ティム・バートン監督が新たな物語を描く映画『ダンボ』。この度、俳優・西島秀俊が本作でハリウッド声優に初挑戦することが分かった。現在放送中のドラマ「メゾン・ド・ポリス」では、エプロン姿が話題となり、今後も「きのう何食べた?」「名探偵・明智小五郎」『空母いぶき』『任侠学園』と気になる作品が続々と放送・公開を控える西島さん。そんな西島さんが、実写のハリウッド作品での声優初挑戦となる今作で吹き替えるのは、ダンボの運命を握るキーマンのホルト(コリン・ファレル)。ホルトは2人の子どもたちと共にダンボの面倒を見ることになる、サーカス団の元看板スター。最初はダンボの存在に否定的だったが、大きな耳を笑われながらも健気に前に進もうとするダンボの姿に心を打たれ、引き離されたダンボ親子の救出のために力を尽くす、まさにダンボの運命を握る重要なキャラクターだ。これまで、『風立ちぬ』や『ペンギン・ハイウェイ』など、日本のアニメーション作品では声優を務めてきた西島さん。今回の新たな挑戦については「ティム・バートン監督のファンなので非常に嬉しく、また個人的に象が好きなので、是非参加したい!と思いました(笑)」と参加を喜び、「声のトーンと気持ちを繋げていく作業は大変だけど、とても面白かったです」と感想を語る。また、ダンボは母の救出のために、勇気を出して一歩踏み出す。そんな本作にちなんで、西島さんが“最近一歩踏み出してはじめたこと”を問うと、「最近エプロンをかける役が多く、料理をはじめました。だんだん面白くなってきたところです!」と新しい挑戦を明かしている。さらに、西島さんのほかにもTVアニメや吹き替え、ナレーションなどで活躍中の豪華声優陣の参加も明らかに。大都会のサーカス“ドリームランド”の経営者で、ダンボを利用し金儲けを企むヴァンデヴァー(マイケル・キートン)を、「夏目友人帳」「FAIRY TAIL」の井上和彦。“ドリームランド”の看板スターで空中ブランコの女王・コレット(エヴァ・グリーン)を、「キック・アス」シリーズなどクロエ・グレース・モレッツの吹き替えを多く担当する沢城みゆき。ダンボが生まれるサーカス団の一員ミス・アトランティスを女優・大塚千弘。ドリームランドのショーの司会役に、マイケル・ドーンの吹き替えや数々のTV番組のナレーションを務める銀河万丈が担当する。井上さんは「映画化して欲しかったー!ティム・バートン監督の作品はいつも夢が満載です。心がじわっと暖かくなります。それに色彩が綺麗でまさにファンタジー!今回ヴァンデヴアー役のマイケル・キートンさんの声を担当させていただきました。幸せです」と歓喜。沢城さんは「『空飛ぶダンボ』に最初に乗ったのはいったい何年前になるのか…。まさか大人になってからそれ以上のときめきを持って一緒に飛べる日が訪れるだなんて。本編のパワーも相まって、もう一度、人生は驚きと希望に満ちていると信じてみたいと思えた機会になりました」とコメントしている。『ダンボ』は3月29日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:ダンボ(2019) 2019年3月29日より全国にて公開©2018 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved
2019年02月19日俳優の高杉真宙が、映画『超・少年探偵団NEO −Beginning−』(2019年公開)に主演することが29日、明らかになった。同作は江戸川乱歩の名著『少年探偵団』シリーズをオリジナルとし、名探偵・明智小五郎とその弟子の小林芳雄(小林少年)の末裔の物語を描く。小林少年のひ孫である小林芳狼(高杉真宙)が、親友のワタリ(佐野岳)や明智小五郎のひ孫の明智小夜(堀田真由)とともに、怪人二十面相、自身の宿命と向き合っていく。高杉と佐野は、『仮面ライダー鎧武』以来初の共演に。堀田真由、板垣瑞生、前田旺志郎、長村航希と次世代を担う個性的なキャストが顔を揃え、「少年たちの成長物語」をメインテーマに描いていく。また『Yes!プリキュア5』や『ノラガミ』等の脚本で知られる赤尾でこが実写映画初脚本に挑戦。新潟出身のスクリーモ・バンドa crowd of rebellionの丸山漠が、自身初の映画音楽を担当し、CG制作はCG界のトップランナー、白組が担当した。芦塚慎太郎監督がメガホンをとる。さらに怪人二十面相デザインは天野喜孝氏が担当した。同時に解禁された超・特報は、昭和映画風の映像となっており、昔懐かしい「少年探偵団のうた」をバックに展開される。
2019年01月29日西島秀俊(47)主演のスペシャルドラマ「名探偵・明智小五郎」(テレビ朝日系)が、19年に2夜連続で放送されると12月18日に発表された。各スポーツ紙によると、西島は主人公の明智小五郎役に抜擢。明智といえば、江戸川乱歩の小説に登場する私立探偵。しかし西島は今回、ネット犯罪の忍び寄る現代日本を舞台に演じるという。西島は「天知茂さんをはじめ、過去に多くの俳優によって演じられてきた明智小五郎を現代版でどう作るのか。企画内容を伺った当初から、興味が沸きました」とコメントしているという。Twitterでは西島の明智小五郎役に《西島さんに探偵役来て欲しいと思ってたからめちゃくちゃ嬉しい!》《明智小五郎を西島秀俊が!?!?!?!絶対見なきゃ!》《我が初恋の明智小五郎が西島秀俊!?!?解釈めちゃ合い委員長!キャスティングした人ありがとう!》など、期待の声が上がっている。さらに同ドラマには明智の相棒役として伊藤淳史(35)が、明智の妻として石田ゆり子(49)が出演。香川照之(53)も刑事部長役に決定している。そのメンツから《香川さんや石田ゆり子さんも出るし実質MOZUでは》《ゆり子さんと西島さんは今度こそ幸せな夫婦なのでしょうか》《これで20面相がハセヒロだったら完璧じゃないか?いでよ! チャオ面相!》と、西島の主演ドラマ「MOZU」(TBS系)を思い出す人たちも。「知的な顔立ちの西島さんは、明智役にはうってつけ。『MOZU』で活躍した俳優陣も出演するとあって、ファンは相乗効果で期待が高まっているようです。『MOZU』は14年にドラマ化され、WOWOWや劇場版にも展開されました。それだけに根強い人気があります。そのファンを取り込むことで、今作もヒットが期待できそうです」(テレビ局関係者)ヒット次第では、今回も映画化がありえるかも!?
