漫画雑誌『モーニング』にて連載された同名コミックを、ヒロインをドラマ『義母と娘のブルース』の上白石萌歌、相手役にドラマ『ドラゴン桜』の細田佳央太を迎えて、『横道世之介』の沖田修一監督が映画化した青春ムービー『子供はわかってあげない』が公開となった。細田演じる書道部男子・もじくんの、探偵業をしている(?)兄の明ちゃんを演じたのは、近年では音楽番組のMCも務めるなど、活躍の場を広げる俳優・千葉雄大。沖田監督とは『モヒカン故郷に帰る』(16年)でも組んだ仲だ。沖田監督、千葉のふたりに、本作を振り返ってもらった。再タッグについて話すうち、かつて沖田監督が酔っぱらって千葉に「オレの作品に出ろ!」と言い放ったというエピソードも登場した。○■『モヒカン故郷に帰る』以来のタッグ――沖田監督と千葉さんは『モヒカン故郷に帰る』以来のお仕事ですが、今回、もじくんのお兄ちゃんである明ちゃんをなぜ千葉さんにお願いしたのですか?沖田:『モヒカン~』に出てもらって、一緒に仕事をしてとても楽しかったこともあり、また一緒に仕事をしたいと思っていたところ、明ちゃんを千葉くんがやったら面白いんじゃないかと浮かびまして。迷いなく声をかけました。外見ですとか、すごく女性に寄せているわけでもないのに、「お兄ちゃんなんだけど見た目は女の人」という結構難しい役なのですが、千葉くんのもともと持っている柔らかさがうまく出たお兄ちゃんになってくれたと思います。――千葉さんは今回の出演に際して何を思いましたか?千葉:『モヒカン~』に出させていただく前から沖田監督の作品はすごく好きで拝見していました。それが『モヒカン~』に出させていただいて、また今回、呼んでいただけた。すごく嬉しかったです。明ちゃんのような役は結構デフォルメされることもありますが、脚本を読んで、自然な感じで描かれていていいなと思いましたし、作品の世界観に溶け込めればいいなと思いました。実際に演じるとなると難しかったですが、自分でバランスを考えつつ、やりすぎると監督がおっしゃってくださるので、安心してできましたし、最初のシーンで、監督が「ぽい」とおっしゃってくださったので嬉しかったです。――また新たな作品でも呼んでください! という感じですか?千葉:そんなおこがましい。ただ、何かこの役を僕にやってもらいたいと思ってもらえるなら、それはすごく嬉しいです。沖田:昔、酔っぱらって「オレの作品に出ろ!」みたいなことを言っちゃったことがあるよね。千葉:『モヒカン~』のときですね。沖田:いまだかつて、そんなことをしたことはないのですが、舞台挨拶で地方に行ったときに、酔っぱらって「オレの作品に出ろ。オレに任せとけ!」みたいなことを言ったみたいで……。実は全く記憶がなくて。あとで聞いて千葉くんにもう会えないと思うくらい恥ずかしくて、後ろめたい気持ちでいたんです。それで今回久しぶりに会ったときに「あのときのこと、覚えてる?」と聞いたら、「もちろん。それで呼んでいただいたのかと思ってました」って(苦笑)千葉:結構、忘れないタイプなので(笑)○■兄弟役を演じた細田佳央太のことは、好きになれたことが大きかった――本作は2019年の撮影ですから、ドラマ『小さな神たちの祭り』とあわせて、千葉さんは細田さんと、同年に2作で兄弟役を演じられたことになりますね。千葉:そうなんです。こちらの撮影が先で、そのあと夏の終わりくらいに『小さな神たちの祭り』を撮りました。世に出る順番は逆になりましたが。――細田さんとはどんなコミュニケーションを?千葉:別に先輩としてふるまうなんてこともできないので、撮影の合間とかに、たとえばプールサイドのシーンなどで、「普段は何してるの?」「暑いねぇ」「こういう風に撮影するんだねぇ」とか、普通に話してました。沖田:あはは。優しい。千葉:言い方が難しいですけど、細田くんくらいの年代の子って、ギラギラしてる人も多いと思うのですが、そういうのがあまりなくて、すごく自然な子だなと、「好きだな」と思いました。兄弟役を演じるうえで何かあえてしたというより、好きになれたのが一番大きかったです。○■上白石へのヒントにと、監督自ら泣いている姿を自撮り――序盤のシーンで、美波が、劇中アニメの『魔法左官少女バッファローKOTEKO』を観て感動して泣いています。そこの演出として、監督自身が映画を観て号泣している姿を自分で撮った動画を、上白石さんに渡したと聞きました。「感動して泣いているというのはこういうことだ」と。千葉:えー! 観たい。沖田:まだ残ってますよ(笑)。たまたま『ブリグズビー・ベア』という映画を観ていて、まさか泣くとは思っていなかったんですけど、最後めちゃくちゃ感動しちゃって、久しぶりにボロ泣きしまして。「あ、これ今、撮らなきゃ!」と。――ええ!沖田:すごく感動してるんですけど、感動している自分と意識が分断している自分もいて、片手でスマホを持ってRECを押してました。上白石さんへのヒントとして「何かを観て泣いている姿のリアルが撮れる!」と思って撮影したんです。それで上白石さんに最初に会ったときに、「これ」と見せたら、爆笑してました。千葉:あはは! すごいけど面白いです。――千葉さんが演じた明ちゃんも涙もろい役ですが、千葉さんが、自分でも引くくらいに泣いた映画などはありますか?千葉:僕、『レ・ミゼラブル』が大好きなんです。映画も好きですが、舞台が特に好きで、毎回泣きます。今年も行ってマスクびちょびちょにしながら号泣しました。何年も観ていると感動するところが変わってきて、ファンテーヌに思いを馳せて泣いているときもあったんですが、今回はジャベールになって泣きました。○■千葉が「ゆう」から「オレ」に変わった瞬間――千葉さんに質問です。本編でもじくんが「僕からオレに変わる瞬間」があります。千葉さんが僕からオレに変わった瞬間、大人になったと感じたときを覚えていますか?千葉:僕、子どものころ自分のことを「ゆう」って呼んでたんです。あるとき、友達と公園で遊んでいたら、弟が「お兄ちゃん、ママが呼んでるよ」と呼びに来たんです。そのとき「え、お前のとこ、ママって呼んでるの?」と言われまして、「なんで言うんだよ!」と弟と大喧嘩になりました。そこからお母さんと呼ぶようになったし、「ゆう」からオレになりました。――それってまだ小さい頃のときのお話ですよね?千葉:小学校高学年のときですかね。他者を気にし始めてたんですかねぇ。あ、でもそういうことじゃないですよね。実際にオレと言い始めた瞬間じゃなくて、大人になったと感じたという、マインド的な問題ですよね(苦笑)。ひとりの人間として変わってきたのは……、一人暮らしを始めてからですかね。沖田:まとまりかけてたから、最初のでいいよ(笑)○■1年の延期を経ての公開に――美波やもじくんの成長が爽やかな作品ですが、出来上がった作品を観て、千葉さんが惹かれたところは?千葉:自分のところはどうしても、落ち着いて観られませんね。――完成から時間が経ってもですか?千葉:今回また観たんですが、「うちの兄ちゃん、探偵だよ」ともじくんが言った瞬間から、「あ、このあとから出てくる」と思ってお腹が痛くなりました(苦笑)。でも作品としては最初に観たときから本当に好きだと思えたので、自分でもびっくりするくらい「この作品、絶対観て!」と言いふらしてます。沖田:言って、言って!(笑)千葉:萌歌ちゃんと細田くんはもともとご活躍されていますが、自分もイチ観客として観たときに、この作品でさらにファンになって、応援したくなりました。そのこともすごく良かったです。――新型コロナウイルスの影響から、1年の延期を経ての公開になりました。監督、最後にひと言お願いします。沖田:すごく楽しい作品ができたなと思って、早く観てもらいたかったのですが、延期になって正直ちょっと悔しい思いもありました。でも一番いい時期に公開してくれると信じていました。夏に観るべき映画だと思うので、これで良かったと思っています。きっと誰かが好きになってくれるんじゃないかと、期待しながらドキドキしています。よろしくお願いします。沖田修一1977年、愛知県生まれ、埼玉県出身。2001年、日本大学芸術学部映画学科卒業。翌年、短編『鍋と友達』が第7回水戸短編映像祭にてグランプリを受賞し、2006年、初の長編映画『このすばらしきせかい』を手掛ける。商業映画デビューとなった『南極料理人』(09年)が大ヒットし、同時に高い評価も受ける。『キツツキと雨』(12年)、『横道世之介』(13年)をはじめ、国内のみならず、海外でも評価されている日本映画をけん引する監督のひとり。その他監督作に『滝を見にいく』(14年)、『モヒカン故郷に帰る』(16年)、『モリのいる場所』(18年)、『おらおらでひとりいぐも』(20年)。千葉雄大1989年3月9日生まれ。宮城県出身。2010年『天装戦隊ゴセイジャー』のアラタ / ゴセイレッド役にて俳優デビューを果たす。主な出演作に『モヒカン故郷に帰る』『殿、利息でござる!』(16年)、『帝一の國』(17年)、『スマホを落としただけなのに』シリーズ(18年、20年)など。『ピーターラビット』シリーズ(18年、21年)では日本語吹き替え版のボイスキャストを担当。また高い人気を獲得した『いいね! 光源氏くん』(20年)や舞台『ポーの一族』(21年)など、幅広いジャンルと役柄を演じられる実力派としてドラマ、映画、舞台で活躍。近年はバラエティ番組や音楽番組のMCでも存在感を示している。
2021年08月22日■前回のあらすじ入院中、積極的にコミュニケーションを図るようになった母。賑やかで充実した日々の中、母にある知らせが届きます。■面会中もピリつく父と母■突然話しかけてきた中年の男性 すると…母に話しかけてきた中年男性は、男女の考え方の違いや、「その時旦那さんは、母に対してこう思ってたんじゃないかな?」というアドバイス的なのをしてくれたそうです。それが母にとっては「あーなるほどな」と腑に落ちる話だったみたいで…。まぁ、流石にその話を聞いただけでは、母はコロッと「じゃあこれからお父さんとは仲良くやっていこう!」とはなりませんでしたが…(笑)ただ、父に対する見方は少しだけ変わったようです。そして面会から数日後ー。私と弟の運動会を迎えました。※本記事はあくまで筆者の体験談であり、症状を説明したり、医学的・科学的な根拠を保証したりするものではありません。気になる症状がある場合は医師にご相談ください。次回に続く「母とうつと私」(全54話)は21時更新!
