「東大卒はなるべく隠しておきたい」という当事者の言葉『ルポ高学歴発達障害』は、世の中で言われる「高学歴」の発達障害当事者10人のインタビューや、大学教員、精神科医、支援団体への取材を通じて「理解が得られにくい不条理」に迫った1冊です。このコラムでは、著者である姫野桂さんのインタビューをお届けします。Upload By 発達ナビ編集部――姫野さんはご自身の経験も合わせて、発達障害についてさまざまな発信をされてきました。今回、「高学歴発達障害」をテーマに選ばれたのはどのような思いからですか?姫野桂さん(以下、姫野):以前、高学歴なのに発達障害の特性で仕事がうまくいっていない方の記事を読みました。今まで取材してきたなかでも京都大学を卒業している方で、同僚はすぐに覚えられる電話対応などの仕事が覚えられずにうつ病になってしまったとお話ししてくださった方がいました。高学歴というとエリート道を進んでいると思われがちですが、実は悩みも抱えている人が多いことを伝えたくて本にしました。また、私自身は超高学歴ではありませんが、就職活動や会社員時代に苦労したのでそういった苦悩も書きたかったからです。――大人の発達障害当事者の方からは、「ケアレスミスが多い」「マルチタスクが苦手」「職場でのコミュニケーションがうまくいかない」といった声が聞かれますね。姫野さんご自身の苦労とは、どのようなものだったのでしょうか?姫野:就職活動で例を挙げると、当時は自覚がなかったのですが算数障害があり、SPI(適性検査)の数学がまったくできませんでした。大手企業はSPIを導入しているところが多かったため、大手企業は避けるようにして中小企業に絞りました。――そうすると面接に進めるように?姫野:そうですね。ただ、自分をより良く見せることが不得意なこと、本音を話してしまうことなどから、うまくいきませんでした。例えば、「なぜ弊社を選んだのですか?」と聞かれた際に「福利厚生が良かったからです」と答えたり、「何か質問はありませんか?」と聞かれた際に「残業はどのくらいありますか?」といった質問をしたりしていました。――今回、10人の発達障害当事者の方を取材されています。印象的だった言葉を教えてください。姫野:東京大学法学部卒の女性の「東大卒はなるべく隠しておきたい」という言葉です。東大卒ということで期待されるボーダーラインが上がってしまうという点は、理不尽だと思いました。※本書では当事者の方のプライバシー保護のため、氏名や年齢、事実関係などが一部変更されています最後に、石川さんに東大卒であることを“損”に思ったことはあるか聞いてみた。「それはあります。やはりハードルを上げられてしまうので、「東大卒だったら何でもできるだろう」というような感じで“合格ライン”が上がってしまう感じがあるんです。だから、なるべく隠しておくほうが得だなと思います。石川真里さん(東京大学法学部卒業)の言葉――早稲田大卒の男性も同じようなことをお話しされていますね。結果的にその会社は辞めたのですが、そのとき僕を怒鳴っていた上司は学歴コンプレックスがあったんです。「お前は俺が行きたかった大学を卒業しているのになんでそこまで仕事ができないんだ」と言われたことがあって。(中略)必要のない限りは、大学名を口にしなくなりました。三崎達也さん(早稲田大学経済学部卒)の言葉――そして、お二人とも「東大は自分にとても合っている場所だったので、それはすごく良かった」「自分のポジティブな部分を作ってくれたのは早稲田のおかげ」というように、誇りに思われているのも印象的でした。プライドとの折り合い――精神科医の熊代先生とは、高学歴の発達障害者が自身のアイデンティティと向き合っていくことの困難さについてお話しされていますね。ご自身の体験と重なるようなことはありましたか?姫野:私自身、発達障害が分かったのが30歳のときでした。就活を始めた頃、鬱病を疑って心療内科にかかったのですが、発達障害については何も言われず、抑鬱状態という診断を受けました。もっと早く発達障害があると分かっていたら、就職活動の仕方や仕事選びも変わってきていたのではないかと思います。当時はリーマンショックの影響で周りの友人もなかなか内定が出ない人が多かったので、発達障害が原因ではなくリーマンショックのためだと考えていました。それでも、「なぜ人事受けが良いはずの大学なのに受からないんだ」という葛藤がありました。そのあたりのプライドの折り合いをつけられたら良かったなと思います。子どもの頃から学業では優れていても、社会関係の部分ですごく弱みや苦手があるということを踏まえて、天狗にならないようにするというか、学歴を鼻にかけないようにするのが処世のあり方として結構重要になります。そのためには自身の発達適性の早い段階での把握は肝要です。(中略)ただし一方で、「自分には何かできるはず」「秀でたものがあるはず」といったアイデンティティを持つことには可能性もあるんですよね。ここも高学歴発達障害者の方のアイデンティティの形成戦略としてかなり難しいところです。熊代亨さん(精神科医)の言葉「大学が一番楽しかった」という声――筑波大学における学生支援についても取材されていますね。姫野:筑波大学のヒューマンエンパワーメント推進局の取り組みは素晴らしいと感じました。特に発達障害のある高校生へ向けた「大学生1日体験講座」で、10名限定ですが高校生一人ひとりに学生のメンターがつき、中には「障害学生支援技術」などを履修したピア・チューター(有償のボランティア)がいるのはとても魅力的だと思いました。ピア・チューターになるには自由科目の「障害学生支援技術」を履修したうえで、視覚障害、聴覚障害、発達障害といった形でコースに分かれた集中講義を受けてもらいます。佐々木銀河さん(筑波大学ヒューマンエンパワーメント推進局)の言葉ただ、多くの高学歴発達障害者を取材してきて、ほとんどの人が「大学が一番楽しかった」と答えています。社会に出てからどう自分の特性とつき合っていくかが課題だと思っています。――たしかに、「社会に出てから」「就職してから」直面した困難がインタビューからも強く感じられますね。最後に、本書をどのような方に読んでほしいとお考えでしょうか。姫野:高学歴発達障害当事者だけでなく、同僚や家族、友人など身の回りに高学歴発達障害の方がいる方にも読んでいただき、周りの期待やエリートのイメージと実情との乖離、活躍している大学時代の友人との比較、アイデンティティとの折り合い……といった「高学歴であるからこその葛藤」があることを知ってほしいです。そして、「あの人は高学歴だから」という前置きを外して個として見てもらえたらと思いますし、彼らが苦手そうなことにぶち当たって困っていたら「何か手伝おうか?」と声をかけるなど、そっとさりげなくフォローしていただきたいです。――ありがとうございました。姫野 桂さんフリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)電子書籍『ダメ恋やめられる!?発達障害女子の愛と性」(集英社)。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年10月27日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”怠けている”と思われてしまうことも多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。本作品には起立性調節障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。診断されたのは……毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。休むことも必要読者の感想は……『自分の状態を乗り越えようとするのではなく、受け入れていくことが大切だということを改めて感じました。』『なかなか理解を得られなさそうな病気だと感じました。母親や友人が理解をし、フォローやサポートしてくれているのは幸いですね。大変でしょうけど、頑張ってほしいです。』『周囲にサポートしてくれる人がいることはもちろん、自分一人ではないという自覚が安心に繋がるのだと思いました。』『起立性調節障害は、病気の名前や症状に対する認知がまだまだ少なく、病気に気づかずに学校や保護者からの理解が得られず苦しんでいる人も多い気がします。学校でパンフレットを配るなどして、気になる人は保健室の先生に相談をという配慮も必要だと思いました。』など、起立性調節障害の認知度や周りの人々の対応についてさまざまなコメントが寄せられました。起立性調節障害について、どれだけ対策をしても辛いときは、無理せず休むことも必要です。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年10月19日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”怠けている”と思われてしまうことも多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。本作品には起立性調節障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。診断されたのは……毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。対策を考え……読者の感想は……『学校の先生や家族に理解してもらえてよかったですね。みんなのサポートを受けながら、良くなるといいですね。』『自分ではどうにもできない症状だからこそ、協力者の重要性を強く感じました。共に探りながら自分がよい環境を作って行くことでストレスも軽減され、症状の軽減にもつながると感じました。』『家族だけでなく学校でも協力的になってくれることもまた前向きになれる状況だと感じます。』『なかなか理解するのも難しいと思いました。目に見えないから余計に……。本人が一番しんどいと思うので、お母さんが栄養バランスを考えた食事を作ってくれたり、ちょっとした優しさが必要なんだなと思いました。』など、起立性調節障害の理解や周りのサポートについてさまざまなコメントが寄せられました。主人公は、家族の協力を得ながら、栄養や睡眠で対策をしているようです。起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年10月16日現代病としてさまざまな症状を引き起こす心の病気。中でも私が診断された双極性障害は、心の病気の中でも最も治癒率が低いと言われている病気の1つだそうです。どのような症状があるのかについて私の体験を紹介します。双極性障害になった経緯は私は16年間介護の仕事をしてきました。21歳のときに夫の金づかいの荒さをきっかけにうつ病になり、通院していましたが、息子が1歳半のときに離婚。一時的に良くなったものの、再婚後、夫との性格の不一致で離婚し、うつ病を再発。それまで通院していた病院では正式な診断名がついていなかったため、紹介状をもらい、現在の主治医がいる病院へ転院しました。もうそのころには最初の通院から10年以上の時間を費やしていました。新しい主治医から「あなたは月にお金はどのくらい使いますか?」と聞かれ、「あるだけ」と答えると、「あなたは躁うつ病だね」と言われました。双極性障害とは?躁うつ病とは、正式には双極性障害といわれる病気です。いわゆる躁といわれる気持ちが高揚している時間と、うつといわれる気持ちが低下している時間が短期的もしくは長期的に続く病気で、薬を飲んでコントロールしないと難しい病気です。私の場合は躁状態になると気分が高揚し過ぎて、暴力行為を起こして何度か警察の厄介になったこともあり、うつ状態になると仕事に行けなくなったりとずいぶん差がありました。双極性障害と診断されてから薬が変更され、しばらくは2週間に1回通院していました。もともとうつ病だと思っていたので、カウセリングも必要かと思っていました。ですが、躁うつ病にはカウセリングは合わないと主治医から言われため、カウセリングは受けませんでした。躁うつ混合状態で入院することに!あるとき急に怒りっぽくなったり、どうかするとうつ状態でぐったりするようなことが続きました。主治医に相談すると、「ちょっと入院してみようか」という話になり、自分で入院手続きをしました。まだ息子も小学生のころだったので、元夫と実家に入院中の生活計画を作り、そのように動いてもらうようにお願いし、主治医のいる病院へ入院となったのでした。入院中は、4人部屋の大部屋でした。私のように家庭のある入院患者さんはほとんどいない療養病棟でした。入院中はさまざまな検査がおこなわれ、時には脳波検査のように器具を取り付けることで髪の毛がグチャグチャになってしまう検査もありました。その姿を心配してくださった看護助手の方が、入浴日ではないのに「ここで髪の毛を洗いなさいよ」と気をつかってくださるなど、大変快適な生活を送っていました。また、介護職をしている私が入院してきたということで、介護業界に興味を持つ看護師から声をかけられることも多くありました。本来であれば3カ月間の治療が必要と言われていたのですが、毎週日曜日に面会に来ていた元夫から金銭的なこともあり、悪いけど1カ月で退院してほしいと頼まれました。主治医と相談し、結局1カ月で退院することに。その後、自宅療養をすることになりましたが、結局数カ月もしないうちに介護職へ復帰することになりました。薬と主治医とうまく関わることで、症状も安定していき、それまで2週間1回の診察も1カ月に1回になりました。まとめ双極性障害に限らず、心の病気は誰でもかかる可能性があるものだと思います。薬と主治医との信頼関係ができていれば症状が安定し毎日を過ごすことができるので、休むべきときは休み、できるときはやるというふうに自分のペースを守ることが大事だと感じました。私はグレーな状態が嫌だったので3級の精神障害者保健福祉手帳を取りました。手帳を取得して10年ほどになりますが、だいぶラクな毎日を送れるようになり、気持ちもラクになりました。※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。監修/粒来 拓先生(よしかた産婦人科分院綱島女性クリニック院長)日本産科婦人科学会 専門医・指導医。日本女性医学学会 女性ヘルスケア認定医・指導医。日本女性心身医学会 認定医。患者一人ひとりの症状と考え方に寄り添い、サポートしている。マンガ/あさり著者/にゃたろう(46歳)3年前に離婚してひとり暮らしをしている。元介護職。更年期にはなっているが精神疾患の症状のほうがひどく、どこからか更年期障害なのかはわからない。
