宝塚歌劇月組公演『I AM FROM AUSTRIA-故郷は甘き調べ-』の制作発表会が8月20日に都内にて開催された。2017年にウィーンで初演され、今年6月までロングラン上演されていた大ヒットミュージカルで、日本とオーストリアが国交を樹立して150周年となる今年、日本で初演される。会見には月組トップコンビ、珠城りょうと美園さくらのほか、オリジナルプロダクションであるウィーン劇場協会のCEOフランツ・パタイ氏らも登壇した。【チケット情報はこちら】『エリザベート』や『モーツァルト!』など、いまや日本では定番となり、世界でも旋風を巻き起こす“ウィーン生まれのミュージカル”。パタイ氏は「ウィーン劇場協会の作品は世界21の国で上演されていますが、このサクセスストーリーは23年前、(オーストリア)海外での初めての上演として宝塚歌劇団が『エリザベート』を上演してくれたところから始まります」と語り、日墺の特別な結びつきを強調。ただ意外にも宝塚歌劇団でウィーンミュージカルを上演するのはその『エリザベート』に続き2作目とのことで、「とても身の引き締まる思い。月組は先日『エリザベート』も上演しましたが、それとは世界観も雰囲気も、楽曲の毛色も180度違う作品。新たな挑戦が出来ることを光栄に思います」と珠城。作品は、ウィーンの老舗ホテルの跡継ぎジョージと、オーストリア出身のハリウッド女優エマを中心に描かれる物語。珠城は「男女の恋愛だけでなく、家族愛、友情、祖国愛が美しい音楽にのせて紡がれる。観終わったあとに温かいものが心に残る作品。家族や友人の大切さや、自分自身が将来どうなっていきたいのかと考えることがいかに大事かということを、作品から感じ取っていただけるのではないかなと思います。丁寧に、いい作品に仕上げていきたい」と意気込み。珠城とともにウィーン公演を観劇したという美園は「華やかでスタイリッシュなパフォーマンスに圧倒された。その感動を余すことなく日本の皆さまにもお届けできるように頑張りたい」と話した。音楽は、オーストリアの国民的シンガーソングライター、ラインハルト・フェンドリッヒによるヒット曲で綴られる、いわゆるジュークボックスミュージカル。中でもタイトル曲『I AM FROM AUSTRIA』はオーストリアの第二の国歌とも呼ばれる、オーストリア国民が愛する曲。会見の冒頭で珠城と美園がこの曲を含む2曲のパフォーマンスを披露したが、協会の芸術監督であり脚本も手掛けたクリスティアン・シュトゥルペック氏は「ふたりがパーフェクトにこの役が要求する重要な部分を表現されていて本当に感動しました」と絶賛。また演出を手掛ける齋藤吉正は「この曲はオーストリアそのものの歴史、文化が描かれている。我々はこの作品が持つメッセージ、さらには作品をこえたオーストリアという国がもつカルチャー、歴史をこの作品を通じて伝える義務があると思っている」と気を引き締めて語った。公演は10月4日(金)から11月11日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、11月29日(金)から12月28日(土)まで東京宝塚劇場にて上演される。
2019年08月22日ただの映画音楽コンサートではない! フルートが魔法のステッキになり、フラッグが舞踏会のドレスに変わり、パーカッションが都会の喧騒を鮮やかに彩る!! 世界中で愛されるディズニーミュージックに、マーチングバンドとダンスパフォーマンス、デジタル映像を融合させ新たな息吹を注んだ「ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー」が、イリュージョンを巻き起こす。そんな奇跡の公演が、7月10日より全国ツアー開始。そして、待望の東京公演が8月20日(火)に、東急シアターオーブにてスタートした。【チケット情報はこちら】東京公演初日の20日には、スペシャルサポーターの武田真治が、筋肉隆々の腕でサックスを携えてステージに登場。もう1人のサポーター小島瑠璃子が見守る中、アンコール曲で情熱的なサックスの音色を響かせた。『ブラスト!』