2021年08月19日学校のルールが理解できず、独自路線で突き進むコミックエッセイ『毎日やらかしてます。』シリーズや、ドラマ化もされた『透明なゆりかご』などの作品が人気の漫画家、沖田×華さん。『毎日やらかしてます。』シリーズでも公表している通り、沖田さんにはADHD、ASD、LD(学習障害)のトリプル発達障害があります。「漫画家になってからは、別の世界に転生してきたみたいだ」と語る沖田さんに、現在の仕事に至るまでのお話をお聞きしました。――沖田さんは幼少期、どのようなお子さんだったのでしょうか?沖田×華さん(以下、沖田):小学校入学前は、漢字を読むことが得意で、通っていた公文式では算数で満点をとっていました。だから、親は「頭がいい子どもだ、きっと小学校でもうまくいくだろう」と思っていたらしいのですが、実際は入学式のときから浮いていましたね。Upload By 姫野桂沖田:入学式当日、靴下も上履きも忘れて、集合写真は1人だけスリッパを履いて写っていて(笑)。周りはきちっとした姿勢なのに、自分だけ姿勢もふにゃんとしてて、じっとしていられない感が写真にもあらわれていました。入学式の日って、自己紹介があって、仲良くなった子と一緒に帰ったりしますよね。わたしは、そのとき一緒に帰った友達が「一生一緒に帰る友達」なんだと思い込んで、毎日同じ子に声をかけていました。一度起こったことが、ずっとそのまま再現されるわけではないと理解できないことがよくありました。――そうだったんですね。他にも、何か周りの子と違う行動をとっていたことはありましたか?沖田:ハサミやノリなどが入った「お道具箱」の扱いで先生に叱られて、納得できずに意見を曲げなかったこともありましたね。わたしはお道具箱を大変気に入って、家に持ち帰り、中身を1つも学校に持って来なかったんです(笑)。それを見た同級生たちが代わりのお道具箱を作ってくれたんですが、喜んでいたら先生に取り上げられてしまって。先生からは「なんで自分のお道具箱があるのに家から持ってこないんだ」と言われましたが、「だってこのお道具箱はわたしのものなんですよね?だからわたしがどういう使い方をしてもいいんですよね」と答えて、納得しないことには絶対に謝らなかったらしく…。何かこだわりがあって、クラスの中でわたし1人だけが止まってしまうことも多々ありました。あとは、「テスト」というものの意味を理解していませんでした。例えば、学校の算数のテストだとランダムに足し算が出てきますが、わたしは丸暗記していた公文式のテストの答えをそのまま書いていたんです。母親には「これは公文式の問題じゃないんだから、問題文をちゃんと見ろ」と何度も言われましたが、まったく理解していなかったらしいです。Upload By 姫野桂――となると、自然とテストの点数は低くなりそうです。沖田:そうですね。算数はよく0点をとっていました。でも、全部の教科が悪いのではなく、算数だけが異常に悪くて国語は答えをすごく暗記できる、みたいな、凸凹のある子でした。成績が悪いと親に怒られるので、小・中学校ではいつも成績を改ざんすることを考えていましたね。数学のテストで200点満点中30点しかとれていないのを、数字の「1」を加えて130点にしたり、通知表の「1」に線を付け加えて「4」にしたりとか(笑)。結局バレて怒られるんですが、勉強どうこうというよりも、どうしたら親に怒られずに済むかで頭がいっぱいでした。家に帰ると「学校モード」ではなくなってしまうので、そこからうまく切り替えられず、宿題をするのも苦手だったんですよ。「どうしたらこれをちゃんとできるのかな?」と考えて、町内で勉強のできる同級生のところへ「勉強教えてー」とお菓子を持って行き、やってもらっていました。友達がほしくて入っていた文通部でも、わたしは字がキレイに書けなかったので、友達に「50円あげるから書いてくれ」って頼んで文面を言ったりして(笑)。そんな風に、お菓子やお金を渡して等価交換みたいなつもりで、できないことを人に代わりにやってもらっていました。人と関わろうと思ってはいるのですが、どこかやり方が間違っているというか、子どもらしくないというか…。そんなことばかりしていましたね。Upload By 姫野桂発達障害の自覚がないまま過ごした思春期――沖田さんは、発達障害の診断を小学生のときにすでに受けていたと漫画にも描いてらっしゃいますよね。Upload By 姫野桂沖田:はい。小学4年生のときにADHDとLDの疑いがあるとの診断を受け、ASDの診断は中学生のときに受けました。でも、発達障害の自覚はまったくなくて、「前ならえ」のような集団行動をこなしたり、おとなしく授業を受けたりしている同級生を見て、「この子たちは全員ロボットで、わたしこそが人間」と思っていましたね。「こっち来て」の一言で言うことを聞く人たちが人間に見えなくて。パッと顔を上げると、わたしが1つのことを続けているうちに、全然世界が変わっているんです。昼休みが終わって席に戻ってきたら、みんなが席についてわたしを見ていたこともありました。なんだろうと思ったら、給食が終わった瞬間に、わたしが「ごちそうさま」を言い忘れて教室を飛び出していったから、連帯責任で全員の昼休みがなくなってしまったらしいんです。でも、肝心のわたしは「みんな戻るの早いな」と思っていて、一切その罰がこたえていなかったので、先生は悩んでいたようです。――連帯責任や根性論の時代だったんですね。沖田:そうですね。忘れ物をしたときは「なんで忘れるのか」と理由を問い詰められましたが、「忘れました」以外に答えようがなくて。「忘れた」という言葉が通用しないなら、もう何も言えないなと、小学3年生のころには、場面緘黙症になってしまいました。担任にもひどくいじめられていたのですが、「一生は続かないだろう」「これさえ耐えれば、わたしはもう自由!」と思っていましたね。でも、中学ではもっと地獄を見ました(笑)。Upload By 姫野桂参考: LITALICO発達ナビ「場面緘黙(かんもく)の原因とは?声が出ない要因、子どもの緘黙はなぜ起こる?大人の場合は?について解説」――中学校ではどのようなことがあったのでしょうか?沖田:特に中学1年生のときは、担任との相性が最悪でした。わたしが生まれた時代は第二次ベビーブームの終わりごろだったので、中学は1学年330人ぐらいだったんです。その中で、わたしは成績が330人中280番ぐらいで。「あ、良かった、わたしの下にこんなにいっぱいダメなやつがいる」と思っていたら、成績が悪いのは男子ばかりで女子はわたしだけ。それで目をつけられてしまって…。体罰自体は小学生のころもあったのですが、中学からは胸をつねるような性的な体罰もありました。良くないことですが、当時はそういうことが学校でまかり通っていた時代で、私自身もまだ中学生のころは、体罰と性的な加害の区別が難しかった気がしますね。他には、生理に対する嫌悪感も強かったです。生理が始まってからは、感覚過敏で、とにかく下着をつけるのが苦痛でした。スポーツブラのゴムでかゆくなってしまったり、生理用の小さいショーツそのものや、ナプキンに経血のつく感じがすごく嫌だったり。自分がにおいに敏感だったからかもしれませんが、生理中は周りにバレないかとすごく気にしていました。今は下着や生理用品の選択肢も増えましたが、そこで大変な思いをしている女の子はいると思います。親のすすめで看護師になるも、人と働くことの複雑さに悩む――高校では看護のコースに進み、その後専門学校を卒業して看護師として働き始めたとお聞きしました。なぜ看護師になろうと思ったのですか?沖田:これはもう親の刷り込みですね。家は自営業のラーメン屋、母親は「とにかく手に職をつけろ、看護師がええ」「とりあえず女は免許を取ったら一生食いっぱぐれないし幸せになれる」ということを口癖のように言っていました。わたしは一生一人でいいやと思っていたし、特になりたいものもなかったので、親がやれっていうならやったほうがいいのかなあと受け身で選択しました。結果、大失敗でしたけど(笑)。Upload By 姫野桂――大失敗ということは、看護師の仕事はうまくいかなかったのでしょうか。沖田:看護師に限らないと思いますが、まず社会に出たときの人間関係の複雑さには困りましたね。はっきりした役割もないし、「この人はフレンドリーに話しかけてくれるけど内心は違う」とか、「実はこの人たちは敵対しているから、聞いた悪口をそのまま伝えちゃいけない」とか、そういう暗黙のルールが全くわからなくて。わたしが入ってきたことにより、職場の人間関係がめちゃくちゃになってしまうこともありました。聞かれたことに答えていただけなので、どうしてわたしのせいだと言われるのかもわかりませんでしたが、気がついたら自分が嫌われてしまっていたという…。日によって相手のテンションが変わることにも対応できませんでした。昨日同じことをやって「うん」と言っていても、翌日は機嫌次第で「ダメ」となることもある。そうなると、もう何もできなくなってしまいました。わたしの場合は、最初に教えてもらったことが一生のマニュアルになってしまって、新しいルールが加わってもアップデートできないんです。「タオルを畳む」という作業ひとつとっても、前に勤めていたところで覚えた畳み方を、いくら注意されても繰り返してしまって。自分としては丁寧に畳んでいたつもりでも、職場の人にとっては使い勝手が悪くて迷惑だったみたいです。そういう認識のズレを、当事者はわかっていない。就職しても、そういうところでつまずいてすぐに辞めてしまう人もいると思うので、できれば学生のうちに、コミュニケーションのとり方の基礎を教えてほしかったです。学校でSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)も受けられたらよかったんですが、当時は先生たちも知らなかったんだろうと思います。参考: LITALICO発達ナビ「ソーシャルスキルトレーニング(SST)とは?支援の対象、方法、気をつけたいポイントについて」 By 姫野桂22歳ではっきりと「人と違う」ことを自覚する――沖田さんは、漫画家になる前に性風俗で働いた経験についても、コミックエッセイで描かれています。沖田:看護師として働いている途中から、昼は病院、夜はおっぱいパブという働き方をしていました。看護師時代はワーカホリックで、「働いていないと生きている意味がない」と感じることもあったんです。当時はお金を貯めることが唯一の生きがいになっていましたし、肉体労働としての共通点も感じていたので、あまり抵抗もなくおっぱいパブで働き始めました。それまではあまりにも人のことに興味がなかったので、わたしなりに「人間を知りたい」とも思っていたんです。お客さんには「明日結婚するから最後に遊びに来た」「嫁さんがもうすぐ出産で、しばらく性的なことはできないから来た」などと話す人がいたり、社会的地位は高いけれどマナーの悪いお客さんもいたりして、「人って、普段外から見える部分だけではないんだ、いろんな要素が固まって人格になっているんだな」ということを知りました。これは、後々漫画をつくるにあたって非常に役立つ考察になりましたね。Upload By 姫野桂沖田:風俗の仕事は、中身のある会話をしなくていいところも息抜きになりました。60分チヤホヤしたら対価がもらえるというのが、シンプルですごく性に合っていたんです。同僚の女の子たちとの希薄な関係も好きでしたね。仮の名前や性格でも通用する世界は、とても気が楽でした。それでも、当時は看護師をメインの仕事に据えていました。本当は看護師の仕事に一生を捧げたかったんですが、正看護師として美容整形科で仕事を初めて3日目ぐらいで、初めて「人と違う」という自覚が出てきたんです。22歳のときでした。――「人と違う」というのは、どういう感覚ですか?小学生での、周りがロボットに思えるという感覚とは違うものでしょうか。沖田:日本語はわかるのに、相手が何を言っているかわからないことが多々あったんです。みんなが何か一言言われるだけで動けているときに、自分だけわからないという問題が、すごくはっきり出てきました。学生時代は「わたしはいいかげんな性格だから」とすませていましたが、国家試験にも受かって准看護師から正看護師になっている今回は、「あれ?」と思いました。そのとき、自分の頭にはごそっと何かが足りなくて、それが補えずに苦しんでいるんだなとぼんやりわかったんです。それでも、具体的にどんな風に困っているのかはどうしても説明できませんでした。――すでに診断されていた発達障害とは、沖田さんの中で結びついていなかったのですね。沖田:今になってみれば、それが発達障害を自覚したときだったと思うのですが、当時は自分に発達障害があるということも全部頭から抜けてしまっていましたね。わたしには、自分と特性の似た、不登校経験のある弟がいて。彼みたいな状態こそが「発達障害」なのだと思っていたんです。弟とは似ているところも多い分、昔はすごく嫌っていたので、かえって発達障害フォビア(憎悪)のようになっていた面もあると思います。そうやって、原因はわからないながらも自分は人と違うんだと思っていたころ、同い年の看護師の先輩に「本当に役に立たないね」と言われたんです。同い年だから余計につらくて。その人に「死ね!ハゲ!」などと言われたときに、「もう死んじゃおう」と、一度自殺未遂をしてしまいました。ロープが切れて自殺には失敗し、「ああ、今日死ぬ予定だったのに死ねなかった」とがっくりしました。でも「とりあえずルーティーンをしよう」と、いつも通り病院に行ったんです。上司に怒られながら仕事をして、家に帰ってからはめちゃくちゃになった部屋を片付けていたら、なんか、やっと…「わたし、病院以外のところでも生きていけるかもしれない」と思い始めました。その日からが、おまけの人生みたいな感じになったのかな。トーン貼りにハマり、4コマを描いたのがきっかけで漫画家に――その後はどうされたのですか?沖田:これをきっかけに本格的にリセットし、親の手の届かない、知らない土地でイチからやり直そうと、看護師を辞めて名古屋へ向かいました。23歳のときです。しばらくはまた性風俗業で働いていたのですが、当時の彼氏が漫画が好きで。彼の持ってきたルポ漫画がものすごく面白くて、ファンレターを送ったのが、現在の夫との出会いでした。電話をしたり、会って話したりする中で、夫がわたしを面白いと気に入ってくれたようで。東京に来ないかと誘われたときは一瞬考えましたが、そのほうが面白そうだと思って行くことを決めました。そのときはまだ、漫画は何もやっていません。夫と一緒に暮らすようになったときに、初めて漫画のトーン貼りを手伝って、「もっとない?」「わたし一生これで生きていく!」と言うぐらいハマってしまいました(笑)。Upload By 姫野桂――トーン貼りを手伝っていたところから、どのようにしてご自身も漫画家になろうと思ったのでしょうか。