寺田倉庫と日本建築文化保存協会は、 建築模型を中心とする建築文化の継承と普及を目的とした「建築倉庫ミュージアム」をオープンすることを発表した。場所は東京都・天王洲(寺田倉庫本社ビル1F)。オープンは2016年春を予定。開館日は火曜~日曜(月曜休館、ただし月曜が祝日の場合は翌火曜休)。入館料は大人1,000円/ 学生500円。同館は、「収蔵庫そのものを展示する」をコンセプトに作られた、新しいかたちのミュージアム。建築模型を一般に公開するだけでなく、模型専門の保存・保管機能を併せ持ち、建築文化の貴重な資料である模型にとっての最適な環境を整えている。約450平方メートル、天井高5.2メートルの大空間に並ぶ合計116の棚には、国内外で活躍する日本人建築家や設計事務所による建築作品の模型がスタディから竣工模型まで一同陳列され、来館者は棚の間を縫うように回遊しながらさまざまな模型を鑑賞することができる。また、各棚には出展者名とQRコードを記載したパネルが設置され、タブレット端末やスマートフォン等でQRコードをスキャンすると、出展者の活動や模型作品の竣工写真や図面等の情報にアクセスできる仕組みも用意されるということだ。
2016年03月07日瞑想状態に近づくと窓が閉じ、意識が散漫になると窓が開き、眼前に東京タワーの景色が広がる。ライゾマティクスの建築部隊(Rhizomatiks Architecture)が、今回「メディア アンビション トーキョー2016(MEDIA AMBITION TOKYO 2016)」(以下MAT)に出展した作品に、初日の2月26日から多くの体験希望者が列を作った。六本木ヒルズ・森タワー52階東京シティビューで展示されている「MAT LAB」はアーティストと企業による新しい実験の場として、様々な実験的な作品が並ぶ。日本を代表するデジタルクリエイター集団のライゾマティクスは今回MATに、空間とテクノロジーの可能性を探るインスタレーションの3作品を『SPACE EXPERIMENT』として出展している。すべてこれまで彼らが提唱してきた身体と空間の関係性を、今のテクノロジーを使って実験しているもので、再度実現性をスタディしたもの。今回は脳波を解析してモーターに連動し、インタラクションを起こす冒頭の「マインデッドミラー」、intel computer stickを内蔵した眼鏡を装着することで耳殻の傾きに呼応して映像が変化する「センスドビジュアル」、喉の空間構造と唇の形で音を再現させる「スロート」の3つのインスタレーションで構成されている。ライゾマティクスはこれ以外にも2001年に発表され話題を集めた映像音響型コンピュータゲームRezの作者、水口哲也氏と慶応技術大学大学院メディアデザイン研究科との3者コラボによる音楽を触覚、視覚、聴覚で体感する共感覚スーツ『Rez InfiniteーSynesthesia Suit(シナスタジアスーツ)』の開発へも参画している。体験型作品は、これ以外にもヘッドマウントディスプレイを装着し、自己の身体と向かい合ったモニターに映る自己の鏡像とインタラクションすることで、自己認識と時間と空間の概念をモジュレーションさせる『The Mirror/藤井直敬+GRINDER-MAN+EVALA』も体験できる(要整理券)。また、3Dプリンターとスマートフォンを活用することによって低コストで実用的な電動義手の開発を行う『Handiii/Hackberry』といった身体性とテクノロジーの考察は、イベント全体の大きなテーマとなっている。それ以外にも、ビジュアルデザインスタジオのWOWによるレーザーと霧を使ったホログラムアートの『Light of birth』、パリを拠点に活躍する音響映像アーティストのアレックス・オジェ(Alex Augier)のキューブ状のビデオアート『ヴォクセル(vVvoxel)』、パリの1024アーキテクチャーによる姿を変える立方体『WALKING cube』、自分の立つ地球の裏側の空をモニターに映し出す寒川裕人(EUGENE KANGAWA)のインスタレーション『Syndrome/Earth Hole』など、展示環境とメンテナンスの問題からなかなか多くの作品を1ヶ所に集めるのが難しいメディアアートが一堂に会した貴重な機会となっている。また寒川氏の新たなプロジェクトとして、ゴールドウィンとSpiberの共同開発による人工合成クモ糸で作られた革新的なタンパク質素材で作られたノースフェイスのムーンパーカーと映像作品も展示されている。ファッション関連ではそれ以外に、東京コレクションにも参加し、3月パルコに直営店がオープンするエトヴァス・ボネゲ(Etw.Vonneguet)の作品『FABOLOGY』が展示されている。セメダイン社が開発した導電性接着剤を使用。2400個のLEDを搭載し、デザイナーOlgaからファッション視点でのウェアラブルが提案されている。【イベント情報】MEDIA AMBITION TOKYO 2016■六本木会場六本木ヒルズ52階東京シティビュー住所:東京都港区六本木6-10-1会期:2月7日から3月21日時間:月から木曜日・日曜日、祝日10:00から22:00入場料:当日1,800円前売り1,500円(東京シティビュー入場料)Text: 野田達哉
2016年02月29日アップリンクは、選りすぐりの建築映画5本を順次上映する「知らなかった!もっと知りたい建築の世界『建築映画特集』」を開催する。日程は2月27日~3月中旬まで。会場は東京都・渋谷の渋谷アップリンク。鑑賞料金は一般:1,300円/学生・シニア:1,100円 / UPLINK会員:1,000円。今回の「建築映画特集」は、2月20より全国順次公開の映画「もしも建物が話せたら」と、2月13日から上映が始まる「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」の2作品が渋谷アップリンクで公開されることを記念して実施されるもの。上映作品は、磯崎新、安藤忠雄、伊東豊雄など1970年代から現代に至までの日本の建築史を振り返るドキュメンタリー映画「だれも知らない建築のはなし」、謎の死を遂げた孤高の天才建築家ルイス・カーンの生涯を、実子であるナサニエル・カーンが世界中を巡り追い求めるドキュメンタリー「マイ・アーキテクトルイス・カーンを探して」、建築家ノーマン・フォスターの創造的建築人生に迫るドキュメンタリー「フォスター卿の建築術」、世界中に親しまれているイームズ・チェアの誕生秘話と夫婦の愛の物語「ふたりのイームズ:建築家チャールズと画家レイ」、安藤忠雄氏や隈研吾氏など世界で活躍する14人の日本人建築家らが、自ら設計した建築物と美意識を語る「sur/FACE 14人の現代建築家たち」の5作品。また、上映スケジュールは、「だれも知らない建築のはなし」が2月27日~3月4日、「マイ・アーキテクトルイス・カーンを探して」が3月5日~11日。残りの3作品は日程調整中とのことだ。なお、映画の詳しい内容やスケジュールに関しては、「建築映画特集」のWebサイトのスケジュール詳細ページを参照してほしい。なお、チケット料金は一般が1,300円 / 学生・シニアが1,100円だが、新作の「もしも建物が話せたら」と「創造と神秘のサグラダ・ファミリア」のいずれかの半券またはレシートを提示すると、一律1,000円で鑑賞できるとのことだ。
2016年02月09日京都・西陣で220年以上の歴史を有す服部織物と、京都を拠点に建築から家具の設計デザインまで幅広く活動するアートユニットGENETOによって、2012年スタートした「服部源ト」。同ブランドが来年1月12日まで、伊勢丹新宿店本館4階=ラグジュアリーステージで、コレクションを披露している。一部商品は購入することも可能。GENETOの山下麻子氏によれば「西陣織の特色の一つである引箔(ひきばく)技術は、非常に高度なテクニック。特に、服部織物では、金箔、銀箔、柄箔、プラチナ箔の技術を使い、緻密で立体的な織柄を生み出しています。こんなに素晴らしい技術があるなら、着物や帯に留まらず、新たな展開で西陣織の魅力を楽しめる可能性があるのでは、と思い一緒に物づくりをスタートさせた」という。服部源トでは「空間のジュエリー」コンセプトに、見る角度によって異なる表情を見せる西陣織の魅力を引き立てるため、天井から吊るすタイプのモビールと、置いて楽しむタイプのモビールをデザイン。天井から吊られた無数の傘が連なる「ASCENSION」は“上昇”を意味し、西陣織の小さな傘の先には黒水晶のビジューが揺れる。四角形や五角形の木枠に、黒地に銀、白地に金の西陣織がはめ込まれた「IRIDESCENCE」は“玉虫色”を意味し、見る角度によって様々に表情を変える様を楽しむ事が出来る。また、コンパクトに置いて楽しむタイプのモビール「MELODIOUSNESS」は“心地よい旋律”を意味する。マットな質感と鏡面を組み合わせた木枠の中に、西陣織がデザインされており、風が流れると共に静かに揺れる作りになっている。同期間、伊勢丹新宿店では日本のよいもの、よいことを発信するキャンペーン「ジャパンセンスィズ(JAPAN SENSES)」を行っており、館内各所で日本の伝統とモダンな感性が織りなす空間を楽しめる期間となりそうだ。
