首里城公園にて、10月30日(土)から11月3日(水)にかけて首里城復興祭を開催いたします。例年、首里城公園開園記念行事として開催しておりました「首里城祭」は、復興への更なる気運を高めるため、今年度より正殿完成まで「首里城復興祭」と改称します。国王・王妃による「出御」をはじめ、地域の方々と共同で企画・運営するイベント「龍潭ハス乗り体験」など様々なプログラムをご用意しております。また、10月30日(土)は国内外で活躍している和太鼓奏者、中島 初穂氏が特別出演いたします。さらに、10月30日(土)、31日(日)、11月3日(水・祝)は沖縄県民を対象に入場料を割引料金でご利用いただける「沖縄県民割」を実施します。ぜひこの機会にご家族そろって首里城公園へお越しください。■国王・王妃出御国王・王妃出御琉球国王・王妃が世誇殿前に姿を現し、凛々しいお姿を間近でご覧いただけます。■特別出演 和太鼓奏者 中島 初穂特別出演 和太鼓奏者 中島初穂国内外で活躍する和太鼓奏者、中島 初穂氏による演奏が披露されます。早期復興・再建を願い、大迫力の演奏をお楽しみください。■首里城復興祈念ステージ日時:10月30日(土)15:00~15:30場所:首里杜館芝生広場■沖縄県民の方はお得に首里城復興祭を楽しめる!10月30日(土)、31日(日)、11月3日(水・祝)は、沖縄県民を対象に入場料の県民割引を行います!大人400円→320円、中人300円→240円、小人160円→120円※70歳以上の沖縄県在住の県民の方はいつでも入場無料です。入場の際は住所確認が必要になります。広福門券売所にて、現住所が確認できる公的証明書(保険証や運転免許証など)をご提示ください。※例年、那覇市国際通りで実施していました「琉球王朝絵巻行列」は、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、当面の間、中止といたします。何卒ご理解賜りますよう申し上げます。※詳細は添付のチラシまたはホームページにてご確認ください。ホームページURL: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年10月29日2019年10月31日未明に発生しました火災により、首里城正殿を含む建物8棟が焼損しました。首里城の火災から2年──。沖縄県のシンボル、沖縄県民の心の拠り所となる「首里城」の復旧・復興への願いを込めて、売上の一部が寄附されるCAミラー「首里城復興応援ミラー」を発売します。寄附金は、株式会社 JAL JTAセールスを通じて沖縄県都市公園課へ寄附されます。CAミラー「首里城復興応援ミラー」■「首里城復興応援ミラー」取扱店一覧◇空港売店のホームページ・Coralway那覇空港売店・Coralway那覇空港ゲートラウンジスナックコート・Coralway石垣空港売店URL: ◇オンラインショッピングサイト・CoralwayショッピングURL: ■商品概要商品名:CAミラー「首里城復興応援ミラー」(PAT.)定価 :1,100円(税込)サイズ:W50×H30×t2(mm)重さ :4g■コミーのCAミラーとはコミーは世界初のフラットなのに視野が広い特性を持つ「FFミラー」を製造・販売しているメーカーです。当社商品の「FFミラーAIR」は、航空業界では1997年以来、航空機の手荷物入れ用ミラーとして採用されています。今から7年ほど前、日本航空のCA(客室乗務員)からの要望で業務用のコンパクトミラー「CAミラー」を開発し、納入実績があります。日本航空のCAはフライト前に「非常用機材のゲージ」の確認業務があります。ゲージが読みにくい場所にある時、このミラーを使って確認しています。【お問い合わせ先】コミー株式会社TEL : 0120-531-073Mail: mail@komy.co.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年10月28日女優の忽那汐里が22日、都内で行われた「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2021」授賞セレモニーに出席。自身に大きな影響を与えた先輩俳優について語った。グローバルビジネス誌『Forbes JAPAN』による「世界を変える30歳未満の30人」を選出する「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」。このたび、2021年の“未来を明るく照らす30人の原石”が決定し、セレモニーが開催された。30人に選ばれた忽那は「さまざまな分野で活躍されている同世代の方と一緒にこのような賞をいただけて本当に光栄に思います」と喜び、「これからも今までやってきたことを変わらずやって、出演する作品が一人でも多くの方に届いたらいいなと思います」と話した。「自分の世界を変えてくれた人」を聞かれると、忽那が主演を務めたNHK BSプレミアムのドラマ『鴨川食堂』(2016)で父親役を演じた萩原健一さんを挙げ、「3カ月、一緒に親子役をやらせていただいて、ああいう風に究極の生き方をした先輩の方にお会いしたことがなくて、萩原さんが3カ月の間に教えてくれたことは、いまだにどの現場でも意識しています。すごく教えていただいて、短かったですけど3カ月はかけがえのない経験でした」と語った。セレモニーには、同じく30人に選ばれたEXILE/GENERATIONSの白濱亜嵐、モデルのトラウデン直美らも出席。なお、今年の30人の顔ぶれは、10月25日発売の『Forbes JAPAN』誌面およびWebサイトにて紹介される。
2021年10月22日女優の忽那汐里が22日、都内で行われた「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2021」授賞セレモニーに出席した。グローバルビジネス誌『Forbes JAPAN』による「世界を変える30歳未満の30人」を選出する「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」。このたび、2021年の“未来を明るく照らす30人の原石”が決定し、セレモニーが開催された。30人に選ばれた忽那は「さまざまな分野で活躍されている同世代の方と一緒にこのような賞をいただけて本当に光栄に思います」と喜び、「これからも今までやってきたことを変わらずやって、出演する作品が一人でも多くの方に届いたらいいなと思います」とコメント。拠点を海外に移した忽那にとっては久しぶりの日本でのイベントとなり、「最後いつだったか記憶もないほど前なので、こういう感じだったなと、懐かしいような気持ちでいます」と話した。また、「異国で慣れない環境の中で、全然違う国の方とモノ作りをしていくというのは、慣れてきたような慣れてきていないような、でも、とっても刺激的な環境で仕事できていると思います」と充実した日々を明かし、「仕事の拠点としては海外で挑戦することにして本当によかったなと思います」と語った。同じく30人に選ばれたEXILE/GENERATIONSの白濱亜嵐、モデルのトラウデン直美らもセレモニーに出席。なお、今年の30人の顔ぶれは、10月25日発売の『Forbes JAPAN』誌面およびWebサイトにて紹介される。
2021年10月22日●音楽は生活の一部遊び心ある曲作りも明かすモデル、女優に加え、「ELAIZA」名義でアーティストという肩書も加わった池田エライザ。9月4日にはモデルとして「第33回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2021 AUTUMN/WINTER」(マイナビ TGC 2021 A/W)でランウェイを闊歩、9月6日には1stアルバム『失楽園』に収録されるデビュー曲「Close to you」を先行リリースした。女優としては、現在放送中のNHKよるドラ『古見さんは、コミュ症です。』のヒロイン・古見硝子役が話題を呼んでいる。まさに八面六臂の活躍ぶりを見せる池田を直撃し、創作活動についての話を聞いた。マイナビ TGC 2021 A/Wでは、レザー素材の全身黒コーデやアニマル柄のコートを羽織ったコーデなどを披露した池田。今回もオンライン開催となったが、池田は「お客さんはいらっしゃらないけど、SNSでたくさんのコメントをいただきました。また、オンラインだからこそできる立体的な演出など、次世代のエンターテイメントとして確立されていたので、そういう新しさや素晴らしさも感じました」と前向きに捉えていた。歌番組などでは、すでに美しい歌声を披露していた池田だが、ついに「Close to you」でアーティストとして本格的にデビュー。1stアルバム『失楽園』については「まずは1曲出しましたが、それ以降に出す曲は、かなりイメージが違う曲になったと思うので、多角的に楽しんでいただきたいです」とアピール。アルバムについて池田は「特にコンセプトもなく、ただ1つ『失楽園』という題材だけがありました。そこから派生して、ギリシャ神話やアダムとイブなどをモチーフにした曲もありますが、決め込まずに作っていきました」と、感性の赴くまま、自由に曲作りをしていったとか。池田の集中力はすさまじく「私は十何時間もレコーディングブースにいられる人なので、曲によっては1日に3曲レコーディングしたり、作った後にもう一度組み立て直したりもしていました」と言う。「例えば、すぐ近くにあったティッシュの音を取り入れてみたりと、かなり手作感があります。他にも音を逆再生して何か意味を出してみようとか、ちょっと動物っぽい機械音を入れてみようとか、音を足し引きしながらライブ感のある作り方をしていきました」と遊び心があって面白い。「これが今のエンターテイメントなので、それを楽しんでください、と言うのは、すごく無粋な気がしていて。 私たちも自由にやるし、皆さんも自由に楽しんでいただければと。それでもし共鳴したり共感してもらえたら、いつかライブという形で集まっていただけたらいいなあと思っています」音楽は常に生活の一部だったという池田。「自分のルーツをたどると、お芝居よりも音楽の方が先で、十何年も前に遡ります。うちはお母さんもシンガーだし、おじいちゃんもギタリストだったので、卵が先か鶏が先かという感じです。お芝居はまだまだ勉強中だから、未熟で仕方ないなと思い、家に帰ってから反省することも多いのですが、音楽は自然発生的というか、その時にしか作れないものなので、後悔することがないんです。今しかできないことを閉じ込めて曲として出している感じですね」●常に考えていることは「どういう余韻が残せるか」女優としても大活躍で、今年公開の映画『騙し絵の牙』、『映画 賭ケグルイ 絶体絶命ロシアンルーレット』や、現在放送中のNHKよるドラ『古見さんは、コミュ症です。』などに出演。2020年には、映画24区の青春映画製作プロジェクト「ぼくらのレシピ図鑑」シリーズの第2弾である『夏、至るころ』で監督デビューも果たした。映画監督をした感想については「面白いです」と即答する。「自分が書いた脚本を自分で監督する作品で、参加してくれた役者さんたちが今まで自分が人生で出会ったことのないような感情に触れてくれるなんて本当にすごいことです。彼らが『自分にこんな感情があるなんて、知らなかったです』と言ってくれる瞬間に自分が監督として立ちあえて、それをフィルムに収められたのは、すごいミイラを発掘したみたいな感覚でした」これだけアグレッシブに様々なことを表現している池田だが、産みの苦しみなどを感じたりすることはあるのだろうか。「大いにあります。私は、映画を作ることも音楽を作ることも、壮大なおせっかいだと思っているので。それらは、すごくお金がかかるおせっかいだなあと感じることがあります。でもだからこそ、1つの曲を世に出すにあたり、たくさんの人が関わることを意識しなきゃいけないなと思っています。曲を聴いたり、映画を観てくれたりする人たちに、どういう余韻が残せるだろうかということは常に考えます」というが、その一方で「すごく難産な時もありますし、途中で丸ごと捨てることもたくさんあります。時代錯誤だと思ったらすぐに捨てます」と潔い一面もあるとか。おそらく多忙を極めているに違いない池田だが「常に休みたくはあるんですが、休むと働きたくなるんです。最適なバランスを探っても、それが整った瞬間、そのバランスが最適じゃなくなる可能性もあるので、常に探り探りやっています」と言う。映画監督以外にも、カメラマンとして、雑誌のグラビアを撮影したりと、まさに天から二物も三物も与えられている池田。マルチな才能を称えると「私はただ、オファーをいただいて、毎回やっているだけなので、そんなふうに言われると、びっくりしちゃいます。確かに私はいろんなことをやらせていただいていますが、自分自身はこうなりたいとか、何かを成し遂げたいと思うことは全然ないんです」と恐縮する。「夢がたくさんあるかといえばそうでもなくて。もちろん自分やみんなが働く環境を整えて良くしたいという思いはあっても、自分自身がすごい人になりたいとは全く思ってないです。だからこそ、いろんな手段で表現することに関わり続けてきたのかなと思います」今後も様々なフィールドで活躍する池田から目が離せない。■池田エライザ1996年4月16日生まれ、福岡県出身。2009年に『ニコラ』専属モデルとしてデビュー。2011年、映画出演をきっかけに女優として注目を集め、映画、ドラマと活躍の場を広げる。Netflix『FOLLOWERS』(2020年春配信)で演技の幅を開拓し、2020年には映画『夏、至るころ』で映画監督も務めた。2021年は映画『騙し絵の牙』、『賭ケグルイ 絶対絶命ロシアンルーレット』をはじめ話題作品に多数出演。9月6日から放送のNHKよるドラマ『古見さんは、コミュ症です。』にヒロインとして出演中。2022年公開映画『真夜中乙女戦争』が公開を控えている。
