ねが、入試の際などの合理的配慮のための説得力ある材料・証拠にもなっていくと思いますよ。ケガや障がい等、自筆での応募が難しい場合は、具体的な理由を明記していただければ代筆またはワープロソフト等による応募も受け付けます。(読書感想文全国コンクール公式サイト-感想文Q&A「コピーやワープロでの提出が認められるのは?」の項より)年4月、ついに「デジタル教科書」導入が決定!出典 : そして、LDのある子をはじめとする、学習上の困難さがあるお子さんに朗報!ついに来年2019年4月から学校で「デジタル教科書」を導入できるようになりました。当面、端末の準備や環境整備、学校ごとの対応状況の差などの課題はあるとは思いますが、法的には「使ってOK」になったのですから、どんどん学校に相談していきましょう(デジタル教科書は、学校または自治体単位の導入が基本となるようですが、障害のあるお子さんは個人でも使用可能)。障害のあるお子さんだけでなく、デジタル教科書の導入が進めば、荷物も軽くなるし「置き勉」もしやすく、先生もマルつけの負担が減るなど、みんなにメリットがあると思います。小学校、中学校、高等学校等において、検定済教科書※の内容を電磁的に記録した「デジタル教科書」がある場合には、教育課程の一部において、教科書の使用義務に関わらず、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用できることとする。 ※学習指導要領を踏まえた検定基準に基づく検定に合格した図書が教科書として使用される。ただし、視覚障害、発達障害等の事由により通常の紙の教科書を使用して学習することが困難な児童生徒に対し、文字の拡大や音声読み上げ等により、その学習上の困難の程度を低減させる必要がある場合には、教育課程の全部において、通常の紙の教科書に代えて「デジタル教科書」を使用できることとする。(文部科学省)未来の「同僚」と今から友達になろう!出典 : 日本は現在少子化で、今後人口減少が避けられない中、今の子どもたちが将来一緒に仕事をする「同僚」は、AIを搭載したロボットやアンドロイドかもしれません。今のうちからキカイと友達になっておくのは決してマイナスにはならないと、私は思います。そして、多少の苦手さや欠点があっても、工夫してツールやテクノロジーで補えれば、きっと「キカイのように完璧な人間ではないからこそ」の素敵な凸凹の強みを活かせるハズです。次の時代の主人公である、今を生きる子どもたちが、明るい場所で笑って暮らせますように。大場美鈴/著『発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法』2017年/刊/ポプラ社
2018年08月16日夏は園や学校は長い夏休みになりますね。旅行やお出かけなどの予定もあるでしょうが、毎日というわけではないですよね。長いと思いながらも、ダラダラ過ごしていてはあっという間に時間は過ぎてしまいます。夏を有意義に過ごすことはとても大切です。休みの勉強はどのくらい、どんな風に取り組めばいいのか。さらにどんなことを行えばよいのかを見てみましょう。・夏休みにやってほしいこと 1位は勉強休みが続くからと言って毎日ダラダラ過ごしてほしくはないですよね。夏休みに子どもにしてほしい事のアンケート結果です。1.勉強2.お手伝い3.遊び4.自由研究5.スポーツ※「Yahoo!クラウドソーシング」におけるWebアンケート有効回答2036名1位~3位は僅差ですが、勉強がリードする結果となりました。実際、夏休みは1学期の復習に最適で、2学期に向けて成績を伸ばすのに効果的です。園児には関係ないと思うかもしれませんが、小さい内から少しでも机に向かう習慣をつけることは今後の学習習慣の手助けとなります。そして意外かもしれませんが3~6歳の子はお勉強が大好きです。長い夏休みの間に、1日1回お勉強する習慣を始めてみましょう。・夏休みの勉強のコツ小学生の1日の勉強時間の目安は「学年×10分」と言われます。1年生は10分、3年生は30分ということですね(受験をする場合は「学年×20分」ともいわれます)。もちろん本人のやる気があればもっと勉強させるのは構いません。しかし、夏休みは学校がないからもっと勉強した方が良いのでは・・・と不安になりこれ以上の時間を無理にさせてはいけません。1日に長く勉強をするよりも、少しの時間でよいから毎日机に向かう習慣をつけた方が力になります。そもそも、子どもの集中力も続きませんよね。3~4年生になってきたら、1学期の苦手な分野を補習し苦手を克服しておきましょう。親が1学期のテストなどを分析して、教えてあげたり練習させたりします。特に算数はつまずいてしまうとその後の積み上げができずどんどん分からなくなってしまいます。ただし、苦手な部分は子どもが嫌いな部分でもあります。例えば漢字が苦手な子に書き取りの練習やドリルばかりさせるのは、余計に嫌いにさせてしまう可能性があります。漢字かるたや学習漫画を読むなどして、楽しく学ぶ工夫をしましょう。歴史が嫌いな子を、夏休みに歴史館や史跡に連れて行ったら歴史好きになったという例もあります。苦手克服のための工夫を色々考えてみましょう。・入学前の勉強のコツまだ入学していない幼児の場合、どんな勉強をしたらよいのでしょうか。基本的に興味を持つものならどんなものでもいいと思います。たくさんの選択肢を用意して本人に選ばせると、自分で選んだので責任を持って取り組みますし、やる気もアップします。選ぶ際の基準は、本人が “一人で” “簡単に” “楽しく” できるということです。子どもはできないことがあると一気にやる気が失せてしまいます。「できた経験」を積み重ねることでどんどんやる気が出て自ら取り組むようになるのです。終わったらしっかりと褒めてあげることも忘れずに。間違っていた場合でも「最後まで取り組んだ」「ふざけないで出来た」など、褒めるポイントはたくさんありますのでうまく見つけてあげてくださいね。幼児用の教材は書店にも色々ありますが、最近はインターネットで無料ダウンロードできるプリントがたくさんあります。参考サイトをご紹介します。・幼児の学習素材館・キッズステップ・プリントキッズ他にも、塗り絵や迷路、読書などどんなものでもいいと思います。間違い探しなども子どもは喜んで取り組みますよね。「勉強」という枠組みにとらわれず、まずは楽しく机に向かう習慣をつけましょう。・夏休みにしかできない経験を!机に向かうだけが勉強ではありません。空いた時間は、通園・通学時には出来ない経験をたくさんさせてあげましょう。・昆虫飼育・サマースクールに通う・博物館・動物園などに行く・家庭菜園・料理づくりさらに2学期に行う学習内容が分かっていたら、つながる体験をさせてあげると授業の理解が深まります。例えば理科で天体学習をするならプラネタリウムに連れていく。歴史の勉強をするなら関連する施設・史跡に連れていく。ゴミ問題を学ぶならゴミ処理場を見学するなどです。机で学ぶだけでは理解が難しいことも、体験したことは理解しやすく記憶にも残りやすくなります。私の息子が行きたい博物館・水族館は全国にいくつかあります(神奈川在住ですが、愛知・福井・兵庫・九州など)。車で1~2時間程度なら普段の休みで連れていくのですが、飛行機ではないと行けないような場所もあり普段は中々難しいですよね。今年はその中から1つ選び、旅行として行ってみようと思っています。せっかくの長い休みですから普段できない所に行くのもいいですね。そして大前提として、早寝早起きを含めた規則正しい生活を送るということを忘れずに。夏休みが終わった後の生活にスムーズにシフトできるようにしておく必要がありますね。
2018年08月10日幼稚園生時代、夏休みの帰省で。「孫に障害はない!」と完全否定する祖母Upload By 荒木まち子私は娘が1歳頃の時から、周りの同世代の子どもとの違いや育てづらさを感じていました。健診時に指摘などはされていませんでしたが、娘の幼稚園入園前から療育機関などに相談をしていました。娘は人見知りをしなかったので、年に数回しか会うことがない祖父母は「本やテレビが好きな大人しい孫」「歌やお絵描き好きなおっとりさん」と感じていたのかもしれません。出典 : おじいちゃん、おばあちゃんっ子だった娘娘自身もおじいちゃんとおばあちゃんが大好きで、帰省の時は親ではなく祖父母と一緒に寝たがる程でした。電車に乗れるようになると一人で祖父母の家に泊まりに行ったり、旅行好きな祖母と一緒に旅にも行ったりしていました。高校生になるとPC検定の資格を持つ娘が祖母にパソコン操作を教えることなどもありました。おおらかで優しいお年寄りと過ごす時間は娘にとっても心地良かったのだと思います。出典 : 初めて、娘のパニックに遭遇した祖母娘が高校3年生の時、たまたまわが家に泊まりに来ていた祖母は娘のパニックに遭遇しました。この頃の娘は、就職活動中だったこともあり、とても不安定でした。「学校から配布された資料が見つからない」と家中の引き出しを開けて探しまわりました。私が「学校に電話して同じものをもらえば良いんじゃない?」と言っても「それは絶対ヤダ!」「あの先生は怖いんだ」と全く聞く耳をも持ちませんでした。同じ引き出しを何度も開けたり閉めたりすることを止められない娘。しまいには弟の机の引き出しやランドセルの中まで探し始めました。その時、祖母は…Upload By 荒木まち子祖母が娘をなだめている間に私は学校に電話をし、先生に娘の様子を伝え、翌日同じ資料をもらうことになりました。パニックは1時間ほどで治まりましたが、孫のパニックを目の当たりにした祖母はショックを受けたようでした。孫の将来を案じてその後、就職がなかなか決まらなかった娘を心配した祖母に「知り合いの会社を紹介しようか?」と勧められたことがありました。私は「いつまでも親が子供を守り続けられるわけじゃない。私たちは娘のことを理解して支援してくれるような人(ジョブコーチ)がいる会社を探している」と伝えました。祖母の思う幸せとは、違うかもしれないけれど就職後、娘は祖父母のところに行くことはほとんどなくなりました。孫のことが心配な祖母は、しょっちゅう電話を掛けてきます。「会社には休まず通っているの?」「会社の先輩とはうまくいっている?」「身だしなみはきちんとしているのかしら?」「お金は足りてるの?」「親としてちゃんと悩みを聞いてあげてる?」「また一緒に旅行に行きたいんだけど…」私はその一つひとつに丁寧に答えます。「会社は無理して毎日通うより、休み休みでもいいから彼女のペースで長く続いた方が良い」「娘は人間関係は時間をかけて築き上げていくタイプ」「完璧でなくても他人を不快にさせない程度の身だしなみはできていると思う」「まだ職場になれるのに精一杯でお金を使う暇もあまりないみたい」「職場の悩みを聞くのは親ではなくてジョブコーチという会社の上司なんだよ」「休みの日は趣味や友達と過ごす時間に充てているよ。もう家族と一緒に出掛ける年じゃないし」“おばあちゃんの思う『幸せ』とは少し違うかもしれないけれど、本人が辛いと感じることなく毎日を過ごせていれば、それが彼女にとっての幸せなのだ”と時間をかけて伝えていこうと思っています。
2018年08月10日小学校入学のタイミングで子どもの学習障害が明らかになることがあります。そもそも「学習障害」とひと言でいっても、その内容は様々です。学習障害とはどんなものなのか?改善するためにはどんな方法があるのかを探ります。学習障害を持っていても活躍をしている人は沢山います。子どもの将来を考え、子どのを育てる時なにが一番大事なことなのか、ママテナの記事から「学習障害」についてまとめました。●学習障害とは?学習障害とは、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、発達性協調運動障害というおもな4種類の発達障害のひとつです。「聞く、話す、読む、書く、計算する」など、特定の「学習」の基礎的な能力に困難を示す状態で「ただの勉強不足」と誤解されてしまうことも多いようですが、本の朗読でどこを読んでいるのかわからなくなるなどの詳しい症状です。▼続きはこちら▼●日本語では気が付きにくい「ディスレクシア」では学習障害はどのような状況で発覚するのでしょうか?その一つとして「小1プロブレム」があります。これは保育園や幼稚園から小学校への環境が大きく変わったタイミングで、小学校への不適応が見れらた事をキッカケに知能テストなどを受け、注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害などと診断されるケースがあると専門家は指摘しています。▼続きはこちら▼●学習障害の疑いがわかるキッカケ小1プロブレムでは学習障害はどのような状況で発覚するのでしょうか?その一つとして「小1プロブレム」があります。これは保育園や幼稚園から小学校への環境が大きく変わったタイミングで、小学校への不適応が見れらた事をキッカケに知能テストなどを受け、注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害などと診断されるケースがあると専門家は指摘しています。▼続きはこちら▼●学習障害改善のための方法発達障害と診断された場合、「療育」という障害をもつ子どもが社会的に自立することを目的として行われる治療と保育があります。医師の診察後、検査などでお子さんの状態を把握し、診断が出てから、作業療法士や言語療法士などによる訓練を療育センターで受けることになります。学習障害の対応は早い対応が大切です、学校に行ってもわからないことだらけになってしまい、だんだんと学ぶ意欲をなくし、「どうせ自分なんか」と自己評価も低くなってしまいます。中には学校に行きたくなくなってしまう子もいます。気になる事がある場合は、早い段階で相談し、子供の能力を伸ばしてあげたり、関わりを変えてあげた方が絶対にお子さんのためになる、と専門家は指摘します。▼続きはこちら▼●道具の利用学習障害を抱える子どもにとって黒板に書かれた事をノートに書き写すのが苦手な場合があります。このような場合、授業終わりに黒板をデジカメで撮影し、家でプリントアウトしてノートに貼る、などによって問題を解消する方法もあります。「できない」事を、道具の力を借りて「できる」ようにする方法にです。▼続きはこちら▼●学習障害をもった子どもを育てる一番大事なことアインシュタイン、トム・クルーズ、スティーブン・スピルバーグ、ジョン・レノンはディスレクシアでした。ミッツ・マングローブさんが「暗記が苦手だった」と告白しています。大きな功績を残してる人や第一線で活躍している人でも学習障害を持っている人はいます。学習障害を持った子供を育てる上で一番大事な事はなんなのか?専門家の意見です。▼続きはこちら▼
2018年06月11日「リビング学習をしている子は成績が上がる」とか「リビング学習は、家庭学習を定着させやすい」などと言われるようになってから久しいですね。皆さんのお宅でも率先してリビング学習を取り入れている人も多いのではないかと思います。筆者も塾講師をしていたとき、それについて実感したことも確かです。しかしせっかくリビング学習を取り入れてみても、やり方いかんによっては、あまり好ましくない方向に事が転がってしまうことも考えられます。今回は、効果的なリビング学習のコツを3つご紹介します。■ 1.常に親がしっかりと監視するのはダメ!ふじよ / PIXTA(ピクスタ)お子様がしっかり勉強をするかどうか気になる気持ちはわかります。しかし、つきっきりで親が監視するのは好ましくない状況です。つまり、何かをしながら、ただ“同じ空間にいる”だけで良いんです。子ども側に与えるメリットとしては、リラックスして勉強ができるということ。予習、復習にかかわらず、彼らはまだよくわからないところ、消化しきれていないところについて取り組むため、緊張しながら勉強をすることになります。多くの子どもたちは、間違えるのは恥ずかしいこと、ダメなことという考えがどうしても定着してしまっているので、見られているという緊張感は私たち大人が考えるよりも大きく現れます。場合によっては正解率が下がることも。実際に、塾の授業でもこういうことがありました。親のメリットとしては、子どもが勉強をしている間に食器の洗い物、ご飯の支度、洗濯物をたたむなど、いろいろな家事ができるということでしょうね。■ 2.年齢で区別するのはNG!自発的にリビングから離れるタイミングを待つプラナ / PIXTA(ピクスタ)下の子はまだ小さいからリビングで、上の子はもう大きいから自分の部屋で……というのはNG。年齢で区切るのではなく、“自発的にリビングから離れる”タイミングを待ちましょう。子どもの気持ちを優先させることで、やる気をそいでしまうリスクを格段に減らすことができます。また、せっかくついた勉強の習慣がリセットされてしまう可能性を減らすこともできます。自発的に行う習慣のある子は、「勉強しなさい」と言われる前にテキストを広げるので、いちいち声がけをする手間が少なくてすみますから、親の立場からしてみてもそのあたりのストレスがだいぶ軽くなるのではないかと思います。■ 3.能力に合わせて勉強量や勉強時間を増減するのがベター1日の学習時間の基本は、一般的には“学年×10分”とされていますが、集中力には個人差があります。もっといってしまえば、その日のコンディションによって勉強量や勉強時間は臨機応変に増減するのがベターです。まずは机に向かう習慣をつけることを優先しましょう。勉強自体に嫌悪感を持ってしまうのは、のちのちまで困ることになり、子どもにとっても親にとっても良いことはひとつもありません。プラナ / PIXTA(ピクスタ)いかがでしたか?リビング学習を取り入れるときに、ぜひ参考にしてみてくださいね。
2018年05月29日「みんなが当たり前にできていることが自分にはできない」「ママ友とよく原因不明のトラブルになってしまう」…。発達障害が広く世間に認知されるようになり、「もしかして自分も?」などと感じている方も少なくないのではないでしょうか?そんな大人の発達障害(グレーゾーン含む)に悩む人のために、日常生活を上手に過ごすための具体的なノウハウを紹介したのが 「ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本」 (翔泳社)。著書の村上由美さんは現在、言語聴覚士として活躍されていますが、実は4歳まで音声言語を話さなかったASD(自閉症スペクトラム)当事者です。そして、村上さんの旦那さんは、ASDに加えてADHD(注意欠陥・多動性障害)やLD(学習障害)の傾向もあり、大人になってからようやくそのことに気づいたそうです。そんな、当事者でもあり、家族でもあり、支援者でもある村上さんが、3つの視点から編み出した、発達障害の人が日々の暮らしがラクになるためのアイデアをうかがいました。お話をうかがったのは… 村上由美さん上智大学文学部心理学科、国立身体障害者リハビリテーションセンター(現・国立障害者リハビリテーションセンター)学院聴能言語専門職員養成課程卒業。重症心身障害児施設や自治体などで発達障害児、肢体不自由児の言語聴覚療法や発達相談業務に従事。現在は、自治体の発育・発達相談業務のほか、音訳研修や発達障害関係の原稿執筆、講演などを行う。著者に「声と話し方のトレーニング」(平凡社新書)、「アスペルガーの館」(講談社)、「ことばの発達が気になる子どもの相談室」(明石書店)、「仕事がしたい!発達障害がある人の就労相談」(明石書店、共著)、「発達障害の人が活躍するためのヒント」(弘文堂、共著)がある。■断捨離「モノが捨てられない」悩みを解決!――著書を読んで、「発達障害と長くつき合うのは、愛情じゃなくてスキルが必要」という言葉に「なるほど!」ととても納得しました。そのスキルをまとめたのが、本書というわけですね?村上由美さん(以下、村上さん):私は、かねてから、発達障害者の自立のカギは「時間、モノ、お金の管理ができること」と思っていて、最近ではそれに加えて「他人と協力できる場を持てること」「生き延びるための体力」も必要だと思っています。これらは、発達障害の人がこの三次元の世界で生きるための接着剤のようなもの。これらを介さないと、この世界の人やモノとは繋がれないので、それぞれの苦手項目を解決するためのスキルをまとめました。――今回はその中から、「モノの管理(片づけ)」についておうかがいします。というのも、発達障害グレー気味というママからは「片づけができない」というお悩みが圧倒的に多かったからです。村上さん:発達障害の人は、空間やモノへの捉え方が一般の人とは感覚的に異なるので、「片づけが苦手」という方がとても多いです。片づけについては、まず、自分にとってどういう状態が片づいているのかを明確にすることが大事です。例えば、ホテルのような整然とした部屋が良いのか、多少散らかっていても日常生活に支障がない状態なら良いのか、などというふうに。――確かに、人によって定義が全然違いますものね。でも、自分の片づけのイメージ通りに「モノを捨てられない(減らせない)」という悩みも多いようですが、これはどうしたら?村上さん:発達障害の人はモノの判断基準があいまいで、自分にとってのモノの役割を認識できていないため仕訳が苦手です。例えば、ADHDの傾向が強い人は、興味や関心に惹かれてつい使わないモノに手を伸ばしてしまいがちですし、ASD傾向が強い人は、そもそも片づけの意味や必要性を認識していないことや、人から押しつけられるとうまく断れず不要なモノが増えてしまうことも多いのです。発達障害の傾向が強い人は、自分の好みに合わないモノとつき合うのがそもそも苦手という特性を認識して、ある程度試してみて不要だとわかったら手放す覚悟が必要だと思います。――具体的な対処法としては?村上さん:まず、似たようなモノ同士をまとめます。集めたモノを比較すると、モノ本来の目的や自分の判断基準が明確になります。そこから不要なモノを間引きするのですが、判断に迷ったらいったん保留にし、モノ本来の評価と自分の感情を表などに書き出して整理しましょう。