2015年12月27日東京都・赤坂の21_21 DESIGN SIGHTは、建築の慣習を覆し、世間の常識に挑戦する作品をつくり続けてきたフランク・ゲーリーの展覧会「建築家 フランク・ゲーリー展 "I Have an Idea"」を開催している。会期は2016年2月7日(12月27日~1月3日・火曜休館、ただし11月3日は開館)。開館時間は10:00~19:00。入場料は一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料。同展は、ビルバオ・グッゲンハイム美術館をはじめ、昨年開館したルイ・ヴィトン財団など、半世紀以上にわたり建築の慣習を覆し、世間の常識に挑戦する作品をつくり続けてきた建築家フランク・ゲーリーの「アイデア」を紹介するもの。展覧会ディレクターには、エストニア国立博物館の設計や東京の新国立競技場基本構想国際デザイン競技のファイナリストとして国内外から評価の高い建築家田根剛を迎え、同氏の仕事に大きな影響を与えたゲーリーの「アイデアの力」に注目する。ゲーリー建築の生命力に満ちた外観と居心地の良い内部空間を映像で体感できるプロジェクションをはじめ、ひとりの人間としてのゲーリーの姿に触れられる「ゲーリー・ルーム」が登場する。そして、つくっては壊し、またつくり、疑い、時に否定しながら生み出されるゲーリーのアイデアと、その実現に不可欠なテクノロジーや素材、建築プロセスを紹介するということだ。同展の開催に際し、田根氏は次のように語っている。「本展は建物の紹介を中心とした建築展ではなく、建築家の展覧会です。フランク・ゲーリーがどのような人物で、何に興味を持ち、どこで着想を得て、何に執着を示すのか……つくっては壊し、壊してはつくり上げる大量の模型、シンプルな組み合わせで生み出される見たことのない複雑な形態、建築業を熟知して考案されたゲーリー・テクノロジーによる最新の設計手法、そして世界各国で同時に進行し続けるプロジェクトの数々……これら膨大な創造力と作業量はどのようにして可能だったのか。ゲーリーは誰もみたことのないアイデアを生み出すために、どんなに困難な状況でも、努力と信念、葛藤と重責のなかで、「アイデア」を実現するために勇気もって闘い続けてきた建築家なのです。アイデアはポジティブな力がなくては生み出せません。本展を見ることでゲーリーの成し遂げた「アイデアは世界を変える」と信じてもらえれば最高です。」
2015年10月19日写真提供:ダラデヴィ・チェンマイ敷地内から一歩も出なくても、滞在しているだけで、地元のカルチャーや建築のエッセンスを感じることができるホテル。それが、チェンマイ東部の広大な敷地に広がる「ダラデヴィ・チェンマイ」。エキゾチックでスゴイ!となんとなく感じるだけではなく、少し意識して建物を見ると、チェンマイの歴史が見えて来ます。美しい壁画に見る、隣国ラオスとの歴史著者撮影ホテルのエントランスから入ると、ゲストがまずカメラを向けるのが、右手にある大きなファンクションルーム。赤く塗られた壁一面に、きらめくガラス素材で、背丈の倍ほどある植物が描かれています。これは、ラオスの古都ルアンパバーンにある寺、ワットシェントーンの本堂の裏側にあるモザイク画「生命の樹」から着想を得たもの。他の国のまねをしていると思うことなかれ。14世紀にラオスを統一したランサーン王国は、15世紀には北タイのランナー王朝と友好関係を発展させました。16世紀には、ランサーン王国の王子がランナー王朝の王ともなり、文化や建築、言葉も似ているそう。ちなみに、ランサーンとは千の象という意味、ランナーとは千の田という意味。馬車で巡る敷地内著者撮影60エーカー(約24万2千㎡)という広大な敷地に立つ『ダラデヴィ・チェンマイ』では、敷地内をゆっくり馬車で巡るのも、人気のアクティビティ。この馬車は、チェンマイから南へ車で1時半ほどのランパーン名物“花馬車”を思わせます。ランパーンは、かつて、チェンマイ付近から産出する木材を、バンコク方面へと川を使って運ぶために栄えた町。様々な文化に彩られた宿泊棟著者撮影宿泊棟は、大きくコロニアルスイートのコンパウンドと、ヴィラのコンパウンドに分かれていて、まるで、敷地内にいくつかの町や村があるような気分。コロニアル建築は、19世紀、英国人が材木輸出のためにチェンマイに滞在し、欧風の建物を建てたことに由来しているそう。中国のショップハウスの影響も見られます。ヴィラは、昔の民家をモデルにしたチーク作りのランナー様式。著者撮影ちなみに、ホテルの入口に川と橋があり、わざとデコボコの石畳が敷き詰められているのも、かつてのチェンマイの旧市街をイメージしているのだとか。まさに『ダラデヴィ・チェンマイ』は、ここだけで小さな王国のよう!ランナー建築の美しいギャラリー著者撮影セレクトされたお土産や雑貨を扱うギャラリーも、緑の中に佇むランナー建築。ゆるやかに曲線を描く屋根が、地面近くまで降りて来ている美しい建築デザインです。ランナー様式のお寺などにも、こうした建築がよく見受けられます。自転車や徒歩で、敷地内を散歩するゲストたちが、ついカメラを向けていた場所のひとつ。ダラデヴィ・チェンマイで必ず体験したいのが、スパ著者撮影極めつけは、スパ!「ザ・デヴァ・スパ&ホリスティックセンター」のメイン棟は、ミャンマーのマンダレー王宮がモデル。精緻な装飾的彫刻が施された建物は、なんとも見事で、つい見とれてしまいます。スパロビーは、天に向かって徐々に小さくなる7段の屋根を備えた華やかなミャンマー様式。ミャンマーの寺院でにらみを効かせているチンテ(獅子)も左右におわします。チェンマイは、16世紀ミャンマーの支配下にありました。25室ものトリートメントルームがあるスパでは、本格的なカウンセリングからのアーユルヴェーダトリートメントが超オススメ!ランナーの象徴「緑の田んぼ」千の田の王国、ランナーを象徴するように、敷地内のあちらこちらには、緑の田んぼが広がります。農家と契約して、実際に、米を採っているとか。田に建つ建物は、もちろん、田舎の農家スタイル。ローカルの建築をテーマにしているホテルは数多くあるけれど、ここ『ダラデヴィ・チェンマイ』では、北タイのさまざまな様式の建築が、エリアごとに展開されているのが興味深し。泊まって、敷地内をぐるりと巡って、建築散歩を楽しんでみませんか?(text : 坪田 三千代)大人の東南アジアご褒美旅~テーマとスタイルのある旅~その他の記事を読む>
2015年09月29日ブラジルのモダニズム建築の父、建築家のオスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)の日本初の大回顧展「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」が、10月12日まで東京都現代美術館で開催されている。同展では、オスカー・ニーマイヤーのほぼ1世紀に渡る建築デザインの活動を、図面、模型、写真、映像などによって紹介。代表作のひとつであるブラジル・イビラプエラ公園の30分の1の模型も、約500平方メートルのアトリウムの大型空間で展開している。オスカー・ニーマイヤーの日常や創造の秘密が見れる映像資料や、首都・ブラジリア建設の詳細なドキュメントも展示される。なお、会場は「SANAA」によって、ダイナミックでモダンかつ有機的な曲線でデザインされた。ブラジル国内の主要な建築の設計を手掛け、そのユニークな創造性で高い評価を受けたオスカー・ニーマイヤーは、過去にアメリカ建築家協会ゴールドメダル、プリツカー賞、高松宮殿下記念世界文化賞など数多くの賞を受賞。国民会議議事堂や大聖堂などの首都・ブラジリアの主要な建物設計を行った1950年代の国家の大プロジェクトにも参加している。【イベント情報】「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」会場:東京都現代美術館 企画展示室地下2階住所:東京都江東区三好4-1-1会期:7月18日~10月12日時間:10:00~18:00(7月~9月の金曜は21:00まで、入場は閉館の30分前まで)料金:一般 1,100円、:大学生・専門学生・65歳以上800円:中高生 600円:小学生以下 無料休館日:月曜日(9月21日、10月12日は開館)、9月24日
2015年08月07日日本に留学経験があり、日本語や日本事情に精通したユンさん。36歳の若さで、韓国の国立大学建築学部の教授に就任したエリートで、現在は、韓国の建築学会のために日々奮闘しています。ユーモアたっぷりに、ご自身のキャリアについて語っていただきました。■これまでのキャリアの経緯を教えてください建築分野に進んだ理由は、私が学生だった当時、韓国では国家プロジェクトとして建築学が重要視されていたことがあります。また、幼いころから美術を習っていて、漠然と建築物に興味を持つようになりました。大学卒業後、ソウルの漢陽大学建築学部にて修士課程修了後、1995年より日本の国立T工業大学に留学し、工学博士号を取得しました。当時の研究テーマは、環境共生型の都市を実現するため、「息をする壁体」という建築素材の研究と開発に取り組んでいました。博士号取得後、そのまま同大学の研究室にてリサーチアソシエーターとして勤務。勤務中に、図らずも研究室の日本人の後輩に一目ぼれをし、縁あって国際結婚をしました。結婚後、日本建築研究所で研究員として3年間勤務の後、2005年に韓国の国立大学の建築学部の助教授に就任することになり、10年ぶりに韓国に帰国しました。以来、韓国の建築学会のために日々全力を尽くしています。■現在のお給料について教えてください国家機密…というのは冗談ですが、満足しています(笑)。韓国に来る前も日本でそれなりに貰っていたのですが、当時は円安だったので、退職して韓国に帰国する際には相当損をしてしまいました。■今の仕事で気に入っているところ、満足を感じる瞬間は?やはり、自分の研究が必要とされ、その成果が認められた時が一番うれしいですね。