沖田:ある日、わたしがあまりにも「暇だ」と言うので、彼が4コマの枠だけを出して「これで何か描いてみてよ」って言ったんです。そうしたら、わたしは5分で書き上げたらしくて。それを見た彼が「お前、漫画家になれ」って。そのたった一言で漫画家になりました。わたしはコマが4つしかないからラッキーと思ったのですが、4コマ漫画って描くのが難しいらしいんですね。その時点で、漫画の基礎ができていたみたいです。ただ、絵は全然ダメで。4コママンガの中でキャラクターがどんどん痩せていって、4コマ目には別人になっているんです。左右の区別がつかないので、指の位置を逆に描いてしまうこともありますし。書けない文字がたくさんあることにも、漫画を描き始めてから気づきました。自分で漫画にセリフを書き込んだら、4コマ漫画なのに30個も赤字で修正が入っていたんです(笑)。とくに横の線は苦手で、ペンネームである沖田×華の「華」の字も3年ぐらい間違っていました。同じ字を何度も修正しているうちに、「見え方が他の人と違っているようだ」ということにもやっと気づきました。横線が動いたり、滲んだり、広がったりして見えるんですよ。どうも明朝体はダメらしくて。学習障害の一種であるディスレクシアも、そこで初めて自覚することになりました。ゴシック体だと理解できることは、最近わかりましたね。Upload By 姫野桂漫画家になったのは、「異世界転生」レベルの変化。湧いてくるアイデアをすくい、編集者と仕分けして漫画をつくる――他のお仕事も経験した上で漫画家になった沖田さんですが、漫画家という働き方はいかがでしたか?沖田:まったく怒られなくなったのには驚きましたね。締め切りを守るのは大前提ですが、わたしが出したものに対して、基本的に誰も文句を言わないんですよ。本当は不満もあるのかもしれませんが(笑)、言ってはこない。それがすごく新鮮で、別の世界に転生してきたようなレベルでしたね。どの仕事も、つまずくときは仕事内容そのものというより人間関係ですよ。漫画家のすごくいいところは、上司も部下もいないところですが、代わりにアシスタントや編集者との関わりがあります。わたしの場合、デビュー時に、同業者である夫が、アシスタントや編集者とのコミュニケーションの仕方を教えてくれました。わたし、アシスタントのことを友達みたいに思っちゃうんですよね。「疲れました」と言われたら「あ、いいよ、それやっておくよ」と言うような、なあなあの関係になってしまう。仕事をしてくれるのが嬉しくて、アシスタントの言うことをどんどん聞いてしまうんですが、本当はそういうのはよくないんですよね。仕事上の立ち位置を理解するのは、少し難しいです。漫画をよいものにしていく中で、修正を編集者から頼まれることもあります。「ここはこういう風に直してほしい」と言われた際、最初に思ってしまうのは、「この人はわたしのことが嫌いだからこんなことを言うんだ」ということなんです。そういう考え方のクセがあるんですね。でも、そうやって友達みたいな関係として捉えていると、「じゃあわたしも嫌いになってやる!」となってしまうので、作品をつくる上でよろしくない。そういうときは、夫が「編集者は友達じゃありませんよ」「仕事だから仕方なく!」って教えてくれるんです。そう言われると、編集さんが調子の良くない日もニコニコしたり、ご飯を一緒に食べたりするのも理解できて、関係性をとらえ直せます。そして、「そっか、これは仕事なんだ」「漫画をよくするための直しの要求なんだ」と納得して、うまく仕事のやり取りができるようになるんです。夫はいつも、自身の昔のしくじりを元に、怒鳴らずいろんな方向から説明してくれますね。Upload By 姫野桂――漫画を描くときに、どんなことを考えているのかもぜひお聞きしたいです。最近では、4コマやコミックエッセイだけでなく、ストーリーものの漫画も描かれていますよね。沖田:ストーリー漫画を描くことになったときは、どうやって描けばいいんだろうと途方に暮れましたね。編集担当さんが、ものすごく根気よく教えてくれました。先日、最終回を迎えた『透明なゆりかご』は、ネームにすごく時間がかかっていました。わたしは、そのコマ1つに一点集中型。今どんな話が広がっているのか、描いている最中はまったくわからないんです。それを見て、編集さんが「あ、見えてきました」とか言うので、わたしは「何も見えないじゃない」と思うんですが(笑)。これで話が繋がっているのかなと半信半疑で描いて、いざ掲載されたものを見ると、ちゃんと漫画になっているんですよ。そういうズレみたいなものがあります。だから、わたしは編集さんに「直して」と言われたら、「はい」と直すんです。多くの漫画家さんは、自分の作品への愛ゆえにこだわりがあって、編集者と衝突することも多いと聞きますが、わたしはまったくそういうことはなく。その道のプロである編集さんのほうが正しいだろうと思うんですよね。――そこを割り切っているのはすごいですね。沖田:ADHDの特性なのか、自分が描いたキャラクターや、その名前も忘れちゃうんですよ。キャラクターが5人程度でも、過去の単行本を引っ張り出してキャラを確認しています。『透明なゆりかご』については、読者さんから「泣いた」という感想をよくいただきますが、自分は泣いたことがなくて。他人のことが描かれているのに、なぜ泣くのかは不思議なのですが…きっと何か、思うことがあるんですよね。わたしはそういった共感がなく、看護師としての経験があるとはいえ、妊娠・中絶は経験していませんが、「それでも描けるんだ!」と今回わかりました。だからといって、適当に描いているわけではないんです。ADHDの脳みその特徴のようなものだと思うのですが、常にアイデアがポコポコとあぶくみたいに出ている状態で。それをすくってポイッと出し、編集さんと一緒に仕分けするのが、わたしの漫画の描き方です。今は、20ページぐらいの漫画であれば半日ほどでストーリーの構成ができるようになりました。Upload By 姫野桂自分よりも大切なものができて、仕事に「全て」を賭けなくなった――働く中で発達障害だと自覚し、仕事も変えて年を重ねてきた沖田さんですが、最近新たに気づいたことや変化したことはありますか?沖田:40歳に近くなって、性格がいい意味ですごく変わりましたね。昔は弁当に柴漬けが入ってなかったとか、そういうちょっとしたことで「わたしの今日1日を返せ!」ぐらいに怒っていたんですが、丸くなったというか。上京して夫と一緒に住み始めてからは、心のざわつきがあまりなくなりました。また、以前は「他人のことはわからなくて当たり前、それで相手に不快な思いをさせても仕方がない」と思っていましたが、最近は「向こうの心を知ろうとしたほうが、もうちょっと楽にコミュニケーションが取れる」というふうに考え方が変わってきました。歩み寄りが生まれているような気がします。それはきっと、自分よりも大切なものができたからなんでしょうね。昔は「若くて元気で整形もしていて、いっぱいお金を貯めている自分大好き!」だったのが、今はパートナーだったり親だったりを大事にしたいという気持ちが出始めていて、自分のことは別にいいかなと。好きなことをやり尽くした感じがあるからかもしれません。Upload By 姫野桂――では、仕事についての考え方も変わったのでしょうか。以前はお金を貯めることが生きがいで、「働いていないと意味がない」と思っている時期もありましたよね。沖田:今は、あまり仕事に人生を賭けないほうがいいと思っています。あくまでも仕事は仕事で、人生の一部。あまりにも仕事だけに集中していると、うまくいかなくなったときに墓穴を掘って爆発しちゃうこともあるので、やりたいことや趣味をいっぱい見つけたほうがいいかな、と思います。たしかに仕事はお金を稼ぐ上で大切なのですが、わたしにとってのおっぱいパブのように、ちょっと副業をかじってみたり、息抜きになるものがあったりしてもいいと思うんです。――ありがとうございます。先ほど自分の好きなことはやり尽くしたというお話がありましたが、何か今後やってみたいことはありますか?沖田:『透明なゆりかご』でも描きましたが、最近はコロナ禍の妊婦さんに取材をしていて。ある方は仕事を切られてしまい、車に1人で暮らしながら、大きなお腹を隠して臨月までUberEatsの配達員をやっていたんですよ。そういった行き場のない妊婦さんに住まいをつくるプロジェクトは、クラウドファンディングなどでもいくつかあるものの、数が圧倒的に足りていない。その方を少し支援しながらこの状況を見て、もっと手軽に困っている妊婦さんを支援できないか、滞在できるような施設をつくれないか、と思い始めているところです。また、話に出てきた弟は今、グループホームに入っているのですが、そういった施設やその住人は、社会から排除されやすいところがあります。開設に反対する近隣住民に、職員が菓子折りを持って回ったという話も聞いたことがあって。何も悪いことをしていないのに、なんでそんなに嫌がるものなんだろうと不思議なんです。だから、そういったことを『毎日やらかしてます。』シリーズで描いたり、グループホームを兼ねた何か大きなところをつくったりして、発達障害のある人が困らないような場所をつくりたいなと漠然と考えています。――最後に、進路について考えている読者にメッセージがあれば、お願いします。沖田:学生なら、親と先生、先生と子ども、みたいに、1対1でやりとりをするとスムーズなんじゃないかと思います。小さいときから自分を知っている親って、近すぎるんですよね。話し合いや進路の相談のときに、自分からしたら関係ないような昔の話も引っ張り出されることがありますし。わたしもマザコンなんですが、あんまり親の言うことは聞かんでもいいかなって思います(笑)。親だけに頼らず、できれば仲のいい先生をつくっておくのもいいかもしれません。わたしの場合は、同性のおばあちゃん先生が話しやすかったです。保健の先生も仲良くなっておくといいかな。わたしは専門学校卒ですが、金銭的に余裕があれば大学に行くのがおすすめですね。大学に入ることで、もっと選択肢が広がって、社会的にも学べる気がするので。学生のときって、自分のやりたいことをすごく集中してやってみたいときもあるじゃないですか。悪いことでなければ、それに没頭するのもいいと思います。Upload By 姫野桂明るく軽快に話してくれた沖田さん。仕事以外で趣味や好きなことを見つけたほうがいいという点には、個人的に「自分には何があるのだろう」と考えさせられてしまいました。しかし、年を重ねるにつれて、その回答がちょっとずつでも見えてくるのかもしれません。取材・文:姫野桂編集:佐藤はるか撮影:鈴木江実子
2021年04月18日田中裕子が15年ぶりに映画主演を務め、『横道世之介』『モリのいる場所』などの沖田修一監督が描く『おらおらでひとりいぐも』から、製作現場レポートとメイキング画像が解禁となった。蒼井優、田中裕子の一挙手一投足に注目!クランクインから、ちょうど10日が経った2019年11月21日。沖田組は関東圏のお寺でロケを行っていた。雲ひとつない秋晴れのロケ日和、撮り進められていったのは、田中さん演じる主人公の「桃子さん」が亡き夫・周造のお墓参りに訪れる一連のシーン。汗ばむくらいの陽気の中、沖田監督をはじめスタッフ陣はキビキビと動き回り、準備を整えていく。冬至まで約1か月、17時ごろには陽が沈んでしまうことと撮るべきカット数を考えると、言うまでもなく悠長には構えていられない。しかし、スケジュール的にはタイトなはずなのに、不思議なくらい現場に流れる空気が穏やかに感じられる。これぞ、どんな時や状況でも声を荒げることがない監督の温和な人柄が反映された、沖田組ならではの雰囲気。それでいて、各セクションがしっかりとプロの仕事をする。かくして、ロケは小気味よく進行していった。田中さんが墓地へと1人歩いていくシーンから一転、桃子さんの頭の中で繰り広げられる大勢での行進の撮影ではキャストも増えて現場がにぎやかに。周造役の東出昌大をはじめ、桃子さんの分身的存在である「寂しさ」1・2・3を演じる濱田岳、青木崇高、宮藤官九郎、彼らとは異なる諦念的な感情が分身となった「どうせ」役の六角精児に「ばっちゃ(桃子の祖母)」役の大方斐紗子に子役たちが一堂に会するということで、衣装部とヘアメイクチームは大わらわだが、やはりどこか和やかなのは、さすが沖田組と言ったところ。また、出番は夕方からだったが、若き桃子役の蒼井優もすでに現場入りして、一部始終を見守っている。そんな中、沖田監督が「ここでは桃子さんを、みなさんが一緒になって『がんばれ~っ』と応援するような感じにしたいです」と演出意図を伝え、段取り~カメラテストへ。「寂しさ」トリオが桃子さんの背中を押したり掛け声をかけたり、「どうせ」と「ばっちゃ」も息を弾ませながら坂道を歩いては「ホレ、ホ~レ」と場を盛り上げるさまを、沖田監督が目を細めて楽しそうに見つめている。途中、楽器の音が出なくなるといった小さなトラブルもあったが、無事に撮り切って次なるシーンへ。続いては、周造の墓前に“3人の桃子”が並び、夕焼けを見つめる情緒的なシーン。陽は刻一刻と傾く日没間近、辺りが暗くなるにつれ小高い丘の墓地に吹く風の冷たさが身に染みてくる。それでも蒼井さんは自身の出番がない時間も現場に残り、田中さんの一挙手一投足を目で追う。あたかも、その動きや仕草を焼きつけようとしているかのように──。そして迎えたラストカット、3人の桃子が同じタイミングで夕陽の方へ振り向く芝居に、沖田監督の「OKです!」の声が響く。空を見ると、少しずつ星がまたたき始めていた。ハプニングもアドリブで対応!田中裕子の女優としての凄みお寺でのロケから2週間近くが経ち、撮影も終盤へ。この日は横浜元町の老舗ダンスホールを借り切って撮影が行われた。人生に大切なのは自由か、愛か?桃子さんの自問自答が妄想となってふくらみ、居間の襖を開けた先の“脳内コンサート会場”で丁々発止に発展していくシークエンスは、映画版「おらおらでひとりいぐも」ならではの見せ場のひとつ。バックバンドを従えて、50~60人ほどの観客を前に周造との永遠の別れに対して抱いた思い(※ちなみに、歌のタイトルは「くそ周造」である!)を歌いあげる桃子さんの姿は、さながらリサイタルのよう。その美声に聴き惚れていたのもつかの間、1人の客のヤジによって会場の雰囲気が一変。桃子さん擁護派対非難派が揉み合い、警備員に扮した「寂しさ」トリオが止めに入る…といった展開を見せていくのだが、若干いつもの沖田組よりもテイクを重ねたのが、客の投げたペットボトルが桃子さんの額に当たるカットだ。実はこの撮影でフレーム外からペットボトルを投げているのは、沖田監督。もちろん中身は空っぽで当たっても痛くはないのだが、芝居と言えども日本を代表する女優の顔に物を投げるとなると、気が引けてしまう。ということで“大役”を引き受けた監督だったが、これがなかなか狙い通りに当たらない。田中の頭上では「寂しさ」トリオが紙吹雪を散らしているので、撮り直すたびに一度それを回収しなければならず…沖田監督にも次第にプレッシャーが掛かり始める。その場で素振りを始めた監督に、田中さんが「思いきり当てちゃってください」と気づかいを見せると、その直後のテイクで会心のヒット(!?)。モニターチェックでもOKが出て、観客席のエキストラ陣からは拍手が起こった。なお、特に印象的だったのは、意見が二分して揉み合いになる観客たちに、桃子さんが切々と正直な思いを語るシーンでの出来事だ。長ゼリフを話している最中に、予定よりも早いタイミングでヤジが飛ぶも、田中さんは桃子さんとしてそれを受け止め、「まだ(話し)終わっでねえ!」と一喝。すぐさま、続きのセリフを話し始めるという──ともすればカットがかかりそうなハプニングを、見事なまでのリアクションで一連の芝居に取り込んでみせたのだ。本編では違うテイクが使われていたが、田中裕子という女優の凄みを改めて実感した現場での1コマであった。『おらおらでひとりいぐも』は11月6日(金)より公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:おらおらでひとりいぐも 2020年11月6日より公開© 2020 「おらおらでひとりいぐも」製作委員会