例えば、「使いにくいけど高価なモノ」は、モノ本来の評価は「使いにくい」、自分の感情は「高いから捨てるのがもったいない」になり、どちらが勝っているかがわかりやすくなるので決断しやすくなります。また、「〇〇したら使うかも」などと、条件つきで判断に迷うモノは、実際に使ってみることで結論がでます。例えば、「修理が必要なモノ」は「お金をかけて修理してまで使いたいのか?」「そこまでするのは面倒なのか?」で判断ができるはず。また、捨てるにはもったいないけど自分では使わないモノを処分するには、リサイクルショップや寄付などを利用するのが良いでしょう。 ■子どもの大量プリントやスケジュールはIT管理――家の片づけに加えて、子どもの片づけや学校の用意も加わって、お手上げ状態のお母さんもいたのですが、子どものモノの片づけはどうしたら良いでしょうか?村上さん:基本はどの片づけもだいたい同じなのですが、まず「この部屋で何をするか?」というルールを決めることが大事です。例えば、リビングは家族のパブリックスペースで、たくさんの個々人のモノが持ち込まれるので散らかりがちですが、「ごはんを食べる」「仕事をする」「勉強する」「遊ぶ」などと目的を決めると、だいたいの作業エリアが決まるので、そのために必要なモノを配置しやすくなります。子どもが勉強するなら、テーブル回りに筆記用具の引き出しや勉強本の棚を設置したり、それにまつわるモノが回る仕組みをつくります。また、子どもが片づけやすい状況になっているかも大事です。引き出しにラベルを貼って中身をわかりやすくしたり、きょうだい児がいる場合は棚を色分けするなど工夫しましょう。…とはいえ、子どもがいる場合は、そもそも整然としたホテルのような部屋を目指すのは難しいので、ある程度の妥協は必要だと思いますよ。――なるほど。また、子どもの片づけといえば、学校からの大量に配られるプリントの管理もありますが、こちらの対策は?村上さん:どんどんデジタル管理して、用済みの紙は捨てることです。紙情報は、処理して捨てるまでの流れを仕組みにしないと、どんどん積み重なって“地層化”になる一方ですよ。また、紙は検索できませんが、データなら検索できるのでとても便利。ちなみに、私はクラウド・サービス「 Evernote(エバーノート) 」を利用していますが、ほかにもプリント管理に便利なスマホのアプリなどたくさんあるのでぜひ検索してみてください。きょうだい児ごとにタグづけすれば簡単ですよ。また、IT管理は子どものスケジュール管理にも便利です。家族行事は、夫婦でGoogleカレンダーを共有し、子ども用には、プリントアウトしたモノを目につきやすいところに貼っておくことをおすすめします。子どもには、情報をITで理解するのはまだ難しいので、紙という具体化したモノで見せることが大事です。――スマホのアプリで管理するのは便利そうですね。村上さん:パソコンやスマホ、インターネットは、発達障害者にとっては三種の神器のようなもの。世の中のIT化により、社会の仕組みが発達障害の人たちが苦手とする三次元の世界から、得意な仮想空間の世界へとシフトしてきています。これらの情報機器をうまく活用すれば、生活の質を上げていくことができるでしょう。――ちなみに、ITオンチのお母さんはどうしたら良いでしょう…?(汗)村上さん:ITが苦手なお母さんは、トレイで管理することをおすすめします。目につきやすいところに「ママに渡すモノトレイ」を設置して、そこに子どもにプリントを入れてもらい、見たら即仕分けたり返事を書く、手帳やカレンダーに記入するというルールを決めましょう。また、子どもがちゃんとプリントを出せたら、たとえ内心、当たり前と思っていても、ちゃんと言葉に出してほめることが大事。できなかった時に叱るのではなく、できた時にほめることで、子どもにプリントを出す行動が定着します。■「お客様」意識のパパ、「私がやらなければ」意識のママ――なるほど。でも、いろいろお話をうかがって、これらを全部お母さんひとりでやるというのも大変ですよね…?村上さん:本当にその通りです。お母さんがやるのが大前提になってしまっていますが、これはお母さんだけの課題ではありません。協力して助け合うのが、家族の大事な役割なのですから。でも、日本の家庭は、たいてい奥さんが「プログラマー」になって細かくプログラムを組まないと、夫がうまく動いてくれないですよね(苦笑)。だから、「そんなの面倒くさくてやってられない!」と全部自分でやってしまうから、夫婦ケンカになってしまう。――おっしゃる通り(笑)。村上さん:私が思うに、多分、大半の夫は家庭に対して「お客様」感覚でいるのだと思いますよ。でも、夫は家族の一員なのだから、それは違いますよね? ですから、夫に家庭での「お客様」意識を改めてもらうことが必要です。そして同じように、お母さんも育ってきた環境や社会に求められて、家のことはすべて自分がやるものだと思いがちですが、そういう意識も変えていく必要があると思います。で、先ほどの、子どもができたらちゃんとほめるという話は、自分に対しても同じ。できて当たり前ではなく「できた私ってえらい!」と自分をきちんとほめてあげてくださいね。片づけや家事は「できて当たり前」と思われがちなうえに、消耗する行為が多いもの。でも、できて当たり前ではないこと、できたら自分をほめてあげる習慣をもつことで、自分自身にも片づけの習慣が定着するかもしれません。後編では、ママ友との「コミュニケーショントラブル」についておうかがいします。参考図書: 「ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に暮らすための本」 (翔泳社)大人になってから発達障害の症状に悩む人が増加しています。ここ10年で「発達障害」の知名度が飛躍的に上がったことで、「もしかして自分も…」と成人になってから気づく人が増えたのが最大の要因と思われます。発達障害の人には、「同時並行作業力が弱い」「段取りが取れない」「ケアレスミスをする」「コミュニケーションが苦手」といった特徴があり、そうした症状に悩む人のために、上手に日常生活を過ごす方法を解説。イラスト/高村あゆみ取材・文/まちとこ出版社N
2018年05月24日小学校は「学びの場」。わが子はきちんと学習できる?出典 : 子どもが小学校に入学するということは、一体これまでと何が1番変わるのでしょう。それは言うまでもなく、「学びの場」に入っていくということです。それまで走り回って元気よく遊んでいれば良かった生活から、急に1日何時間も椅子に座り、勉強をする生活に変わります。この急激な変化を前に、不安を覚える親御さんも多いのではないでしょうか。立ち歩かずにきちんと授業に参加できるのか、毎日の宿題をこなすことができるのか、そもそも漢字や計算を問題なく習得できるのか。1年前の私も、そんな不安でいっぱいでした。漢字学習の苦手を救ったアイテム!発達障害のある息子は、自分の嫌いなことに黙々と取り組むのが苦手です。入学後、やはり漢字の学習でつまずいてしまいました。ただ形を覚えるだけであれば、それほど時間をかけずに達成できます。けれども、ノートに手本どおりに何回も繰り返し書く作業、さらに、それを先生に赤ペンで直されて、その上からなぞる作業…。これが毎日延々と続くことが、息子の苛立ちを誘うようです。また、息子はとにかく頑固で人の言うことを聞きません。漢字の書き順が完全に自己流になるのです。何度訂正しても直す気がありません。しまいには、訂正したそばから怒り始めます。人によっては書き順にそこまでこだわらせず、とにかく形を覚えさせればいいという考えもあるようですが、息子は一筆書きで書いてしまったり、変な順番で書き始めたりすることで、ノートのマスから文字がはみ出してしまいます。ですから、やはり書き順はある程度守ってもらいたいと思いました。そこで、息子に何かをさせるとき、私がいつも一番大切にしていることに立ち返ってみました。それは、「成果が見えるようにする」ことです。これを踏まえて、学習支援グッズを手づくりしてみることにしたのです。そこで、「楽々かあさん」さんのアイデアを参考にさせていただきました!これが、想像していたよりもずっと息子の学ぶ力を伸ばしてくれることになりました。参照URL:楽々かあさんのアイデア支援ツールと楽々工夫noteUpload By 林真紀上の写真が、手づくりしたカードです。材料は名刺カードと名刺ホルダで済むというのもうれしいです。教材やレイアウトなどはそれぞれのお子さんに合ったものを選ぶのが良さそうです。基本的には、1年生~6年生までに習う漢字をコピーして、名刺カードに1枚ずつ貼っていきます。6年間の間に習う漢字は1,006字です。時間のあるときに切って貼ってとやっていると、意外とあっという間にできてしまいました。1,006字を学年ごとに名刺ホルダに収納します。文部科学省 学習指導要領「生きる力」 別表学年別漢字配当表Upload By 林真紀Upload By 林真紀ちなみにわが家で使っているカードの教材は、漢字の成り立ちを絵で表現していたり、書き順を絵描き歌の歌詞のように書いたりしている漢字辞典を採用しています。表面は成り立ち、裏面はその漢字をパーツで分解し書き順を表記したものを貼ってつくります。息子に書かせるときには、「細」という字であれば、「くムとつづけて」「たてチョンチョン」と記述されている順番通りに声を出して読み上げてあげれば、正しい書き順で書けるようになりました。ただし、シンプルなカードのほうが好きな子どももいますので、そういう子は漢字が一文字だけ大きく書かれただけのカードをつくってみたほうがいいかもしれません。「僕、こんなに覚えたの!?」達成感でやる気スイッチON!漢字ノートに毎日ひたすら練習をしていた時は、「いつ終わるんだ~」「毎日こんなのが続くなんて~」「つまんないよ~」とグズグズでしたが、このカードを使ってみて息子の漢字学習は劇的に変わりました。2年生が始まって1ヶ月で、その学年で習う漢字をほとんど習得してしまったのです。なぜ息子のやる気を起こすことができたかというと、このアイテムは製本されている漢字ドリル等に比べて、覚えた漢字の量やこれから学習が必要な漢字の量が一目瞭然だからです。覚えた漢字を上の写真のように積み上げていくうちに、「え!?僕こんなに覚えたの?」と、達成感を得ることができ、次々に自分から学習してくれるようになりました。さらに、まだ習得できていない漢字のカードをよけておくと、「5枚分かあ。これだけなら頑張れるかも」という見通しがたつようです。先生の赤ペンがびっしり入った真っ赤な漢字練習帳を前にすると、一文字書いて突っ伏してしまう息子が、カードにすると「まだいけるかも!」「よし、また覚えた!」と楽しく学習してくれます。小学校6年間に習う漢字は1,006文字。こうして名刺ホルダに収めてみると、見通しがたって、それほど大変な気がしないというのも面白いものです。先取りで漢字をどんどん覚えると、漢字練習帳にコツコツ書くのもそれほど嫌がらないようになりました。わが家の息子のやる気もぐんぐん伸びた学習支援グッズ、是非お試しを!
2018年05月12日入学や進学など、年度切り替えのこの時期は、障害があるなしに関係なく、親がナーバスになる時期。でも、発達障害のある子を持つ親にとっては、さらに頭を悩ませる時期なのではないでしょうか?通常学級、通級、支援級、支援学校…わが子が安心して楽しく通える環境はどこなのか? 親は、就学問題に長い時間と労力を費やし、時には夫婦で揉め心をすり減らしながら、やっとの思いでわが子にベストと思える居場所を決めます。でも、そんな親の努力をすべてひっくり返すような、無理解な担任の先生に当たってしまったり…。そんな思い悩むことが多いこの時期、再びNHK総合テレビで発達障害をテーマにした特番 「超実践!発達障害 困りごととのつきあい方」 が放送がされます。番組では、寄せられた約4000通の体験談から「感覚過敏」「忘れ物・片付けが苦手」「読み書き計算が苦手」「コミュニケーション」という代表的な4つのテーマを取り上げ、発達障害の当事者はもちろん、家族やその周囲がすぐに実践できる「対処法」「周囲への助けの求め方」などをできるだけ具体的に伝えていく。さらに、「困りごと」「周囲の無理解」からどうやって人生を好転させたのか、その転機をとなった方法や出会いを描くほか、栗原類さんをはじめ一般の発達障害当事者8人をスタジオに招き、一人ひとり微妙に異なる困りごとに対する対処法をトーク。「どうすれば困りごとに対処できるか」「どうすれば人生楽しくなるか」「発達障害の人とそうでない人が共存するにはどうすればいい?」などを生放送で話し合う。■「発達障害」に対する社会の認知は高まってきたけれど…ここ数年で、発達障害に対する社会の認知は高まって、園や学校ではずいぶんと理解が進んだように思います。でも、当事者や家族の目線から見ると、依然としてサポート体制が不十分で必要な配慮が受けられなかったり、相談したはずの困り事が放置されたままだったり、個々人の対応はまちまちだったり……まだまだ難しいと感じることが多いのが現実です。今回の特番担当プロデューサーからも、「これまで発達障害については何度も放送してきましたが、無関心層へのリーチはまだまだだと感じています。しかし、そうした層に届かない限り当事者の困り事は解決しないため、繰り返しを恐れず伝えたいとも思っています」とメッセージをいただきました。これ、まさに、その通りだと思うのです(冒頭でお話した、すべてをひっくり返すような無理解な先生がいることもしかり)。でも、みなさん、日々自分の生活でいっぱいいっぱい…。当事者や家族でない限り、「大変そうだけどよくわからない」とか「障害を言い訳にしてない?」などとスルーされてしまうのも仕方ないことなのかもしれません。■自分が生きやすくなるためには「相手のことを知る」が一番の近道そんな私も、息子が自閉症スペクトラムと診断されるまでは、「大変そうだけど、結局よくわからない」の人でした。障害について理解する前は、「親子でがんばればなんとかなる!」などと、ワケのわからぬ根性論で発達障害を改善しようとしていた時期もありました。そして、息子に無理強いをさせては、それが自分に跳ね返って、ますます自分自身がイライラしてしまう、そんな悪循環に陥っていました。結局、無理解は相手だけでなく、まわりまわって自分自身をも辛い状況に追い込んでしまうのです。私は、息子を通して、「基本的に人(子ども)を変えることはできない」という当たり前のことを改めて思い知りました。相手(子ども)に自分の価値観を強いることは、トラブルと双方のストレスのもと。喜びや苦しみは現実と期待とのギャップで生まれ、相手(子ども)にできないことを求める行為は、結果、自分に対するストレスを生むことになります。■「発達障害の人のため」ではなく、「自分自身のため」にちょっと変な言い方かもしれませんが、今回の放送、「発達障害の人がより生きやすくなるために」というような道徳的な視点よりは、むしろ、「自分自身がより生きやすくなるために」という自分視点で見た方が、より幅広い方々に響くのかもしれません。発達障害は、今や40人学級で2~3人の割合でいると言われているほど。子どものクラスメイト、親戚、会社、ママ友仲間にも、障害とまではいかなくても、グレーな方を含めれば「もしかして…?」と思われる方も少なくないでしょう。もはや避けては通れない問題です。「なんであの人は、いつもあんな嫌な言い方をするんだろう?」とか「どうしていくら説明しても、あの人には話が通じないんだろう?」など、あなたが苦手に思っている人との、上手な付き合い方のヒントが得られるかもしれません。また、番組で語られる、コミュニケーションが苦手な方や生きにくさを感じている方が、自身の人生を好転させるために編み出したノウハウには、私たちの生き方にも参考になるところがあるのではないでしょうか?今回、私は、息子のためではなく、自分のためという視点で、番組を見たいと思っています。文:まちとこ出版社N【NHK 発達障害プロジェクト】超実践! 発達障害 困りごととのつきあい方放送日時:2018年4月30日(月・祝)午前8:15~9:59 NHK総合テレビMC:中山秀征さん、近江友里恵アナウンサーゲスト:栗原類さん(「あさイチ」で自分が発達障害であることを告白)ほか、発達障害のご本人(一般の方)8人と専門家
2018年04月28日人でいっぱいの会場。入学式からフラフラのリク…4月の上旬、リクの高校の入学式がありました。大きな高校なので、新1年生だけでも1,000人越え!さらにそこに保護者も加わるので、会場はすし詰め状態です。ただでさえ息が苦しくなりそうな状態でしたが、リクはなんとか最後まで頑張ってくれました。Upload By ひらたともみ早起き・弁当・叩き起こす!新生活は母の手際のよさが肝心…!Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみそして、一番重要なのは、リクを起こすこと!!×3朝の戦いです。しかしなぜか、本人より隣の部屋の長男が、私の声に反応して律儀に起床する…。Upload By ひらたともみ高校生になれたけど…「学校に行くだけで精一杯」と語る背中に、涙Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ高校生活を送りはじめたリク。覚えることが山ほどあって、毎日疲れて帰宅します。自転車を40分ほどこいで、学校で自分の自転車置き場を注意深く探す。昇降口で、自分のクラスの靴箱を探す。1学年25クラスある中で、自分のクラスを探す。見たことのある顔を見つけて、ようやくホッとし、授業が始まるまでの数分間、友だちと談笑する。学校に行って帰ってくる…という、「普通」が、リクにはとても高いハードル。でも、なんとか頼れる友だちに助けてもらいながら、毎日、私の大盛り弁当を持って登校しています。高校生になれたのは、ゴールなんかじゃありませんでした。親が手を伸ばしたくても届かないところで、リクが自分なりに模索する後ろ姿しか眺めることができません。いろいろな人の手を借りながら「来た道は戻れないんだ」と奮い立たせて、私もリクも前に歩みはじめています。春はいつも子どもの心配ばかりですが、今年の春はなおさらで、ひたすら心から応援するばかりです。
2018年04月26日学習机って、金額も機能も、本当にピンキリで、どんなものを選ぶべきか迷ってしまうもの。でも、そもそも学習机って必要なの?子どもの自立心と学習机の関係性について、植草学園大学発達教育学部の小川晶准教授は次のように話す。●学習机は必ずしも必要ない?「子どもの成長において、学習机がなければいけないとは思いません。わざわざ学習机を用意しなくても、リビングのテーブルで良いと思います。むしろ『どこでも学習できる環境を整えること』や『学習机に学習をゆだねないこと』が大切だと思います」(小川先生以下同)学習机に学習をゆだねてしまうこととは、「子ども部屋に学習机を置き、『自分の部屋で勉強しなさい』と言うことだそう。「親が『勉強しなさい』と言ったからといって、勉強する子にはなりません。それよりも、子どもは親が家で本を読んでいるのか、テレビをずっと見ているのかなど、日頃の行動に影響を受けます。また、親が子どもの近くにいて、安心感を得られるほうが、子どもの自発的な行動につながります」●子どもの呟きに応じられる場に学習机を置こうもし学習机を購入するとしても、どんなものを買うかよりも「置く場所」が大切だとか。「特に学童期の勉強は、発達段階的にも学習内容的にも、ひとりで集中して行うというより、何かブツブツ呟きながらやるほうが多いです。そのため、ひとりで部屋にこもるより、何か音がしていて安心できる環境に学習机を置くほうが良いですよ」ただし、親が励ましたり、子どもに張り付いたりして勉強を見てあげる必要はない。ときどき「できた?」と声をかけ、「めんどくさい!」という子どもの呟きがあれば「そう。面倒くさいんだ~」と相槌を打ってあげるだけで十分だそう。「子どもが宿題に取り組んでいるとき、お母さんは雑誌を見ていたり、お父さんはPCを開いたりして、その空間に一緒にいてあげるだけでも良いと思います」親が心がけたいのは、子どもにいかに勉強させるかではなく、子どもとの時間を共有すること。そうした親子の関係性は、良い学習机を与えることよりもずっと、子どもの学習意欲を高めることにつながるようだ。(取材・文:田幸和歌子編集:南澤悠佳/ノオト)
2018年04月13日高校入学前の春休み、リクの様子は…!?高校入学前の春休み。前半は友だちとテーマパークへいったり、東京に遊びに出かけたりしていたリク。そして春休み後半の今…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ進学予定の高校へ。リクの障害について伝えることにその頃、進学予定の高校から、リクの高次脳機能障害の話を聞きたいと要請があり、私が高校に出向くことになりました。Upload By ひらたともみ事故の説明と現在の様子について一通り説明し、過去にはLD(学習障害)がグレーだったことなども話しました。母の思いを正直に打ち明けると…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみリクに障害が生じたことで、私の生活は変化しました。くも膜下出血の恐ろしさや二次被害への恐怖、おまけに3つの病院の書類申請や診察予約などで、あっという間に一日が過ぎてしまいます。私立なので出費も多く、仕事も休むわけにはいきません。そんな中、高校の先生の「お互いさま」という言葉に、とても救われました。私は、いつしか、リクの症状を話すたびに、「すみません、ご迷惑おかけします」が癖になり、まるで、リクがなにか悪さをするような、へりくだった態度になっていました。そんな私とは正反対に、リクは高校生活をとても楽しみにしています。先生に「お互いさまですよ」と言われたことで、私もハッ!となり、リクの障害に萎縮しないようにしよう!と心に決めました。テストはさておき、新生活を楽しんでほしいなぁ~!