また、自分の教え子達が卒業後に活躍している姿を目にしたり、たまに研究室に訪ねてきてくれるのも楽しみです。■逆に今の仕事で大変なこと、嫌な点は?仕事自体に不満はありませんが、韓国では仕事絡みで飲み会をすることが多く、お酒があまり飲めない私は、飲み会はいつも大変です。■日本人のイメージは? あるいは理解しがたいところなどありますか?私が日本に留学する直前の1995年3月、オウム真理教による地下鉄サリン事件が起きました。当時の私は「日本とは一体どういう国なんだろう?」と衝撃と不安を抱えたまま日本に渡りました。しかし、いざ大学の研究室に入ってみたら、今まで出会ったこともないような実に個性豊かな面白い仲間たちに出会え、すぐに打ち解けることが出来ました。例えば、私が暮らししていたアパートは1階の部屋だったのですが、夏に窓を開け放して寝ていたら、夜中に仲間たちがこっそりやってきて、部屋にロケット花火を打ち込まれたり(良い子の皆さんは危ないので、絶対に真似しないでくださいね・笑)、今は立場上、公言出来ない事も多いですが、とにかく楽しい思い出がたくさんあります。また、日本はオタクの地位が高いのも自由で良いな、という印象です。オタクっぽい趣味や行動も評価され、一定の地位を得ている。研究室には個性の強い人も多数いましたが、皆それぞれが自分の研究分野に精を出し、認められていたと思います。■最近TVやラジオ、新聞などで見た・聞いた日本のニュースは何ですか?日韓関係のニュースは、あまり見ないようにしています。日本のスポーツ中継や報道番組、お笑い番組は面白いので、今でもYouTubeなどでチェックして楽しんで見ています。すこし古いですが、私が日本に留学していた頃は、久米宏さんのニュースステーションに衝撃を受けました。韓国にはあのような報道番組はありませんでしたから、「ニュースって、こんなに面白く放送できるものなんだ!」と非常に斬新でした。また、今は日本で活躍している韓国の野球選手の試合はいつも必ずチェックしていますね。特にソフトバンクの李大浩の活躍が気になりますね…って、すみません、全然最近のニュースではないですね。■ちなみに、今日のお昼ごはんは?今日は、出張先の大学でハンバーグ定食を食べました。普段は自分の大学の近くで同僚ととることが多いです。学生街ということもあって、食べるところには困りません。ランチの後は、必ずカフェでカプチーノを一杯飲むのが私の楽しみです。■休日の過ごし方を教えてください比較的、時間の自由の効く職業ではありますが、忙しい時は、土日や時間帯関係なく、韓国各地で会議などの重要な仕事が入ります。しかし、どんなに忙しくても1カ月に一回は、週末に時間をとって家族と過ごすようにしています。どうしても時間が取れない時は、出張先に家族を連れていくこともあります。体を動かすのが好きなので、ジムに通ったり、自然の中でキャンプをして過ごしたり、映画を見に行ったりもしますね。アウトドアは学生時代から好きで、日本でもテント一式を買ってキャンプに行っていました。日本には施設の整った良いキャンプ場がいっぱいあっていいですね。最近では韓国もアトドアブームで、いろんなキャンプ場が整備されてきたので、楽しみです。■将来の仕事や生活の展望は?日本の大学との共同研究を増やして、妻のためにも韓国と日本を行き来できる生活をしたいです。
2015年08月05日5人の建築家で結成されたグループ「家をつくろう会議」は、現代の建築家が共同設計した「サザエさんの家」の模型や、建築家との家づくりの実際を一般の人向けにわかりやすく展示した「家をつくろう展4」を開催する。会期は7月3日~5日 10:00~18:00(初日のみ13:00~)。会場は東京都・文京区の文京シビックセンター内、ギャラリーシビック展示室1B。入場無料。同展の目玉となるのは、「もしもサザエさん一家から家の建て替えを依頼されたら、現代の建築家はどんな家を建てるのか?」をテーマに、5人の建築家が共同設計した「サザエさんの家」の1/20の模型。設計にあたっては、"サザエさんの町"として知られる東京都世田谷区桜新町の街並みを5人のメンバーが視察し、議論を重ねながらひとつの家のプランをつくっていったという。サザエさんの家の象徴である「縁側とちゃぶ台」を現代建築に蘇らせ、ユニークで夢のある家に仕上がっているという。また、会場には土地探しから完成までの家づくりの流れとともに、実際に使われる模型や図面が展示され、建築家と家を作るプロセスが疑似体験できる構成となっている。なお、当日はアンケートに答えると、家をつくろう会議の本「新しい住宅デザイン図鑑」が抽選で30人に進呈されるということだ。なお、「家をつくろう会議」は、石井秀樹、杉浦充、都留理子、長谷部勉、村田淳の5人の建築家が集まって結成されたグループ。イベントなどを通じて、建築家との家づくりの実際とその魅力を伝える広報活動を行っている。
2015年06月30日ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)が、日本モダニズム建築の継承と関心を高めるプロジェクトの第2弾を開始する。同プロジェクトは、ホテルオークラ東京の本館建て替えが発表され、ブランドのクリエイティブ・ディレクターを務めるトーマス・マイヤーがモダニズム建築を象徴する建造物の存続の危機を知ったことをきっかけに、昨年11月に始動したもの。第1弾では、ライフスタイルマガジン『カーサ ブルータス(CASA BRUTUS)』の日本のモダニズム建築特集号でコラボレーションを行った他、金沢21世紀美術館で解体の危機にさらされている様々な建物について語り合うシンポジウムを開催した。第2弾となる今回は、公式サイトにてモダニズム建築の流れを汲む現存する建造物の中で最高傑作のひとつとされているホテルオークラ東京の特設ページを開設。建築や美術、デザイン業界を始めとする様々な分野から集まった同ホテルのファンからのビデオメッセージを公開しており、建築家の森俊子やデザイナーのマーク・ニューソン、現代美術家の杉本博司などが、ホテルオークラ東京というモダニズム建築の至宝を賞賛している。また、第1弾から続くソーシャルメディア活動「#MyMomentAtOkura」プロジェクトを拡大。同プロジェクトは、ホテルオークラ東京の本館を思い思いに撮影し、写真にハッシュタグ「#MyMomentAtOkura」を付けて自身のインスタグラムのアカウントでシェアするというもの。今後は、投稿写真の中から選ばれた作品をユニークなイラストに描きかえるという新たな試みも実施される予定だ。
2015年06月22日オートデスクは5月25日、建築業界向けパッケージ「Autodesk Revit Collaboration Suite 2016」を6月1日に発売すると発表した。「Autodesk Revit Collaboration Suite 2016」は建設業界におけるBIMワークフローに対応した設計業務をプロジェクトチームで効率的に運用するためのパッケージとなっており、BIMアプリケーション「Autodesk Revit 2016」、汎用2D/3Dアプリケーション「Autodesk AutoCAD 2016」、クラウドベースのコラボレーションサービス「Autodesk A360 Team」が同梱されている。また、ライセンス体系は使用期間を選択できる「Desktop Subscriptin」で提供される。価格(税別)は1カ月で4万8000円(同社オンラインストアのみの販売)、3カ月で14万3000円、1年で38万2000円、2年で76万4000円、3年で114万6000円となっている。
2015年05月25日斬新すぎる建築の数々を設計してきた建築家・藤本壮介さんの展示「未来の未来」がTOTOギャラリー・間で開催されている。 *** 藤本さんは、393もの応募案が出た青森県立美術館の設計コンペに無名の個人ながら応募。2位を獲得し異例のデビューを飾った。以後、住宅からタワーまでジャンルを問わず制作。今や日本を代表する建築家の一人に。 本展では、数々のプロジェクトから100以上の模型を展示。パッと見て面白いのはもちろん、藤本さんが「未来の種」と呼ぶ、革新的な建築の姿が見えてくるはず。 ◇information TOTOギャラリー・間東京都港区南青山1-24-3TOTO乃木坂ビル3F公開中~6月13日(土)11:00~18:00月曜休TEL:03・3402・1010入場無料 (C)SFA+NLA+OXO+RSI (C)Iwan Baan ※『anan』2015年5月20日号より
2015年05月19日オートデスクは5月7日、建築・土木インフラ業界向けBIM/CIMアプリケーションパッケージの新バージョン「Autodesk Building Design Suite 2016」と「Autodesk Infrastructure Design Suite 2016」を5月15日より発売すると発表した。これら2種類のパッケージは、建築・土木業界の幅広い業務ワークフローにBIM/CIMを適用しながら、企画、設計、施工、維持管理を効率的に行えるよう支援するパッケージとなっているという。また、同社のクラウドサービス「Autodesk A360」を必要に応じて組み合わることで、チームコラボレーションやシミュレーションなどの機能を利用でき、時間や場所、端末の種類を気にせずにプロジェクトに参加することができるようになる。
