舞台『Starry☆Sky on STAGE』SEASON2~星雪譚ホシノユキタン~が、2020年1月15日(水)から26日(日)まで、東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演される事が決定した。honeybeeが贈るドラマCD、乙女ゲームなどからなる女性向けメディアミックス作品シリーズの舞台化となる同公演。今年の7月に初めて舞台化され、大好評を博した。今回の舞台は、公演前半の日程では冬に行われる舞台オリジナルの学園行事に向けた物語(星公演)となっており、公演期間最後の週末で、その学園行事がメインとなった(雪公演)エンターテインメントショーが中心の舞台となっている。また、今回の公演では出演者による舞台オリジナル曲が披露される。脚本は、前回に引き続き錦織伊代氏が担当。総合監修として松崎史也氏が務める。チケットは、10月26日(土) 昼12:00よりぴあ・いち早プレリザーブ、11月12日(火) 昼12:00よりぴあ・プリセールの受付が開始。■『Starry☆Sky on STAGE』 SEASON 2 ~星雪譚 ホシノユキタン~公演日程:2020年1月15日(水)~26日(日) 全16回予定劇場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA脚本:錦織伊代(アイデアフラッド)総合監修:松崎史也振付:石岡貢二郎(K-DanceNexus)キャスト【Spring】 土萌羊役:坪倉康晴 / 七海哉太役:田中尚輝 /東月錫也役:國島直希【Summer】金久保誉役:阿瀬川健太 /宮地龍之介役:古谷大和(星公演のみ映像出演)/木ノ瀬梓役:橘りょう【Autumn】 星月琥太郎役:青木一馬 /水嶋郁役:丸山ナオ /陽日直獅役:輝山立【Winter】 天羽翼役:桜庭大翔 /青空颯斗役:二平壮悟/不知火一樹役:杉江優篤神楽坂四季役:榊原徹士夜久月子役: 竹井未来望白銀桜士郎役 : 鈴木翔音犬飼隆文役 : 佐藤和斗/小熊伸也役 : 瑞野史人/ 白鳥弥彦役 : 高橋凌
2019年10月16日山本亮太(宇宙Six/ジャニーズJr.)が主演を務める舞台『相対的浮世絵』が10月25日(金)に開幕する。稽古場にて、出演者の石田明(NON STYLE)、玉置玲央、山西惇に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、土田英生が脚本・演出を手掛け2004年に初演されたヒューマン・コメディ。3度目の上演となる今回は青木豪が演出を手掛け、山本亮太、伊礼彼方、石田明、玉置玲央、山西惇が出演する。山西が「初日から挨拶もそこそこに、最初から最後まで読み合わせ(台詞だけを合わせる稽古)をしました。出自がバラッバラの5人やから、どうなるのか楽しみにしていたのですが、実際に読んでみると、それがいい感じになっていた」と話すように、ジャニーズJr.の山本、ミュージカルの伊礼、お笑いの石田、小劇場中心の玉置、映像からミュージカルまで出演する山西と、実に幅広い面子が揃う5人芝居。玉置も「舞台が六角形になっているのですが、僕はそれが格闘技のリングみたいだなと思っていて。この芝居が、いろんなジャンルの役者の殴り合いみたいになったら面白いのかなと感じています。それぞれが持っている技術も感覚も全然違うので、それが楽しんでもらえたらと思う。でも内容はほっこりするんですけどね(笑)」と、この5人ならではの化学反応を期待する。生きている人間と死んだはずの人間が再会する物語。笑えて「温かいのにエグい」(石田)という内容について、石田は「きれいごとがない作品だなと思います。人間のあかんところも肯定してもらえる。だから、お客様もその日の心のコンディションによって見え方が変わると思いますよ。そして演じる側も“今日はこの人の話になったな”ってことがあり得る」。山西も「登場人物みんながダメやからね(笑)。そこを重ね合わせて“生きててもいいんだな”と思ってもらえると、それは演劇のひとつの役目かなと思う」と語る。実際に稽古が始まって玉置は「この5人は一緒にいて居心地がいい。“(芝居の)やりとりをもっとしたい”って思うんです」と、既にいい関係が始まっている様子。残りのメンバーの山本と伊礼の様子について山西は「ふたりは兄弟役なのですが、今は兄弟になろうとしてる感じで。お互いがどういう兄でどういう弟でっていうのを探っている感じがかわいらしいです」。この5人と青木がつくりあげる『相対的浮世絵』がどんな作品になるのか、楽しみに待ちたい。公演は10月25日(金)から11月17日(日)まで東京・下北沢本多劇場、11月22日(金)から24日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WW ホールにて。取材・文:中川實穂
2019年10月16日劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)の第57回本公演『ピースフルタウンへようこそ』が、10月11日に東京・サンシャイン劇場にて開幕。その初日公演に潜入した。【チケット情報はこちら】劇団創立40周年記念となる本作は、座長の三宅裕司が演出を、SET本公演では三作目となる吉高寿男が脚本を手掛け、「幸福」をテーマに描かれた作品。人気の高級住宅街・青金台(あおがねだい)と寂れた素裸無町(すらむちょう)を舞台に、そこで暮らす人々の姿から、本当の平和とは?幸福とは?人間とは?を問う物語で、SETの“ミュージカル・アクション・コメディー”の集大成ともいえるエンターテインメント作品となっている。「あなた今、幸せですか?」という台詞から始まる舞台。絵に描いたような幸せそうな暮らしを送り“ちょっとしたことでも歌って踊りたくなる”という青金台の人たちの生活と、困窮していて喧嘩も多いが誰もが正直でどこかのびのびとした雰囲気の素裸無町の人たちの生活を対比するように物語は進んでいく。青金台の出来事は、突如としてミュージカルが始まるのがおかしい。SETならではの歌やダンスのクオリティはやはり魅力で、今回はさらに三宅と野添義弘というベテランコンビのハーモニーも聴けるのでぜひ注目を。素裸無町の面々は歌わないぶんテンポのいい芝居で見せるが、このやりとりもSETならではの息の合い方。後半には華やかなアクションシーンもあり、小倉久寛らベテラン勢の若手に劣らぬキレの良さも見どころだ。もちろん恒例である三宅VS小倉の丁々発止のやり合いも。旗揚げメンバーから若手まで、それぞれがさまざまに活躍している姿に、40周年の劇団ならではの層の厚さを感じた。クライマックスにはこの40年、劇団が作り続けてきたものに思いを馳せずにはいられない展開も。「幸福」とはなにか、ぜひ劇場で目撃してほしい。カーテンコールで三宅は「40周年を迎えましたが、これからも体力が続く限りやっていこうと思っています。お客様が楽しくて元気が出るような作品をつくっていきたい」と挨拶。また、旗揚げ公演は「お客さんが7人、出演者が15人だった」と明かし、小倉も「旗揚げ公演のことを思うと、(40年後に)この劇場でこんなにたくさんお客様が入って、やっているとは思わなかった」と感慨深く振り返り、「三宅さんが『終わってから飲みに行く』って言うんですよ。『俺を褒めてやるんだ』と言っているのを聞いて泣きました」と語った。思いもよらない展開が次々に巻き起こる本作は、10月27日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演後、11月8日(金)・9日(土)に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT、11月13日(水)・14日(木)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールを巡演。取材・文:中川實穗
2019年10月16日東京バレエ団が、世界的に活躍する振付家、勅使川原三郎に委嘱した『雲のなごり』を世界初演する。約2週間後に初日を控え、勅使川原によるリハーサルが公開された。この作品には、東京バレエ団から5人のダンサーたちが出演、演出助手で共演もする佐東利穂子とともに、勅使川原との創作に取り組んでいる。リハーサルの冒頭、「いま私たちは、音楽に対しての理解を、誤差のないように、ともに同じ身体言語で捉えようと稽古しています」と語った勅使川原。音楽は、武満徹の『地平線のドーリア』(1966年)と『ノスタルジア-アンドレイ・タルコフスキーの追憶に-』(1987年)、本番ではオーケストラの生演奏が実現する。その独特のサウンドがスタジオに響くと、ダンサーたちはたちまち身体を反応させる。2016年の勅使川原演出のオペラ『魔笛』に出演し、彼の世界は経験済みというダンサーもいるが、皆一様に手探りの状態でのスタート。そんな中にも時折、目を見張るほど美しい瞬間が立ち現れる。創作のプロセスは順調に進んでいるようだ。【チケット情報はこちら】リハーサル後の記者懇親会で、「このような機会をいただき、とても嬉しい。悩むことなく武満さんの音楽でいきたいと思った。『地平線のドーリア』には、独特の、直観的な、身体的な感じを受けていた」と話す勅使川原。藤原定家の歌「夕暮れはいずれの雲のなごりとてはなたちばなに風の吹くらむ」に着想し、「はじまりもおわりもないことがありうるのではないか」と、創作にのぞむ。佐東も、「武満さんの音楽を初めて聴いた瞬間、身体が衝撃を受けたことを思い出します。あらためてこの音楽を捉えなおし、向き合いたい」という。同席した東京バレエ団の斎藤友佳理芸術監督は、「東京バレエ団での新作の初演は、ノイマイヤー振付『時節の色』以来19年ぶり。創立55年でようやく日本人振付家の方に振付をお願いできることになった」と感無量の様子。ダンサーたちも、「どれだけ新しい世界に自分が入ることができるか、挑戦です」(沖香菜子)、「苦戦と模索の日々だが、作品ができる場にいられることは、ダンサーにとっていい経験」(柄本弾)、「稽古場で勅使川原さんが言われる言葉を素直に受け取り、自然と作品になっていくことを目指したい」(秋元康臣)と意欲的。勅使川原も「私が上から色を塗るのではなく、皆の中から何かを引き出すことがこの作品の第一の目的」と、彼らの可能性に賭ける。同時上演は、バランシン振付『セレナーデ』とベジャール振付『春の祭典』。勅使川原の新作とともに、趣の異なる現代の傑作がずらりと並ぶ。公演は10月26日(土)、27日(日)、東京文化会館にて。チケットは発売中。取材・文:加藤智子