2018年04月12日4月の発達障害にかかわる話題やイベントを紹介!出典 : 新年度のスタートは、新しいことを始めるにも良いタイミングかもしれません。今年度の受講者の募集や新年度対応の申請などが続々と始まっています。専門性の高い機関が行なっている支援プログラムなどを知ってどんどん活用していきましょう!また、当事者の声や専門家の話を聞けたり、就労支援における海外の事例も学べたりする講演会なども各地で続々と開催されます。ここでは、今月の話題をピックアップして紹介します!出典 : スカラープログラムは、全国から選抜された障害や病気のある中学生、高校生・高卒生、大学生・大学院生の中から、将来の社会のリーダーとなる人材を養成することを目的としたプログラムです。DO-IT Japanが2018年度の参加者の募集を始めました。今年度は、進学や就労を目指す多様な障害や病気のある中学生から大学院生が対象の「2018年度スカラー」と小学生・中学生向けで、スカラープログラムに部分的(夏季プログラムの一部)に参加することができる「特別聴講生」の2つの枠で募集を行なっています。スカラーは夏に開催されるプログラムの参加に加え、インターネットを活用したオンラインメンタリング、ギャザリング、海外研修など年間を通じたプログラムに参加することができます。学びたいという気持ちを後押ししてくれるプログラムです。ぜひ将来に目標がある人は応募してみてください。【応募書類締切り】5月6日(日)(当日消印有効)【定員】各10人程度(選抜制)【問い合わせ】DO-IT Japan事務局(東京大学先端科学技術研究センター 人間支援工学分野)TEL/FAX: 03-5452-5228(平日10:00〜12:00・13:00〜17:00、「新規スカラー募集問い合わせ」とお伝えください)Eメール:toiawase@doit-japan.org Japan出典 : 通常の印刷された教科書では読むことが困難な児童・生徒のための教科書「平成30年度デイジー教科書」の申請受付が開始されました。デイジーのデジタル録音図書は、視覚障害者のほかに学習障害、知的障害、精神障害の方にも有効であることが国際的に認められてきています。国内でも平成13年度から福祉医療機構の助成により、認知・知的障害者向けマルチメディアデイジー図書の研究開発が進められています。使い方は、デジタル図書をパソコンやタブレットでインストールして再生します。医学的診断はなくても使用することができますよ。初めて教科書を使用する場合はホームページから申請書の提出が必要です。申請は誰でも行えるので、まずは気になったらページを開いてみてください。【お問い合わせ】日本障害者リハビリテーション協会情報センターDAISY担当宛TEL:03-5273-0796FAX:03-5273-0615E-Mail:daisy_c@dinf.ne.jpデイジー教科書 一般提供申請方法(平成30年度)Upload By 発達ナビニュースADHD当事者である著者のあーささんの書籍の出版記念講演会です。あーささんは21歳でADHDであることを知り、「もっと早い時期に知っていれば、あんな辛い思いをしなくてすんだのに」と思ったそうです。ADHDの知名度を上げ、理解を得るために 2003年「マンガで解説『フロンティア★ADHD』のサイトを立ち上げています。対談する高山恵子さんは、ADHD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと教育の専門家です。著書に込められた思いや当事者、専門家の立場からさまざまなお話が聞けそうです。【日時】4月18日(水)19:00〜21:00【会場】池袋東京芸術劇場シンフォニースペース【参加】2500円(書籍代含む)(定員100人)【内容】講演「ADHD脳でスランプ脱出!」 あーさ氏、対談「支援者として、当事者として」 高山恵子氏×あーさ氏【申し込み・問い合わせ】合同出版 担当:齊藤TEL:03-3294-3506Eメール:info@godo-shuppan.co.jp出典 : 子育ての中で、「何回言っても、うちの子はいうことをきかない」といった悩みを抱いたことはありますか?そんな悩みを解決するヒントが得られるかもしれない講演会が群馬県前橋市で開かれます。発達障害のある子どもの保護者向けのプログラムである「ペアレント・トレーニング」を奈良県で実践する楠本伸枝さんが講師を勤める講演会です。ペアレント・トレーニングは、保護者の方が子どもとのより良いかかわり方を学び、日常の子育ての困りごとを解消し、楽しく子育てができるよう支援するものです。「子どもを叱ってばかりで辛い」「どう実践したらいいのかわからない」という人にはぜひ、おすすめです。楠本さんは、発達障害のあるお子さんのお母さんでもあります。コミュニケーションで悩みがあるお母さんやお父さんたちの気持ちに寄り添ったアドバイスがたくさん聞けると思います。日々の困りごとをポジティブに変える声かけを学びましょう!【日時】4月21日(土)9:30〜11:00【会場】前橋市総合福祉会館【参加】無料(定員90人)【内容】講演「子どもが変わるプラスの声かけ〜子育て・保育・教育が楽しくなるペアレント・トレーニング〜」榎本伸枝氏(エジソンクラブ奈良「ポップコーン代表」)【申し込み・問い合わせ】ペアレント・トレーニングを学ぶ会(群馬大大学院保健学研究科十枝研究室)Eメール:grow9house@yahoo.co.jpTEL/FAX: 027-257-4701群馬県生涯学習センター まなびねっとぐんま「子どもが変わるプラスの声かけ 子育て・保育・教育が楽しくなるペアレント・トレーニング」Upload By 発達ナビニュースアメリカから障害者雇用の国際的リーダーとして著名なジョイス・ベンダーさんを講師に招いて講演会が行われます。自身もてんかんによる脳出血を経験し、片方の耳の聴力の60%を失いました。この経験から障害者支援への熱意を持つようになったといいます。IT、エンジニアリング、財務会計、人事などの研修を受けた障害者の求人雇用のために、企業・政府機関と協力しダイバーシティとインクルージョン推進を支援しているスペシャリストです。アメリカ障害者協会会長と全米てんかん協会理事長なども歴任しています。当日は、DPI日本会議議長補佐の崔栄繁さんも日本の障害者雇用の状況を報告します。一般の方も参加できるので、この貴重な機会に海外の事例を学んで日本の障害者雇用の未来について考えてみませんか。(日英通訳・要約筆記・手話通訳・ヒアリングループ・点字資料有り)【日時】4月16日(月)13:30〜15:30【会場】名古屋国際センター別棟ホール【参加】無料(定員100人)【内容】講演・ディスカッション「アメリカの障害者雇用への取り組みと経済効果」ジョイス・ベンダー氏、「日本の障害者雇用の現状と課題」崔栄繁氏(DPI日本会議議長補佐)【申し込み・問い合わせ】愛知障害フォーラム(ADF)事務局:AJU自立の家・愛知県重度障害者団体連絡協議会担当:木下TEL:052-851-5240Eメール:adf.jimu.2008@gmail.com愛知障害フォーラム(ADF)ホームページまとめ気になる話題やイベントはありましたか?実際に参加したり、使用してみることで、困りごとが改善されたり、生活の質を高めてくれる手助けになるかもしれません。今後も月ごとにぜひ知ってもらいたい発達障害のニュースや関連イベントを紹介していきます。5月に開催されるイベントなどを募集します。情報をお待ちしております!
2018年04月06日息子リクの卒業式当日。私は家にいました…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ本当に些細なことでした。夫は本来温厚なのですが、一旦火がつくと暴言の嵐で、正直ちょっとしたモラハラ夫。そこは私たち似た者夫婦でもあり、口喧嘩では連勝続きの私…。それなのに、どうしたことか、このときは夫の言葉が、どうしても右から左へと受け流せず、しまいには、しくしく涙が流れる始末。こうなると目の前には絶望しかなく、大切なリクの卒業式であっても、大勢の人の中に行ける気がしなくなってしまいました。夫からも長男からも責められた夜Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ無理を言って夫に出席してもらった卒業式。会社員の夫は、きっといろんな人に頭を下げて出席したのでしょう。その夜、私は再び夫に怒鳴られ、なぜか長男(22歳)にも怒鳴られ、小1の娘はワンワン泣き、地獄絵図のような一夜でもありました。なにが原因?どうしてそこまで?…と、思うでしょうが、ざっくり言うなら、おそらく私自身が、気づかないほどに疲労を貯め込んでいて、冗談もうまくかわせないほど、精神的に疲労困憊していたのだと思います。LDグレーゾーンと言われたあの日から、霧のかかった未来しかみえなくなった。ようやく勉強がわかるようになったと喜んだ直後には、外傷性くも膜下出血、そして高次脳機能障害という後遺症まで負った。そのたびに、私自身も、悩み、解決法を探そうとし、息子に寄り添ってきた。夫だってリクの父親。それなのにどうして夫は私からこんなにも遠いところにいるんだろう…と、いつからかそう感じることが、しばしばありました。家事を手伝ってほしいとか、子どもの面倒をみてほしいとかではないのです。親同士、家族同士、なにひとつ当たり前のことなどなく、日ごろから感謝や喜びを互いに思いやりをもって言葉に出して伝え合うことが大切なのだと思います。大切なのは、思いや感謝を伝え合うことUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみいくら家族であっても、お互いを労い合ったり感謝を伝えたりすることなく、否定や中傷ばかりをバーン!と伝えたら、めげてしまいます。しおれた花のようになる。あかぎれがぱくっと開いて傷がしくしく痛む。まずは家庭内で、お互いの感情を理解しあうことが大切なんですよね。夫にもそれは伝わったかな?すごく、すごく難しいことですが、今回の夫婦喧嘩は、大いに意味があったと、思っています。
2018年03月26日LD(学習障害)とは?LD(学習障害)は、全般的な知的発達に遅れは見られないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力の1つ以上の習得や使用に困難がある状態のことです。イラストや例でLDの全体像が分かる『LD 学習症(学習障害)の本』筑波大学教授で発達行動小児科学を専門とする宮本信也先生が監修している本です。裏表紙に ”きちんとした対応、サポートで、LDの子供たちの生きにくさは、ぐぐっと改善されるのです”とあるように、当事者だけでなく広くLDを知ってほしいという思いが込められています。内容は「LDとは」「ウチの子がLDだったら」「LD教育とは」という3章に分かれ、イラストと短い文で構成されています。第1章ではLDの特徴や具体例が挙げられています。鏡文字を書く、似た文字を判読することが苦手、数字の繰上りができないなど、子どもの行動と照らし合わせやすくなっています。また、その行動が引き起こすトラブルについても書かれているので、心当たりのある人もいるかもしれません。第2章ではLDのサインや相談先、接し方などが説明されています。LDは育児に問題があったのか、子供にLDについて聞かれたらどうすればいいかなど、さまざまなケースを想定して解説がされています。どのようにサポートしたらよいか悩む保護者に寄り添う内容です。第3章ではLD教育へと話は変わり、LDのある子どもを持つ親が不安に思う学校の体制などが分かります。特別支援学級など、聞いたことはあっても具体的なことは分からない……というサポートについて知ることができ、LDの子供の将来を考える希望となります。全体を通してフラットな語り口で、分かりやすく解説されています。1時間程度で読み終わるボリュームですが、一通りLDについて理解することができます。LDとの付き合い方が分かる『怠けてなんかない!ゼロシーズン』国際ディスレクシア協会会員で教育ジャーナリストでもある品川裕香さんの著書です。ディスレクシアとは「読み書きのLD」とも言われます。文字と音が結び付きにくく、読み書きに困難が生じるのが特徴です。この本ではディスレクシアの特徴やものの見え方感じ方、さらには苦手を緩和する訓練についても書かれています。前述の『LD学習症(学習障害)の本』よりも少し踏み込んだ内容です。日本語の音韻ルールや脳の情報処理システムなど、より専門的な解説が多いのが特徴です。言葉を聞く力が弱いなら音韻を意識して手を叩く遊び、見て覚えるのが苦手なら神経衰弱ゲームを取り入れるなど、子どもの苦手に合わせた数十の訓練も紹介。苦手、分からない、難しいで終わらず、それを緩和して生きやすくする方法がわかるため、安心につながります。子どもの苦手をサポートしたいのに何をすればいいのかわからない。苦手をイメージできずどう声をかけてよいかわからない。不安や焦りで感情的になってしまうときこそ読みたい一冊です。“どの子もみな、「できないこと、苦手なことが少しでもできるようになりたい」と願っています”ディスレクシアを個性だからと放置するのではなく、苦手を緩和し社会での不自由をなくしてあげたいと考える著者のメッセージに勇気づけられます。親の手記に共感『ぼく、字が書けないだけど、さぼってなんかいない』LDやディスレクシアの概要や特徴が分かる上記2冊と異なり、この本は親たちの手記を中心として編まれた本です。LDを含む読み書き困難を抱えた発達障害の子供たちの苦労、そしてそれを目の当たりにしている親たちのリアルな苦悩が伝わってきます。編集したのは窪島務先生をはじめとするNPO法人滋賀大キッズカレッジの手記編集委員会。ほかの先進国と比較すると、日本は読み書き障害のある子どもへの対応が遅れていると窪島先生は語ります。LDの子を持つ親が抱く思いや願いをまとめ、学校や行政の理解とサポートを訴える本です。本書の半分を占める親や本人の手記は、切実な思いであふれていました。子供の声を聞かない先生、こころない言葉を浴びせる周りの親たち、保護者とのかかわりを避ける学校…読むだけで心が張り裂けそうになります。でも、もちろんつらい話ばかりではありません。担任が代わったことがきっかけで学校へ行けるようになった子供もいますし、LDに理解を示す友達ができたことで学校生活が楽しくなった子供もいます。そしてキッズカレッジに救われた親たちも。「もしかしてLDかも」と思った段階で読むには少々苦しい内容かもしれません。LDをとりまく親子の現実に不安と戸惑いを覚えるかもしれません。ですが、そんな現実を知ることで漠然とした不安ではなく、子供とともに何をすべきなのかを考えることができます。本人や親の生の声は多くのことを教えてくれます。会ったことはなくとも、先輩として仲間として励ましてくれているように感じることができそうです。一通り知識を得た後に読むと心に響きます。LDを受け入れ、ともに生きていくことを考えるとき、味方になってくれる一冊です。まとめ「うちの子はLDかもしれない」と思ったときに手に取りたい3冊を紹介しました。どの本も専門的な内容ではあるものの、LDについての知識がなくても読みやすく、分かりやすい文章で書かれています。すらすらと頭に入ってくるので、読み終わったときには「子どもと話してみよう」「本に書いてあったアレをやってみよう」とポジティブになれるでしょう。いずれも、LDのある子どもとのつきあい方や、サポートのヒントが詰まった本です。
2018年03月25日子供部屋の定番となっていた「学習机」を置かない家庭が増えています。「リビングで学習する」「カウンターデスクを造り付ける」など、マイホームでの新しいプランの工夫も取り入れられているようですね。ここでは、子供部屋に学習机を置かないメリットやプランでの工夫などについて紹介します。子供部屋に学習机を置かないメリット以前は、「子供が小学校に入学するタイミングで学習机を準備する」というのが定番となっていましたが、最近は既製品の学習机を置かないという選択をしている方も増えてきています。学習机を置かないという選択をするメリットとしては、次のようなことが考えられます。・年齢に合わせた学習スタイルに対応できる学習机を置かない家庭では、年齢に合わせて学習場所を変えるなどの工夫をしています。例えば、小学校低学年のうちは個室の子供部屋で学習をするという習慣はほとんどないでしょう。この場合、リビングなど家族のサポートを受けながら共有スペースで学習することが多いですよね。学習机は必ず必要となるものでもありません。個室である子供部屋で学習を始めるきっかけの多くは、中学生に入学してからというケースです。中学に入ると定期テストや受験勉強など集中して学習する機会も増えてきます。このタイミングで学習机を検討する場合、小学1年生の好みとはかなり違ってきますので、高校、大学にも繋がるようなものを選択することができるでしょう。・子供部屋の広さが学習机に左右されないマイホームの間取りを考える際に、子供部屋に学習机を置かないと決めている家庭では、プランで子供部屋の広さに左右されることがそれほどありません。例えば、子供部屋に将来ベッドと学習机を配置するという想定の場合、なんとなく「6帖」の子供部屋を確保したいと希望する方が多くなっています。しかし、6帖の子供部屋を確保するために、もしかしたら他の部屋への影響や建物全体が大きくなり建築費用が増加するということにも繋がりかねません。子供部屋に学習机を置かないという選択は、間取りプランの自由度を生み出すことにもなり、コンパクトな住まいにまとめたい場合や狭小住宅などの場合でもメリットがあります。学習机を置かない間取りプランの工夫とは実際に学習机を置かない場合に想定する間取りプランや、使い方の工夫をいくつかご紹介します。・子供部屋にカウンターデスクを造り付けする学習机を置かないとはいえ、中学生くらいになれば個室で学習をする機会もあります。どのような年齢、部屋の使い方にも対応できるのが、カウンターデスクを造り付けるという方法です。奥行やレイアウトなど部屋の広さに合わせて自由に配置ができることや、壁側一面にカウンターを造り付ければ、将来的には学習机としてだけではなく、テレビやパソコンを置いたりと利用の幅は広がります。・2階のホールに共有のスタディースペースを設ける子供部屋に学習机を置かない代わりに、2階の階段ホールなどに家族共有のスタディースペースを設けることで、半個室のような学習スペースを確保します。本棚なども造ることで、読書スペース、パソコンスペースなど様々な使い方ができそうですね。・学習机としてダイニングテーブルを使う学習机としての製品は多機能になっている代わりに、デザイン的におしゃれなものは少ないですよね。ダイニングテーブルを学習机の代わりにすることで、素材やカラー、デザイン、大きさも自由に選ぶことができ、使い勝手も期待できます。例えば、自然素材の家なら子供部屋には無垢のダイニングテーブルを選び、空間に似合う家具をそろえることが出来るでしょう。このようなデザイン家具なら年齢に左右されることなく、また必要になる最適な時期に準備することができますね。子供部屋も今やとってもおしゃれになっています。どのような選択が良いか、長く使えて、年齢や使い方の変化に対応できる最適な方法を検討してみてはいかがでしょうか。