2018年12月18日俳優・西島秀俊が江戸川乱歩が生み出したあの名探偵・明智小五郎に扮するスペシャルドラマ「名探偵・明智小五郎」が、2019年に2夜連続で放送されることが決定。現代を舞台に移し、なかなか尻尾をつかめない狡猾なサイバー犯罪に挑むという、全く新しい明智小五郎シリーズが誕生する。■西島秀俊、“新時代”の明智小五郎に! 伊藤淳史を振り回す!?今回テレビ朝日のドラマで初主演を務める西島さんは、これまで誰も見たことのない明智小五郎に初挑戦!というのも、今作では原作の神出鬼没「怪人二十面相」を世界的ハッカー集団「ファントム20」に置き換え、ネット犯罪の脅威が忍び寄る現代日本を舞台にしたオリジナルドラマを創作。第1夜では、警察のデータベース流出から巻き起こる犯罪者連続殺人事件に、第2夜では巨大病院を襲う絶体絶命のサイバージャックに焦点を当て、類まれなる知能とアクションを炸裂させながら、“インターネット社会の闇にうごめく悪”に敢然と立ち向かうのだ。今作ではサイバーセキュリティー企業「AKロジスティクス」の元CEOで現相談役、自宅兼オフィスの明智事務所を密かに開業しているという西島さん演じる明智。そんな彼とタッグを組む原作の「少年探偵団」の小林少年を、本作では警視庁刑事部「サイバー捜査支援室」の小林芳雄捜査官として創作。この小林役には、「無痛~診える眼~」や「チーム・バチスタ2 ジェネラル・ルージュの凱旋」、「エスビー食品」のCMなど、これまでにも西島さんと共演経験のある伊藤淳史。明智に振り回されながらも、事件と真摯に向き合う真面目な男を演じる。■変装や敵と格闘も…!?西島さんは「過去に多くの俳優によって演じられてきた明智小五郎を現代版でどう作るのか。企画内容を伺った当初から、興味が沸きました」とオファー時の心境を明かし、「今回は神出鬼没の怪盗をネット上に隠れる犯罪者に見立て、新たな明智小五郎像が誕生したと思います。今回の明智はサイバーセキュリティー会社の経営者でありながら、捜査に関してはアナログに寄っています。変装をしたり、危機のときに敵と格闘になったり」とコメント。また「現場では、台本に書いてあることが監督のアイデアで2倍、3倍に膨らみ、予想のつかない面白さが毎シーン起きています。とにかく個性的なキャストが揃っていて、今から皆さんとご一緒するのがとても楽しみです」と語っている。■石田ゆり子&香川照之、豪華俳優が集結!明智の妻・文代役には、「MOZU」シリーズでも夫婦役を演じた石田ゆり子。今回は経営に興味がない夫に代わり、サイバーセキュリティー企業「AKロジスティクス」の代表に。明智とは何やら不思議な夫婦関係を築いている。また明智の能力に一目置き、小林に彼を“サイバー犯罪捜査のアドバイザー”としてスカウトするよう命じる警視庁刑事部長・浪越謙次朗役には香川照之。小林の妻・真由美役には、連続テレビ小説「まんぷく」の出演も話題となった岸井ゆきのが演じる。なお、「TRICK」「民王」「99.9 -刑事専門弁護士-」の木村ひさしが演出を手掛ける。第1夜「SHADOW~警察データベース流出!! 犯罪者連続殺人」あらすじ国際手配されている脅威のハッカー集団「ファントム20」が突如、日本金融界の中枢を担う「ひかり銀行」にサイバー攻撃を開始。副頭取の宇田川が頭を抱える中、警視庁刑事部長・浪越謙次朗(香川照之)が指揮を執り、捜査本部は極秘で緊急対応にあたるが、手も足も出ない状態…。だが、そんな未曾有の窮地を、明智小五郎(西島秀俊)が救う。優れたハッキング技術を持つ「チームBD」を率い、自らもズバ抜けたサイバー系の知識と技術を誇る明智。その才能に目をつけた浪越は、警視庁「サイバー捜査支援室」の主任・小林芳雄(伊藤淳史)を明智のもとへ送り、サイバー犯罪捜査のアドバイザーとして招聘。さっそく、ある事件の犯人を特定するよう依頼する――。第2夜「VAMPIRE~巨大病院サイバージャック!!」あらすじある誘拐事件を鮮やかに解決した直後、明智小五郎はうっかり階段から転落、大病院「城西メディカル」に入院。奇しくも同院は、厚生労働大臣・河本圭子の旗振りのもと、ロボット支援手術など医療のIT化を積極的に取り入れている病院。河本がその安全性を自ら証明するため、心臓の手術を受けることも公表されており、にわかに注目を集めていた。そんな中、奇怪な事件が起こる。何者かが万全のセキュリティー対策を突破し、厚生労働省の公式サイトをすべて料理のレシピにすり替えたのだ!しかし、犯人特定の手がかりはまるで得られず、警視庁は手をこまねくばかり。そこで、浪越謙次朗から明智に捜査協力を依頼するよう命じられた小林芳雄は、明智が入院している「城西メディカル」へ。折しも院内では、河本のSP・澤井正和らが見守る中、河本の手術がいまにも始まらんとしていた。ところが手術開始直後、院内は騒然となる。院内のネットワークが乗っ取られ、すべてのコンピューターが動作を停止し…。2夜連続スペシャルドラマ「名探偵・明智小五郎」(第1夜・「SHADOW~警察データベース流出!! 犯罪者連続殺人」/第2夜・「VAMPIRE~巨大病院サイバージャック!!」)は2019年、テレビ朝日にて2夜連続で放送予定。(cinemacafe.net)
2018年12月18日江戸から明治へと移る時代、文明開化の訪れとともに生まれた「新派」が、創始130年を迎えて、日本ミステリー史上最大の人気作『犬神家の一族』を上演。11月1日(木)、大阪松竹座にて幕を開けた。「犬神家の一族」チケット情報本作は1950年に雑誌「キング」で連載された横溝正史の長編推理小説で、1976年に角川映画の第一作として市川崑監督により映画化されて大ヒットを記録。その後、幾度となく映画化、ドラマ化、舞台化されてきた人気作だ。戦後間もない頃、信州の財閥の屋敷を舞台に、莫大な財産を残して他界した犬神佐兵衛の遺産相続を巡る骨肉の争いを描いた本作。名探偵・金田一耕助が、過去と現在に張り巡らされた謎に挑む…。佐兵衛の腹違いの三人娘、松子、竹子、梅子を演じるのは波乃久里子、瀬戸摩純、河合雪之丞。それぞれ佐清(すけきよ)、佐武(すけたけ)、佐智(すけとも)という一人息子があり、なんとしてでも遺産を我が物にするべく目には見えない火花を散らし、けん制し合う。しかしその強さの裏にはそれぞれに“母”としての深い愛情が見える。新派を牽引する水谷八重子は琴の師匠・宮川香琴役で、物語の鍵を握る人物だ。どっしりと存在感のある演技で、謎めいた人物を演じている。私立探偵・金田一耕助には喜多村緑郎。『黒蜥蜴』『怪人二十面相』での明智小五郎に続く探偵役だ。名探偵とはいえ、ちょっと抜けたところもあるのが親しみやすく、佇まいもイメージにピッタリだ。ピリッと緊迫した空気が流れる犬神家の中で、佐藤B作演じる警察官の橘署長、田口守演じる弁護士の古館と共に、観客が安心できる存在となっている。さらに、新派には初出演となる浜中文一も、松子の息子・佐清と謎の青年・青沼静馬の二役を、熱のこもった演技で魅せる。明治時代に生まれ、その時々の風俗や人情を敏感にとり入れながら、古き良き日本の美しさを現代に伝え続けてきた新派。本作ではミステリーとしての面白さはもちろんだが、親子の情愛とそれゆえの狂気を深く描いた人間味のある作品に仕上がっている。大阪公演は11月10日(土)まで、東京公演は11月14日(水)から25日(日)、新橋演舞場にて上演。取材・文:黒石悦子