2019年10月15日帝政ロシア時代、最後の皇帝ロマノフ2世の末娘で、唯一の生き残りと言われるアナスタシア。1997年には彼女を主人公にしたアニメ映画『アナスタシア』が発表され、さらにそこから着想を得て制作されたのが、ミュージカル『アナスタシア』だ。ブロードウェイを皮切りに世界各国で上演を重ねるこの話題作が、ついに日本上陸。そこで主人公のアーニャをWキャストで演じる、木下晴香に話を聞いた。【チケット情報はこちら】『ロミオ&ジュリエット』や『モーツァルト!』など、話題のミュージカルに立て続けに出演、その透明感のある歌声でいずれも好評価を得てきた木下。さらに映画『アラジン』では、プレミアム吹き替え版でのヒロイン・ジャスミン役を演じるなど、役者としてのステップを着実に上り続けている。「『アラジン』のお仕事をやってから、声だけの表現という初めての世界を経験し、言葉の大切さを改めて感じました。それは今後の舞台にも必ず生きていくことだと思います」木下演じるアーニャは、記憶を失いつつも、家族とともにサンクトペテルブルグで健気に生きる少女。そんな彼女が自らの過去を取り戻すため、詐欺師のディミトリと共にパリへと旅立つことから物語は大きく動き出す。「今回のオーディションの時、“アーニャに求める人物像”というものを聞かされたのですが、それがとても強烈だったんです。まず『おとぎ話のプリンセスのような人材は求めていない』と。えっ、いない!?あっ、はいっ!みたいな(笑)。そして『逞しく、自尊心を持った強い女性であり、記憶をなくしてもひとりで生き抜いてきたサバイバーである』とも。それは自分が演じる上での軸にもなると思います」その壮大な世界観に加え、衣裳や最新の舞台装置など、「目で見てすごく楽しい作品」と語る木下。これだけの大作への出演を前に、木下が自身への課題として掲げていることとは?「ミュージカルの世界に入ってひとつ目標にしていたのが、主演であったり、タイトルロールであったり、そして日本初演の作品に携わるということ。今回日本で初めてアーニャを演じるということで、やはり私たちにしか出来ないもの、日本のキャストがやるということに意味を持たせていけたらいいなと。もちろん海外のクリエイティブチームの皆さんとたくさんコミュニケーションを取り、あちらのアプローチをリスペクトしつつ。そしてこれが日本初演のアーニャだと胸を張って舞台に立てるよう、頑張っていきたいです」公演は3月1日(日)より東京・東急シアターオーブにて開幕。取材・文:野上瑠美子
2019年10月11日宝塚歌劇月組公演『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』が、10月4日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。日本オーストリア友好150周年記念として贈る本作は、『エリザベート』や『モーツァルト!』など、日本でも人気の大ヒットミュージカルを生み出したウィーン劇場協会が2017年に現代のオーストリアを題材に制作した作品。オーストリア以外の国では初上演となる。宝塚歌劇月組 日本オーストリア友好150周年記念 UCCミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』チケット情報舞台はウィーンにある老舗の四つ星ホテル「ホテル・エードラー」。ホテルの御曹司ジョージ・エードラーとハリウッド女優エマ・カーターとの恋と葛藤を軸に、家族への愛、故郷への想いを描いたハートウォーミングな物語だ。映像を取り入れた演出で、幕開きからワクワクさせられる。楽曲には、オーストリアの国民的シンガーソングライター、ラインハルト・フェンドリッヒのヒット曲を使用。心弾むものからうっとりするものまで、耳なじみのいい、バラエティに富んだ楽曲の数々が物語を彩る。役者それぞれの個性はもちろん、組の一体感やパワーを感じるような、華やかで躍動感あふれるレビューシーンも満載だ。『エリザベート』を想起させるセリフがあったりと、ウィーンミュージカルならではの洒落っ気ある笑いでも楽しませてくれる。トップスター・珠城りょうが演じるジョージは、伝統と格式を重んじる両親に対して、現代的な感覚を持つ跡取り。「今の時代に合わせて変えていくべき」と、ホテルはもちろん、ウィーンの街を思い行動する、芯のある人物だ。従業員のミスを大きな心でフォローする余裕を持ちながらも、美園さくら演じるエマへの思いに苦しくなったりと、おおらかさと真っ直ぐさを持ちあわせたキャラクターは、珠城のハマリ役。エマを演じる美園は、ハリウッド女優としての息苦しさと、故郷の空気に触れて心が解放されていく様を繊細に表現している。さらに、エマを利用して稼ごうとする豪腕なマネージャー・リチャード役の月城かなと、一見紳士的でありながらもダメッぷりが愛らしい父親ヴォルフガング役の鳳月杏、太陽のような明るさをもち、“マッチョ”ナンバーで楽しませてくれるアルゼンチン代表サッカー選手・パブロ役の暁千星など、それぞれに個性あふれるキャラクターを好演している。故郷を思う気持ちにあふれた、家族に会いたくなるような、温かい気持ちになれるミュージカル『I AM FROM AUSTRIA-故郷(ふるさと)は甘き調(しら)べ-』は、11月11日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、11月29日(金)から12月28日(土)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは10月20日(日)一般発売。取材・文:黒石悦子
2019年10月11日歌舞伎の演出家で振付師の藤間勘十郎が演出を手掛ける音楽劇『ハムレット』(作:ウィリアム・シェイクスピア)が10月22日(火・祝)に開幕する。主演・ハムレット役を務める韓国の人気ボーカルユニットCROSS GENE(クロスジン)のキム・ヨンソクに話を聞いた。【チケット情報はこちら】「シェイクスピア作品は初めてで、むちゃくちゃドキドキします!」と日本語で語ってくれたキム。本作への出演を「とても光栄です。『ハムレット』は俳優なら誰でもやりたい作品ですよね。僕は、シェイクスピア作品の中でも『ハムレット』が一番好き」と喜ぶ。本作で特に楽しみにしていることは「やっぱり音楽。『ハムレット』の重いストーリーも、音楽で届けることで、お客さんに届きやすくなるんじゃないかと思うので」。その音楽に演出を手掛ける藤間勘十郎ならではの発想で、生演奏の和楽器の鳴物を加えた上演になるという。「特に心配はしていないです。僕は音楽が大好きだし、自信もありますから。キム・ヨンソクならではの歌を届けられたらと思います」日本では数本の舞台に出演。「シェイクスピア作品はもともと台詞が多いですし、日本語の発音やイントネーションが難しいだろうなと思っています」と明かしながらも、それでも出演を決めた理由は「挑戦です」と笑顔。「僕は俳優として、韓国と日本を行ったり来たりできるようになりたいと思っています。そしていつかはブロードウェイにも出たいです」と言うキムだが、今年8月の日本での舞台(『マイ・バケットリストSeason5』)での経験は「正直言うと大変でした。台詞を覚えるのも一苦労ですし、発音を間違うと相手に届かない。すごく苦労しましたね。でも、公演が終わって、韓国に帰ったら、『もっと成長したい。もっと上手になりたい』と思ったんです。“もう嫌だ”とは全く思わなかった。だから次はもっとレベルアップした僕の姿を見せたいと思っています」。そういう志もあり、実はこのインタビューでも、通訳者は同席していたのだが、基本的にはキムが日本語で話してくれた。舞台で大切なのは「チームワーク」だそう。「皆さんとは初共演ですが仲良くなりたい。チームワークは客席に伝わりますから。ハムレットは寂しい人だし、辛い思いをする役で、僕は役を引きずりがちですが、稽古の休憩時間は『珈琲をどうぞ』と言って(笑)、仲を深めたいです」。がんばれるのは「お客様の反応がもらえるから」。「それが俳優としても歌手としても命です」と明かす彼が主演を務める音楽劇『ハムレット』は、10月22日(火・祝)から25日(金)まで東京・天空博劇場にて上演。