2023年10月12日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”病気”と気づかれないことが多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。本作品には起立性調節障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。診断されたのは……毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。私だけ……?読者の感想は……『自分でもなぜ起きれないのか理由が分からない中で説明できない、理解してもらえないという体験はつらいです。なぜ寝坊したのか、なぜ寝られないのかなどじっくり話し合う時間を持ってほしいと感じました。』『私も中学生の頃に、同じような状態でした。もっとこの病気のことが世間に知られると、同じ悩みを抱える人たちも生きやすい世の中になると考えさせられました。』『起立性調節障害と判る前なんでしょうが、今の段階だと何故なのだろうってなりますね。』など、起立性調節障害と寝坊の差が理解されにくいといったコメントが多く寄せられました。本作では、朝が辛くどうしても起きられない様子が描かれていました。起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。もし主人公と同じような違和感を覚えた場合は、専門家へ相談しましょう。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年10月12日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”怠けている”と思われてしまうことも多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。病院へ行くことに……読者の感想は……『怠けているからとか、気持ちの問題などと言われず、先生が気づきちゃんと病院で診断されたのは良かったですね。まわりの理解と、症状が少しでも改善していくことを祈っています。どうか楽しい学校生活を送れますように!』『目に見えない病気というか、理解してもらえなくてしんどいなと思っている人がいたら読んで欲しいなと感じました。』『病院でちゃんと診断してもらって良かった。後はこれを周囲の人たちに理解させていくとこだけど、これが一番難しいよね。』『怠けているわけではないということが診断で分かって本人も安心が大きいと思います。保健室の先生がしっかり初期の対応をしてくださったのが功を成したのだと思います。これで治療や対策を行って過ごしやすくなるといいなと思います。』など、さまざまなコメントが集まりました。保健の先生からの思わぬ言葉に、親子は驚いたようです。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年10月08日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”怠けている”と思われてしまうことも多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。初めて聞く言葉読者の感想は……『病名がわかれば、家族や学校など周りの人が対応しやすくなると思うので、彼女にとって一歩前進だったと思います。』『病名がつくと「怠けではなかったんだ」と少し安心しますよね。』『「眠い」って怠けのように思われがちだけど、しっかりとした病気が隠れているとこがあるんですね』『保険の先生の優しく話を聞いてくれる姿勢としっかりと症状の判断をしてくれるところが信頼できる』など、さまざまなコメントが集まりました。起立性調節障害という言葉を初めて聞いた主人公。保健の先生から説明された母も驚いているようです。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年10月05日療育手帳って?発達障害娘は取得できるの?中学1年生の娘は、4歳の時に広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)と診断されました。コミュニケーション能力が低く、情報を聞き取ること、自分の考えを口に出してしゃべることが苦手な特性があります。発達障害の診断を受けている娘ですが、療育手帳は持っていません。というより、取得することができませんでした。※「療育手帳」とは、知的障害がある人に発行される障害者手帳です。自治体によっては「愛の手帳」「緑の手帳」という名前で発行されています。療育手帳を持つことで、療育や支援をはじめとしたさまざまな障害福祉サービスを受けることができます。娘は2歳から療育畑を歩いてきました。Upload By SAKURAしかし、恥ずかしながら私は、療育手帳の存在を、娘が小学生になるまで知りませんでした。放課後等デイサービスに通うために必要な「受給者証」というものが、療育手帳と似たようなものだと勘違いしていたこともあります。Upload By SAKURA小学生になると「療育手帳持ってる?」と聞かれることが増え、「あれ?持っていないとまずいものなのかな?」と思い始めました。Upload By SAKURA療育手帳の取得方法を調べてみると……療育手帳の存在をちゃんと知らなかった私は、「取れるものなら取ろうかな」とその時は軽く思いました。Upload By SAKURAあとから知ったのですが、この療育手帳の取得は、親御さんにとって、「障害を認めたことになるようで、取得を躊躇する」ということがあるようでした。Upload By SAKURA私は、グレーゾーンの時から「早く診断名がついてほしい」と思っていましたし、療育手帳の存在は、診断を受けて3、4年経ってから知りました。躊躇することはまったくなく、前向きな気持ちでした。Upload By SAKURAそれから私は、療育手帳を取るため、取得方法を調べました。しかし、知的障害がない場合、療育手帳は取得はできないということが分かりました。※療育手帳は、各自治体によって療育手帳の取得基準や、受けられるサービスが違います。Upload By SAKURAそれ以降も、療育手帳について聞かれる場面はありましたが、「娘の場合、取れないみたいです」と答えていました。その後、娘が小学6年生の時、中学に向けて発達テストを受けることになり、テスト結果と(特別支援学級の在籍に必要な)診断書をもらうため、発達外来の受診をした時、療育手帳について確認してみると……Upload By SAKURA娘は療育手帳も精神障害者保健福祉手帳も取得はできないと言われました。やっぱり……。事前に調べていたので、確認のため……という感じの質問でしたが、帰宅後、私はふと思いました。障害者手帳が取得できない=困りごとがない訳ではないのに……Upload By SAKURAじゃあ……障害者手帳を取得できない娘は……どの位置にいるのだろうか。昔……まだ娘に診断がついていないグレーゾーンの時、発達障害なのか、そうではないのかという、中途半端な位置がとても嫌でした。その時のことを思い出しました。娘は知的障害がありません。IQも通常範囲内。しかし、しゃべれば、言葉の並びがぐちゃぐちゃだし、出てこない言葉も多い。口頭の指示は、一度では絶対に聞き取ることができないし、言われたことを覚えるのもとても苦手で、すぐに忘れてしまいます。Upload By SAKURA相手の立場になって考えることが苦手で、空気が読めないため、信じられないタイミングで、とても感じが悪いことを言ってしまうこともよくあります。自分の中の感情や、思いついた言葉を頭に留めておくことができないので、叱られているのにニヤニヤしてしまったり、一人でぶつぶつと独り言を続けてしまうこともあります。Upload By SAKURA娘は発達障害ではあるけど、障害者手帳を取得する基準にない……。今まで、手帳を持っていなくて、損したことや、受けたいけど受けられない福祉サービスがあったわけではありません。しかし、娘には、苦手なこと、困りごとが多くあります。それを証明する代わりになるような手帳は、持たせてもらえないのか……と思いました。知的障害がなくても、困っていないわけではありません。どうやってもできないことがあります。娘が大きくなった時、コミュニケーション面でなにか困ったら……。Upload By SAKURAなんてことにならないか……。考えすぎかもしれませんが、言葉で説明できない娘が心配になりました。知的障害がなくても、困ってること、助けて欲しいことはあります。日常生活に支障をきたすほどのパニックがなくても、冷静に対応できるわけではありません。そのことを証明するような……それぞれの特性や、困りごとにそった手帳があるといいのになーと思います。執筆/SAKURA(監修:新美先生より)療育手帳取得にまつわる、いろいろな思いを聞かせてくださりありがとうございます。あまりいいことではないと思いますが、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳の取得基準については、地域による違いがあったりして、なかなかコメントがしにくいところがあります。多くの自治体において、療育手帳は原則として知的障害のある方が対象ですが、地域によっては発達障害がある場合、知的障害の基準が緩和されることもあるようです。知的障害を伴わない発達障害の方の場合、コラム内の漫画にも書いてありましたが、精神障害者保健福祉手帳が取得できる場合があります。これについても地域による基準がまちまちだったり、時代によって変化してきていることもあります。発達障害特性があって、生活面で何らかのサポートが必要な場合、精神障害者保健福祉手帳は取得できる可能性は十分にあります。一般的に、義務教育年代は、障害者手帳がなくても多くの福祉サービスは、コラムにあったように受給者証があれば利用できることが多いので、必要性をそこまで感じないかもしれません。ですが義務教育年代以降、福祉サービスを利用するためには、障害者手帳が必要になる場面が多くなります。こうしたことから義務教育年代を主に担当する支援者が精神障害者保健福祉手帳の取得は重度なケースのみと認識している地域でも、成人期にはもう少し柔軟に取得できる幅が広がるということもあるかもしれません。この先義務教育年代以降、就労などにあたって、精神障害者保健福祉手帳があったほうがいいと考える場合は、改めて地域の相談窓口等に当たってみてもいいかもしれません。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年10月04日「起立性調整障害」を知っていますか?自律神経の働きが悪くなり、起立時に身体や脳への血流が低下し、朝になかなか起きることが出来ない病気です。