2018年11月08日俳優の長谷川博己が、2020年放送のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」に主演し、明智光秀を演じることがわかった。NHKが4月19日(木)、東京・渋谷の同局放送センターで行った制作会見では発表した。会見には長谷川さん、脚本を手がける池端俊策氏が出席した。■長谷川さん「感動しています」挨拶全文!「いまの気持ちですか?はい、感動しています。まだ実感が湧かなかったんですが、こうやってたくさんの方に写真を撮っていただいて(笑)。すごいことを引き受けたんだなと、いま実感しています」。「このお話をいただいたのは、朝ドラ(平成30年度後期『まんぷく』)の発表の後でした。それで(放送が)2020年ということで、いわゆる連投という形になるので、朝ドラの後に、そのまま大河の撮影に入るということなので、『これは難しいかな』と一瞬立ち止まったんですけど、『夏目漱石の妻』で池端先生とご一緒させていただき、本当にすごく楽しかったですし、役者としていい経験ができました」。「また、池端先生の作品に出たいと思っていたので、こんなに早くご一緒できること。加えて池端先生が描く明智光秀像が鮮烈に伝わってきまして、『これはやらなければならないな』と思いました」。「これから、本当に長旅になりますけど、これを乗り越えた後、誰も見られない景色が見られるんじゃないかと思いまして、しっかりやりたいと思っております。役者にとっては大河で主演を務めるのは、確実に大きな目標。とにかくきちんと大河の主演らしく、やり遂げたいなと思っています」。「まだ、朝ドラも始まっていませんが(笑)。明智光秀は三日天下ですけど、僕は大河をやり遂げた後、1年くらいは天下が欲しいなと(笑)思っております。よろしくお願いします!」。■「麒麟がくる」とは?大河ドラマとしては初めて智将・明智光秀を主役とし、そのミステリアスな半生に光があてるNHK大河ドラマ第59作。戦国初期の1540年代、群雄割拠の戦乱のなか、若き明智光秀、織田信長、斎藤道三、今川義元、そして、秀吉や家康ら各地の英傑たちが、天下を狙って戦う姿を、戦国時代を描く大河としては初めて4Kでフル撮影する。「本当の光秀はもっと魅力的で、神秘的な人物だったのではないか。その人物像を探っていきたいという思いが私の中で生まれてきました。これを長谷川さんと一緒にできるのは、幸せだと思っています」(池端氏)2020年大河ドラマ(第59作)「麒麟きりんが来る」は、2020年1月~より放送予定。2019年6月クランクイン予定。(text:cinemacafe.net)
2018年04月19日デヴィッド・ルヴォー演出の『黒蜥蜴』が1月9日、東京・日生劇場で開幕した。原作・江戸川乱歩、脚本・三島由紀夫で描かれた物語は舞台にどう立ち上がったのか。女賊・黒蜥蜴を演じる中谷美紀、探偵・明智小五郎を演じる井上芳雄をはじめとするキャストが見せたのは、そここに“美”が宿る世界だった。舞台『黒蜥蜴』チケット情報観客を待っているのは、すりガラスが半分残った天井だけが用意された舞台。ほかには何もない薄暗闇の中に生演奏の音楽が流れ始めると、いくつものドアが現れた。人々が追い追われるように行き交うなか、いつしかそこはホテルの一室となる。のちの場面には、すりガラスの天井が東京タワーの窓になったりもする。魔法のような、しかし演劇だからこそできるこの仕掛けが想像力を掻き立て、瞬く間に物語に入り込ませてくれる。物語は、宝石商・岩瀬(たかお鷹)の娘・早苗(相楽樹)を誘拐するという脅迫状が届いたことから始まる。探偵の明智(井上芳雄)を見張りに雇い、見合いのために大阪のホテルにやって来た岩瀬父娘。そこには上客である緑川夫人(中谷美紀)がいたが、彼女こそ、誘拐予告をした女賊・黒蜥蜴だった。しかし、美しいものを盗み、その美しさを永遠に留めるという自分の美学と信念のみに生きてきた黒蜥蜴が、明智と出会うことで初めて恋というものを知る。やがて早苗をさらうことに成功するも、明智への思いに自らが苦しめられることとなる黒蜥蜴。扮する中谷は、その揺らぎを生々しく見せた。妖艶に佇み、大胆に冷酷に犯罪を決行しながらも、狂おしく惑う姿には、心寄せずにはいられない。対する明智を演じる井上。探偵であるにもかかわらず犯罪への憧れを口にするその危うさに色気が漂う。自信たっぷりに黒蜥蜴を追い詰める様、そして黒蜥蜴の悲しみを受け止める姿に、持ち味である気品が存分に活かされる。家政婦のひなを演じた朝海ひかるの黒蜥蜴への妄信的な献身、黒蜥蜴を慕う雨宮役の成河が見せた嫉妬や葛藤も、この物語の深度を増した。黒蜥蜴に仕える妖しげなダンサーたちも意味深だ。さらには、岩瀬の傲慢、早苗の無邪気が、黒蜥蜴という存在の純粋さと尊さをあぶり出す。中谷が早替えで見せる黒蜥蜴の衣裳も必見。本当に美しく生きるというのはどういうことなのか。ルヴォーとキャストが相反する様々な感情と世界を提示しながら、美しき愛を残酷なまでに突きつける。東京公演は1月28日(日)まで。その後、2月1日(木)から5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールで上演。取材・文:大内弓子
2018年01月11日舞台『黒蜥蜴』の公開ゲネプロが8日、東京・日生劇場で行われ、中谷美紀、井上芳雄、相楽樹、朝海ひかる、たかお鷹、成河が登場した。同作は、江戸川乱歩の探偵小説を三島由紀夫が1961年に戯曲化し、以来様々な俳優によって上演されている。稀代の女盗賊・黒蜥蜴と、名探偵・明智小五郎の勝負と愛の行方を描く。今回はデヴィット・ルヴォーが演出を務めた。体の線に沿った数々のドレスを身にまとった中谷の黒蜥蜴は、妖艶でありながらどこか可憐な佇まい。清廉さと大人の男性の色気を併せ持つ井上の明智小五郎、神経質で美しい部下・雨宮を演じた成河とともに『黒蜥蜴』の世界を創り上げた。「ルヴォーさん主催の演劇学校に、出演料を頂戴して通わせていただいたような、充実したお稽古」と振り返る中谷は、9日の初日を前に「少々緊張している」という。「井上芳雄さんをはじめとする共演者の皆さんの言葉に耳を傾け、表情を見逃さず、心と心の対話を最も大切に演じたいと思います」と意気込んだ。さらに中谷は「高尚なものと低俗なもの、喜劇と悲劇、美しいものと醜いもの、愛と憎しみ、エロスとタナトス、相反する2つの世界が混じり合い、拮抗し合う三島ワールドをぜひご覧いただきたいです」と語った。井上は「悲しいほどに美しい美紀さんの黒蜥蜴とご一緒できるのも光栄です」と喜びを表す。「きっと今まで見たことのない、でも、心の奥ではどこか知っていた愛の世界がそこにあるはずです!」とアピールした。「不思議と緊張もなく穏やかな気持ちです」という成河は、「想像力を刺激するシンプルで力強い演出」が見所と明かす。「デヴィット・ルヴォーの美意識が行き届いた、演劇ならではの『空間の使い方』に是非注目して欲しいと思います」とコメントを寄せた。東京公演は日生劇場にて9日〜28日、大阪公演は梅田芸術劇場メインホールにて2月1日〜5日。