2021年10月22日理想じゃない恋のはじめ方。(最終話)【これまでのあらすじ】出張のことで大和と喧嘩をしてしまったまま当日を迎え、東京駅に向かう汐里は、その道中で自分にとって大切なのは大和だと気付く。出張には行かずに大和の勤める病院へ直行したが、そこに大和の姿はなく、1週間ほど休暇を取っていると聞かされる…前回はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第9話)第1話はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第1話)小さな救世主大和のことが好き。ずっと一緒に居たい。自分の気持ちをやっと自覚できたのに、肝心な大和と連絡が取れない。1週間も休暇を取って、どこに行ってしまったんだろう?病院のカフェで途方に暮れていると、不意に肩を叩かれた。「こんにちは!」見覚えのある女の子が私に向かってニコッと笑う。この子は……大和と水族館に行った時に、偶然会った子だ。名前は確か、れいなちゃん。「こんにちは。今日は診察?」「ううん、おばあちゃんのお見舞いに来たの」「入院してるんだね」「うん、この前転んで骨折しちゃったんだって。北崎先生が担当なんだよ」「そうなんだ」頷きながら、大和の笑顔が頭の中に浮かぶ。たった1週間会ってないだけで、恋しくて仕方ない。「おばあちゃんから聞いたけど、先生のおばあちゃんも大変なんだね」「え?」「おばあちゃんと同じ、転んで骨折しちゃったんでしょう」「そうなの!?」思わず大きな声が出る。大和のおばあちゃんって今はもう1人しかいないから、実家で同居してるおばあちゃんのことだよね。全然知らなかった。どうして誰も教えてくれなかったの。いや、もしかして今朝、母が電話してきたのって、その件だった?「北崎先生は他に何か言ってたか、おばあちゃんから聞いてない?」「1週間くらい休むって」「他には?」「先生の元気がないって、おばあちゃんが言ってた」あぁ、もう、私のバカ。大のおばあちゃん子だった大和のことだ、怪我をしたと聞いて不安だったはず。そんな時、傍にいてあげなかったなんて……。「れいなちゃん、ごめんね。私、もう行くね!」「うん、バイバイ!」れいなちゃんに手を振り、病院の正面入口へと走る。それからタクシーに飛び乗った私は、実家方面へと向かった。◆会いたかった「もしもし、お母さん」『あんた、さっきはよくも途中で電話を切って……』「ごめん。ねぇ、大和のおばあちゃんが骨折したって本当?」『そうよ、大変だったんだから』「どこの病院に入院してるの?」『○○記念病院よ』「分かった、ありがとう。じゃぁね!」大和のおばあちゃんは自宅で書道教室をしていて、私も子供の頃に通っていた。優しくておおらかで笑顔が素敵なおばあちゃん。私はキク先生と呼んでいた。「キク先生!」病室のドアを開けると、ベッドの上に座っていたキク先生が目を丸くした。ベッドサイドには……やっぱりここにいた。大和だ。「あら、汐里ちゃんじゃない。わざわざ来てくれたの?」「怪我は大丈夫?」「平気よ。ほら、ここに名医がいるでしょう?」茶目っ気たっぷりの笑顔でそう言ったキク先生は、大和の肩をポンッと叩いた。キク先生に負けず劣らず驚いた顔をしている。「しおちゃん、出張は……?」「行くのやめたの」「どうして?」どうして、だって?そんなの聞かないと分からない?1週間も放置して、電話に出ないで、挙句の果てにも消息不明になって、私がどれだけ不安になったか……。お互い様と言えばお互い様だけど、むかつく!大和に会えて嬉しいはずなのに、その顔を見たら無性に腹が立ってきた。「キク先生、ごめんね。ちょっと、大和を借りる」「どうぞどうぞ~」「大和、ちょっといい?」病棟を出て少し歩くと、手入れの行き届いた中庭に着いた。人が少なくて話をするのにちょうどいい。でも、何から話そう? 怒りに任せて呼び出したけど、色んな感情が渦巻いていて整理できない。私の後ろをずっと付いてきている大和も、何も言おうとしない。何か言ってくれたら、話しやすいのに。――――と、「……会いたかった」不意に後ろから抱きしめられた。「大和、」「すっごく会いたかった」耳元で大和の優しい声がする。背中から伝わる体温が心地良い。それだけで、十分だった。「私も大和に会いたかった」「本当?」「当たり前でしょ、好きなんだから」「え?」「大和のことが好きなの」抱きしめられている腕が緩んだので、体を回転させて大和と向い合う。すると、大和は泣きそうな顔をしていた。「ごめんね、気付くのが遅くて」「いや……夢じゃないよね? これ」「頬を捻ろうか?」「やめてよ、しおちゃん地味に力強いか、ら……」大和の頬を両手をはさむ。それから、唇に触れるだけのキスをした。「夢じゃないでしょ」「今の……」耳を赤くする大和が可愛い。「もう1回しとく?」「待って」「だめ?」「そうじゃなくて、」大和はそこで、一呼吸をつき、「俺からする」私の髪の毛をそっと撫でてから、ゆっくり唇を重ねた。◆仲直り中庭には石のテーブルと木製のベンチがあり、私たちはベンチに2人肩を並べて座った。鱗雲が浮かぶ青い空と、イチョウの黄色がキレイ。「ごめんね、大変な時に1人にして。あと、この前はキツイことを言って、ごめんなさい」「俺の方こそ、意地張ってごめん」「ずっと考えてたんだけど、今の私にとって大和が1番だと気付いたの。だから、出張も断っちゃった」明るい声で言ったのに、大和はまた泣きそうな顔をした。「自分でも情けないよ。仕事の足を引っ張るようなことをして」「違うよ、私がそうしたいって思ったからなの」「しおちゃんの出張が終わったら、迎えに行くつもりだったんだ」「そうなの?」「俺なりに反省してたの。ガキみたいなヤキモチ妬いて、拗ねて、挙句の果てにしおちゃんを置き去りにして」そう言えば先に帰られたんだよね。お互いに頭を冷やすべきだと思ってお店でゆっくりしてたけど、外に出たらもう大和の姿はなかった。あれはなかなかショックだったと言うと、大和が項垂れる。「俺、しおちゃんの理想に近づけるように頑張る」「いいよ、別にそんなの」「やる気になってるんだから、水差さないでよ」「そのままの大和が好きなのに、無理して変わることないんだって」「しおちゃん……」理想がどうとか、将来がどうとか、こだわっていた自分は一体何だったんだろう?思い通りになんてならなくていい。背伸びをしなきゃいけない恋なんていらない。「大和が傍で笑っててくれたら、それでいいの」好きって気持ちさえあれば、理想じゃなくても始められる。大和が私に教えてくれたんだよ。◆理想じゃない恋のはじめ方「大和、そろそろ起きて」「んー」眠そうな声で返事をした大和は、瞼を開けることなくまたすぐ寝息を立てた。そりゃ無理もないか。昨日も一昨日も当直だったもんね。このまま寝かしててあげたいけど、絶対起こしてって言われるしなぁ……。「イルミネーション、行くんでしょ」その一声で、大和はむくっと起き上がった。「今、何時?」「16時半だよ」「やばっ、あと30分しかないじゃん」「別にそんなに急がなくても。22時くらいまでやってるんでしょ」「17時から点灯式があるんだよ」へぇ、そんなのがあるんだ。大和用に目覚めのコーヒーを淹れていると、匂いにつられた彼がキッチンに入って来た。「こういうの、何かいいな」「何が?」「彼女がコーヒーを用意してくれるの」「自分用かもしれないよ」「だって、それ俺のカップじゃん」意地悪っぽく笑った大和は、「ありがと」と言い、私の頬にキスをする。正式に付き合うようになってから、私の部屋には大和の物がどんどん増えていて、もうどっちの家が分からないくらい。家賃が勿体ないし、一緒に暮らそうかという話がちょうど昨日出たところだ。「そういや、しおちゃん、玄関の整理した?」「あ、気が付いた?」「うん、何かスッキリしてるなーって」「必要ないヒールは全部捨てることにした」「そうなの?」「だって、これからは大和の靴も入れなきゃだ、し、」言い終わる前に、ぎゅっと抱きしめられた。「しおちゃんのそういうところ大好き」「ありがと……。ねぇ、もう16時50分だけど、いいの?」「えっ、やばっ!」時計を見た大和は戸締りを確認して、玄関へと急ぐ。早く早くと急かされて、私も後に続こうとしたところで、不意打ちのキスがきた。「しおちゃん、これからもずっと一緒にいようね」改まって言われると、何だか恥ずかしくてくすぐったい。だけど、素直な気持ちをいつもぶつけてくれる大和が好き。「うん」笑顔で頷いた私は、スニーカーを履いて外に出た。
2021年09月24日理想じゃない恋のはじめ方。(第9話)【これまでのあらすじ】雪村さんの件が一段落し、汐里は同僚たちの要望もありプロジェクトチームに戻れることになった。週末には新実さんと出張なのに、汐里の元カレが新実さんだと知った大和にダメだと言われ、「関係ないでしょ」と言ってはいけない言葉をつい口にしてしまう…前回はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第8話)第1話はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第1話)喧嘩「大和には関係ないでしょ、干渉しないでよ」しまった、と思った時にはすでに遅く。大和の顔からスッと表情が消えた。「関係ないか……。しおちゃんにとって俺はその程度だったんだね」「違う、そうじゃないけど」「じゃぁ、何?」「何って……」「しおちゃんは、俺のことどう思ってるの?」そんなの急に聞かれても答えられないよ。大和のことは、多分、好きだけど。それをここで言うのは違うでしょう?だいたい、「今は気持ちを知っててくれるだけでいい」って、言ったくせに。こんな時に、どう思ってるかなんて聞こうとしないでよ。「今はまだ言えない」「あっそ、分かった」「ねぇ、大和。関係ないと言ったのは私の仕事に対してだよ。誤解しないで」「うん、そうだね。俺には関係ないよ」「ちょっと! 意固地にならないでよ」キツイ言い方をした私も悪いけど、分からず屋な態度に腹が立つ。どうして仕事とプライベートを分けて考えられないの?「もういいよ、出張でもどこでも好きに行けば」「大和」「もう帰ろう、話すだけ無駄だ」そう言って席を立った大和は、レジでお勘定を済ませて外に出てしまった。追いかけようかと思ったけど、何だかその気力も無くなってやめた。今夜はお互い頭を冷やした方が良さそう……。◆謝罪「……すみませんでした」急に謝られて驚いてしまう。私に向けて下げた頭をゆっくり起こした雪村さんは、やつれた顔をしていた。今回のことが周りにバレて、かなり叱責されたんだろうなぁ……。「許せる気にはならないけど、謝罪の気持ちは受け取るよ」そう言うと雪村さんは、唇を震わせた。「新実さんの言った通りです」「何て言ったの?」「高杉さんは、常に相手の立場になって考えられる人だ、と。だから、例え酷い目にあっても、きちんとした謝罪なら受け入れてくれるはずだって」新実さんがそんなことを……。『自分が悪いと思ったらきちんと謝れ』『謝罪をされたら、許せなくても気持ちだけは受け取れ』そんな人になれるように私を育ててくれたのは、新実さん本人だ。だけど、まだまだ相手の立場になって考えられていないよ。「新実さんのことは、許してあげますか?」「うん?」「高杉さんが怪我をした時、新実さんは病院に駆けつけようとしたんです。それを阻止したのも、彼のスマホを取り上げたのも私です」「そうだったんだ」新実さんが病院に来てくれていたら、大和と親密になることもなかったし、あんなことで喧嘩することもなかっただろう。そもそも、怪我をしたから大和と再会できたわけで……。新実さんのことを話しているのに、私の思考は大和の方へと向かっている。「(大和、まだ怒ってるのかな?)」◆心境の変化今日こそメールをしよう。いや、明日まで待ってみよう。そんな風に毎日を過ごして大和と連絡をとらないまま、週末を迎えた。「先輩、明日から出張なんだから今日はもう帰ってください」「もう少し手伝うよ」雪村さんが退職することになって、その引き継ぎを旭日がすることになったのだ。「助かります~お詫びにこれどうぞ」ありがと、と旭日がくれたチョコレートを口に入れる。すると彼女は目を丸くした。「先輩がチョコ食べるなんて!」「あげた本人が驚かないでよ」「だって、いつも『太るからいらない』って言うじゃないですか」「別に、これくらい平気でしょ」美味しいな、これ。もう1個貰おう。「ここ最近の先輩、柔らかくなりましたね」旭日がしみじみとした口調でそう言い、作業する手を止めた。「前はもっとストイックというか、ダメなものはダメって感じで張り詰めている雰囲気があったのに」「そう、かな?」「私の後輩なんかは、話しかける時に緊張するって言ってましたよ」「えっ、そうなの?」それは、ちょっとショックかも。後輩たちには、なるべく優しく接していたつもりなのに。「あ、違いますよ。怖がられてるとかじゃなくて、すごい人過ぎて緊張するという意味です」「全然すごくないのに」「すごいですよ。私たちの目からすれば…。いつも凛とされていて、憧れです」「ありがと……」「でも、最近、雰囲気が柔らかくなったよねって、みんなで話していたんです」「そうなんだ」「何か心境の変化があったんですか?」心境の変化か……。変わったことがあるとしたら、大和かな。彼と一緒にいるうちに、考え方や物事の捉え方が少し変わったと自分でも思う。「これまでの先輩も好きでしたけど、私は今の先輩の方が好きです」面と向かって言われると照れる……でも、嬉しい。「ありがとう」「どういたしまして」おどけたように言った旭日は、「さぁー!残りの仕事を片付けるぞ」と気合いを入れた。◆会いたい出張、当日の朝。東京駅へ向かうタクシーの中で、スマホの画面を覗いては落胆する。実は昨日の夜、大和に電話をかけてみたけど留守電になっており繋がらなかった。手術中は留守電になっていることが多く気に留めなかったけど、朝になっても折り返しがこないのは初めてだ。出張に行く前に、大和と話がしたかったのにな……。そう思った瞬間、スマホが振動した。大和かと思いきや、相手は母。「お母さん悪いけど、後にしてくれる?」『汐里、実はね…』「これから出張なの。向こうに着いたら電話するから。じゃぁね」お母さんの話は基本的に長いから、外で聞いてたら充電が無くなってしまう。電話を切って、ふぅと息を吐くと、ルームミラー越しに運転手さんと目が合った。「もうすぐ、イルミネーションの季節ですね」「そうですね」「楽しみだなぁ。毎年、娘と一緒に見に行くんです」運転手さんが微笑む。その嬉しそうな顔を見て、先日、大和と話したことを思い出した。『今年のイルミネーション、一緒に見に行こう』『イルミネーションかぁ、混雑するから嫌』『そんなこと言わずに、行こうよ』『気が向いたらね』どうしてあの時、素直に行くって言わなかったのだろう?どうしてもっとちゃんと約束しなかったの?このまま、大和に会えなくなったらどうしよう?もう大和が笑いかけてくれなくなったら、どうしよう?――大和がいない人生なんて、想像しただけで耐えられない。そのことに今、気が付いた。東京駅に着いて新幹線の改札口に向かう途中で、新実さんを見つけた。急いで駆け寄って、声をかける。「新実さん!」「どうした、そんなに慌てて」「すみません、私、行けません」新実さんは訝しげな表情で、こちらを見る。スーツケースを下げてここまで来て、「何を言ってるんだ?」と、言わんばかりだ。「今回の出張がどれだけ大事か分かってるよな」「分かっています」「上手くいけば、プロジェクトリーダーに戻れるかもしれないんだぞ」「戻る気ないです」「汐里らしくないな」確かに、私らしくない。以前の私なら、どんなことよりも仕事を優先していた。ガツガツ必死に働いている自分が好きだった。だけど、今は『頑張り過ぎないでね』って言ってくれる大和と一緒にいる時の自分が好き。「仕事よりも、大切なものを見つけたんです」「大切なもの?」「ごめんなさい、私、新実さんの気持ちには応えられません」「汐里……」「彼が好きなんです」理想とは全然違っていても、思い通りの恋愛じゃなくても、大和が好き。だから今は仕事より、彼と仲直りすることの方が大切。今になってやっと気が付いたの。新実さんに頭を下げて、踵を返す。早く大和に会いたいという気持ちが溢れて足が自然と走り出していた。「○○総合病院まで、お願いします」電話が繋がらないなら、直接会いに行くしかない。タクシーで大和が勤める病院に直行し、顔見知りの看護師さんに大和の居場所を尋ねた。すると……。「北崎先生なら、休暇を取られていますよ」「休暇?」「ええ。1週間ほど、休むそうです」そんなに長く……?大和、どこ行っちゃったの?理想じゃない恋のはじめ方。第10話に続く…
2021年09月17日女優の池田エライザがCM監督に初挑戦した、UCC上島珈琲「UCC COLD BREW」の新Web CM「香るどブリュー Directed by ELAIZA IKEDA」全4編が17日、同製品のブランドサイトとYouTubeほか各SNSにて公開された。池田がオーディション審査から企画・演出・撮影までプロデュースした今回のCMは、「エライザのくつろぎ時間編」「ちゃっかりデカフェ編」「わたしの朝のゆったり時間編」「こだわる男の香るどブリュー編」の全4編。4名の出演者は、TikTokアプリで開催した「#香るどブリューオーディション」参加者の中から選定した。撮影では、池田がCM監督として、伝えたい商品の魅力の説明や、出演者に丁寧かつ熱血な演技指導を実施。「『 デカフェ』ってわかりますか? 『カフェインが入っているコーヒーを飲むと眠れなくなる』って聞いたことありません? カフェインが入っていないコーヒーだと、夜にぐっと飲んでも眠れなくならないんです」と商品のポイントについて丁寧に説明し、初演技に挑戦する出演者に自ら実演しながらアドバイスした。また出演者に優しく「リラックス〜(笑)!」と声をかける場面もあった。○■池田エライザコメント商品の伝えたい魅力がいくつもあって、その中のひとつとして「香り」が素敵だと感じている部分だったので、“香り高さ”を映像でどう伝えるのか、難しい作業でもありましたが、楽しく作りました。今回は、魅力的な方々とCMを作ることができましたので、皆さんも楽しんでいただけるんじゃないかなと思っています。ぜひご覧ください!