2020年09月01日ほろ苦くも温かい人間ドラマや独特の笑いのセンスが光る世界観で、多くの映画ファンの心を鷲掴みにしてきた沖田修一監督。今回、常に新作が待ち望まれる沖田監督が初めて人気漫画原作の実写化に挑んだ最新作『子供はわかってあげない』に合わせ、南極基地内の隊員たちの生活をコミカルに描いた『南極料理人』や、お人好しすぎる青年の愛おしい日々を描いた青春群像劇『横道世之介』、無骨な木こりと気弱な映画監督の交流を描いた『キツツキと雨』と、“おうち時間”を満喫できる<沖田ワールド>の作品をピックアップした。個性豊かな隊員のコミカルな日常と“おいしいご飯”『南極料理人』(Huluほかで配信中)実際に南極観測隊に参加した西村淳によるエッセイ「面白南極料理人」を実写映画化した本作。ペンギンやアザラシはおろか、ウィルスさえ生存できない極寒の地、南極ドームふじ基地に派遣された観測隊員8名。そのうちのひとり、料理人の西村(堺雅人)は食事以外楽しみがない彼らのために、日々腕をふるい、ときに贅沢な食材を使い、娯楽の少ない彼らをもてなしていく。過酷な状況下で繰り広げられる、ひと癖もふた癖もある個性派隊員たちのコミカルなやり取りにクスッとさせられることはもちろん、喧嘩をしながらもゆっくりと絆を深めていく彼らの“隔離生活”は、沈んだ心もおのずと明るくしてくれるはず。また、伊勢エビフライや夜食のラーメン、いくらのおにぎり、具だくさんの豚汁など、劇中で次々に登場する豪華なご飯も必見!60歳の木こり×25歳の新人監督が意気投合?2人のふれあいに心癒される『キツツキと雨』(Netflixで配信中)舞台は、人里離れた山あいの村。地元の木こり・克彦(役所広司)は、ゾンビ映画の撮影にやってきた新人監督・幸一(小栗旬)と出会い、ひょんなことから映画のことなど何も知らないまま、映画作りの手伝いをすることに。最初は距離を感じていたふたりが、次第に良い影響を与え合い、心を通わせていくさまを映し出した本作。劇中では、あれよあれよという間に克彦が幸一の映画に出演することになり、愛らしい“ゾンビ演技”を披露。演じる役所さんの怪演(!?)はもちろん、絶妙なユーモアを交えながら描かれる、異色のふたりのふれあいや、緩やかに流れる山村の優しい空気には、思わず心が癒されてしまうこと間違いなし!どこまでもお人好しな世之介が愛おしい!切なくも温かい“大切な思い出”に涙があふれる『横道世之介』(Netflixほかで配信中)吉田修一による同名青春小説を映画化した本作。頼みごとは断れないお人好し・横道世之介(高良健吾)は、大学進学のために上京したばかりの18歳。お調子者の倉持(池松壮亮)を始め、女性に興味を持てずにいる加藤(綾野剛)、大人の魅力を漂わせる千春(伊藤歩)、一方的に世之介へ想いを寄せるお嬢様の祥子(吉高由里子)など、様々な人々と出会いながら、持ち前の明るさで周囲を幸せにしていく――。どこまでも純粋でまっすぐで、ちょっぴり図々しいけど憎めない不思議な魅力を持ち合せる世之介。そんな彼を取り巻く人々との、切ないけれど温かく、かけがえのない大切な思い出に、きっとラストは涙があふれてしまうはず。どこか懐かしくも新しい“宝箱のような夏休み”。いっぱい笑って、ほろりと泣ける青春映画『子供はわかってあげない』(6月26日公開)「マンガ大賞2015」や数々の漫画賞を受賞し、「モーニング」連載時から話題沸騰だった田島列島の傑作コミックが実写映画化。主演を務めるのは、「義母と娘のブルース」「いだてん~東京オリムピック噺~」で注目を集め、瑞々しい魅力と確かな演技力で引っぱりだこの上白石萌歌。相手役には、超新人ながら石井裕也監督作『町田くんの世界』主演に大抜擢された細田佳央太。さらに人間模様を鮮やかに彩るキャストには、豊川悦司、千葉雄大、斉藤由貴、古舘寛治など、実力派の名優陣が大集結し、物語をカラフルに広げる。高校2年の水泳部女子・美波(上白石さん)は、書道部男子のもじくん(細田さん)との運命的な出会いをきっかけに、幼い頃に別れた父親の居場所を探しあてる。何やら怪しげな父・友充(豊川さん)にとまどいながらも、海辺の町でいっしょに過ごすが…。心地よい海風。爽やかに鳴る風鈴に、超能力!?お気楽だけど、けっこう怒濤の展開が待ち受ける。本作で描かれるのは、主人公・美波とシャイで素朴な青年・もじくんとの甘酸っぱすぎ初恋や、“元教祖(?)”の実の父・友充、ジェンダーレスな雰囲気を漂わせるもじくんの兄・明大など、ちょっぴり“ワケあり”でステキな人々との“普通じゃない”夏休み。初めて漫画原作の実写化に挑んだ沖田監督は、原作・田島列島の甘酸っぱすぎる新感覚ボーイミーツガールを見事に表現しつつも、子どもと大人の狭間で揺れ動く高校生、そして大人たちの気持ちをゆるやかにやさしく描く。美波の感情が高まった告白シーンは、監督の新境地シーンとしても必見。いっぱい笑って“ほろり”とする、懐かしくも新しい青春映画の傑作が誕生した。『子供はわかってあげない』は6月26日(金)よりテアトル新宿・イオンシネマほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:南極料理人 2009年8月8日よりテアトル新宿にて先行公開、22日より全国にて公開キツツキと雨 2012年2月11日より角川シネマ有楽町ほか全国にて公開© 2011「キツツキと雨」製作委員会横道世之介 2013年2月23日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2013「横道世之介」製作委員会子供はわかってあげない 2020年6月26日よりテアトル新宿・イオンシネマほか全国にて公開©2020「子供はわかってあげない」製作委員会©田島列島/講談社
2020年04月25日『こんなに毎日やらかしてます。トリプル発達障害漫画家がゆく』(ぶんか社)を8月に刊行した沖田×華さんは、自閉スペクトラム症にADHD、加えて学習障害のある“トリプル発達障害漫画家“。自身も自閉スペクトラム症とADHDがあるライター・鈴木希望が取材した。ハイパーADHDだった小学生時代。「みんなで遊ぶ」の意味がちょっと違ったUpload By 鈴木希望トリプル発達障害があるという漫画家の沖田×華さん。明るさと、人の心に寄り添うやさしさが感じられる漫画で人気の彼女は、いったいどのような少女時代を過ごしていたのだろうか。沖田さん(以下敬称略):「私、子どものころ、むちゃくちゃテンション高かったんですよ、ハイパーADHDで(笑)。『この子、いいかも!』と思ったら、弾丸のように突っ込んで行って、ものすごい勢いでしゃべりまくるという感じでした。」気に入った友達にはとことん話しかけ、自分のペースに巻き込んでがっつり関わるのが好き。その半面、集団行動になるとその関わり方は一変したという。沖田:「”みんなで遊ぼう”というときになると、周りから少し離れたところにポツンといるタイプ。そこの位置が一番楽っていうか、安心して全体図を見られるので。大人数で遊ぶゲームだったりすると、ルールが分からなくてつまらないから、他の人がやっているのを見て、自分もゲームに参加している、一緒に遊んでいるという認識をしていたんです。」だから、「ひとりでいるからといって孤立しているとは限らない」と沖田さんは言う。沖田:「親御さんや周りの大人が”孤立しているのではないか”と心配になってしまう見え方かもしれないけど、子どもの感じ方はまた違っていて、ひとりでいるように見えて、実は空間を楽しんでいる場合もあるんですよね。そういう可能性があると分かれば、見守る側も気が楽になるんじゃないかな。」――周囲と独特の関わり方をしていた沖田さん。長くつき合っている友達には共通点があるのでしょうか。沖田:「お互いにイチャイチャしないというか、必要なときにサクッと会ってサクッと帰るっていう感じ。例えば、「何月何日の何時から何時まで」と時間を決めて、一緒にごはんを食べて、終わったら別れる、というような。」お互いに仕事を持っていて忙しい身の上、とても効率的な交流の仕方だ。そんな沖田さんは、とりとめもなく続くガールズトークや、大人数が集まり、目まぐるしく話題が変わる場が苦手。いわゆる女子会は「さっぱり理解できない」という。沖田:「できれば1対1で会える子がいい。自分の趣味を持っていて、人に依存しないタイプ。そういう合理的な性格の人と気が合うなって思います。」自閉スペクトラム症の当事者である私(鈴木)も、ガールズトークや大人数での集まりが苦手だ。どの話についていけばいいのか分からないし、飛び交う会話に割って入ることができない。結果、”みんなでいるのにひとり”という状況になってしまうので、1対1もしくは少人数で話せる相手を選んでしまう。わが身を振り返ると、”飲み会で話に加わらずはじっこにいる人”というのは、その場の空気をぞんざいに扱っているのではなく、その人なりに人間関係や会話を大切にしてるのではないか、と思えてくる。曖昧な詰問ではなく、具体的な指示が欲しかったUpload By 鈴木希望ASDの特性として、意味や目的を理解しにくい曖昧な表現や指示が苦手、というものがある。沖田さんもこれには学童期から苦しめられてきたようだ。沖田:「答えても答えても『なんで?』ばかり言う先生がいて。例えば宿題を忘れたときに『なんで宿題をしてこなかったの?』って聞いてくるから、私は『忘れました』って返すと『じゃあ、なんで忘れたの?』ってまた聞かれて…忘れたからできなかった、というのが私の答えなので、それ以上返せない。」――「なんで?」と問われるばかりで、先生が求める答えが何か分からなかった…。沖田:「それで、場面緘黙症になってしまいました。どう答えれば良かったのか、大人になってから周りの人に聞いたら、”まず謝るのが先なんじゃないの?”、”忘れてきたことに対して申し訳ないと思わないの?”って…。質問に対して返すべき言葉が間違っていたら、その場で教えてほしかったです。」指示や指導の内容が具体的でないと動けないというのは、発達障害児・者にはよくある話で、沖田さんも例にもれなかった。沖田:「忘れないためにどうしたらいいのか先生に聞くと『自分のことなんだから、自分で考えて気をつけなさい』。気をつけ方が分からないから聞いているのに、おかしいなと。でも、それを親に言えばまた怒られるのが分かるわけです。結局、誰にアドバイスを求めたらいいのか分からなくなっていましたね。」顔が覚えられない!相貌失認の対処法Upload By 鈴木希望人の顔を認識できない、相貌失認という特性を持っている沖田さん。――作品(講談社刊『透明なゆりかご』)がドラマ化され、撮影現場に顔を出すなど、複数の人に接する機会も少なくないと思います。そうした場面ではどのように対処しているのですか?沖田:「『透明なゆりかご』の撮影現場に行ったときは、服装で判断してました。出版社の編集担当と映像会社の方が『あの茶色の服が○○さん、ピンクの服が●●さん』って説明してくださって、挨拶するタイミングも決めていただいて。2人にエスコートしてもらったのでなんとかなりました。」――相貌失認と一口に言っても程度はさまざま。同居されている彼氏など、繰り返し会っている人の場合、沖田さんはすぐ判断できるのでしょうか?沖田:「冬になると分かりづらい。っていうのは、冬になると似通った服装の男の人が増えちゃうんです、黒いダウンにジーパンとか。冬場に彼氏と一緒にスーパーに行ってはぐれたとき、どうにか見つけて”はい、これ買おう!”ってカゴに商品をポイッて入れたら、全然違う人だったり(笑)やっぱり、顔は覚えられないんだなって思いましたね。テレビで見ている方でも、実際お会いしたらずいぶん違う印象になりますし。その点、声は絶対変わらないから、一番の判断材料になりますね。」明るく語る沖田さんだが、ちょっと想像してみてほしい。似たようなお面を装着した人だらけの世の中で、声をかけるべき人を探し出したり、名前を間違わずに挨拶することを。大切な人の顔も、目の前からいなくなってしまった途端に霞がかってしまう悲しみを。私(鈴木)にも相貌失認がある。慣れてしまっているので正直そこまで深刻には考えないが、この特性のために先方を不快な気持ちにしてしまわないかという不安は常につきまとっている。”顔を覚えられない=関心がない”ではないことが、もっと認識されたら良いのだが。他人ごとだと思っていたのに!突然のメルトダウンが襲うUpload By 鈴木希望作品中、最も衝撃的なのが”メルトダウン”の描写。メルトダウンとは、精神的に追い詰められ、ストレスが極限に達した発達障害当事者の身に起こる、強いパニック症状のことだ。自宅マンションに修繕工事が入った際、騒音でストレスを溜め込んだ沖田さんは、人生初のメルトダウンを起こした。――希死念慮が沸き、飛び降り未遂を起こすほどの辛いパニックとは、一体どのような状態なのか…。またどのように対処をしたのでしょう?沖田:「メルトダウンって、いろいろな事が重なって対応できなくなったときに起こすパニックらしくて。お医者さんが言うには、小学校などで耐震修繕工事が始まると、発達障害の子は来られなくなることが多いそうです。授業中なのに、機械の音や作業員の声まで全部耳に入ってきてしまって、頭の中がぐちゃぐちゃになっちゃう。うちのマンションの工事の時は、私の部屋の前が作業員の溜まり場で。喧嘩している声とかが聞こえてくる。それを2週間ぐらい聞き続けていたら、頭がおかしくなってしまいました。睡眠を取れないのが一番きつかったです。どんなにストレスを溜めないようにと気を使っていても、物理的に騒がしい環境になってしまったら防ぎようがないので…。」――メルトダウンには前兆があるのでしょうか。それはどういうもので、どのように対処していますか?