2019年10月09日幼なじみの男女が半世紀にわたってやりとりした手紙の朗読劇『ラヴ・レターズ』。日本初演から30年目を迎える今年、黒柳徹子が初出演することになった。「黒柳徹子スペシャル」版として相手役を務めるのは、高橋克典、筒井道隆、吉川晃司の3人。初日を前にした10月7日、報道陣向けのフォトコールが行われ、黒柳と高橋、演出を務める藤田俊太郎が取材に応じた。【チケット情報はこちら】米国の作家A.R.ガーニーによる朗読劇で、ニューヨークで1989年に初演。日本では90年に初演され、故・青井陽治の翻訳・演出のもと、数々の俳優たちが舞台に立ってきた。2017年12月から、青井の遺志を受け継いだ藤田が演出を担当している。舞台上には、テーブルと二脚の椅子。並んで座った男優と女優が、手にした台本を読み上げる。極々シンプルな舞台だが、それゆえに役者の個性と能力がありありと発揮され、観客はどんどんと物語に入り込んでいく。この日のフォトコールでは、アンディ(高橋克典)とメリッサ(黒柳徹子)が大学生になり、初めてホテルに行って、結ばれるチャンスを迎えるも、なかなかうまくいかないという場面が公開された。短いシーンではあったが、黒柳も高橋もひとつひとつの手紙にしっかりと思いを込めて、言葉を紡いでいた。初日を前に心情を問われた黒柳は「ものすごくワクワクしています」。およそ50年にわたる手紙のやりとりを通じた朗読劇だが、「すごくロマンチックな内容で、いいなと思います。手紙をもらうのはすごく好き」とほほ笑む。「残念ながら、人とラヴレターのやりとりをしたいい思い出はあまりない」と話しながらも、若い頃にもらったラヴレターの冒頭に「蒸かしたてのサツマイモのような貴方へ」と書かれていたことを明かし、「今思うと結構いいなと思うのですが、当時はムッとして、返事はもちろん書きませんでした」などと、自身の思い出を語った。共演する高橋は「緊張していますが、(座ったままで演技をするという)制限や抑制のある中で表現していくことに、とてもやりがいを感じています」と気合十分。演出の藤田は「手紙を通して、魂が交流する瞬間をお客様に早くみていただきたい。ワクワクして、興奮した気持ちでいっぱいです」と話していた。東京公演は16日(水)まで、EXシアター六本木にて。大阪公演は10月18日(金)~20日(日)、森ノ宮ピロティホールにて。11日(金)と19日(土)の終演後には黒柳徹子のトークショーが予定されている。チケット発売中。取材・文・撮影:五月女菜穂
2019年10月09日藤原竜也、鈴木亮平らが小学生を演じる舞台『渦が森団地の眠れない子たち』が10月4日(金)~20日(日)に新国立劇場で上演されている。脚本は劇団モダンスイマーズの蓬莱竜太の書き下ろし。子どもの目線から「団地」という閉鎖的な世界と、そこで起こる様々なドラマを群像劇として描く“団地大河ドラマ”だ。【チケット情報はこちら】渦が森団地の外から引っ越してきた、小学生の田口圭一郎(鈴木亮平)。母からは「この団地に住む親戚とは関わるな」と言われていた。それでも偶然出会ったいとこの佐山鉄志(藤原竜也)と親友になり、いつも遊ぶようになる。しかし、ある事件があり……37歳の藤原と鈴木をはじめ、大人の俳優が小学生を演じることに、演劇の醍醐味がある。藤原の出演が決まった当初、蓬莱が「演劇で竜也君と遊べないかな」と考え、小学生という設定にしたそうだ。子どもはいつも全力だ。遊ぶ時も、泣く時も、嘘をつく時も100%。主演のふたりも会見で「子どもの時はこんなふうに声をあげて泣いてたな」など振り返る。舞台上での彼らは、身体も声もしっかり大人だけれど、小学生に見える。むしろ彼らが大人だから、子どもの世界と大人の観客を繋いでくれている。団地の「キング」である鉄志は傍若無人だ。親分のように仲間を守ろうとするかと思えば、暴力的にも振る舞う。しかしひとつの事件をきっかけに、圭一郎がキングの座を脅かす存在に。対立するのは、親友だからか、血縁だからか……周囲の子ども達も戸惑うなか、キング争いは過激さを増していく。蓬莱作品は勢いがあり笑いも多い。同時に、人間の弱さをえぐり出す。客席で大笑いした後、ふと「あれ、これ笑えることなのかな」と背筋が寒くもなる。鈴木が「子どもの世界も大変。パワーバランスがある」と言うように、子ども社会にもルールがある。その中に、子ども達の不安定さが見え隠れする。しかし同時に、“大人”を演じる奥貫薫と木場勝己にも、表に出さないフラストレーションがあることが描かれる。大人も、子どもも、鬱屈した思いを抱えているのだ。ステージ上、『渦が森団地』の中心にぐるぐると渦巻かれた舞台美術に、全員が飲み込まれそうに錯覚する。しかし、子どもの世界の外に大人の世界があるように、『団地』の外にはもっと広い街がある。どうしようもなく大きな世界に影響されながらも生きなければいけないのだと、キングを巡る攻防を通して子ども達が教えてくれる。取材・文・撮影:河野桃子
2019年10月09日三田誠のミステリー小説が原作の『ロード・エルメロイII世の事件簿』が音楽劇として舞台化される。主人公ロード・エルメロイII世を演じる松下優也、その内弟子グレイを演じる青野紗穂、そして総合演出を手掛けるウォーリー木下に話を聞いた。魔術の世界を舞台に、ロード・エルメロイII世(松下)とグレイ(青野)が、幻想的で悲愴な事件に立ち向かう物語。ロード・エルメロイII世は「ビジュアルのイメージからはギャップのある、意外と人間味もあるキャラクターです」と松下。グレイは「師匠(ロード・エルメロイⅡ世)のことがすごく好きで、しかも気が利く子ですよね。私も最初は近寄りがたい印象を受けたのですが、今はふたりとも意外とおっちょこちょいで、親しみのあるキャラクターだと思っています」と青野。総合演出として作品に関わるウォーリー(演出を手掛けるのは元吉庸泰)は「今回は、魔術が出てくるファンタジー作品だからこそ引き受けたところがあります。僕は“演劇なら、なんでもできる”と思っているのですが、その“なんでもできる”を証明するために、こういう、演劇にするにはハードルが高い原作を具現化していけたらいいなと思っているので」と明かし、さらに内容についても「とても詩的な台詞が多い作品ですが、詩ってわからないけど面白かったりする。この作品も、声や音、言葉などいろんなものでイメージが膨らんでいくようなものにできたら面白いと思います。今はほとんどの演劇が現代口語ですが、この作品は全くそうじゃない。こんな台詞の演劇は久しぶりで、どうやって言葉の美しさや豊かなイメージを追求したような作品にできるか楽しみです。そこが“新しい舞台”のとっかかりになっていく」と語った。2.5次元作品には約3年半ぶりの出演となる松下と、初めての挑戦となる青野。青野は「未開の地だからこそ楽しみで仕方がないです」と笑顔をみせ、松下は「まだ『2.5次元』と言われる前からやらせてもらってきた世界。せっかく久しぶりに出演するので、“こういう2.5次元もあるんだ”と思ってもらえるような舞台にできたらいいなと思いますし、それが自分が出させてもらう意味かなと感じています」と意気込む。音楽劇「ロード・エルメロイⅡ世の事件簿 -case.剥離城アドラ-」は、プレビュー公演を12月15日(日)に千葉・市川市文化会館 大ホールにて上演後、本公演を12月19日(木)から23日(月)に東京・なかのZERO 大ホール、さらに大阪、福岡を巡演し、2020年1月17日(金)から19日(日)まで東京・新宿文化センター 大ホールにて上演。10月14日(月)23:59までオフィシャル先行を受付中。また、チケットぴあでは10月19日(土)よりいち早プレリザーブ受付予定。取材・文:中川實穂
2019年10月08日日本初演50周年となるミュージカル『ラ・マンチャの男』の東京公演が10月4日、東京・帝国劇場で開幕した。初演からセルバンテス / ドン・キホーテ役として主演し続ける二代目松本白鸚は、本作品を自身のライフワークと位置づけている。初日前に取材に応じた白鸚は「僕が1番大事に思うのは今ですから。今の『ラ・マンチャの男』が1番愛おしいです」と語った。【チケット情報はこちら】スペインの小説『ドン・キホーテ』を原作とした『ラ・マンチャの男』がブロードウェイで初演されたのは1965年。日本初演は1969年4月から5月で、白鸚(当時は市川染五郎)は26歳という若さだった。70年には、日本人として初めてブロードウェイから招待を受け、名門マーチンベック劇場(現・アル・ハーシュフェルド劇場)にて10週間の主演を果たした。4年ぶりとなる2019年のツアーでは、すでに大阪、宮城、愛知での公演を終えた、帝国劇場で上演される10月19日(土)17時の部で、通算上演回数1300回を突破する予定となっている。舞台は、16世紀末のスペイン・セビリアの牢獄。教会を侮辱した罪で投獄されたセルバンテスは、牢名主に即興劇で申し開きをしようと思い立ち、他の囚人たちを巻き込んで『ドン・キホーテ』の劇を演じ始める…。原作者セルバンテス、彼の芝居の登場人物であるアロンソ・キハーナ、そして彼の狂気が生み出したドン・キホーテという3人の男の物語が重層的に展開。現実と狂気を行き来しながら、「あるがままの自分に折り合いをつけるのではなく、あるべき姿のために闘う」という生き様を貫く姿を描いている。東京公演初日のカーテンコール。観客の鳴り止まぬ拍手に応えようと、白鸚は胸に手を置いて、何度もお辞儀をしたり、観客に向かって手を振ったりしていた。「夢というのは、ただ夢みるだけのものでも、語るものでもなくて、夢を叶えようとする人の心意気だと思う」。そう語る白鸚自身が、きっと誰よりも「見果てぬ夢」を追い求めてきたし、今も追い求めている。その感動的な生き様をぜひ劇場で目撃してほしい。上演時間は約2時間5分(予定)。共演は、瀬奈じゅん、駒田一、松原凜子、宮川浩、上條恒彦ら。東京公演は10月27日(日)まで。チケット発売中。なお、チケットぴあでは東京公演のOVER50向けの企画チケットも発売している。取材・文:五月女菜穂