この障害は病気という自覚も持ちづらく、自他ともに理解されにくいため頭を抱えるかとも多いようで……。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。本作品には起立性調節障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。怒られながら……この漫画に読者からは……『初めて聞きました。学校の先生が教員免許を取得される際に学ぶのを義務化にして、社会全般でもこういった症状があることが知れ渡るといいのに』『私も学生時代本当に朝起きれないタイプ。このような障害があるということを当時は知らず、早めに寝たのに眠すぎるしなんでだろうと思っていましたがなにか原因があったのかなと思えます。無知って怖いです。』『眠くなる=なまけている、という固定観念は自分も含めて多くの人が持ってしまっていると思います。このような病気があることを全然知らなかったので、改めて自分の認識の浅さを自覚することができました。』『起立性調節障害、とてもつらいらしいのでかわいそうです。外から見えない病気は理解されにくいし、辛いのがとてもわかります。』など、起立性調節障害を初めて知ったというコメントが多く寄せられました。理解されにくい……読者の中には、同じような症状があったものの病気の存在を知らず苦労したという方もいました。外からではわかりにくい病気となると理解されにくいもの。社会全体での認知と理解がもっと広がるとよいですね。みなさんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年10月02日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”病気”として知らない人も多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。「起きられない」読者の感想は……『理解されにくい大変な病気だなと感じました』『とても辛い病気だと思いますが適切な治療を受けて前を向いて欲しいです。』『一見誰にでもある疲れや寝不足のようにも思えましたが、こういう症状も一度しっかり検査した方がいいんですね』『きっと主人公自身、どうしてこうなるのかわからないでしょうし、辛いですね。』など、さまざまなコメントが集まりました。主人公は、なかなか起きることができなくなり、中学生になってから体質が変わってしまったようです。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年09月29日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”病気”として知らない人も多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。本作品には起立性調節障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。ある日、佳純は学校の集会で倒れてしまいました。保健の先生からの言葉は……読者の感想は……『こんな経験豊富な保健室の先生に出逢いたかったです』『自分のことなのに、わからない症状、不安になりますよね。保健室の先生が話をしやすい先生で良かったです。』『私はこの病気のことを知りませんでした。本人にとってはとても辛いと思います。』『優しく話を聞いてくれて病気の可能性を指摘してくれる学校保健医が優秀だと感じました。』など、さまざまなコメントが寄せられました。保健の先生が親身に話を聞いてくれ、主人公は思いがけない言葉に驚いたようです。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年09月24日皆さんは、「起立性調節障害」という言葉をご存知でしょうか?朝起きれなかったり、倦怠感を感じたりというような症状から”病気”として知らない人も多いようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。保健の先生に勧められ、病院に行くことになった主人公。母と病院へ行くと、『起立性調節障害』と診断されました。私だけじゃない読者の感想は……『私が通っていた学校にもこの障害を抱えた生徒が何名かいました。朝礼ではずっと立っていることが難しいので、先生が配慮してその生徒たちを列の1番後ろにしてあげていました。』『周囲から軽く思われてしまいがちだけど、事情があることを理解できれば優しい目でみてあげられるようになる』『理解してくれる人がいて支えてくれる周りがいるのは救いですね』『症状について理解してくれる存在の大きさを強く感じました。この漫画のように手を差し伸べてくれる存在は大きいですね』など実に様々な声が集まりました。家族や学校の先生にも配慮してもらえるようになった主人公。学校集会では、同じように座る子を見てほっとしたようです。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年09月20日学習障害当事者37の工夫を収録ーー『LDの子が見つけたこんな勉強法「学び方」はひとつじゃない!』本書は、学ぶうえで困難さを感じたことのあるLDがある当事者とその家族の協力を得て、学校生活で困った具体的な場面と、その困りごとに対しての工夫をまとめた一冊です。1章では「私たちが勉強するときにしていた工夫」として、37の工夫を紹介。「読み」「書き」「暗記」などの事例と共に、診断名と困ったこと、それぞれの具体的な工夫がイラストも交えて分かりやすくまとめられています。また、工夫に対して、応用のポイントやヒントとなるコメントもついています。2章では、学校生活や合理的配慮について、事例からさらにふみこんだ当事者へのインタビューが掲載されています。社会人となって働いている大人から、現役の学生、保護者、年代もさまざまな当事者の工夫が数多く紹介されています。ほかにも障害者支援に携わる支援者からのメッセージに加えて、編著者の野口晃菜さん、田中裕一さんの対談も収録。子ども自身が困った時に、誰に相談するかをイメージする手助けにもなるでしょう。「授業中に板書が終わらない」「漢字を覚えられない」「勉強がおもしろくない」。 学校生活や授業で、「なんだかしんどい」「どうしたらいいか分からない」と疎外感を感じている子どもや、サポート法が分からず迷っている保護者に寄り添う一冊です。『起立性調節障害お悩み解消BOOK 「朝起きられない」子に親ができること!』起立性調節障害がある子どもは、中学生の10%を占めているといわれ、思春期に発症しやすい身体の病気です。症状は、頭痛・めまい・怠さ・朝の起きにくさなどがあり、症状が強くなると、学校に行きたくても身体が思い通りにならず、遅刻や欠勤を余儀なくされてしまうことも多いといいます。著者の吉田誠司先生は、2014年に起立性調節障害に関する研究で医学博士号を取得し、現在は、大阪医科大学小児科で心身症外来を担当する子どものこころの専門医です。本書は吉田先生がこれまでの診療のなかで得た当事者や保護者の経験がまとめられており、また、それぞれの場面で保護者が抱える悩みや、その悩みに対する対処法なども紹介されています。第1章では、起立性調節障害の仕組みを自立神経機能から解説。第2章は、食事・運動・睡眠など非薬物療法のポイントなど治療について、第3章では子どもが家で1日過ごすときに親子で意識したいこと、第4章では学校との関わり方や、学校選びや受験のポイントまで組み込まれています。起立性調節障害の症状のために学校に通えない、また、やりたいことができずつらくく悲しい思いをしている子どもや保護者もいることでしょう。本書は、起立性調節障害という疾患を知り、症状の改善と、学業や将来のこと、家庭での過ごし方、そして当事者である子どもとの接し方など、保護者が抱えるさまざまな悩みの解消の一助となるのではないでしょうか。『子どもたちはインターネットやゲームの世界で何をしているんだろう?児童精神科医からみた子どもたちの「居場所」』本書は、ゲームやアニメ、マンガの愛好家であり、子どもとゲームやインターネットとの関わりについて各方面での発信にも力を注ぐ児童精神科医の関正樹先生が、子どもたちの「居場所」としてのゲーム・インターネットの世界について、最新鋭の調査データや研究、そして臨床事例を交えて解説した一冊です。本書では、インターネットやゲームの世界に子どもたちが傾倒するには、その子どもたちなりの背景があると記されており、子どもたちがゲームやインターネットに没頭していく過程が丁寧に分析されています。そして、大人がその世界を知るために気をつけておきたいポイントを取り上げると共に、事例などを通じて子どもたちにとっての「居場所」としての意義を提案し検討するという形が取られています。また、本文中には、「ストリートファイター」や「スプラトゥーン」など実際のゲームも事例として登場し、ゲーム愛あふれる関先生ならではの視点も見どころの一つです。ゲームやインターネットの世界について網羅的に記述されている本書では、発達障害・不登校の子どもたちとインターネットやゲームの世界についても取り上げられています。「居場所」を求める子どもたちのなかには、リアルの世界で大きく傷ついたり溺れそうになっている子どももいるのかもしれません。SNSで胸のうちをつぶやかざる得ないときにも、それを責めるのではなく、共感的にその背景に目を向けることの重要性も記されています。本書は、目の前にいる子どもと接していく参考になると共に、子ども・青年たちに関わる支援者や臨床家や教育現場の教師など、「子どもの居場所のあり方」について関心のある多くの方にぜひ手に取ってもらいたい一冊です。子どもも家族も楽しい食事時間を過ごしてほしいーー『ダウン症のある子どもの離乳食から食事へー食べる機能を育てるためにー』ダウン症(21トリソミー)とは700人から1000人に1人の発生頻度と言われる21番染色体が1本多く存在することで起こる疾患です。ダウン症がある子どもは低緊張のため、哺乳力が弱いだけではなく、口唇を閉鎖する力も弱く、舌も突出しやすく、また咀嚼の発達自体もゆっくりで丸呑みしやすいといったことも多い傾向があるため、離乳食や食事の進め方にも注意が必要だとされています。本書は、日本ダウン症療育研究会会長であり大阪医科薬科大学小児科名誉教授の玉井浩先生が監修した、「ダウン症のある子どもの離乳食や食事はどうやって進めていけばよいか?」ダウン症のある子どもの家族の悩みに答える実践的な解説書です。食べさせ方や座り方、食事道具の選び方や使い方をはじめ、家族や保育者からよくある相談や困りごとをまとめた41のQ&Aなどをイラストや写真を交えて分かりやすく解説。さらにQ&Aでは成人になってからの食に関する悩みについても記されています。また、巻末付録には成長曲線(0〜36ヶ月・0〜18歳)も掲載。「子どもも家族も楽しい食事時間を過ごしてほしい」という想いを込めて書かれた本書。ダウン症がある子どもやその家族を支える医師や看護師、栄養士などの医療従事者、保育士をはじめとする保育関係者に、手元においてもらいたい一冊です。『「共感」からはじめる 発達障害のある子どもの支援教室における行動―情緒の問題を解決する6つのステップ』発達障害のある子どもの暴言や暴力、パニック、さらにゲーム依存といった行動上の問題の背景には、障害からくる特性だけではなく、養育環境や対人経験などのさまざまな要因が絡んだ子どもの情緒面の苦しみがあるのではないでしょうか。本書は、小中学校の通常学級や特別支援学級で発達障害のある子どもと関わる教員や支援者が、子どもが起こす行動上の問題の先にあるその背景を理解し、子どもの情緒に共感して適切に関わり、効率的な支援が行えるようになるための6つのステップを解説しています。著者は、宮城教育大学大学院教育学研究科教授の植木田潤先生。本書のなかでは、植木田先生が25年以上にわたり継続してきた教育相談やカウンセリングのなかで培ってきた事例も組み込み、事例理解を通じて「共感からはじめる支援」を体感できる内容となっています。また、障害特性や目に見える行動だけではなく、養育環境や対人経験といった「育ちの軌跡」や、それらによって生じた価値観などにも注目し、子どもだけではなくその家庭との関わり方のポイントや具体的な支援方法についても詳しく解説されています。発達障害がある子どもたちが示す行動上の問題は、実は、子どもたちの発する救済信号かもしれません。本書は、その行動や情緒の問題の背景にある子どもたちの想いや願いを理解し、支援しようと日々奮起している教員や支援者に読んでほしい一冊です。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年09月17日もし、自分の娘が学校に行けなくなったら……?今回は、起立性調節障害という病気で、学校に行きたくても行けない人のお話です。そこで今回は、MOREDOORの大人気SNSより、オリジナル漫画「ある日学校へ行けなくなりました」から、話の展開を予想していただくクイズをお届けします!本作品には起立性調節障害を描写するシーンがございます。閲覧の際はご注意ください。もし、本編の主人公と同じような症状がみられる方は、一度医療機関を受診することを推奨します。事情を説明するも……ここでクイズです!起立性調節障害により、学校に毎日通えない主人公。久しぶりに学校に行き、友人に事情を説明します。すると、友人たちはどんな返答をしたでしょう……?ヒントとして、それは主人公の想像とは違い……。友人たちの返答は……?正解は『怠け』だと言われた病気について説明するも、サボりや怠けだと言われてしまう主人公。ショックを受けた主人公は、学校に行けなくなり……。こんな時どうする?もし、病気で苦しんでいるのに“怠け”だと言われたら、悲しいですよね。今回の主人公は、友人からの理解を得られませんでした。もし、身近な人が同じ病気だったら、あなたならどう対応しますか?※実体験を元に漫画化したものです※こちらの記事・漫画はあくまで一例として、それについて考えるきっかけ作りになればと思います。■作画:ちり(MOREDOOR編集部)