2015年05月08日ファッションウィーク東京2015の一環として、3月19日から22日まで「アドレッシング(AD- DRESSING):ファッションと建築における対話」が開催される。会場はライト ボックス スタジオ青山。同イベントはオーストリアの新鋭ファッションブランドを広くアピールすることを目的としたもの。会場では彼らの15SSコレクションや、15-16AWコレクションが展示される。更に、“形と機能とのアンビバレントな関係は、形そのものが機能となる方向へと変化したのか?”“現在のデザインでは、機能に添った形を創りだすのではなく、形そのものが機能によって決定されると言えるか?”などをテーマでディスカッションを行い、応用美術領域でのファッションと建築について言及していく。イベントに参加するのは全部で10ブランド。ウィメンズからは女性ファッションとアクセサリーを中心に、文化的多様性やステレオタイプを含んだハイブリッドな作品を展開する「ブラダリッチ・オーマエ(BRADARIC OHMAE)」や、“ガールス”と“レディース”の融合を打ち出す「メシット(MESHIT)」などが登場。「ディーエムエムジェイケイ(DMMJK)」は、繊細な材質とサブカルチャー、カモフラージュを融合させたカッティングが特徴のアイテムを展開。「ネイチャース オブ コンフリクト(NATURES OF CONFLICT)」は、デザインの全体と部分の構成を新たに定義することで、変則的なデザインを生み出している。その他、アクセサリーやバッグのブランドからは、「エヴァ ブルート(EVA BLUT)」や、デザイナー自らがハンドメイドしたアクセサリーをメインに扱う「ウェルクプルンク(WERKPRUNK)」、「モト・ジャリー(MOTO DJALI)」、「ゴン(GON)」、「ハウス オブ ザ ヴェリー アイランズ…(HOUSE OF THE VERY ISLAND‘S...)」、「サイト・ライン(SIGHT LINE)」などのブランドからも、最新のアイテムが展開される。20日には特別ゲストとしてファッションデザイナーのエドヴィナ・ヘアル(EDWINA HORL)とまとふ(matohu)のデザイナー等を招き、トークイベント「ファッションにおける対談」を開催。一方、21日には個人家屋をはじめ、コミュニティープロジェクトやディスプレイ、家具デザインも手掛ける安部良などによる「建築における対談」が行われる。【イベント情報】アドレッシング:ファッションと建築における対話会場:ライト ボックス スタジオ青山住所:東京都港区南青山5-16-7会期:3月19日から22日まで時間:12:00から19:00(19日は16:00から)
2015年03月18日●建築家としての板坂氏が考える「残るデザイン」とは?UX(ユーザーエクスペリエンス)やUI(ユーザーインタフェース)のデザインやソフトウェアの企画・開発などを事業とするZEPPELIN(ツェッペリン)は、毎回迎えるゲストの専門分野やデザイン/UXとの関わりなどを、同社代表の鳥越康平氏と語るトークセッション「ZEP NIGHT」を不定期で開催している。ここでは、去る1月30日に開催された、建築家・プロダクトデザイナー板坂諭氏(the design labo代表取締役)をゲストに迎え、「残るデザイン」をテーマに語った「ZEP NIGHT vol.4」の模様をレポートする。○「魂に響く体験」をデザインする「ZEP NIGHT vol.4」は、ZEPPELIN代表取締役社長・鳥越康平氏の挨拶で幕を開けた。同社は、NTTドコモの「しゃべってコンシェル」をはじめとする、数々の美しいUIやUXのデザインを世に送り出してきた企業だ。冒頭に鳥越氏は「便利さや豊かさは確かに重要」だとしながらも、「われわれZEPPELINのテーマは、"美しさ"を追い求めること」と説明。高速道路を例に「日本中を張り巡らせている高速道路は確かに早くて便利だが、今後もわれわれはそんな豊かさや便利さを追い求めていくのか。それでわれわれの今後の幸せは来るのか」といった疑問を投げかけた上で、「"美しさ"を追求することで世界を変えたい」と強調した。同社が考える"美しさ"とは、見た目がキレイというものではなく、「魂に響く体験をデザインする」ことだという。一般道を走っているときに鳥越氏が出くわした、見渡す限りに広がる美しい小麦畑の写真をスクリーンに映し出し、小麦が風に揺れるシーンに感動した様子を伝え、「まさに魂に響く体験だった」と振り返りながら、「こんな体験をデザインしていきたい」と同社の方向性を伝えた。○「建築」も「UX/UI」もデザインの考え方は共通続いて、今回のゲストである板坂諭氏と鳥越氏との対話形式によるトークセッションへと移行した。板坂氏は、サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)のパーマネントコレクションとして収蔵されている、核兵器撤廃を願うメッセージの込められたランプ「Mushroom Lamp(マッシュルームランプ)」を手がけるなど、建築や家具などを題材としてそのものに込めたメッセージをもとに生まれる二次的なコミュニケーションをデザインすることを得意とする建築家であり、プロダクトデザイナーだ。最初に鳥越氏は、今回の「ZEP NIGHT」に板坂氏をゲストとして招いた理由として「"建築"と"UX/UI"は全く異なるものであると思われがちだが、"デザイン"という軸で考えれば、手法や技術の違いはあれどデザインの考え方においては共通項が多い」と説明し、「建築家の方と話をするとデザインの勉強になるし、とても参考になる」と語った。●"千年残る建築"とは?○建築家として板坂氏が考える「残るデザイン」続いて、板坂氏がこれまでに手がけてきた仕事などを簡単に紹介したのち、今回のトークセッションのテーマである「残るデザイン」についての話となった。同氏は「聖路加には古くて良い住宅が残っているが、先日お気に入りの古民家が解体されてしまった。材料もぜいたくだが、銀座から徒歩圏内にそんな住宅が残っていることがとてもぜいたくだ」としながらも、建築知識が浸透していない人たちによってそれが壊されてしまうことに衝撃を受け、「できればリノベーションして、海外のゲストを迎えたりしたかった」と惜しんだ。小学生の頃から建築に興味を抱いていたという板坂氏が「残るデザイン」に興味を抱いたのは、スペインの"サグラダファミリア教会"が、専任建築家であるアントニ・ガウディが死去して100年経つにも関わらず、なお建築が続いていることをテレビ番組で観たことがきっかけだという。その時に「残ること」の大切さを感じるとともに「建築ならそれを実現できる」と感じたという。続いて、「進化」と「残る」とではどちらが大切かというテーマでは、「コレクションは残るものとして好きだが、進化して残る方が好き」だとし、「建築は進化するもので、完成したら終わりというものではなく、夏は鉄が延びるし冬はガラスが割れたりするように、建築も"新陳代謝"させていくことが必要だ」と述べた。また、これまで手がけてきたプロダクトに関しては、「使ってくれる人とコミュニケーションをするために作っている」とし、それぞれの作品にメッセージが込められていることを明かした。鳥越氏は板坂氏が手がけた「マッシュルームランプ」について、「この作品が作られたのは震災前であり、民衆の意識の中に原発というものが今ほどなかった時期でありながらも、板坂さんはそこに意識を向けた」と説明。さらに、「ブランドは、精神が込められているとその価値があがる」と述べ、「デザインには精神を注入するのが重要で、形状や生産性ばかりを主目的にすると間違った方向に進んでしまう。建築であろうと机であろうと椅子であろうと"精神を注入する"ことが必要だ」と強調した。ここで言う「精神」とは、具体的には「おもてなし」を指しているとし、「使う人の気持ちになって考えることであり、UI/UXはまさにそれかもしれません」と語った。○百年残る建築は「ザハ」、千年残るのは「伊勢神宮」続いて、一般参加者からの質問コーナーにシフトした。「"千年残る建築"と"百年残る建築"の違いは何か?」という質問に対し板坂氏は「私が思う美しいデザインとは"自然"と"思いやり"のふたつ」だと前置きした上で、"百年残る建築"は「人間が頑張ってまねた自然のデザインで建築で言えば"ザハ・ハディド"」と回答した。一方の"千年残る建築"については「神様に対する思いが形となった"伊勢神宮"」とし、「ザハの建築は千年は残らないと思う」と述べた。ふたつ目の質問として「"進化"と"残る"はどちらが幸せか?」を取り上げ、「"進化"に興味がある」と即答。「"進化"も残っているから進化するのであって"残る"に含まれるが、どちらかを選ぶのなら"進化"です。人の体も変わっているのは進化が影響しているし、進化しつつ残るほうに興味があります」と答えた。ただし、これは建築における考えで、プロダクトに関しては「残る」ほうに重きを置いているという。また、「気になっている建築スポット」についての質問には、「建築家のフランク・ゲーリーが作ったフランスの新しい美術館」だという。ここはルイ・ヴィトンファウンデーションがコレクションしているアイテムが展示される美術館とのことだが、板坂氏が惹かれた理由として挙げたのが、「パッと見て理解できない」、「図面化できない」、「見る角度で全然違う」、「色んな線が重なって絵にできない」ことだという。航空機の設計技術やCADが建築にも取り入れられたことで線が自由になったとし、これを活用してるのがフランク・ゲーリーだという。さらに、「自分から手をあげても作ってみたいもの」については「多くの建築家が終着点と目指している"美術館"」と回答するなど、いくつかの質問に対し建築家ならではの視点で答え、トークセッションの幕を閉じた。なお、板坂氏は1978年生まれ。大学卒業後、設計事務所にて建築の作り方を徹底的に学ぶ。2010年にデザインユニット「h220430」を立ち上げ、社会へのメッセージを込めたデザイン活動を開始し、2012年に「the design labo(ザ デザインラボ)」を設立。2011年に中国メディア主催のMedia Awardで「Annual Original Products Design Award」、2012年に「Mushroom Lamp」が米国サンフランシスコMOMAのパーマネントコレクションとして収蔵。2013年にはイタリアの「A’Design Award」において「Baby,Kids and Children’s Products Design Category銀賞」を受賞するなど、日本のみならず海外でも高い評価を獲得。2014年には、4月に開催されたミラノサローネでは新作プロダクト「Balloon Chair」を出展したほか、同年8月にはこれまで手掛けてきたプロダクトデザインの作品集「New Made In Japan The works of h220430」を出版するなど、海外を中心に幅広く活動している。