2021年09月17日理想じゃない恋のはじめ方。(第8話)【これまでのあらすじ】新実と大和の間で揺れる汐里だったが、大和のことが好きになったかもと思い始める。そんな中、汐里の部署が荒らされるという事件が起き、犯人が雪村さんだと発覚。それだけではなく、汐里の家に空き巣が入るように仕向けたのも彼女だった…前回はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第7話)第1話からまとめ読みはこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第1話)恨まれていた理由「汐里の家に空き巣が入るよう仕向けたのも、この女だ」雪村さんが? どういうこと?困惑すると同時に、空き巣被害にあった時のことが頭の中で蘇って体が震える。取り逃がした犯人の姿、左腕の痛み――――。「本当に雪村さんがやったの?」「わっ、私は……」泣きながら声をつまらせる雪村さんは、縋るように新実さんを見る。けれど、新実さんは厳しい顔をしたまま彼女を睨みつけた。「いい加減、その嘘泣きをやめろ」低く響く声に、冷たい言い方。普段、新実さんがどんな風に彼女と接していたかは知らないけど、少なくとも婚約者に向けるような表情ではない。雪村さんもそれに気付いたようで、すっと表情を変えた。私が仕事復帰した日、自動販売機の前で見せたあの悪魔のような表情だ。「そうよ、私が人を雇って高杉さんの家を荒らすように指示したの」「自分のやったことが分かってるのか!? 汐里は怪我をしたんだぞ」「あれは事故よ! ちょっと脅かすつもりだったのに、この女が反撃するから」あくまで人のせいにするつもりなんだね。さすがにここまでくると、恨まれていた理由が気になった。「どうしてそんなことを?」「だってむかつくんだもん。あんたばっかりみんなにチヤホヤされて」「チヤホヤって……」「私はこれまでいつだって1番だったの。高校でも大学でも前の職場でも、みんなの中心にいたのは私!」「……」「それなのに、ここではみんながあんたを頼って大事にしてる。あんたばっかり良い思いをして、許せなかったの!」良い思いばかり? そんなわけないじゃない。辛いことも大変なことも乗り越えて、今の自分を築き上げたの。そんなことも知らないで、自分勝手な怒りをぶつけてくるなんて呆れてしまう。あまりに幼稚な理由に言葉を失っていると、新実さんが口を開いた。「そんなくだらない理由で、俺に近づいたのか?」「くだらないって、酷い!」「俺と汐里を引き離して、満足したか」「ええ、満足よ。お陰でこの女の悔しそうな顔を見ることができたもの」「最低だな」「そういう新実さんだって、美味しい条件につられて私と婚約したくせに!」「お前がこんな女だと知っていたら婚約なんかしなかった」新実さんの言葉に、雪村さんはとてもショックを受けたような顔をした。その表情を見て、「あ」と、心の中で呟く。彼女は本気で新実さんのことが好きだったんだ。私を恨んでいた本当の理由は、きっとこっちだったんだね……。「とにかく婚約は破棄だ」「い、今さらそんなこと許されないわ。婚約破棄なんて伯父が黙っていない」「降格でもクビでも好きにしろ。犯罪者と結婚するよりマシだ」新実さんはそう言い放つと、私の腕を掴み会議室を後にした。◆失って初めて気が付いた「良かったんですか? あんなことを言って」屋上で煙草を吸っている新実さんに問いかけると、彼は「あんなこと?」と首を傾げた。「降格でもクビでもって」「あぁ、あれか」まさか私情で社員をクビにしたりしないと思うけど、降格は覚悟した方が良いかもしれない。出世第一でここまでやってきた人が、こんなことで躓いてしまうなんて……。「常務には事前に話しておいた」「えっ、そうなんですか」「警察に突き出さない代わりに、この件については一切触れない、だってさ」さすが、新実さん。彼はいつも用意周到だ。「でも、汐里がどうしても許せないと思うなら警察に言えばいい。証拠も渡す」新実さんはそう言うと、ポケットからボイスレコーダーを取り出した。どうする? って、目だけで問いかけてくる。雪村さんとの会話を録音していたんだ……。「いいです、もう。犯人が分かったところで、蒸し返すのは精神的に疲れますし」それに雪村さんは、この件で大きなものを失った。何もしなければ今頃、新実さんの隣で幸せな結婚生活をスタートさせることができたはずなのに。だけど、同情はしない。彼女の気持ちを、新実さんに伝えてあげたりもしない。自分で蒔いた種は、自分で回収しないと。「汐里」煙草の火を消した新実さんが、改まったように私の名前を呼んだ。それから体を真っすぐこちらに向けて頭を下げる。「身勝手なことをして悪かった」昔、仕事でミスをした時に、新実さんから「謝るのも勇気」だと教えられた。素直に自分の非を認めて、心から詫びること。そうすることで、周りから信用を得ることができる、と。これを聞いた時、なんて素敵な人なんだと思った。尊敬していた。「この前、アルフィルで言ったことも反省している。あの言い方では、汐里を傷つけるだけだった」「新実さん……」「でも、あれは本心だ。俺にとって汐里がどれだけ特別な存在だったか、失って初めて気付いた」「気付くのが遅いです」だって、私は、もう……。「もう1回だけチャンスをくれないか」左右に首を振る。「頼む。もう後悔したくないんだ。返事は今すぐじゃなくていいから、今後の行動を見ていてくれ」再び、深く頭を下げられる。その姿を見て何も言えなくなってしまった。◆嬉しい知らせ「高杉さん、どうぞー」診察室のドアが開き、看護師さんに名前を呼ばれた。返事をして中に入ると、ドクターの席に大和が座っている。「え、あれ? 今日外来だったの?」「急遽、代わることになったんだ。どうぞ、座って」「あ、うん」うわぁ、何か変な感じ。こういった形で大和の診察を受けるのは、救急車で運ばれたあの日以来かな。決して避けていたわけじゃないけど、大和が外来勤務の日は通院しないようにしていた。いや、避けていたかな。だって、何となく恥ずかしいし。「骨は順調にくっ付いてきているよ」「ほんと?」「うん、そろそろリハビリの回数も減らしていいね」「ボルトを外すのは、どれくらいになりそう?」「経過を見ながらになるけど、早くて半年かな」他に質問はない?って、優しく聞いてくれる。改めて大和は良いお医者さんだなぁって思う。そう感心していると、パソコンに何か打ち込んでいた大和がメモを渡してきた。看護師さんは、少し離れた場所で作業をしていて気が付いていない。【今日は早く帰れるから、ご飯行こう】背中が大きくV字に開いたペプラムトップスは、狙いすぎかな?清潔感のあるレースのワンピースは、若作りしてるみたいで痛いし……。大和との待ち合わせまで、あと30分。迷いに迷って、結局普段とあまり変わらない服装で行くことにした。マンションを出て、少し歩いたところで電話がかかってくる。大和かと思いきや……新実さん。「はい」『今、出先か?』「そうですけど……」◆口にしてはいけない言葉「大和!」「しおちゃん? どうしたの、そんなに慌てて」「聞いて、プロジェクトチームに戻れることになったの!」「そうなんだ、良かったじゃん!」新実さんからの電話は、その件だった。残念ながらリーダーは私の同期が続行することになるけど、チームに戻れるだけでも嬉しい。「頑張ってやってきた結果だね。おめでとう」「ありがとう」プロジェクトチームに戻れたのは、雪村さんの件だけではなく。同僚たちからの「高杉さんをチームに戻して欲しい」との要望が多かったからだとか。腐らず自分にできることをやってきて良かった。「じゃぁ、今度の週末に改めてお祝いしよう」もっとお洒落な店でさ、と、大和が小声で言う。その直後、周りのテーブルから「おおおおお」という野太い声が響いた。スポーツ観戦ができるダイニングバー。こういうお店は初めてだから新鮮で良いけどな。「週末は出張なの」「そうなんだ」「うん、1泊なんだけどね」「1人で?」「まさか、上司と一緒」「上司って、この前、スーパーの帰りに会った人?元カレ?」頷くと、大和の表情が強張った。「カッコ良い人だったよね」「やめてよ、そんなの考えたことない」「本当? 今まで1度も?」うっ、と言葉に詰まる。そんな私の様子を見て、大和なりにピンとくるものがあったらしい。「もしかしてだけど、しおちゃんの元カレってその上司……?」言うつもりはなかったけど、聞かれたら嘘を吐けない。「そうだよ」「だったら尚更、一緒に出張なんてダメだよ」「勘違いしないでよ、これはあくまで仕事だから」「仕事でも、良い気はしないよ」その言い方にカチンとくる。「出張なんてこれまで何度も行ってるし、公私混同はしないよ」「そんなの分かんないだろ」大和はそう言うと、ふいっと顔をそむけた。その態度に苛立ってしまった私は、「大和には関係ないでしょ、干渉しないでよ」言ってはいけない言葉を口にしてしまった。理想じゃない恋のはじめ方。第9話に続く…
2021年09月10日理想じゃない恋のはじめ方。(第7話)【これまでのあらすじ】汐里は大和の真っ直ぐな告白を受けて、ちゃんと向き合うことを決めた。しかしある日の就業後、家にある汐里の私物を返したいと言う新実さんと、付き合っていた時2人でよく行ったBARで会うことになり、「愛しているのは汐里だけだ」と言われて動揺してしまう…前回はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第6話)第1話はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第1話)事件――――ピピピピピ目覚まし時計が鳴っているけど、体が動かない。もう今日はこのまま寝ていようかな。仕事もサボって、ダラダラしていたい。いっそ休職届を出して、しばらくゆっくりしようかな。旅行して、美味しい物を食べて、辛いことや悩ましいことを全部忘れて……。『愛しているのは、汐里だけだ』不意に、頭の中で新実さんの言葉がリプレイされた。『しおちゃん、帰ろ』同時に大和の笑顔も浮かんでくる。本当、何をやっているんだろう。大和と向き合うって決めたのに、新実さんの言葉に揺らいだりして。「(私って、こんなに情けないやつだった?)」自責の念や罪悪感で胸が苦しい。そんな自分とベッドの中で闘っていると、スマホに着信が入った。スクリーンには旭日の名前が表示されている。「もしもし、旭日? 私、今日はちょっと……」『先輩、大変です!』「え、何が? どうしたの?」『と、とにかく、すぐ来てください!』一体、何がどうしたのか。旭日は相当慌てている様子で、全く状況が伝わってこない。仕方がないのでタクシーを呼んで、会社へ向かうことにした。今日は休もうと思っていたのになぁ……。会社に着いて部署の入り口まで行くと、旭日と数人の同僚たちが困ったような表情で立っていた。「旭日!」「先輩……」何があったの?と、尋ねる前に、その惨状が目に入ってきた。同僚たちのデスクがめちゃくちゃに荒らされているのだ。その中でも私のデスクが1番酷く、カラースプレーのようなものを噴射された跡もあった。「何これ……」「私たちが出社した時には、もうこうなってて」「とにかく片づけよう。無くなってるものが無いかチェックして」「はい」一体誰がこんなことを……。悪戯? 嫌がらせ? 心当たりはなくもない。だけど、まさかここまで酷いことはしないよね。それとなく雪村さんの方に視線を向けると、彼女は泣きそうな顔をしながらデスクの片付けをしていた。その顔に嘘はないように見える。そうだよね、考え過ぎだよね……。「片付けはちょっと待て。現状を写真に撮っておけ」いつの間にか出社していた新実さんが雪村さんの腕を掴み、彼女に指示を出した。「私がですか?」「それくらいできるだろ」新実さんはそう言うと、渋い顔をしてどこかへ行った。◆会いたい【ごめん、今日の約束、無理になっちゃった】【何かあった?】【会社でちょっと……。残業になると思う】【分かった。仕事が終わったら連絡して】了解、と。大和へのメールを打ち終えた私は、再び仕事に取りかかった。今朝の部署荒らし事件で紛失した書類の作成や破損データの復元作業など、やることは山積みだ。お陰で余計なことを考えなくて済むけど、体力的にキツイ。――ピコン、大和からスタンプが届いた。シュールな顔をしたゴリラがバナナを持って「がんばれ」と応援してくれている。いかにも大和らしくて、心が和んだ。「……会いたいなぁ」思わず、口から本音が零れて自分でも驚く。大和に会いたい。会って話を聞いて欲しい。大変だったねって労って欲しい。そんな自分の心の声を認めてしまった瞬間、大和に会いたい気持ちが倍増した。時計を見ると、夜の21時。まだ仕事は完全に片付いていないけど、残りは明日にすればいい。「ごめん旭日、私もう帰るね」「了解です! 私たちももう少ししたら帰ります。お疲れさまでした!」急いで帰り支度をして会社を後にする。駅に向かう途中、スマホで大和の電話を何度かコールしたけど、なぜだか出てくれず。何とも言えない不安が押し寄せてきた。【仕事終わったけど、今から会えないかな?】【大和ー? もう寝ちゃった?】既読も付かない。仕事が終わったら連絡してって言っていたくせに。どうしよう、何かあったのかな? 緊急の手術が入ったとか?それならそれでいいけど、連絡が付かないのは不安だ。居ても立っても居られなくなった私は、大和が住むマンションへ向かった。◆好きになったかも……?マンションに着くのと同時に、1台のタクシーがやって来てエントランスの前で停まった。暗くて良く見えないけど、あのシルエットは……。「大和!」「あれ、しおちゃん。どうしたの?」「どうしたのはこっちのセリフよ、電話も出ないで」「あ、電話した? ごめんごめん。ちょっと立て込んでて」立て込んでて、って何よ。聞き返そうとしたところで、停車してるタクシーから小さな男の子も降りて来た。5、6歳かな? 不安そうな顔をして大和の服の裾を掴んでいる。「この子は?」「同じマンションの子なんだけど、怪我しちゃって。病院に連れて行ってたんだ」男の子をよく見ると、足首に包帯が巻かれている。「ご両親か保護者はいないの?」「それが共働きみたいでさ。お母さんはさっき病院で合流したけど、どうしても仕事に戻らなきゃいけないって言うから……」「それで大和が連れて帰ったんだ」「うん、もうちょっとしたらお父さんが家に帰ってくるって」だから大丈夫だよ、って大和は男の子の頭を撫でる。そっか病院にいたから電話に出られなかったんだね……。優しいなぁ、大和は。「たける!」マンションのエントランスへ入ろうとしたところで、後方から走って来た男性が男の子の名前を呼んだ。その声に反応した男の子は「お父さん!」と大声で叫び、男性の元に駆け寄り抱きつく。男の子のお父さんは大和に何度も深々と頭を下げ、家へと帰って行った。「よかったね、お父さんが早く帰って来てくれて」「そうだね、安心したよ」「たけるくんだっけ、普段から仲良いの?」「いや、喋ったのは今日が初めてかな。時々1人で遊んでいるのは見かけていたけど」「まだあんなに小さいのに1人で留守番してたのかな?」「うん……まぁ、事情はあるんだろうけど。これを機に考えてくれるといいね」そう言った大和は、とても心配そうな顔をしている。他人であっても親身になって世話をやいたり、困っている人がいれば助けてあげたり。そんな彼の優しい人柄に感心すると同時に、胸がキュンとした。「ところで、しおちゃんはどうしてここに来たの?何かあった?」「あっ、えーと……」「もしかして、俺が電話に出ないから心配してくれたとか?」「そんなわけないでしょ」図星なだけに気恥ずかしくなって、背中を向ける。顔が熱い。大和に会いたくなって来たなんて、言えるわけが……。「かわいいなぁ。すっごく会いたかったから来てくれて嬉しい」後ろから抱きしめられた。その瞬間、心臓があり得ないくらいドキドキして体温が上昇するのが分かった。私、大和のことを好きになっちゃった、かも……?◆事件の犯人「作業、終わりました! プロジェクトのデータも大丈夫です」「あぁ~良かった、お疲れ様」例の部署荒らし事件で紛失したデータの復元や書類の再作成作業が終わり、同僚たちに笑顔が戻る。労いの気持ちを込めて差し入れの飲み物を配っていると、1つ余ることに気が付いた。「あれ、誰か今日休み?」「雪村さんが居ません」旭日がそう答えると、他の同僚が不満を漏らした。「この大変な時によく休めるよね」「昨日も定時で上がってましたよ。あの子、大変な時はすぐサボるんだから」これは良くない雰囲気だな。注意しようかと思案していたところで、新実さんがやって来た。彼は同僚たちを一瞥してから、私に向かって手招きをする。「ちょっといいか」新実さんは私に有無を言わせない態度で、そのまま会議室へと向かった。何だろう? 怒っているのか、明らかに機嫌が悪そう。ドアを開けて中に入ると、雪村さんが泣き腫らした顔で立っていた。「あれ、今日は休みじゃ……」「俺がここから出るなと言った」「それは、どういう、」「昨日の犯人は彼女だ」あぁ……、やっぱりと言うべきか。まさかそこまでという気持ちが混同する。嗚咽を漏らす彼女に冷たい視線を送った新実さんは、さらに吐き捨てるようにこう言った。「それだけじゃない。汐里の家に空き巣が入るよう仕向けたのも、この女だ」「――えっ」理想じゃない恋のはじめ方。第8話に続く…
2021年09月03日女優の池田エライザが出演する、デヴシスターズ・キャラクター収集RPGゲーム「クッキーラン:キングダム」の新CM「クッキーソング:勢揃い」編、「クッキーソング:大冒険」編が、4日より放送される。新CMでは、池田が「クッキーラン:キングダム」の各キャラクターにインスパイアされた、オシャレな衣装で登場。定番の勇敢なクッキーや、妖艶な雰囲気のラテ味クッキー、恥ずかしがり屋で愛らしいイチゴ味クッキー、怒りっぽい紅イモ味クッキーなど、多彩な表情を披露する。「クッキーソング:勢揃い」編では、池田がステッキを振ったり、シャンパンを持って踊ったりと、各キャ ラに合わせたポーズや振り付けで、キャラクターの特徴や世界観を表現。「クッキーソング:大冒険」編では、クッキーランシリーズ初となるRPG仕様を表現すべく、池田がクッキーたちと走ったり、武器を振りかぶりながらジャンプして、巨大な敵に立ち向かう姿を描く。池田本人が歌ったCM楽曲にも注目だ。またYouTubeでは、池田のダンスをフルバージョンで見ることができる「クッキーソング」編や、小野賢章や鬼頭明里の音声を楽しむことができる 「キャラボイス」編も公開される。○■池田エライザ インタビュー――「クッキーラン:キングダム」のCMキャラクターに就任した感想をお聞かせください。本当に「クッキーラン:キングダム」を楽しく、プレイしていたので知っていたのかな、と思いましたし、いろんなことが語れるはずだと、思いました!――今回のCM撮影の感想をお聞かせください。普段自分が遊んでいるゲームのキャラクターになるという経験は初めてで貴重な経験ですし、キャラごとにいろんな性格があって、そのキャラクターを表現したりなりきってみるのが楽しかったですし、ウキウキしました。チェリー味のクッキーは周りからも好評で、楽しかったですし、ラテ味のワンピースは純粋にきれいでほしいなと思いました。――今回のCM撮影でこだわった点や難しかった点をお聞かせください。表情筋をすごく求められたんですが、表情筋が追い付かなくて大変でした(笑)。「うわぁー」という表情が難しかったんですが、それが楽しかったです。――今回の撮影でお気に入りのポーズがあれば教えてください。勇敢なクッキーですね。クッキーの杖を動かしたりするポーズでキレのある動きができたので、それがすごく楽しかったです。――ご自身も実際に遊ばれているとのことですが、お気に入りのキャラクターをお聞かせください。悩んじゃいますね……。そしたら私のパーティーを発表します。まずダークチョコクッキーを使ってます。突撃型ですね。そしてイチゴクレープ味クッキー。これは防御型の子。最新の海の妖精クッキー。そしてエスプレッソ味クッキーと、ピュアバニラ味クッキーです。これを聞いただけで遊ばれている方は、かなりやりこんでいることをわかっていただけると思います。今最前線の子たちは全員レベルマックスにしています(笑)。――今回の撮影では衣装の変化も見どころですが、池田さんの人生の中でのターニングポイントは何でしょうか?たくさんターニングポイントはあって、2年前まではお仕事に対してやる気だけで戦ってきたところを、他の人からアドバイスをいただいて、いろいろ知識を深めたり興味を持って、仕事に取り組むようになったことだったんですけど、2019年になるタイミングで、「もっと人とコミュニケーションをとろう」と決めたのがターニングポイントで、そこから人見知りを少しづつ克服してきているというか、変化中ですね。友達も何人か増えましたね!――友達が増えたとありますが、ゲーム内でも友達は増えましたか?友達申請はよくするんですけど、なかなか申請を承諾してもらえないですね……。韓国ユーザーもレベルが同じくらいだと友達になったりするんですけど、せっかくなので日本人ユーザーを探したりして、そういったギルドに入ったりしています。意外とゲーム内にいますよ! 全部カタカナで家の猫の名前で登録しているので、エライザとは登録していないですけど、転がっていると思うので探してみてください!――CMをご覧の皆様へメッセージをお願いします。私もウソなく、「クッキーラン:キングダム」に大大大熱中でございます。CMをご覧になった方はきっとみんなが勇敢に戦いに行くぞーというゲームと思った方もいらっしゃると思うんですけど、ストーリー要素もすごくしっかりあって、私はそのストーリーにうるっときたりとか、自分が念入りに育てたキャラクターが活躍するとわくわくするので、育成という視点でも楽しんでもらえるのではないかと思います。ぜひ育成や作物を育てるのが好きな方も楽しめると思うので、気兼ねなく挑戦してみて下さい。皆さんもぜひ一緒に「クッキーラン:キングダム」を楽しみましょう!