2018年01月08日左から、井上芳雄、成河撮影:源 賀津己ヘアメイク:高橋幸子スタイリング:吉田ナオキ、市川みどり(ルミナス)江戸川乱歩の原作を三島由紀夫が戯曲化、これまで何度も映像化・舞台化されてきた『黒蜥蜴』。その世界観に惹かれ続けてきた英国人演出家のデヴィッド・ルヴォーが、長年の演出プランをもって、ついに舞台化に着手する。黒蜥蜴を演じるのは、舞台活動でも高い評価を得ている中谷美紀、また彼女と対峙する名探偵・明智小五郎に井上芳雄、緑川夫人の部下・雨宮には成河と、華も実力も兼ね備えたキャスティングが実現した。本作への想いを井上と成河に聞いた。舞台『黒蜥蜴』 チケット情報大阪の宝石商・岩瀬(たかお鷹)は、娘の早苗(相楽樹)を誘拐するという脅迫状に怯え、私立探偵の明智小五郎(井上)を呼び寄せる。宿泊中のホテルには岩瀬の上得意である緑川夫人(中谷)もいたが、実は彼女こそ脅迫状を送った女賊の黒蜥蜴その人であった。互いに尋常ならざるものを感じとる明智と緑川夫人。そんな中、緑川夫人は早苗に、部下の美青年・雨宮(成河)を紹介し……。2012年の舞台『ルドルフ ザ・ラスト・キス』でルヴォーの演出を受けている井上は、「ルヴォーさんは、とにかく人たらし。スタッフ一人ひとりにまで声をかけてくださるから、誰もが彼のファンになってしまうんです(笑)。僕もルヴォーさんの作品にまた出たかったので、こんな素晴らしい作品でご一緒できるなんて二重の喜びですね」と語る。一方、今回が“ルヴォー組”初参加となる成河からは「当初、もっとフレッシュな俳優さんが雨宮役に相応しいのではと思っていたので、そうルヴォーさんにお伝えしたんですよ」と驚きの発言が。「でも実際に彼と演劇について話しているうちに、段々と考えが変わってきて。『成河が蓄えてきた、フィジカルな部分も引き出して舞台を作りたい』と言っていただいたことが、出演の決め手となりました」と、絶妙な配役に至る一端を明かしてくれた。インタビュー中も互いに茶々を入れるなど、仲の良い様子がうかがえるふたり。井上は成河について、「オン・オフ含めて『いま何を考えてるの?』と、つい聞きたくなる人。自然と本音を漏らしてしまう相手でもありますね」と話す。成河はそれを「井上くんはミュージカル出身で、僕は泥臭い小劇場演劇から始めた人間。守備範囲が微妙に異なるから、他では言えない話もできるんじゃないかな」と分析する。「それでも、根本的なところで話が合うのは事実。僕は彼のことを、輸入品である“ミュージカル”を日本に浸透させることができる人だと思ってますから」と盟友への言葉は止まらず、思わず井上が笑いだすひと幕も。信頼で結ばれた井上と成河が響き合い、共に作り出す『黒蜥蜴』の世界。それがどんな様相を示してくれるのか、本番が楽しみだ。舞台『黒蜥蜴』は2018年1月9日(火)から28日(日)まで東京・日生劇場、2月1日(木)から5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。取材・文佐藤さくら
2017年10月13日デヴィッド・ルヴォー演出の舞台『黒蜥蜴』製作発表が、東京モード学園にて開かれた。学園の生徒たちも集まった会場には、主演の中谷美紀、井上芳雄をはじめ、キャストが役をイメージした衣裳で登場。ランウェイを活かしたパフォーマンスからスタートして、『黒蜥蜴』の世界の一端を見せた。舞台『黒蜥蜴』チケット情報江戸川乱歩の小説を三島由紀夫が戯曲化し、これまで何度も様々な座組で上演されてきた『黒蜥蜴』。レザーで仕上げられた美しいドレスに身を包んだ中谷美紀を中心に、ダンスを盛り込んだ妖艶な世界を表現した冒頭のパフォーマンスは、美貌の女盗賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎が繰り広げるこの物語が、これまでと違う様相をまとうことを予感させる。続いて質疑応答では、黒蜥蜴を演じる中谷が、「黒蜥蜴は美に執着し、美のためなら手段も問わないという人物。その執着ぶりをおぞましく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、私も、朽ちていく美も含め美しいものが大好きなので、共感がありました。黒蜥蜴と明智小五郎、犯罪に取り憑かれたふたりのロマンチックなラブストーリーでもあります。ワークショップをしていても、追いかけているのか追われているのかわからなくなる瞬間がありました。美しく残酷な物語です」と語れば、明智小五郎を演じる井上芳雄が、「犯罪に恋をしてる、犯罪からも愛されているというような不思議な役。真逆の立場にいる黒蜥蜴に惹かれ、ワークショップを通して、見たことのないような愛の形が生まれるのではないかという予感がしました」と意気込む。「素敵なキャストの皆さんに刺激を受けて、たくさんへこたれて、たくさん立ち上がって、本番までに精度を上げたい」というのは、黒蜥蜴に誘拐される早苗役の相楽樹だ。早苗の家の家政婦に扮する朝海ひかるは、「今までに演じたことのない役をいただけたことをうれしく思います。自分がどうなってしまうのか、楽しみです」と話す。そして、黒蜥蜴を慕う雨宮役の成河が、「若くてフレッシュな役なので、最初はお断りしようとしたんですが、ルヴォーさんのこの作品にかける思いに胸を打たれ出演を決めました。誰も見たことのない三島由紀夫の世界を作るその一助になればと思います」と力強く語った。演出のルヴォーは、「まるで夢のように、不思議な人物や光景、シチュエーションが突如浮かび上がる」イメージを目論んでいるという。想像力を刺激する新たな『黒蜥蜴』の誕生である。舞台『黒蜥蜴』は2018年1月9日(火)から28日(日)まで東京・日生劇場、2月1日(木)から5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。取材・文:大内弓子
2017年10月04日NHK朝の連続テレビ小説『とと姉ちゃん』小橋鞠子役も記憶に新しい注目の若手女優、相楽樹。2018年は江戸川乱歩と三島由紀夫、ふたりの文豪が手掛けた名作『黒蜥蜴』でスタートを切る。演出は三島作品を敬愛する英国人演出家、デヴィッド・ルヴォー。美貌の女盗賊・黒蜥蜴を中谷美紀、好敵手にして運命の恋人、探偵の明智小五郎を井上芳雄が演じる究極のエンターテインメント作品だ。本作で相楽は、黒蜥蜴の標的となった宝石商・岩瀬の娘、早苗を演じる。「物語の鍵を握る大事な役」と意気込んでいる。「黒蜥蜴」チケット情報出演が決まる直前、偶然にも美輪明宏が手掛けた同戯曲の舞台『黒蜥蜴』を観劇していたという。「不思議な巡り合わせを感じました。早苗はお金持ちで育ちがいい本物のお嬢さん。じつは物語の後半で明かされる、ちょっとした秘密がある役です」。今回の脚本では緑川夫人(黒蜥蜴)と早苗との掛け合いが多く、美輪の舞台よりも早苗の存在が増した印象だと話す。「演出のルヴォーさんがどこまで早苗の役割を私に任せてくれるかによりますが、最後には『早苗って、実はこうだったの!?』となると思います」。また、セット案についてルヴォーは古き良き時代のハリウッドの撮影スタジオを構想しているとか。「今は生バンドの演奏も想定中と仰っていました。そこに中谷美紀さん、井上芳雄さんの芝居が加わったら相当すごい舞台になるんじゃないかなと。美輪さんの舞台ではゴージャスさに目を奪われたので、ルヴォーさんがセットを含めどう演出されるのか楽しみです」主演の中谷美紀の印象は「唯一無二の魅力があり、女性としても憧れの存在です。中谷さんとご一緒するシーンでは圧倒されることなく、負けずに舞台に立っていなくては」と気合い十分。井上芳雄は舞台『陥没』での演技が衝撃的だったという。「コメディ要素もある役柄で、歌だけじゃなくストレートプレイでもこんなに表情豊かで振り幅のある方なんだと知って、なおさら緊張してきました(笑)」。最後に「同世代にも楽しんで欲しい」と、本作の見所について語ってくれた。「緑川夫人と明智小五郎の恋愛は、物凄く情熱がある。誰かを愛することは年齢に関係なく誰にでも共通することですし、男性は中谷美紀さんの妖艶さにクラクラし、女性は井上芳雄さんのカッコよさにメロメロになると思います。ここまで大きな劇場で古典の名作を演じることは、私にとって初めての挑戦なので、みなさんも一緒に作品世界にどっぷりと浸り、早苗がどういう方法で“いなくなった”のか、推理しながら楽しんで頂ければと思います」。『黒蜥蜴』は2018年1月9日(火)から28日(日)まで東京・日生劇場、2月1日(木)から5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演。一般発売日は9月30日(土)10:00より。一般発売に先駆け、9月28日(木)23:59まで東京公演の2次プリセールを、9月29日(金)9:30まで大阪公演の一般発売直前プリセールを受付中。取材・文:石橋法子