2015年02月02日東京都・初台の東京オペラシティアートギャラリーにて、プロダクト、グラフィック、建築など、スイスデザインの魅力を紹介する「スイスデザイン展」が開催されている。開催期間は3月29日まで(月曜と2月8日は休館)、開場時間は11:00~19:00(金土は20:00まで)、入場料は一般1,200円、大・高生1,000円、中学生以下は無料。同展は、日本とスイスの国交樹立150年にあわせて開催されている企画展で、両国の交流の始まりから近代デザインの草創期、多様な価値観とアイデアの展開する現在まで、約750点もの展示によって、スイスから発信されたさまざまなデザインを提示する。実用性と機能性を好み、伝統と最新技術を融合させながら手仕事的なぬくもりと美しさを愛するスイス人気質は、「スイスブランド」として現在に受け継がれており、鉄道や航空など「観光・交通」におけるデザイン、多様な領域におよぶスイスを代表する8ブランド(バリー、ビクトリノックス、シグ、ネフ、スウォッチなど)の取り組み、そこで受け継がれるデザイン理念などを紹介している。また、ル・コルビュジエ(1887~1965)とマックス・ビル(1908~94)という二人の巨匠の仕事や、バウハウスや抽象芸術の影響を受けて成立した「スイスタイポグラフィ」、スイスで最も権威のある「スイスデザインアワード」の近年の受賞者たちによる先端的な作品なども展示しており、その内容は多岐にわたる。なお、2月7日には柳本浩市(デザインディレクター、Glyph.代表)によるギャラリートークが開催。詳細は展覧会のWebサイトで確認してほしい。
2015年01月30日トッズ(TOD’S)が15SSメンズコレクションの広告キャンペーンを公開した。ロケ場所は建築家であるフィリップ・ジョンソン(Philip C. Johnson)の代表作「ガラスの家」。「ガラスの家」は49年にフィリップ・ジョンソンにより建てられた、世界的にも有名な建築物。そのコンセプトは建築における実体験を概念化することで、“見られている”“見えている”という事象を、“見られていない”“見えない”という関係へと転換。ガラスと鉄を用いた建築物は、建築における可能性という概念そのものを問う作品となっている。トッズは今回の広告撮影を記念して、ミラノのヴィラ・ネッキの庭園に「ガラスの家」を再現。その際にフィーチャーしたのが、トッズのアイコンシューズ「ゴンミーニ」の進化型である「シティスパイダー」だ。象徴的なペブルのパターンに幾何学的要素が盛り込まれたソリッドなソールには、職人のクラフツマンシップとイタリアブランドの伝統が凝縮されている。1月18日にはこの場所で15-16AWコレクションの発表も行われた。なお、今回の広告撮影を第1章として、“イタリアンスタイルが世界を旅する”というコンセプトの新プロジェクト「イタリアントラベルダイアリー」がローンチされる。キャンペーンに先駆けて、フィリップ・ジョンソンが出演するティーザー動画も公開されている。
2015年01月22日○建築で対象となる3D点群の規模とその目的建築分野ではこうした建築物の3D点群データ化において、「設計」「工事中(施工)」「完成後の保守(補修工事)」「リフォーム」などの各作業段階において、それぞれ個別のメリットが存在します。撮影対象の規模としては、大きく複雑な建築物(所謂ゼネコンが請け負うような、高層ビルやプラント、橋やトンネルなど)に対して、3D点群スキャンの活用が行われることが多いです。その理由ですが、高精度で広範囲を3DスキャンできるLIDAR式スキャナーは、ゼネコンや重工業会社に土木系の測量会社など、この目的に沿った大企業でないとすぐには購入できないような高額な製品であることが普通だからです。そもそも、高精度な計測器とは、使用する人も少ないので、高額であるのが普通ですが(ちなみに筆者の前職の東陽テクニカは計測器の会社でした)。また、広範囲の3Dスキャンが活きるのは大きく複雑な建築物です。複雑な建築物ほど、設計通りのものを現場で作れているかを施工中になるべく小さなコストで確認していきたいので、3D点群データ取得して、デジタルに自動化していくことや、建築中の各途中段階で(例えば鉄骨のみの状態で)データとしてアーカイブしてゆくことが活きてきます。もちろん戸建てを建てる程度の施工でも、デジタル化して3D形状を保存することは当然メリットがありますが、戸建てを建てる程度の工事規模では、配管や、寸法のチェックなどは、人数さえかければ直接できますので、高価格のスキャナーが活きる規模ではないと言えます(注:今後、高精度もしくは中くらいの精度の広範囲3Dスキャンが低価格化してくると、規模が少ない(予算が多くない)工事でも、3D点群化の応用が伸びる可能性はあります。本連載の"第66回"で紹介したMatterportも、この低価格化を狙うものと言えます)。こうしたスキャナーで3D計測すれば、建築物の構造や寸法(各点のカラーも取れるので色合いも)をデジタルに保存することができるますので、設計図が3D CADで作成してある建築物であるものであれば、その設計図の3D CADデータとの(形状同士の)比較がそのままできます。画像での処理とは違い、点群は実スケールそのものでデータを取得できるので、なおさらこういった設計図と実際の建築物の比較が容易です。当然ながら部分的な寸法を測りたい場合も、その場で実物の長さや幅などの寸法を測るわけではなく、複雑な形をした対象でも、その形のままの形状をデジタル的にとらえていくことが可能です(この話はKinectなどの安価なデプスセンサーでも同様の話です)。点群データは対象のボリュームや形そのものを撮影できているので、丸いものでもそのままの形をデータ化して、その体積を計算することも可能です。また、撮影した3D点群をメッシュデータ化できるソフトウェアを活用すれば、スキャンしたデータから綺麗な3D CADデータを(半自動的もしくは自動的に)作成し、その3D化された街並みや環境の中を仮想的に探索することができますし、一方で、メッシュ化したデータを3Dプリンタで出力して模型の代わりに使用することもできます (注:綺麗な欠けの無いメッシュデータを点群から自動で作ることがいつもできるとは限りません。複雑な形状の場合は特にですが、3Dプリントするためにはメッシュ化して以降も手作業でプリントできる形状にまで編集する必要も発生します)。これらのソフトウェア的な処理による活用については、3Dスキャン技術の導入紹介が一通り済んで以降紹介していきます。林 昌希(はやし まさき)慶應義塾大学大学院 理工学研究科、博士課程。チームスポーツ映像解析プロジェクトにおいて、動画からの選手の姿勢の推定、およびその姿勢情報を用いた選手の行動認識の研究に取り組み中。(所属研究室が得意とする)コンピュータビジョン技術によって、人間の振る舞いや属性を機械学習・パターン認識により計算機で理解する「ヒューマンセンシング技術」全般に明るい。技術商社でエンジニアをしていたこともあり、海外のIT事情にも詳しい一方、デプスセンサ等で撮影した実世界の3D点群データの活用を推進するための「Point Cloud コンソーシアム」での活動など、3Dコンピュータビジョンのビジネスでの普及にも力を入れている。また、有料メルマガ「DERiVE メルマガ 別館」では、コンピュータビジョン・機械学習の初~中級者のエンジニア向けの、他人と大きな差がつく情報やアイデアを発信中(メルマガでは、わかりやすい理論や使いどころの解説込みの、OpenCVの初心者向け連載なども展開中)。翻訳書に「コンピュータビジョン アルゴリズムと応用 (3章前半担当)」。
2015年01月20日富士通システムズ・ウエストと四電工は12月18日、建築設備CAD「CADEWAシリーズ」の新バージョンとして「FUJITSU 製造業ソリューション 建築設備CAD CADEWA Real 2015 (建築設備CAD CADEWA Real 2015)」を2015年2月12日から販売開始すると発表した。新バージョンでは、鋼材の種類や機能を追加するとともに、吊りや支持が正しくできているか確認するチェック機能などが追加された。さらに、3次元CGの表現力を強化したことで、より立体感のある分かりやすいイメージを共有でき、円滑な意思疎通に貢献する。また、ユニコード化による多言語入出力を可能とし、データ連携やマスタ編集などの基本機能も強化された。なお、「建築設備CAD CADEWA Real 2015」には電気、空調・衛星、総合、LT電気、LT空調・衛星、LT総合の6種類あり、全種類オープン価格での販売となる。