2019年10月07日10月4日、大阪・新歌舞伎座で日本初演のミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』が幕を開けた。田代万里生と平方元基によるふたりだけのミュージカルで、人気短編小説家のトーマスと幼なじみで書店員のアルヴィンとの友情を描いた物語だ。本公演は、それぞれ役を入れ替えて上演する。初日は田代トーマスと平方アルヴィンで始まった。幼なじみアルヴィンの突然の死に際し、弔辞を読むために故郷に帰ってきたトーマス。しかし葬儀が始まるというのに手向けの言葉が全く思い浮かばない。「僕は彼の何を知っていたんだろう…」。トーマスの心にぽっかりと空いた穴に光がさすように、たくさんの本に囲まれた空間とともにアルヴィンが現れる。たくさんの本棚から思い出を取り出し、互いに読み上げる。心、家、街と、少しずつ焦点を変え、内と外を往来しながら彼らの分岐点へと近づいていく。冒頭、冷たい印象のあった大人のトーマス。だがどうだろう、アルヴィンと一緒にいる少年時代の彼はとても柔らかで、純真だ。アルヴィンは無邪気そのもの。風にも雪にも翼にもなれる衣裳も印象的だった。太陽と月のような関係性が、大人になるにつれ変わっていくふたり。田代と平方、それぞれが役を入れ替えた時、この太陽と月という印象すら変わるだろう。それを思うと、ふたりミュージカルというシンプルな構成ながら底知れぬ奥深さも感じられた。透明感のある田代と深みのある平方、双方の歌声も物語とリンクしていた。ふたりでひとつ、その印象はトーマスとアルヴィンそのものだ。情感豊かなソロはもちろん、デュエットでは磁石のようにぴったり重なり合ったかと思えば、ふたりとは思えないほど幾重にも層を描き、うっとりするほど美しいハーモニーを聴かせてくれた。音楽も照明も実にきれいで、特に小雪が舞う場面は、冬の匂いと寒さも感じられるほどだった。スペシャルカーテンコールでは「役を相互に演じるなんて僕たちも信じられませんが、これからたくさんのお客様がパワーを与えてくれると思います」と田代。平方も「毎日、稽古してきて、今日、やっと舞台からお客様の気を感じられてうれしかった」と笑顔を見せた。そして『雪の中の天使』をデュエット、本編とは異なるリラックスした表情で歌っていたのも印象的だった。上演中は出ずっぱり。語り、対話、歌唱と休む間もない。にもかかわらず、初日しかも日本初演の作品とは思えないほどの完成度で魅せた田代と平方。大阪公演を終えて、東京、水戸、名古屋をめぐる。回を重ねるごとにますます完成されていくことを思うと、大千穐楽にはどうなっているのか末恐ろしくもあった。完売していた東京公演も、一部追加席をチケットぴあにて発売中。取材・文:岩本和子撮影:西木義和
2019年10月04日村井良大、沙央くらまらが出演するミュージカル『ラヴズ・レイバーズ・ロスト -恋の骨折り損-』が現在、東京・シアタークリエで上演中だ。シェイクスピアの同名戯曲が原作だが、村井曰く「シェイクスピアっぽいところってどこなんだろうなって思う(笑)」ほど現代的にアレンジされた、スタイリッシュかつスピーディに展開するロックミュージカル。オシャレでハイソな美男美女が、恋に振り回され大騒ぎするさまをコミカルに描いている。チケット情報はこちら大学卒業後5年たち、その間放蕩三昧してきた国王と学友たちが「これから3年間は恋愛禁止、ひたすら勉学に身を捧げる」と誓うところから物語は始まる。しかしそこに隣国の王女とその友人たちがやってきて……。オシャレなリゾート風な住宅にバーカウンター、ドレスアップした登場人物たち。キャストはハンドマイク、時にはスタンドマイクを使い、バラエティ豊かな楽曲を熱唱していく。たしかに、シェイクスピアの戯曲に感じる“古典”っぽさは一切ない。最新鋭の“攻めた”ミュージカルだ。若手実力派俳優たちを軸にしたキャスト陣も、それぞれの役柄を楽しそうに演じている。村井良大、渡辺大輔、入野自由、三浦涼介ら男性陣はタキシード姿を粋に着こなす一方で、パジャマ姿などの可愛らしい姿も。沙央くらま、中別府葵、伊波杏樹、樋口日奈ら女性陣は華やかなパーティドレス姿で、目にも楽しい。大雑把に言うと“焼けぼっくいに火がついた”男女らの話だが、ここに大山真志、田村芽実が扮する別のカップルの恋の物語が絡み、見栄を張って素直になれないイケてる男女らが、自分の恋と向き合っていく。劇中、マシンガンが登場したりジープが登場したりパワフルでにぎやかな作品だが、恋に素直になれなかったり、恋しておバカになってしまう若者の姿は、シェイクスピアの時代も現代も変わらないなぁ……と、しみじみ思ってしまう。初日前日には、出演者による囲み取材も。「この舞台、ジープとかジャグジーとか、色々なものが出てきます。何が飛び出すかわからない。今までこういうミュージカルってみたことないなって自分でも思います」(村井)、「ひと場面ひと場面すべて濃厚で笑いがあり、ちょっとホロリとするような場面もたくさんあるので、たくさんの皆さまに楽しんでもらいたい」(沙央)、「稽古も毎日楽しかった」(三浦)、「たくさん面白い人がいっぱい出てきます」(渡辺)、「私たち自身、何回やっても面白くて楽しい」(樋口)と、口々にアピール。会見も笑顔がいっぱいで、キャスト陣のその姿からも、作品の楽しさが伝わってきた。公演は10月25日(金)まで、同劇場にて。チケットは発売中。
2019年10月03日12月14日(土)より東京・東急シアターオーブにて開催される「ブロードウェイクリスマス・ワンダーランド2019」。同公演に女優/フィギュアスケート選手の本田望結のゲスト出演が決定した。【チケット情報はこちら】2016年に日本初演を迎えた「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド」は、NYで80年以上にわたり親しまれている「ラジオシティー・クリスマス・スペクタキュラ―」に続く“劇場で楽しむクリスマス”として、新たな渋谷の冬の風物詩、東急シアターオーブのスペシャルなクリスマスショー。今年で4年目を迎える。今回、ゲスト出演が決まった本田は、「ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド」を立ち上げ当初から応援サポーターとして盛り上げ、アメリカカンパニーと共にステージを創ってきた。アメリカ人のシンガーたちの生歌に合わせて、ゲストスケーターとしてスケーティングを披露し、観客の皆さんをクリスマスの世界に誘う。本田の出演は12月23日(月)・24日(火)・25日(水)の 14:00公演限定。子供から大人まで楽しめる遊園地のような夢のような空間を、クリスマスに体験できる。本田は、「『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド』に出演させて頂くようになって、4年目になるのですが、私自身クリスマスを待ち遠しく思うようになりました。今、私の中でクリスマスと言ったら『ブロードウェイクリスマス・ワンダーランド』です。毎年、私が演じさせていただく曲が届くのが楽しみで、何度も曲を聴いてインスピレーションで自分で振り付けを考えています。衣装も、競技用のコスチュームを制作して頂いている衣装さんと相談しながら色やデザインを演目や照明に合うように作っているので、そこも是非楽しみにしていただけると嬉しいです。大人の方も子供の方も楽しんで頂ける『ブロードウェイ クリスマス・ワンダーランド』。皆さまとお会いできるのを楽しみにしています。メリークリスマス・ワンダーランド!」とコメントを寄せている。本日より、同公演に出演するシンガーキャストの写真付きチケットの最終先行販売開始。■「ブロードウェイクリスマス・ワンダーランド2019」日程:12月14日(土)~25日(土)応援サポーター/スケーターゲスト出演:本田望結/MIYU HONDAキャスト:アルフレッド・ジャクソン/Alfred Jackson(シンガー)、サム・ハーヴィー/ Sam Harvey(シンガー)、ジョナサン・ヘラー/Jonathan Heller(シンガー)、ショーンテ・マサール/Shaunte Massard (シンガー)、チャリティ・ファレル/ Charity Farrell(シンガー)、レイチェル・ピーターソン/Rachel Peterson(シンガー)、ジョデイン・ヒギンズ&ショーン・ライス(スケーター)
2019年10月03日2012年にTVアニメ第1期がスタート。2014年にはTVアニメ第2期が放送され、2015年1月に劇場版を公開。今年1月からはスピンオフ劇場版三部作を公開し、さらに10月からはTVアニメ第3期の放送も始まるオリジナルアニメシリーズ『PSYCHO-PASS サイコパス』が、TVアニメ第1期の物語を軸に舞台化。主演を務める狡噛慎也役の久保田悠来に意気込みを聞いた。【チケット情報はこちら】『PSYCHO-PASS サイコパス』は、人間の心理状態を数値化するシビュラシステムにより監視・管理された近未来を舞台に、治安維持にあたる公安局刑事課の刑事たちが、犯罪を犯す前の“潜在犯”を抑圧するために奮闘し、「本当の正義とは何か?」を追求する物語。TVアニメ第1期の脚本は、TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』などで知られる虚淵 玄(ニトロプラス)が担当し、今回の舞台版でも監修を務める。久保田と虚淵は、久保田が出演し、虚淵が脚本を担当した『仮面ライダー鎧武/ガイム』からの仲。久保田も『鎧武』の出演が決まった際に『PSYCHO-PASS サイコパス』に触れたようで、「虚淵さんが作る世界観は魅力的ながらも、人間の本質を問うものだと感じます。近い未来がこうなってしまったら怖いなと思いながら見ていたのですが、月日が経つにつれ、その未来が現実に近づいているのかもしれないと思うと怖いですね」と、アニメで描かれる世界ながらも現実とリンクしても考えらえる物語について、言葉を選び語る。さらに付け加えるように「もしかして虚淵さんは未来から来たのでしょうか」と、独特な久保田“節”が効いた発言でクスリとさせる場面も。公安局刑事課には監視官と執行官が在籍し、狡噛ら執行官は、自らも潜在犯でありながら犯罪捜査への適性を認められた刑事。潜在犯との激しい攻防戦を繰り広げる場面や、公安局の刑事たちに携帯が許可されている潜在犯を裁く銃・ドミネーターを駆使してのパフォーマンスなど、人間ドラマだけでなくアクション面もこの舞台では注目どころ。久保田も「舞台でのアクションは見せ場のひとつとして欠かせない要素になると思います」と、今からやる気十分。「見る方が手に汗握るような臨場感を表現したいです」とアクション面への意気込みを語った。深いストーリー、迫力あるアクションと見せ場が詰まった本作をどう体現するのか。「楽しみなのは『PSYCHO-PASS サイコパス』の世界観に浸れること、これに尽きます」と語る久保田の雄姿は、劇場で確かめたい。舞台版『PSYCHO-PASS サイコパス Chapter1―犯罪係数―』は10月25日(金)から11月10日(日)まで、品川プリンスホテル ステラボールにて上演。