沖田:「メルトダウンの前兆は、私の場合、頭の中がサワサワサワサワって、そよ風が吹くような状態が起こるんです。これを放っておくとメルトダウンになるので、前兆を感じたら仕事をセーブします。本当は仕事が大好きなので、最初は”仕事がなくなっちゃうの嫌だ、迷惑かけちゃう!”とか思ってたんですけど、そんなこと言ってたら死んじゃうので。今は断ることを一所懸命勉強していますね。」――感覚過敏の程度は、メルトダウン中どれだけの変化がありましたか?沖田:「元々蛍光灯の光や、テレビがちょっと苦手なんですけど。この明るさ、この音量だったら大丈夫だっていうレベルがあるんです。それを超えて、ものすごく過敏になりました。すべての刺激が全部ダメになっちゃったんですよ。光が痛い!音が痛い!頭に響いて痛い!って。メルトダウン中って、混迷って言うらしいんですけど、体は寝たきりの状態でも、頭は活動していて、周りのことはすごく分かってるんです。」――つまり、休んでいるように見えても、絶えず刺激を受け続けているということ…。これは相当に辛いでしょう。感覚過敏がある子どもを持つ親にとっても気になるのはそんなときの対応です。周囲の人間はどのように対処したら良いのでしょう?沖田:「私は、暗くて静かなところで一人にしてもらうのが楽でした。カーテンを閉めてもらった部屋のベッドで、一人で何日も過ごして…そうすれば外部からの刺激が入ってこないので、光や音で痛みを感じることはありません。メルトダウンのタイプもさまざまで、子どもの場合はパニックを起こして暴れることも多いそうです。泣き叫んで、吐き出すだけ吐き出したら疲れて落ち着く、という場合もあるらしいです。感情や行動が制御できなくなって、視界も狭くなってしまうので、発作を起こしている人がいたら、周りの人はしつこく話しかけず、静かで安全な場所に連れて行ってあげるのがいいんじゃないかと思います。」初めて薬を服用することで見えた定型脳の世界とイメージの変化Upload By 鈴木希望メルトダウンをきっかけに通院、ストラテラの服用を始めた沖田さん。不安感を取り除き、注意欠如や多動を改善するADHDのための処方薬だが、副作用のひとつに、想像力やアイデアの鎮静がある。――漫画を描くにあたって必要な感覚が服薬によって抑制されることで、不便はなかったのでしょうか?沖田:「何もかもが鎮静されて。体調は良くなったのですが…、『透明なゆりかご』のネームを描くのが遅くなってしまった。それで、集中しやすくなる作用があるエビリファイ3mgを処方してもらって、それを飲んで一気にネームを仕上げるようにしています。それ以外の連載は、エビリファイを飲まなくても描けるようになりました。」服薬により、カクテルパーティ効果(たくさんの人がそれぞれ同時に話しているなか、自分が興味のある人の会話や自分の名前などを自然と聞き取ることができること)など、定型発達者が当たり前に感じている世界を体験するだけでなく、アイデアの浮かべ方までもが変化したと沖田さんは言う。沖田:「私は頭の中のイメージを可視化する癖があって、漫画のネタを考えているときって、ハムスターの回し車のような、回転する円のイメージがあったんですね。これが自分の中のメモリみたいな感じになっていて、これを逆再生して過去のことを思い出して、そこからネタを引っ張りだしてきて描くっていうスタイルだったんです。すごく簡単。調子がいいと色や音もついていて。そのうち周りからボコボコと泡が浮いてきて、それがネタや素晴らしいセリフなので、出てきたセリフを描いていけばよかった…でも、ストラテラを飲んだら、それが全部なくなっちゃったんです。」長年慣れ親しんだ思考と、仕事のスタイルを、メルトダウンによって失ってしまう沖田:「メルトダウン後って、ホワイトアウトするんです。頭の中が全部真っ白で、自分がどこにいるかも分からない、何をしたいのかも分からない。マンションから飛び降りたい気持ちは落ち着いても中身は壊れたまま。そのうち、真っ白な世界の中に、四角い場所が出てきました。最初は冷凍庫の中みたいな所にたたずんでいるばかりで動けなかったんですが、そのうち指示がメモ用紙で出てくるようになりました。『今日はシャワー浴びろ』とか。私はその指示のみ従える状態です。そのうちだんだん霧が晴れてきて、2~3週間経つと、地下駐車場みたいな、コンクリートの固い部屋が出てきて、でも、仕事がどこにもないんです。浮かばないんです、何ひとつ。昔は、床が丸くて柔らかく、音も色も匂いもあったのに、コンクリートの壁しか見えない…。漫画が描けない!って焦ったんですけど、でも一応部屋というものが見えたから、何日もかけてその部屋を探索しました。ある日、部屋の形がまた変わって五角形になりました。そのときに自分のペンを認識したんですよ。今までも、机の上にペンはあったんですけど、自分のペンであることを理解できなかったんです、何のときに使うのかな?って。やっと愛用のペンを認識して安心して、今まで仕事を休んでいたけど、これだったら描けそうかなって、ようやくパッと浮かんできたんです。そろそろあの連載に手をつけたほうがいいかなってぼんやり考えていたら、今度は頭の中の部屋の壁が全部引き出しになって。その引き出しを開けたらネタが出てくるようになったんですよ。」――紆余曲折があったものの、沖田さんは新しい仕事のスタイルを手に入れることができたのですね?沖田:「今はまだ整理中で、引き出しにラベルが貼られていないから、開けてみないと何のネタが入っているか分からないんですよ。ネタを探すのに時間がかかってしまうから、仕事のペースはメルトダウン前より3倍くらい遅くなりました。でも、無理はしていない感じがしています。以前は過集中に入って、倒れるまで仕事をしていたので、これはこれでよかったなと思います。」Upload By 鈴木希望カラフル?メロディアス?めくるめく共感覚の世界Upload By 鈴木希望ADHDのある漫画家でありクレパス画家・史群アル仙さんのクレパス画を見た沖田さんは、味や色、音楽を感じたのだそう。その緩やかで美しい移り変わりや共感覚(ある刺激に対して異なる種類の感覚をも生じさせる、特殊な知覚現象)についてのエピソードも本書に収められている。――絵を鑑賞するときなど以外の日常でも、こうした共感覚が生じることはあるのでしょうか?沖田:「私たち発達障害者って、自分や相手が疲れていることに気づきにくいじゃないですか。私の場合、それが、音や音楽のサインで現れるんですよ。担当編集者のIさんは、疲れると声が少し小さくなって、それと同時に、声がガラス玉みたいにバラバラバラバラーッって下に落ちちゃうんです。それで頭に入ってこなくなるんですけど。加えて、ワーグナーのウエディングマーチが流れてくるんです。パーンパカパーン~♪って…おまけに神父様の声まで聞こえてくる。めっちゃ辛いときなのに、『(厳かな声で)健やかなるときも、病めるときも…』って。これが流れてきたらうちらはおしまいだ!って気持ちになって、もう帰りたくて帰りたくて…。何回もIさんに訴えるんですけど、全く理解してもらえない(笑)仕事がうまくいっているときの音楽はマリオカート(ゲーム音楽)です。ピロリロリン♪テテテテ♪みたいな軽快な音楽で。あ、これ私調子いいぞ!って分かったり。」――共感覚に限らず、発達障害があると、疲れのサインなどが定型発達者とは大きく違う場合も。それゆえに誤解されたり、苦労したことはありますか?沖田:「私は発熱する前兆が分かるんです。指を机とかにトントンってタッチして、ビリビリッてしびれると、だいたいその30分後に熱が出るって分かる。学校で先生に『熱が出そうなので帰らせてください』って頼むんですけど、そのときは平熱なので帰してもらえなかったり。何言ってんの?って。で、あとから熱が出ちゃう。」自分の過去を振り返り、かつての子どもとして望むことUpload By 鈴木希望年齢に応じて経験を重ね、自分の特性の取り扱い方なども体得してきた沖田さん。しかし、幼いときは思いをうまく言語化できなかったり、どのように説明をすべきか分からず、辛い思いもしたのだとか。そんな自分の過去を振り返り、かつての子どもとして望むことについて、伺った。沖田:「小学校・中学校のころは分からないことだらけで、叱られて、誰に相談していいか分からなくて…近くの学童(センター)に逃避していましたね。学校では嫌なことがたくさんあったんですけど、学童は私にとって天国でした。そこにはトランポリンがあって…トランポリンでひとしきり飛び跳ねたあと、今度は漫画コーナーに行って漫画を読みまくて、ラミネートを作って遊んで…それが本当に楽しくてたまりませんでしたね。」自閉傾向がある人の行動に”常同行動”というものがある。くるくる回ったり飛び跳ねるなどの反復行動で、ストレスや疲れを和らげるため、安心するために行うのだと言われている。幼いころの沖田さんも、回ったり飛び跳ねるのが大好きだったそう。沖田:「意味もなく跳ぶのって、ほかの人から見たらおかしいじゃないですか。でも、トランポリンがあれば、いくら飛び跳ねてもおかしくない。だから、学童にトランポリンがあったのは、私にとって素敵なことでした。この学童は小学校までしか利用できなかったのですが、年齢を偽って、中学1年まで通いました。中学生には中学生なりの居場所というか、リラックスできるスペースがあればいいのにって思ってました。」――確かに、現状では幼い年齢に関しては、支援は手厚く、居場所も多いけれど、年齢が上がるにつれて、数も種類も減っていくような印象があります。そして、障害の有無が大きな壁となって、それぞれの居場所にも隔たりがあるようにも思えます。沖田:「学童の書籍コーナーに、知的障害があるおじさんが、いつも番頭さんみたいに座ってたんですよ。ニコニコしてて、私たちがいくら騒がしくても何も言わない、気のいいおじさん。そこは知的障害の人も、発達障害の子どもや定型の子どももいて、みんな自然に過ごしてて…。そういうふうに交流できる場所が増えたらなって思っています。」発達障害当事者として、願うことUpload By 鈴木希望取材時、私の目の前にいた沖田さんは、漫画の中の”×華ちゃん”そのもの、表情豊かで繊細、サービス精神旺盛な方だった。今の子どもたちに向ける話になると、大人としてではなく、自分の同志を慮るような口調になり、私たちが笑ったり、「面白かったです」と述べると、心底安心したような表情で「よかった!」と微笑んでいらしたのも印象的だった。大好きなサファイアブルーをそこかしこにあしらった仕事場で微笑む沖田さんは、今そこにはいない読者やファンに視線を向けているようにも見え、私はちょっと涙ぐみそうになっていたことを、ここに告白する。こんなに素敵な同志が漫画を通じてメッセージを送り続けてくれるのならば、大人も子どもも、”×華ちゃん”にはなれなくても、自分が心地よく過ごせる場所や方法を、必ず見つけ出せるのではないか、などと思うし、願ってやまない。Upload By 鈴木希望富山県出身。1979年生まれ。小学生のころにLD(学習障害)とADHD(注意欠如・多動障害)、中学生のころにアスペルガー症候群(現・自閉スペクトラム症)の診断を受ける。看護師、風俗嬢を経て、2008年漫画家デビュー。『透明なゆりかご』(講談社)で第42回講談社漫画賞(少女部門)受賞。TVドラマ化もされた『透明なゆりかご』で大ブレイクを果たした沖田×華さん。しかし、多忙な生活にパンクしてパニック障害を起こし、なんと自殺未遂まで起こしてしまいます。自閉症スペクトラム(アスペルガー)・ADHD(注意欠陥・多動性障害)・LD(学習障害)という3つの発達障害のある沖田さんが、日常生活での自身の「やらかし体験」をセキララに描く、大人気シリーズ第5弾。撮影:鈴木江実子聞き手(取材・文):鈴木希望鈴木 希望さんのページ
2018年09月28日●菅田将暉は撮影現場でもツッコミ2017年に公開され、最終興行収入38.4億円、2017年の実写邦画ではNo.1の成績を記録した映画『銀魂』。漫画家・空知英秋による『週刊少年ジャンプ』(集英社)連載中の同名コミックを原作に、福田雄一監督が実写化のメガホンを取った。舞台となるのは、パラレルワールドの江戸。宇宙からやってきた”天人(あまんと)”と侍・坂田銀時(小栗旬)の間に起こるさまざまな事件を描く同作は、破天荒なギャグと熱いアクション、ほろりとする物語で人気を博している。続編である『銀魂2 掟は破るためにこそある』(8月17日公開)は、原作でも人気の「真選組動乱篇」と「将軍接待篇」のハイブリッド作。伊藤鴨太郎(三浦春馬)により内紛劇に巻き込まれていく真選組の中で、一番隊隊長・沖田総悟を演じるのが吉沢亮だ。前回以上に真選組にフォーカスされた物語の中で、どのような役割を担っていくのか。マイナビニュースでは『銀魂』に関わる男性たちへのリレーインタビュー企画「動乱の男達」を実施。今回は沖田役の吉沢に話を聞いていく。○基本的につっこんでる――今回リレーインタビューで、菅田将暉さんからは吉沢さんについて「かっこよすぎて、もはやボケになり得る」ということで、結構現場でも菅田さんがつっこんでいるというお話でした。菅田くんは、新八として原作や映画の中でもそうですけど、彼自身も完全にツッコミ担当で、基本的に他人のボケにつっこんでいる印象があります(笑)。――菅田さんは「みんなボケ散らかしているから、掃除しないと」ともおっしゃってましたが、現場でも新八なんですね。お兄さん的キャラでもあって、自分が面白いことを言うというより、人につっこんでくれるんです。小栗さんや監督との関係性もそうで、監督が言ったことに対して「なんやねん」と言える人です。ずっと頭を回転させているんだろうな、と思っています。●「受け入れられてる」という妄想で演じ切る○真選組の雰囲気もより良く――今回はパート2になりますが、真選組の雰囲気には変化がありましたか?前作で1回やっている分、雰囲気もより良くなっています。柳楽(優弥)さんとは京都のロケで、2人で飲みに行って、夢を語りあいました(笑)。『銀魂』は世界観が強固なので、キャラっぽいお芝居になりそうなところもあるのですが、柳楽さんは完全に土方でありつつも、柳楽さんぽさも出ている気がします。男くささもあって、かっこいいんですよね。みんな前作よりも一つの輪になってる感がより強まっていた気がして、すごく楽しかったです。――柳楽さん、お話すると実はふわっとしてる感じもありますよね。勝手な印象で、クセの強い役者さんかなと思ったんですけど、初めてお会いした時からすごく柔らかくて、大好きになりました。でもお芝居になるとガラッと変わるところがすごいです。万事屋とトッシーの姿はあまり見ていないんですけど、真選組の中で柳楽さんがトッシーになっている姿は、面白すぎて、笑いをこらえるのが大変でした。○見せ場へのプレッシャー――前作では、吉沢さんが「主役級の中で不安だった」とお話されていましたが、あれから1年経って注目度がさらに上がっていると思います。印象はいかがですか?