2017年09月28日原作・江戸川乱歩、脚本・三島由紀夫の『黒蜥蜴』。美輪明宏の映画や舞台はもとより、何度も上演されてきた名作だ。“美”に執着する女盗賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎が繰り広げるスリリングな勝負の中、ふたりの惹かれあう想いと共に繰り広げる耽美と闇の世界の物語。今回の演出はデヴィッド・ルヴォー。歌舞伎と三島由紀夫を敬愛し、初来日から30年を経た彼が、長年夢に描いてきた演出プランでついにその舞台を実現させる。「黒蜥蜴」チケット情報出演は、黒蜥蜴に中谷美紀、明智小五郎に井上芳雄ほか実力派が出演。井上は2012年に上演された『ルドルフ・ザ・ラストキス』でルヴォーと出会って以来、その演出に魅了され、再度やりたいと言い続けてきた。今回の機会を知り、過密なスケジュールの中で「是が非でも出たい!」と事務所に訴え、出演を叶えた。7月、ミュージカル『グレート・ギャツビー』の主演で来阪中の井上が、その熱い想いと作品への魅力を語った。「ルヴォーは大好きな演出家です。『ルドルフ・ザ・ラストキス』でしかご一緒していないんですけど、その印象が強烈で。日本だと、演出家の要求するところに自分を高めていくというイメージですが、彼は気づいたらそこに連れて行ってくれるような、まるで魔法をかけられてるような感じの導き方なんです」。井上の語り口に、いつもとは違う熱さがこもる。「どんな作品のどんな役でも一緒にやりたいと思って来て、それが今回形になって、ほんとにうれしいです」。明智小五郎は「ハードボイルドな役」とルヴォー。井上は「ハードボイルドには疎くて。どういう方向かまだ分からないけど、喜んでそこに飛び込みたい」。『黒蜥蜴』は、1968年公開の美輪明宏(当時は丸山明宏)主演の映画を見て、戯曲も読んだ。「映画を見て、日本であって日本でないようなにおいがあるなと。すごく屈折したラブ・ストーリーだと思う。黒蜥蜴も明智小五郎も、美しさを純粋すぎるほどに追い求めている人たち。だから惹かれ合うのは必然だけど、立場が真逆で結ばれない。だからこそとても悲しいし、だからこそ美しい。魅力的な作品ですね」。初めての三島作品は「確かに日本語が美しい。セリフなのか詩なのか、リアルだけじゃないところに惹かれますね、とても演劇的でもあるし。でも、ルヴォーは誰にも負けないぐらい三島作品が好きで詳しいから、教えてもらおうと思っています。ものすごく楽しみです」。井上にとって、この舞台は超特別なのだ。「全作品、同じ熱量で一生懸命やっています。でもこれは、何年かに1度、ごくたまにあるご褒美みたいな作品。ひと公演5000円ずつ払えって言われても出るかなというぐらい(笑)。他の作品には申し訳ないけど、もうほんとに、ご褒美を一生懸命楽しませてもらいます!」。公演は、2018年1月9日(火)から28日(日)まで東京・日生劇場、2月1日(木)から5日(月)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。チケットは9月30日(土)10時より発売。一般発売に先駆け、8月3日(木)11時まで最速抽選先行(いち早プレリザーブ)を受付中。取材・文:高橋晴代
2017年07月31日今年2月に中谷美紀と井上芳雄の共演で上演が発表されて以来、その続報が待たれていた舞台『黒蜥蜴』。ついに全キャストが明らかになった。新たに発表になったのは、相楽樹と成河。江戸川乱歩の小説を三島由紀夫が戯曲化した傑作を、英国人演出家、デヴィッド・ルヴォーの演出によって立ち上げるこの公演。新鮮な顔合わせに期待が高まる。『黒蜥蜴』は、美貌の女盗賊“黒蜥蜴”と名探偵“明智小五郎”が繰り広げる究極のエンターテインメント。その魅力を演出のルヴォーはこう語る。「社会的規範の外と内という相反する立ち位置にいながらお互いに惹かれ合う盗賊と探偵。しかしその恋は成就しない。三島は理想を追い求めながらそこに達し得ないことへの恐怖や怒りを描いたアーティストだと思いますが、私自身もそこに興味を持っています。しかも三島は、その報われない恋をロマンチックに描くのではなくグロテスクな美しさにこだわった。演出もナチュラリズムな世界に閉じこもらず、“狂ったエンターテインメント”にしていきたいと思っています」。ルヴォーが求めるそんな世界の住人にまず抜擢されたのは、黒蜥蜴を演じる中谷美紀と明智に扮する井上芳雄だ。作品については、「耽美的でありながら、毒も含んでいて、きちんとエンターテインメントになっている、わかりやすい物語であることが、この作品の魅力」(中谷)、「黒蜥蜴が魅力的で、不思議な話ではありますが、ずっとすごく好きな作品でした」(井上)と語るふたり。かつて『ルドルフ~ザ・ラスト・キス~』でルヴォーの演出を受けた井上が「ルヴォーさんの演出は魔法にかけられているよう」と言えば、「“言葉の魔術師”という感じでご自分の世界に引き込む力がある方だと思うので、ぜひ私にも魔法をかけていただきたい」と中谷も意欲的だ。そして、黒蜥蜴の部下・雨宮を演じる成河と、黒蜥蜴に誘拐される早苗を演じる相楽樹。「直接演出家とお話する機会をいただき、何よりもまず、“デヴィッド・ルヴォーの黒蜥蜴”というものを立ち上げることに興味を覚えました」(成河)、「ルヴォーさんの演出でどんなところへ連れて行ってもらえるか、想像もしなかった早苗に会えるのではないかと、楽しみな気持ちが強いです」(相楽)と、ふたりからも気持ちの高鳴りが伝わってくる。ほか、黒蜥蜴の家政婦・ひな役に朝海ひかる、早苗の父親役にたかお鷹も決まった。この多様な顔ぶれなら、まさに思いもかけない世界を作り出してくれるだろう。公演は2018年1月東京・日生劇場、2月大阪梅田芸術劇場メインホールにて。取材・文:大内弓子
2017年04月26日三島由紀夫が残した最高傑作戯曲の一つ「黒蜥蜴」が、来年1月より上演されることが決定。主演“黒蜥蜴”役には中谷美紀、“明智小五郎”役には井上芳雄を迎えることも明らかになった。世界的宝石商・岩瀬庄兵衛は、愛娘・早苗の誘拐と岩瀬家の秘宝「エジプトの星」強奪を予告する女盗賊・黒蜥蜴に怯え、探偵・明智小五郎に警護を依頼した。岩瀬父娘は大阪のホテルに姿を隠したが、隣室には岩瀬の店の顧客、緑川夫人が泊っていた。実は彼女こそ黒蜥蜴だったのだ。黒蜥蜴は部下の雨宮を使って早苗をまんまと誘拐したものの、明智は機敏な処置で早苗を奪い返したのだった。それから半月後、厳重な警備が敷かれた岩瀬邸から、早苗が忽然と姿を消した。黒蜥蜴が家政婦ひなの手引きで、再び早苗を誘拐した。明智が駆けつけたとき、早苗と引換えに、「エジプトの星」を持参せよ、という紙が残っているきりだった。指示通り岩瀬は「エジプトの星」を黒蜥蜴に渡したが、早苗は戻らなかった。黒蜥蜴は早苗の美しさに魅せられていた。一方、そんな黒蜥蜴にひそかに恋焦がれている雨宮は、黒蜥蜴が明智を恋していることに気づき、嫉妬を感じる。その頃明智は、一度は黒蜥蜴の手にかかって殺されたと見せかけ、部下の一人に変装して本拠地に忍び込んでいた。彼もまた、純粋な美に生きる黒蜥蜴に恋していた。黒蜥蜴を捕える自信はあったが、世間の秩序の彼方に己れの倫理と美意識を築きあげている彼女を、一番深く理解し愛しているが故に葛藤する明智。本拠地には人間剥製の美術館があった。早苗もその一つに加えられようとしていた…。「黒蜥蜴」は、美貌の女盗賊“黒蜥蜴”と名探偵“明智小五郎”が繰り広げる耽美と闇の世界。怪奇小説を世に送り出した江戸川乱歩の傑作を、三島由紀夫が戯曲化した究極のエンターテインメントだ。