2019年10月02日12月13日(金)から29日(日)に東京国際フォーラム・ホールCにて上演する、新演出版ミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」(イギリスプロダクション) 来日公演の公式サポーターにDJ KOOとアン ミカが決定した。世界的ディスコブームを牽引した、ジョン・トラボルタ主演映画「サタデー・ナイト・フィーバー」が公開された頃(アメリカ1977年、日本1978年公開)ディスコDJとしてデビューし、ディスコ全盛時代の象徴とも言えるレジェンドで、現在も第一線で活躍中のDJ KOOと、舞台鑑賞が趣味で、好きな作品は何度も観るというトップモデルのアン ミカ が、ミュージカル『サタデー・ナイト・フィーバー』を全力で盛り上げる。今回の来日公演の見どころをDJ KOOは「フロアの上方でビージーズに負けないくらいの3人のシンガーがビージーズの数々のヒット曲を歌います。舞台の床は、映画公開後に世界中で流行ったカラフルに光るフロア。40年前のディスコの感覚を十分に味わえると思う。映画で散々見てきたシーンを、ライブで立体的に観られるのが楽しみですし、本物のダンサーが繰り広げるダンスシーン、高いジャンプや空中技も見どころ。舞台やコンサートはステージに立っている人が基本主役ですが、ディスコは踊っている人全てが主役。なので、カーテンコールでは、会場全体が一つになって皆で踊れたら素敵。You should be dancing!」と語った。アンミカは「注目しているのは、ジョン・トラボルタが演じたトニー役のリチャード・ウィンザー。マシュー・ボーンの『白鳥の湖』や『シザーハンズ』など多くの作品で主演し、世界的に活躍されているダンサーなので踊りが素晴らしいのはもちろんですが、俳優としての演技力も抜群ですし、野性味溢れる目と色気。トニー役にぴったり。何度も観ている映画ですが、今回は生ものですから、何度も観に行きたい。旦那様とも行きたいですし、女友達とお洒落してワイワイ楽しみたいと思います!」と期待を寄せる。1977年公開ジョン・トラボルタ主演の不朽の名作を2018年にビル・ケンライト演出、ビル・ディーマー振付で舞台化したミュージカル「サタデー・ナイト・フィーバー」。誰もが抱えた行き場のない青春のエネルギー、そして胸を熱くするディスコミュージック、エネルギッシュな振付で現代に訴えかける。チケットの一般発売は10月5日(土) 午前10時より開始。前日まで先行販売中。
2019年10月02日宝塚歌劇雪組公演『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』の制作発表会見が9月27日、都内で行われた。セルジオ・レオーネ監督、ロバート・デニーロ主演で知られる傑作ギャング映画を世界で初めて宝塚歌劇団がミュージカル化。日本ミュージカル界を牽引する演出家・小池修一郎が「原作映画がとても好き」だと語り、舞台化を熱望していたという作品を満を持して取り上げる注目作だ。これに、実力・人気とも非常に高いトップスター・望海風斗率いる雪組が挑む。チケット情報はこちらこの日の会見には望海風斗、真彩希帆のトップコンビに加え、彩風咲奈、彩凪翔、朝美絢が登壇。その5人がまず作品の世界観を伝えるパフォーマンス披露。セリフも歌もなく、音楽とナレーションにのせ出演者がダンスを中心に魅せるパフォーマンスだったが、そこは実力派の雪組、ムーディかつ大人の色気で報道陣を魅了した。その後トークショー、質疑応答と進んだ会見では、望海は「今までも何度かマフィアを演じたことがあり、その時に勉強のためにこの映画を観た。男の哀愁、一筋縄ではいかない友情、恋愛、耳にも心にも残るメロディに惹かれていました。そして小池先生もこの作品がお好きだということを聞いていて、いつか宝塚でやるのであれば私も出演したいなと思っていたところ、今回(主役の)ヌードルス役で……というお話をいただけて嬉しかった」と心境を。その望海に対して小池は「男役としての華やかさに加えて、男役の精神や内に秘めたエネルギーから、さまざまな経験を経た“哀愁”も出せるだろう、そこがすごく魅力的だろうと期待している」とコメント。またヒロイン・デボラを演じる真彩が「映画ではデボラの瞳がとても綺麗で印象的」と語ったところから小池は「特にレオーネ監督は映像表現に長けているので、アップの表情が印象に残って当然。真彩は歌唱力が素晴らしいし、デボラはブロードウェイスターになる設定なので、きちんとミュージカル女優として表現したい。原作や映画より自己主張の強い女性になると思う」と構想と期待を語った。ほか、悪役をやりたかったという彩風が「私にとっても新しい挑戦」、彩凪が「皆を扇動していく役なので、自分の言葉に説得力を出していかなければならない」と語るなど、それぞれ意気込み十分。また男役スターの朝美は今回は女性役。この日も美しいドレス姿を見せていたが、小池から「(朝美は)男役で出てくるところもあります」と言われ「いま初めて聞きました」と驚く一幕も。「あまり詳しく話すと楽しみが減る。観てのお楽しみにとっておきたい」とのことだが、舞台化にあたって小池は様々な仕掛けを考えているようだった。「何よりも望海風斗と真彩希帆の歌唱力、そして今の雪組全体のレベルが高いので、そこを活かせるものに」と小池。公演は2020年1月1日(水・祝)から2月3日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月21日(金)から3月22日(日)まで東京宝塚劇場にて上演される。兵庫公演は12月7日(土)、東京公演は1月19日(日)にそれぞれ一般発売開始。
2019年10月01日Symphonic Drama 『火の鳥 ~黎明編~』が2020年2月29日(土)・3月1日(日)の2日間、千葉・舞浜アンフィシアターで開催されることが決定した。【チケット情報はこちら】同公演は来年開局25周年を迎えるTOKYO MX グループ、創立50周年を迎えた青二プロダクションによる記念公演。『火の鳥~黎明編~』とは、その生き血を飲むと不老不死になれると人々から信じられていた不死の鳥。人々は、その火の鳥の生き血をめぐり醜い争いを繰り広げた。人間の「生と死」をテーマに描かれた壮大な叙事詩 火の鳥シリーズのプロローグとなる名作。出演者は松野太紀、銀河万丈、小山茉美、神谷浩史、沢城みゆき 他豪華声優陣。チケットの一般発売に先駆けて、先行を実施。受付は10月2日(水)午前11時から10日(木)の23時59分まで。■MX開局25周年×青二プロダクション創立50周年特別企画 Symphonic Drama 『火の鳥 ~黎明編~』【日時】2020年2月29日(土)開場17:00 / 開演18:002020年3月1日(日) 【1】開場11:30 / 開演12:30 【2】開場16:00 /開演17:00会場:舞浜アンフィシアター(千葉県)CAST松野太紀 / 銀河万丈 / 小山茉美 / 神谷浩史 / 皆口裕子 / 緑川光 /中井和哉 / 桑島法子 / 沢城みゆき / 島崎信長 / 田中秀幸 / 置鮎龍太郎 /小野坂昌也 / 柿沼紫乃 / 池水通洋 / 藤井ゆきよ / 島田敏 / 渡辺美佐 /江川央生 / 佐藤聡美 / 下地紫野 / 津田美波 / 庄司宇芽香 /野沢雅子 / 古川登志夫
2019年10月01日2020年3月12日(木)から29日(日)まで東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)のこけら落としシリーズとして上演されるオリジナル演出版ブロードウェイミュージカル「レント」。同公演の来日ツアー全キャストが決定した。【チケット情報はこちら】同作はプッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』を下敷きに、AIDSや貧困、孤独に悩みながらも「未来も過去もない。大切なのは今、この瞬間なんだ」と躍動するイーストヴィレッジの若者たちの鮮烈な姿を描くミュージカル。また今回は、脚本・作詞・作曲を務めた故ジョナサン・ラーソンの生誕60周年の公演となる。チケットぴあでは現在先着先行販売を実施中。<キャスト>マーク役:コーディ・ジェンキンス/ CODY JENKINSロジャー役:コールマン・カミングス/ COLEMAN CUMMINGSミミ役:アイヤナ・スマッシュ/ AIYANA SMASHエンジェル役:ジョシュア・タヴァレス/ JOSHUA TAVARESコリンズ役:シャフィーク・ヒックス/ SHAFIQ HICKSジョアン役:サマンサ・ムボレクワ/ SAMANTHA MBOLEKWAモーリーン役:ケルシー・スウェイガード/ KELSEE SWEIGARDベニー役:ホアン・ルイス・エスピナル/ JUAN LUIS ESPINALアンサンブルキャスト:ザレ・アングア(ZARE ANGUAY)、レイラ・ガースク(RAYLA GARSKE)、レクシー・グリーン(LEXI GREENE)、イザベル・ジャサ(YSABEL JASA)、カイラ・アサンテ・ラコタ(CAIRA ASANTE LAKOTA)、スティーヴン・ロシェ・ロペス(STEPHEN ROCHET LOPEZ)、ベンジャミン・H.ムーア(BENJAMIN H. MOORE)、カリーナ・パーカー(CARLINA PARKER)、ジェイムス・スコッピ(JAMES SCHOPPE)、ジェイソン・テイラー・スミス(JASON TYLER SMITH)、ケヴィン・スティーヴンス(KEVIN STEVENS)、サム・ヴァン・ヴリート(SAM VAN VLEET)※2019年10月2日現在の情報です。出演者がやむを得ない事情により変更になる場合もございます。出演者の変更によるチケットの払い戻しは行いませんので予めご了承下さい。