2021年09月03日いやしの里いけだ(福井県今立郡池田町、代表:宇野 いく子)は、従来の日帰りアーシング体験ツアー事業に加え、許認可を得て、2021年6月15日より宿泊可能な体験サービスを提供開始し、農家民宿開業後初となるテレビ取材を受けました。8月27日(金)18:15頃~FBC福井放送「おじゃまっテレ」内『ここが知りたい』にて放送されました。アーシングツアー1【放送内容(福井県ローカル)】8月27日(金)18:15~FBC福井放送「おじゃまっテレ」内、特集『ここが知りたい』この夏、どう過ごしました? 特集では、アーシングの様子を中心に取材いただきました。【〈いやしの里いけだ〉について】林業のまち、福井県池田町の自然を活かした「五感で感じるアーシングツアー」体験プログラムを「福井旅の体験手帖 ふくのね」(福井市、JR西日本福井支店、福井商工会議所が連携して展開している観光体験プログラム)を通じて2019年から提供開始。2020年1月「いやしの里いけだ」として開業。2020年に福井県主催の事業プランコンテスト「県民ワクワクチャレンジプランコンテスト2020(女性部門)」、2020年12月~2021年1月にクラウドファンディング『池田町の里山・河原でデジタルデトックス。アーシングツアーを広めたい』にチャレンジ。 達成により得た資金を活用し、改装を実施。2021年6月15日より1組限定利用の農家民宿に。日帰りだけでなく、宿泊コースも選べるアーシングツアー事業として本格化。【農家民宿「いやしの里いけだ」概要】所在地 :〒910-2527 福井県今立郡池田町板垣54-2-1TEL :090-5175-0635(対応時間 9:00~21:00)最寄りの駅:JR北陸本線 鯖江駅、武生駅(送迎要相談)バス利用 :福井駅、武生駅(お問い合わせください)1日1組限定(1名~8名まで)チェックイン:15時 チェックアウト:10時・1泊2食 大人:10,000円 小人:6,000円・2泊4食 大人:20,000円 小人:12,000円夕食:自ら採った山野草で天ぷら・厚揚げステーキなど朝食:山野草の薬味・フレッシュハーブティー付、山野草採り・アーシングツアー 1日1組限定(1名~最大8名)(別途3,500円、小雨決行、悪天時中止)・その他体験メニュー山野草採り、里山歩き、山野草の調理(採った山野草を一緒につくって夕食に)冬はそり遊び、薪わり、薪ストーブで一緒に食事作り入浴はお肌ツルツルになると人気の「冠荘温泉(別途600円)」へご案内。人と地球に優しい「いやしの里いけだ」を目指しておりますので、アメニティー(歯ブラシ・歯磨き粉)はご持参ください(お忘れの時は販売いたします)。農家民宿「いやしの里いけだ」【アーシングを体験されたお客様の声】「河原を裸足で歩くと、足の裏が刺激されるので、気持ち良かった」「川につけた足元からすーっとピリピリが抜けていく感覚がありビックリしました」「アーシングの後、大地に足が着いている、という感覚がありました!」「土に手足をつけるだけなら近所の公園でもできるんでしょうけど、山の中に入って五感で感じる!!今、感じている!が実感できて、とても新鮮でした」「朝早くと夕方では空気も違うでしょうし、今度は違う時間帯や季節に体験したいです」【アーシング後宿泊されたお客様の声】「普段はなかなか寝付けないが、よく眠れました!」「緑が目に入ってきて、居心地が良い空間でした」「水のせせらぎ、鳥のさえずり、など、環境音が気持ちいい」「山の中の秘境の地が『いやしの里いけだ』の場所、、、なんだか隠れ家のようで、着くまでの道のりもとてもウキウキ。とても居心地が良く1泊の予定のところが予定を変えて2泊もさせていただきました」「大自然いっぱいのお宿で、オーナー様と一緒に料理を作ったり、机を囲んで食事したり、一緒に庭の草抜きをして過ごしました。どの時間も無理のないゆっくりとした時間を過ごさせていただきました」※ご参加の様子は Instagram(動画あり)、note等SNSもご参照ください 【農家民宿開業までの道のり】2020年、コロナ禍でありながらも野外での体験サービスという特性から、地元ラジオからの取材やクチコミで「池田町のアーシングツアー」のご利用が増える中、「泊まれるなら明日の朝もアーシングしたかった」と、お客様からご要望を沢山いただくようになりました。しかし、残念ながら池田町内の宿泊施設には限りがあり、日帰り対応のみになってしまう事が多々ありました。また、当時は同居義母を在宅介護しながらのサービス提供。うっすらと農家民宿の構想はありましたが、まだまだ数年は先だと思いつつ、2020年7月に開催された福井県主催の事業プランコンテスト「県民ワクワクチャレンジプランコンテスト2020(女性部門)」へエントリー。採択された事で、私自身、事業展開に自信がつき、公的機関も含めより多くの方に知っていただき応援いただけるキッカケを得ました。さらに、福井県主催の農家民宿開業に向けたセミナーや、観光プログラム開発のセミナーを知り、申込を進めました。そんな中、直後の7月に同居の義母の容態が急変し急逝。予期しない出来事でした。義母の見送りが落ち着くと「古民家でのひとり暮らし」という現実と向かい合う事になりましたが、「今、50代のうちに、体力気力があるうちに農家民宿を開業し、コロナ禍が落ち着く少し先を目指し、受け入れる準備を整えよう。目標を決めて、がんばろう!」そう、気持ちを奮い立たせることが出来ました。2021年1月にはクラウドファンディングも達成。様々なお力添えにより、2021年6月15日に農家民宿「いやしの里いけだ」として新たなスタートを迎えることが出来ました。宇野 いく子農家民宿「いやしの里いけだ」外観 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2021年08月31日理想じゃない恋のはじめ方。(第6話)【これまでのあらすじ】大和は自分の理想とは違うから、最近やたらとドキドキするのは気のせいだと思い込む汐里。ある日、職場でのストレス発散に大和が週末デートに連れ出してくれることに。連れてきてくれた水族館で大和に「好きだよ」と告白され…前回はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第5話)告白「好きだよ」大和の告白は、耳元で優しく響いた。胸がドキドキする。だけど、予想外の展開に頭の中が真っ白になる。「大和、私は……」「分かってる。しおちゃんにとって俺は弟みたいなもんでしょ」そう。昔からずっと大和は弟だった。そんな弟に、ここ最近はドキドキしたり動揺したりして心を揺さぶられている。だけど、この気持ちが「好き」なのかと問われたら、正直分からない。「別に答えを求めてるわけじゃないから」「そうなの?」「ほら、今のは気持ちを抑えきれずに言ってしまったというか……事故みたいなもんで」「事故?」「そうだよ、しおちゃんが可愛すぎて事故に遭っただけ」何だ、それは……。どうリアクションをとったらいいのか分からず、感情が迷子になる。「とにかく、今は気持ちを知っててくれるだけでいいから」戸惑いはあるけど、大和の気持ちは嬉しい。「うん、分かった」「それから、俺にチャンスがあるうちは合コンに行かないで」気にしていたんだ……懇願するような表情が、可愛い。頷くと、安堵の笑みに変わった。「じゃぁ、そろそろプラン2に行かない?」「そうだね、行こ」大和のデートプラン2は、美しい緑や花を眺めながらのBBQだった。どうやら事前に予約を取ってくれていたようで、お洒落なウッドテーブルに案内された。庭園の奥には池があり、雰囲気も最高。「すごい、いいところだね」「気に入ってくれた?」「うん!」「よかった、しおちゃんってあんまりアウトドアなイメージないからさ」「どういうイメージ?」「貸し切りのフレンチレストランでコース料理を食べてる感じ、かな」わぁ、すごい、イメージそのままよ……。確かに男性とデートするときは、フレンチとかお寿司とかが多かったかな。少なくともスニーカーで入れるような店ではなく、ドレスコードが指定されているところが大半だった。「肉、焼こう。肉」「野菜も食べなさいよ」「やめて、俺、ピーマン食えない」「まだ克服してないの? 体に良いんだから食べなさい」こんがりいい色に焼けたピーマンを、大和の口に入れる。その途端、涙目になった彼を見て思わず吹き出した。「美味しい?」「意地悪だなぁ、しおちゃんは」「ほら、お肉食べて!」「うん、しおちゃんも。食べて食べて」――不思議。どんな高級レストランの料理よりも、今日のお肉の方が美味しい。「大和、今日はありがとうね」「うん?」「すごく楽しかったし、美味しかった」「しおちゃんのそういう素直なところ、好きだなぁ」食事が終わり、腹ごなしを兼ねて庭園を散歩することにした。そよそよと吹く風が気持ちいい。「大和はさ……どうして私なの? もっと周りに若くて可愛い子がいるでしょ」「しおちゃんより可愛い子はいないよ」「いや、いるでしょ。看護師さんとか」「俺にとってしおちゃんは特別だから。再会して確信した。しおちゃん以上に好きになる人はいない」気が付くと、手を握られていた。「今はまだそういう対象じゃないことは知ってる。それでも、向き合って欲しい」「大和……」真っすぐな告白に、再び胸がドキドキする。「分かった、ちゃんと向き合う」「ほんと?やった」頷いた私に、大和は満面の笑みを見せた。◆もっと彼を知りたい「しおちゃん、ごま油ってある?」「ごま油? そんなのないよ」「えー、ないの?あれがないと味が決まらないんだよなぁ」週末、私の家に来た大和が、お昼ご飯を作ってくれることになった。「じゃぁ、そこのスーパーで買ってくるね」「待って、俺も一緒に行く」そう言った大和はガスを止めて、上着を羽織る。夜勤明けなのに、タフだなぁ。大和と向き合うって決めてから、一緒に過ごす時間が圧倒的に増えた。そうした中で、これまで知らなかった新たな一面を発見していく。例えば――。「しおちゃん、こっち」誘導しながら、さり気なく手を繋ぐのが上手だったり。「1人で先に行かないでよ、寂しいじゃん」甘えん坊モード全開かと思ったら、「危ないっ! 気を付けて歩きなよ」急に男らしさを見せてきたり。大和の言動に踊らされていると分かっていながら、案外それが嫌ではなく。むしろ、もっともっと大和のことが知りたいと思うようになっている。「やばい、財布にお金入ってなかった。しおちゃん~」理想とは全然違うけど、それさえも楽しいと思えるなんて。相手が大和だから、なのかな。「ごま油を買いに来ただけなのに、あれこれ買っちゃったね」「だって、しおちゃん家、調味料が乏しいんだもん」「しょうがないでしょー、引っ越したばかりなんだから」スーパーからの帰り道。他愛ない話をしながら手を繋いで歩いていると、前方に見覚えのあるシルエットが現れた。「(あれは……いやいや、まさかね)」そう思おうとしたけど、まさかじゃなかった。「汐里?」私以上に、相手も驚いている。「……新実さん」◆元カレからの……。翌日、新実さんからメールが届いた。【今夜、会えないか?】【会う必要はないと思います】【俺の家にある汐里の私物を返したいんだが】【それなら、宅配便で送ってください】【20時に、アルフィルで待ってる】全然、人の言うことを聞いてないし。昔からいつもそう……。一方的に自分の言いたいことだけを話して、強引で。でも、そこが良かったんだ。付き合っていた当時は。終業後、私は新実さんに言われた通りアルフィルへ向かった。そこは2人でよく行ったBARで、新実さんから「付き合おう」と言われた場所でもある。あの時は珍しくお酒に少し酔っていて、クールな彼とは思えないほど饒舌だった。後で聞くと、私に告白しようとして緊張していた、と。可愛いと思ったのを覚えている。「来たか」お店に着くと、カウンター席にいた新実さんが軽く手を上げた。その奥で顔なじみの店員さんが会釈をしてくれる。私たちの関係はもう終わっているのに、このBARのこの空間は何も変わっていないようで胸がズキッと疼いた。新実さんと付き合っていた頃のことを、次々と思い出してしまう。「荷物をもらったら帰るので」「そう言わず、1杯付き合えよ」「お断りします」「頼むよ、俺の顔を立ててくれ」相変わらず、ずるい人。顔なじみの店員さんが「ご注文は?」と聞いてきたので、仕方なく「ミモザ」と答えた。「こうして会うのは、久しぶりだな」「そうね」「そんな怖い顔をするなよ」そう言って苦笑いをした新実さんは、ロックグラスを一気に煽った。それから、ふと思いついたようなトーンで私に尋ねる。「昨日、一緒にいた男は彼氏か」スーパーの帰り道、新実さんに会ってしまった私は会釈だけしてその場を離れた。そうするだけで精一杯だった。「関係ないでしょ」「汐里のタイプとは、全然違うように見えたけど」「……」そんなくだらない話をするなら、もう用は無い。スツールから立ち上がり、荷物を持って帰ろうとした瞬間、腕を掴まれた。「俺のところに戻ってこないか」「……どういう意味?」「そのままの意味だ。よくよく考えれば俺と汐里が別れる理由は無いだろ。結婚と恋愛は別なんだから」「ふざけないで」「至って真面目に言っている。今でも心から愛しているのは汐里だけだ」何よ……今さら。どうして今になってそんなことを言うの?愛しているなんて、付き合ってる時でも言ったことないくせに。◆動揺出典:逃げるようにBARを後にして、駅に向かいひたすら歩く。すれ違う人たちが驚いた顔をするのを見て、自分が泣いていることに気が付いた。新実さんに掴まれていた腕が熱い。とっても最低なことを言われたのに、どうしてこんなにも胸が苦しくて頭の中がぐちゃぐちゃするの?「―――あっ、」何かに引っかかって履いていたハイヒールが脱げてしまった。慌てて拾いに行って、げんなりする。ヒールが根元から折れていたのだ。「もう、最悪」呟いたその時、背後から名前を呼ばれた。振り向くと、こちらに向かって大きく手を振る大和が見える。その笑顔を見て、再び胸が苦しくなった。こんなにも真っすぐ自分を想ってくれる人がいるのに、新実さんの言葉に動揺してしまうなんて。「何やってるんだろう、私」ねぇ、私、どうしたらいい?理想じゃない恋のはじめ方。第7話に続く…
2021年08月27日理想じゃない恋のはじめ方。(第5話)【これまでのあらすじ】吹っ切れたと思っていた失恋の傷がまだ癒えない汐里だったが、久しぶりに新実課長と話し、前に進もうと決心する。リハビリに通う病院や仕事終わりに大和と会ううちに、男らしく成長した彼のことがだんだんと気になり始めるが…前回はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第4話)私の理想「えっ! 彼氏と別れちゃったんですか?」平日でもランチ時は激混みのイタリアンレストラン。その奥の席に腰掛けた旭日の声が大きく響き、周りの人たちがこちらを向いた。慌てて、彼女の口元を押さえる。「ちょっと、周りに聞こえてる」「ごめんなさいっ! でも、びっくりしちゃって。どうして別れたんですか?」「どうしてって……」振られたの、って言いかけて、やめた。ここで旭日に同情されたら、ますます惨めになってしまう。「リッチな彼氏だったのに、もったいないですねー」「お金はあるに越したことないけど、やっぱり誠実さが大切よ」「もしかして、浮気されました?」あ……しまった。同情されたくないと思いつつ、自ら墓穴を掘るとは。返事をする代わりに、パスタを口に入れる。「浮気男なんてこっちから願い下げですよ。次行きましょう、次」「次ねぇ……」「先輩って、どんな人がタイプなんですか?」「そうだなぁ、背伸びをさせてくれる人かな」「どういうことです?」「一緒にいることで自分が成長できたり、ちゃんとしなきゃって襟を正したくなる人」それでいて溢れるような魅力があって、オーラがあって、余裕もあって。仕事とプライベートをちゃんと分けていて、そのどちらも充実させている。そんな大人な男性が、私の理想。「なるほど、先輩っぽいです。でも、そういう人って疲れません?」私には無理だ~、って旭日が苦笑いする。「じゃあ、旭日の理想は?」「私は自然体でいられる人が良いです。その方が楽じゃないですか」どうだろう?恋愛に楽(らく)さを求めたことがないから分からない。「たまには自分のタイプと違う人と付き合うのも楽しいかもしれませんよ」「うーん」「まずはそういう人と出会うところから始めません? と、いうことで一緒に合コンしましょう」「一緒にって、旭日は彼氏がいるでしょ」「大丈夫です!合コンに参加するまではオッケーなんで」どんだけ、寛大な彼氏なの?思わず突っ込んだ私に旭日は白い歯を見せて笑う。「だって、ときめくことって大事じゃないですか」「確かに……。ときめくことで、女性ホルモンが活性化するって言うしね」「でしょう! 先輩、最後にドキドキしたのいつですか?」いつって……。思い出そうとした瞬間、大和の顔が浮かんだ。なぜか最近、やたらとドキドキさせられている。だけど、多分それは気のせい。だって、大和は私の理想の正反対だもの。◆ストレス「高杉さん、さっきお願いしたデータって、いつ頃できそうですか?」「それならファイルに入ってるよ」「え! もうできてるんですか? さすが! 助かります~」ここ最近の私の仕事は、プロジェクトチームの面々が手に負えない雑務を引き受けるのがメイン。データを作ったり、資料をまとめたり。単純作業だけど、誰かの役に立てるのは嬉しい。だけど、それが気にくわない人もいるわけで……。「会議の資料は、まだですよね?こっちの方が先に頼んだんですけど」いつの間にか私のデスクの傍に、雪村さんが立っていた。顔は笑っているけど、目から放たれる敵意がひしひしと伝わる。「あれはまだ日にちに余裕があるから、急ぎの方を優先したの」「そういうのは聞いてないですけど。勝手に優先順位を決めないでください」「……分かった。今日中にするから」そう答えた私に雪村さんは、小さく舌打ちをして。「目障りな女」と、呟いた。『それで残業? 別に急ぎの仕事でもないんでしょ?』「でも、言ったからにはやらないと。私の気が済まない」『しおちゃんらしいなぁ』電話の向こうで、大和の笑い声が聞こえる。今朝、実家から送られてきた果物のおすそ分けをするとメールしたところ、今になって折り返しの電話がきたのだ。『それにしても、その雪村さんって人。しおちゃんに相当な対抗心を燃やしてるね』「本当……意味分かんない」『ま、相手にしないことだね』「分かってるけど、ストレスたまる」こっちはなるべく気にしないようにしているのに。