は、パーカッション、金管楽器を中心とした60種類の楽器を演奏するマーチングバンドと、フラッグやバトンを操るダンサーたちによって構成されたエンターテインメント集団。今回の公演では、ディズニーミュージックがテーマということもあり、会場には子ども連れの家族や学生たち、若いカップル、そして熟年夫婦まで、まさに老若男女が埋め尽くす盛況ぶりだ。スペシャルサポーターの武田と小島、さらにブラスト入団歴20年も石川直が、会場の雰囲気をこう語る。武田「山形公演を観にいったんですけど、お客さんがめちゃめちゃ盛り上がるんです!拍手で演奏できなくなるんじゃないかって不安になるくらいにね」小島「とにかくお客さんが熱狂していますよね。演奏が進むに従って反応が日本人離れしていくんですよ!」石川「お客様と僕らが一緒になって作り上げていくステージで、最後はホームパーティのような雰囲気になるんです!」公演は、往年の名曲「星に願いを」を始め、美女と野獣やアラジンなど人気作のテーマ曲の他、オリジナルメドレーを含む全17曲以上を披露。映画のワンシーンを彷彿とさせるファン心をくすぐる演出を随所に加えたパフォーマンスと、ダンサーかと見間違えるほどアクティブに動き回る金管楽器奏者たち、そして圧倒的されるパーカッションのリズムで、見るもの全てを魔法の世界へ引き込んでいく。武田「ディズニーの名曲は楽曲そのものにドラマがあって、聞いたその時の自分や映画のシーンを思い出したりすることで音楽の広がり方も違うと思いますし、年齢も選ばないと思います。だからみんなに見て欲しい。特に若い学生さんは人生観が変わりますから!」小島「楽器の持つ、心の奥の方が震える感じが体感できるコンサートです。すべての方に見ていただきたいです!デートで提案されたらセンスのいい方だなって思います」東京公演は東急シアターオーブにて9月1日(日)まで、以降は8都市を巡り9月16日にファイナルを迎える。チケットは発売中。取材・文浅水美保
2019年08月21日「ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」“飛翔”」製作発表が、東京都内の体育館にて行われた。【チケット情報はこちら】集英社「週刊少年ジャンプ」にて連載中の古舘春一による「ハイキュー!!」を原作に、2015年から7作品が上演された演劇「ハイキュー!!」シリーズ。“飛翔”から、烏野高校の全キャストが刷新。オーディションで選出された新生鳥野が始動する。8月19日の“ハイキュー!!の日”に実施された製作発表には、日向翔陽役の醍醐虎汰朗、影山飛雄役の赤名竜之輔がキャラクタービジュアルで登壇。これまでに引き続いて演出・脚本を手がけるウォーリー木下も参加し、彼らの門出に華を添えた。製作発表は「ハイキュー!!」を連載している集英社、週刊少年ジャンプ・中野博之編集長による激励でスタート。その後、前回シリーズで日向を演じた須賀健太からの応援コメント映像がサプライズとして流された。映像には、劇団☆新感線「いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』」で須賀と共演中で「ハイキュー!!」ファンの古田新太、池田成志の姿も。須賀は「どんな“新生烏野”が飛び出すのか楽しみにしています!」とメッセージを贈る。さらにサプライズは続き、会場には原作者・古舘の描いたモノクロ原画が。サブタイトル〝飛翔?と大きく冠されたイラストを受け取った醍醐と赤名は「うわぁ、カッコいい!」と大喜び。ウォーリーも「感動しました」と続き、本作の構想を「ぶつかり合いを経て春高出場への覚悟を固めていく“人間ドラマ”に仕上げる」と紹介した。須賀から役を引き継ぐ思いを問われた醍醐は「偉大な先輩の真似ではなく、自分のフィルターを通した日向翔陽を“1から始める”つもりでリアルに演じたい」と意気込む。赤名は、自身の演じる影山を「ひとりの男として尊敬する」としつつ、「初の2.5次元舞台だからこそ伝えられるものがあると思ってがんばります」と強い気持ちをにじませた。それを受けたウォーリーは「本作から登場する“託す”という言葉になぞらえて、信頼関係を育んで相手に“託す”面白さを感じてもらえたら、きっと素敵な“頂”の景色が見られるんじゃないかと思います」と新キャストを鼓舞し、製作発表を締めくくった。公演は11月1日(金)から4日(月・休)まで、東京・TOKYO DOME CITY HALLにて。さらに大阪・宮城と巡演したのち、12月に再び東京へ凱旋する。チケットぴあでは、9月3日(火)11時より先行抽選を受け付ける。取材・文:岡山朋代(c)古舘春一/集英社・ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」製作委員会