2019年10月01日大人計画の俳優として、あるいは声優、ミュージシャン、コラムニストとして、八面六臂の活躍を見せる宮崎吐夢。彼が観た演劇について語る催し『「吐夢の演劇夜話」第三夜』が、本日9月30日に開催される。今年で俳優生活27年。「演劇をするよりも人がやっているのを観ている方が自分には合ってるのではないか」「観た演劇について、ああだこうだ人に話したりしている方が向いているのではないだろうか」と最近気がついたそうだ。日頃、観に行った芝居の感想をSNSでつぶやくなど、演劇通ぶりを垣間見せている宮崎。彼のコラムを読むと分かる通り、その着眼点は独特で絶妙だ。そんな彼の芝居談義が、終演後、関係者限定の飲みの席で泡と帰してしまってはもったいない。観客の前で存分に語り倒すことで、演劇へのあふれる思いを大いに成仏させようとするこの企画。7月31日の『第一夜』、8月30日の『第二夜』に続き、『第三夜』と題した今回のゲストは、演劇的要素あふれる舞台を繰り広げるダンスカンパニー・CHAiroiPLINのスズキ拓朗。10月にCHAiroiPLINの公演『AZUKI』への出演を控えた宮崎が、果たしてどんな話を引き出すのか。大仰ではなく、内輪受けでもなく。ほどよい勘所を押さえまくりの、彼のトークに身を委ねよう。東新宿のライブハウス・PetitMOAにて19:00開演。文:小川志津子
2019年09月30日ミュージカル劇団「ミュージカル座」による『おでかけ姫』が9月25日に開幕、9月29日(日)まで東京・六行会ホールにて上演中。25日の公演レポートをお届けする。【チケット情報はこちら】本作は、脚本・作詞・演出・振付をハマナカトオル、作曲・編曲・音楽監督をtakが手掛け、2016年に初演されたオリジナルミュージカル。初演に続き“おでかけ姫”を水野貴以が演じる。物語の舞台はふたつ。ひとつは現実世界、そしてもうひとつは夢の世界。現実世界で“スポーツカー王子”と呼ばれる御曹司(丹宗立峰/水越友紀・Wキャスト)との熱愛を週刊誌に書かれたテレビ局の人気女子アナ・丸岡久理子(水野貴以)だが、実際のところは「結婚なんて考えられない」「仕事が楽しい」と一人で日々を楽しむアラサー女性。しかし夢の世界では“お姫様=マル王女”として7日後に隣の国の“フェラーリ王子”と結婚が決まる。1度しか会ったことのない王子と結婚して本当にいいものかという迷いを払しょくするために、お城を抜け出し王子のもとに“おでかけ”するマル王女。しかし、その道中で泥棒・ピート(中井智彦)と出会い――。“愛”や“結婚”という重みのあるテーマを描きながら、確かな歌唱力とポップな音楽で、軽やかに展開していく本作。コメディタッチな表現や、タップダンスをはじめとするダンスなども楽しく、“王室”や“テレビ局”というどこか私たちの日常とは距離のある設定ながら、いつのまにか同じ世界に引き込まれていく。マル王女のストーリーは、夢の世界ならではの思わず笑ってしまうようなハチャメチャ展開もあるが、そんな中だからこそ、水野をはじめとする実力派キャストたちの歌声によって説得力を持って届けられる“愛”や“想い”が鮮やかに際立っていた。クライマックスの水野と中井によるデュエットでは、「何のために結婚するの?」「結婚って何?」と考えていたマル王女が知った答えがそのハーモニーからも真っ直ぐに伝わってくる。ミュージカルそのものの魅力が体感できる作品だ。果たしてマル王女そして丸岡は、どんな“結婚の意味”に辿り着いたのかをぜひ劇場で確認してほしい。伊東えりが初演から引き続き演じる魔女や、今井清隆と渚あきが演じる夫婦など、個性豊かなキャラクターが揃う本作の上演時間は休憩なしの約2時間。ミュージカル『おでかけ姫』は9月29日(日)まで東京・六行会ホールにて上演中。取材・文:中川實穗
2019年09月26日東京・DDD青山クロスシアターで行われる落語会『青山らくご ~DDD寄席~』のVol.2が10月4日(金)から6日(日)に開催される。vol.1に続き出演する柳家花緑と、ゲストの篠井英介に話を聞いた。【チケット情報はこちら】劇場で開かれ、“落語界と演劇界がクロスする落語会”として今年8月にvol.1が開催された『青山らくご』の第二弾。前回も出演した花緑は「第一弾はおもしろい会になりましたね。DDD青山クロスシアターは落語にちょうどいいサイズだと感じました。一番後ろの席でも顔が観えますし、伝わりやすい距離感ですよね」と感想を語る。初登場でトークゲストの篠井は「青山という、落語にはなかなか結び付かなかった場所でやるというのもミソですよね。ワクワクする」と印象を語る。会は3日間開催され、初日は花緑の一門から柳家緑君、大神楽の柳貴家雪之介を迎えての「~花緑のふざけ過ぎてごめんなさいの会~」。花緑曰く「ふざけることを前提にやる落語会です」とのこと。内容について「僕が9歳から落語をやってきて、一番ふざけているものを詰め込む予定です。この企画は、最初で最後かもしれないですよ(笑)」と構想を語ると、篠井も「すごい!それはアピールしないと」と大興奮。中日(なかび)は「~『昭和元禄落語心中』の会~」と題し、昨年10月に放送されたドラマも好評の漫画『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ/講談社刊)にゆかりのある出演者が揃う。噺家はドラマに出演した橘家圓太郎、隅田川馬石、柳家緑助、トークゲストに松田役の篠井が登場。篠井は「噺家の皆さんがドラマの現場でどんなふうに思っていたのか聞いてみたい。今だからできる話ができればと思っています」と楽しみにしている様子。余談だが、篠井は落語をやらないのかと聞いてみると「やってみたいというスケベ心はあるんですよ、正直」と笑いつつ、「でも、とんでもないです」と落語家へのリスペクトを明かした。千秋楽は「~令和の推しメンの会~」と題し、落語界のイケメン五明樓玉の輔、瀧川鯉斗、林家木りんが集結。昨年上方演芸の殿堂入りをした「かしまし娘」から正司花江をトークゲストに迎え、トークバトルが行われるという。花緑が「僕は、玉の輔兄さん以外のふたりに稽古をつけているのですが、確かに推しメンになるほどのいい男ですよ。でも……これ以上は言いません!!」と気になる言葉(笑)。一体どんな会になるのか最も未知な日とも言えそうだ。ここでしか観られない3日間になる『青山らくご Vol.2~DDD寄席~』は、10月4日(金)から6日(日)に東京・DDD青山クロスシアターで開催。」取材・文:中川實穗
2019年09月25日屋良朝幸主演のダンスエンターテインメントショー『THE CIRCUS! -エピソードFINAL-』が全国を巡演し、現在は東京・新国立劇場 中劇場にて9月29(日)まで上演中だ。9月13日に行われたプレビュー公演のレポートをお届けする。【チケット情報はこちら】オリジナルミュージカル『THE CIRCUS!』シリーズは、企画・構成・演出・振付をTETSUHARUが手掛けるダンスエンターテインメントショー。2016年に【エピソード0】が初演され、今回が4作目にしてシリーズFINALとなる。アメコミの世界から飛び出したような世界観で、これまで数多くのアーティストやミュージカル、映画、ドラマなどで振付を手掛けてきたTETSUHARUならではのみせ方で、ダンス・アクション・音楽・映像を組み合わせた表現が広がる。主人公で、強靭な体力と精神力を武器に国家の危機を救う“アツい男”、ケントを演じるのは、屋良朝幸。さらに、前作【エピソード2】にも出演した、矢田悠祐、越岡裕貴(ふぉ~ゆ~)、寺西拓人(ジャニーズJr.)、田野優花、高橋駿一(PADMA)、菜々香、青柳塁斗、そして植木豪も登場。今作では新たに、壮一帆、奥村佳恵も加わり、3年に渡り描かれてきた熱い絆の物語が終結する。物語は、3人の男たちによるバトルシーンから始まる。次々と敵を倒していったのは、ベン(植木)、ウィラード(寺西)、そして……ケント・バーンズ(屋良)。前作までを知る人は「どういうことになっているの?」と思うような面子だ。ベンによると、ケントの仲間たちは半年前に(【エピソード2】)、特殊なエネルギーを持つ星の欠片・コアを巡る戦いで起きた爆発によって全員死に、ケントの所属していた「サーカス」はもうないという。ベンの仲間として活動を共にするケント。しかし――。カーテンコールで屋良が「今までの中で1番踊って、アクションしている。TETSUHARUさんのSっ気には本当にやられます(笑)」と話した通り、出演者全員がとにかくダンスして、アクションして、時には歌ってと、パフォーマンスを軸にストーリーを進めていく本作。アクションはダンスの要素が入った美しい動きが華やか、ダンスも映像とコラボしたパフォーマンスなどもあり楽しく、本シリーズならではの面白さがさらにパワーアップしていた。芝居パートのチームワークの良さは4作目ならでは。それぞれのキャラクターもより濃くなった印象だ。そして、ラストの屋良VS植木のダンスバトルは必見。言葉を使わずに身体表現だけで見せる想いや絆、決意は、このふたり、そして本作だからこそ見せられる世界だろう。ぜひ劇場で堪能してほしい。公演は9月29(日)まで東京・新国立劇場 中劇場にて上演後、10月2日(水)には神奈川・やまと芸術文化ホール メインホールにて上演。取材・文:中川實穗