2018年03月15日突然襲ってくる、負の感情の波に翻弄されるリクUpload By ひらたともみ少し前のことですが、高校が決まりつつある頃、リクはまた独り、うつうつとした感情の渦の中にいました。時々、なにかに取りつかれたように、不平不満を吐き出すのは体調のせい。突然、ケガした際に接触した同級生を逆恨みしだすことも…!いつもは恨んだりしていないのに、急に負の感情の大きな波に襲われてしまうのです。頻繁にある激しい頭痛と疲労感からか、リクは寝言でまで「どうしてこんな体になっちゃったんだ…」と言うほどでした。Upload By ひらたともみ中学も残すところ1カ月…というとき、リクの周りの友だちは、目の色を変えて受験に取り組んでいました。親から期待され、塾で喝を入れられ、目指すものに近づこうと、皆、必死の形相です。そんな時期だというのに、リクは、早々に受験勉強ができなくなり、思っていた未来に向かう切符すら手にいれることができなくなりました。イライラするのは後遺症のせいだとわかっていても、口からでてくる悪態は、本心ではなく、なにかスッと別人格に取りつかれてしまう瞬間があるようです。でも、少し時間が経つと、憑きものが取れたかのように「自分はなにを言ってしまったのだろう」と自己嫌悪を繰り返す日々。「自分の言葉で、周りの人たちは傷ついたり怒ったりしている?おかしい、変だ、なんだ?こいつらなんで怒ってるんだ?」と、自分の放つ言葉や態度に不安を感じていたのです。心のモヤモヤを学校の先生に打ち明ける…「みんなに僕の後遺症を知ってほしいんだ!」Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ病気や障害に、なんら恥ずかしいことはないと思ってはいるものの、思春期の受験真っ只中で、周囲に公表するのはどうだろうか…迷惑ではないだろうか…と、私ひとりで躊躇していたのですが、リクは誰にも促されることなく、ストレートに「知ってほしい」と学校に告げました。「ありのままの自分を受け入れてもらえる」ことが、リクの心の支えにUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみさて、後遺症を公表したリクですが…リクの言う通り、なにも変わっていない様子です。嫌悪されることも特別扱いもなく、「今まで通り」でいてくれています。つまりそれはリクの言う「本心ではないことを言ってしまうこともある」という特性をわかってくれているんだと思います。リク自身、後遺症があることをすべて受け入れられているわけではありません。でも、どんなに嘆いても体の状態が変わるわけではない…。そんな自分を丸ごと認めてもらえる友達の存在が、リクを支えています。友だちに、ありのままのリク受け入れてもらえている…それが、母としても、心からうれしいのです。
2018年03月13日突然訴え始めた、ある異変とは…無事高校受験を終えたLD息子のリク。進学高校も決まり、一息ついたころ、リクはある異変を頻繁に訴えるようになりました…。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみそれは頭痛。風邪のような症状もなく、静かに横になっていると治まっていくという、なんとも「怠け病」にも似た頭痛ですが、なにせ「高次能機能障害」を抱えた身でもあるため、病院でみてもらうことにしました。くも膜下出血の後遺症は、高次脳機能障害だけではなかった!?Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ検査の結果、「脳脊髄液減少症」という病気ではありませんでしたが、頻繁に起こる激しい頭痛の正体が、くも膜下出血で転倒した際の脳震盪による後遺症だったとは!しかも、この症状は、珍しいものではなく、数カ月から1年以上続く人もいるそうです。「脳脊髄液減少症」ではなかったけれど…Upload By ひらたともみ脳がデリケートだということは、なんとなく知ってはいましたが、そこにダメージが加わると、こんなにも症状がでるのか!と思うほど。私とリクにざまざまな難題を与えてくれます…。中学校にも理解をお願いし、コマメな連絡に助けられてはいるものの、眠り続けるリクが心配すぎて、後遺症についてPCで検索する手が止まらなくなったり、今までは見向きもしなかった脳機能の専門書を取り寄せたり。いつまでたっても不安と恐怖から解放されずにいます。ですが、私も母親の端くれたる身!そのうち心臓に毛が生えて、大きな海原に舟を出す覚悟と根性が備わるはずだと思うのですが…。まだまだ凹んでしまうことも多いけれど、リクのあっけらかんとした表情に、日々励まされています。
2018年02月27日想定外の「3校合格」。選択の自由に困惑するわが家は…Upload By ひらたともみ年明け早々、立て続けに受けた私立高校。どこかに合格すればいいかな?と思っていたところ…まさかの3校すべて合格!ケガをする前までは、県立高校が本命でしたが、くも膜下出血の後遺症による高次脳機能障害と診断されたリクには、これ以上の勉強は難しいだろうと判断。合格した3校から、進学する高校を決めようということになったのですが…。合格した3校ではなく…「オレ、普通科に入りたい!」Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ「リクって、普通科にそこまでこだわっていたっけ?」正直、そこまでの思いを感じたことがなかった私は、当然ながらあんぐり…。むしろリクには、パソコンを使う情報処理科のほうが、断然向いていると思うのですが。でも、目から炎、頭から湯気!ってくらいの気迫がでてしまったリクのことを、誰も止めることができず…。たった数日で「前言撤回!」。高次脳機能障害ゆえの、起伏の激しさよ(涙)Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ高次脳機能障害の診断をもらったとき、病院の先生がこの障害の厄介な面として「気分や行動の浮き沈みが激しいこと、虚言ともとれる本心ではない発言を繰り返すこと」があるとおっしゃっていました。障害による脳の誤作動のために、少し振り回されてしまいましたが、ようやく進路も決まりわが家も落ち着きを取り戻しました。受験勉強から解放されたリクは、県立受験の友だちより、ひと足先にのんびりしています。そして兄と同じ高校に進むリクですが、改めて入学案内をすみずみまで拝読。はぁ~、やっぱり、私立高校の学費は高い!!ありがたいことに(?)、まだまだ伏せる暇もなさそうです…。LDと高次脳機能障害という二重苦の中、リクが頑張って勝ち取った「合格」。私もますます頑張らねば!と決意を新たにするのでした。
2018年02月14日「やっても無駄」と自暴自棄なリク。でも、挑戦してほしい…!年が明けると、私立高校の受験が始まります。ケガをする前までは、本命は県立高校だったのですが、今となっては、正直、滑り止めと考えていた私立の3校も、難しい状況でした。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみ高次脳機能障害の後遺症の診断を受けてから、リクは「勉強しても無駄」という、もっとも私が懸念していた自暴自棄になっていました。Upload By ひらたともみ「高校生にオレはなる!」と高らかに宣言したあの日から、猛勉強したにも関わらず、ケガを負って後遺症まで背負うことになったリク。確かに、やる気なんて出るわけない。やってもやってもできないという経験は、私にもあるけど、おそらくリクの「できない、覚えられない」とは、全く違うものなんだと思います。でも、ここで、受験すらしないという選択はなんだか少し違うような気がしていたのです。どうせダメなら、当たって砕けろ!やらないでのちのち後悔することになったら…それは、いつまでも治らない傷になるような気がしてたのです。私はなんとかリクを励まし、背中を押し続けました。やっぱり友だちってすごい!改めて思う、同志のチカラUpload By ひらたともみ一旦はすべてのやる気をなくしたリクも、友だちのサポートもあって、最後の奮起!受験1週間前は再び、塾で5時間、できない、わからないを繰り返しながらも眠気と戦い、ハードスケジュールをこなしていったのです。そして迎えた、受験当日。私立高校3校が、ほぼ一日おきの受験日程。3校目ともなると、疲れもピークに達しているようでした。桜が咲いても咲かなくても…結果発表の朝、不思議とワクワクしていたUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ決して順調ではなかった受験期間だったのに、私はその朝、とてもワクワクしていました。どんなトラブルがあっても、苦しみながらも、受験に向かって努力してきたリク。妹想いで、友達に恵まれて、やさしくて、音楽が好きで、センスだっていいリク。受験で人生が決まるわけではない。結果がどうであれ、きっとこれからもうまくやっていける…!…なぜそう思っていたのか自分でもわかりません。でも合格発表の日、いつものように家事をしながら、不思議とワクワクしている自分に気づいて驚きました。そして、合格!私のハグは断固拒否されましたが、合格の知らせに、とにかくうれしくて号泣しました。夫に電話で報告すると、夫はただただ「よかった…よかったな…!」と言って、泣いていたように思います…。LDで高校受験に挑戦し、最後には高次脳機能障害にも苦しめられながらの挑戦でした…。ホント、神様のいたずらが過ぎるぞ!って、感じです。さてさて、県立高校の受験…。どうするべきか…。受験日まであと2ヶ月あるものの、今のリクのコンディションを考えると、険しい道のりなので、まだまだ考えること山積です。
2018年01月30日生活者の意識・実態に関する調査をおこなうトレンド総研は、このたび「介護の事前学習」をテーマにレポート。さらに、「1億総介護時代」を前にした「介護の事前学習」の重要性について、「介護ラボしゅう」代表の中浜崇之さんにお話を伺った。介護の知識があれば負担が軽減される介護職従事者以外で、介護関連の資格を持つ20~60代男女500名を対象に、「介護の事前学習」について調査を実施。「資格取得のための学習で得た知識は、在宅介護をする上で役に立つと思いますか?」と聞いたところ、86%と約9割が「そう思う」と回答し、大多数の人が、資格で得た知識は実際の介護現場でも役に立つと考えていることがわかった。さらに、「介護に関する知識があることで、在宅介護はラクになると思いますか?」という質問でも、71%が「そう思う」と回答。また、「具体的に何割程度ラクになると思うか」を聞くと、平均は「5割」に。介護の知識の有無で、負担は5割も軽減されるということになる。在宅介護を見据えた資格取得・学習にあたって重要なことまた、「在宅介護を見据えた資格取得・学習にあたって重要なこと」を聞くと、「座学だけでなく、実習もあるスクール・講座を選ぶ」(57%)が最も多い結果に。「介護現場の知識が豊富な講師が多いスクール・講座を選ぶ」(41%)、「初心者でもついていける学習フォロー体制があるスクール・講座を選ぶ」(39%)などの回答も上位にあがった。「介護ラボしゅう」代表の中浜崇之さんによると、資格取得を通じて介護の勉強をしておくことは、必要な知識を体系的に得ることで、肉体的・精神的な負担を軽減させられるのはもちろんのこと、今後の社会で必要とされるキャリアの選択肢を拡げるということにもつながるのだそう。介護系の資格としては、入門的な位置づけである「介護職員初任者研修」、介護職に就いた後さらなるキャリアアップを目指す方向けの「介護福祉士実務者研修」などがあるという。身近に介護が迫る家族がいるという方は特に、いざというときに慌てることのないよう、事前に知識を得て備えておくことをおすすめしたい。【参考】※トレンド総研
2018年01月24日「ママ、20歳になったら胸を取る手術していい?」出典 : アスペルガー症候群のある娘。彼女の第二次性徴は10歳ごろにやってきました。早くも生理が始まり、体つきがどんどん女性らしく変化していきます。生理については私自身も人と比べて早い時期に始まったこともり、娘には生理が始まる前にネットで適切な情報を載せているサイトを探し、プリントアウトして手渡すようにはしていました。それは、反抗期がはじまっている娘にとって、そういった話を直接私から聞くことを嫌がっていたからでもあります。生理が始まったときはすぐ報告してくれたので、手当ての仕方は繰り返し丁寧に教えることができました。それでもよく失敗しましたが、そのときの恥ずかしさは私も身に覚えがあったので、決して怒らず片付けて、余裕ができてきたら自分で処理する方法を教えると、本人も気が楽になったようです。あと、体毛が生えてきたときなどもびっくりして「こんなの生えてきたけど大丈夫?」と一つひとつ確認してきたのを覚えています。そんな娘にとっての一番の問題。それは、胸が大きくなることだったのです。娘は変わり始めた自分の胸を嫌悪していました。「ママ、これ以上目立たないようにしたいからさらし買って」「胸を小さくするにはどうしたらいいの?」「どうしてもいやだったら手術を受けて胸取ってもいい?」本人は真剣です。私もここは真剣に答えるべきだと判断しました。「あなたが大人になって、よく考えたうえでやっぱり手術を望むのなら反対しないよ。手術したら元には戻せないからよく考えて決めようね。息子になったとしても私は受け入れるから。」それを聞いて娘はホッとしたように笑顔を見せました。性同一性障害の子どもたちUpload By ヨーコその後、性的マイノリティなどに詳しいソーシャルワーカーにその話をしたら、「とてもいい対応だったと思いますよ」とのコメントをいただきました。その理由は、身体の性と心の性が一致しない人は、そのことに気付かされたときに最大の精神的危機を迎えるからだそうです。日本性教育協会が発行している「現代性教育研究ジャーナル」にもこのような内容を見つけました。性同一性障害(Gender Identity Disorder: GID)とは、「生物学的性」(身体の性)と「性の自己認識:性自認」(心の性)とが一致しない状態であり、心の性は男性、身体の性は女性の female to male(FTM)と、心の性は女性、身体の性は男性の male to female(MTF)とがあります(1-6)。性指向が男性に向いているか、女性に向いているかは問いません。この点では、身体の性と心の性とは一致していて、性指向が身体の性と同じ性に向かう同性愛とは異なります。性同一性障害では自分の身体の性を強く嫌い、反対の性に強く惹かれた心理状態が続きます。(現代性教育研究ジャーナル2013年No.29 )思春期の MTF 当事者にとっては、ひげが生え、声が低くなることは恐怖です。また、FTM 当事者では、月経時には「自殺したい」「内臓を掻き出したい」などと話す方もいます。自殺念慮の発生も中学生の時期に1つ目のピークがあります。(現代性教育研究ジャーナル2013年No.29)「自分は何者なのだろうか」「これからどうなってしまうのか」という不安でいっぱいな子どもに対し、「あなたは何もおかしくない」というメッセージを、周りの大人から伝えてあげることが大切だというのです。また、一時的に自分の性に違和感を持っても、それは性同一性障害とは限りません。成長とともに自身の性への違和感が解消されることもあるそうです。中には発達障害の場合、性同一性障害と誤診されるようなケースもあると聞いたこともあります。どのケースであれ、そのときに子どもが自分の性について違和感を持っているサインを出してきたら、決して頭から否定することなく「あなたはそう思っているんだね」と受け止めてあげたうえで、落ち着いて対処法を考えた方がいいのではないでしょうか。発達障害の子どもたちは性自認で混乱するケースも出典 : 発達障害を持つ子どもたちは、「なんだか自分は周りの人と違うようだ」「ここは自分の居場所じゃない」と感じることが多く、「自分がみんなの中に溶け込んでいる」と感じることはあまりないようです。それゆえに「自分は何者か」がわからず混乱してしまうことや、それが自分の性別の混乱につながることがあると聞いたことがあります。たとえは、特性によって対人関係がうまくいかないことを「同性とうまくやっていけない」という風にとらえて、それが性別違和と思い込んでしまうケースもあるそうです。私自身、小学生になってからすぐに女子の悪口、仲間はずれなどの洗礼を受け、うまく対応することができず「女は敵だ」と思い込むことによって自分の心を守っていました。そんな自分の身体が「大嫌いな女」になっていくときの気持ちは屈辱的で、「女なんか嫌。男らしくなりたい。」と切実に願っていたことを思い出しました。また発達障害の特徴の一つとして、「変化への対応に弱い」ということがあります。思春期の身体の変化はあまりにも早く、定型発達の子どもたちでさえバランスを崩す時期。発達障害の子どもたちには、なおのことつらい時期だといえるのではないでしょうか。娘は背もあまり伸びず、どちらかというと子どもっぽい外見だったので、胸だけ変化してきたことをとても気にしていました。「ママ、私の胸もいつかママみたいになってしまうの?」「こんな大きいのは嫌だ」と言われたことを覚えています。それからどうやらネットで「胸が大きくならない方法」などのキーワードを検索したみたいで、そこから手術する方法などを知ったようです。男装専用下着などの知識も仕入れていました。(ただ、自分自身で情報を得るための行動を起こしたことで、本人にとってのは、それが精神の安定につながったように見ます。)ただでさえも性同一性障害の診断は難しいと専門家も述べているのを聞きます。発達障害の子どもたちは困りごとも千差万別。だからこそ診断が難しいのでしょう。早々に性同一性障害を疑うよりも子どもの様子をよく見て、必要なようであれば専門家につながったらいいのではと私は思いました。女の子の発達障害特有の思春期の問題Upload By ヨーコそんな娘の気持ちを受け止められるのは、私自身も近しい気持ちを抱いていたからだと思います。私もアスペルガー症候群の診断を受けており、40歳を過ぎても化粧はしないし、「口紅だけは塗らなきゃ怒られる」と思ってもすぐ忘れる、つい足を開いて座ってしまうという有様で必要最低限のマナーも身についていません。