印象は、変わらないです。新しい方たちもすごい人ばかりだし、「大丈夫ですか!?」って感じですけど、そんなことを言ってもしょうがないので。原作ファンの方にも、受け入れていただいているだろうという妄想で演じ切りました。――いや全然、妄想ではないと思います。今回の沖田は前回以上に見せ場が多いのかなと思いました。「真選組動乱篇」だし、沖田の列車の中の見せ場は、原作の沖田史上でも1番かっこいいんじゃないかと思って、ちゃんと見せられないと逆にヤバイというプレッシャーがありました。やっぱり「死んじまいなァ」は、原作の沖田ファンにもたまらないシーンだと思うので、ファンの方の気分を害さないように頑張ったつもりです。他にも「こんな大掛かりなセットがあるんだ?」というところも、見所だと思います。――『銀魂』映画は、ファンにとってはお祭りなのかな、と思うのですが、吉沢さんにとってはどのような作品ですか?僕にとっても、本当に「お祭り」です。豪華なエンターテインメントに「乗っかってください」というお祭りで。舞台挨拶すらも、最高のエンタテインメントという感じでした。●次回登場・勝地涼の前貼りにはある言葉が…○ギャグパートをもっていった勝地涼――リレーインタビュー、最後は将軍役・勝地涼さんの予定です。ぜひ勝地さんの印象や見どころを教えてください。1回、勝地さんと戸塚(純貴)さんと3人で、勝地さんの部屋で飲む会があったんです。5時くらいまで語りながら飲んでいたのですが、すごく兄貴肌で、後輩に慕われる方なんだろうなと思いました。演劇もいろいろ見に行かれていて、「この劇団が面白いよ」と教えていただきました。撮影では、すごかったですよ。勝地さんが全裸になって町を走り回るというシーンで、僕はその後ろをついて行きました。映画に映らないのに前貼りに「足軽」と書いてあって、すごく面白かったです(笑)。勝地さんの床屋の映像が面白すぎて、もうギャグパートは、勝地さんが持って行ったんじゃないですか!? トッシーもやばいと思いますけど、将軍のところもかなり面白いと思います。――前回も今回も裸のシーンに立ち会っていたんですね。前回はアイマスクをしてたので、実は面白いところを見ていなかったんですが(笑)。今回は見れました!■吉沢亮1994年2月1日生まれ、東京都出身。09年に行われた「アミューズ全国オーディション2009 THE PUSH!マン」で特別賞を受賞し、デビュー。『仮面ライダーフォーゼ』シリーズ(11-12)で朔田流星役を演じ注目を浴び、その後数々のテレビドラマ、映画に出演。17年には『銀魂』など5本の映画に出演するなど今最も勢いのある若手俳優である。主な出演作に、『オオカミ少女と黒王子』(16)、『トモダチゲームシリーズ』(17)など。今年の公開作として本作のほかに『悪と仮面のルール』『リバーズ・エッジ』『ママレード・ボーイ』『あのコの、トリコ。』などがある。
2018年08月15日6月17日(日)は父の日。母の日には何かしらのプレゼントを用意していても、父の日は忘れがちという人も少なくないのでは?とはいえ、もしも父の日に、何かしらのプレゼントをするなら、どんなものをあげたいのでしょうか?1位はやっぱり愛情いっぱいのアレ?そんな父の日のプレゼントについて調べていたところ、株式会社赤ちゃん本舗が、2018年5月25日~5月29日までの期間に、子育て中の10~50代の女性1318名に実施した「子育てをがんばっているパパ」に関するアンケート調査結果を発見。同調査では、「父の日にパパにプレゼントするなら何ですか?」(複数回答)という質問をしており、結果は以下の通りに。1位:パパの好きな食べもの(56.6%)2位:子どもの手作りのプレゼント(23.2%)3位:外食(22.2%)4位:自由な時間(16.9%)5位:お仕事グッズ(13.8%)6位:おでかけ(13.2%)7位:子育てグッズ(2.1%)8位:その他(13.0%)無回答(0.8%)2位と圧倒的な差をつけて1位になったのは「パパの好きな食べもの」。半数以上の女性が選んでいて、人気の高さがわかります。せっかくの父の日だから、その日だけは食卓にパパの好物を並べて、家族みんなで食事をしたいと考える人が多いようです。とはいえ見方を変えると、食事は毎日のことなので、もっとも気軽にプレゼントしやすいものともいえるかもしれません。そして2位は「子どもの手作りのプレゼント」。子どもだけで作ったものやママと一緒に作ったものなど、心のこもった手作りの品はやっぱり嬉しいものですよね。毎年子どもにパパの似顔絵を描いてもらい、年々絵が上手になっていくのを思い出にするのも楽しそうです。3位は「外食」。普段は足を運ばないようなお店に行けば特別感も出ますが、そうでなくとも、やっぱり家族がそろった食事は嬉しいもの。ママも食事の用意や片付けを気にせず、家族とのコミュニケーションをとれるので、いい選択肢といえるのではないでしょうか。「まだ何もプレゼントを用意していなかった!」という人でも、1位の「パパの好きな食べもの」なら用意できそう。おいしいものをたくさん作って、パパを驚かせてみませんか?(文・山手チカコ/考務店)
2018年06月16日空知英秋による人気コミックを、福田雄一監督が実写化した『銀魂』の続編『銀魂2(仮)』。先日の中村勘九郎続投決定に続き、先ほど同じく“真選組”の沖田総悟役で吉沢亮が続投していることが、公式SNSにて発表された。『ママレード・ボーイ』『あのコの、トリコ。』、2019年連続テレビ小説「なつぞら」へ出演決定しているなど、いま大注目の若手俳優である吉沢さんが演じるのは、前作に引き続き、真選組の一番隊隊長で戦闘力と剣術はピカイチの沖田総悟。一見ナイーブな美少年だが、中身は超絶腹黒の毒舌ドSというキャラクターだ。発表前日のシルエット画像が解禁されると、ファンからは“沖田総悟”や“吉沢亮”を予想する声が。どうやら、今回はファンの期待通りの発表となったようだ。吉沢さんは、「パート1ではカブトムシの着ぐるみ着たり、重いバズーカぶっ放したり、重いもの担当みたいな立ち位置ですごく可哀想な役だったんですが、今回は真選組らしく刀で戦うシーンもあったりして嬉しかったです」と前作をふり返りコメント。また、「パート1を遥かに超える面白さになってると思います。もうなんか、笑いましたもん。新キャストの方々が豪華過ぎて。お楽しみに」とファンの期待を煽った。SNS上では「お亮ーーーーーー!!!!!!!! 待ってたずっと待ってた滝涙」「総悟来たー」「きたああああああああああああああ」と“待ってました”と大きな反響が。さらに、「ほんとにここまで沖田を再現できるのは吉沢さんだけです 沖田尊い吉沢尊い」「朝から国宝級の美しさを拝めていい目覚めです! 沖田ハマりすぎです!」「真顔でピースしちゃうところとか沖田さんにそっくり…!本当に漫画の世界から出てきたみたいです」「無表情の再現度が高い」「真顔ピース… 総悟にしか見えないです」とキャラに寄せた(?)表情に歓喜の声が上がっている。また、今回も次に解禁されるキャストのシルエット画像が公開された。ネット上では「土方さん!!」「柳楽マヨラーだな」「マヨラーの土方さんですねwww」「これはマヨビームの柳楽くんですよね!」などと、“土方十四郎役・柳楽優弥”の続投を予想しているファンが多いようだ。なお、本作ではこれまで主人公・坂田銀時役の小栗旬をはじめ、菅田将暉(志村新八役)、橋本環奈(神楽役)、佐藤二朗(役柄不明)、岡田将生(桂小太郎役)、長澤まさみ(志村妙役)、エリザベス、ムロツヨシ(平賀源外役)、キムラ緑子(お登勢役)、中村勘九郎(近藤勲役)の出演が発表されている。『銀魂2(仮)』は8月17日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:銀魂2(仮) 2018年8月17日より全国にて公開©空知英秋/集英社 ©2018 映画「銀魂2(仮)」製作委員会
2018年05月25日LUSHの父の日限定コレクション発売イギリス生まれのハンドメイドコスメブランド「LUSH(ラッシュ)」では、2018年5月18日(金)より、父の日ギフトに最適な「Father’s Day Collection」の販売をスタートします。日々の仕事で疲れた身体を癒やすバスグッズや、お洒落なお父さんのための髭用ケアオイルなど、あなたのお父さんにぴったりのアイテムがきっと見つかるでしょう。個性的なアイテムの数々父の日コレクションには、「LUSH」らしくカラフルでユニークな商品が勢揃い。LUSHの定番商品バスボムには、「スーパーダッド」(税込780円)が登場。アメリカンコミックを思わせる色合いと「DAD」の文字で、お父さんを元気づけてくれるはず。サンダルウッドとオリバナムオイルの穏やかな香りで、バスタブを癒やしの空間にしてくれます。ハンドスピナー型のバブルバー「ファン フォー オール ザ ファミリー」(税込980円)。流れるお湯に当てるだけで、フルーティーな香りの泡が次々に現れます。フェイシャルオイルの「ビアード アンド スタブル オイル」(税込1,290円)は、髭用のオイル。手の熱で温め、少し溶かしてから使用します。オーガニックのイリッピバターとホホバオイルで、肌に優しい処方です。他にもシャワージェルや全身用せっけんなど、幅広いラインナップが用意されています。3種類のバスグッズが入ったギフトセットも。今年の父の日は、遊び心溢れるLUSHのアイテムを贈ってみてはいかがでしょうか。(画像はプレスリリースより)【参考】※株式会社ラッシュジャパンのプレスリリース(PR TIMES)
2018年05月15日●ドラマ版と映画版、また違った魅力に週刊少年ジャンプにて2003年から連載開始以降、絶大な人気を誇り、累計発行部数5,100万部を超えアニメ化も好調な漫画『銀魂』。パラレルワールドの江戸を舞台に、”天人”と呼ばれる宇宙人が登場し、攘夷戦争の時”白夜叉”と恐れられた 銀時が主人公として活躍する。とにかく「なんでもあり」で、関係者も「こんな漫画はなかなかない」という同作が、最終章に入った今、満を持して公開された。原作の中でも屈指の人気を誇る”真選組”は江戸の治安を守る特殊警察。dTVドラマ『銀魂 -ミツバ篇-』では、一番隊隊長・沖田総悟の姉、ミツバ(北乃きい)がヒロインとなり、真選組の活躍がメインに描かれる。マイナビニュースでは『銀魂』に関わる男性たちへの連続インタビュー企画「男達の銀魂道」を実施し、沖田役の吉沢亮に映画版、dTV版合わせて話を聞いた。○剣道と殺陣は別物だった――今回はdTVドラマ『銀魂 -ミツバ篇-』も製作されていますが、こちらの撮影はいかがでしたか?本編と同じ時期に撮っていました。原作の中で「ミツバ篇」と呼ばれている、沖田の姉が出てくる話です。映画では色々なキャラクターがいますし、それぞれのキャラクターが全部は描かれないのですが、スピンオフは土方(柳楽優弥)と沖田とミツバの話にもなってくるので、キャラクターをかなり掘り下げていただきました。原作の中でも、ミツバ篇が唯一、沖田の脆い部分が出てくる瞬間が描かれている長編だと思うので、そういう部分を演じることができたのはすごく嬉しかったし、ありがたいなと思いました。より人間ドラマにフォーカスされている話になっていて、映画本編のように馬鹿みたいに笑って熱くなってワクワクして、というのとはまた違った感動があると思います。真選組の関係を映し出されているシーンも多いし、映画とはまた別の見所を楽しんでいただきたいです。――撮影中に印象的だったことなどはありますか?僕、映画ではバズーカばかりで、一切殺陣をしてないんです(笑)。dTVドラマ版で土方さんと稽古するシーンがあり、人生初の殺陣をやらせていただきました。僕自身かなり熱も入りましたし楽しかったので、ぜひそこは注目していただきたいところです。――吉沢さんは剣道が得意と伺ってるんですが、殺陣はいかがでしたか。僕も「剣道をやってたからできるんじゃないか」って勝手に思ってんたですけど、全然違いました。周りの方からも「上手いんじゃないの?」と言われるんですけど、何もかも違うので、正直、そんなことないんです!(笑)しかも、”カキーン、カキーン”という殺陣じゃなくて、”シャシャシャシャシャー”みたいな、結構スピーディーで激しい動きをしていたので、本当に体力勝負でした。でも柳楽さんもすごいお上手でしたし、楽しかったです。●主役・小栗旬のブレなさに驚き○先輩のすごさを見て、いい経験を積んだ――周りの俳優さんもすごい方ばかりですが、映画版、dTVドラマ版含めて、撮影中にこの人のここがすごいと思った点はありますか。小栗(旬)さんも、(中村)勘九郎さんも、柳楽さんも、みなさんすごかったです。芝居を見ていると、やっぱり勘九郎さんはもうセリフ一つひとつがべらぼうにうまいし、「半端じゃない」と思いました。僕は『銀魂』の撮影に入る前から、舞台で勘九郎さんの作品を何回か観せていただいていて、「すっげ~人がいる」と思っていたので、勘九郎さんとやれたというのは役者として貴重な経験でした。小栗さんは見ていて、何ていうんだろう? 何回同じ芝居をしても、同じテンションでできる感じというか。すごくプロだなと思いました。僕は福田さんの現場で2回やらせていただきましたが、福田監督ってあまりカットを割らずに、複数台のカメラを一連で流して撮るというイメージだったんです。でも今回はワンカットワンカット割って、毎回角度を変えたりしながら撮っていて。芝居としては少しずつ進んでいく形になりますし、何回も同じことをやらなければいけない。そういう撮り方の中でも、小栗さんの芝居は本当にブレないし、同じテンションを通して演技をされていたので、やっぱりすごいなと思いました。――小栗さんは現場でもリーダーとして存在してくれる方と伺いました。小栗さん世代の役者さんって、みなさん兄貴肌というか。現場を引っ張るパワーがすごいなと、特に小栗さんを見ていて思います。みんながついて行きたくなる感じ。小栗さんはすごく、真ん中に立つ人だなって思いました。――自分もそういう風になりたいと思われたりしますか?いや~どうですかね! 僕はもう、端っこのところにいるタイプだと思いますよ(笑)。○冷静に見て「すげーな」と思う――ちなみに映画では、なぜか沖田のシャツがはだけてる、ちょっとしたサービスシーンみたいな場面が印象的だったんですが…。ありましたね(笑)。でも、あのシーンは完全に勘九郎さんの全裸が全てを持っていくので! 最高でした。撮影では前貼りも何もしていない、ガチ全裸でした。だいぶ面白いです。――それでは、改めて映画の見所を教えてください。すごく熱いし、これだけ豪華なキャストがどんどんどんどん出てきて、冷静に見たら「すげーな、この映画」と思うんです。なのに、くだらないギャグもやっている。面白いし、ずっと画面が華やかだと思います。原作ファンの方々にも楽しんでいただけるくらい、それぞれのキャラのクオリティも高くて、漫画やアニメの世界観も表現されていて、なのに福田監督らしいところは福田監督らしくて。最高のエンタメ映画になっていると思います。(C)空知英秋/集英社(C)2017映画「銀魂」製作委員会(C)2017dTV※「男達の銀魂道」、次回が最終回。小栗旬さんインタビューを掲載します。