2023年09月15日みなさんは、「起立性調節障害」をご存知でしょうか?この病気を持つ人は症状から様々な偏見を持たれてしまいます。大正製薬のホームページによると、10~16歳の思春期の子どもに多く、倦怠感や立ちくらみなどの症状が午前中に強く見られますが、午後には軽減するため「怠けている」と周囲から思われてしまうこともあるようです。そこで今回は、MOREDOORの大人気SNSより、オリジナル漫画「ある日、私は学校に行けなくなった。」をご紹介します。朝、起きれなくて……この漫画に読者からは……『私も元起立性調節障害で理解してもらうまでに時間がかかり、とても辛かったです。周囲との関係性や自分がいる環境によって大きく変わるものだなと思いました。』『決して他人事ではない病気だし、周りも理解が必要』『クラスの中でこの子の気持ちに寄り添ってくれる子が一人でもいれば、また違ったんじゃないかと考えてしまいます。最後にお母さんが寄り添ってくれたのが本当に良かったと思いました。』『見た目にはあらわれない病気を患っている人も多いと思うので、もっと周りの理解が深まればいいな』など、病気への理解の必要性についてたくさんの声がよせられました。怠けではない……本作では、「起立性調節障害」を患っている思春期の子の辛さに注目しました。読者の皆様からの感想にもあったように、病気に対して周囲が理解を示すことが大切ですね。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※こちらの記事・漫画はあくまで一例として、それについて考えるきっかけ作りになればと思います。※実体験を元に漫画化したものです■作画:ちり(MOREDOOR編集部)
2023年09月04日あなたの身近な人も、見た目だけでは分からない病気を持っているかもしれない……。今回は、実体験をもとにしたMOREDOORのオリジナル創作漫画『起立性調節障害って知ってますか?』より漫画の展開を予想していただくクイズをお届けします。【あらすじ】毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。佳純は寝つきが悪く、朝起きれずに遅刻を繰り返します。学校の先生や母は佳純を責めます。しかしその後、病院で検査すると“起立性調節障害”だと判明。異常な眠気は病気のせいだったのです。佳純は周囲の助けを借りつつ、上手く病気と付き合えるようになり……。先生にも褒められ……ここでクイズです!日常生活の工夫もあり、症状が改善していると診断を受けた佳純。この後、医師から治療に効果的な意外な行動を聞きます。その内容とはいったいどんなものだったでしょうか?ヒントは日常で簡単に取り入れられるものです。意外な治療法とは?正解は「筋トレ」!治療には、足の筋トレやストレス解消も効果的だと伝えられた佳純と母。どちらも起立性調節障害と関連しているとは少し意外ですよね。この後佳純は、さらに日常での様々な工夫を凝らしながら起立性調節障害を乗り越えていくのでした。佳純と母の努力……起立性調節障害だと診断を受けてからの、佳純と母の治療に対する積極的な姿勢は素晴らしいですよね。薬などを飲まなくても、日々の習慣の改善や、周りからの理解、助けがあれば症状は改善される可能性があるということがわかりましたね。みなさんはこの漫画を読んでどのように感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年08月27日あなたの身近な人も、見た目だけでは分からない病気を持っているかもしれない……。今回は、実話を元にしたMOREDOORのオリジナル創作漫画『起立性調節障害って知ってますか?』より話の展開を予想していただくクイズをお届けします。検査後……毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。佳純は寝つきが悪く、朝起きれずに遅刻を繰り返します。学校の先生や母は佳純を責めます。しかしその後、病院で検査すると“起立性調節障害”だと判明。先生や母の理解も得て、佳純は日々の習慣を改め……。先生が声をかけ……ここでクイズです!起立性調節障害と診断を受けた佳純。家や学校でも周囲の協力を得て、以前より心配が少なく過ごせるようになりました。しかし、佳純がどうしても体調が悪く休まざるを得ないタイミングがあるようです。それはいったいどんな時でしょうか?ヒントは、定期的に訪れるものです。佳純の体調が最悪になるタイミングとは?正解は「生理中」!周りの協力を経て、以前よりも症状も改善してきた佳純。しかし、生理中だけはしっかり体を休めないと活動できないそうです。体内の血液の量なども関係しているようですね……。助けは何よりも薬になる周りの助けも借りながら、しっかりと起立性障害の症状と向き合い闘う佳純。その甲斐もあってか、症状はどんどん改善へ向かっているようですね。やはり様々な病気への理解と助けは重要なようです……。みなさんはこの漫画を読んでどのように感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年08月23日「障害」について深く考えたことがなかった私私は身近に障害のある人がいたことがなく、障害者と直接関わった経験もないまま大人になり、母親になりました。世の中にはさまざまな障害のある人がいるけれど、それは自分とは関係のない、どこか遠い世界の話のように思っていたのです。そんな私がまさか障害のある子どもを産み育てることになるなんて、想像もしていませんでした。妊娠すれば障害のある子どもが生まれる可能性を、誰しも一度は考えることがあるとは思いますが、私はそんなときでも「わが子に限って大丈夫だろう」と安易に考えていました。Upload By みん障害があるかもしれないわが子を心から可愛いとは思えない日々でも次男のPを出産後、わが子の成長に違和感を感じはじめ、発達障害の可能性を疑い、その不安がみるみる現実のものとなっていく日々は本当につらく苦しい時期でした。息子に発達障害があるかもしれないと分かった頃は、一体どの程度の障害なのか?どんな風に成長するのか?がまだまだ未知だったので、障害のあるお子さんをもつ人のブログやSNSを読み漁っては、不安に思っていました。見ず知らずの人の子どもとわが子を比べては、感情の浮き沈みが常にありましたし、「障害があってもわが子は可愛い」という障害のあるお子さんを育てている親御さんたちの言葉を耳にしても、私にもそんな風に思える日が来るの?と正直自信がありませんでした。なぜなら、毎日Pと関わることに必死で、初めての育児でもないのにこんなに育てづらいものなのか?と、1歳半を過ぎた頃からは可愛いと思う余裕もなく目まぐるしく日々が過ぎていくだけだったからです。Upload By みん将来を悲観していた私…障害の受容へと繋がったきっかけは?そんな悲観的だった私の心に変化が現れたのは、Pを療育園へ入園させた時期です。それまで、「こんなに大変な子どもはどこにもいない!周りのお母さんたちは育児がラクで羨ましい!」と卑屈になっていた私の気持ちが、入園とともに少しずつ溶けていきました。なぜなら、療育園にはPと同じように困りごとを抱えたお子さんと、私のように育児に悩み、疲れているお母さんたちがたくさんいて、そんな親子を助けてくれる療育の知識や経験をもった先生方がたくさんいたからです。同じ目線で私の話を聞いてもらえ、共感してもらえる療育園の環境はたった1人で戦っているわけじゃないと実感できましたし、何より孤独ではなくなりました。それに療育園では、困りごとを相談すれば関わり方のアドバイスをもらえ、先生たちの知識や経験の多さに救われながら、私自身にも知識や経験が増えていきました。同時に障害のある子どもへの福祉制度のことや、就学、就労についてなども見聞きする機会が増えていきました。Upload By みん「想像できない」ことで不安になるのなら、「知る」ことで少しでも不安を和らげよう!「Pの将来はどうなってしまうんだろう?」と悲観ばかりしていましたが、こんな制度やこんな場所があるんだ!と具体的に想像することができ、現実的に考えられるようになったことが、私にとっては障害の受容へと繋がるきっかけになったと思います。誰だって未来が想像できないと不安だし心配になると思います。私はこれまで障害者と関わりがなかったために、障害者の生活や人生に対する知識が全くなく、メディアなどで見聞きしていたマイナスなイメージばかりを持っていたので、わが子に障害があるとなると、どうしても悲観的になるし、戸惑うのも当たり前だったと思います。Upload By みんでも子どもの未来は障害のある無しに関わらず、親がいくら理想をもっていても、逆に絶望したとしても、結局は子どもと共に過ごす日々の中で一緒につくっていくものなんだと感じました。子どもの成長に対して、親が勝手に過信や期待をしすぎるのも、悲観的になったり諦めたりするのも、どちらも違うと思いますし、子どもの現在を見て今必要なことやできる限りのことをし、精一杯関わっていくことで、Pにとっても私たち家族にとっても、自然とより良い未来へと繋がっていくと信じています。執筆/みん(監修:森先生より)「子どもを可愛いと思えない」というお母さんは、子どもに愛情を持っていないわけではありません。むしろ反対で、子どもへの責任感が強すぎて、その重圧から育児を素直に楽しめなくなっているのです。真面目で思い詰めてしまうタイプに多いでしょう。最愛のわが子に障害があると伝えられたら、受け入れられない気持ちがわいてくるのは当然のことです。受け入れられないことすら受け入れられず、自分を責めるという悪循環に陥ってしまう方が少なくありません。同じ状況にいる人にしか分からない葛藤や悩みがあります。当事者やその家族同士が関わる機会があると、悩んでいるのは自分だけでないことに気がつきます。悩みを安心して話せて、理解し合える人がいると思うだけで、心理的な負担はグッと減ります。また、人は漠然とした未来に対して一番不安を募らせるものです。将来を具体的に想像できるような道筋を見聞きすることで、障害を受け入れて、地に足をつけて準備を進めることができますね。1人で不安を抱えていないで、まずは行政や療育センターに相談してみるといいですね。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年08月14日起立性調節障害を持つ方は、周囲から障がいだと理解してもらえず苦しんでいることをご存知ですか?そのため、親や教師に怠けているとられてしまうことあるようで…。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画「起立性調節障害って知ってますか?」より、漫画の展開を予想していただくクイズをお届けします!漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。怒られる理由はいつも……小学生の頃は起きれてたのに……ここでクイズです!小学校の頃は、きちんと朝起きれていた佳純。しかしある時期をきっかけに、このような症状に悩まされるように……。その時期とはいつだったでしょうか?ヒントは、心身ともに大きな変化があらわれる時期です。佳澄に変化が訪れた時期とは?正解は「成長期」!中学生になり、背が伸びたり、体型が大人らしく変化した成長期。成長期を通じて、佳澄の睡眠にも変化があったようですね……。