言葉遣いについても、外向きには穏やかに話すことができますが、身内(弟や子ども)には「よう、元気か?」といったような男言葉が口から飛び出る始末。自分の娘にはできるだけ気を付けたつもりですが、普通のお母さんよりは男性的な接し方で育ててきたような気がします。思い返せば私が幼いときも、両親はやいのやいの言葉遣いを注意してきましたが、私はかえって反発するばかり。「大人になってからごまかせるようになったらいいじゃない」と思って右から左へと聞き流していました。いまだに「女性の常識」というものは分かりませんが、分かりたくもないという気持ちも理解することができます。そんな自分を「これが私だ」と開き直る一方、「私って大人としていまだに成熟していないってことなのかな」と自信がなかったのも事実です。そんな中、発達障害と女性をテーマにした書籍で私の心を代弁するような記述と出会うことがありました。「女性らしさ」は形のないもの。誰にとっても、わかりにくいものかもしれません。しかし多くの女性は、大人になるにつれ、必要最低限の習慣やマナーは身につけていきます。アスペルガー症候群の女性の場合、そういった習慣やマナーの習得にも悩みます。「足を開かずに座る」というような、多くの人が常識として覚えることが、なかなかできないのです。そもそも女性らしさに価値を感じていないため、家族や友達が多少、注意したくらいでは、改善しません。明確に、具体的に教えられなければ、わからないのです。(『女性のアスペルガー症候群』宮尾益知監修講談社P19より)この一文を読んで、それが女性のアスペルガー症候群の特徴の一つだと知り女性の"常識"が身につきにくいのには訳があるのだと知って正直ホッとしたのです。もうひとつ、「女性らしくなりたくない」という気持ちのもとになったのは、ジェンダー的役割に対する不快感でした。どうして望んでもいないのに女性らしくしなければならないのか。日本の文化は女性に求めるものがたくさんあります。男女平等の思想は少しずつ浸透しているとはいえ、どこかに透けて見える「女は男を立てて家を守りかわいくあれ」という教育は、私にとってとても不快なものでした。「好きなものは好き、嫌いなものは嫌い」という気持ちが人一倍強く頑固だった私は、そうした気持ちを飲み込むことは絶対にしないとと誓ったのです。たまたま生まれついた性別だけで生き方を決められるなんてやってられない。これは今も私の核になっています。そんな私の気持ちを説明するような一節にも出会いました。女性として期待される役割について、私は思春期から悩んでいます。思春期になると、小さいときから仲が良かった女の子の友だちは、いっせいに、本などよりも自分の外見に注意を払い出し、男の子には私に対するよりも優しくふるまうようになりました。あの頃から、ジェンダーの役割には不快感を覚えてきました。(中略)自閉症スペクトラムの人たちの多くは、ASの症状も男女で分けて考える必要はないと考えるのではないでしょうか。ほとんどの場合、本質的に、私たちAS者は、身振りなどの癖や行動において、両性具有的だからです。(『アスパーガール』ルディ・シモン著スペクトラム出版社P83より)気持ちがぴったり一致したのは、「ジェンダーの役割には不快感を覚えてきました」の部分です。今の自分は男性的な面もあれば女性的な面もあって、「あなたのジェンダーは何ですか?」ともし問われても答えようがなく、まさに「両性具有的」というのがぴったりくる表現だと強く感じました。違う国、違う文化に住む人が同じ思いを抱いている。そのことは「アスパーガール」の一人としてとても心強い気持ちになりました。だからこそ、娘の「性」の違和感や、ジェンダー感にはしっかりと向き合っていきたいと思うし、どんな選択をしてもそれを尊重して受け入れる強い意志を持つことができたのです。あれから5年。中3になった娘が思うこと出典 : 娘の第二次性徴期が始まって5年。この機会に娘に直接質問をしてみました。「今でも胸を締め付けるブラジャー欲しい?」「スポーツブラでも目立たないから別にいいかな」「胸を取る手術はどう?」「今くらいで止まってくれたらそのままでもいいかも。でももっと大きくなって『イーッ』となったらやっぱり手術するかもしれない。」「男性器は欲しい?」「う~ん、一人暮らしとかしてるとふっと欲しくなったりするかも」(これはちょっと突っ込めませんでした…。)普段の娘の服装は、通年スポーティなTシャツと半ズボン、わらじのようなサンダルです。冬はそこにフリースの上着とダウンジャケットを着ますが、帰るなり脱ぎ捨てています。小学校2年生から不登校で家にいるので恋愛してる様子もありませんし、アイドルにも興味はありません。子どものころと変わらず戦隊ものやヒーローもの、あとかわいい女の子が出てくるゲームも好きみたい。男性主人公のゲームも好きですし、趣味は男性寄りみたいだけど、何が好きのポイントなのかはどわからないなぁというところです。なんだか性別を超越してるようなところがありますね。今、娘は「別に今は何も悩んでいない」と言いますし、特に相談などは考えていませんが、もしこの先深く悩んだり落ち込むことがあれば迷わず専門のクリニックに相談に行こうと考えています。フィットしない性別に悩み苦しむより、専門家の助けを得て一番自分の望む形を見つけて幸せに生きていてほしいから。そして望まない性別でパートナーを得られず一人で生きていくより、どのような形であれ心預け合えるような人に出会って一緒に生きていってほしいから。娘の本当の気持ちや将来のことは分かりませんが、自分らしく幸せに生きてくれたらいいなと思います。
2018年01月19日くも膜下出血から退院したものの…息子にみられた数々の異変学校での事故で外傷性くも膜下出血になり入院した息子リクでしたが、頭痛や眩暈もおさまり、2週間ほどで退院することができました。Upload By ひらたともみ退院して数日後には学校に行けるようになったリク。このとき私立の受験まで2か月。公立高校の受験まで4か月…。受験勉強もなんとか間に合いそう!と思っていた矢先、私はリクの異変に気づき始めました。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみケガをする前のリクは、私も仰天するほどの努力の甲斐もあり、成績も急上昇。ところが、上り調子だった勉強が退院してからさっぱりわからなくなったらしく、テストの結果も過去最低更新記録の連続。常にイライラして落ち着きがなく…おまけにどこでも寝てしまうのです!テレビを見ながらウトウト、食事中にウトウト、学校でもウトウトと、とにかくすぐ眠ってしまうようになりました。それに、思春期で私にはそっけないリクでしたが、おおらかさと面倒見の良さで慕われてきたはずなのに…学校では急に暴言を吐いたり、先生に食ってかかったりと、まるで人格が変わってしまったかのようなことが続いたのです。息子の異変に疑問を持ち、病院を受診したところ…Upload By ひらたともみ「やっぱりおかしい…!」心配になってネットで検索してみると、今のリクの様子は、高次脳機能障害の特徴に当てはまることばかりでした。高校受験も控えており、私立の願書も提出済み。病院になんとかお願いをし、最短で検査してくれる専門の病院を紹介してもらうことになりました。Upload By ひらたともみ心構えしていたせいか、医師の高次脳機能障害という診断を、リクも私も落ち着いて受け入れました。息子の不安と苦しみに手を差し伸べたのは妹の真っすぐな愛情Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ不快な異変の原因がケガの後遺症だとわかるまで、リクは相当なストレスと恐怖と混乱だったと思います。くも膜下出血も収まり、日に日に回復していく頭痛や眩暈と裏腹に、脳内だけが暗い森の中で、昼夜問わず光を求めて歩くような日々…。学校で窓ガラスを割ってしまったときは、はたと我にかえったとたん、どうして自分はこんな乱暴なことをしているのだと、ガクガクと震えて泣いていたそうです。会議室に私と娘が迎えに行ったとき、リクは妹のイロハを見て、安堵の表情を浮かべていました。リクの手を握るイロハの小さな手は、兄を想い、なぐさめ、未来の展望など皆無でもいいから、共に明るく一緒に進もうと言っているようで、自然と私も涙があふれ出し泣いていました。実際のところ、医師に高次脳機能障害と言われ、リクも私もホッとしました。というのも近年、高次脳機能障害は時間をかけてリハビリすれば改善されることが多くなったそうです。高校生になれてもなれなくても、リクはリク。怒りっぽい今のリクは、いつか元の優しいリクに戻る日がくるんだと、冬の満点の空を見ながら、毎夜祈るばかりです。
2018年01月19日発達障害の子育てママの座談会で、よく話題にのぼるものの一つに、夫の無理解や無協力があります。「無」とまではいかなくても、子どもの障害をなかなか認めようとしなかったり、療育や児童精神科などに行くことに乗り気ではなかったり、というお父さんがどこにも一定数はいるようです。そんな時、知ったのが一般社団法人「発達障害ファミリーサポートMarble(マーブル)」。発達障害児とその家族を支えるため、発達障害の正しい理解のための講演活動や、発達障害児を持つ家族のための相談支援活動などを行っている団体です。代表理事の国沢真弓さんは自身も、高校生になる自閉症児の母であるため、「当事者家族」の視点からのお話にはとても説得力があり、温かみのある方です。また、本業がアナウンサーであるため、周囲への「伝え方」のアドバイスは、なるほど! と深く納得できるものです。そんな国沢さんに、発達障害の子育てに協力的ではないお父さんや、育児に口出ししてくる祖父母への対策法をうかがいました。■発達障害はグレー診断な子ほど夫の理解が得られにくい――発達障害の子育てにおいて、ママの間でよく「夫が子どもの障害を認めてくれない」とか「夫が育児に協力的じゃない」という愚痴を聞くのですが、国沢さんの周囲でもこういった相談は多いですか?「今まで、保護者の相談を約500名ほど受けてきましたが、そのうち半数以上が、知的に遅れのない発達障害児(通常の学級に在籍して通級や校内特別支援教室などを利用しているようなお子さん)のお母さんからの相談です。その中で、夫の無理解や無協力という相談はとても多いですよ」――発達障害はグレー診断なほど、夫の理解が得られにくいというわけですね。「子どもとの会話が成り立たなかったり、説明しても理解できなかったりすれば、お父さんも『うちの子、何かある?』と思わざるを得ませんよね。でも、例えば、週末に家族の中だけで接していて、会話もほぼ成り立っている程度だと、たとえ外で問題行動があったとしてもお父さんにはなかなか、わかりません。『これくらい、男の子だったら当たり前じゃん?』とか『俺も昔そうだったよ』『個性だよ』という一言ですまされたり、ひどい時には『お前は、なんでそんなに障害児にしたがるんだよ!』なんてお母さんが怒られてしまうこともあるそうです」――障害と個性の線引きは、専門家でも判断が難しいと言われていますものね。では、知的に遅れがない発達障害のケースでは、ほとんどのお父さんは、わが子は問題ないと思っているのでしょうか?「いえ。私は、お父さんも本当は薄々わかっていると思いますよ。『なんでこんなに育てにくいんだろう?』とか『なんでこんなに癇癪がひどいんだろう?』という違和感は持っていると思います」――そうすると、わかっているのに認めたくないということ?「私がいろいろ相談を受けてきて思うに、男の人はとてもナイーブなんです。その点、女の人はとてもたくましいですね。もちろんお母さんだって、わが子の障害が判明した時はショックを受けて泣いたり悲観したりはします。でも、いろいろなところに相談して発散したり、専門家に助けを求めたりして、お母さんはさまざまなことを学びます。そうやって子どものことを苦しみながらも少しずつ受容し、子どもへの接し方もどんどん上手になり、プクプク…と浮上していくことが多いのです。一方、お父さんは、お勤めの関係などで、子どもと一緒に過ごす時間が物理的にとれないケースが多いため、専門家やドクターと接する時間もなかなかとれないまま、子どもに障害があるということを認める機会を逃してしまいがちなんです」■子どもが大きくなった時こそ父親の出番――お母さんはどんどん学んでいく一方で、お父さんは置いてきぼりになりがちなのですね。「夫婦で子どもに対する意識もスキルもどんどん離れていき、お父さんは家族の中で孤立してしまう…といった悩みを、お父さん自身から聞くことも多いんですよ。さらに、追い打ちをかけるように、一緒に過ごす時間が多いきょうだい児も、お母さんと一緒にどんどん学んでいくから、気がついたらお父さんだけがポツ~ン…って。でも、お父さんには、『お父さんにも教えて』と素直に言えないプライドがあるんですよね(苦笑)」――そうなると、お母さんは「じゃあ、もういいわよ! 私が全部やるから!」となるか、「この人にはもう期待しない」とコミュニケーションをあきらめちゃいそうですね…。「ただでさえ、お母さんは子どものことでいっぱいいっぱいなのに、夫にまで配慮していられない! という気持ち、よくわかります。でも、子どもが大きくなった時のためにも、ここはなんとかお父さんを積極的に子育てに巻き込む機会を早期にどんどん作った方がいいと思います」――子どもが大きくなった時のため、というのは?「発達障害というのは、男の子の割合が非常に多いのです。男の子の場合でも、小学校低学年くらいまでなら、お母さんの力でも主導権をにぎることができます。そのため、この時期ならば、お母さんのペースで日々の暮らしを仕切っていくことも、なんとかできるのです(まぁ、子どものタイプにもよりますが…)。でも、高学年くらいになると、お母さんが主導で物事をやっていくには限界があります。だって、男の子のトイレやお風呂に、高学年になっても一緒について行くわけにはいかないでしょう? その他、進路の問題や、思春期特有の難しい問題も出てきます。そうした時に、お父さんの出番となるのです。でも、急にその年齢になって『お父さん! お願いします!』と言っても無理なので、早い段階からどんどん子育てに巻き込んだ方が後々のために良いと思うのです」――なるほど。確かに健常児だって、男の子の思春期対応法は、お母さんには難しいですものね。では、夫を積極的に育児に参加させるには、具体的にはどうしたらいいのでしょうか?「大事な局面には必ず連れて行って、夫を頼る姿勢をみせてみてはどうでしょうか? 例えば、小児科や療育の面談など、ここぞ! という時は絶対に同席してもらうようにして、『あなたがいないと場がしまらない』とか『あなたがいないとちょっと心細い』とか頼ることで、男の人のやる気を引き出したり」――お母さんがお父さんのやる気をうまく引き出すということですね。「大事な局面に夫婦2人で参加した方がいいのには、別の理由もあります。例えば、一人でドクターへ面談に行った場合、聞くこと、答えること、話を受け止めること、書き留めること、即座に判断すること、これ、全部お母さん一人がやらなければならなくなります。専門家の時間は限られているので、いろいろ言われてワーッと終わっちゃうと、家に帰ってきた時に『あれが言えなかった』『これが聞けなかった』と不完全燃焼で終わり、悶々としちゃうことも多いのですよね。その点、2人いれば、お父さんが質問している間に大事なポイントを書き留めたり整理したりできるし、状況を客観的に見ることもできます。もちろん、直接先生と会って話すことで当事者意識が育つので、お父さんのためにもなると思います。そういう状況を作るのが、難しいご家庭もあると思いますが。可能なら…ということです」 ■疲れたり迷ったりしたら…心強いペアレント・メンターの存在――非協力的なお父さんを育児に巻き込むには、お父さんをわが子が集団にいるシーン(例えば、園や学校の普段の様子やイベントなど)に積極的に連れていくのが良いと聞いたことがありますが、どう思われますか?「お父さんは、集団の中にいるわが子の姿を見る機会が少ない方も多いので、理解をうながすには良い方法だと思いますよ。ただ一つ落とし穴があって、男の人って実はナイーブなので、集団の中で、わが子とほかの子どもとの違いを目の当たりにして、ガーンとショックを受けて落ち込んじゃうケースもあるんですよ。で、その後、お母さんがいくら誘っても、園や学校に行くのを避けるようになってしまった、そんな相談を受けたことも、たくさんあります」――すでにさまざまなことを乗り越えてきたお母さんとしては、「傷ついてる場合じゃないでしょう~!」と思ってしまいそうですが…。「お気持ち、よくわかりますよ(笑)。でも、男の人はそういう生き物と割り切って、『パパもショックだったよね。私も初めて見た時はショックだったんだよ』と寄り添いつつ、『うちの子みたいな子が落ち着けるように、こんな療育があるみたいだよ。一緒に見学行ってみない?』という感じに、だんだん専門領域の世界に引き込んでみてはどうでしょう?お母さん、大変ですね!(笑) たとえば、理論で入る男の人には、専門書をさりげなく渡してみるのもいいかもしれません。そういう方法で、実際に夫が協力的になったというご夫婦もいましたよ。――なるほど。専門書から理解を促すのは良い方法かもしれませんね。「お母さんは本当に大変だと思います。でも、これは大きくなった時に返ってくる「保険」だと思ってあきらめないで、早い段階から協力的な夫になってもらえるよう働きかけてほしいです。ここでガツンと切っちゃうと、夫婦関係が険悪になってしまったり、離婚という選択にもなりかねません。そういった例も、たくさん見てきました。逆に言うと、お父さん役も担っているシングルのお母さんは、大変な負担のなか、とても頑張っているんです。本当に、身体が心配です」――発達障害の子育てにおける、お母さんの負担はとても大きなものなのですね…。「そうですね。でも、しんどい時は、どんどん専門家に頼りましょう。もちろんママ友や先輩ママに頼るのも良いけれど、私は専門的な訓練を受けたペアレント・メンターをおすすめします」――ペアレント・メンターって何ですか? 「ペアレント・メンターとは、自分自身も発達障害の子育てを経験し、さらに相談支援に関する一定のトレーニングを受けた親のことです。私も資格を持っているんですよ。2010年から、厚生労働省もメンターの養成に力を入れています。発達障害の子育てに関する悩みや相談を抱えた親に対して、気持ちに寄り添い、その親にとって必要な情報(病院、療育、学校、福祉サービス、地域の情報など)を提供したりしています」――実際に発達障害の子育てをしている方だと、専門家とはまた違った安心感がありますね。「発達障害児の子育てでは、すべての情報が親に集中します。しかも、情報は多岐に渡ります。