2017年07月23日●ファンの”とてつもなさ”にビビる週刊少年ジャンプにて2003年から連載開始以降、絶大な人気を誇り、累計発行部数5,100万部を超えアニメ化も好調な漫画『銀魂』。パラレルワールドの江戸を舞台に、”天人”と呼ばれる宇宙人が登場し、攘夷戦争の時”白夜叉”と恐れられた 銀時が主人公として活躍する。とにかく「なんでもあり」で、関係者も「こんな漫画はなかなかない」という同作が、最終章に入った今、満を持して公開された。マイナビニュースでは『銀魂』に関わる男性たちへの連続インタビュー企画「男達の銀魂道」を実施。今回は、原作でも人気のキャラクター・沖田総悟を演じた吉沢亮に話を聞いた。キャストが発表されるやいなや「想像以上」と話題になっていた真選組キャラクターだが、吉沢自身はどのように捉えていたのか。○『銀魂』の異質さに特別なものを感じていた――『銀魂』映画化の話が来た時は、率直にどう思われましたか?僕、実は原作を読んでいなかったんです。ジャンプ作品は大好きで、『銀魂』の存在も知っていたんですが、すごく異質だなというイメージがあって、今まで触れていませんでした。沖田をやらせていただくと決まってから読みました。そしたら、すっごい面白くて。小・中学生が好きそうな下ネタもありつつ、パロディみたいなギャグもあり……やっぱり、異質ではありましたけど(笑)。ジャンプ作品の中でも、際どい場所をついているところに爆笑できるし、どの世代の人が読んでも好きになるだろうなと思いました。ただ調べていくとやっぱり、ファンの方がとてつもないですよね。熱狂的で、たくさんいらっしゃるので、ビビりました。――逆に特別な作品だったんですね。異質だなというのは、どこらへんにそう感じたんでしょうか。すごく熱いんだけど、本当に延々とくだらないギャグもやっているところです(笑)。他のラブコメやギャグ作品と比べても、全然違うと思いました。もしかして、空知先生もテンションで描いているのかな? と思う時もあって、それが超おもしろい。本当に、いい意味でくっだらない時もあるし、ギリギリを攻めるパロディもあるし、これを週刊少年ジャンプでやってるのがすごいなと思いました。――今回の沖田役については、もともとインターネットなどで「吉沢さんがいい」という声もあったみたいですね。本当ですか? 嬉しいです。発表された時も、この並々ならぬ有名人の方々と共に、僕がポツンと紹介されてる感じが不安でした……。「大丈夫かよ!」と思いました(笑)。「主役級!」と言われてキャストがバーンと出た時に、1人だけわからない人がいる、みたいな気がして、だいぶ怖かったです。あとは単純に、原作ファンの方にどう思われるのかが、1番気になりました。芝居をやっている時も、ずっと原作ファンに怒られたくないな、喜んでほしいなと思っていました。●少女漫画原作と、少年漫画原作に感じた違い○少年漫画はキャラクターが濃い――この後は同じ福田雄一監督×ジャンプ原作で映画『 斉木楠雄のΨ難』も公開されますし、漫画原作を実写化した映画を演じる機会も多いのかなと思いました。漫画原作、多いですね。最近は少年漫画をやらせていただく機会が多くなりました。それも『銀魂』から始まったんですが、連続して何作品か、少年漫画の実写化に携わることになりまして。今までの漫画原作とは全然違う感覚です。――今までの漫画原作というのは、少女漫画ということでしょうか。そうですね。僕の中では気を使うポイントも違いました。少女漫画原作の作品に出演するときは、原作を読みつつも、あえて意識しすぎずに、台本から感じたことを演技に盛り込んで来ました。それはやっぱり、実写化された時に原作とはまた少し違った世界観になり、ナチュラルさを求められるからです。でも少年漫画は出てくるキャラもすごく濃いし、見た目の部分でこだわるところが本当に多いですよね。これだけ原作を読みこんで、原作に踏み込んでキャラクターにこだわった役づくりをしたのは『銀魂』が初めてなので、いろいろなことを学ばせていただいた作品だと思っています。○この中に入れたのは大きかった――ちなみに演じられた沖田は”ドS”なところが人気のキャラクターでもありますが、吉沢さん自身にドSなところはありますか?僕はやっぱり、どちらかといったらSだと思います。Mではないですね。いじられたりするのが、あんまり好きじゃなくて、どちらかというといじっている方が好きなので(笑)。具体的にどういうところがSかといわれると難しいんですが、話していて「相手はこういう返事を求めているのかな」と思った時に、真逆のこと言ってみることもあります。「こういうことを質問するということは、多分こんな答えを求めているんだろうな」とわかると、全然違うことを言っちゃいたくなるんです。その時の、相手の反応を見たい(笑)。実は結構、あまのじゃくなところがあります。――でもそういうのって、どきっとしちゃいますよね。そうですか。ふふ(笑)――今年は出演作も多く、さらに飛躍をされるのではないかと注目されている吉沢さんですが、『銀魂』はご自身の中でどういう位置付けの作品でしょうか。やっぱり、『銀魂』は大きいです。作品的にもすごく注目されていると思うし、この中に入れたのは僕の中でも大きかったです。ここから何か始まるんじゃないかと、勝手に自分で思っています。相当なお祭り騒ぎになるんじゃないかな。作品も注目されているし、僕自身もたくさん取材していただいたり、興味を持ってもらっているという感覚も、桁違いで、本当にありがたいです。また、ここから少年漫画作品の公開が続き始めるので、楽しみにしていただければと思います。※「男達の銀魂道」、次回は引き続き吉沢亮さんに、dTVドラマ『銀魂 -ミツバ篇』などについてお話を伺います。
2017年07月21日こんにちは、宮城です。もうすぐ父の日ですね。父のことに想いをめぐらせていると、あれこれ出てくるエピソード。私の夢見がちでロマンチストなところは、父譲りだなとしみじみと感じます。そんな今日は、先日溜まった手紙をポストから取り出している時にふと思い出した、幼少の頃のある不思議な出来事についてお話しますね。■ 小さな私に届いた、神さまからの手紙私がまだ小さかった頃の、ある日のお話。森の中にある私の家の小さなポストに、私宛ての1通の手紙が届きました。青い万年筆で書かれたその手紙の差出人は、なんと「守り神さま」。いつも見守っていますよ、というような内容だったことを覚えています。それからというもの、時折届く神さまからの手紙。どこに出せばいいか分からない神さまへのお返事をしたためては、住所も書かず、切手も貼らないまま家のポストに入れてみたりなんかして。(そして、いつの間にかなぜかなくなる。)そうして幼き私は、神さまと少しの間だけ文通をしたのでした。その青いインクの万年筆の筆跡が父のものと明らかに似ていると気がついたのは、それからずいぶんと経ってから。サンタさんの正体を知ってしまった時の衝撃よりかはいくらか和らいで受け止めることができた「守り神さまからのお手紙」事件は、今となっては思い出せばなんだかほっこり心が温まる、私が大切にしている幼少期のエピソードです。■ 今年の父の日は・・・そんな父に今年贈りたいのは、書斎の本棚に飾って欲しい「縞笹の苔山」。本が山積みでなんだか風通しも良くない父の書斎に、これならちょっとした涼を届けてあげられると思うから。変わらず青いインクの万年筆を好む父に。伝えきれない「ありがとう」を込めて、今年贈りたい父の日ギフトです。=写真:中島文:宮城=暮らしのはなし アンジェのはなし 【ご紹介した父の日ギフトはこちら】「縞笹の苔山」
2017年06月06日木村拓哉が主演で“愛しい人の命”と“かけがえのない人生”を巡って繰り広げられるヒューマンラブストーリー「A LIFE~愛しき人~」の第8話が3月5日(日)今夜TBS系でオンエアとなる。外科医・沖田一光(木村さん)と「壇上記念病院」の院長の娘・壇上深冬(竹内結子)は元々恋人同士だったが、沖田の幼馴染みで親友の壇上壮大(浅野忠信)によって沖田は病院を追われ渡米することになる。渡米した沖田は海外で執刀経験を重ね“職人外科医”となるが、その間に壮大は深冬と結婚、「壇上記念病院」の副院長となっていた。沖田は深冬の父で「壇上記念病院」院長の壇上虎之助(柄本明)を救うべく帰国。そこで壮大から深冬が手術が難しい脳腫瘍であることを告げられ、彼女を救うため日本に残る決意をする。しかし深冬に腫瘍のことを告知することができないまま時間が過ぎ、深冬の病状は悪化の一途をたどる。なかなか手術法が見つからず苦悩する沖田だが、沖田と壮大、2人だけの秘密だった深冬の病状は、同僚の心臓血管外科医・井川颯太(松山ケンイチ)や、沖田が信頼を置く一流オペナース・柴田由紀(木村文乃)の知るところに。さらに深冬自身も自らの病について知っていたことを明かす。前回の放送で手術法に苦悩する沖田に深冬は「神経を犠牲にしてでも生きたい」と、愛するわが子のため医者としての未来を捨てる覚悟を決めるが、沖田にはそれは到底受け入れられない決断だった。壮大は治療の道が見えない苛立ちを病院の顧問弁護士・榊原実梨(菜々緒)にぶつける。そして沖田はついに神経を傷つけない治療法を発見、「絶対にここに戻す」と深冬に告げるが、同じころ壮大の愛人で壇上記念病院の顧問弁護士・榊原実梨(菜々緒)は病院の全体会議で深冬の腫瘍について暴露。リスク管理ができてないと壮大の責任を問う…というのがこれまでの物語。ついに院内に知られることになった深冬の病状。娘の脳腫瘍を知った虎之介は怒り狂い、壮大と沖田を責めるが、沖田は手術法を詳しく説明、「大丈夫」と言い切り、手術に備え準備を進める。そんなとき、沖田の父・一心(田中泯)が心臓を患い倒れた。近親者の手術を行わない通例に従い羽村(及川さん)が一心の手術を行うことになるが、一心は沖田に執刀を迫る…というのが今回の第8話のストーリー。深冬、そして自身の父親…沖田はどうするのか。「A LIFE~愛しき人~」第8話は3月5日(日)21時~TBS系にて放送。(笠緒)
2017年03月05日トリプル発達障害の沖田×華さんが描く、発達障害と共に生きる日々出典 : 皆さんは「障害者」という3文字からどんなイメージを浮かべますか?かわいそうな人?大変だけど頑張っている人?今回ご紹介する方は、みなさんが抱いているであろう、様々な障害のイメージを覆すかもしれません。アスペルガー症候群(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の「トリプル発達障害」を公言する漫画家の沖田×華(おきたばっか)さん。彼女が描いた漫画『毎日やらかしています。』『ますます毎日やらかしています。』に登場するのは作者の沖田さんの他、発達障害を持つご友人や、その傾向が感じられる皆さんで、彼らの“やらかしエピソード”がいくつも綴られています。元々は、ギャグマンガ雑誌に連載されていたということもあり、その内容は面白おかしく、悲壮感がありません。ASDでADD、計算障害を持つ、やはり「トリプル発達障害」の私が読んでみて、「あるある~!」と共感できたかというと、意外とそうでもなかったのですが(笑)、「そういうふうに考えちゃうのは理解できる」という内容ばかり。特に自動車学校でのADHDらしいエピソードには、大笑いしながらも「ああ、発達障害の人って、こういう考え方からこういう言動になっちゃうんだね」と、1つのパターンを感じられました。発達障害を持つ漫画家、沖田×華(ばっか)さん(1)看護師修業、コミュニケーションや数字で苦労してでも、最初から「障害」を面白おかしく受け止めていた訳ではなかった出典 : さてそのようにして、失敗を笑いに変える作風の沖田さんですが、昔から自らの特性をポジティブに捉えていたのでしょうか?「看護師やっていたときは発達特性が全て欠点になっていた」「何もかもダメで、自分のことを否定し、悔やんでばかりいた」『ますます毎日やらかしています。』に収録されている対談の中で、沖田さんはそのように過去を振り返り、自殺をしようとしたことも明らかにしています。沖田さんは他の作品やテレビ出演した際にも、特性やご自身の過去について語っています。それを見聞きしていると「それだけ失敗してダメな人扱いされたら、そこまで思いつめても仕方ないよな…」と、他人ながらにして思ってしまうほどです。しかし、そういった体験を「面白い」と言ってくれる人と出会い、漫画家になったことで、「あのときは辛かったけど良かったな」と、自分の障害を肯定的に捉えられるようになったのだと語っています。誰しもが障害を笑いに変え、漫画家になれるわけではありませんし、すぐに特性を長所として活かす方法が見つかるとは限りません。でも、沖田さんが命を断ちたいとまで追い詰められた苦しい日々が、他の誰かにとっては面白い漫画のネタになりそう、と感じられるものであったように、自分では嫌でたまらない側面が、実はその人らしい魅力として他の誰かの目には映っているのかもしれません。今でこそ、障害特性について肯定的な内容のコラムを書いている私ですが、これまで失敗やトラブルが少なかった訳ではありません。むしろ落ち込み、自責することもしょっちゅうでした。だからこそ、発達障害の診断が下りたとき「工夫でカバーできる面もあるし、それでも失敗したら他のやり方を考えたらいいや」とポジティブに捉えるというか、ある意味開き直ることができ、今に至るのです。そういった自分自身の経緯もあって、「さんざん悩んだんだし、もう笑い飛ばしちゃっていいんだよね!」と、沖田さんの漫画を読んで励まされたような気持ちになったのでした。「障害」?「障がい」?沖田さんの障害の捉え方とは出典 : もうひとつ漫画の中で、とても印象的なやり取りがありました。こちらは『毎日やらかしています。』のあとがき漫画での、アシスタントさん(障害のある息子さんがいる)と沖田さんの会話です。「障害のことを“障がい”という表記にしたところで差別がなくなるわけではない。その前に、健常と障害は区別であって、差別で使っている人は恐らく少ない。わざわざ字を変えようと思うこと自体が差別的」というような内容でした。実際私も「“障害”という文字のイメージが悪いから、表記もしくは呼び方そのものを変えましょう」という風潮には首を傾げていました。確かにイメージは大切です。でも、文字表記や呼称といった表面的なものを変えたところで、中身が変わるわけではありませんし、差別する人がいたとして、「“障害”という文字だから」という理由ではないでしょうから、あまり意味がないように思えてしまうのです。「大変なのは社会と自分の間にあるズレであって、そのズレが“障害”。それをいかに埋めていくかが大事なのであって、ひらがなにするだの呼び方を変えるだの、はっきり言ってどうでもいいよね(笑)」と、障害当事者の友人たちとよく話しています。私に至っては、どうでもいいどころか「差別されがちな人」として一線を引かれたような気すらしてしまうのです。これは、自分を含めた周囲の障害当事者のほとんどが、“障害”という表記及び呼称に差別的な何かを感じていないからこその感想なのかもしれませんが…。なんてことを思いながら漫画を読み進めていたら、「どうせ変えるんなら“発達障害”の呼び名を“逸脱戦隊”にしちゃうとか!!」と沖田さん。笑いに落とし込もうという姿勢が徹底しています。逸脱戦隊、いいなあ。なんかかっこいいし、楽しい!障害のあるなしに関わらず、みんなが生きやすい方法はきっとある出典 : 『毎日やらかしています。』『ますます毎日やらかしています。』の世界に、「遠い世界にいる、差別されやすい可哀そうな人」はいませんでした。誤解されたり不便さを感じたりもしつつ“自分なりの普通”を生きている方ばかり。沖田さんの意図はわかりませんが、“やらかし”をコメディータッチで描くことで、特性がチャーミングに、そして発達障害当事者の方々が身近な存在に感じられてくるのです。まるで「発達障害者って特別じゃないんだよ!」と微笑みかけられているように。「うちの旦那、こういうところある!」「私は定型発達だけれど何となくわかる…」そんな風に、自分やご家族と照らし合わせて読むのも楽しいかもしれません。また、発達障害専門家のコラムや対談、沖田さんなりのトラブル対処法も載っているので、自分なりの工夫を見つけるヒントにもできますよ。そうそう、ちょくちょく下ネタが出てくるので、苦手な方はご注意ください!毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で沖田×華著