2019年08月21日三谷幸喜の最新作『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』が9月1日(日)、世田谷パブリックシアターにて開幕する。“無類のシャーロック・ホームズ好き”を自認する三谷が思い入れ深く描いた本作は、まだ“名探偵”の評判を得る前の、未熟でがむしゃらな青年ホームズの冒険譚だ。主演に抜擢されたのは、出演舞台を観た三谷に「僕のシャーロック・ホームズがここにいる」と言わしめた柿澤勇人である。「嬉しかった。ああ、観てくれている人っているんだな、頑張って来てよかったなと思いました」稽古が始まったばかりの今は、ほぼ出ずっぱりの主人公のセリフを覚え、その人物像をいち早く捉えるべく、「稽古場で談笑している余裕がないです」と苦笑する。「いわゆる皆さんがご存知のシャーロック・ホームズではないんです。もちろん天才的な要素は持っているけれど、まだまだ子ども。三谷さんには“精神年齢は8歳くらいで、10秒以上じっとしていられず、何かしら動いていてほしい”と言われています。人にどう思われるかは気にせず、自分の世界に没頭している。そしてワトソンのことを父親のように慕っているので、ワトソンの奥さんに嫉妬したり(笑)。周囲の人たちが、“まともな仕事にもつけず、人の気持ちがわからないこんな子どもみたいなヤツを、どうしたら救ってやれるか”という視線でホームズを見ているんですね」ワトソン役の佐藤二朗とはすでに共演済みで気心の知れた間柄。佐藤独自の愉快な個性が三谷舞台でどう発揮されるかも気になるが、柿澤は「皆さんがイメージする二朗さんではないですね」と悪戯っぽく微笑む。「もちろん二朗さんがやるから要所要所面白いんですが(笑)、今回のワトソンは、父親のようにホームズを見守っている人物。笑いを仕掛けにいくのではなく、僕らのやりとりから自然な笑いが生まれるんじゃないかなと思っています。ホームズとワトソンの関係性がかなりキーになるので、今、僕と二朗さんは相当アタフタしています(笑)」佐藤と同様に、ホームズの兄を演じる横田栄司もかつて共演した心強い先輩だが、柿澤を含め3人ともに三谷ワールド初参戦。「二朗さんも栄司さんも、稽古場で“どうしよう~!”と初めての顔を見せてます(笑)。たぶん、僕もそう。そんな新鮮な緊張を楽しんでいますね」。そのほか、事件の依頼人である令嬢役の広瀬アリス、ワトソンの妻役の八木亜希子など、魅力の顔合わせで綴る“シャーロック・ホームズの成長物語”。三谷が仕掛ける世界で、うごめく人間たちの妙味を存分に味わいたい。「自己中心的で浅はかで、傲慢なホームズだけど、やっぱり愛される人でなければ。皆に愛されるホームズになって舞台に立ちたいと思います」予定枚数終了していた東京公演で追加席を発売中。取材・文上野紀子
2019年08月20日宝塚歌劇団花組トップスター明日海りおの退団公演となるミュージカル『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』、レヴューロマン『シャルム!』が、8月23日(金)より兵庫・宝塚大劇場にて幕を開ける。「宝塚が大好きで、男役が何より好きでした」という明日海のラストステージにかける想いを聞いた。宝塚歌劇花組 宝塚大劇場公演 三井住友VISAカード シアター Musical『A Fairy Tale -青い薔薇の精-』/三井住友VISAカード シアター レヴューロマン『シャルム!』チケット情報『A Fairy Tale-青い薔薇の精-』で演じるのは、青い薔薇の咲く禁断の園に生きる精霊エリュ。