療育機関の専門家、医療機関のドクター、心理士、作業療法士、園や学校の先生、療育ママ友、家族、親せき、近所の人…いろいろな人から『ここが良いわよ』『これをしたら良くないわよ』という情報が、すごい勢いで入ってきます。そこから、親はわが子に必要なことを取捨選択するわけですが、そのプロセスは想像以上に大変です。ペアレント・メンターは親に寄り添い、一緒に情報を整理し、今後の道を一緒に考える役割を担うので、とても心強い存在になると思いますよ。同じ仲間として、先ほどお伝えしたような、お父さんへの上手な接し方などもアドバイスしてくれます。ストレスがたまったり、子育てに疲れてしまったら、こういった専門家に頼るのも手だと思います」■祖父母世代には、「専門家の意見では…」で対応――周囲には、義理両親(もしくは自分の両親)の子育てへの口出しに悩んでいるお母さんもいましたが、祖父母関係の相談は多いですか?「10年前くらいはとても多い相談でしたが、最近は少し減ってきたように思います。逆に、孫のことを理解しようと講習会に積極的に参加したり、自分も何とか役に立ちたいという祖父母の方も増えてきました。とはいえ、まだまだ『そんな子育てだから、子どもがワガママになるのよ』とか『もっと、こうしてみたら伸びるんじゃないの』とか、ひどい例では『うちの家系には、こんなことをする子はいない』といったことを言われてしまうことも残念ながらあります。そんな時は、大変つらいと思いますが、すべてキッチリ理解してもらおうと思わず、上手に受け流して、別のところでストレス解消をしましょうね。自分たちより長く生きて、自分のスタイルを確立している人たちの認識を変えることは、とても大変です。ただ、言われっぱなしも悔しいので『専門家に相談してすすめていますので見守ってください』などと、自分たちも自己流ではなく、ちゃんと考えて子育てしている、ということはアピールしておくといいかもしれません。で、ほかのところで毒を吐く(笑)。同じ思いをしている仲間は、意外にたくさんいますよ」――ちょっと極端な話ですが、お姑さんのちょっとした子どもへの体罰に悩んでいるお母さんもいました。良くないことをすると、手をつねって教えるという。「お嫁さんが『嫌だから止めてください』という言い方をすると角がたつから、専門家の名を借りてみてはいかがでしょう。たとえば、『専門家から、そういうことを続けるとほかの子に暴力をふるうようになるって聞いたんです』などと伝えてみるとか。もちろん、ただの『嘘』になってはいけないので、専門家にも、その件を相談してみる。『義理の母が、しつけと称して子どもの手をつねるんですけど、こういうことを続けていると、この子がほかの子をつねる可能性もありますよね?』と聞いて『可能性あるね』と言われたら、それを『お墨付きのアドバイス」』にする。専門家の意見と言えば説得力が増すので、さすがのお姑さんも自制するのではないでしょうか?『伝え方の工夫』、これは、発達障害児の子育てで、とても必要な力だと思います」――確かに、「専門家の意見では…」という言葉は効果ありそうですね。「私は、これを学校の先生対策にも利用していますよ。例えば、生徒を大きな声で叱る先生がいて、それが怖くて、指示されても全然動けなくなった子がいるとします。そんな時、『児童精神科の先生に相談してみたら、大きな声がすごく苦手みたいなので、席を後ろにしていただけませんか? もしくはイヤーマフをつけさせてもいいですか? このままだと学校に行けなくなって不登校になる可能性もあると言われたんです』というふうに。親が『大きな声で叱るのはやめてください』とだけ言うと、ただのクレームみたいに思われてしまうけど、専門家の指示であれば対応せざるを得ないでしょう。周囲を上手に説得したい時は、専門家の意見を上手に借りるのも一つの手だと思いますよ。『伝え方』を工夫をすれば、双方の関係は悪化せず、子どもの状況が改善される…そんなケースを、私はたくさん見てきました。こうして見てくると、お母さんには、たくさんの力が要求され、本当に大変ですが(涙)、一緒に励まし合って、乗り越えていきましょうね!国沢真弓さん プロフィールフリーアナウンサー、自閉症スペクトラム支援士、一般社団法人 「発達障がいファミリーサポートMarble」 代表理事<役職>ペアレント・メンター、三鷹市相談支援事業「ママサロン」相談員 、三鷹市知的障害者相談員、三鷹市発達障害児親の会「モンブランの会」会長、社会福祉法人「清陽会」評議員、児童発達支援施設「すこっぷ調布」アドバイザー、三鷹市教育支援推進委員会委員。<経歴>都立新宿高校、聖心女子大学文学部歴史社会学科を卒業。富士通株式会社を3年勤務後、アナウンサーに転向。NHKテレビ「きょうの料理」「婦人百科」の進行を約10年務めたほか、多数のテレビ・ラジオ番組に出演。海外特派員、番組企画構成も担当。ナレーション・司会は各500回以上務め、厚生労働省主催「世界自閉症啓発デイシンポジウム」の総合司会を毎春担当。「3歳までの子育ての裏ワザ」「こんな時どうする?子どもの友達・親同士」(PHP出版)など共著多数。<現在の活動>一般社団法人「発達障がいファミリーサポートMarble」代表理事として、「発達障害」や「伝える力UP」といったテーマでの講演を、全国で行っている。また、「ペアレントメンター」として保護者や支援者の相談に応じるほか、障害児の家族が気軽に参加できるイベントやお喋り会の開催等を行い、家族の元気を応援している。(詳しくはホームページをご覧ください)。取材・文/まちとこ出版社N
2018年01月14日筆者の息子が発達障害の疑いをかけられた時、ネットにかじりついて情報収集する中で、たどり着いたのがABAという療法でした。ABAとは、アメリカの心理学者スキナーが創始した学問体系のことで、日本語では「応用行動分析学」と呼ばれます。人の行動の原因を内部(心)ではなく、人を取り巻く環境に求める考え方で、自閉症など発達障害の子どもに非常に有効なアプローチ法とされています。最近では、このABAを取り入れた療育療法が非常に多くなっています。でも、専門書を読んである程度の考え方は理解したものの、「具体的にどう子どもに接したらいいのか?」はわからずに困っていました。そんな中、とても役立ったのが、shizuさんの著書「発達障害の子どもを伸ばす 魔法の言葉かけ」(講談社)でした。発達に遅れがある子どもへの具体的なアプローチ方法が書かれており、日々の生活の中で、子どもとの関わり方にたくさんのヒントを得ることができました。しかも、その考え方は、発達障害だけでなく上の子(定型発達)の子育てにも同じように役立ったのです。著者のshizuさんの息子さんも、3歳の時に自閉症スペクトラムと診断されており、ちりばめられたご自身の体験エピソードには、とても重なるところがありました。「私だけじゃない」「やればできるかもしれない」ととても励まされたのです。そんなshizuさんに、「ABAを利用して発達障害の子どもを伸ばすにはどうしたらいいのか?」をテーマにお話をうかがいました。■3年間できなかった滑り台、ABAでたった30分で滑れるようになっちゃった!?――ABAは素人が専門書を読んで理解するにはなかなか難しい学問ですが、わかりやすく言うと、shizuさんはABAをどういうものだとお考えですか?「私は、ABAは親子の関係を笑顔に導く1つの学習方法だと思っています。子どもが生きやすく生きるために、「できないこと」を「できた」に導きやすくする有効な働きかけだと思います」――具体的には、どんな手法なのでしょうか?「ABAの醍醐味のひとつに、スモールステップというものがあります。これは、ひとつの課題をできるだけ細かいステップに分け、1回の目標達成レベルを低くして、そのステップを一つ一つ達成しながら成功体験を重ねていくというもの。それが子どもの自信となって大きな課題達成につながるというわけです。この手法で取り組んでいくと、まるで魔法みたいに、全然できなかったことがコロッとできるようになっちゃったりするんですよ」――著書の題名も「魔法の言葉かけ」ですものね。実際に、魔法のような出来事はありましたか?「私が関わった子で、滑り台がまったくできない子がいました。3歳の時に滑り台でひどい尻もちをついてしまって、以来3年間、滑り台を断固拒否していたんです。でも、身体的な原因ではないし、私はその子の様子を見ていてできる可能性は十分あると思い、スモールステップで取り組んでみました。そしたら、たった30分足らずで滑れるようになったんですよ!」――3年間できなかったことが30分で!? 具体的にはどうやったのですか?「目標値を滑り台の下の方から、70センチくらいに設定し、ちょっとずつ登って滑ることを繰り返しました。その都度「すごい! ここまでこられたね!」とほめて、だんだんと目標値を高くしました。下の方から登れば、手を離すだけでスーッと滑りますよね? だから少しずつ滑り台の感覚を楽しめると思ったのです。私も後ろからついて子どもの恐怖心を和らげました」――なるほど。逆から少しずつ滑らせて、恐怖心を取り除くというワケですね。「滑り台の上まで登れたお子さんを見て、ご両親は本当にうれしそうで、何度もほめていらっしゃいました。そしたら、その子はすごくうれしくなって、1つできたことから自信がどんどん広がったんです。大きく揺れることを拒否していたブランコも大きく揺らして乗れるようになり、ジャングルジムも2段目までが精いっぱいだったのに、一番上まで登れるようになったんです。これ、全部その日のうちにできるようになったんですよ。その後、市内の滑り台めぐりをして、児童デイサービスでの散歩の時間にも『滑り台のある公園はありますか』とリクエストしたそうです。それまで、その子はあまり自分のやりたいことを積極的に言うタイプじゃなかったそうで、ご両親は積極性が出てきたこともとても喜んでいました」――自分ができたことはもちろん、お父さんとお母さんにほめられたことが、ものすごくうれしかったんでしょうね。「子どもにとって、親のほめ言葉は何よりのご褒美です。どんなささいなことでも、できたことに対していっぱいほめてあげてほしいです」――スモールステップを成功させるコツはあるのですか?「まず、親が『できる』と信じること。子どもは親が思っていることを敏感に察知するので、信じて『できるオーラ』を送ることが大事です。だからと言って、親のエゴで『この歳で滑り台ができないなんて恥ずかしい』とか『みんなができるんだから』というのは違いますよね。それは、親が子どもを思い通りにコントロールしたいと思っているだけ。そうではなくて、滑り台って本来、子どもにとってとても楽しいモノ。その楽しさを味わえたらいいよね、というイメージをふくらませてほしいです」――親のエゴを押し付けるのは違う、ということですね。「言葉かけも大事です。親目線で『やってごらんなさい』と言うのではなく、子どもと同じ目線になって『ちょっとやってみようよ! 〇〇ちゃんならきっとできると思うな』という感じで。NHKの歌のお兄さんやお姉さんみたいに、思わず子どもの気分が乗っちゃうようなノリやテンションで盛り上げるのもコツですね」――子どもがチャレンジに不安を感じたら?「子どもが不安を感じていたら、まずは、不安に寄り添ってあげることが大切。いったんはスルーして、気分が戻ってきたら『ちょっとだけやってみる?』とうながしてみてはどうでしょうか? 時間を空けるとスルッとできちゃうこともあるので、1回であきらめずに何回かはトライしてほしいですね」――でも、もしそれでもダメだとしたら…?「たとえ滑り台の一番上まで登れなかったとしても、『ここまでできたんだね! すごいね!』と、必ず成功体験で終わりにしてあげることが大事です。『あとちょっとだったのに!』という捨てセリフは厳禁。どんなにわずかでも、自分で踏み出せてそこまでできたということを、まずは認めてあげてください。また、ちょっと難しそうだったら、子どもの苦手な動作を背後から補助するような形で、親が少しだけ手助けしてあげることも有効です」――他にうまくいかない課題に取り組むときに心がけた方がいいことはありますか?「子どもの興味あることに寄り添って、課題の設定を工夫することも大切だと思います。例えば、こんなお子さんがいました。その子は平仮名を覚えるのが苦手で、カードで『あ』『い』『う』…と教えても、上の空で全然頭に入らない。そこで、その子が大好きな戦隊モノを利用することにしました。戦隊キャラの写真と名前(平仮名)をゲーム感覚で一致させて、その子の興味を引き出す仕掛けを作り、平仮名を読む行為自体が楽しくなる方法で取り組んだのです。そうしたら、その子はどんどん平仮名を覚えて、後にお母さんから『文章も読めるようになりました!』と報告がありました」――「教える」というより、その子の「興味を引き出す」仕掛けを作る。そして、それが楽しいと思えれば、後は、自らどんどん吸収してくれるというわけですね。親もそんな子どもの成長がうれしい。子どもも笑顔&親も笑顔、親子の関係を笑顔にする、まさにウィン・ウィンの方法ですね。 ■ABAを行ううえで、親が気を付けるべきこと――スモールステップがとても有効なやり方だということはよくわかりました。では、課題を少しずつクリアしていけば、何でもできるようになるのでしょうか?「いいえ。一点注意しなければいけないのは、何でもかんでもスモールステップで繰り返しやれば身に付くわけではないということです。滑り台の例のように、ちょっとした勇気やきっかけ作りでクリアできそうな課題はスモールステップが有効です。でも、平仮名の読み書き、算数など、さまざまな工夫をしてもどうしてもうまくいかない場合、もしかしたら学習障害が絡んでいる場合もあるかもしれません。その場合は、『これは生まれ持った特性なのでは?』と考えを切り替えることも大切です。そのことも頭にとめておいてほしいです(文字の読み書きにはビジョントレーニングが有効な場合もあります)」――ほかに、ABAを行ううえで気をつけておくべきことはありますか?「よく、家で机に座って子どもにガッツリABAの課題をやらせる、という話も聞くのですが、体を動かすことや外に出て五感を生かすことも大切にしてほしいと思います。五感を働かせることは、視機能、脳機能を伸ばすのにも大切だと思いますよ。あと、ABAはちょっと間違えると、『指示して動かす』ということに終始しがちな危険性があるので、子どもに選択させることを常に意識してほしいと思います。例えば、どんなに障害が重いお子さんであっても、食べ物の好き嫌いはあるはずです。『はい、お菓子よ』とあげるだけではなくて、『どっちが食べたい?』と選ばせる。選ぶというのは楽しみでもあるので、どんなにささいなことでも自分の意思で選ぶという体験を重ねてほしいと思います」■客観的視点が大事! ABAは親子の笑顔を引き出すアプローチ――最近では、ABAの認知度が高くなって、家で実践している方も多くなってきたようです。でも逆に、それがうまくいかないと、自分と子どもの努力不足だと追い詰められてしまう方もいるようですが…。「確かに、向き不向きがあるかもしれません。そんな時は、そもそもABAは子どもの笑顔を引き出すアプローチということを思い出してください。そこを外れて『なんでできないの?』『どうしてあなたはいつもこうなの?』というふうになってしまったら本末転倒ですよね…」――私もそんな時期がありました(苦笑)。つい「あなたのためなのよ!」と力が入ってしまって…(苦笑)。「私もそうだったのでよくわかりますよ。でも、お母さんが『これができないと困る』と思って一生懸命やっていても、子どもは全然困っていなかったりするんですよね(笑)。困っているのは、子どもじゃなくて、実はお母さんの方。お母さんが、他人からどう見られるかを気にしてやっていることの方が多い気がします。そんな時は、ちょっと立ち止まって『今の私って人の目を気にしてる?』と自分のことを客観的にみることが大事です」――確かに(苦笑)。当時は、「普通に近づけたい」という私のエゴが、常に頭のどこかにあったように思います。「私も息子が自閉症と診断された当初は、とにかく『普通に近づけたい』と夢中になっていた時期がありました。でも、その結果、課題をなかなかクリアしない息子を追いつめ、見事に失敗しましたけどね(苦笑)。普通にこだわったり、周囲からどう思われるかにとらわれると、子どもの悪いところ・できないところばかりが目についてしまい、悪循環に陥っちゃうんですよ」――そういう時って、もはや自分のことが見えなくなっているはず(汗)。自分のヤバさに気づくサインはありますか?「常に子どもが教えてくれるはずです。子どもに笑顔があるかどうかです。子どもに笑顔がなかったら、きっとその時、お母さんにも笑顔がないと思いますよ。お互いに笑顔がないのなら、家庭でのABA(療育)はいったんお休みしましょう」――いろいろお話をうかがっていると、もちろんABAは子どもの力を伸ばす可能性に満ちているけれど、それ以前に、お母さんの心の健康の方が大事という気がしてきました。「そう。子どもうんぬんよりも、まずはお母さんが自分自身を大切にすることが何より大事。だって、同じことが起こっても、自分に余裕がある時は『あらま~』って笑えるけど、余裕がない時だと『何やってんのよ!』って怒っちゃったりするでしょう? 物事をどう受け取るかはすべて自分次第なんですよ。借りられる手は全部借りて、まずは、お母さん自身の心を満たすことを考えましょう。子どもが見たいのは親の笑顔ですから。あと、何もかも完璧を求めすぎず、『まぁ、いいか』というゆるい心を持つことも大事です」――確かに、発達障害の子育てで「ゆるさ」は大切ですね。発達障害児のお母さん(私?)って、常に、子どもの将来の心配をするのが癖のようになっちゃっているのですが、ここらへんはどうしたら?「みなさんが不安に感じているのは、まだ、実際には起きてない予期不安ですよね? だとしたら、起きてない不安を延々と考えて苦しむのはムダじゃないですか?まずは、不安を感じているという自分の気持ちを『~って思っちゃうんだね。わかるよ』と認めて受けとめ、『また出てきたあ! 私って本当に悲劇のヒロイン好きだわ~』って笑い飛ばしちゃうのもひとつの方法です。思考癖に気づくことが大切です」――先のことは誰にもわからないはずですものね。「もう、『なんか知らないけど、この子はきっと大丈夫!』と決めてしまいましょう(笑)。先のわからないことはプラスに考えた方が楽しいし、それに、人はみな、決めてから行動を起こすでしょう? だったら、『大きくなった子どもの笑顔を思い浮かべ、今、サポートできることは?』と応援団として行動を起こすのです。それでも不安に押しつぶされそうになった時は、どうか、この言葉を思い出してみてください。それは、『今の子どもの姿がすべてではない』ということ。これは、私がお守り代わりに心にとめている言葉です。親が信じて、コツコツ働きかけていれば、きっとうれしい成長があります。今の姿だけを見て将来を悲観せず、子どもの可能性を信じて、楽しく働きかけていきましょう!」「今の子どもの姿がすべてではない」――著書を読んで以来、私がずっと心にとめている言葉です。shizuさんのこの言葉は、いろいろな局面で私の心を楽にしてくれました。子どもの可能性を信じてコツコツ働き続けることの大切さ、そしてそれ以上に、子どもと自分が笑顔でいることの大切さを、改めて感じた取材でした。参考図書: 発達障害の子どもを伸ばす 魔法の言葉かけ 著者 shizu/監修 平岩 幹男11万部13刷のロングセラー。手を洗うときの言葉かけ、食事をしながらの言葉かけ、いっしょに料理をするときの言葉かけ、散歩のときの言葉かけ、遊びながらの言葉かけ―ABA(応用行動分析)を利用した「言葉かけ」をすれば、楽しみながら家庭で子どもの力を伸ばせることを紹介した一冊。shizu プロフィール自閉症療育アドバイザー。講演会などで、日常生活の中で子どもの力を伸ばす楽しい関わりや言葉かけを紹介。家族に笑顔を増やすため、親が心掛けたい子どもへの気持ちの持ち方も伝えている。無料メール講座『発達障害の子と楽しく生活する7つのコツ』配信中。講演会の詳細はブログ参照。ブログ: 「発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉」 取材・文 まちとこ出版社N