2016年09月26日松井玲奈が沖田総司を演じる舞台『新・幕末純情伝』の制作発表会が5月18日、都内で開かれ、松井玲奈、石田明(NON STYLE)、細貝圭、早乙女友貴、味方良介、荒井敦史、伊達暁、永田彬、演出の岡村俊一が登壇した。舞台『新・幕末純情伝』チケット情報本作は劇作家・つかこうへいの代表作のひとつで、新撰組の沖田総司が実は女だったというユニークな着想のもと1989年に上演された。その後も、「この作品は代々、次代のヒロインと言われる方々が(沖田を)演じて、もう30年近くなります」(岡村)というように、広末涼子や石原さとみ、桐谷美玲らが演じ、松井は9代目。沖田の相手役・坂本龍馬は石田明が演じる。松井は本格的な舞台は初挑戦。すでにひとりで殺陣の稽古を始めているそうで「初心者なので。出演者の方々はアクションがすごくできるって聞いて、足を引っ張らないように、いいものを観ていただけるように殺陣の練習はしております」と気合を見せた。石田も「歴史のある舞台。今までやってきた方々に恥じぬよう、なんやったら今までの演者に勝てるように、一心不乱にがんばりたい」と話した。メインのふたり以外はまだ役が決まっていない、という話から岡村は「(石田が4月に)骨折したので、石田くんの役も今考え直してる」と発言。石田が「僕今必死ですよ。骨折を直すために松井秀喜とかベッカムがやっている治療法全部やってるんですから!」と慌てると、共演者は大爆笑だった。岡村は「力のあるものが勝つ、というのはつかさんの遺言」「これは殺し合いの物語なので、誰より誰が強いか、というのが重要」と配役について説明した。会見後、松井、石田、岡村の囲み取材では、岡村は「松井さんは頭がいいんですよ。台本を読んでの印象を聞いても非常に解析力がある」と絶賛。会見中に話題になった石田の骨折については「でも、右手がダメながら左手があるし、左手がダメなら(刀を)口でくわえてもいいし。そういういろんなことが起きても立ってる姿を見せるのが演劇だと思っている」と話した。松井も「(本作の出演が決まり)周りの方からすごいね、楽しみにしてるよって言われて、初めてことの重大さに気付いて。みなさんの期待以上のものにできるように頑張らないといけない」と決意を述べた。つかこうへい七回忌特別公演舞台『新・幕末純情伝』は、6 月23 日(木)に東京・天王洲 銀河劇場で開幕。命日でもある7月10日を挟みつかこうへい縁の東京・紀伊國屋ホール含む3会場で上演。取材・文:中川實穗
2016年05月20日『キツツキと雨』『横道世之介』で高評価を集めた沖田修一監督が新作『滝を見にいく』を完成させた。本作はオーディションで選ばれたプロ・アマ混合の出演者たちが主演で、山の中で迷子になった7人のおばちゃんのサバイバル劇だ。その他の写真本作はそもそも、プロデューサーから「出演者でワークショップをして映画を撮りませんか?」という提案が沖田監督に持ちかけられたところから始まった。しかし、「ワークショップというと若い人のものというイメージなんですけど、40歳の人でも50歳の人でも“新人俳優”というジャンルに入るんだろうな、と思った」という監督は、演技経験を問わずに年配の女性ばかりをキャストに選ぶことにした。「最初はもう少し楽をする予定だったんですけど、キャストの方とワークショップというか稽古をしていくうちに今までの映画と変わらないことに気づきまして、最初は『よーい、スタート』の声をかけないで撮影してみるとか、色々としてたんですけど、結局はこれまでの映画とほとんど変わらない感じで撮影してましたね。みなさん、妙に上手かったんですよね(笑)」。物語は、幻の大滝を見にいくツアーに参加した7人のおばちゃんがガイドとはぐれ、山で迷子になるところから始まる。沖田監督はキャストの個性や特徴を活かしながら脚本づくりをしたそうで「そういう風に俳優にとって有利になるような脚本づくりをしたことも、芝居をしていく上では良かったんじゃないかと思います」と振り返る。「最初からラストは決めていたので、タイトルも『滝を見にいく』にしました。実際に出てくる滝は……自分では面白いと思ってます(笑)。最初はロケハンでもうちょっと荘厳な滝もたくさん見たりしたんですけど、どうしても観光地っぽい感じがしてしまうので、おばちゃんたちが見る滝はこれだろうな、と」。おばちゃんたちが山でのサバイバルを経て、ラストで一体、どんな滝を見ることになるのかも注目だ。商業映画デビュー作『南極料理人』から演技派俳優たちとタッグを組んで、大規模な映画作りを続けてきた沖田監督は「この映画はこれまでとは違った楽しさがあった映画」だという。「オーディションの段階からみんなと色々と話し合いしながらできましたし、自分では映画の規模の大小はわからなくなってきてるんですけど、僕の映画が好きな人って映画の中の“ささいなところ”が好きだという人が多かったりするんですけど、そういうものがつまった映画なので、これまでの映画が好きだった人には楽しんでもらえると思います」。『滝を見にいく』公開中
2014年11月28日株式会社ゲインは全国の父親500名に聞いた「父の日に関するアンケート調査」の結果を発表した。世のお父さんたちは父の日に何を期待しているのだろうか?■お父さんが父の日に期待することは?父の日に期待することは何かという質問に対し、「家族だんらんの時間」と回答した父親は54.8%に上った。年代別に注目すると、最も家族だんらんの時間を期待しているのは20代(65.0%)という結果に。また次点には「おいしいものを食べること」(34.0%)が上り、プレゼントなどのモノよりも、家族全員でできることを期待する父親が多い傾向にあることがわかった。■父の日に行きたい外食は?父の日に家族そろって外食に行くなら何を食べたいかという質問に対し、約6割の父親が「寿司・回転寿司」と回答している。次いで「焼肉」(39.2%)、「ファミリーレストラン」(18.0%)という結果になった。父の日に家族と行くお店選びで特に重視する点は、「家族の好きな食べ物がある」(53.4%)「自分の好きな食べ物がある」(48.2%)と、幅広い年代の食の好みをカバーする飲食店が選ばれる傾向にある結果となった。■今年の「父の日」の出費は?今年の「父の日」を家族と過ごす際の出費についてという質問に対して、「できる限り出費を抑えたい」(23.2%)、「できれば出費を抑えたい」(37.2%)と、約6割の父親が出費を抑えたいと回答している。家族だんらんを期待しながらも、家族行事に満足にお金を掛けられない父親の経済的な実情がうかがえる結果となっている。■調査概要調査方法 :インターネットリサーチ調査対象 :全国20~60代の既婚男性(子供有)調査時期 :2014年5月30日~6月2日集計対象社:500名(20代100名、30代100名、40代100名、50代100名、60代 100名)引用元: PRTIMES
2014年06月14日開催中の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」において、スカパー!と衛星劇場の主催で行われるプログラム上映で3月1日(土)、映画『南極料理人』が上映され、沖田修一監督がトークショーを行なった。南極観測隊の料理担当で実際に南極に赴いた西村淳のエッセイを元に、ドームふじ基地の観測隊の面々の非日常的な日常をコミカルに描いた本作。本映画祭のメイン会場前に作られたドーム型の特設会場ホワイトロックという、まさにこの映画にピッタリの場での上映に多くの観客が足を運んだ。エッセイの映画化ということで起きた監督は当初「どうやって?」と思ったそうだが、同時に「観測隊をコメディタッチで描いた作品はなかったので面白そうだと思い、ワクワクしながら脚本を書いた」とふり返る。撮影は北海道で行われたが「どこで撮るんだ?と思いつつ、脚本に“大雪原”とか書いて、あとで何とかなるだろうと(笑)。野球のシーン(隊員たちが大雪原で野球をする)は網走湖で撮ってます」と明かした。次々と登場する食事も重要な要素だが「堺(雅人)さんが演じた西村がもてなす感じから、流れの中で食事を通じて“家族”になっていくのを見せたかった」と沖田監督。特に終盤の食事シーンは長回しで撮影されており「堺さんが母、生瀬(勝久)さんが父で高良(健吾)くんが末っ子…」など家族設定を決めた上で進められたが「台本には『いただきます』までしか書いてなかった」とのことで、その後は俳優陣のアドリブで進んだというエピソードも明かされた。本作の後、『キツツキと雨』、『横道世之介』と話題作を送り出してきた沖田監督だが、この秋には新作『滝を見に行く』の公開が控える。この作品のヒロインは「7人のおばちゃん」。これまで全く演技経験のない人も含め、40歳以上の女性を監督がオーディションでキャスティングしたという独特の作品で、78歳の女性、シニア劇団所属の女性、役所の観光課に勤める女性など様々な女性が出演。物語は紅葉狩りツアーに出かけた7人の女性が山で遭難する様子を描いており、沖田監督は「『ゼロ・グラビティ』と同じです!」と宇宙での遭難を描いたアカデミー賞有力作の名を挙げ、会場は笑いに包まれた。撮影は新潟の山奥で行われたが、沖田監督は「台本は書きましたが、オーディションで感じた魅力を組み込んで、約半分、人間半分で描いてます。『グーニーズ』的なことをやりたかった」と語っていた。「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」は3月3日(月)まで開催。(黒豆直樹(cinema名義))
2014年03月02日女優・桐谷美玲が初舞台にして主演を務める『新・幕末純情伝』の公開稽古と会見が6月21日、都内稽古場にて行われた。本作は新撰組の沖田総司が実は女だったという設定で、幕末の志士たちの青春を描いたつかこうへいの代表作。1989年の初演以来、広末涼子や石原さとみら名だたる女優が演じてきた紅一点、沖田総司役の7代目に選ばれた桐谷。CMやドラマ、ニュースキャスターなどマルチに活躍している彼女の新境地に注目が集まる。『新・幕末純情伝』チケット情報この日、初めて稽古に参加した桐谷は、刀を持つのは初めてと言いながらも報道陣の前で鮮やかな殺陣を披露。「めっちゃ緊張してます。男性の中にひとりだけという環境も初めてなんですよ。最初は慣れない部分もありますが、みなさんいろいろ優しく教えてくださるので助けてもらおうかなと思ってます」と抱負を語った。そんな桐谷の姿をみて坂本龍馬役の神尾佑は「立回りははじめからすぐにできるわけでもなく、練習するのみ。芝居の基礎はできているのでそこは問題ないです。声の質がこの役に合っている」と桐谷を褒め、土方歳三役の鎌苅健太も「今日初めて美玲ちゃんの立回りを見て鳥肌立ちました!儚いというか切ないというか。素敵でした」と絶賛。そばで聞いていた桐谷が恥ずかしそうに俯く場面も。役作りについて訊かれた桐谷は「まずは立回りですね。殺陣がきれいに決まらないとカッコよく見えないので必死にやりたいと思います。(演出家に)腹筋をやっておけと言われたので、1日100回やっています」と意欲をみせた。また、初舞台への挑戦については「この舞台をやり終えた後に、ひとつ自分が進めたなと思えるように一生懸命やりたいです。初めてって1回しかないので。みなさんに温かく見守ってもらいつつ、楽しんで見て欲しいと思っています」と語った。2010年にこの世を去ったつかこうへいの三回忌にあたる今年。新たな『新・幕末純情伝』の誕生に期待したい。公演は7月12日(木)から22日(日)まで東京・シアターコクーンにて上演。チケットは発売中。
2012年06月22日人気小説家・吉田修一著による青春感動巨編を、主演に高良健吾、ヒロインに吉高由里子を迎えて『南極料理人』、『キツツキと雨』の沖田修一監督がメガホンを取り実写映画化する『横道世之介』。このほど新たに、池松壮亮、伊藤歩、綾野剛ら若手実力派俳優3人の本作への出演が明らかとなった。『悪人』や『パレード』の原作者としても知られる吉田修一の同名人気小説を原作にもつ本作。1980年代を舞台に、上京したての大学生・横道世之介の日常と、彼を取り巻く人々の生活を優しいタッチで描く。今回出演が決定したのは、いまがまさに“旬”の3人。世之介の大学の友達・倉持一平を、『ラスト サムライ』でハリウッド・デビューも果たした池松壮亮、世之介が憧れる年上女性・片春千春を、『ソラニン』や『GANTZ』など話題作への出演が相次ぐ伊藤歩が演じる。そして女性に興味がない世之介の同級生・加藤雄介を、現在放送中のNHK連続ドラマ小説「カーネーション」での活躍で脚光を浴びている綾野剛が演じる。徐々に明らかにされていく映画『横道世之介』の世界。心温まる人間模様を独特のユーモアと世界観で描くことに定評のある沖田監督の指揮のもと、若手実力派俳優たちがどのような化学反応を起こしてくれるのか、公開を楽しみに待ちたい。『横道世之介』は2013年、全国にて公開。■関連作品:横道世之介 2013年、全国にて公開■関連記事:『蛇にピアス』コンビ復活!高良健吾&吉高由里子で吉田修一の青春小説を映画化
2012年03月15日