今回主演の“黒蜥蜴”役には「ケイゾク」「私 結婚できないんじゃなくて、しないんです」など様々なドラマや映画に出演する中谷さん、黒蜥蜴の好敵手であり運命の恋人、探偵“明智小五郎”役にミュージカル界で活躍し、「わたしを離さないで」や、大河ドラマ「おんな城主 直虎」などドラマ出演も増えている井上さんが決定。さらに演出は、日本でも「テレーズ・ラカン」や「ナイン」、「ETERNAL CHIKAMATSU」など、数多くの作品を手掛けている英国人演出家・デヴィッド・ルヴォーが担う。今回の出演にあたって中谷さんは、「三島さんが巧みに描かれた文章を表現することは容易なことではないですし、とても大きな劇場で演じるということに恐れを抱き、逡巡もしたのですが、やはり心が動いてしまい、出演させていただくことを決めました」と出演決定理由を語り、ルヴォー氏演出だということで参加を決めたと言う井上さんは、「過去に『ルドルフ ~ザ・ラスト・キス~』での経験が素晴らしかったので、いつかまたご一緒したいという気持ちがあり、来日するたびに顔を見せに行き、『いつかまた一緒にやりたい』と言い続けてきました」と今回は念願の出演だと語っている。ルヴォー氏が1988年の初来日以来、日本で演出をし続けたいと願い、日本に魅了されている理由を、三島由紀夫作品と歌舞伎に出会ったことだと話す。黒蜥蜴についてルヴォー氏は、「まず目を見張るような絶世の美女でなければなりません。同時にある種の緊張感を持ち、何かに駆り立てられている女性で、謎めいており、この人のことを知りたいと、周囲に思わせる磁力の持ち主」、明智小五郎についても「完全にアウトサイダーであり、ハンフリー・ボガードのようなハードボイルドですが、まっとうなモラルも併せ持っています」と語っており、中谷さんと井上さん共に相応しい役どころだとコメントしている。舞台「黒蜥蜴」は2018年1月より日生劇場(東京)、2月上旬より梅田芸術劇場メインホール(大阪)にて上演予定。(cinemacafe.net)
2017年02月06日2010年、野田秀樹 作・演出・出演の舞台『表に出ろいっ!』のオーディションで見出され、故中村勘三郎との三人芝居で世に出て以来、舞台と映像の両方で大活躍中の黒木華の最新舞台が決定した。倉持裕が江戸川乱歩の短編8作から、新たに戯曲を編み上げる『お勢登場』がそれだ。舞台『お勢登場』チケット情報読書好きを公言する黒木の乱歩体験は中学生の頃。「明智小五郎が活躍する“少年探偵団”シリーズなど子ども向けの作品を飛ばし、いきなり『人間椅子』や『芋虫』などを読んでしまったんです。恐ろしくて、でもどこか色っぽい妖しげな乱歩の世界にいきなり触れるという、強烈な出会い方をしてしまいました。『お勢登場』を読んだのは今回のお話をいただいてから。彼女は乱歩の短編一作にしか登場しない女ですが、倉持さんは『押絵と旅する男』を軸に、8つの物語をお勢が旅するように巧みに紡がれているんです。読み進むうちに、本当にお勢が全ての事柄に関わっているような気がしてきてゾクゾクしました。“倉持マジック”ですよね」。今回が初手合わせとなる倉持の作品では、劇作・演出を手掛けた『窓』(2010年)を観ており、「登場人物同士の関係性がとても緻密で、笑って話していたはずのふたりから不意に、思いも寄らぬ暗い感情がこぼれて来るような瞬間が描かれている。観ているうちにどんどん前のめりに引き込まれて、観劇後は“いつかご一緒できたら”と思っていました」と言う。続けて「今日伺ったのですが、乱歩はもともと、お勢を明智探偵のライバルにしようと思っていたそうなんです。確かに彼女は頭が良く、具体的な描写はありませんが、きっと姿も美しいのでしょう。どことなく振る舞いに品もあり、そのうえミステリアス。何より、私たち普通の人間には想像できないような価値観を持ち、社会的には悪、犯罪と呼ばれるような行為を冷静に、しっかりと計算しながら遂行していくところが、乱歩作品の登場人物ならではの魅力を放っているんですよね」と語る彼女の瞳までがどこか妖しい光を放ち、既に劇世界に入り込んでいるかに見える。「戯曲に『私、退屈なの』というセリフがあって、それが私は大好きなんです。そんな風に世の中も自分もどこか遠くから見ているようなお勢の視点は、演じる私にとってもとても興味深いもの。早く実際に演じてみたくてたまりません。と、言えば言うほど、自分で自分のハードルを上げることになってしまいますが」と笑うが、既に準備は万端の様子。乱歩と倉持、ふたりの作家が惚れ込むヒロインに、新たな息吹が吹き込まれるに違いない。『お勢登場』は2017年2月10日(金)から26日(日)まで東京・シアタートラムで上演。他に福岡、大阪でも公演あり。なおチケットぴあでは東京公演の先行販売を11月29日(火) 午前11時よりインターネットで発売する。取材・文:尾上そら
2016年11月28日土屋太鳳&山崎賢人という朝ドラコンビで贈る映画『orange-オレンジ-』で注目を集める竜星涼が、2016年カレンダーを発売することが決定。寝起きの様子から、朝風呂、ドライブデートなどを収めた彼の1日を追う、ファン垂涎の内容となることが分かった。映画『orange-オレンジ-』は、10年後の自分から手紙を受け取り「大切な人がこの世からいなくなってしまう」ことを知る主人公・高宮菜穂(土屋太鳳)が、大切な人を亡くさないために“いま”を変えようともがきながら奮闘する姿を描いた純愛ストーリー。原作の舞台となった松本市を中心にオール長野ロケを行い、未来の自分から手紙が届くというファンタジックな世界観と、好きだからこそ相手の幸せを考えるという甘酸っぱい恋愛要素が共感を呼び、新たな形の“青春群像劇”としても支持を集めている。本作で、竜星さんが演じるのは、持ち前の明るさとサッカー部での活躍で、後輩女子から大人気の須和弘人役。土屋さん演じる菜穂のことを一途に思っており、菜穂のいちばんの理解者でもありつつ、山崎さん演じる東京からの転校生・成瀬翔との恋を応援するという役どころだ。また、年末は12月20日(日)24時45分より放送の第27回フジテレビヤングシナリオ大賞のドラマ「超限定能力」で主演を務め、12月22日(火)21時より放送される江戸川乱歩生誕120周年没後50年記念ドラマ「黒蜥蜴」にも出演する竜星さん。「超限定能力」では、ある日突然“人が降りる駅”が見えるという、電車の中でしか使えない些細な能力を身につけた秋山舜太郎役に。その能力をフル活用し人生の大きな転換期を迎えることになる主人公を演じ切る。一方、「黒蜥蜴」は、金になるありとあらゆる“美しいもの”を盗み出す謎の女怪盗・黒蜥蜴(真矢ミキ)と、稀代の天才で警視庁副総監の明智小五郎(渡部篤郎)の宝石をめぐる頭脳戦を描く物語で、竜星さんは明智の部下で右腕の刑事・小林芳雄に扮するという。そんな竜星さんが映画やドラマとは別の表情を見せてくれるのが、今回のカレンダー。“竜星涼の一日”として、まるで彼女のような気分を味わえるものとなっており、竜星さんも「1日の流れを追った、寝起きから朝風呂、ドライブ、カフェ、夜景の綺麗なホテルなど一緒にデートしている感覚で見れるカレンダーとなりました。お楽しみに」とアピールする。2016年も大活躍を予感させる竜星さん。こちらのカレンダーもぜひチェックしておいて。「竜星涼カレンダー2016.4-2017.4」は2016年1月28日(木)より発売。(text:cinemacafe.net)