思わず、「はぁ」と溜息が漏れた瞬間、大和が『そうだ!』と声を張った。『気晴らしに、週末どっか行かない?』◆週末デート週末の天気は、晴れ。抜けるような青空が気持ちいい。マンションの下で待っていると、通りの向こうからやって来た黒色のSUV車が私の目の前で停車した。大和だ。彼は車から颯爽と降り、助手席のドアを開けてくれる。「お待たせ、どうぞ乗って」「ありがとう」「今日のしおちゃん、すごく可愛いね」「そう? ありがとう」気取ってお礼を言ったけど、内心ドキッとする。シャーべットカラーのフレアロングスカートは甘すぎるかと思ったけど、これにして良かった。「どこ行くか決めた?」「まぁ、だいたい。しおちゃんは行きたいところある?」「うーん、特には」「じゃぁ、今日は俺のプランで行くということで……」大和はそう言いながら、後部座席にあった箱を手に取り私に渡した。「これは?」「そのハイヒールじゃ疲れるから、このスニーカーに履き替えて」「どこに連れて行く気?」大和のプランその1は、水族館だった。ベタなチョイスに笑ってしまいそうになったけど、色々と調べたりしてくれたのかと思うと素直に嬉しい。発券所で並んでいると、大和が私をまじまじ見ながらこう言った。「しおちゃん、そんな小さかったっけ?」「いつもはヒールを履いてるからね」「スニーカーの方が楽でしょ」俺のとお揃い~って、自分の足を見せてくる。「楽だけど、変な感じ」「館内は滑りやすいところもあるからスニーカーの方が安心だよ。それに、よく似合ってる」眩しい笑顔。大和ってこんなに格好良かったっけ?シンプルなインナーの上にベージュのテーラードジャケットを羽織り、下は黒のテーパードパンツ。髪の毛もワックスでセットしており、普段と全然違う人みたい。「(やだな、ますます大和を意識してしまう)」急に落ち着かない気持ちになった私は、話題を変えた。「そういえばさ、今度合コン行くの」「は? 合コン?」「うん、後輩の旭日に誘われてね」「ふーん。誘われたら行くんだ」「どういう意味?」「別に」不機嫌そうに答えた大和は、そっぽを向いてしまった。何よ。そんな露骨に嫌そうな顔をしなくてもいいじゃない?たかだか合コンに行くくらいで……というか大和が不機嫌になる理由なんて――――。「北崎……先生?」不意に小学生くらいの女の子が声をかけてきた。彼女の方を向いた大和を確認し、「やっぱり!」と嬉しそうに笑う。「おー、れいなちゃん偶然だね。足の調子はどう?」「もう走れるよ」患者さんかな。大和のことをすごく慕っているのが分かる。しばらく話をする2人を眺めていると、れいなちゃんと目が合った。「先生、この人って先生の彼女?」幼いだけあって遠慮のないストレートな質問。れいなちゃんのお母さんらしき人が、「こら、失礼でしょ」と窘める。そんな親子に向かって、大和は、「先生の大切な人だよ」そう答えた。あれは、どういう意味なんだろう?大切な人というのは、家族のような存在だからだろうか?それとも――。水族館の中に入った後も、そのことがずっと頭の中でぐるぐる回る。そのせいで気が付くと、大和とはぐれていた。どこに行っちゃったんだろう?立ち止まり辺りを見回すが見つからない。仕方なく進行方向に進んでみたものの、大和の姿はどこにもなかった。「(……どうしよう)」不安になった瞬間、腕を掴まれ引っ張られた。「しおちゃん」「大和! もうどこ行ってたの!?」「ごめんごめん、はぐれちゃったね」大和の言い方が、あまりにも優しくて。小さい子供に戻ってしまったような気持ちになる。「え、そんなに不安だった? 大丈夫だよ。すぐ見つけたでしょ」そうだけど……思わず、大和の服の裾をギュッと掴んだ。すると、その次の瞬間。「あぁ、もうダメ。しおちゃんが可愛すぎて無理」そう言った大和は、私をギュッと抱きしめて、「好きだよ」優しく耳元で囁いた。理想じゃない恋のはじめ方。第6話に続く…
2021年08月20日理想じゃない恋のはじめ方。(第4話)【これまでのあらすじ】怪我を理由に自分が企画したプロジェクトから外され、落ち込む汐里。そんな汐里に追い打ちをかけるかのように、上司で元恋人の新実が、社員の前で雪村との婚約を発表する…なんとか気持ちを切り替えようと頑張る汐里に、雪村から「プロジェクトから高杉さんを外すようにお願いしたのは、私です」と告げられ…前回はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第3話)昔の記憶子供の頃から私は、人前で泣くのが苦手だった。長女だから、お姉ちゃんだから、弟が小さいから、理由は色々あるけども1番大きいのは「負けたくない」だった。泣いたら負けた気がする。そんな理由で、強い自分を演じていたのだ。だけど、唯一私を泣かせるのが上手い子がいた。大和だ。『しおちゃん、いいこいいこ』母に叱られて、ふてくされた時も。『今なら泣いてもいいよ』部活の試合で負けて悔しかった時も。『どうして我慢してるの? 泣けばいいのに』社会人1年目、ミスってばかりの自分に嫌気がさした時も。辛い時には、いつも傍に大和がいた。『しおちゃんが悲しいと、俺も悲しい』って、私よりも泣きそうな顔をしている大和が。◆ギャップ萌え「――――ん……、あれ」どうやら眠っていたらしい。ぼんやりとした視界がはっきりしていくにつれ、違和感を覚える。ここ、私の家じゃない。一体、どこ……。半分寝ぼけながらも、寝返りを打って驚いた。「え?大和!?」目の前には、スヤスヤと眠る大和の顔がある。驚きのあまり固まっていると、長い睫毛がピクリと動いた。「……しおちゃん、もう起きたの」「起きたよ、起きた! ねぇ、これどういう状況?」「どういうって、見たまんまだけど」大和は、んんっ!て、伸びをしながらあくびをする。それから私の顔を見て、ふにゃっと笑った。「寝起きのしおちゃん、可愛いね」「何を言って……」やめてよ、不覚にもドキッとしちゃったじゃない。「もしかして、ここって大和の家?」「そうだよ」へぇ……。黒で統一された家具や家電に、お洒落なインテリア。部屋の奥にある本棚には、分厚くて難しそうな本が並んでいる。ずいぶんと大人な空間だ。「ねぇ、私、何も覚えてないんだけど」「心配しなくても、何もないよ。酔っぱらったしおちゃんを連れて帰って、一緒に寝ただけ」「酔っぱらったって、私、お酒飲んでないよ」「うん、稀にノンアルで酔う人もいるからね。錯覚だけど」まさかぁ、と笑いながらかろうじて残っている記憶を辿る。頭の中に浮かんだのは、大和の背中に乗っている自分だった。「大和がここまで運んでくれたの?」「そうだよ」「ごめん、重かったよね?」「そっか、知らないか。俺、大学までロッククライミングをしてたんだ」「ロッククライミングって、あの、大きな岩とかを登るやつ?」「うん、そう。人並み以上に鍛えてるから、しおちゃんの体重なんて楽勝」言われてみれば、背中の筋肉がすごかったかも。腕もパッと見た感じは細いから分かりづらいけど、血管が浮き出ていて男らしい。顔はどちらかというと中性的で可愛らしいのに……これぞ、ギャップ萌えってやつ?「(いやいや、おかしいよ)」どうして大和相手にドキッとするの。◆負けるな、私「おはよう、旭日」月曜日の朝。会社のエントランスでエレベーターを待つ旭日に声をかけた。「おはようございます!先輩、今日元気そうですね」「そう?」「なんか良いことあったんですか?」良いことは……無いかな。だけど、久しぶりにゆっくり寝て食べて、泣いて愚痴ってスッキリした。おかげで吹っ切れた。「引っ越ししたの、会社からはちょっと遠くなったけど良い物件があって」「へぇ!今度遊びに行っても良いですか?」「片付いたらね」新しい家は、完成したばかりの賃貸マンション。偶然にも大和が住んでるマンションから徒歩5分くらいの距離で、近くに知り合いがいるという安心感もあり即決した。「片付けなら私が手伝いますよ~」「旭日はそれより、プロジェクトに集中して」「あぁ……考えないようにしてたのに、胃が痛くなってきました」例のプロジェクトは、私の同期が引き継ぐことになった。旭日はその補佐。頑張ってね、と肩を叩こうとした瞬間、彼女は誰かに会釈をした。「おはようございます、新実課長」「おはよう」吹っ切れたはずの胸が、鈍く痛む。「おはようございます」「あぁ」いつかこの人の顔を見ても、何も感じない自分になれるのかな。失恋の傷は、自分で思っていたよりも深い。「旭日、朝イチで会議をするぞ。資料は揃ってるか?」「すみません、サンプルがまだ……」新実さんが放つ威圧感に、旭日は身を縮こまらせる。見ていられず、助け舟を出した。「サンプルなら備品室にあるよ」「本当ですか? 行ってきます!」備品室へ行くには、エレベーターより階段の方が早い。そちらの方へ向かい走って行く旭日を目で追いながら、「しまった」と思う。気まずさで、消えてしまいたくなる。到着したエレベーターに乗り込んだ後も、新実さんがいる右側が見れない。そうしているうちに上昇するエレベーターから1人、また1人と降り、新実さんと2人きりになった。「引っ越ししたのか?」ポツリ呟くように、新実さんが聞いてきた。「もう関係ないですよね」「汐里」久しぶりに聞いたその呼び方に、泣きそうになる。恋人でいられないなら、心の中に入ってこないでよ。「そんな風に呼んだら、婚約者が誤解しますよ」「……」「プロジェクトから私を外したのは、常務の指示だったんですね。新実課長はそういうのに屈しないタイプだと思ってました。」声が震える。だけど、泣き顔なんて見せたくない。「信じていたのに、がっかりです」負けるな、私。前を向け!◆ときめき……?骨折って手術をすれば、すぐに治ると思っていた。術後は余裕だったリハビリも、だんだん辛くなってきた。「痛たたたたた、痛いです」「少し休みましょうか?」「いえ、続けてください」この前の理学療法士さんはドSだったけど、今日の人は優しい。それでも相当な痛みに、さすがの私も涙目になってしまう。「あ!北崎先生だ」その時、手術着姿の大和がやって来た。この総合病院はリハビリテーション室も併設されており、大和は退院した患者の様子を頻繁に見に来ているらしい。大和の登場に、リハビリを受けている患者たちが一気に色めき立つ。「先生、見て!膝の可動域がもうこんなに広がったの」「お~すごいですね! リハビリを頑張っている証拠ですね」「北崎先生、次こっち!こっちに来て」「はい、すぐ行きます」優しくて親切でいつもニコニコしている大和は、この病院ではちょっとした有名人。わざわざ遠方から通院する患者さんもいるくらいの人気者らしい。「(そういや昔から、人に好かれるタイプだったなぁ……)」そんなことを考えていると、大和と目が合った。だけど、思わず視線を逸らしてしまう。この前、家に泊めてもらったことを思い出し、若干気まずくなったのだ。「(大和を意識しちゃうなんて、変なの)」「そろそろ終わりにしましょうか」理学療法士さんが時計を見ながら言った。いつもよりかなり時間が短い。「もう少しお願いします」「でも、今日は痛みも強いようですし、あまり無理しない方がいいですよ」「これくらい平気です」リハビリをサボれば、サボった分だけ治りが遅くなるような気がする。だから頑張って痛くても堪えないと……!1日でも早く仕事に完全復帰できるように。そう焦りを滲ませていると、「しおちゃん」後ろから大和が近づいて来た。「リハビリはやればやるほど効果があるってわけじゃないよ」「でも、」「頑張り過ぎるの禁止だって言ったよね。無理をしたら余計体を痛めるだけ。治らないよ」「……」「はい、分かったら今日は終わり!」強制終了をくらってしまい、そのままリハビリテーション室から出される。休憩コーナーの椅子に座って待っているよう私に言った大和は、少ししてから戻って来た。「はい、これあげる」「何?」「ご褒美のアイス」「私は子供か」「要らないの?」「何味?」「しおちゃんが好きなチョコミント味」「ちょうだい」いつまで私の好きな味を覚えているのよ。拗ねて構ってちゃんになってしまったみたいで、気恥ずかしい。「しおちゃんはさ、十分頑張ってると思うよ」「……」「でも、基本的にせっかちだよね」「知ってる」「しおちゃんのそういうところすごく尊敬できるけど、同時に心配になるよ」「大和……」「だから、時には力を抜いて休んで欲しい。自分にためにも、近くで応援してる人のためにも」言い聞かせるように、お願いするように。優しい表情でそう言った大和は、私の唇に付いたアイスを親指で拭い「子供かよ」と笑った。「……」やっぱりおかしい。だから、どうしてドキドキするの。理想じゃない恋のはじめ方。第5話に続く…
2021年08月13日理想じゃない恋のはじめ方。(第3話)【これまでのあらすじ】腕の骨を折る大怪我をし病院に搬送された汐里は、そこで医者として働く幼馴染の大和と10年ぶりの再会を果たす。入院中でもプロジェクトのために夜遅くまで働く汐里。そんなとき、上司で元恋人の新実からスマホにメッセージが届く。新実からの連絡に喜ぶ汐里だったが、告げられたのは「プロジェクトから外す」という連絡だった…前回はこちら▼理想じゃない恋のはじめ方。(第2話)励ましプロジェクトから外された――。状況からみれば、仕方ないと思う人もいるかもしれない。だけど、私にとっては絶望でしかない。ここ数日の間、不運が立て続けに起こっても、「私には仕事がある」という思いで前を向いてきた。そんな中で、頼みの綱を切られた気分だった。何より、あのプロジェクトは入社以来ずっと頑張ってきた私の全てが詰まっていたのに……。「理不尽なことってあるよな」大和が、呟くように言った。「俺も、研修医の頃にものすごく偏屈な教授の下で働くことになって。毎日、理不尽な思いをしたよ」「どうやって耐えたの?」「ある人に言われたんだ、理不尽なことも一旦受け入れろって」「……?」よっぽど変な顔をしていたのだろう。大和は、「何だ、そりゃって思うよな」と笑った。「物事には必ず意味があるから。受け入れることも大事なんだって」「それで、何か変わった?」「受け入れたあと、どうするかは自分次第。教授から受けたパワハラを全部記録して、上に報告した」「すご……」爽やかな顔をしながら、やる時はやるんだ。「しおちゃんもさ、今は辛いと思うけど、いつか見返せる日が来るから。その時まで悔しさは温存しといたら?」「私はそんなに、ねちっこくないけど」「励ましてる相手をディスるなよ」不思議。大和と話していたら少し気が楽になった。◆頼れる男「退院、おめでとう!」「ありがとう……って、これは何?」「退院祝いの花だけど、好みじゃなかった?」車の運転席に座った大和が、肩をすくめた。「そうじゃないけど……」「喜んでもらえると思ったんだけどな」もちろん、嬉しい。お花をもらうのって、どれくらいぶりだろう?新実さんは、そういうの一切しないタイプだったし……。「感動しちゃった。ありがとう」病院からの帰り、大和が運転手役を買って出てくれたので、ひとまず実家に戻ることにした。空き巣被害にあった家は、さすがに気持ち悪くて帰る気になれない。「引っ越しするんだよね? いつ頃の予定?」「即入居可の良い物件が見つかれば、すぐにでも」「じゃぁ、不動産会社に寄ろうか」実家方面へと向かいかけていた車を別の車線へと移して、進路を変える。「いいよ、そんな。せっかくの休みなのにゆっくりして」「こういうの何て言うんだっけ……? 寄りかかった……じゃなくて、乗車じゃなくて、」「乗りかかった船」「そう、それ」すごいね、よく分かったねって、屈託なく笑う。今回の入院生活で、この笑顔にどれだけ助けられただろう。「大人になったよね。大和がこんなに頼れる男になっていたとは知らなかった」「惚れそうでしょ?」「調子に乗るんじゃないよ」生意気なやつには、デコピンだ。「痛ぇ。手厳しいなぁ、しおちゃんは」◆敵意退院から1週間後、仕事に復帰した。といってもプロジェクトから外されているので、まずは再びチームに加えて欲しいと頼むところからだ。物事を受け入れてから、どうしたいか自分で考える。大和が言った通りにやってみよう!「ご迷惑をおかけしてすみませんでした」深々と頭を下げた私に、新実さんは「いや」と短く答えた。「怪我はもう良いのか?」「はい、問題ありません。それで、あの……プロジェクトチームに戻してください」「そうだな……いや、当分は雑務を頼む」「え?」「まだまだ本調子じゃないだろ」「平気です! これまで通り……いえ、今まで以上に働きます」「そうは言ってもまだリハビリとかあるだろ。それに、やっとプロジェクトチームがまとまり始めたところなんだ。かき回したくない」「かき回すって、元々あの案は私が、」そこまで言いかけたところで、新実さんが大きく2回手を叩いた。業務準備に取りかかっていた社員たちが、一斉に注目する。「ちょっといいか、報告がある」新実さんはそう言うと、部屋の端っこの方にいた雪村さんに向けて手招きをした。「私事で申し訳ないが、このたび雪村さんと婚約する運びとなった」「わー、おめでとうございます!」部署内に驚きの声と祝福の言葉が飛び交う。隣にいた旭日も目を丸くしながら、私の服を引っ張った。「先輩、知ってました?」「いや……うん、まぁ」知っていたけど、改めて聞かされると胸の奥が痛くなる。新実さんの隣に立ち、恥ずかしそうにしながらも微笑む雪村さんを見ていられなくて視線を床に落とした。あの場所にいるのは、私だったのに……。「ごめん、ちょっと」いたたまれなくなった私は、電話がかかってきたフリをしてその場から離れた。祝福ムードに包まれる中、笑顔を続ける自信がない。あの2人はいつから付き合っていたのだろう?雪村さんがうちの部に配属されてから?それともその前から?二股をかけられていたこともショックだけど、全然気が付かなかった自分の鈍感さにも嫌気がさす。「……ダメだ、ダメ! 切り替えないと」いつまでもうじうじしていられないし、今はとにかく仕事で挽回しないと!自分に喝を入れるため、近くにあった自動販売機から少し高めの栄養ドリンクを購入しようと考えた。しかし、まだ手が上手く使えずモタモタしてしまう。財布の小銭入れと格闘していると、背後から声をかけられた。「手伝いましょうか?」雪村さんだった。「あっ、ううん、大丈夫」「高杉さんって、いつもそうですよね」「そうって?」「自分は1人で何でもできる。他人に頼りたくないって。顔に書いてあります」強い、あからさまな敵意。控えめでいつも恥ずかしそうに笑っている雪村さんとは別人みたい。「リハビリの一環だから、できることは自分でしないと」「そういうところが可愛くないって言ってましたよ」「え?」「あいつは強いから1人でも生きていけるって。新実さんと付き合っていたんですよね?」「彼から聞いたの?」社内で私と新実さんのことを知っている人はいない。別に知られて困ることではないけど、あえて言わなかった。2人だけの秘密。その踏み込んで欲しくない場所に、ずかずかと入られて不愉快な気持ちでいっぱいになる。おそらく、その感情が顔に出ていたのだろう。雪村さんの顔つきが一気に変わった。「私、高杉さんのこと大っ嫌いなんです。顔を見るのも嫌なくらい」「そう。別に興味ないから理由は聞かないし、嫌われていても特に困らないからいいよ」「本当に困らないですか?」「……どういう意味?」嫌な予感がする。雪村さんは「これ言っちゃってもいいのかなぁ」と勿体つけてから、私の耳元に口を寄せた。「例のプロジェクトから高杉さんを外すようにお願いしたのは、私です」「はっ?」「あれ~忘れちゃったんですか? 私の伯父さんが常務だってこと」「……」「私をあんまり怒らせない方がいいですよ。じゃないと、彼氏だけじゃなく職も失うことになりますよ」勝ち誇ったような表情で鼻を鳴らす。悪魔のような顔をした雪村さんに呆然としてしまい、何も言い返せなかった。◆本当の私「信じられない!」「しおちゃん、落ち着いて!」退社後、むしゃくしゃした気持ちがおさまらない私は大和に連絡を入れた。ちょうど彼も仕事が上がりだったようで、近くの居酒屋で落ち合って愚痴を聞いてもらうことにした。「何が『職も失うことになりますよ』よ。小娘が」「小娘って、歳いくつなの?」「26? 27だったかな……知らない!」「俺と同じくらいじゃん」ビールと、お通しの枝豆が運ばれてきた。乾杯をするのも待ちきれずジョッキに手を伸ばしたところで、大和に止められた。「しおちゃんは、こっちのノンアルね」「えー! やだ」「嫌じゃない。骨折が完治するまで禁酒だってば」「そんなぁ」大和の意地悪、ちょっとくらい飲ませてよ。「それで? 何か言い返したの?」「何にも言えなかった」「しおちゃんらしくないじゃん。ぎゃふんと言わせちゃえば良かったのに」「ねぇ、私らしいって何?」強気で、負けず嫌いで、根性派で?強いから1人でも生きていける? そんなわけないでしょ、私だって本当は――。「知ってるよ、本当のしおちゃんは繊細で不器用で、泣き虫だ」目の前にいる大和の顔がぼやけて見える。子供のようにしゃくりあげて泣いてしまった私に、彼は何も言わず。着ていたパーカーを頭からかぶせて、隠してくれた。理想じゃない恋のはじめ方。第4話に続く…