2018年01月07日難航する仕事選び。障害者雇用枠で、最も多い求人は事務職。けれども…出典 : 私は、26歳のときにアスペルガー症候群、ADHDの診断を受け、同時に退職も余儀なくされました。就職をするまでの学生生活では、表面上のコミュニケーションや、日常生活、勉強という面では、これといった支障はなく、自分が発達障害であることにも気づいていませんでした。しかし、社会人になってから対人関係の困り事などが表出し、行く先々で、「常識がない」「もう少し場をわきまえろ」と言われてきました。そして発達障害の診断を受けた後、そのことを職場にカミングアウトしたのですが、残念ながら退職せざるを得ない状況に追い込まれてしまったのです。それからは就労移行支援事業所に通うことになり、支援員の方の手を借りながら障害者雇用枠での就職活動を進め、内定を獲得することができました。就労移行支援事業所は障害がある人の就労をサポートする機関で、職業訓練や職場探し、職場への定着支援など、さまざまな支援を受けることができます。しかし、その道のりは一本道というわけではなく、壁に直面したり、どうすればいいかわからないことも少なくありませんでした。特に悩んだのは、自分の特性と仕事の性質の兼ね合いです。障害者雇用枠のおよそ半分以上は事務職と言われれており、一般事務や経理、総務、人事などの職種で就職する場合が多いそうです。しかし、私は何か目新しさがないと注意や集中力を持続することができません。例えばExcelなどで売上伝票などを作成する際に、売上金などのデータ入力が必須になってきますが、ミスしないよう慎重に作業しているとスピードが他の人に比べて明らかに遅くなってしまうのです。するとそれが焦りに繋がり悪循環に陥ります。結果として、雑な仕上がりとなってしまったり、思いもしないようなミスをしてしまうのです。「働く」という字は、人と一緒に動くと書く。でも自分はコミュニケーションが苦手…出典 : また、空気が読めない、他人の気持ちに配慮した言動が難しいなどの特徴から、仕事上での困難に直面することも少なくありませんでした。営業の仕事にかかわっていたときは、相手の意図を汲み取りつつも、相手に探りを入れる高度なコミュニケーション能力が求められましたが、どうやってもうまくこなすことができませんでした。また、営業職は電話応対が頻繁に発生するため、他の人が話している電話の声が気になってしまったり、聞こえてくる会話内容を意図せずメールに書いてしまう事もありました。1つの作業に没頭すると他のことを忘れてしまうことも少なくなかったため、報告・連絡・相談がおろそかになるのは日常茶飯事。こうした自分の特性を考えたうえで就職をしようとすると、どうしても選択肢は数少ないものになってしまい、愕然とせざるえませんでした。自分には一体、何が出来るんだ!?出典 : 次第に頭のなかには、「自分には一体何ができるのか?」という思いが込み上げてきました。考えても出てくるのは「できることなんて無い」という答えばかり。私はどうすればわからず、毎日落ち込んでばかりいました。このとき、前を向く光をくれたのが、前職を退職してから相談を続けてきたカウンセラーさんです。障害の診断を受けて薬が処方されてからというもの、見知らぬ地でひとりぼっちのような気持ちでしたが、どうしたら生きやすくなるかの相談を続けてゆくうちに、自分がたどるべき道を何となくイメージできるようになってきたのです。検査結果ではわからなかった自分の数少ない強みカウンセリングでは、WAIS-III(ウェクスラー式知能検査)の結果を紐解いて、苦手なことと、苦手ではないことを分類していくことを行いました。私のWAIS-IIIの結果は、言語理解の部分が苦手ではない。しかし、決してずば抜けている訳でもないと言えるくらいで、他の項目はすべて平均より低いと言わざるを得ない状況でした。カウンセリングに行く度に話す内容をA4、1枚の紙にまとめて、ときには参考になりそうな資料なども合わせて準備していました。相談したいことがいくつかあった場合でも、話しているうちに相談しようと思っていたことを忘れてしまい、相談室を出た後で、話し忘れたと後悔することが多かったからです。そんな中あるとき、私の作った資料を見たカウンセラーさんが、ひょっとしたら自分の考えをまとめることが得意なのかもしれないと指摘してくれたのです。言われてみれば、心当たりがありました。以前仕事をしていたときは毎日が失敗の連続だったので、なぜ怒られたのか?何がいけなかったのかを自分で分析するために、日記に書くようになりました。1日の終わりに静かな自宅の部屋で、時間をゆっくりとかけながら何が問題だったのかを洗い出し、それはそしてときには視覚的に情報をまとめます。それは私にとってはまったく苦にならない作業であったことに気づいたのです。Upload By ツーちゃんこのことから自分で企画を考え、図やイラストで分かりやすく説明するような仕事内容にチャレンジしたいと思うようになりました。不注意傾向があってもソフトのスペルチェック機能を使えば、ミスが未然に防げたり、取りこぼしが減らせたりすることはできます。なので、Webデザイナーや、ライター、企画職など、クリエイティブ寄りの職種を志望し、就職活動を進めることにしたのです。Upload By ツーちゃん出来ることと(障害特性上)難しいこと=配慮して欲しいことを整理する出典 : 私の場合、障害者雇用枠での就職を目指すということは比較的早い段階で決まっていました。というのも仕事量や、割り振りなどに関して、会社側の配慮がどうしても必要だと強く感じていたからです。そのため、検査の結果なども加味して考え、障害を隠して働くという選択肢は消えていました。次に私は、自分の特性を面接官に分かりやすく説明する、「ナビゲーションブック」の作成に取り掛かります。そこで難しかったことは、障害の程度をいい塩梅で面接官に伝えるということです。文字などでまとめることは苦にならない私ですが、ありのまますぎて、より強烈な印象を与えてしまうような文章を書いてしまいがちでした。あまり欠点のみを書き過ぎてしまうと、人事担当も評価ポイントを見出しにくくなってしまいます。なので、自分自身の障害特性をしっかりと自覚し、そうした過去の失敗を繰り返さないように気をつけていると明記し、加えて過去の自分からの成長をアピールしました。また作成した当初は、できることと、配慮して欲しいことの2つのみを書いていましたが、それだと配慮してもらって当たり前というような印象を受けると支援員の方から指摘して頂いて、障害特性はあるものの、自分自身の努力でカバーできることもあると書くようにしました。Upload By ツーちゃんナビゲーションブックは就職活動を進める上で、どう役に立ったのか?出典 : 障害者雇用枠での面接では、仕事に対する熱意や志望動機以上に、障害のことや、それに対して必要な配慮について質問されました。そういったときにナビゲーションブックが役立ちます。2部、印刷して持参しておいたナビゲーションブックを、面接官と一緒に見ながら、事細かに説明しました。ナビゲーションブックを見た感想を、面接まで進んだ企業の採用担当者に聞いたことがあります。「障害者雇用によく使われる履歴書には3行程度障害について記載する欄があるが、3行程度の説明では、障害の多様さを理解するのは難しい。こういったナビゲーションブック等で障害に関して、詳しく説明して頂けるのは、とても助かる。また人事としても、障害に関してどこまで聞いて良いのか非常に気を遣う。求職者の方からオープンにして頂けると採用担当者からしてもやりやすい」と言われました。また別の面接官は「伝言ゲームだと、聞いた内容があやふやになりやすいが、こうした資料があれば、次の面接官への引き継ぎがしやすい」といった声もありました。総じて、障害を隠すよりも、かえって包み隠さず話した方が好印象と受け止められるケースが多かったです。またナビゲーションブックを用意しておく事で、その内容に沿った質問が多くなり、予想外の質問を減らす事が出来るというメリットもありました。臨機応変力があまり高くない私にとっては嬉しい誤算でもありました。必ずしもナビゲーションブックの作成をしなければいけない訳ではありませんが、ナビゲーションブックを用意する事で、障害についての理解が深まり、企業の採用担当の方にとっても不安が少なくなるのかもしれないなと感じました。参考: LITALICOワークス合理的配慮ガイドブック障害者雇用枠での就職活動を振り返って出典 : こうして就職活動を進めているうちに、半年が過ぎ、やっと内定を手に入れることができました。内定した会社は、スマートフォン向けのゲームアプリを開発する会社です。パソコンなどの扱いに精通していたことや、ADHDで新しいもの好き、好奇心旺盛な部分が、結果的に良い方向に働いたと感じています。配慮の面では、「困っていることはないか?」と人事の担当者が相談する時間を設けてくれたり、上司には指示が曖昧で分かりにくいといった、言いづらいことを代わりに伝えてもらうといった配慮を受けています。ただ、人事部と現場レベルで障害への理解、業務指示などを含めた接し方に対して、温度差が多少あるようには感じられます。また、環境の変化や、刺激の多い環境に対して疲れやすい特性を持っているので、最初の1か月間は、時短勤務を許可してもらっており、とても大事にしてもらっていると感じています。内定を得るまでには、合同就職説明会などで大量エントリーした企業も含めると、30社から40社ほどは受けたと思います。そのうち、面接に進んだのは6社で、最終面接に進めたのは4社。内定はたった1社のみという結果です。正直なところ、綱渡りのような状態で、これに落ちたらまた振り出しのような状況だったので、内定が出て胸をなでおろしたような気持ちです。就職活動が長引いてしまった理由としては、書類選考で落ちることも多く、モチベーションを保つのが難しかったこと、企業が特に精神障害・発達障害のある人の採用に対して慎重な姿勢を貫いていることから、選考期間が長期化してしまうことが挙げられると思います。障害者雇用については、まだどこも手探りのような状態で、書類選考に1ヶ月かかることも少なくありませんでした。新しい仕事は、すべてが未経験で「初めてづくし」な部分は大きいのですが、1年ぶりに仕事が出来ること、就労移行支援を退所した後も、支援員の方が定着支援として、企業と私との連絡係としてサポートしてくださることなどが、前職の時には無かった安心感を生んでいます。今から新しい門出にワクワクしています。私の経験は1つの例でしかありません。他にもさまざまな歩き方があると思います。それでも、私の歩んだ道が、少しでも役に立てば、これほど嬉しいことはありません。
2018年01月03日成績の上がった通知表を手にしたまま、入院生活へ…体育の授業で事故にあい、そのまま救急車で運ばれ外傷性くも膜下出血と診断された受験生の息子リク。事故にあった日は学期末で、リクは通知表を受け取るのをとても楽しみにしていました。というのも中2までの通知表は5教科オール2だったものの、3年になって勉強に精力的に取り組むようになり、テストの点もあがっていたからです。学校から救急車で運ばれそのまま入院となったリクのかわりに学校から通知表を受け取った私は、また車を走らせ病院に急ぎました。私の胸中は、一刻でも早く、リクにこの通知表を見せたい思いでいっぱいでした。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ空腹を訴えるリクをかわいそうに思いつつも、食欲があることに少しほっとしながらこの日は病院をあとに。…本当に長い1日でした。小さいころから、リクは人よりケガの多い子でした。でも、こんなに不安になったのは今日が初めてです。昼間、不安な気持ちを抱えながら、リクが受け取れなかった通知表や置きっぱなしになってしまった勉強道具を学校に取りに行くとき、ふとリクが生まれた日のことを思い出していました。小さく産まれた赤ちゃんのリク。いっしょに産院から帰ることが出来ず、全身管だらけで数か月ガラスケースの中にいました。私は毎日、母乳を泣きながら絞り、車を走らせその母乳を届けていました。そして、ガラス越しの赤ちゃんのリクに、「元気ならばそれでいい」と心から願っていたのです。それが、成長とともに他人と比べ、言葉が遅いとか、字が読めないとか、そんな不安で勝手にイラ立つようになり…いつの間にかあの日の「元気ならそれでいい」は、もうどこかに置いてきてしまっていました。しかし今回の事故で改めて、リクが生まれてきたときの初心を思い出すことができたように思います。入院することにはなりましたが、こうして今、リクと会話ができることや、普通にお腹をすかした15歳の屈託のない姿を見ているうちに、いつのまにか私は受験云々をどこかに放り投げ、リクが産まれてきたときの「元気ならそれでいい」という気持ちでいっぱいになっていました。リクの不安が爆発、自分はいったいどうなってしまったのかとパニックに!そのまま入院となったリク。私は毎日、着替えを届けたりしながら、リクの様子を見舞っていました。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみイライラすることも、集中できないことも、頭の整理がうまくできないことも、ケガのせいではあるけれど、発した言葉は素直なリクの今の気持ちだったと思います。その溢れんばかりのリクの不安は、ただただ悔しくてどうしようもなくて、泣き叫ぶしか手立てがなかったのでしょう。お母さん、リクの悔しい気持ち、分かるよ。焦る気持ちもわかる。勉強頑張ってきたの、知ってるからね。そりゃそうだよね…。でもさ…リク…、でも‥‥…でもの続きが出てこない…。情けないけど、親として、母として、人として、どんなふうになだめていいか、どんな言葉が的確か、病院を後にしてからもずっと考えあぐねていました。今のリクの気持ちにピッタリくるような言葉をかけてあげることは出来なかったけれど。「元気ならそれでいい」本当に今、私の気持ちはそこに再び立っています…。
2017年12月12日発達障害当事者による、発達障害当事者のための居場所「Necco」Upload By 発達ナビ編集部東京の高田馬場にある「Necco」は、大人の発達障害当事者による、大人の発達障害当事者のための居場所です。高田馬場にある雑居ビルの1室にあり、18時までは一般のカフェとして発達障害の当事者によって営業され、18時以降はフリースペースとして発達障害の当事者のために場が解放されます。スペースでは茶話会やゲーム大会といったイベントも頻繁に開催されており、発達障害の当事者が気軽に集まれる居場所づくりがなされています。大人(成人)の発達障害当事者のためのピアサポート Necco(ネッコ)取材に訪れた日もたくさんのお客さんで賑わっており、別フロアではフラワーアレンジメント講座が開かれていました。Upload By 発達ナビ編集部本棚には発達障害関連の本が多数並んでいます。Upload By 発達ナビ編集部Neccoは自由に集まれる居場所としては2010年、カフェとしては2011年に活動をスタートしており、大人の発達障害当事者のための常設の居場所としては、日本で最初に出来た場です。今回の記事では、このNeccoを立ち上げた方であり、ご自身も発達障害の当事者である金子磨矢子さんに、活動を始めたきっかけや、長年続けていく中での苦労、活動を続けるモチベーションや今後の展望についてお話をお聞きしました。金子さんは平成28年度厚生労働省より「発達障害者の当事者同士の活動支援のあり方に関する調査」を受託し、その報告会である「発達障害当事者会フォーラム2017」を開催された主催者のおひとりでもあります。この報告会は、1月にも「発達障害当事者会フォーラム2018」として大阪で開催する予定とのことです。金子さんのインタビューから見えてきたのは、当事者活動を続けることの大切さと、当事者活動としてどう外の社会と関わっていくかという問題意識でした。ずっと自分はちょっと変な子だと思っていたUpload By 発達ナビ編集部―金子さんがご自身の発達障害について知ったのは、どういったきっかけだったのでしょうか。金子さん: 子供のころからずっと、自分はちょっと変な子だとは思っていました。しかし本格的に自分のADHDを知るきっかけとなったのは、子育てに悩み、本屋で調べ物をしていたときですね。子どもが2才の時にプレイグループに参加させたんですけど、どうにもよその子と何かが違ったんです。なかなかうまく他の子どもと交わることが出来ず、自分のやり方で自分なりの遊びをつくるのを好む傾向があって。プレイグループには、参加している子供の他にその子たちの弟や妹にあたる赤ちゃんも何人かが場にいたのですが、赤ちゃんの泣き声を極端に嫌がるそぶりも見せました。うちの子はよその子となにか違うのかしら?という答えが知りたかったんですが、当時はインターネットも普及していなかったので、しょっちゅう本屋に入り浸っては答えを探し求めていました。その時に出会ったのが『のび太・ジャイアン症候群』という本です。落ち着きがない・忘れ物が多い・後先を考えずに行動する・いじめられる…この本を読んで、子どものことはひとまずそっちのけで「これは私だ!」って叫びそうになりましたね。その場で立ちつくし、購入して帰り、何度も何度も読みました。それまでも自分自身に対する違和感はずっと持っていたんですが、こんな変わった人は自分だけじゃない、特性というものなんだと知り、この本にとても励まされたんです。