このあと、佳澄は学校での居眠りについても先生に指摘され、親にまで連絡がいくことになってしまいます。理解しようとする姿勢が大事起立性調節障害について、知らなかったという方もいるのではないでしょうか。どんなことにも、当事者の背景があります……。頭ごなしに叱るのではなく、その人がどんな事情を抱えているのかを考えてから、行動すべきかもしれませんね。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年08月10日発達障害と知的障害の違い発達障害も知的障害も、社会生活を送る上で生きづらさを伴うことは、大きな共通点です。では、発達障害と知的障害は、何が違うのかと疑問に思う方もいるかもしれません。発達障害というのは、よく「発達凸凹」とも呼ばれます。得意なものと苦手なものの差が大きいイメージです。いろいろな能力の中に、著しく高いものもあれば、低いものもある状態です。一方、知的障害は全体的に発達がゆっくり進んでいると考えてみてください。どこかの能力が低いというのではなく、全体的にゆっくり成長しているのです。例えば、IQ70の10歳児であれば、精神年齢は7歳くらいというイメージです。そう解釈すると、目の前の子どもにとって何が必要かが見えてきます。小学校4年生の中に小学校1年生の子どもが混じっている、だからレベルに合った学習内容の取得が必要だといった具合です。そしてそのゆっくりとした成長が、成人になっても12歳くらいの水準で止まってしまうのが軽度知的障害です。ただし、必ずしもみんなの精神年齢が12歳レベルで止まるかというとそうではなく、生活上の経験値がそれぞれ異なりますので、あくまでも目安です。子どもたちの知的なしんどさもしも発達障害と知的障害の両方がある場合、個人的には、まず知的なしんどさに対応することが先決と考えます。日常生活や社会的な生活を送る上での困りごとは、知的なしんどさから生じる部分が多いからです。発達障害に知的障害も伴う場合は、知能の程度(軽度・中等度・重度)がどうかという点が重要になります。発達障害でもIQが高ければ、今の社会を生き抜いていく方法は少なからずあるでしょう。こだわりが強い自閉スペクトラム症のある人が、興味や専門性が活かされるような技術職や研究職に就いて、高いパフォーマンスを発揮できることも見聞きします。また、大手企業を起業した経営者のなかにも、診断を公表している方がいます。ADHDの特性である行動力やアイデア力が、起業に生きるというのは想像しやすいでしょう。「軽度・中等度・重度」の程度の違い知的機能の水準は一般的にはIQで表され、知的障害の基準のひとつに「IQ70未満」があります。障害は、その程度によって次のように4段階に分けられます(WHOの「ICD-10」より)。IQ50~69(おおよそ9~12歳)……軽度IQ35~49(おおよそ6~9歳)……中等度IQ20~34(おおよそ3~6歳)……重度IQ20未満(おおよそ3歳以下)……最重度※()の年齢は、発達期を過ぎた成人に対する精神年齢です。4段階のそれぞれの特徴は、次の通りです。各段階で、学力の習得が可能な年齢(学年)というのも付記していますが、あくまでも目安となる年齢です。支援次第で、目安の年齢以上に、成長を促せる可能性はあります。・IQ50~69…軽度多くの場合、身のまわりのことは自分でできるようになります。自分で考える力も身につき、小学6年生くらいまでの学力を習得できます。簡単な読み書きや計算ができます。ただし、言葉の発達や抽象的なことの理解に遅れが生じる傾向があります。高度なスキルが必要な場合を除き、仕事に就くこともできるでしょう。一般的に知的障害といっても、本人や周囲の人にも「知的障害」という自覚がなく、支援を得ることなく生活しているケースもあります。そのため、実際の人数よりも認定数が少ないものと考えられます。また統計上は、知的障害者の約85%がこの段階に分類されます。ですので、知的障害といえば、概して「軽度」のことを指すといっても過言ではないでしょう。・IQ35~49…中等度身のまわりのことはだいたい自分でできるようになりますが、一定のサポートは必要なことが多いでしょう。簡単な読み書きや計算が部分的に可能です。乳幼児期に言葉の遅れはありますが、コミュニケーション能力はあります。適切な支援を受ければ、小学2年生くらいまでの学力を習得できます。配慮があれば、単純作業の仕事などに就くこともできるでしょう。・IQ20~34…重度乳幼児期はほとんど会話をしませんが、学童期になると、基本的な生活習慣(会話、食事、排せつなど)を身につけることができます。学力の習得目安は5歳くらいまでで、読み書きや計算は難しいでしょう。簡単なお手伝いやおつかいといった作業は可能です。・IQ20未満…最重度快・不快の表出は可能な場合が多いですが、言葉でのコミュニケーションを身につけることは難しい場合が多いでしょう。適切な支援によって能力の成長は見られますが(3歳程度まで)、身のまわりのことを自分で処理することは難しく、常に周囲からの支援や保護が必要となります。誤解されやすい「障害程度」なお、知的障害の男女比はおよそ1.6:1(軽度)~1.2:1(重度)で、全体での男女比は1.5:1程度とされます。ここまで、知的障害の程度区分の4段階について解説してきましたが、ここで誤解されやすいことがあります。それは、「障害程度が低い」=支援の必要性も低いのか?ということです。確かに身のまわりの世話などが必要な場面は、中等度や重度よりも軽度のほうが減るかもしれませんが、それでも支援をしなくていいわけではありません。むしろ軽度知的障害の場合、定型発達と見分けがつきづらく、支援されない可能性すらあります。そうなると、生きづらさは増していきます。失敗を極度に恐れ、失敗するくらいだったら最初から挑戦しない。そんなプライドの高い子どもがいます。小学校低学年のAくんもそんなひとりです。Aくんは、先生から「この問題、間違ってもいいからやってごらん」と言われても、(少しやってみて)「やっぱり無理」「もうやめた」(考えもせずに)「わかりません!」「できません」などと答えるパターンが多いのです。Aくんは、あきらめるのが早いのです。しかし、これらの言葉はできないことへの防衛でした。知能検査を受けたところ、Aくんには軽度知的障害があることがわかりました。 By 宮口幸治気づかれない「軽度知的障害」軽度知的障害のある子どもは、普通に話したり遊んだりしている分には、定型発達児とほとんど見分けがつきません。また自分が興味のあること・好きなことの記憶力はよかったりします。しかし、言われたことはだいたいできますが、いつもとやり方が違ったり何か問題が発生した際の対処法が分からなかったり、自分で新たな工夫をするのが苦手なことが多いのが特徴です。なお、軽度知的障害がある場合でも、保護者が熱心に教えたり、個別塾に通わせたりすることで、小学生までの勉強にはなんとかついていけることもあります。小学生では成績がそれほど悪くなかったからといって知的障害がないとも限らないのです。もし知的障害が疑われるなら、「まだ小学生だから様子を見ましょう」と経過観察するよりも、少しでも今できることを考えてあげたほうがいいでしょう。例えば、自治体の教育センターや発達に詳しい医療機関を受診し、どこの部分につまずきが見られるのかをしっかりアセスメント(子どもの状態や特性を把握し評価すること)してもらって、具体的にできる今後の対応策を、学校、保護者が一緒に検討することが望ましいと考えます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2023年08月04日強迫性障害とは?原因、どんな症状がある?強迫性障害(強迫症)は、強迫観念や強迫行為を何度も繰り返す精神障害です。強迫観念とは、無意味であると自覚しながらも抑えられない思考やイメージのことであり、手を洗う・順番に並べる・何度も確認するといった儀式的な行動(強迫行為)を行うことで強迫観念を打ち消そうとします。強迫性障害の原因は明確ではありませんが、遺伝的要因や脳内の化学物質の異常、環境要因などが関与していると考えられています。ストレスやトラウマも発症の一因とされています。また、強迫性障害は、うつ病を併発することも少なくありません。およそ20~30%の患者がうつ病の症状を抱えていると言われ、より症状が重症化してしまうこともあります。このコラムでは、強迫性障害の原因、症状、治療法等に関するギモンについて、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【小児科医に聞く】手を洗いすぎる、何度も確認してしまう、被害妄想が激しい…強迫性障害の症状や原因は?医師が回答(質問)高校生の娘は昔から何事も気にしてしまう性格ですが、最近は度を越しているように感じます。強迫性障害かチェックするポイントはありますか?どんな症状があると強迫性障害と診断されますか?(回答)気にすまい、考えまい、行うまいと努力するにも関わらず、そうすることによって、かえって気になり、それに囚われて、そうせざるを得ない状態に陥っていることがあります。例えば、「人が触ったものを汚いと感じるようになって、頻回に手を洗うようになり始めた」、「気にしすぎだと思うが、手洗いをしないと落ち着かず、次第に人が手を洗わないのも気になり、人への手洗いも強要するようになった」というように、ご自身がしたくないと思っていても、それをしないと落ち着かず、生活に支障をきたしている場合には、強迫性障害を疑う必要があります。強迫観念:自分にとって無意味で、不合理であると理解しているが、繰り返し不快な考えが頭を巡ることです。例えば、人が触った物は不潔であるという考えが巡るのは、強迫観念です。強迫行為:強迫観念を抑えるために行われる反復的な行動や儀式です。例えば何度も手を洗うなどです。強迫観念や強迫行為の症状がある場合、強迫性障害の可能性がありますが、診断にはほかの疾患との鑑別も必要になるので、児童精神科、精神科、心療内科などへの相談をおすすめします。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもが強迫性障害かもしれません。潔癖症のようになり手を繰り返し洗うのをやめられない、お風呂でも身体の汚れが気になるようで身体をずっと洗い続けていて、日常生活に影響が出ています。最近は出かけようとしても「汚れるのではないか?」と不安になるようで部屋にこもりがちです。何が原因なのでしょうか?また、治るきっかけなどありますか?やはり病院を受診したほうが良いでしょうか。(回答)原因は解明されていませんが、脳内の神経伝達物質(セロトニン系)の異常が症状と関連していると示唆されています。環境の変化などのストレスで症状が悪化することもあります。お子さん自身やご家族のせいで生じる病気ではありません。子どもの強迫性障害には、チック障害、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、うつ病などの併発が多いことが指摘されています。強迫観念があっても、強迫行為の回数を少しずつスモールステップで減らしていき、できたという経験を積むことで、強迫観念が少しずつ和らいでいくことがあります。しかし、親子で取り組むのは難しいこともあるかと思うので、精神科・児童精神科・小児科の医師・心理士や、スクールカウンセラーに相談すると良いでしょう。生活に支障があったり、ほかの人にも手洗いなどを強要したりと巻き込む様子がある場合には、受診されると良いでしょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもが強迫性障害になり、最近は頭痛や動悸も訴えるようになりました。パニック障害になってしまうのではと心配です。(回答)頭痛や動悸などがある場合には、身体症状の原因検索をしつつ、症状を和らげるお薬を使用し、ほかに併存している疾患がないかも診ていきます。身体症状があると日常生活にも支障をきたしますし、専門医療機関を受診することをおすすめします。また、強迫性障害と関連する疾患は、チック障害、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、うつ病(気分障害)、不安障害などが挙げられますが、心配な症状が見られる場合には、かかりつけ医や専門医療機関に相談してみましょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもが強迫性障害です。何度も繰り返し「大丈夫?」と確認をしてばかりで行動に移せない、といった様子が見られます。「大丈夫だよ」と声を掛けますが効果がないようで、母である私も疲弊しています。どのような言葉を掛ければいいでしょうか?気にしないようにできる方法や良い接し方はありますか?