2014年12月18日「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」が、日本のモダニズム建築の傑作であり、建て替えが迫るホテルオークラ東京と共に、SNSを使った新プロジェクト「#MyMomentAtOkura」をスタートした。現在の姿のホテルオークラ東京で過ごすひとときを、ソーシャルメディアを通じて広く共有するという内容。参加方法は至ってシンプルで、ホテルオークラ東京の本館を訪ね、思い思いに写真を撮影し、投稿と写真にハッシュタグ「#MyMomentAtOkura」を追加して自身のインスタグラムのアカウントでシェアすることで完了する。写真は以前に訪問した際に撮影したものでも可能。1962年に開業したホテルオークラ東京は、日本のモダニズム建築を代表する建造物として高く評価されてきた。しかし現在、来年予定される建て替えのために、その文化遺産としての継承が危ぶまれている。ボッテガ・ヴェネタは、次の世代に文化遺産を託し、伝統に由来する技術と創造性を守るというブランド哲学に従い、消滅の危機に瀕する日本のモダニズム建築への関心を高めるための活動を行ってきた。クリエーティブディレクターのトーマス・マイヤー(Tomas Maier)の、日本のモダニズム建築とホテルオークラ東京の長年のファンであり、本プロジェクトを通じてその文化的価値を再考するよう呼びかけたいとしている。
2014年12月15日●「デザインの庭」がコンセプトの会場構成日本デザイン振興会主催による「グッドデザイン賞」の最新の受賞作品すべてが展示される「グッドデザインエキシビション 2014」(G展)が、東京都・東京ミッドタウンにて11月4日まで開催されている。ここでは、同展の会場の様子をレポートする。グッドデザイン賞は、1957年に通商産業省(現・経済産業省)によって創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」。50年以上の長きにわたり、デザインが優れた作品に送られている、日本で唯一の総合的デザイン評価・ 推奨の仕組みだ。「グッドデザインエキシビション 2014」(G展)では、当年度のグッドデザイン賞を受賞した1,258件すべてが展示されると共に一般投票が実施されている。この後、審査委員によって審査が行われたのち、11月4日に「グッドデザイン大賞」ほか特別賞各賞が選出・発表される流れとなっている。審査委員は、深澤直人、佐藤 卓、廣田尚子、渡辺弘明、山本秀夫、柴田文江、櫛勝彦、橋田規子、安次富隆、朝倉重徳、山田晃三、古谷誠章、安田幸一、永井一史、暦本純一、南雲勝志など、デザイナーのみならず建築家や学者、ジャーナリスト、企業経営者など、多様な分野の最前線で活躍する71名が務める。○「大賞候補」と「ベスト100」が勢ぞろいG展のメイン会場となる第1会場(東京ミッドタウン・ホール/ミッドタウン・イーストB1F)には、10月1日に発表された今年度グッドデザイン賞の中で、あらゆるジャンルを通じて審査委員から特に高い評価を得た100点である「グッドデザイン・ベスト100」を展示。軽乗用車「コペン」(ダイハツ)や普通乗用車「デミオ」(マツダ)といった自動車をはじめ、グランドピアノ「CX シリーズ」(ヤマハ)や無印良品のキッチン家電やミシン「OEKAKI 50」(アイシン精機)、電子体温計「MC-682」(オムロン)などが展示されているほか、映像作品「Sound of Honda - Ayrton Senna 1989」(本田技研)やデジタルものづくりサービス「rinkak(リンカク)」などの紹介がなされている。同会場内でひときわ注目を浴びていたのが、「グッドデザイン大賞」候補である9作品だ。デジタルカメラ「dp Quattroシリーズ」は、dp1 Quattroとdp2 Quattroに加えて、未発売の dp3 Quattroの実機が展示されるなど、来場者が実際に手にとって試すことが可能だ(ただし、展示機で撮影したデータの持ち帰りは不可)。また、「産業用ロボット/ 医療医薬用ロボット VS050 SII」(デンソーウェーブ)が実際に稼働する様子に、思わず足を止めた来場者も多かった。○"デザインの庭"を散策するように展示作品を鑑賞今年の「グッドデザインエキシビション 2014」(G展)の会場アートディレクションは谷川じゅんじ(JTQ)が手がけたもので、その空間コンセプトは"デザインの庭"。今回から新たに採用したオリジナルの展示什器と照明により会場全体を構成し、来場者はまるでデザインの庭を散策するように、展示作品を鑑賞できるようになっている。オリジナルの展示什器には、素材に環境負荷が少ない強化段ボールを採用。これは、宮城県・石巻市の加工業者が、東日本大震災での経験もふまえ、仮設物としての加工のしやすさや耐久性、リサイクル性を考慮して制作されているということだ。また、この会場はホールAとホールBの2つのホールが使用され、その間のスペースに本年度、全受賞デザイン1,258点がまとめて紹介されている。さらに、同会場のエントランスにある総合受付の裏手には、来場者によるグッドデザイン大賞投票コーナーを設置。ホールに展示されている9つの大賞候補から支持するデザインに投票できる(期間中1回のみ)。その横には、受賞年鑑と赤いロゴが美しい大賞トロフィーも展示されている。グッドデザイン大賞が手にするトロフィーがどんなものなのか、興味のある人は投票コーナーに左側にある透明ケースの中に注目しよう。●家電からインタフェースまで、多様な「グッドデザイン」が集結○受賞対象のデザインを領域別に展示第2会場(東京ミッドタウン・カンファレンス/ミッドタウン・タワー4F)と第3会場(東京ミッドタウン・デザインハブ/ミッドタウン・タワー5F)は、受賞対象のデザインを領域別に展示するエリア。第2会場では日用品やキッチン用品、育児・介護用品、などの生活関連アイテムをはじめ、家電、音響機器、インテリア、住宅設備、活動といった生活のデザイン、個人・家庭向けの情報機器やメディアなどのデザイン、オフィスや流通、販売、教育、研究といった産業・公共のデザインが展示されている。デザインの美しいものはもちろんのこと、工夫やアイデアの詰まった製品が並ぶ。一方、第3会場ではサービスやシステム、インタフェースのデザインや、生活・産業・公共の空間や建築、土木、設備などのサービスやシステムなどを紹介するパネルがズラリと並ぶほか、2008年から始まったタイ王国商務省 貿易振興局主催による「デザインエクセレンスアワード2014」の紹介コーナーも設けられている。○企画展示PRブース「デザインコミュニケーション」第4会場(アトリウム/ガレリアB1F)と第5会場(キャノピースクエア/プラザ1F)は、デザインに力を入れた取り組みを展開する企業やデザイン系の大学、地域による展示PRエリア。来場者と出展者とが、直接コミュニケーションを図ることができる。第4会場では、フィリップスエレクトロニクスジャパンによる「フィリップス hue(ヒュー)とスマートフォンで簡単に部屋を模様替えしよう」や、大阪芸術大学の「デザイン+デザインプロデュースの実践」、三菱電機の「デザインの行き先は、人」など、出展者ごとにテーマを設けたブースを展開。第5会場では、ダイハツが2台の新型コペン(オープンカー)を、ヤマハとヤマハ発動機はオートマチックコミューター「トリシティ」、電子ピアノ「P-255」や「クラビノーバ CLP-500シリーズ」、電子オルガン「エレクトーン STAGEAバイタライズユニット」を展示し、生演奏も楽しめる。○特設会場では、優れたデザインの家具を展示また、特設会場(ガレリア3F、サントリー美術館横・渡り廊下)では、本年度のグッドデザイン賞からスタートした「日本の家具」を国内外にプロモーションするプロジェクトである「グッドデザイン・ジャパニーズファニチャーセレクション2014」として、日本の家具メーカーまたは日本人デザイナーがデザインした家具で、グッドデザイン賞審査委員が優れているとして選出したデザインの家具15点が展示されている。なお、会場では館内10カ所に置かれたスタンプを押してエコバッグの柄を完成させるスタンプラリー企画も展開。台紙となるエコバッグはB1F プラザインフォメーションにて11:00~19:00に配布されている(1日先着300名、なくなり次第終了)。会期は残りわずかとなったが、ぜひ自身の目で今、国内で認められた「よいデザイン」の物事に触れてみてほしい。