2015年12月11日江戸川乱歩誕生120周年、没後50年を記念して、ドラマ化が決定した不朽の名作「黒蜥蜴」。このたび主人公・黒蜥蜴を真矢ミキ、明智小五郎を渡部篤郎が演じることが明らかとなった。財宝から軍事機密まで、金になるありとあらゆる“美しいもの”を盗み出し世界を股にかける謎の女怪盗・黒蜥蜴。クリスマスを間近に控えたある日、海で女の遺体が発見された。首筋に黒蜥蜴の刻印が残されていたことから、警察は黒蜥蜴の犯行だと断定するが、捜査の指揮を執る警視庁副総監の明智小五郎だけは、その説に異を唱える。なぜなら、黒蜥蜴は決して、自らの目的のために人を殺めたりしないからだ。その矢先、黒蜥蜴から警察に犯行予告が届く。狙われたのは、殺された女と関係があった、巨大グループ企業の会長・岩瀬正一郎が所有する時価120億円の宝石「聖夜の涙」。黒蜥蜴はクリスマスを迎えた瞬間に、それを盗み出すという。明智と黒蜥蜴がお宝をめぐって激しい頭脳戦を繰り広げる中、2人の間にある想いが芽生える――!?今回、黒蜥蜴役に抜擢されたのは「アテンションプリーズ」や「下町ロケット」にも出演し、ドラマや映画はもちろんのことMCや司会でも活躍する真矢さん。今回の役ついて問われると「2015年版にしていますので、物語の中に出てくるトリックなども現在に合わせた形にしています。監督やスタイリストさんと、衣装や髪型のことなど、こんなに時間をかけて考えさせていただいたのは今までで初めてです!」と衣装や髪型など細部にもこだわりがあることを明かした。また、「江戸川乱歩さんの世界観をデカダンス(退廃的)な感じを強めて…この“黒蜥蜴”という人物は男なのか女なのか、本当にいるのか、いるならどこにいるのか…とにかくわからないということを慎重に作っています」とどう演じていくかを語っている。そして天才警視副総監明智小五郎を演じる渡部さんは「明智小五郎の役をやらせていただくことになり、大変光栄に思っております」と喜びを語り、「とても華やかな方で、作品に対しても誠実に向き合っていらっしゃいます。私自身も、真矢さんの黒蜥蜴を楽しみにしています」と真矢さんとの初共演についても語ってくれた。本作のプロデューサー安藤和久氏は「これまでも、その時代時代を代表する大女優の方々が『黒蜥蜴』を演じてきましたが、平成27年の今、この歴史ある『黒蜥蜴』を演じるなら、この方しかいない、この方の『黒蜥蜴』を是非見たいと思い、真矢ミキさんにお願いしました。乱歩が描く妖艶で退廃的な独特の世界観を体現でき、かつ、その世界観を現代に置き換えても時代物のにおいを感じさせずに体現できる方は、真矢ミキさん以外には、いらっしゃいません」と真矢さんの演技力を絶賛している。ほかにも、浪越警部役の山下真司、岩瀬正一郎役の升毅らの出演が決定。不朽の名作「黒蜥蜴」が、2015年にどのように生まれ変わるのか、さらには言葉では言い表せないほど素敵だという真矢さんの衣装にも注目したい。「黒蜥蜴」は12月22日(火)21時より関西テレビ・フジテレビ系にて放送。(cinemacafe.net)
2015年11月20日累計発行部数1,300万部突破の人気漫画を実写化した映画『テラフォーマーズ』(2016年4月29日公開)で、約1億円を投じた宇宙船セット・バグス2号の内部がこのほど公開され、俳優・伊藤英明(40)、女優・武井咲(21)ら主要キャストが撮影の心境を語った。本作出演決定後に原作を読んだという伊藤は、「ものすごい壮大なストーリーで、ハリウッドの予算で撮影したら300億ぐらいだろうなって思いました」と笑って回顧し、自身が演じる主人公・小町小吉を「まっすぐで純粋ですごくアツい男」と形容。続けて、「奈々緒に対して恋なのか妹のように思っているのか、そこの部分ははっきり描いていませんので、子どもっぽい所もありますが、実は大きな愛で包んでいるとても真っすぐな男」と役柄の心情を解釈した。ヒロイン・秋田奈々緒役の武井については「相変わらず大人っぽくて、芯がしっかりしていますね。まだ21歳と聞いて驚いたぐらい、すごくしっかりしたイメージです」と称賛している。なお伊藤と武井は、ドラマ『金田一耕助VS明智小五郎』(13年・フジテレビ系)でも共演していた。一方の武井は、「私はもともと原作を読んでいたので、映像になると聞いて、テラフォーマーはどんな状態で出てくるのか一番興味深かった」と振り返り、「現場ではテラフォーマーに会えるし(笑)、宇宙服も着られるのがうれしい」と歓喜。人気漫画が原作という点に関しては「プレッシャーはありますが、あまり考えないようにしています」と受け止めながら、「この作品を盛り上げるために全力を賭けているので、プレッシャーに負けないよう、強くいようという気持ちでやっています」と意気込みも見せている。三池監督作品初参加で、武藤仁を演じる山下智久は、劇中の特殊メイクについて「なかなかできない経験なので、違う顔になっていく自分が面白かったです(笑)」と、現場での新たな体験に満足気な様子。山田孝之は、自身の役である蛭間一郎に「ビジュアルを寄せようと思って1カ月で40キロぐらい増やそうと思ったんですけど、ちょっと無理でした」と笑いながら吐露している。最後に、三池監督は「どういう作品になるのか…僕が教えてもらいたいです(笑)。まあ、やってみないとわからないですよね」としながらも、「日本人のエンターテイメントを作る力を発揮できたら、見たことのない世界観、面白さが生まれてくると信じています」と力強く語った。本作は、累計発行部数1,300万部を突破し、2014年には『山田くんと7人の魔女』(2015年)や『あいうら』(2013年)を手がけてきたLIDENFILMSの制作でTVアニメ化もされた同名漫画を原作に、準備に約2年を費やしてようやく実写化が実現したもの。未来の火星を舞台に、人型に進化したゴキブリ「テラフォーマー」とそれらを駆除するために特殊能力の手術を受けた人々との戦いを描く。本作の重要な役割を担う宇宙船のセットは製作に約1億円を投じるなどし、原作の世界観を忠実に再現しているという。(C)貴家悠・橘賢一/集英社(C)2016 映画「テラフォーマーズ」製作委員会
2015年11月12日ホームズとワトソン、明智小五郎と小林少年、ルパンと次元…いつの世も、共に謎を追い、冒険にハラハラ、事件解決にワクワク、そして時に涙もした時代を代表する名コンビたち。このほど、狂言師の野村萬斎がお笑い芸人の宮迫博之とともに、異色のバディもの『スキャナー記憶のカケラをよむ男』に出演することが決定。「リーガル・ハイ」でおなじみの古沢良太が、オリジナル脚本を書き下ろしていることが分かった。主人公は、人間の記憶や感情など物や場所に残った“残留思念”を読み取ることができる特殊能力を持った男・仙石和彦。かつて、その能力を使い、マイティーズというお笑いコンビで日本中を湧かせたこともあったが、やがて能力の代償に精神をすり減らし、コンビも解散。以来、マンションの管理人として人目を避けた生活を送るようになる。一方、相方のマイティ丸山もピン芸人になるものの、鳴かず飛ばずでクビ寸前の状態。そんなとき、秋山亜美という一人の女子高生が丸山の所属する芸能事務所・峠プロダクションを訪れる。その依頼とは、解散したマイティーズに、行方不明となったある女性を探して欲しいというもの。この仕事を機にマイティーズ復活を目論む社長の久美子は、仙石に事件の捜査を手伝わせるよう、丸山に命じるのだった…。この仙石を演じるのは、狂言師として知られながら、さまざまなフィールドで活躍する野村さん。これまでは『陰陽師』(’01)や『のぼうの城』(’12)など、大ヒット時代劇で主演を務めてきたが、本作では満を持して初めての現代劇に出演。特殊能力を持つ主人公・仙石を、唯一無二の存在感で演じる。一方、仙石の相棒であり、元相方のマイティ丸山を演じるのは、お笑いコンビ「雨上がり決死隊」として数々のバラエティーに出演するかたわら、俳優としても数多くの人気ドラマ・映画に出演してきた宮迫さん。ピン芸人となるものの鳴かず飛ばず。再会した仙石を口八丁、手八丁であおり、外の世界へと引きずり出すものの、理解できない仙石の行動にはふり回されてばかり、喧嘩もしばしば。とはいえ、なんだかんだ仙石のことが気になり、結局放っておけないという存在を演じ切る。