よその子とは何かが違うと感じていた子どもに関しては、その後、2004年ごろですかね…テレビ番組がきっかけで、アスペルガー症候群だということに気付きました。自分が発達障害だと気づいてから起こした私の行動Upload By 発達ナビ編集部―ご自身の発達障害特性に気付いた金子さんですが、当事者としてNeccoの活動をはじめるきっかけは何だったのでしょうか。金子さん: 最初は活動というまでのものではなかったんです。SNSが普及した頃に、そのSNSの発達障害コミュニティのメンバーでリアルでも会ってみようということになり、定期的にオフ会をするようになったのがはじまりです。そうやって集まるようになっていた中で結束が強くなったのは、リタリンの処方が制限されるようになったのがきっかけです。(編集部注:現在リタリンはナルコレプシーにのみ適応)メンバーの中にはリタリンなしではADHDの症状がしんどい人もいて、これはなんとか訴えないと!ということで、厚労省の会議に傍聴に行ったり、ネット上で活動を行ったりしました。結局私たちの訴えは聞き届けてはもらえなかったのですが、この活動がきっかけで2つの願いが強まりました。ひとつは、いつでも私たち発達障害の当事者が集まれる場所がほしいということ。当時は私の家のリビングに集まってミーティングをしていましたので。そしてもうひとつは、自分たちが集まる居場所を得るだけではなく、社会に対して働きかけを行い、当事者発信で発達障害を広く知ってもらうことです。リタリンの処方うんぬん以前に、当時の発達障害の認知度の低さを思い知らされましたね。私自身、自分の発達障害を知ることが出来てよかったと思っているんです。だから今度は私が、まだ自身の発達障害に気付かずひとりで悩んでいる人の気付くきっかけになったり、居場所になれたらいいなと思って、啓発や居場所づくりの活動を続けています。また、最近でこそ「発達障害」という名前だけは知られてきましたが、「それでは発達障害とはいったい何なのか」という本質的なことは、まだほとんどの人に理解されていないのではないでしょうか。発達障害の啓発活動の動機として、生きづらさを抱えながらも自分が発達障害だと気付かずに生きている方本人に、自分自身のことを気付いてもらいたいというのもありますが、本人だけじゃなくてもっと多くの人にも発達障害についてちゃんと知ってもらいたいと思っています。というのも、発達障害に対する無理解によって苦しんでいる当事者の人がたくさんいることを知っているからです。この人たちはこういう人たちなんだよっていうことを、目に見えないのでむつかしいとは思うのですが、発達障害じゃない人たちにも分かってもらいたい。学校の先生、役所の方、会社の上司…出来ないことは出来ないんだと分かってもらえないと、当事者の方はつらいばっかりです。わざとやらない、怠けたくて障害のせいにしている、そういう風にとられてしまいがちなんですが、本当にそんなことないんですよ。むしろ精一杯努力している真面目な方が多いと思います。必要としてくれている人がいる限り、続けていきたいと思ってるUpload By 発達ナビ編集部―Neccoを続けてきた中で、印象に残っていること、大変だったことはありますか。金子さん: もう、大変なことだらけです(笑)まずNeccoをはじめるにあたり、場所探しから大変でしたね。「借りた場所を発達障害の人の居場所にしますので物件を貸してください」と言って、理解してくれた上で快く貸して頂ける場所を探すのに1年ぐらいかかりました。現在Neccoの運営母体は一般社団法人としており、非営利で運営しています。カフェの店員はボランティアで、費用の持ち出しも発生しています。とはいえNeccoを必要としてくれている人がいる限り、なんとかして運営を続けていきたいと思っています。「Neccoという居場所があるから今、学校や会社に頑張って行けている」、そういう方がたくさんNeccoにいらしているんです。なかには毎週末、長野から夜行バスでNeccoに来ている方もいます。月から金までなんとかお仕事を頑張り、金曜の夜の夜行バスで東京に来て、日曜の夜の夜行バスで長野に帰っていくんですね。また以前は40才前後のいわゆる団塊ジュニアといわれる世代の方が多かったのですが、最近は高校生や大学生といった若い方も増えてきました。当事者としてどう社会と関わりを持つかUpload By 発達ナビ編集部―今後、Neccoの将来の展望はありますか。金子さん: Neccoに関していえば、"来たかったらいつでもここに来ていいんだよ"という居場所がある状態をこれからも維持していくだけだと思っています。発達障害の人は、かつての私がそうであったように、いろんな場所で苦労している方が多いと思います。そういった人たちの誰もが気軽に来れるような居場所を準備しておきたい。欲を言えばここだけじゃなくて、もっと日本中のいろいろなところにたくさんNeccoのような居場所ができたらいいなとは思いますね。また最近力を入れていたのは、大人の発達障害当事者会に関する調査報告書の作成ですね。これは厚生労働省から依頼を受けた調査事業で、私は事業責任者をしていました。長年Neccoに関わってきて、自分たちで自分たちの居場所をつくることももちろん大切だと思っていますが、当事者たちだけでやっていくのはなにかと限界があります。というのも、当事者の生きづらさは、自分の努力や行動で解消出来る部分もありますが、当事者の周りにいる発達障害ではない人や社会の理解、配慮や助けがとても重要です。また先ほどお話したように、私は私自身が発達障害だと分かったことですごく人生が楽になった経験から、まだ自分の特性に気付かず生きづらさを感じている人に発達障害というものを知ってもらいたい。ですから発達障害の啓蒙のため、まず私が出来ることとして、当事者や当事者会の情報を取りまとめ、私たちの生きる困難さや活動を社会に向けて発信し、知ってもらう必要があると考え行動しています。長年発達障害の当事者活動に関わってきましたが、課題はまだまだ山積みです。当事者同士の活動に関して言えば、とにかくいろんな特性を持った方が集まるので、運営のむつかしさがあります。こだわりの強い特性の人同士の意見が対立して分裂してしまったり、正直当事者同士での連携のむつかしさは感じています。なんとか意見をまとめてルールをつくってみると、今度は逆にそのルールを文字通りにとらえてしまって、ルールからちょっとずれる人がいるとこだわりから許せない人がいたり。たとえばNeccoでいうと、かつてはフリースペースのクローズ時間は22時だったのですが、スタッフが大変だということで21時に変更したんですね。たまに場が盛り上がってクローズが21時を過ぎてしまうことがあったのですが、そのことに対して「ずるい」と腹を立てる方がいたこともありました。同じ発達障害の当事者同士とはいえ、特性は本当に人によってさまざまなので、いろんな国の外国人同士が集まっていっしょに何かやろうとしているような困難さを感じています。当事者活動をどうしたらいいか、ずっとそればかり考えています。しんどいと思うことも多々あります。だけど続けている、それは、私は子供の頃からずっと自分のことをダメな人間で、人の役に立つことが出来る人間ではないと思っていたんですね。そんな私が今、活動を通して、目の前の人の支えになったり、社会に働きかけを行ったり出来ている。そのことが生きがいであり、生きるよろこびだからかもしれません。見えない障害とどう向き合うか「私は私が発達障害だと気付けて心から良かったと思っています」これは取材中に金子さんが繰り返しおっしゃっていた言葉です。この記事を掲載している発達ナビのユーザーさんからは、病院へ行き診断を受けることへの心理的抵抗感や、障害受容のむつかしさなど、日々さまざまなお悩みが寄せられています。自分や自分の子どもの生きづらさ・育てにくさをどうとらえるかについて、それぞれに多様な悩みを抱えられているのだと思います。「見えない障害」であり、また「ここからこっち側は障害です」と線を引くように切り分けることは難しいからこそ、その悩みは尽きないのかもしれません。いろんな考え方があって当然で、答えはないのかもしれません。金子さんの場合、彼女は子どもの頃からずっと「自分はちょっと変な子だ」「自分は努力不足でダメだ」と思い悩んでいたそうですが、一冊の本との出会いをきっかけとして発達障害を知ったことで、自分は努力不足でもなく、親の育て方のせいでもなかったということが分かり人生が前向きに進んだと語っています。今、人知れずしんどい思いをしている人、一人でつらい思いを抱えている方が、もしこの記事を読んでくださっていたら、こういった考えや経験をもとに活動をしている人がいることや、その人がつくった居場所があることを、選択肢のひとつとして心の片隅にとどめておいていただけるとうれしいです。大人(成人)の発達障害当事者のためのピアサポート Necco(ネッコ)
2017年12月01日中3の通知表をもらう日、救急車に乗るほどのケガをした息子LDの息子が通う中学校は2学期制なので、10月上旬に1学期の修了日があります。修了日は通常授業と修了式を受け、中3になって初めての通知表をもらう予定でした。中2までの通知表は5教科オール2でしたが、ここのところテストの点も上がっていた息子。人が変わったかのような頑張りを見せていたので、この日の通知表を本人も私もとても楽しみにしていました。子ども達を学校へと送り出し、家で仕事をしていたところ、10時頃、息子の通う中学校から電話がかかってきました。体育でバスケットの授業をしていた際に相手プレイヤーと接触し、転倒したとのことです。Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ意識はしっかりあるものの、転倒した際の記憶がまったくないというリク。救急車で救急隊員の方から説明を受け、脳外科のある病院に搬送されることに。検査結果は外傷性クモ膜下出血、そのまま入院することに…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ確かにリクの様子はいつもと違っていました。意識はあるものの、話すリズムや表情、目の焦点が合っていないのです。それなのにこの子、この後に及んで勉強する気なの!?母ちゃんびっくりだよ!目標や夢を抱え、地道に努力を続けていた息子Upload By ひらたともみ私は不安をみせまいと明るく振舞ったまま病院を後にしていったん帰宅し、言われた通り勉強道具を抱え、学校に寄り、通知表を受け取りました。そして通知表を開いたら…。Upload By ひらたともみそこに並ぶのは、3と4の成績。これまで5教科オール2だったのにも関わらず、です。勉強や進路に関しては本人に任せていましたが、普通科高校への進学を希望しているLDの息子に対し、私は心のどこかで息子が無謀な希望を抱いているのではないかと勝手に決めつけていました。元々あきらめないことの大切さを子ども達に教えていたのは、私だったのに…。息子は、自分の抱えるLDの困難さを理解した上で、それでも何倍も努力することで「ようやく人よりプラス1になる」ということを知り、私たち親の知る以上に目標やら夢やらを抱え、地道にただただ小石を集めるように、コツコツと勉強し、中3ではじめて「4」の成績を得られるまでになっていたのです。通知表を見たとき、空に向かって叫びたくなるくらい感動しました。頑張った者が報われ、LDだってできるんだ!と思うと、心から息子を誇らしく思え、肩を震わせて泣きました。しかしこのケガで、リクはリスクを背負ってしまいました。どうしよう‥‥どうしよう…。今頭の中はそればかりです。このお話は、もう少し続きます。
2017年11月29日インターネットが普及し、スマートフォンに加え、家ではパソコン、そしてタブレットを使ってゲームをしたり動画を見たりと、自分自身の幼少期とは全く違うデジタル時代を今の子どもは生きています。2020年には、大学入試改革(現行のセンター試験が廃止され、新たな共通テストがスタート)、英語教育の改革(小3から英語が必修に)、教育のICT化推進により電子黒板やタブレット端末、デジタル教科書の導入が進んでいくといいます。そんな中、今気になっているのがタブレット端末を使った「タブレット学習」について。早い学校では試験的に採用されている例もあるそうですが、タブレットを使って学ぶことに、抵抗のある親も多いと思います。「タブレットできちんと学べるの?」「書く力が衰えてしまいそう」「インターネットにつながっているのが心配」「視力低下が気になる」など。先日恵比寿で行われた『ママのフェスタ 働き方見本市』で開かれていた「ママのためのタブレット家庭学習勉強会」に参加して、気になることを聞いてきました。「タブレット学習」のメリットは、時間や場所を問わずどこでも学べる点教えてくれたのは、「スマイルゼミティーチャー」として活動する木村沙織さん。タブレット型通信教材の「スマイルゼミ」を使っている4年生の娘さんの実体験を交えて、詳しく教えてくれました。「タブレット学習の良いところは、家庭環境や住んでいる場所に限らず、一定水準以上の教育が受けられることです。またいつでもどこでも、自分のタイミングで勉強ができるのも魅力です。娘は、習い事で移動する車の往復30分をタブレット学習の時間にしています。‟スマイルゼミ”は、学校の教科書に沿ってプログラムが組まれているので、授業の予習・復習が何度もできます。文字も教科書と同じフォントを使っているので、すんなり学べて理解もしやすいようです」子どものモチベーションを保つ、見守り機能が充実。祖父母参加も◎親側のよくある悩みに「進んで勉強しない」「声をかけてもすぐにやらない」「間違いに気づかず進めている」などがあります。学びへのモチベーションは「見守り機能」が役に立っていると木村さんはいいます。「うちでは、タブレットが遊び道具でなく特別な勉強道具になるよう、リビングの専用コーナーに置いています。目につく場所にあることで、取りかかりもスムーズになります。やる気を引き出す方法のひとつに、‟スマイルゼミ”の‟みまもるトーク”アプリが役立っています。タブレットを使って勉強をした記録が、お知らせされます。そのアプリを、家族がスマホやパソコンで共有していれば、子どもが、どのレベルを、どの程度学んだかお知らせされ、がんばったね、お疲れさま、などと、コメントすることができます。おじいちゃんおばあちゃんにも共有しておけば、祖父母とのコミュニケーションにもつながって、楽しみが増えます。たくさんの人に褒められれば、より子どももがんばります」視力の不安は、家庭でのルール決めが大事。タブレットで撮影したり日記を書く楽しみもそれに加えて、家族内でルールを決めるポイント制も効果があるとか。例えば、木村さんの家では「苦手な算数をやると5ポイント」とか「予習復習ができたら3ポイント」、「ママのお手伝いで5ポイント」と決め、50ポイント貯まったら、好きなことに時間を使っていいというルール(ゲームやスポーツを1時間やっていいなど)にしているそうです。タブレットの場合は、答えが間違っていれば修正してからでないと先に進めないので、間違いに気づかず進んでいるという点は問題なさそうです。では、視力やネット面での心配は、どうでしょう。「視力の問題も心配ですよね。とはいえ、タブレット以外にもテレビやスマホ、読書などを暗いところでやれば視力は当然悪くなってしまいます。今や小学校ではクラスの3分の1の子どもが眼鏡が必要なほど、近視が国民病として問題視されています。近視化には遺伝的要素や環境の要素などがありますが、環境が原因の場合、明るさや距離、使う時間の問題で、眼に疲れがたまるということが大きな原因となるようです。<タブレットは1回に30分>とか<スマホは1日1時間>など、家族内できちんとルールを決めておくことが大事だと思います。タブレットは勉強以外にも、写真を撮ったり日記を書いたりもできます。うちの娘はペットのハムスターの写真を撮って日記を書いたりしていて、自分らしい楽しい使い方ができるのも喜んでいます」カラフルで、ゲーム感覚で学べるのが魅力。競争が苦手で1人で勉強したい子におすすめ例えばテキスト入力はタッチペンで実際に書いて文字を選択するスタイルで、かつ漢字や書き順なども実際に書いて答えるので、書くプロセスもきちんとあるので安心だと思いました。お話を聞いた後、実際に「スマイルゼミ」のタブレットを触ってみると、ゲーム感覚で計算したり、漢字を書いたりするプログラムもあり、やってみると意外と楽しかったです。また、色彩もカラフルで、見ているだけで楽しく学べる雰囲気が伝わってきました。木村さんは、娘さんの経験から「人と競争したり、見られながら勉強するのが苦手という子どもにもタブレット学習はおすすめ」と教えてくれました。2020年の教育改革を前に、改めてわが子の教育について考えておきたいもの。タブレット学習が合う子、合わない子それぞれあると思いますが、昔の概念にとらわれずに、今の時代に、また子どもの特性に合った学習方法のひとつとして、タブレット学習を一度体験させてみても良いかなと思いました。タブレット学習を行っているところはいくつかあるので、興味のある人は、ぜひ調べてみてくださいね。<協力>スマイルゼミ<写真・文:フリーランス記者武田由紀子>
2017年11月29日LDでも、勉強の成果が出なくても…めげない息子Upload By ひらたともみLD(学習障害)のある息子は現在中学3年、受験生。部活に、文化祭に…と精力的に中学生活に取り組んでいましたが、勉強の方はというと、教科によっては1ケタ台のテストの点を取ってきているものもありました。しかしそれでも、たとえ課題の答えが間違っていたり、テストでなかなかいい結果がでなくても、めげずに根気強く、毎日をいつも通りにこなしていました。その姿勢と粘り強さには、感動すら覚えます。そして部活も引退になった夏休み。リクのライフスタイルに変化が出てきたのです。ウチの息子が…本当に勉強をしにカフェへ…?Upload By ひらたともみ当然ながら、本当に勉強しているんだろうか…?という疑念を抱き、時々こっそり偵察に行ったのですが…Upload By ひらたともみUpload By ひらたともみまさにミラクル!結果が出だしたのです。LD検査時に言われた「開花」の可能性の話を思い出したUpload By ひらたともみUpload By ひらたともみ「普通科高校に入りたい」そう言ってはいたものの、正直、なかなか点数が上がらなかったリク。口には出しませんでしたが、私の中には普通科高校進学以外の道もあるだろう…と考えていました。が!それは時期尚早だったと思い知らされることに!徐々に努力が実りだし、校内順位も上がってきたのです。受験はリクにとって、人生最初の大きなチャレンジの場。今はとにかく、どういう形であれ、リクの未来に希望があればいいな、と願ってやみません。
2017年11月14日