2014年11月03日金沢21世紀美術館は開館10周年を記念し、“建築”をテーマとした二つの展覧会「ジャパン・アーキテクツ 1945-2010」「3.11以後の建築」を開催する。「ジャパン・アーキテクツ 1945-2010」は、日本建築について戦後から現在までにおける一連の流れを追ったもの。復興期に始まり、高度経済成長に伴うメタボリズム運動を経て、バブル崩壊と阪神淡路大震災以降には社会や自然との関係性に迫るようになった日本建築。その中で重要な役割を果たしてきた約80人の建築家にスポットを当てて、図面や模型など250点を超える資料が出展される。なお、今回の展示はポンピドゥー・センター パリ国立近代美術館との共同主催となっており、副館長のフレデリック・ミゲルーの下で会場を六つのセクションに区分。それぞれ「絶えざる破壊と再生、陰翳あるいは闇」「都市と国土のヴィジョン」「新しい日本建築」「メタボリズム、万博、新たなヴィジョン」「消去の建築」「消失から物語へ」についての展示が行われ、各コンセプトに対応した色のコードを用いて戦後建築史を刺激的に読み解いている。11月1日にはミゲルーによる講演会も開催予定だ。一方、「3.11以後の建築」は東日本大震災によって激変した社会の意識やシステムに対応し、新たな取り組みを始めた30人の建築家を紹介するもの。「みんなの家」「災害後に活動する」「エネルギーを考える」「使い手とつくる」「地域資源を見直す」「住まいをひらく」「建築家の役割を広げる」の七つのテーマで展示を行う。同展ではゲストキュレーターとして、建築批評家の五十嵐太郎、コミュニティーデザイナーの山崎亮を招聘。2日には両者の対談が行われる。なお、展示会に先駆けて、金沢市内では様々なプロジェクトが催された。日建設計ボランティア部では、金沢市沿岸部の大野地区で津波時の避難経路を示す“逃げ道地図”を作成。さらに、高度経済成長期に金沢に建てられたビルの魅力を探る「金沢まちビル調査」も開催されており、これらの結果は展示会にて発表される予定。他にも、市民ギャラリーの利用団体と建築家のコラボレーションにより、展示空間のデザインも行われた。【イベント情報】ジャパン・アーキテクツ 1945-20103.11以後の建築会場:金沢21世紀美術館住所:石川県金沢市広坂1-2-1会期:ジャパン・アーキテクツ 1945-2010/11月1日から3月15日3.11以後の建築/11月1日から5月10日時間:10:00から18:00(金・土曜日は20:00まで)入場料:一般1,000円大学生800円小中高生400円65歳以上800円(共通観覧券は一般1,700円大学生1,400円小中高生700円65歳以上1,400円)休館日:月曜日(11月3日、11月24日、1月12日は開館翌日閉館)、12月29日から1月1日
2014年10月28日日本デザイン振興会は、2014年「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞した賞品をはじめ、近年この賞を受賞した商品を紹介するイベント「ロングライフデザインエキシビション2014」(G展)を開催する。会期は10月31日~11月3日。開場時間は11:00~20:00。会場は東京都・渋谷ヒカリエ8階「8/」、および明治通り沿いShinQs1階入り口前イベントスペース。入場無料。「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」は、10年以上にわたって生産と販売が続けられ、長い間人々から支持されているデザインに贈られる賞。このたび開催されるイベントでは、そうした身近にあって高い価値をもった「長く愛され続けるデザイン」の良さを広く知らせるべく、最新の2014年度に受賞した25点の商品と、主に2010年度以降に受賞した商品を中心に、日用品や文房具、趣味の道具などのべ90点以上が出展されるという。また、渋谷ヒカリエ 明治通り沿いShinQs1階入り口前イベントスペースでは、アメリカの人気アウトドアブランド・コールマンが、同賞を受賞したキャンプ用品などをセレクトし、デザインにこだわったキャンピングスタイルのプレゼンテーションが行われる。そのほか、10月31日、11月1日、11月3日の3日間は、渋谷ヒカリエ8階の「8/ 」内特設ステージにおいて、同賞を受賞した商品を手がけたデザイナーをゲストに招いたトークセッションを開催。ゲストや開催時刻などについては、「グッドデザインエキシビション2014(G展)」の公式WEBサイトで発表されるとのこと。なお、各回とも定員30人程度で、当日先着順となっている。
2014年10月17日東京都・初台の東京オペラシティ アートギャラリーでは、現代の建築界を牽引する巨匠であり、世界的に注目を集める建築家、ザハ・ハディドの個展を開催する。開催期間は10月18日~12月23日、開場時間は11:00~19:00(金・土は20:00まで)。入場料は一般1,200円、大・高生1,000円、中学生以下は無料。同展は、ザハ・ハディドのこれまでの作品から現在の仕事までを紹介するもので、日本では初の大規模個展となる。前衛的すぎる設計によって計画が途中で中止となり、なかなか実作に恵まれなかった"アンビルトの時代"に精力的に描いたペインティングやドローイング、世界各地で建てられるようになった実作の設計、スケールを横断するプロダクトデザインなどを、展示空間全体を使ったダイナミックなインスタレーションとして展開する。これまで、「新国立競技場」の建築計画をめぐってさまざまな議論が沸き起こりつつも、設計者であるザハに関する情報は限られていた。今回の個展は、鑑賞者それぞれの視点でザハの建築を体験し、その思想に触れる機会となる。なお、ザハ・ハディドは1950年バグダッド生まれ、ロンドン在住の建築家。1980年に自身の事務所を設立。1983年、「ザ・ピーク」の国際コンペティションで勝利し、そのコンセプトとともにザハの名は一躍世界に知られることになるも、このプロジェクトをはじめ、ザハの設計は当時の施工技術や建築思考に収まらない前衛的な内容だったため、独立後10年以上にわたって実際に建てられることはなく、長らく「アンビルトの女王」(アンビルト=建設されない)の異名を与えられていた。1993年、「ヴィトラ社消防所」が初めての実現プロジェクトとなって以降は大規模なコンペティションで次々に勝利を重ね、かつ実際に建てられるようになった。そして、「新国立競技場」国際デザインコンクール最優秀賞に選出され、日本でもザハ作品の建設が実現する。
2014年09月19日マウスコンピューターは20日、メガハウスが開発するの3D住宅デザインソフト「3Dマイホームデザイナー12」および、業務用の住宅・建築プレゼンテーションソフト「3DマイホームデザイナーPRO8」の動作を確認した公認モデルを発表した。即日販売を開始する。「3Dマイホームデザイナー」は、マウスによる操作で敷地や部屋の間取り、建具などを配置して住宅のリアルな立体イメージを制作することができるソフトウェア。一方の「3DマイホームデザイナーPRO8」は間取りや建築パース図を簡単に作成して顧客に紹介できる業務用ソフトウェア。公認モデルのラインナップは、「3Dマイホームデザイナー」公認モデル2機種と、「3DマイホームデザイナーPRO8」公認モデル1機種。いずれもそれぞれのソフトウェアを利用するに当たり、動作確認を行い、3Dの表示やすべての機能が軽快に動作することを確認しているという。○「3Dマイホームデザイナー」公認モデルデスクトップPC「LM-QH300SL6-WS-3DM」の主な仕様は、CPUがIntel Core i5-4690(3.5GHz)、チップセットがIntel H81 Express、グラフィックスがNVIDIA Quadro K600 1GB、メモリがPC3-12800 8GB、ストレージが500GB SATA3 HDD、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ、OSがWindows 8.1 Update 64bit。本構成での価格は84,800円から。ノートPC「MB-K620QSV-3DM」の主な仕様は、CPUがIntel Core i5-4210M(2.6GHz)、チップセットがMobile Intel HM86 Express、グラフィックスがNVIDIA GeForce GTX 850M 2GB、メモリがDDR3L-1600 8GB、ストレージが500GB SATA2 HDD、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ、ディスプレイが15.6型フルHD(1,920×1,080ドット)、OSがWindows 8.1 Update 64bit。本構成での価格は89,800円から。○「3DマイホームデザイナーPRO8」公認モデルデスクトップPC「MousePro-iS470GX-WS-1408-3DM」の主な仕様は、CPUがIntel Core i7-4790(3.6GHz)、チップセットがIntel B85 Express、グラフィックスがNVIDIA Quadro K600 1GB、メモリがPC3-12800 16GB、ストレージが500GB SATA3 HDD、光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブ、OSがWindows 8.1 Update 64bit。本構成での価格は11万4,800円から。