2019年09月25日田代万里生と平方元基が出演するふたりミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』が、10月4日(金)に大阪・新歌舞伎座にて開幕する。今回は、先日お届した稽古レポートとは逆バージョンとなる、田代がアルヴィン役、平方がトーマス役を演じる模様をレポートする。【チケット情報はこちら】本作は、作詞・作曲をニール・バートラム、脚本をブライアン・ヒルが手掛け、2006年の初演以降、世界各地で上演されているミュージカル。日本初演となる今作は、田代と平方が公演によって役を入れ替える2バージョン公演。演出は高橋正徳(文学座)が手掛ける。同じ町で育った書店員・アルヴィンと、ベストセラー作家・トーマスの友情の物語。トーマスが、小さい頃にアルヴィンとした「片方が死んだとき、残ったほうが弔辞を書く」という約束を果たしに故郷に帰って来るところから始まる。弔辞を書こうとするが、一向にペンが進まないトーマス。そこに死んだはずのアルヴィンが現れて、幼い頃からのふたりの思い出を転々と辿り始める。そこに広がるのは、親友の死に際して思い出すにはあまりにもささやかな瞬間の数々。けれどトーマスは「何を見落とした?」「いつ壊れ始めた?」「その瞬間何してた?」と、アルヴィンという存在と向き合い始めるのだった――。演出の高橋は、観客がその“瞬間”を見逃すことのないように、台詞はもちろん、視線を動かすタイミングやふとした仕草まで、キャストと丁寧に話し合いながら詰めていく。出演者がふたりしかいないからこそ、細かな作り込みができるのだと感じた。田代のアルヴィン、平方のトーマスには、前回の取材で逆バージョンを見学したからこその驚きがあった。きれいに馴染んでいるため、逆の役を演じる姿が思い出せなくなるのだ。この取材のバージョンでは、田代のアルヴィンの透明感、平方のトーマスの頑なさは、それぞれにしか出せないものだと感じる。けれど逆バージョンでも同じことを思ったのだ。これは田代と平方の力を思い知らされる瞬間でもあった。また楽曲…特にふたりで歌う楽曲でも、役同様、歌のパートが入れ替わる。それによって「ハーモニー」という意味でも、「表現」という意味でも、まったく違う響きが生まれ、作品そのものの深みを感じさせてくれた。両バージョンを観ることで、作品の奥行きや世界観を最大限に感じられるだろう。公演は10月4日(金)から5日(土)まで大阪・新歌舞伎座、10月9日(水)から16日(水)まで東京・よみうり大手町ホールにて上演。その後、水戸、名古屋を巡演。チケットはぴあにて発売中。取材・文: 中川實穂
2019年09月20日熊川哲也主宰のKバレエカンパニー創立20周年記念公演『マダム・バタフライ』がいよいよ9月27日に開幕する。初日を2週間後に控えた9月13日、熊川が「ダンサーたちに“蝶々夫人”が身を置いた当時の日本文化に触れて欲しい」と旧知の東京神楽坂組合理事長 渡辺和子氏の協力で神楽坂芸者衆を招き、唄、三味線、踊りの芸を鑑賞するイベントが行われた。【チケット情報はこちら】熊川は今回の趣旨について「『マダム・バタフライ』はカンパニー20周年を祝う素晴らしい作品になると思います。東洋と西洋の舞踊のコラボレーションを日々模索しつつ、この何か月間、試行錯誤してきました。ダンサーたちは普段西洋のものには慣れ親しんでいますが、日本の文化を知っているようで知らない。この機会に日本舞踊の世界を見て、着物での踊りや日本の“侘び寂び”を感じ、(作品に生かして)演じて欲しい」と語った。カンパニーのダンサー全員が見守る中、神楽坂芸者衆が登場。まずは立方(踊り):きよ乃、三味線:夏栄、唄:眞由美による手ぬぐいを使った「佃流し」、お座敷でフィナーレ曲に使われるというにぎやかな「さわぎ」を扇子の舞で。3曲目は立方:眞由美、三味線:夏栄で深川芸者の艶を唄った「辰巳よいとこ」の踊りで締めくくった。間近で日舞の動きを見ると、膝を曲げたいわゆる「腰を入れた」低い重心でバランスを保っているのがよく分かる。バレエとはまったく違う体の使い方、顔の向きや目の動かし方ひとつで表情を作る様子をダンサーたちは食い入るように鑑賞していた。そして返礼として『マダム・バタフライ』の抜粋シーンを披露。作品の見せ場の1つでもある花魁道中のシーンを、花魁役の山田蘭と振袖新造役の8人のダンサーが踊った。本物の日舞に触れたためか、ダンサーの足を摺るような動き、花魁役の山田の切れ長の目のわずかな動きにも艶のある表情が見え、本番が楽しみになった。続いて成田紗弥、山本雅也のペアが踊ったバタフライとピンカートンの「初夜のパドドゥ」は、伏し目がちな目線での“静”から、感情が高ぶる“動”への変化を大きく見せる美しいパドドゥとなっていた。芸者衆による日本の伝統芸能を鑑賞し、バタフライと花魁役を踊る中村祥子は「普段バレエでは大きく広く踊るけれど、シンプルな顔の動きだけでも表現できるということを学びました」と感慨深そうに述べ、初日をつとめる矢内千夏からは、着物の長い裾の裁き方など具体的な質問も。初日を控えたダンサーたちに新たなインスピレーションを与える貴重な機会になったようだ。20年前から神楽坂のお座敷で芸者衆の芸に親しんでいたという熊川。バレエだけでなく文化への広い興味があってこその意欲的な作品づくりなのだと改めて感じるイベントでもあった。公演は、9月27日(金)~29日(日)までBunkamuraオーチャードホールにて、10月10日(木)~14日(月・祝)まで東京文化会館大ホールにて上演。チケット発売中。取材・文:郡司真紀
2019年09月20日人気乙女ゲームを原作にした舞台「OZMAFIA!! sink into oblivion」が、2017年の初演からキャストを一新して上演される。主演の神永圭佑と、谷佳樹、遊馬晃祐に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、記憶を失った少女・フーカと、「オズの魔法使い」や「赤ずきん」など名作童話をモチーフにしたさまざまなキャラクターが出会い、物語を展開していくゲームの舞台化。脚本は小日波著書、演出は伊勢直弘が手掛ける。初演からキャストを一新しての上演となる今作。主演を務める神永は「個人的に初演キャストに知り合いが多いので、彼らの気持ちを継いで真ん中に立つと思うと、より“しっかりやらないと”という気持ちになりました」と明かす。それを聞いた谷が「そんな神永くんを後ろから支えられる存在でいたいです。今回は若いキャストも多いので、30代の僕は嫌われ役になってもいいかも。はっちゃけすぎたときに止められたらなって」と語ると、遊馬は「僕は谷さんに止めてもらうタイプかもしれない!(笑)役の関係性的にもおふたりとお芝居することが多いと思うし、いい関係を築いていきたいです」と、初対面ながらいい雰囲気。神永は、マフィア「オズファミリー」のボス・カラミアを、谷は相談役・キリエを、遊馬は幹部・アクセルを演じる。神永は「カラミアは大らかで、おっちょこちょいで、常に笑っているような人物。でもオズファミリーのボスなんです。そこに何かがあると思うので、研究していきたいです」、谷は「キリエはとにかく喋るし口が悪い人。そういう人がどうして“相談役”なのかが大事なのかなと思っています。今回は“ファミリー”というくらいだから、関係性を大切に演じたいですね」、遊馬は「アクセルはツンデレで、なにか気持ちはあっても抑えてしまうタイプなんだと思います。僕とはなにかと真逆な人なので、稽古場でしっかりと役を深めていきたいです」とそれぞれ語る。乙女ゲームをやるにあたり「フーカと僕らのやりとりを見て『私もこうされたい』と思ってもらえたら、原作の魅力に近づくのかなと思っています」と神永。演出について谷は「僕、伊勢さんとは今年だけで4本目なのですが(笑)、伊勢さんの稽古は早いし短い。最初は驚くのですが、だからこそすごくいいものができあがる」とふたりに伝授する。遊馬は「僕はデビューから2.5次元作品だけをやってきて、前作、前々作で初めてオリジナル作品をやらせてもらいました。コテンパンになりながらいろんなことを学んだので、今回はより魅力的なキャラクターを作りたいです」と意気込む。そんな3人が出演する本作は10 月23 日(水)から27 日(日)まで東京・こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロにて上演。取材・文:中川實穗
2019年09月20日2006年に公開された映画『フラガール』を原作にした舞台『フラガール - dance for smile -』が10月から11月にかけて上演される。総合演出は河毛俊作、構成演出は岡村俊一が手掛ける本作で、主演を務める井上小百合(乃木坂46)に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作について井上は「母と一緒に映画館に観に行ったのを覚えています。当時も『おもしろかったね』と話した記憶があるのですが、今改めて観ると、あのときとは違う感想を持ちました」と語る。作品の舞台は昭和40 年の福島県いわき市。かつて栄えた炭鉱の町がエネルギーの石油化で滅んでいく中で、町おこしのために常磐ハワイアンセンターの設立が計画される。建設への反対や、当時は馴染みのないフラダンスへの偏見を浴びながらも、少女たちが必死にフラガールへと生まれ変わっていく物語だ。「すごく深い話だったんだと思いました。描かれているのは女性が社会進出する姿で、登場人物たちは女性ならではの強さや美しさや明るさで、いろいろな壁を突破していく。作品の舞台は昭和40年ですが、私は今もまだ女性の社会的な立場は男性と同じでないように思います。だからこそすごいエネルギーを届けられる作品になるはず。男女問わずいろんな人に観てほしいです」作品の肝と言えるのが、クライマックスのフラダンス。井上も「あのシーンがあってこその作品だと思う。本格的なフラダンスは初めてですが、舞台は全てが見えるしごまかしがきかないので、一生懸命頑張りたいです」と意気込む。自身が演じるフラガールのリーダー・谷川紀美子については「どこにでもいそうな素朴な子。そういう子が最後にすごいダンスを見せることがドラマチック」と印象を語り、役は「自分に合ってると思います。田舎育ちですし、素朴だねってよく言われるんですけど、やると決めたことは最後まで突き通すタイプなので」と話した。舞台での活躍も目覚ましく、演じることが好きだという井上。「私は自分を出すのも、自分のことを知られるのも得意じゃなくて。だから舞台上にいるときのほうがいろんなことを表現できるんです。もともとお芝居を観るのが大好きで、元気や勇気やいろんなエネルギーをもらっていました。その舞台に立つ側になったとき、自分も誰かに何かを与えられていると思う。そこが原動力にもなっています」。井上が「この令和の時代に生きる人たちがこの作品を観て、どんなことを考えるのかが私は楽しみ」という舞台『フラガール - dance for smile -』は、10月18日(金)から27日(日)まで東京・日本青年館ホール、11月2日(土)から4日(月・祝)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。チケットぴあでは9月19日より先行先着を実施。一般発売は9月21日(土)より。取材・文:中川實穗