実は丸山は、野村さん演じる仙石にとっても、唯一、本音でぶつかることができる貴重な存在なのだ。そんな2人が“新たなコンビ”として、彼らにしかできない捜査で様々な事件に挑んでいく本作。脚本を書き下ろしたのは、『探偵はBARにいる』シリーズや「相棒」「リーガル・ハイ」など、ヒット作とともに、名コンビを生み出し続ける若手ナンバーワン脚本家の古沢さん。監督は、『デスノート』『デスノート the Last name』などで国内外から高い評価を受ける金子修介監督が務める。本企画の生みの親であり、『探偵はBARにいる』で古沢さんとともに第35回日本アカデミー賞「優秀脚本賞」を受賞し、『探偵はBARにいる2~ススキノ大交差点~』などを手がけた須藤泰司が、古沢さんとともにまた新たなコンビを作りあげていく。野村さんは、「今回の脚本の、物に人間の思いが宿るというのは日本的な感性で素敵」とコメント、「それが事件を解決するカギになるというのも、オリジナルの面白さだなと感心いたしました」と語る。「宮迫さんとのコンビですが、僕も漫才師になったような不思議な気分です(笑)。狂言もセリフ術ですが、今回セリフの応酬で魅せる部分もあるこの作品の中で、話芸を培われた宮迫さんと一緒にやると非常にテンポ感が出ます」と語り、その「キャッチボール」を楽しんでいる様子だ。また、宮迫さんは、「萬斎さんとお仕事させてもらうのは初めてなんですけど、とにかく初対面の感じがしなかった。不思議と、何の違和感もなくリズムよくできたんです。ただ我々も喋る仕事ですが、発声のレベルが全然違う。(萬斎さんの)役柄的には(発声を)抑えないといけないので、監督さんから注意されることもあるんですが、そのときの発声が全てこっちのお腹に響いてくるから、すげ~なと!(笑)」と感嘆する。金子監督も、早くもそのコンビには太鼓判を押しており、「まだ撮影は途中ですけど、萬斎さんと宮迫さんの2人の掛け合いは、昔からコンビをやってるんじゃないかと観ている人には思えるでしょう。萬斎さんのしっかりした芝居に宮迫さんがツッコミを入れて来るのが、実はしっかり計算されている。でも、そんな風には見えないはずで、ニヤニヤと時には吹き出してしまいますよ」と言う。さらに、本作を「現時点での集大成」と力強く語る脚本の古沢さんは、そんな萬斎さんについて、「普通の人っていうよりは、普通じゃない人…“変人”をある説得力を持って演じられる人であるだろうと思っています」とコメント。「一方、宮迫さんが演じる丸山というキャラクターはお笑い芸人。なので、本職の方がやってくれると説得力があります。バカなことも言うけけれど、いかんせん仙石がもっと変人なので、ビシバシ、突っ込んでいかなきゃならない。その両方を器用にできる方がいいと思っていたので、宮迫さんは本当に理想的だなと思っています」と語り、手応えを覗かせている。『スキャナー記憶のカケラをよむ男』は8月末クランクアップ予定、2016年ゴールデンウィークに全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年07月27日江戸川乱歩の原作を三島由紀夫が戯曲化し、その三島自身が熱望したことから実現した美輪明宏主演の『黒蜥蜴』。三島由紀夫生誕90年、没後45年にあたる今年、再演を重ねてきたこの代表作に、美輪はどんな思いを込めるのか。三島との思い出話など、美輪からこぼれる言葉は尽きなかった。舞台『黒蜥蜴』チケット情報舞台での初演は1969年。その前年に公開された映画は世界でも評判を獲得した。以来、『黒蜥蜴』といえば美輪のほかになくなった。「三島さんからは、黒蜥蜴を演ってほしいと3度も頼まれたんです。私が出演した寺山修司の『毛皮のマリー』をご覧になって、“あの難解なセリフを、まるで歯ブラシでも使うように日常の言葉として成立させていた。僕の芝居といえばみんな気取って難し気に演じるけれど、君なら内容を解り易く演れるはずだ”と。確かに、三島さんのセリフもレトリックがすばらしく、美しい言葉がいっぱい出てきますから、それをきちんと表現し、伝えるのは、なかなかむずかしいことだと思います」。美しいのはセリフだけではない。演出・美術・音楽・衣裳も手がける美輪は、この耽美的な世界観をすべてにおいて追求してきた。「三島さんのセリフに合うのは、ドビュッシーなどフランスの印象派の音楽か、東欧のもの。衣裳も裾の長い本格的イブニングドレスを身につけなければ、本物を知る女賊の黒蜥蜴にはなれません。セットや照明も同じです。その世界を成立させるために綿密に作り上げていきますし、そのための知識や技術がなければ舞台は作れないんです。ですから、今一度、こういった正統派の舞台を見直してみるのも必要だと思います。そこでなければ得られない感動や癒し、安らぎというものがあるはずです」。美輪が演じる黒蜥蜴は、明智小五郎と対峙し、やがて愛していくことになる。明智を演じるのは2度目となる木村彰吾。そして、黒蜥蜴の愛人・雨宮には、木村と同じく『花子とアン』で注目を集めた中島歩が再び挑む。「『花子とアン』では、『ごきげんよう』という美しい言葉が話題となりました。この『黒蜥蜴』の美しい世界も、ぜひ若い方にご覧になっていただいて新鮮な感動を味わっていただければと思うんです。早替わりも多く、体力的にはとても厳しい作品なんですが、80歳の黒蜥蜴も面白いんじゃないかと思っています(笑)」。その笑みに、まだまだ作品を向上させようとする覚悟が見える。美輪にしか成し得ない『黒蜥蜴』を、心待ちにしたい。舞台は4月4日(土)から19日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて。その後、愛知、大宮、神奈川、静岡でも公演。取材・文:大内弓子
2015年01月22日江戸川乱歩原作『黒蜥蜴』が浅野ゆう子の主演で舞台化、東京・明治座で6月1日に開幕した。初日前日の5月31日には公開舞台稽古が行われ、浅野と共演の加藤雅也、賀集利樹が会見に応じた。『黒蜥蜴』チケット情報女怪盗・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎の究極の愛の形を描いた本作。明治座の創業140周年記念として上演され、花道を使用するなど劇空間を最大限に活用した演出も見どころのひとつとなっている。黒蜥蜴に扮する浅野は「心臓がバクバクして」と緊張気味の様子。それもそのはず、過去にも舞台や映画で、美輪明宏や松坂慶子らが演じてきた役だけに「(黒蜥蜴の)名前に傷をつけないようにと、プレッシャーがあった」と話す。だが、今回はオリジナルの脚本ということで「全く新しい『黒蜥蜴』を演じさせて頂いていると思っております」と意気込みを語った。また、劇中で黒蜥蜴が着るドレスなどの衣裳はすべて特注品で「今着ている着物もデザインから起こして頂いたものなんです。とても豪華で、この帯もラピスラズリの粉を織りこんだものなんですよ」とアピール。暗黒街のボスのようなドレスや有閑マダムばりの着物に、売店のおばさん姿まで多彩な姿を披露する。さらに変装も早替えで行うという。初共演する明智小五郎役の加藤について訊かれた浅野は「側に寄れないほど美しい人、というイメージでしたが、非常に気さくな方でした(笑)。私たちみんな関西人で、楽しいノリでお稽古できました」と裏話を明かし、「とても真面目な方なんです」と絶賛。これをうけて加藤は「(浅野は)裏表のない人です。素直に自分を出していらっしゃるなと。あとは私服がおしゃれでかっこいいです」とこちらもベタ褒め。黒蜥蜴の愛人役を演じる賀集は浅野の大ファンだと話し、「(キスシーンの後)楽屋に戻ったらすごい口が赤くなっていてちょっとびっくりしました」とおどけてみせた。公演は6月24日(日)まで同劇場にて開催。チケットは発売中。
2012年06月04日