(回答)なんとかして、安心させたいとお声を掛けているのだと思います。しかし、「大丈夫だよ」と声を掛けても効果がないように感じる場合には、お子さん本人の中では、大丈夫ではない不安があるのかもしれません。「何度も確認したくなるくらい、心配なんだね」と、お子さんの気持ちを否定することなく、一度受け止める表現の声掛けをしてみるのはいかがでしょうか。その上で、「○回確認したらやめよう」と具体的な回数を決めて確認行動を減らす声掛けをし、確認行動が減ったら、ほめることを意識していきましょう。とても忍耐のいることですが、できる限り、同じ対応を続けるようにしてみましょう。Upload By 発達障害のキホン強迫性障害にまつわるコラムまとめ強迫性障害は治療可能であり、認知行動療法や薬物療法などが一般的に用いられます。認知行動療法では、強迫観念や強迫行為に対する認識や対処法を学び、それらを改善することを目指します。薬物療法では、抗うつ薬や抗不安薬が使用されます。強迫性障害は、学業や仕事などの日常生活にも大きな影響を与えることがあり、早期の診断と適切な治療が重要です。専門医の指導のもと、患者本人だけでなく家族も病気や治療について知ることで、適切なサポート方法を身につけ、症状の軽減や社会生活の回復を目指しましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月16日起立性調節障害の原因は?よく見られる症状、治療法は?起立性調節障害は、自律神経系の循環調節機能の異常によって引き起こされると言われています。交感神経活動により、血流が脳に十分にいきわたらず、立ちくらみ、朝起き不良、頭痛、動悸、血圧の変動、倦怠感などの症状があります。起立性調節障害の発生頻度は、軽症例も含めると、小学生の約5%、中学生の約10%にものぼり、10~16歳の第2次性徴期、思春期に起こりやすく、ほかに、水分不足、ストレス等も起立性調節障害の要因となります。不登校の子どもの約3~4割が起立性調節障害を併存しているとも言われ、学校生活や社会生活に大きな支障となる場合があるため、起床時の姿勢、筋力維持、十分な水分補給、睡眠リズムの調整などの日常生活における工夫や、薬物療法などの適切な治療で症状を軽減し、家庭や学校において環境調整を行っていくことが重要です。【小児科医に聞く】起きられない、学校に行けない…何科に行く?薬はある?保護者ができることは?起立性調節障害に関するギモンに医師が回答(質問)子どもがめまいや頭痛を訴えて朝起きられず、学校を休みがちです。起立性調節障害か、あるいは何か大きな病気ではないかと心配です。どんな症状が起立性調節障害に当てはまるのか、チェックポイントはありますか?何科を受診すればよいでしょうか?(回答)起立時に脳への血流が低下し、朝起き不良、食欲不振、全身倦怠感、立っていると気分が悪くなる、立ちくらみといった症状が認められます。症状は午前中に強く、午後からは体調が回復するのも特徴です。検査には症状をきたすほかの疾患がないか、例えば鉄欠乏貧血、甲状腺ホルモンの異常などがないか除外します。起立性調節性障害が疑わしい場合、起立負荷試験を行います。臥床安静時と、起立直後、起立継続時の血圧、脈の変化を調べます。起立性調節障害とは限らないので、疑わしい場合にはかかりつけの小児科に相談するのが良いでしょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)中学生の娘が起立性調節障害と診断されましたが、なかなかよくなりません。何とか起きて学校に行けても、だるくて体も思うように動かないようです。勉強の遅れも気になり、本人も焦っています。症状が改善するいい方法や治し方はありますか?また、起立性調節障害に使われる薬にはどんなものがありますか?(回答)薬物療法だけでなく、日常生活で注意すべきポイントがいくつかあります。・起床時にはいきなり立ち上がらずに30秒ほどゆっくり起立する・水分を多めにとる(1日1.5L~2L)・塩分制限はしない(むしろ多めにとるようにする)・早寝早起きなど生活リズムを正しくする(怠くても日中は体を横にはしない)・毎日運動をする(15分程度の散歩から始めると良い)・下肢の加圧ソックスを着用する(血圧低下を予防)薬物療法には、低血圧を予防する薬を使用します。症状によって、薬の内容、飲み方は変わりますので、主治医の先生に相談しながら内服をすすめていきます。効果を感じられるのに1~2週間かかるので、効かないと思ってもすぐにやめないことも大切です。Upload By 発達障害のキホン(質問)高校生の子どもが起立性調節障害になり、学校の授業や部活に出られていません。出席日数の不足や課題が終わらないこともストレスになっているようです。このまま留年してしまうのでは、進学も難しいのではと心配です。いつごろまで症状は続くのでしょうか。大人になると落ち着くのでしょうか。(回答)起立性調節障害は珍しい病気ではありません。小学校の高学年から多くなり、中学校で急増します。女子は男子より2割ほど多いようです。進学の時期とも重なる場合も多く、不安になる親御さんも多くいらっしゃいます。症状の回復はお子さんによってさまざまです。適切な治療が行われた場合には、軽症例では数ヶ月以内に改善します。しかし、翌年に再発する可能性もあります。日常生活に支障がある中等症では、1年後の復学率は約50%、2~3年後は70~80%です。不登校を伴う重症例では、1年後の復学率は30%であり、短期間での復学は困難です。社会復帰に少なくとも2~3年かかると考えたほうが良いでしょう。体力に見合った高校に進学した場合には、第2~3学年になると9割程度が治ると考えられています。お子さんにあった学校を考えるのも大切になります。Upload By 発達障害のキホン(質問)中学生の子どもが起立性調節障害と診断されましたが、朝は立ちくらみや吐き気などを訴えますが、昼ごろには調子が良くなるようです。遊びには行けるのに学校は休むというのは、ただ「学校に行きたくない」という甘えではないのか、このままでは怠け癖がつくのではないか…と思ってしまいます。保護者はどのように接すればいいでしょうか。(回答)起立性調節障害の子どもは、疲れてダラダラしているように見えます。しかし、だらけているわけではなく、自律神経機能が悪いため、起立時に全身・脳への血流が悪くなり、その結果、症状が出てきます。昼ごろには調子が良くなるなら、午後からの登校を試みてください。体力に自信がなければ、保護者がつき添うのも良いでしょう。電車通学の場合には、座席に座れるように、ラッシュアワーを避けるのも良いです。朝起きられないからといって無理やり早く寝かせようとしたり、あるいは朝なんとか起こそうとして怒鳴ったり、怒ったりするのは、親子関係の悪化につながります。大きな声で怒鳴っても、良い結果にはなりません。Upload By 発達障害のキホン起立性調節障害、不登校にまつわるコラムまとめ起立性調節障害は、自律神経系の異常によって起立時に全身や脳への血流がいきわたらず、朝起き不良、食欲不振、全身倦怠感、立っていると気分が悪くなる、立ちくらみといった症状が出てきます。起立性調節障害の発生頻度は決して少なくありませんが、進学の時期と重なる場合も多く、不登校や引きこもりなど、症状が重症化し長引くと、社会生活に大きな支障が出ることもあります。日常生活の中で気をつけられるポイントに留意しつつ、主治医と相談しながら薬物療法や運動療法なども適切に取り入れることが大切です。朝は倦怠感やめまい、頭痛といった症状が強くても、午後には回復することも多く、「疲れてだらけているだけ」と感じられるかもしれませんが、叱責することは良い結果には結びつきません。学校とも連携をして、正しい理解をもって無理なく早期の回復を目指しましょう。
2023年07月15日起立性調節障害を持つ方は、周囲から障がいだと理解してもらえず苦しんでいることをご存知ですか?そのため、親や教師に怠けているとられてしまうことあるようで…。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。小学生の頃は起きれてたのに……この漫画に読者からは……『起立性調節障害って周りには分からないしんどさがあるから、理解してもらうのが難しい』『私は昔、起立性調節障害だったのですが友達にうまく説明出来なくて、ただのサボりでしょ?と言われるのが本当に嫌でした』『中学生3年の頃妹が起立性になり、高校2年の今でも薬飲んでます。高校受験の年なのにと焦り、妹は結局半年以上学校に行けませんでした。でも、妹の学年に同じ起立性の子が7人もいて、卒業式も朝早くからは出席出来ず、先生達が起立性の子の為に7人だけの卒業式を参加しやすい午後からにしてくれました。体と相談して頑張ってほしいです!』など実に様々な意見や周囲の体験談が集まりました。理解を示すことが大切病状にかかわらず、当事者の背景を理解することは大切です。一度、当事者にお話を伺ってみるのもよいかもしれませんね。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年07月11日「朝起きれないって……。それってただの怠けでしょ?」起立性調節障害の症状は“甘え”でも“怠け”でもありません。しかし症状を理解してもらえず、苦しんでいる方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、MOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画『「起立性調節障害」って知っていますか?』をご紹介します。漫画のあらすじ毎朝起きることがとても辛く寝坊を繰り返してしまう主人公・佳純(かすみ)。夜更かししたいわけでもないのに寝付けないのも朝が異様に辛いのもただの“怠け”ではなくて……。怒られる理由はいつも……この漫画に読者からは……『私は眠い、無理というよりは目眩が酷すぎて動けない感じです。怠けとかずるって思われがちだから一人でも多くの人が分かってくれるといいな。』『理解した周囲の人間はどうすればいいのかな?』『私の友達も多分これだろうなぁ、何か私にできることないかな。』と実に様々な声が集まりました。手を差し伸べたい朝起きることがつらいと感じる主人公は、実は「起立性調節障害」だったという話の一部をご紹介しました。読者からは「周囲の人間はどのように手を差し伸べればいいのか」というコメントが多く見受けられました。一方で障がいを抱える方たちからは「認知してほしい、広まってほしい」という声も。“力になりたい”という気持ちは、障がいを理解していく上での重要な第一歩かもしれません。皆さんはこの漫画、どう感じましたか?※この物語は実話を元にしたフィクションです。※起立性調節障害は、「怠け」でも「甘え」でもありません。■監修:大和行男(こころと美容のクリニック東京院長)子どものこころ専門医、精神科専門医■イラスト:ミノル■脚本:石川ナオ(MOREDOOR編集部)
2023年07月07日みなさんは、「起立性調節障害」という言葉を聞いたことはありますか?大正製薬のホームページによると、10~16歳の思春期の子どもに多く、倦怠感や立ちくらみなどの症状が午前中に強く見られますが、午後には軽減するため「怠けている」と周囲から思われてしまうこともあるようです。そこで今回は、累計再生数4,000万回突破したMOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画「ある日、私は学校に行けなくなった。」をご紹介します。※再生回数は2023年6月22日時点の情報です。朝、体が重く感じ……読者の感想『本当に学校に行くのが辛い時は引きずられてでもつれていかされてたな。味方してくれるお母さんは大切にして』『私の友達もそうでした。学校に行きたくても行けなくて、自分を責めちゃってうつ病にもなってました。毎日電話して、友達は泣いてて、私も辛くなって泣いた時もありました。今は学校に行けてます。どうか、理解してくれる人々が増えますように。』当事者や周囲にいた人からの様々な体験談をいただきました。身内から理解を得ることが一番の支えになるかもしれませんね。無理せず……病名が出ていない段階でもからだに不調が出ているのであれば、休むことを優先しましょう。状態だけをみると”怠けている”と捉えてしまうかもしれないですが、本人にしかわからない辛さがることを理解することが大切かもしれませんね。※こちらの記事・漫画はあくまで一例として、それについて考えるきっかけ作りになればと思います。■作画:ちり(MOREDOOR編集部)