2021年08月06日池田純矢が作・演出を手掛ける「エン*ゲキ」シリーズの 5 作目となる『-4D-imetor(フォーディメーター)』が8月5日(木)に開幕する。生駒里奈・池田純矢のW主演で上演されるエン*ゲキシリーズ最新作は、〈量子力学〉がテーマ。四次元世界と超能力を“イリュージョンマジック”でみせ、奇術×謎解き×演劇の融合で贈るアトラクション・エンターテインメントになるという。果たしてどのような舞台ができあがりつつあるのか、稽古真っ只中の池田と生駒に話を聞いた。想像以上に面白くなっている――あと2週間で開幕というタイミング(取材時)ですが、どんな作品になっていますか?池田昨日は初めての通し稽古でしたが、想像以上に面白くなっていますよ。僕が役者としてほとんど入れていない(作・演出も兼ねているため)ので、まだ全体像は見えていないんですけど、勝ったな!と思いました(笑)。――どういうところが魅力になっていますか?池田「観たことのないもの」になっているんじゃないかと思います。この「エン*ゲキ」シリーズでは毎回新しい試みをしていきたいと考えているのですが、今作も、前作(エン*ゲキ#04『絶唱サロメ』)でできた音楽と演劇の新しいカタチでの融合のような、「観たことのないものができあがっていっている」という感覚は今すごくあります。――今作は演出にイリュージョンマジックも取り入れているのですよね。池田そうなんです。でも決して“マジックショー”にはならず、ギミックとして物語に溶け込んでいて、だけど驚きに繋がるような、そんな使い方ができたと思います。アクションも割とあって、それも舞台では観たことのないものになっているはず。これはお客様に満足して帰ってもらえるのではないかという予感が、昨日の通し稽古で確信に変わりました。――生駒さんは今、お稽古場でどんなところを楽しんだり苦労したりされていますか?生駒楽しいです。苦労しているのは、マスクしながらアクションすることですかね。――池田さんもアクションは「観たことのないもの」とおっしゃっていましたが。生駒私は小さい頃から日曜朝は仮面ライダーや戦隊ものを好きで観ていたので、アクションは、そういう自分の憧れを一番大事にしながらやってます。やっぱり“ライダーキック”ってカッコいいじゃないですか。ああいうことができたら、という一心でいます。お芝居としても、昨日の通しでいろんなことが見えましたし、まだ足りないところもわかったし、整頓もできたので、また今日から一歩一歩しっかり積み上げていきたいです。ノアちゃんに純粋に憧れている(生駒)生駒里奈の中でも1、2を争うハマり役(池田)――ご自身が演じるノア役はどう捉えていますか。生駒ノアちゃんが真っすぐでいればいるほど、熱いものになるし切ないものになるんじゃないかと思っています。だから今回はすごくわかりやすくしっかり伝えるということがいいのかな、と通し稽古を終えて思いました。――役と向き合ううえではなにを大切にしていますか?生駒私はノアちゃんに純粋に憧れているんだと思います。だから、向き合うというよりかは憧れている人に近づきたいという感覚です。ただ、ノアちゃんの考え方やスタンスは自分が大切にしているものとも近いので、自然にできています。――池田さんから見て、ノア役の生駒さんはどんな印象ですか?池田素晴らしいです。生駒里奈の魅力が存分に前に出ていると思いますし、僕はいこちゃん(生駒)の出演作をいろいろと観ているのですが、その中でも1、2を争うハマり役なんじゃないかなとも思っています。僕が観客として観たら、「生駒里奈、この役よかったね」と言うと思いますから。――池田さんご自身の役柄・渡来暦(わたらいこよみ)の魅力もお聞かせください。池田とても魅力的な役だと思っています。だからこそ、絶対この役だけはやりたくないと思っていました。要は恥ずかしくなりたくないんですよ。「この人、この役やりたくてこの本を書いたんだな」と思われたら、しゃくじゃないですか(笑)。でも、他のカンパニーにこの役でどうですかと言われたら、一も二もなくやりたいですと言うような役です。考え方にしろ、お芝居の幅にしろ、キャラクター表現にしろ、自分が持っている技術や感性がふんだんに盛り込める役柄なので、お客さんから「この役がやりたかったんだな」ではなくて「この役は池田しかいなかったな」と思われるべき、ということですね。そこに近づけるために、今はまだイメトレですが日々稽古しています(笑)。――お互いの印象をお聞かせください。池田いこちゃんと作品づくりをするのは今回が初めてなのですが、思っていた以上に素敵な人だと思いますし、思っていた以上に気が合いますし、いい意味ですごく色んなものが更新されている感じがしますね。生駒私は、演出家なのに失礼なくらいため口をきいてしまっています(笑)。気が合うが故、ということなんですけど。だから、今はこういう芝居をしたけど多分ああしたほうがいいな、とかっていうこともなんとなくわかります。自分がそう感じた時は、(ダメ出しで)実際にそう言われることも多いです。――演出家としての池田さんはどんなふうに映っていますか?生駒演出家の時はびっくりレベルでやさしい(笑)。池田はは!生駒だからこそがんばりたいなと思えます。――今作のテーマは<量子力学>ですが、理系が苦手でも大丈夫でしょうか?池田大丈夫だと思います(笑)。なにも知らない人も楽しんで観ていただけますよ。それに、登場人物に渡来の助手・山田(田村心)というのがいるんですけど、この山田がけっこうおバカな人で(笑)、彼が聞き役で物語が進んでいくつくりになっていますから、「山田がいるので大丈夫です!」とお伝えしたいですね。生駒私も量子力学は1ミリもわからないまま演じているので大丈夫です!(笑)見どころはアクションと山田(田村心)の一発ギャグ――見逃さないでほしいところや楽しみにしていてほしいところを教えてください。池田いっぱいあるな~。生駒私、大好きなところがあります。池田なに?生駒山田の一発ギャグ。二人ははは!池田稽古場でもみんな毎回楽しみにしているんですよ。生駒大好きなんです。本人が考えてやっているので、これどうやって考えたんだろうとか想像するのもすごく面白い(笑)。――山田はコミカルな役なんですね。池田完全なるコメディリリーフです。今作の笑いは彼にかかっていると言っても過言ではないです。右から2番目が、田村心演じる山田一郎。今作の笑いは彼にかかっている?!――他にはなにかありますか?池田やっぱりアクションは魅力のひとつだと思います。いこちゃんにも、「この作品が終わったら、プロフィールの特技に“アクション”って書きなよ」と言ったくらい。生駒大千秋楽が終わったら書きます(笑)。池田お客さんもびっくりすると思いますよ。生駒今までの私からは想像できないアクションですね。池田あれはスタントマンのアクションだと思う。生駒昨日気付いたんですよ。「あれ、なんかヤバいことさせられてる……」って(笑)。池田(笑)生駒今までを「動いていないです」と言えてしまうくらい動いてますから。でも楽しすぎて、練習でミット打ちしている時に「もっと習いたい」と思いました。こんなに楽しいんだ!って。池田デビューからずっと追いかけて来られた方々も初めて見るレベルなんじゃない?生駒そうだと思う。アクション後にその方々の反応を確認したいくらい(笑)池田あとは、劇場で驚いてほしいので具体的には言えないけど、劇中にとんでもないギミックがありまして。きっと何回観ても楽しいものになっていますし、そのために“おかわり”もしたくなると思う。――マジックが織り込まれているということですか?池田さまざまです! あちこちに散りばめられているので、ぜひ観てほしいですね。エン*ゲキ#05『-4D-imetor』チラシ――生駒さんは山田の一発ギャグ以外なにかありますか?生駒(笑)。いいシーンが多いと思います。量子力学がテーマと言うから科学的な面白さなのかなと思われる方もいると思うんですが、人の絆がとても感じられるし、自分ってなんだろうとか思いがちな方々に向けては、「大丈夫だぞ、自分の存在価値はあるぞ」ということを、浴びせかけられるような作品かなと思います。――池田さんがこの作品が書かれたのはずいぶん前ではありますが、このコロナ禍の1年で、多くの人がそういうことを考えましたよね。池田そうですね。意図せず1年延期したことで、ピッタリになったんじゃないかと僕も思います。人生の価値ってなんだろうとか、生きているってなんだろうとか、自分自身ってなんだろうとか、考えた方はたくさんいらっしゃると思いますし、そこへのメッセージを届けられそうです。――最後に、今お稽古場で楽しんでいることをそれぞれ教えてください。池田稽古場に来るのが本当に毎日楽しいです。もちろん稽古はすごく疲れるんですけど、毎朝起きて、「今日も稽古がある」ってウキウキしながら家を出る。我慢を続ける毎日の中で、自分自身もこの作品に救われていることをすごく感じます。毎日みんなと会えるのが楽しいです。生駒私も純粋にお稽古が楽しいです。すごくしあわせだなって感じます。あとはアクション。だから早くカッコよく動けるようになりたいです。――どんなアクションが理想ですか?生駒仮面ライダーW。一番好きな仮面ライダーなので!取材・文:中川實穗ぴあアプリ限定!アプリで応募プレゼント池田純矢さんのサイン入りチラシを3名様にプレゼント!【応募方法】1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。こちら() からもダウンロードできます2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!エン*ゲキ#05『-4D-imetor』【東京公演】2021年8月5日(木)~2021年8月15日(日)会場:紀伊國屋ホール【大阪公演】2021年8月28日(土)~2021年8月29日(日)会場:COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール★8月5日(木)19:00公演はライブ配信あり。詳細は公式サイトへ()
2021年08月04日理想じゃない恋のはじめ方。(第2話)【これまでのあらすじ】信頼していた恋人、新実に別れを告げられた汐里。突然の裏切りに動揺し帰宅すると、自宅が空き巣に入られ部屋が無残な状態に。犯人と接触し怪我まで負うことになった汐里だったが、搬送先の病院で偶然幼馴染と再会する。汐里は無事に怪我を乗り越えて、大事なプロジェクトを成功させることができるのか…新実や幼馴染との関係は…?気になる第2話スタート!幼馴染「もしかして、しおちゃん?」「え?」「やっぱり、しおちゃんだ」懐かしい呼び名で私を呼んだその医師は、嬉しそうに顔を綻ばせた。切れ長の瞳、柔和なベビーフェイス、透けるような白い肌。この面影、見覚えがある……。「……大和(やまと)?」「そうだよ、久しぶりだね」びっくりした。驚きのあまり、手首の痛みが一瞬引っ込む。「何年振りだっけ?」「最後に会ったのは、俺が高校生の頃だから10年振りぐらいかな」「まさかあの大和がお医者さんになってたなんて……立派になったねぇ」「親戚のおばちゃんかよ」大和は、私の7歳離れた弟の親友。実家のすぐ近くに住んでいたこともあり、小さい頃からしょっちゅう家に遊びに来ていた。私が独り暮らしをするようになった後も、実家に帰ればだいたい大和の姿があって家族同然の存在だった。実家の母は、実の息子より大和のことを可愛がっていたっけ……。だけど、大和が高校を卒業した後は大学が忙しいこともあってあまり家に来なくなり、私もほどんど実家に帰らなくなったので疎遠になっていた。「元気だった?」「36時間勤務中だから元気とは言えないけど、今のしおちゃんよりは元気かな」「可愛くないなぁ、昔はもっと可愛かったのに」「俺のこと、いくつだと思ってんの?」いくつって……もう27歳か。顔つきも大人になったなぁ。「ちょっと北崎(きたざき)先生! 早く次の患者さんを診てくれないと終わらないですよ」ベテランっぽい看護師さんが、パーテーションの向こうから顔を覗かせた。それに大和は「やべっ」と小さく呟き、私に立つよう促す。「そこのドアから出て右に行ったらレントゲン室があるから、行って来て」「分かった」レントゲンと聞いて、再び手首の痛みが激しくなる。言われた通り診察室から出ようとした背後で、「お知り合いですか?」「幼馴染のようなものです」「先生の初恋相手だったりして!」「何で分かるの?」看護師さんと冗談っぽく話す大和の声が聞こえた。◆予期せぬ入院「えっ、手術?」「うん、橈骨の手首部分と……あぁ、尺骨骨幹部も折れてるね。手術した方が良いと思う」レントゲンを撮り終わり再び診察室に入った私に、大和は画像が映ったディスプレイを見せた。彼の指摘通り、素人でも骨が折れていることが分かる。「手術は大和がしてくれるの?」「いや、執刀は他の先生がされると思う。でも、俺も助手としてオペには入るよ」「そうなんだ……」「そんな不安そうな顔をしなくても大丈夫だよ。とりあえず、入院することになると思うから」「入院!?」思わず聞き返した私に、大和は目を丸くした。だって、入院だなんて、そんなの……、「無理! 日帰りにして」「何言ってんの、日帰りなんて無理だよ。2箇所も折れてんだから」「何日くらい?」「2週間くらいかな」嘘でしょう……仕事どうするのよ。寝る間も惜しんで準備したプロジェクト企画が通ったところなのに、2週間も休んでいられない。入社した当初からずっとやりたかった案なのに……、やっと実現できると思ったのに……。本当に最悪。どうしてこのタイミングなの?「しおちゃん、骨折を甘くみたらダメだよ」「でも、仕事が……」「ごねる患者さんを説得して最善の治療を提供するのが俺の仕事。病室の空を確認するから待ってて」◆頑張るの禁止結局、大和の押しに負けて入院することになった。本来なら1度家に戻って入院の準備をしたかったけど、空き巣被害にあった家に入る気にはさすがになれず。翌朝、後輩の旭日に無理を言って、必要なものを買って来てもらった。「災難でしたね、先輩。大丈夫ですか?」「うん、ごめんね。ありがとう」こういう時、頼れる人が後輩しかいないってどうなの? 私。情けなさと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。「何言ってんですか! 水くさい。こういうのは女同士の方が頼みやすいですからね」「うん……?」「さすがに彼氏さんにパンツ買ってきてとは言いづらいでしょ?」あぁ、そうか、そうだよね。確かに彼氏に着替えの準備をお願いするのは、気が引ける。というか、もうそんな相手もいなくなってしまったんだ……。そう思った瞬間、また気持ちが重くなる。新実さんは私が入院したことを知っているはずなのに「大丈夫か?」のメッセージすら送ってこない。「ええと。着替えと、洗面道具と、パソコンと、ポケットWiFiと……先輩、ここで仕事するつもりですか?」「するでしょ。幸い怪我は利き手じゃないし、腕以外は元気なんだから」「もう仕事の虫なんだから。先生に怒られても知らないですよー」だって、入院しろと言われたけど、仕事を休めとは言われなかったもの。パソコンとネットがあれば、病室にいてもプロジェクトを進められる。そう思ったから入院を承諾したのだけど、旭日の忠告は正しかった。「しおちゃん、今何時だと思ってんの?」ブルーの手術着に白衣を羽織った大和が病室にやって来た。「えっと、2時05分」「消灯はとっくに過ぎてるよ。こんな夜中まで仕事したらダメだ」「いいでしょ、別に。個室だし、誰にも迷惑はかけてない」「規則正しい生活をして、手術に備える。何のための入院だと思ってんだよ」大和はそう言うと、私のパソコンを取り上げた。怖い顔しちゃって……こんなに融通が利かないタイプだったっけ?「分かった、もう仕事しない。