2019年09月19日<ダンス×演劇×J-POP>という組み合わせで、台詞を使わずに身体表現と音楽で物語をみせるダンスエンタテインメント集団「梅棒(うめぼう)」による舞台『ウチの親父が最強』が現在上演中。大好評の東京公演のレポートをお届けする。梅棒 Extra シリーズ『ウチの親父が最強』チケット情報“梅棒 EXTRA シリーズ”と題した本作は、2014年に上演された第2回公演の5年ぶりの再演。梅棒のメンバー8名(伊藤今人、梅澤裕介、遠山晶司、遠藤誠、塩野拓矢、櫻井竜彦、天野一輝、野田裕貴)に加え、ゲストには、ミュージカルからストレートプレイまで幅広い作品で活躍中の多和田任益、ダンスパフォーマンスに定評がある横山結衣(AKB48)、そして梅棒公演ではお馴染みで本作の初演にも出演したパイレーツオブマチョビアン、鉄棒ダンスで注目を集める上西隆史(AIRFOOTWORKS)、子役の永洞奏瑠美が名を連ねる。初演は、梅棒が初めて長編を披露した作品(第1回公演はオムニバス形式)であり、第2回公演にしてPARCO劇場に進出し、多くの人が彼らの名を知るきっかけとなった大切な作品。ある男女が出会い、結婚し、子供が生まれ、成長し……という家族の物語で、梅棒らしいコメディテイストもしっかりと盛り込まれつつ、全体的に温かでホロリとくる作品だ。梅棒初出演の多和田はその豊かな演技力に加え、長い手足を存分に生かしたダンス、アクションで、登場人物の中でも複雑な役どころを鮮やかに演じていた。ヒロイン役で同じく梅棒初登場の横山は、愛らしくコロコロ変わる感情表現とキレのあるダンスパフォーマンスとのギャップが印象的。さらに、永洞の小さな身体がのびのびと広がるダンスや芝居には心を惹きつけられ、パイレーツオブマチョビアンや上西が繰り出す目を疑うようなパフォーマンスは痛快だ。そして、ときに引き締め、ときにとっちらかし、作品を賑やかに仕上げるのは、やはり梅棒メンバーのパフォーマンス。この絶妙なバランスは、ぜひ劇場で確認してほしい。ここ数年の本公演と比べると、劇場のサイズ感やストーリー展開、選曲(再演版の選曲もあり)に新鮮味を感じ、逆に“今の梅棒”の良さも改めて見えるようにも感じた『ウチの親父が最強』は銀座 博品館劇場での上演を終え、9月20日(金)から23日(月・祝)まで東京・新国立劇場 小劇場、その後、10月19日(土)に福岡・西鉄ホール、10月22日(火・祝)に三重・四日市市文化会館 第2ホール、10月25日(金)から27日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。チケット発売中。取材・文:中川實穗
2019年09月19日熊川哲也率いるKバレエカンパニーが、新作『マダム・バタフライ』を初演する。原作は、ジョン・ルーサー・ロングの小説に基づくプッチーニのオペラ。長崎の元芸者バタフライ(蝶々さん)がアメリカ人海兵ピンカートンの現地妻となって一子を設けるが、アメリカに帰国し本妻ケイトを伴って再び現れたピンカートンに子供を渡し、自害するという物語だ。この題材を熊川は独自のバレエとして生まれ変わらせる。公演を前に、リハーサルのもようが公開された。【チケット情報はこちら】初めに報道陣に対し、熊川が作品への思いを説明。「『マダム・バタフライ』は、米兵と日本女性とのわずか1か月の出来事を描いたピエール・ロティの小説『お菊さん』に、ルーサー・ロングがロマンを加え、美しいストーリーに仕立てたものだと言われていますが、僕は長崎へ行き、これはフィクションではなくノンフィクションだと考えるようになりました。当時の芸者の女性が笑顔も作らずアメリカ人と写っている写真を見た時、“悲しい、ではなく、信念をもって生き抜いたんだと思わないといけないんだな”“日本女性は素晴らしい”と思ったのです」そしてまず公開されたのは、バタフライ(矢内千夏)とピンカートン(堀内將平)が初夜を迎えるパ・ド・ドゥ。直前には、バタフライの改宗に怒った伯父ボンゾウが乗り込んできて、結婚式を台無しにしたところだ。哀しみや不安を湛えて正座するバタフライを、ピンカートンはいたわるように後ろからそっと抱きしめる。その優しい求愛に、バタフライの表情も徐々にほぐれていく。ピンカートンにリフトされ、ひらひらと手を羽ばたかせるバタフライ。やがて愛の喜びの中、バタフライはピンカートンに肩を抱かれ、奥へと消えていく。15歳のバタフライの可憐さと心の繊細な移ろいを、余すところなく踊る矢内。堀内演じるピンカートンの紳士ぶりも印象的だ。続いて披露されたのは、花魁道中。熊川は、ピンカートンとバタフライの出会いの場として遊郭の場面を作った。色とりどりの扇を立体的にひらめかせる女性達。その中央に立つのが、山田蘭演じる花魁だ。笑顔を見せない彼女の表情は憂いを帯び、冒頭で熊川が語った写真を思い起こさせる。女性達の艶やかな色香にすっかり当てられてしまった様子のピンカートン。ダメ押しのように、花魁は彼に流し目をするのだった。日本的な所作を学ぶため、日本舞踊や歌舞伎の映像を参考にしたという矢内はパ・ド・ドゥについて「心の中では色々な感情が渦巻いているのですが、感情をぐっとこらえることで伝えられるものもあるのではないかと思って演じています」。プッチーニの音楽を聴いて今回、余計な振りは要らないのではないかと感じたという熊川は「愛国心とはなかなか言いづらい時代ですが、この作品を観て、同じ日本人として、心を豊かにする清い水のような感覚を味わってほしいと思います」と語った。公演は、9月27日(金)~29日(日)までBunkamuraオーチャードホールにて、10月10日(木)~14日(月・祝)まで東京文化会館大ホールにて上演。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2019年09月19日ホイットニー・ヒューストンとケビン・コスナー主演の大ヒット映画を舞台化したミュージカル『ボディガード』来日公演が東京・東急シアターオーブにて初日を迎えた。公演を前に主要キャストと来春開幕の『ボディガード』日本版キャストらが劇場のレッドカーペットに登場。華やかなドレス姿で来場客を沸かせた。【チケット情報はこちら】まず来日版の主役3名、レイチェル役(Wキャスト)のアレクサンドラ・バークとジェンリー・シャロー、フランク(ボディガード)役ブノワ・マレシャルに加え、オフィシャルサポーターのLiLiCoがボディガードに守られながら登場。レイチェル役のふたりは「お客様が一緒に立ち上がって楽しんでくださるのを楽しみにしています」(アレクサンドラ)、「ホイットニーというレジェンドの音楽を披露できることに感謝しています」(ジェンリー)と喜びを抑えきれない様子。ブノワは「1年ほど一緒にやってきたカンパニーなので、最高のものをお見せしたい」とダンディーな笑顔を見せ、「ハジメマシテ」と覚えたての日本語を披露。LiLiCoは「映画はみなさんよくご存知だと思いますが、あのシーンをこう見せるんだ、というのが一番の驚き。そしてホイットニーの歌を誰が歌えるのか?と思ったけれど、この素晴らしいキャストは映画を超えてます!」と興奮気味に絶賛。続いて来年3月に開幕する日本版キャストの柚希礼音、新妻聖子(Wキャスト)、大谷亮平の3名が登場すると、歓声があがった。英国での公演を観たという柚希は「私がボディガード役だと思う方もいたんじゃないかと思いますが(笑)、守られる役をしっかりと演じたい。歌が多いので、稽古して自分なりのレイチェルに挑む」と意気込みを語った。新妻は「日本版は歌詞も日本語になるので、ポップスシーンの歌がより演劇的になるのでは?」と推測。フランク役の大谷は今回が初舞台。「おふたりを役としてしっかり守れるように、舞台期間中は気持ちだけでも守っていけたら」と抱負を述べた。その後、初日が開幕。人気絶頂の歌手レイチェルのきらびやかなコンサートから始まり、ストーカーへの恐怖、フランクとのラブストーリーがスピーディーに展開するが、妹の影にいる姉ニッキーの葛藤、息子への思いも丁寧に描かれ、映画とは違った印象を残す。大ヒット曲『I Will Always Love You』はもちろん、ホイットニーの名曲が数多く使われ、カーテンコールは『I Wanna Dance with Somebody』で客席も総スタンディング。大迫力のパフォーマンスと芝居を楽しめるので、ミュージカルになじみがない人にこそおすすめしたい。公演は、10月6日(日)まで東急シアターオーブ・東京にて。10月11日(金)~20日(日)まで梅田芸術劇場メインホール・大阪にて上演。日本キャスト版は、大阪公演は2020年3月19日(木)~29日(日)、東京公演は4月3日(金)~19日(日)。取材・文:郡司真紀
2019年09月18日