2023年06月23日「仕事しないで家にずっといればいい」そう言われても…。親なきあと、私はどうなるの?私は、幼いころから衝動性が強い子どもでした。ですが当時は発達障害についての社会の理解が低かったこと、また両親も私のそんな特性に気づかなかったこともあり、ADHDの診断を受けることはありませんでした。短大を卒業し就職しましたが、仕事自体はできても環境になじめずにすぐに辞めて…を繰り返すようになりました。「なんでうまくいかないんだろう」「私ってダメなのかな」と感じる場面は日に日に増えていき、そんな中私は「こんなにうまくいかないのには、何か理由があるのかもしれない」と感じるようになりました。そんな私に同居している両親は、「仕事なんてしないで家にずっといればいい。体調が悪ければ家で寝ていればいい」と言います。ですが、そんなことを言われても、親がいなくなったら私はどうなるの?という焦り、不安、心配に押しつぶされそうな毎日でした。私は、自立をするためには働かなければならないと決意しました。「病院で診断を受け、精神障害者保健福祉手帳を取得、その後就労移行支援を受けて就業する」という目標を立て、行動を始めたのです。Upload By ユーザー体験談自分の人生を生きたい!でも、手帳取得、就労移行支援に大反対する両親私は精神科を受診し、ついにADHDの診断を受けました。そして、精神障害者保健福祉手帳を申請する段階となったときに、そのことを両親に伝えました。ところが、両親は手帳取得も就労移行支援事業所に通うことにも大反対!しかもADHDの診断も認めない!と言うのです。「おまえは障害者じゃない。精神科に通うのはやめてくれ」「手帳を取るのも自分たちがなくなってからにしてくれ。おまえくらい養うから」その言葉は、到底受け入れられるものではありませんでした。私は仕事をしたい!何より自分の人生を生きたい!人生で初めて、親に対して抵抗をしました。Upload By ユーザー体験談私に障害があると認めたくない両親に、私は手帳を取るために必死にプレゼンをしました。発達障害、特性、生きづらさについて、そしてこれらにどのような支援があるか、資料を広げて詳しく説明をしました。すると、資料を見ていた父が突然、父自身に自閉スペクトラム症の特性があるかもしれないと、つぶやいたのです。そして後日、私の精神科の受診に父も同行することになりました。話を聞いてくれた主治医は、「お父さんには自閉スペクトラム症の特性がありますね」と言いました。昔から父は、ほかの人に何か言われても全く気にしないタイプでした。私は、父にもやっぱり特性があるんだと、改めて感じました。私の手帳取得に反対するのも、この特性がかかわっているのかもしれないとも…。その後、双極性感情障害の診断も受け精神障害者保健福祉手帳を取得した私は、グループホームを検討したいと思うようになりました。そこで、主治医に意見書を書いてもらう機会があったのですが、そこには『父親に自閉スペクトラム症の特性あり。父親による決めつけなどの精神的負荷が大きく、早く別居してグループホームに入居した方がよい』と書かれていました。父はこの意見書を読み、さすがに思うところがあったようで、その後は私の障害ややることについて過度に干渉することはなくなりました。Upload By ユーザー体験談自分の人生を大切にしていきたい。いつかグループホームを検討しています昨年、家のルールについて父と対立し、「出ていけ!」と言われたためウィークリーマンションを借りて一時別居した時期がありました。その生活のなんて快適なこと!ストレスの原因は、過干渉な両親だったんだな…とつくづく感じる結果になりました。その後、高齢の両親が心配になり実家に戻ったのですが、同じ敷地内でも住む建物を別にしたので、両親との距離を取りながらなんとか暮らしています。私は、企業に勤めています。就労移行支援事業所に2年通い、就職することができました。リモートワークができる会社なので、在宅で仕事をしているのですが、その仕事時間中にも両親が私の部屋へ来ることがあり困っていました。「◎◎を買ってきて」など、業務中にできないお願いをしてくるので、やめて欲しいと何回も注意したら、最近ようやく来なくなりました。一度、ウィークリーマンションを借りて別居したことも、よいきっかけになったのかもしれません。今後は両親とよい距離感をたもちつつ、将来はグループホームを検討して、自分の人生を大切にして暮らしていきたいと思っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/吉田いらこエピソード参考/はっちゃん(監修:鈴木先生)神経発達症(発達障がい)に対する社会の無理解やSNSによる情報が広まったことで「診断を受けないまま大人になってしまった神経発達症」の方の受診が増えています。障がいを認めたくない親御さんの元で育ったため、まだ診断のついていない方が藁をもつかむ心境で相談に来られています。たとえ母親と受診したとしても、特性の強い父親などは外来へは一緒に来ない場合も多いです。子どもの障がいを認めたくないのと、自分の特性についてとやかく言われたくないからだと思います。お子さんに対する投薬や部活などに関しても反対するケースが多くみられます。精神障害者保健福祉手帳は取得することで、さまざまな補助が得られます。私のクリニックでは、主にマル福(医療福祉費支給制度)(※)が過ぎた18歳以上の方に書いています。診断名はASD+ADHDで書くことが多いです。手帳は「障害」ですが、ご本人には「ASDは特性、ADHDは慢性疾患」だとお伝えしています。(※)茨城県において、小児・妊産婦・ひとり親家庭・重度心身障害者などの医療福祉受給対 象者の方が、医療保険で病院などにかかった場合の一部負担金相当額を公費で助成し、医療費の負担を軽減 する制度コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月22日学習障害・限局性学習症(LD・SLD)とは?学習障害・限局性学習症(LD・SLD)は、学習において困難さがみられる発達障害の一つです。学校教育が始まる就学期になって診断されることがほとんどですが、就学前の段階で言語の遅れや数えることの困難、書くことに必要である微細運動の困難などがあることでその兆候に気づかれることもあります。主な特徴・症状として・読むことやその内容を理解することの困難さ(読字障害/ディスレクシア)・書くことの困難さ(書字表出障害/ディスグラフィア)・数の理解や計算をすることの困難さなど(算数障害/ディスカリキュリア)の3つに分けることができます。医学的な診断基準とされるDSMでは「学習障害(LD)」とされていましたが、最新版のDSM-5では、名称が変更され、現在は「限局性学習障害/限局性学習症(SLD(Specific Learning Disorders))」と定義されています。限局性学習障害の症状は医学的には「読み」「書き」「計算」の3つの困難さと定義されていますが、文部科学省では知的発達に遅れがないものの「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力の習得・使用に著しい困難を示す発達障害のことと定義されています。参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省学習障害・限局性学習症(LD・SLD)の原因は中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されています。しかし、全般的な知的発達に問題はなく、その他視覚障害、聴覚障害、情緒障害などや環境的な要因が直接的な原因ではありません。保護者の育て方や勉強の教え方などで子どもが学習障害・限局性学習症(LD・SLD)になることなどもありません。読むことやその内容を理解することの困難さ、書くことの困難さ、数の理解や計算をすることの困難さなどの、学習における困難さが、知的障害(知的発達症)によるものでないこと、経済的・環境的な要因によるものでないこと、神経疾患や視覚・聴覚の障害によるものではないこと、学習における面のみでの困難であること、という場合に限り診断されます。現在、学習障害・限局性学習症(LD・SLD)の根本的な治療法はありませんが、環境調整や療育などにより困難さが軽減されることがありますので、一人ひとりの症状や特性に応じた対処法が必要です。また、併存症としてADHD(注意欠如・多動症)や自閉スペクトラム症(ASD)を伴う場合も多く見られます。それらの要因を考慮した学習支援が必要となり、家庭・学校・医療関係者の連携が重要となります。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)タイプ別特徴チェックリスト、支援方法、接し方など学習障害・限局性学習症(LD・SLD)は読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)の3つに分けられます。それぞれの症状には個人差があります。読字障害(ディスレクシア)とは、文字を「読む」ことに困難がある状態のことを指します。読字障害、識字障害、読み書き障害、難読症などと呼ばれることもあります。文章を正確に読むことが難しい、すらすら読むことが難しい、読むことができても内容を理解することが難しいなどの困難を抱えることがあります。書字障害(ディスグラフィア)とは、文字を「書く」ことに困難がある状態のことを指します。文字をマスや行から大きくはみ出して書いたり、鏡文字になってしまうなどの症状が見られることがあります。算数障害(ディスカリキュリア)とは、算数や数式など「数字に関する能力」に困難がある状態のことを指します。数字や数式の扱いや、考えて答えにたどり着く推論が苦手などの症状が見られることがあります。数字に関する能力にのみ障害がある人が多いため、算数の学習を始めてから発見される場合が多いと言われています。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)のある子ども一人ひとりの特性に応じて、UDフォント(Universal Design Font:ユニバーサルデザインフォント )や音声ツールの使用、使いやすい文房具の工夫、ICTの活用など、さまざまな支援方法があります。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)のある子どもは知的発達に遅れがないため、自分自身に障害があると認識するのに時間がかかることがあります。また、本人の「できるようになりたいのにできない」という気持ちはとてもデリケートです。何気なくかけた言葉や行動が本人を傷つけてしまう場合もあるので、接し方には注意が必要です。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)と併存しやすい症状学習障害・限局性学習症(LD・SLD)に多い併存症としてADHD(注意欠如・多動症)や自閉スペクトラム症(ASD)が挙げられます。ADHD(注意欠如・多動症)は、話を集中して聞けない、作業が不正確、なくしものが多いといった「不注意」、体を絶えず動かす、離席する、おしゃべり、順番を待てないなどの「多動性」「衝動性」の特性があり、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の一つです。知的障害(知的発達症)を伴うこともあります。学習障害・限局性学習症(LD・SLD)のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラム学習障害・限局性学習症のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんのコラムを厳選してご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?大人の学習障害・限局性学習症(LD・SLD)関連コラム発達障害に関する情報が広く知られるようになったことで、大人になってから学習障害・限局性学習症(LD・SLD)と診断される方も増えてきました。症状には個人差も大きいので、その人の特性に合った仕事を探すことが重要になってきます。そのほかの学習障害・限局性学習症(LD・SLD)関連コラム。マンガで学習障害を解説/ビジョントレーニングとの関係/関わり方ポイントなどコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年05月31日ある日突然、体が重く感じて学校に行くことが難しいとなったとき、あなたならどうしますか?起床困難の原因が“起立性調節障害”だとわかっても「なかなか他者に理解されない」と悩んでいる人も多いようです。そこで今回は、累計再生数3,500万回突破したMOREDOORの大人気TikTokより、オリジナル漫画「ある日、私は学校に行けなくなった。」をご紹介します。ある日、突然起きれなくなり…… この投稿をInstagramで見る MOREDOOR|カラダの悩み / 性教育 / LGBTQ+ ...(@moredoor_official)がシェアした投稿この漫画に読者からは……『自分にとって当たり前のことが、当たり前にできない人がいる。改めて、不自由なく生きていけていることに感謝しないとと思いました。』『学校を休みがちな人を不登校やサボりなどと言わず、理解が増えるようになって欲しい。こういうことも学校で学ぶべきですね。』『他人事ではなく自分にも起こりえることだと思いました。』『こんな寄り添ってくれるお母さんいいな……。』など実にさまざまな意見をいただきました。理解が広まるように…今回のように他者からなかなか理解されてもらえず、悲しい思いをした経験があるという方が多いかもしれません。他者から理解されることで、本人の気持ちが楽になったり悩みや不安が軽くなったりして生活しやすい環境に近づきます。何事も相手の立場になって考えて寄り添うことが大切かもしれませんね。みなさんはこの漫画、どう感じましたか?(MOREDOOR編集部)■作画:ちり