でも、眠れないの」「手術が怖い?」「そうじゃないけど……色々、考えることがあって」「しおちゃんって、昔っから変わってないよね」ふふっと吹き出すように笑った大和は、パイプ椅子を出してベッドの隣に座る。怒ったり笑ったり忙しい奴だな。「しおちゃんが大学を受けた時のこと、覚えてる?」「どうだったかな? 覚えてないよ」「朝から晩まで勉強して、周りのみんなが『絶対受かるから大丈夫』って言っても、不安で眠れないって机にかじりついてた」「あぁ~そうだったかも」「昔からすごい努力家だったよね。でも、必ず無理が祟って体を壊すんだよ」「そういや受験が終わってからしばらく寝込んだ気がする」やだな、そんな昔のこと。どうして覚えているのよ。「仕事が大事かもしれないけど、体はもっと大事だから。頑張るの禁止」きっぱり言い放ったかと思えば、「今の、医者ぽかったよね?」と、歯を見せて笑う。大和の方こそ昔から変わってない。生意気で心配性で、可愛い弟分。「そういや、警察の人から聞いたけど。空き巣犯を捕まえようとしたんだって?いつもそんなに勇ましいの?」「違う……、あの時はちょっとむしゃくしゃしてて、お酒も飲んでいたし。気が大きくなってただけ」「それならいいけど、次からは彼氏を呼びなよ」「うるさいな」「もしかして、彼氏いない?」痛いところを突かれて、言葉に詰まる。「そろそろ仕事に戻ったら?」話題を変えた私に、大和は悪戯っぽい笑顔を浮かべて病室から出て行った。◆絶望手術は予定通り、無事に終わった。鎮痛剤が上手く効いてくれたおかげで、術後もそれほど痛くない。早々に始まったリハビリも思っていたより辛くなかった。「これなら早く退院できそうですね」検温にやって来た看護師さんが、ニコッと笑う。「そうですか」「浮かない顔ですね、お辛いことでもありますか?」「いえ、大丈夫です」手術が終わっても、相変わらず新実さんからの連絡はこない。別れたとはいえ、部下であることには変わりないのに、気遣いの言葉1つ無いなんて……。「(いや、きっと忙しくて連絡できないだけだよね)」こんなことぐらいで落ち込むのは私らしくないと思い直したところで、スマホにメッセージが届いた。送り主は、新実さん。「(ほら、きた!)」はやる気持ちを抑えながら画面をタップして――――。「おはよう、しおちゃん。調子はどう?」看護師さんと入れ違いに、大和が病室にやって来た。「……」「しおちゃん?」「最悪」「え?どうしたの?痛みが酷い?それとも吐き気がするとか?」「……」大和が心配そうに私の顔を覗き込む。痛い?吐きそう?悔しい、苛立ち、悲しい、色んな感情が胸の中で渦巻く。「……プロジェクトから外された」絞り出した声は、自分でも驚くほど弱々しかった。理想じゃない恋のはじめ方。第3話に続く…理想じゃない恋のはじめ方。第1話はこちら
2021年07月30日理想じゃない恋のはじめ方。(第1話)仕事も恋愛も理想通りに叶えてきたアラサーOL、高杉 汐里。信頼していた恋人に裏切られ、自分の存在価値を見失う汐里。そんな時、年下幼馴染と偶然再会した汐里だったが…仕事も恋愛も一生懸命に頑張っている大人女性に贈る、オリジナル恋愛小説。私の恋愛新作のハイヒールを試着する時は、いつもワクワクする。履いているだけでカッコいい女に見せてくれる9センチヒール。例え、それが自分に似合っていなくても、問題はない。似合う自分になればいい。そう思っていた。チク、タク、時計の音がやけに大きく聞こえる。緊張感に包まれる会議室中、それまで黙っていた新実(にいみ)課長が口を開いた。「今回のプロジェクトは高杉(たかすぎ)の案で行こうと思う。いいな?」次の瞬間、同僚たちの視線が私に注がれる。「高杉から何か一言」「最善を尽くしますので、どうぞよろしくお願いいたします」やった……、通った……!徹夜で資料を作った甲斐があった。解散となった会議の片付けをする傍ら、喜びを1人噛みしめていると、「高杉先輩!」後輩の旭日(あさひ)が、駆け寄って来た。ハリのある肌とキラキラの笑顔が眩しい。私より8歳下だから、26歳?まだまだ徹夜も平気な年齢か。あとで、美容ドリンクを飲もう。「さすがです! 私、一生先輩に付いて行きます!」「ありがとう」可愛いやつだな。旭日にもドリンクを奢ってあげよう。「そういや、先輩。この前話していたレストラン行きました?」「あぁ、あの海沿いのレストラン?行ったよ」「いいなぁ~。彼氏と行ったんですか?」「まぁね」「リッチな彼氏で羨ましいです。どんな人ですか? いい加減紹介してくださいよ!」「今度ね」絶対ですよ、と、旭日が念を押す。それに「はいはい」と答えながら、内心こう思う。どうして他人の恋人に興味があるのだろう?恋愛なんて、人生のスパイスでしかないのに。「聞いてくださいよ、私の彼氏なんて……」あと、どうして自分の恋愛話を他人に聞いて欲しいのだろう?旭日の話が長くなりそうで辟易していたところ、別の女子社員に声を掛けられた。「会議室を閉めたいんですけど、そろそろ良いですか?」「あ、雪村(ゆきむら)さん、ごめんね」「いえ」あれ、気のせいかな?今、睨まれた……?◆突然の告白週末のレストランは、予約をしていても待たされることが多い。誰にも邪魔されず有意義に過ごすには、個室が1番。料理はシェフのおまかせコース、もちろんワインはペアリングで。彼のどこが好きかと聞かれたら、絵に描いたような理想を叶えてくれるところなんだと思う。「改めて、おめでとう」「ありがとう。でもそれはプロジェクトが成功してから言って」「相変わらず向上心が高いな。汐里(しおり)は」ろうそくの火がロマンチックに揺れる。「新実課長の厳しいご指導のお陰です」「ふたりの時くらい”課長”は、やめろ」「確かに、未だに変な感じ」私より4歳年上の新実さんは、甘いマスクのせいか38歳にはとても見えない。だけど、その中身は異例の速さで出世したエリート中のエリート。高学歴、高身長、見た目の完璧さもあり、女性社員の憧れの的だ。後輩の面倒見もよく、私を主任に引っ張り上げてくれた人でもある。「汐里に役職で呼ばれると壁を感じる」「前妻にも役職で呼ばれていたくせに」「やめろよ、3年も前の話だ」新実さんはバツイチで、前妻は取引先の部長の娘さんだった。別れる時はかなりの泥沼だったと聞いたけど、それも過去の話。私とは何の関係もない。「なぁ、俺ら付き合うようになって、どれくらい経った?」「2年くらいかな」「そんなになるか……汐里の歴代の彼氏の中では長い方じゃないか?」「それって自慢?」「汐里のそういうところ、好きだな」満足そうに微笑んで、ワイングラスを合わせる仕草をする。先輩・後輩という関係を、越えて2年。そろそろ次のステージを意識しても良いかと思う時期ではある。上司である彼がその相手なら、「仕事が何より大事」という私の思いを尊重してくれるはず。「お待たせしました、こちらデザートです」好きな歌に、『人生をフルコースで例えるなら』という歌詞がある。最後に甘いデザートを食べるためには、理想を1つ1つ叶えていくことが大切だと思う。ガトー・オ・ショコラ。大好物のデザートを頬張りながら、彼はこう言った。「俺さ、もうすぐ結婚するんだ」◆戸惑いこの土日は、英会話教室に通う予定だった。気力があれば部屋の掃除もしたかったし、撮り溜めしていたドラマや映画も見ようと思っていた。なのに、ボッーとしたまま48時間が経過し、気が付けば月曜日の朝。こんなどんよりとした気分で出社するのは、いつぶりだろう?仕事中は、余計なことを考えないようにしないと。「高杉先輩~、このデータなんですけど」困り顔をした旭日が近づいて来た。どうやら入力が終わっていないデータがあるらしい。「それは、雪村さんに頼んだ分だから彼女に聞いて」「ですよね~、でも雪村さんは知らないって」「どういうこと?」視線を動かして雪村さんを探すと、彼女は泣きそうな顔をしながら新実さんのデスクの前に立っていた。その姿を見ながら、不意に新実さんの言葉が脳裏で再生される。『俺さ、もうすぐ結婚するんだよね』『……だ、誰と?』『雪村 理来(りく)』『ゆきむら……』『知ってるだろ? あいつ常務の姪っ子だからさ。こんな良い縁談、逃す手は無いだろ』結局データの入力忘れは、私の指示不足ということで片付けられた。その作業もあって、会社を後にしたのは午後10時頃。途中のコンビニでお弁当とビールを買って、自宅マンションに着いたのは11時過ぎ。エレベーターの到着を待っている間、我慢できずにビールのプルタブを開けた。「雪村さんと新実さんが結婚……」口に出してみて、なぜだか笑いがこみ上げた。「変なの、おかしい、ふふっ」そろそろ次のステージを意識してもいい?彼なら私の思いを尊重してくれる?「勘違いもいいところ、バッカみたい」今度は涙が溢れそうになって、冷たいビールの缶を瞼に押し当てた。泣くもんか。こんなことで、泣いてたまるもんか。「そうよ、私の涙は安くない」3階でエレベーターを降りて、自宅玄関の鍵を開ける。シャワーを浴びてご飯を食べたら、資料作りをしよう。気分が晴れない時は、仕事をするのが1番。――――と、玄関のドアを開けた瞬間、違和感を覚えた。それは何か、1歩足を踏み入れてすぐに分かる。部屋の中がめちゃくちゃに荒らされているのだ。嘘でしょ、空き巣?その時、リビングの奥にあるベランダで人影が動くのが見えた。よりによって、人が弱っている時に……。「冗談じゃない、ふざけんな!」◆再会「えーと、被害にあったのはあなた?」「はい」「勇敢なのは良いけど、危険だから犯人を捕まえようとするなんてダメですよ」「はい……すみません」穴があったら入りたいとは、このことだろう。警察官のお説教を受けている間、恥ずかしさで小さくなる。結局、犯人を取り逃がしてしまったし、思った以上に大事になってしまった。開けっ放しにしてある玄関から、マンションの住人が何事かと覗いている。せめて、干したままの洗濯物を見えないところに隠したい。「こういう時は犯人を刺激せずに、110番してくださいね」「分かりました」「ところで、さっきからずっと手をさすっているけど、大丈夫ですか?」「いや、それが……痛いんですよね。すごく」そうこう話しているうちに、手首が腫れ上がってしまい救急車を要請することになった。搬送されたのは、家から25分ほど離れた総合病院。担当してくれた若い医師が、私の手首を見て顔を歪ませた。「これは折れているかもですね、レントゲンを撮りましょう」「お願いします」「……ん、あれ」立ち上がりかけた医師が、問診表を見ながら首を傾げた。それから、私の顔をまじまじと見つめる。「もしかして、しおちゃん?」それは思いもしない、再会だった。理想じゃない恋のはじめ方。第2話に続く…
2021年07月23日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中のイットガール。今回は女優・モデルの秋田汐梨さんです。モデルとして活動をしながら映画や舞台に引っ張りだこ!7月公開の映画『星空のむこうの国』に出演。「理沙は病気を患っているけど明るくてピュアな女の子。考え込むより行動するところは、自分に似てるかなと思います。私も悩んだり落ち込んだりすることがあまりなくて、寝たら回復するので(笑)」。現在、初舞台『目頭を押さえた』で初主演。「最初は人見知りしたけど、共演者の方々が盛り上げてくれて、合間に皆でカードゲームをするのが楽しい!」。新たな趣味や特技を模索中。「ピアノとギターを弾いていたことがあるので、ドラムをやってみたいな」Nintendo Switchのゲームにハマっています。やっているのは「フォートナイト」と「マリオカート」。友達と対戦も!舞台の稽古中にグミをよく食べます。これは3つの食感が楽しめるグミ。食べごたえのある硬めが好きです。マスク生活でもマットなリップを。落ちにくい『ロムアンド』のリップがお気に入り。他の色も集めたいな。あきた・しおり2003年生まれ。雑誌『Seventeen』専属モデルを務める。7月16日公開の映画『星空のむこうの国』に坂口理沙役で出演。※『anan』2021年7月7日号より。写真・土佐麻理子文・松下侑衣花(by anan編集部)
2021年07月04日俳優の池田純矢が作・演出を手がけるエンゲキシリーズの5作目となる最新作エンゲキ#05『-4D-imetor』の会見が25日、大阪・カンテレ本社で行われ、池田とイリュージョン監修のマジシャン・新子景視が出席した。去年5月に予定していた上演は新型コロナウイルスの影響により中止を余儀なくされたが、その後、公演日程を今年8月へ延期し、上演に向けて歩を進めてきた。『-4D-imetor』は、生駒里奈&池田純矢のW主演で、“量子力学”をテーマに、壮大なスケールで繰り広げられる謎解きミステリーだ。会見冒頭、池田は「本作は約1年前、1回目の緊急事態宣言が出た去年5月に上演予定でした。情勢もあり中止になったのですが、どうしてもこの作品を改めて届けたい気持ちがありました。今回の上演にあたり、新作を作るか、いったん中止にして折を見て…という選択肢もあったのですが、この時代にこそこの作品が必要なんじゃないかと思い、この情勢下ではありますが、延期公演として上演させていただく運びになりました。エンタテインメント業界は引き続き厳しい状況ではあるのですが、単純に笑って楽しめて、ほろっとできて。そういう心の栄養になるような作品を目指して参りますので、よろしくお願いいたします」とあいさつ。続く新子は「僕からはごあいさつ代わりにマジックをお見せしたいと思います」と、まずは定番のフォーク曲げを披露。続いて記者に選んでもらったフォークを手にし、「イマジネーションの世界にブレインダイブします。だんだんフォークが柔らかくなってきている気が…」と言いながらフォークを軽く揺らしているうちに、先端部分がボトリと床に。ひと味違った「ブレインダイブ流フォーク曲げ」を目の前で見た記者からは拍手が起こった。当初の上演予定から延期となった1年ちょっと。「この期間を逆手に取ってブラッシュアップした部分は?」と聞かれると、池田は「脚本上はかなり改変しました」と即答。「まずは2時間以内で上演したいということで、短くしました。それからイリュージョンに関しても大幅に変更しました。当初の台本では客席に降りて、その場でお客様ひとりひとりに体感していただくという内容だったのですが、今の状況下でそれは厳しいということになりました。舞台上と客席が離れているとどうしてもお客様は一枚フィルターがかかっているような感覚になってしまうのですが、それをなんとか打破できるような、さらに逆手にとって、『直接触れてもいないのに起こるスゴイ現象』ができたらなという無茶振りを新子さんにしました(笑)。新子さんからのご提案に僕が演劇として成立させるための率直な意見を出させていただく中でベストな方法が見つかりました。これはこの状況だからこそパワーアップした部分だと思います。それから、生駒里奈さん演じるノアという役は記憶を失っているのですが、『自分とはなんぞや。何が自分を自分たらしめるのか』というテーマをコロナ禍以前に作った脚本の中でも掲げていたのですが、今のこの状況でそれを強く感じている方がたくさんいるんじゃないかなと思いまして、そのテーマの部分をより絞るというような改稿をしました」と明かす。新子は「ピンチをチャンスにという言葉がぴったり。このような状況下だからこそ、マジックがより体感型に進化できたのではないかと思います。いわゆる“待ちに待った登場”という形に仕上がったと思います。私個人としては、いわゆるマジックショーにはなってはいけない、マジックを演劇の中で見せるのではなく、マジックをうまく演劇のストーリーの中に溶け込ませた形にしなくてはいけない、という部分が非常に難しかったのですが、同時にやりがいも考えがいもある部分でもありました。池田さんのアイデアもお借りしながら、この2人だからこそできた演劇×マジックの新しい形の体感型舞台に仕上がったと思っています」と、コロナ禍で客席に近づけないがゆえに、数名の観客ではなく全員にブレインダイブして、全員が体感できるイリュージョンにスケールアップした経緯を語った。東京公演は紀伊國屋ホールで8月5日~15日で全16公演。大阪公演はCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで8月28日~29日で全4公演上演。7月3日午前10時からチケットの一般発売がスタートする。
2021年06月26日茶寮都路里から、夏季限定となるかき氷「都路里氷」「はちみつ檸檬」が、茶寮都路里 祇園本店などで販売。お茶の味わいをたっぷり楽しめる“抹茶尽くし”かき氷「都路里氷(つじりごおり)」たっぷり抹茶みつのかかったかき氷に、抹茶アイスや抹茶ゼリーなどをトッピングした、“抹茶尽くし”の1品。トップには、ふっくら炊き上げた小豆の上にもちもちの白玉をトッピングした。また、別添えで抹茶みつも用意するので、濃厚な抹茶の味わいを最後まで楽しむことができる。はちみつレモンの新作も「はちみつ檸檬(れもん)」は、レモンが主役の新メニュー。甘酸っぱいはちみつレモンみつをたっぷりかけた氷にふわふわのレモンのエスプーマをのせた。中には、さっぱりとした味わいのヨーグルトアイスを忍ばた。周りに飾ったシロップ漬けのレモンとほうじ茶ゼリーが、かき氷に程よい酸味とほろ苦さをプラスしている。【詳細】茶寮都路里 夏季限定かき氷発売日:2021年6月1日(火)販売店舗:・茶寮都路里 祇園本店(京都市東山区祇園町南側573-3 祇園辻利本店2階・3階)・茶寮都路里 京都伊勢丹店 (京都市下京区烏丸通塩小路下ル東塩小路町 ジェイアール京都伊勢丹 6階)・茶寮都路里 大丸東京店 (東京都千代田区丸の内 東京駅八重洲北口 大丸東京店 10階)※予告なく終了時期が変更となる場合あり。価格:・都路里氷 1,276円 ※大丸東京店は1,463円・はちみつ檸檬 1,265円 ※大丸東京店は1,419円※各メニューは数に限りがあり、売り切れになる場合あり。