2014年08月20日11月27日、東京・代官山T-SITEの蔦屋書店で、「“デザインで文化を創る” 世界を変えるための新しいスタイル、建築学的方法」と題したトークショーが開催された。登壇したのは、イタリアデザイン界を代表するピニンファリーナ社のCEO、パオロ・ピニンファリーナ(Paolo Pininfarina)と、TSUTAYAなどを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社の社長兼CEO、増田宗昭。ピニンファリーナ社は、パオロ・ピニンファリーナの祖父が創業したデザインファクトリーで、グローバル企業の自動車のデザインを中心に、数多くのプロダクトを世に生み出している。その代表的な仕事が、カーブランド「フェラーリ」の一連のデザインだ。一方、増田宗昭は、TSUTAYAを通じてライフスタイルへの提案を行う中で、カーライフの提案や、代官山T-SITEでのクラシックカーレースを開催するなど、車の愛好者としても知られる。2人によるトークセッションは、車への関わりを通じて、デザイン、教育、人々と文化の繋がりについて考えさせられる場へと進展した。増田:私が学生時代、イタリアのローマを訪れた時にバスで移動していると、とてもカッコイイ銀色の車がそのバスを追い抜いていって、とても印象に残っていたのですが、それがピニンファリーナの代表作であるフェラーリ社の『ディーノ』でした。以来、自分で稼ぐようになったらディーノのオーナーになるのが夢でした。パオロ:ディーノは私の父、セルジオ・ピニンファリーナが、初めて自身の責任でデザインした車です。子供の頃、父親にそのディーノに乗せてもらってドライブに行くのが楽しみの一つで、とても思い入れがあります。今年、フェラーリが発表した「セルジオ」は、そのディーノと父に対するオマージュでもあります。――ディーノは、発表当時にフェラーリがF1で採用していたエンジンを車の中央に据えるシステム(ミッドシップ)が最大の特徴で、セルジオ・ピニンファリーナは苦労の末、フェラーリを説得したという。今では、ミッドシップはフェラーリのカーデザインにおいて当然のつくりとなっている。パオロ:ピニンファリーナのデザインの特徴は、大きく二つあります。一つは、機能とデザインの整合性・一貫性があること。もう一つは、びっくりするような革新性を持っていることです。エッセンシャル(本質的)な点を押さえつつ、エレガンスであることが大事だと考えています。それは車以外のピニンファリーナのプロダクトデザインにも込められていることですね。増田:エレガンスさというのは、どういったものだと考えていますか?パオロ:余計なものを削り、シンプルかつ機能的でありながら、そこに美しさを実現するのは、とても大変ですが、そこがピニンファリーナにとって他社と競える点だと考えます。エレガンスの定義は難しいですが、自然につながり、自然を大切にしていることでしょう。一つ例えると、あるゴルフ好きの友人が言った、「ゴルフで一番大切なのは、エレガンスに振ること」という言葉があるのですが、自然に、力を入れず、静かにクラブを振れることがエレガンスだということです。――そして話は、そのデザインフィロソフィーをどう共有し、または発信していくかという話題に移っていく。(2/2に続く。)
2014年01月15日「ジュンオカモト(JUN OKAMOTO)」が、東京・代官山に初の路面店「ジュンオカモト代官山(JUN OKAMOTO DAIKANYAMA)」(東京都渋谷区代官山町12-3)をオープンした。店舗は地上1階のワンフロアで、面積約43平方メートル。ショップデザインは建築家の谷尻誠とプランナーの長谷川直子のデザインユニットが手掛け、「キッチンのような空間」がコンセプト。ジュンオカモトのウィメンズとメンズのコレクションラインのほか、熊本のオンリーショップで展開しているセミオーダーライン「ウォールフラワー・バイ・ジュンオカモト(wallflower by jun okamoto)」も取り扱う。また、「ランド・バイ・ランド(LAND by LAND)」とのコラボレーションキャンドルや、「さをり織り」のクッション、デザイナーの岡本順がセレクトしたモレスキン、iPadケース、バッグなども販売している。岡本氏は「(ブランドをスタートしてから)これまでやってきたことを見てもらいたかった。(僕自身も)時々店頭に立って、顧客と話すことで自分自身が服に込めた思いを伝えたいと思っている。セミオーダーだけでなく、コレクションラインについても、袖丈を変えたいというような顧客の要望などに対応したいし、このショップをしっかりと形作り、次の秋冬はショーをしたい」と話す。
2013年11月13日建築家・永山祐子の展覧会「建築から始まる未来-豊島×横尾忠則、宇和島×束芋×ほしよりこ-」が、東京・表参道のジャイル(GYRE)内アートスペース、アイ・オブ・ジャイル(EYE OF GYRE)で開催されている。11月24日まで。入場無料。本展では、今夏永山が手掛けた瀬戸内海周辺での二つのアートプロジェクトを、映像や写真、建築模型を用いて紹介。建築やアートのエネルギーによる地域再生を目指し、新たなコミュニティーを創造する取り組みとして話題となったプロジェクトのビジョンを提示する。一つ目の「豊島横尾館」は、現代美術家の横尾忠則の絵画作品「原始宇宙」の平面作品11点と、円塔の中や庭園でのインスタレーション作品、建築と一体となった美術館。もう一つの「AT ART UWAJIMA 2013」からは、作家の司馬遼太郎らが滞在したことでも知られる1911年創業の宇和島の老舗の「木屋旅館」をリノベーションするというアートプロジェクトを紹介。畳の一部をアクリル板にし、欄間(らんま)や壁、天井などに漫画家・ほしよりこが書く小説に基づき現代美術家の束芋が制作した映像が映し出された。他にも、宇和島のアーケードにある文具店をリノベーションしたプロジェクトや、 理想の街をつくる観客参加型の展示も登場する。会期中の11月17日には、永山と束芋によるトークショー「建築×アートの可能性」も開催。司会は、アートダイナミクスの生駒芳子が担当する。また関連商品の販売も実施。「AT ART UWAJIMA 2013」のために書かれた、ほしよりこの小説「そういう事がずっと続く」(700円)、束芋デザインの「宇和島Tシャツ」(2,500円)、宝飾品にならない真珠を蘇らせた「リパール」で作った、ほしよりこ、束芋、永山祐子監修のオリジナル限定商品などがそろう。
2013年11月08日ドイツのジュエリーブランド「ニーシング(NIESSING)」と建築家・中山英之がコラボレーションした企画展「“Graffiti” Rings by Hideyuki Nakayama」がニーシング東京(東京都港区南青山5-9-10サンク青山1階)にて11月10日まで開催されている。今企画において中山は、絵や文字をリングの表面に施すことのできるニーシングのジュエリー「グラフィティ(Graffiti)」のために、「メタルの木」と「リングのリング」の2種類を描き下ろした。また会場では、中山がコンペの際に実際に製作した建築模型「小さすぎるビル」「草原の大きな扉」「K湖のN荘」の3点と共にニーシングのジュエリーを展示するインスタレーションを設置。ディレクションを岡田栄造(S&O DESIGN)が手掛けている。今回、初めてジュエリーをデザインした中山氏は「設計する際、まずニ次元でスケッチを描いてから立体化していく。ジュエリーをデザインする時も同じ。ニーシングのジュエリーは構造力学的に無駄のないデザインが中心なので、円と線のみを使用しシンプルに世界観を表現した。リングを指の上で回すと、線と円の密度が変化して違った表情を見せるので、そこを楽しんでほしい」と話す。ニーシングは、1873年ドイツで創業。ゴールド、プラチナ、ダイヤモンドからスチールや高品質なシンセティック素材を用いたジュエリーを発表。素材そのものの美しさを引き出したデザインが特徴で、バウハウス(Bauhaus)の理念を体現したジュエリーとも評されている。過去、レッドドット・デザインアワードやiFデザイン賞を受賞した。1979年、ウォルター・ウィテックによる「ザ・ニーシングリング」を発表。宝石を留める爪がなく、まるでダイヤモンドが浮遊しているかのようなデザインは特許を取得。国立工芸美術館(ノルウェー・オスロ)や美術工芸博物館(ハンブルグ)にコレクション展示されている。
2013年11月05日水戸芸術館は3月2日~5月12日、個展「坂 茂建築の考え方と作り方」を開催する。同展は、建築家・坂茂(ばん・しげる)の創作と活動を包括的に紹介する日本で初めての大規模個展。紙管をはじめとするさまざまな材料や構法を用いることで、住宅から公共施設、そして災害支援に至るまで、多くのプロジェクトを世界各地で進行させる建築家・坂茂の活動の全貌を紹介する。同氏の作品の特徴は、私たちが普段、気にもかけずに見過ごしがちなものの中に建築の材料として特性を見いだし、それを建築作品として実用化するところにあるとされる。氏はそのキャリアの早い段階から、これらの材料を用いつつ優れたデザインで解決する建築家として、独自の建築手法を展開してきた。同展では、初期作品から代表作「ポンピドゥーセンター・メス」、および進行中のプロジェクトに至るまで、氏の仕事を写真、映像、模型、立体展示でたどる。日本初の試みとなった3階建てのコンテナ仮設住宅の実物大モックアップ(一世帯)を屋外に展示し、活動の全貌を俯瞰できる構成を予定しているという。今回、作品の一部が、会期途中の3月10日から1週間程度、地元の学生たちの手によって設営、展示される予定となっており、設営期間に来場すれば設営風景を観覧できる。希望者は設営にも参加可能となっている。また同展に限り、展示作品を写真撮影でき、撮影された写真はSNS上でシェアすることが可能という。会期は、3月2日~5月12日。開館時間は、9時30分~18時(入場時間は17時30分まで)。会場は、水戸芸術館現代美術ギャラリー+水戸芸術館敷地内(茨城県水戸市五軒町1-6-8)。休館日は月曜日。ただし4月29日、5月6日は開館、翌4月30日、5月7日は休館。入場料は一般800円。中学生以下、65歳以上、障害者手帳所持者と付き添い1名は無料。その他、詳細は同館Webページで確認できる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年02月15日