2023年05月17日自閉スペクトラム症(ASD)とは?自閉スペクトラム症(ASD)は発達障害の1つで、これまで自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などの名称で呼ばれていましたが、2013年にアメリカ精神医学会による、精神疾患の診断基準・診断分類「DSM-5」が出版されて以降、自閉スペクトラム症(ASD)/自閉症スペクトラム障害と呼ばれるようになりました。※この記事内では以下「自閉スペクトラム症」と記述します。自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係や社会的コミュニケーションの困難」と「特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ」などの特性が幼少期から見られ、日常生活に困難を生じる発達障害の1つです。知的発達症(知的障害)を伴うこともあります。幼少期に気づかれることが多いと言われていますが、症状のあらわれ方には個人差があるため就学期以降や成人期になってから社会生活において困難さを感じ、診断を受ける場合もあります。参考:(7)自閉症・情緒障害|文部科学省自閉スペクトラム症は生まれつきの脳機能障害です。乳幼児期の育て方によって発症するものではありません。自閉スペクトラム症の根本的な原因を治療することはまだ不可能と言われています。また、ひとことで「自閉スペクトラム症」と言ってもその症状は人によってさまざまなので、それぞれの特性や発達のペースに合った療育や支援、教育的な対応、合理的配慮、環境調整や本人の工夫などが必要になってきます。癇癪、衝動性、こだわりなど個別の症状に対しては、まずは環境の調整を行います。自閉スペクトラム症そのものを治す薬はありませんが、ある一定年齢以上であれば特定の症状に対して薬が処方される場合もあります。自閉スペクトラム症(ASD)と広汎性発達障害、アスペルガー症候群、高機能自閉症との違いは?広汎性発達障害とは、アスペルガー症候群や自閉症などを含む障害の概念として使われていました。 DSM-5で広汎性発達障害の名称は「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。アスペルガー症候群は広汎性発達障害の1つとして定義されてきました。知的発達の遅れを伴わず、かつ、自閉症の特徴のうち言葉の発達の遅れを伴わないものがアスペルガー症候群に分類されていました。DSM-5でアスペルガー症候群の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省高機能自閉症は自閉症の中で「知的発達の遅れを伴わないもの」を指す概念として使われていました。高機能自閉症と アスペルガー症候群の違いは、発達の初期の言葉の遅れの有無であり、遅れが見られたものを「高機能自閉症」と分類していましたが、明確な違いはないという指摘もありました。DSM-5で高機能自閉症の名称も「自閉スペクトラム症」の診断名に統合されました。参考:参考3定義と判断基準(試案)等|文部科学省Upload By 発達障害のキホン自閉スペクトラム症(ASD)と併存しやすい症状自閉スペクトラム症はさまざまな併存症があると言われています。約70%以上の人に1つの精神疾患が、40%以上の人に2つ以上の精神疾患があると言われています。知的発達症(知的障害)、ADHD(注意欠如・多動症)、発達性協調運動症(DCD)、不安症、抑うつ障害、限局性学習症(学習障害、LD)、場面緘黙症(選択性緘黙)などが併存することがあります。参考:ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について|e-ヘルスネットADHDとは、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状が見られる発達障害のことです。限局性学習症(学習障害)は知的発達に遅れがないものの「読む」「書く」「計算する」などの能力に著しい困難を示す発達障害のことです。医学的な定義では限局性学習症は上記3点の困難を指しますが、文部科学省での定義は「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」の5点を指し、定義に若干の違いがあります。参考:学習障害(限局性学習症)|e-ヘルスネット参考:学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について|文部科学省発達性協調運動症とは、日常生活における協調運動が、本人の年齢や知能に応じて期待されるものよりも不正確であったり、困難であるという障害です。別名、不器用症候群とも呼ばれていました。知的発達症(知的障害)とは、発達期までに生じた知的機能障害により、認知能力の発達が全般的に遅れた水準にとどまっている状態を指します(発達期とはおおむね18歳までを指し、それ以降に事故や病気などで知的機能が低下しても、知的発達症とは言いません)。場面緘黙症(選択性緘黙)とは、たとえば家庭では問題なくおしゃべりができるのに、幼稚園や学校、公共の場など特定の場面で「話せない」状態をいいます。自閉スペクトラム症のある子どもとの生活の様子は?特選連載コラム自閉スペクトラム症のあるお子さんをもつ発達ナビの連載ライターさんの厳選コラムをご紹介。「あるある」と共感したり、今の悩みを解決するヒントが見つかるかも…?大人の自閉スペクトラム症の仕事での困りごとなど、関連コラム自閉スペクトラム症のある人が大人になると、仕事面で困ることが多くなってきます。自閉スペクトラム症のある人は得意、不得意がハッキリしていることが多いので、自身の得意分野をきちんと理解して自分に合った職や対処法を探すことが重要になってきます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月28日20代で「うつ病」の診断私が発達障害を自覚したのは30歳。それまでずっと生きづらさはあり、いろいろな精神症状を経験しました。20代前半、第二新卒で働いていたとき、気分の落ち込みと気力の低下、希死念慮がひどく、ほとんど寝たきりのようになってしまいました。それまで精神科にかかったことはなく、インターネットで調べた、うつ病の診断もできるというクリニック(内科だったと思います)に行ったところ、うつ病との診断が。抗うつ剤を処方されて1錠飲んだところ、興奮状態になり、頭痛、下痢、幻聴という副作用が出て、パニックを起こして救急車を呼んでしまいました。※発達障害の診断が下りたあとになってわかったのですが、発達障害者への抗うつ薬の投与は慎重にすべきという意見もあるようです。このときの医師は精神科医でなかったので、私の症状には適さない処方だったのかもしれません。10年以上前のことなので、詳細はあまり覚えていないのですが、そこから大学病院の精神科にかかるようになり、31歳で実家を出て関東を離れるまで、そこの精神科の先生を主治医としてずっと面談を続けていました。32歳で発達障害と二次障害の診断31歳で実家を離れて今の夫のもとで暮らし始めた私。しばらくは夫に世話してもらいながら静かに暮らしていたのですが、翌年の夏、改めて気分の落ち込みや神経過敏に悩まされるように。やはり再び精神科に通いたいと、近所の精神科医院(標榜は心療内科でした)に行って発達障害の自覚についても話したところ、高機能自閉症(現在の分類ではASDに該当します)の診断が降りるとともに、それによる二次障害としてのうつ傾向が指摘されました。手帳取得への動き先に精神障害者保健福祉手帳と障害年金を取得していた友人に上記の診断の話をすると「福祉ともつながれるし、メリットも多いからぜひ精神の手帳を取得するといい」と勧められて、まずは手帳を取得するために動くことになりました。主治医とソーシャルワーカーさんの意見を総合すると、まだ発達障害単体で精神障害者保健福祉手帳の申請は通りづらいとの判断でした。※これは2012年当時の宮崎県での状況です。地方によっても違うとのことでしたし、現在では発達障害単体でも通ることもあると思います。地域のソーシャルワーカーさんに相談してみるとよいと思います。そこで、二次障害としてずっとうつ傾向が続いているし、手帳申請時の書類上の「初診」にあたる診療(上記の20代でかかった内科医の診療)で「うつ病」の診断が出ているのにも矛盾しないということで、「うつ病」の診断で申請してくれることになりました。診断書の内容への工夫診断書の病名自体は「うつ病」なのですが、主治医は、二次障害のうつ傾向がよくなっても矛盾が起こらないように、症状のところに「易刺激性の亢進(感覚過敏傾向の表現)」「感情コントロールの困難(コミュニケーション障害の表現)」などといった表現を入れるなど、できる限りの工夫をしてくれたようです。主治医やソーシャルワーカーさんのおかげもあり、無事、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を取得することができました。手帳を取得して変わったこと何よりも経済的に助かるというのが、障害者手帳の最大のメリットです。自立支援医療制度を使って医療費が1割負担になるとか、交通機関によって運賃が割引になったりするのはとてもありがたいです。美術館などの施設も割引がある場合があります。同じく「うつ病」で同時に申請して取得した障害年金には本当に助かっています。人に自分の障害を説明するときに「私は実は障害者で、障害者手帳を持っているんです」と言えるので、説明がしやすくなりました。デメリットとしては、一つぐらいしか経験がありません。一度、タクシーで手帳での割引を使おうとしたときに差別的なことを言われて不快な思いをしたのです。私の住む自治体ではタクシーの割引金額はごくわずかだったので、その後は割引を利用しないことに決めました。障害者手帳は、自分にとって開示するメリットが大きいときに開示すればいいだけで、開示することにデメリットがあったりして隠しておきたいときには隠しておけるので、そこがありがたいなと思っています。発達障害があると症状のコントロールのために人より医療費がかかったり、特性のためになかなか思うような収入が得られなかったりと、経済的に苦労する人も多くいます。手帳はそこの負担を軽減してくれます。また、手帳を持っていると障害者雇用枠で就職・就労することもでき、働く場の選択肢も広がると思います。取得していない人は一度検討してみるのをお勧めしたいです。文/宇樹義子(監修・渡部先生より)精神保健福祉手帳の取得に際しては、心理面での抵抗もあったのではと想像しますが、決断されて本当に良かったと思います。今回のエピソードで紹介されている自立支援医療制度は、精神通院医療や薬にかかる費用の自己負担が、通常の3割から1割に軽減されるという大きなメリットがあります。その他の経済的なメリットとして、所得税や住民税、相続税の控除が受けられる、携帯電話料金の基本料金の割引きなどがあります。一方、タクシーで不快な経験をされたという、残念なお話もありました。福祉に携わる者として、障害理解、共生社会という考え方をもっと広めていかなくてはいけないのだなと、改めて考えさせられました。手帳の具体的なメリットをお話しいただき、取得を迷われている方にとっては、背中を押してくれるようなエピソードだったと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年04月12日