2021年06月07日乃木坂46の筒井あやめと秋田汐梨が外部舞台初出演にして、W主演を務めるパルコ・プロデュース公演「目頭を押さえた」が本日6月4日に開幕。この度、舞台写真と筒井、秋田、林翔太のオフィシャルコメントが到着した。他人の口論をエンタテインメントに仕上げるセリフ劇や、社会問題を架空の土地の文化や因習に置き換えた人間ドラマで注目を集める劇作家・横山拓也が、自身の主催する劇団iakuで繰り返し上演してきた「目頭を押さえた」がパルコ・プロデュース公演に登場。伝統的に林業を生業としてきた関西圏の山間のとある集落を舞台に、写真家としての才能を開花させていく高校3年生の遼と、その仲良しの従姉妹で同級生の修子の二人を軸に、その家族や教師たちの人間模様を描く。伝統と新しいもの、田舎と都会、平凡と非凡、死と生といった正反対の価値観が混在する中で、その間(あわい)を揺れ動く人物たちの葛藤に胸を揺さぶられる、真摯な人間ドラマとなっている。演出を務めるのは、寺十吾。■筒井あやめ杉山遼役を演じさせて頂きます、筒井あやめです。お芝居という未知な世界に飛び込むということで最初は不安な気持ちでしたが、今は楽しめています。見てくださる方を「目頭を押さえた」の世界に引き込むことができるよう、精一杯頑張ります。■秋田汐梨いよいよ初舞台の本番!不安や緊張でいっぱいですが、皆さんに良いものをお届けできるよう、最後まで気を抜かず頑張ります。楽しんでお芝居ができたらいいな、と思っています。■林翔太このカンパニーは本当の家族のように仲が良くてとても居心地が良いです。田舎で暮らす家族の日常を覗き見している感覚でこの作品を楽しんでいただけたら嬉しいです。【公演概要】パルコ・プロデュース「目頭を押さえた」作:横山拓也 / 演出: 寺十吾出演:筒井あやめ(乃木坂46) 秋田汐梨 / 林翔太 / 枝元萌 橋爪未萠里 大西由馬 / 山中崇 梶原善日程:2021年6月4日(金)~7月4日(日)会場:東京芸術劇場シアターイースト※7月6日・7日 サンケイホールブリーゼ / 9日 名古屋市芸術創造センター制作協力:ニベル / 共催:東京都歴史文化財団 / 企画製作:パルコ公式WEBサイト:
2021年06月04日今、注目の女の子を紹介する『anan』で連載中の「イットガール」。今回は俳優の池田朱那さんです。作品ごとに別人に見えるような、“化ける”俳優になりたい。「中学生の時に杏さんが出演する映画やドラマを観て、作品によって全く違う人に見えることに衝撃を受けたんです。そんな矢先にスカウトされて。私も化けられる俳優になろうって思いました」。それから4年が経ち、ドラマ『ここは今から倫理です。』(NHK総合)など数々の話題作に出演。「共演者の方とセリフを交わす時、頭で考えず自然にすっと言葉を返せたことが、これまでに数回あって。芝居って嘘の世界だけど、ちゃんと現実になる時があるんですよね。そういう瞬間がとても気持ちいい!」週に4~5日は自炊をします。これはマグロのレアステーキなど。おしゃれなごはんは作れません(笑)。字幕を追わずに韓国映画を観たいから。韓国語を勉強中。言葉を理解してもっと芝居を感じられるようになりたい。食感も味も、すべてが好き。牛タンが大好物。焼き肉屋さんに行ったら、それだけをひたすら食べたい。いけだ・あかな2001年生まれ。ドラマ『インフルエンス』(WOWOW)や今秋公開の映画『彼女が好きなものは』などに出演。来年公演予定の舞台『群盗』ではヒロインに抜擢。※『anan』2021年5月26日号より。写真・土佐麻理子文・間宮寧子(by anan編集部)
2021年05月25日ハナレグミが、盟友・池田貴史(レキシ/ex. SUPER BUTTER DOG)をスペシャルゲストに迎えた「発光帯」のスタジオライブ映像を公開した。3月31日にリリースされたハナレグミのアルバムの表題曲「発光帯」は、池田貴史が作曲・プロデュース、原田郁子(クラムボン)が作詞を手掛けた渾身のバラッドとなっている。今回の映像は、アルバム『発光帯』の発売を記念して3月31日にYouTubeで生配信された『ニューアルバム「発光帯」発売記念弾き語りライブ&トーク“発酵タイム”』で披露されたもので、池田貴史がピアノを弾きハナレグミが横にマイクを立てて同曲を歌唱している。この生配信では実際にアルバムがレコーディングされたスタジオを舞台に、制作秘話や作品にまつわるトークと弾き語りライブが行われた。「発光帯 with 池田貴史」from “発酵タイム”2021.3.31<リリース情報>ハナレグミ 8th FULL ALBUM『発光帯』2021年3月31日(水) リリース●完全生産限定盤(CD+DVD / スペシャルパッケージ仕様) 5,500円(税込)●通常盤(CD) 3,300円(税込)『発光帯』完全生産限定盤ジャケット『発光帯』通常盤ジャケット【CD】01. モーニング・ニュース02. 発光帯03. 独自のLIFE04. 賑やかな日々(映画「おらおらでひとりいぐも」主題歌)05. ハイ!チーズ06. 僕のBUDDY!! (FM802×TSUTAYA ACCESS! キャンペーンソング ハナレグミVer.)07. 棚から落ちたホリデイ08. 笑う月 〜ムーンライト〜09. on & on10. Quiet Light(クラシエ薬品「漢方セラピー」ブランドソング)【DVD】 ※初回限定盤のみ付属「出前THE MOMENT」01. ハンキーパンキー02. 大安 ~ 今夜はブギー・バック03. きみはぼくのともだち04. おあいこ05. 祝福06. ムーンライト07. Peace Tree08. 明日天気になれ09. サヨナラCOLORハナレグミ「発光帯」MVハナレグミ「独自のLIFE」Live Videoハナレグミ「Quiet Light」MUSIC VIDEOニューアルバム『発光帯』完全生産限定盤DVD ティザーハナレグミ ニューアルバム『発光帯』特設サイト<ツアー情報>ハナレグミ『ツアー発光帯』※終了分は割愛5月13日(木) 福岡 Zepp FukuokaOPEN / START18:00 / 19:005月18日(火) 東京 Zepp TokyoOPEN / START18:00 / 19:005月27日(木) 愛知 Zepp NagoyaOPEN / START18:00 / 19:005月28日(金) 大阪 Zepp Osaka BaysideOPEN / START18:00 / 19:00【Musician】Ba:鈴木正人 / Guitar:石井マサユキ / Dr:坂田学 / Key:ハタヤテツヤ【チケット】料金:7,700円(税込)全指定席・ドリンク代別・未就学児入場不可ハナレグミ オフィシャルサイト
2021年05月05日3月4日(木)、人気ティーン誌モデルの莉子、秋田汐梨、永瀬莉子が、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン制作のスペシャル動画に登場。新エリア「スーパー・ニンテンドー・ワールド」をいち早く体験している。この動画のテーマは、“ユニバーサル・スタジオ・ジャパンで学生史上最高の思い出づくり”で、プライベートでも仲良しという3人が卒業を控えた高校3年生の3人に扮して、お揃いのコーデで新エリア「スーパー・ニンテンドー・ワールド」をいち早く体験したり、大人気のSNS映えスポットで写真を撮り合うなど、パークを大満喫している様子が描かれている。USJは動画制作の意図について、「この1年間、多くの我慢を強いられ、学生生活の思い出を十分に作れなかった現役の学生と、この春に卒業する卒業生の皆さまに向けて、このまま学生生活を終えるのではなく、2021年の春を思いっきり楽しみ、最高の思い出を作ってほしいという思いを込め、学生にとってのマストアイテム『ユニバーサル年間パス』を学生限定の特別価格で提供します」と説明している。また、楽曲には3人組ロックバンド「KALMA」の「これでいいんだ」を採用。本楽曲の“とにかく前へと進み続けよう!!”という強い意志を表現したメッセージが、動画をより一層盛り上げている。なお、新エリア「スーパー・ニンテンドー・ワールド」の正式な開業日は未定となっている。画像提供:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(C)&(R) Universal Studios. All rights reserved.(text:cinemacafe.net)
2021年03月05日モデルで女優の池田エライザが、セイコーウオッチ「セイコールキア」の新ライン「I Collection」のイメージキャラクターに起用され、新キャンペーンに出演することが8日、分かった。新キャンペーン第1弾では、今を生きる女性に深く関わりのある「“私”らしさとは」「働くということ」「身に着けるものについて」など10のテーマに沿って、池田に120分のロングインタビュー。1万5,000字を超える書き起こしから丁寧に抽出した100の言葉をそのままコピー化し、公式インスタグラムや、動画、リーフレットに展開していく。公式インスタグラムでは、ドキュメンタリーのようなビジュアル展開をベースに、池田の言葉を用いた動画や写真、テキストの投稿を毎週2~3回、1年間にわたって発信。インスタグラムで公開する10のショートムービーは、ルキアのホームページとYouTubeチャンネルでも、総集編としてまとめたものが掲載される。また、26日(20:00~20:30)にはインスタライブも予定。イメージキャラクター就任の挨拶をはじめ、池田が自分らしくあるために意識していること、影響を受けた本や音楽を紹介するコーナーなど、さまざまなコンテンツを配信する。I Collectionの「揺らがずしなやかに、自分らしく今を生きる女性のための新コレクション」というコンセプトにちなみ、池田に自信を持つために意識していること、実践していることを聞くと「人の話をよく聞くこと」だといい、「人の多面性を認めることができれば、自ずと自らの多面性を受け入れられるようになると思います。想像することを楽しみ、さまざまな言葉をポジティブな方向から考えてみることが、私の中での自信を持つ方法です」と語る。また、ロングインタビューの10のテーマで大事にしているのは「どれもとても大切ですが、『未来をどう描くか』ということは最も大切なテーマ」だと明かし、「自分でも勘違いしてしまいやすいところであり、人と話している時に、ハッとさせられる部分でもあります。自分で未来に希望が持てなくしちゃったり、決めすぎてがんじがらめになったり。描く未来を常に更新しながら、揺らがずしなやかに生きていく、という意味で大切にしています!」と説明した。
2021年02月08日「賭ケグルイ」より1年前の物語、早乙女芽亜里の活躍を描く「賭ケグルイ双」。この度、本作に出演する新たなキャスト8名が発表、キャラクタービジュアルも公開された。本作は、「賭ケグルイ」に並行して月刊「ガンガンJOKER」にて連載中で、読者によるキャラクター人気コンテストで1位に輝いた芽亜里を主人公にした同名作品の実写ドラマ化。これまでの実写作品に引き続き、森川葵が芽亜里を務める。夢子が私立百花王学園に転校してくる1年前を描く物語で、絶対的権力で学園を牛耳る生徒会のメンバーとして、カリスマ的存在感を放ち、ある目的で芽亜里に近づく生徒会役員会計・壬生臣葵を、「M!LK」佐野勇斗。美化委員長であり、相手の心理を読み取るギャンブルの名手でもある三春滝咲良を「乃木坂46」の生田絵梨花。サディスティックな性格で自分専用の家畜を従える風紀委員長の聚楽幸子をモデルの長井短。「賭ケグルイの世界に入れる事だけでも嬉しい」と人気シリーズへの参加を喜んだ佐野さんは、「あの大人気キャラクター、葵を演じさせて頂くなんて・・・本当に恐れ多いです。原作ファンの皆様にも楽しんで見ていただけるよう、全力を尽くしました」とコメント。生田さんは「ギャンブルの世界で不器用に想いを貫く三春滝の姿に、ぜひ心寄せてもらえたら嬉しいです」と呼びかけ、長井さんは「こんなに隙のない強い役が私のような人間に務まるのか?と不安でしたが、いざ鎖を手にすると、あまりの楽しさに驚きました」と撮影をふり返っている。また、内気でおっとりした性格ながら、芽亜里の相棒として共に成長していく花手毬つづらを、映画では和気屋喪部美役を演じた秋田汐梨。校内で最も人気のない賭場を運営する文芸部部長・戸隠雪見を、『佐々木、イン、マイマイン』『街の上で』の萩原みのり。聚楽専用の家畜として首輪に繋がれ、彼女に仕えることで悦びを得る佐渡みくらを「日向坂46」の佐々木美玲。クラスの中心的な存在で、芽亜里の編入初日に彼女を家畜に堕とそうとギャンブルを仕掛ける愛浦心を『思い、思われ、ふり、ふられ』の福本莉子。ランキングトップ常連の凄腕ギャンブラーで芽亜里と対決することになる上下凪を『ぐらんぶる』で主演を務めた犬飼貴丈が演じる。新キャストコメント佐野勇斗/壬生臣葵役佐野勇斗です!今回、『賭ケグルイ双』に壬生臣葵役として出演させて頂くことになりました。賭ケグルイの世界に入れる事だけでも嬉しいのですが、あの大人気キャラクター、葵を演じさせて頂くなんて・・・本当に恐れ多いです。原作ファンの皆様にも楽しんで見ていただけるよう、全力を尽くしました。是非配信を楽しみにして頂けると幸いです!!生田絵梨花/三春滝咲良役賭ケグルイの世界に入れるなんて、思ってもみませんでした。様々な個性が爆発する中で浮かび上がる三春滝の特徴は、武士的な「目力と強い信念」ですが、私はその裏に「女性的な部分や揺らぎ」があってこその強さが、彼女の魅力だと思います。撮影中は他の現場でもつい睨みを利かせ、マネージャーさんに「三春滝か!」と突っ込まれました…笑ギャンブルの世界で不器用に想いを貫く三春滝の姿に、ぜひ心寄せてもらえたら嬉しいです。秋田汐梨/花手毬つづら役お話を聞いた時は、たくさんの先輩方とご一緒できることがとにかく嬉しかったです。それと同時についていけるのか不安もありましたが、いざ撮影が始まると皆さんが引っ張ってくださって、ただただ楽しく「賭ケグルイ」の世界に入いることができて、本当に幸せでした。萩原みのり/戸隠雪見役いつか参加してみたいと思っていた賭ケグルイの世界観に参戦することができました。英監督をはじめとする遊び心溢れすぎた素敵なスタッフさんや出演者の方々と、わちゃわちゃ楽しく挑ませていただきました。是非楽しみに待っていてください。長井短/聚楽幸子役聚楽幸子役の長井短です。クランクイン前原作を読んだときは、こんなに隙のない強い役が私のような人間に務まるのか?と不安でしたが、いざ鎖を手にすると、あまりの楽しさに驚きました。一賭ケグルイファンとして、関われて本当に光栄です。お楽しみに~!佐々木美玲/佐渡みくら役今回『賭ケグルイ双』に出演させていただき、今まで感じたことのなかった様々な感情を知ることが出来たり、本当に貴重な経験をさせていただきました。私が撮影のなかで体験したドキドキ感が、たくさんの方に伝わって、楽しんでいただけたら嬉しいです!!福本莉子/愛浦心役賭ケグルイはseason1からずっと見ていた作品だったので今回念願叶って、賭ケグルイの世界に参加出来ることが出来てとても嬉しいです!私が演じた愛浦心は早乙女芽亜里が百花王学園に編入してきて1番初めに対戦する相手で、クラスのカースト上位に君臨する可愛くてずる賢い女の子です。森川さんの気迫に負けないようにと覚悟して撮影に挑みました。食うか食われるかの白熱したバトルを是非お楽しみに。犬飼貴丈/上下凪役賭ケグルイ双に上下凪役で出演させていただきます犬飼貴丈です。賭ケグルイ自体は好きな作品だったので出演できることを嬉しく思います。そして、再び英組とご一緒させていただけることも、大変嬉しくおもいます。英組でしか許されないようなお芝居を思いっきりさせていただきました。賭ケ狂った犬飼貴丈を、是非ご覧ください。「賭ケグルイ双」は3月26日より毎週金曜日に2話ずつAmazon Prime Video独占配信(全8話)。(cinemacafe.net)
2021年01月30日モデルで女優の池田エライザがauのCM“三太郎”シリーズで親指姫として歌うオリジナル楽曲「みんなってエブリワン!」のフルバージョンMVと楽曲が、14日より配信開始された。「みんなって言っても同じじゃない」「みんなちがう、だから面白い」というメッセージが込められた同曲。フルバージョンのMVは、Apple Music、smash.、三太郎スペシャルページ、YouTubeで公開され、楽曲配信はApple Music、うたパス、auスマートパスプレミアムで先行配信、20日からはその他音楽配信サービスでも一斉配信される。同曲をテーマソングにしたCM「みんなってエブリワン!」編では、5人の爺さんの発する光によって、三太郎と親指姫が現代の渋谷にタイムスリップしてしまう。三太郎たちは未来の世界に戸惑いながらも、現代の渋谷を駆け巡るという物語。「みんなってエブリワン!」を通して、元気を届ける内容となっている。
2021年01月14日モデルで女優の池田エライザが、ファッションメディア「ELLE」による「エル シネマアワード2020」で、新世代をけん引する映画人に贈る「エルガール賞(※今年はエル・ガール ニューディレクター賞)」を受賞し、7日にオンライン生配信で行われた授賞式に参加した。今年はNetfilx配信の『Followers』、映画『一度死んでみた』など女優としても活躍した池田だが、今回は初めて監督・原案を手掛けた作品『夏、至るころ』が評価されての受賞となった。同作は、緑あふれる故郷の山々に抱かれながら、友情を育んできた男子高校生の翔(倉悠貴)と泰我(石内呂依)が、夏祭りを前に初めて自分の人生と向き合い、それぞれの一歩を選びとる物語。10代で上京した池田自身のエピソードをもとにオリジナル脚本を映像化し、瑞々しい演出力を発揮した。韓国で開催された第21回全州国際映画祭、中国の第23回上海国際映画祭に正式招待されるなど、未来の映画界を担う次世代クリエイターとして華々しいデビューを飾っている。受賞者VTRでは、フェンディのドレスに、ブルガリのジュエリーをまとい、モデルとしてのオーラも放っていた池田は「ファッション誌の中でも特に映画への愛情を今までたくさん企画されてきたELLEから、本当に栄誉ある賞をいただけて、すごく幸せです」と喜びをあらわにし、「自分で自分に制限をかけずにいろいろなことを学び続ければ、可能性が広がっていくことを、私を通じて誰かに伝わったらいいなと思っています」と、監督経験を経て感じたことを語った。そのほか「エル シネマアワード2020」では「エル ベストアクトレス賞」を蒼井優、「エル ベストディレクター賞」を黒沢清監督、「エル メン賞」を横浜流星が受賞した。
2020年12月07日