幻想的な世界観の中、人々が現実だと信じている世界と、異次元の世界とを交錯させながら人間と精霊との交流を描き出す。「エリュは、他の精霊たちよりも少しプライドが高く、周りから一目置かれているような存在で、人間よりも自分のほうが優れているという意識があります。そんなエリュが、“精霊が大好き”という少女シャーロットと出会い、そのまっすぐさに惹かれていきます」。自然界では、人間に姿を見られると、大人になる前に忘れてもらわなければならないという掟があるが、「忘れてほしくない」エリュは、掟を破ってしまう。「思いが強すぎるという点では良くない精霊で(笑)、プロローグでは霧の中でしか生きられない状態から描かれます。ミステリアスで、人間ではない者のすごみや、切なさが表現できたらと思います。(作・演出の)植田景子先生が描かれる作品は、繊細な心の動きや感情の豊かさが必要とされます。私はすごく芝居が好きでこれまでも男役に対してこだわりを強く持って演じてきましたので、技術でというよりは、自分のすべてを役に預けて表現していきたいと思います」。稲葉太地が作・演出を手がけるショー『シャルム!』は、パリを舞台にした華やかなレヴュー。集大成ならではの、男役の魅力がたっぷりと堪能できるショーになりそうだ。「アダルトな雰囲気のプロローグから、スーツにハットの場面、軍服を着た中詰、黒燕尾など、宝塚歌劇の王道の中に、花組のいろんな面が見えるものになっています。トップになって初めてのショーも稲葉先生で、そのときは“ひな鳥”をイメージしたようなキラキラしたプロローグだったのですが、それから5年が経ち、このように変化しましたという姿を楽しんでいただければと思います」。2014年のトップ就任から5年あまり、トップスターとして花組を牽引してきた明日海。「たくさんのお役と素敵な作品に出会うことができ、その中で悩んだり、打ちひしがれたりと、常に自分との戦いでした。でもやっぱり、宝塚が大好きで、男役が何よりも好きという思いでここまでやってきました。卒業する日までは、公演のこと、サヨナラショーのことに専念して、自分が納得するものに仕上げたいと思います」。公演は8月23日(金)から9月30日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、10月18日(金)から11月24日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは9月15日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年08月20日昭和50年から、多くの古典芸能ファンに親しまれてきた「第46回NHK古典芸能鑑賞会」が、今年も東京・渋谷のNHKホールで開催される。日本の伝統芸能の各ジャンルを代表する方々の出演で、一夜限りの贅沢な舞台が繰り広げられる。【チケット情報はこちら】幕開きは箏曲で宮城道雄作曲の「越天楽変奏曲」。昭和3年、昭和天皇即位の大典の奉祝曲として作られた大合奏曲だ。雅楽の「越天楽」を主題にしており、令和に改まった年に相ふさわしい作品を、牧瀨裕理子ほか宮城合奏団の演奏で堪能できる。続いて、舞踊・清元「四季三葉草」。「式三番叟」を「四季三葉草」ともじった題名にし、四季の草花を詞章に詠み込んだ曲で、歌詞は「とうとうたらり」や「おおさえおおさえ」など、「三番叟」の定型句に、さまざまな草花をあしらい、洒落のきいたものだが、舞踊としては、ほかの「三番叟物」同様、品格を保った御祝儀的色彩の濃い作品となっている。今回は、芸術院会員の花柳壽應の翁、花柳壽輔の三番叟、花柳ツルの千歳という配役にて、素踊りで演じられる。次は、大蔵流の狂言「髭櫓」。新天皇が即位した際に行われる大嘗会にまつわる、夫婦の喜劇だ。立派な髭ゆえに大嘗会の犀の鉾の役を任された夫だが、妻と夫婦喧嘩となり、怒った妻は近所の女たちに加勢を頼み、夫の髭を剃ってしまおうと計画する。人間国宝の山本東次郎演じる夫を中心に、おおらかな笑いが繰り広げられる。そして最後は、文楽座特別出演による歌舞伎「義経千本桜・川連法眼館の場」で締めくくる。狐が親を思う情愛を描いた名作「川連法眼館の場」は、人形浄瑠璃文楽を先行作品として歌舞伎で繰り返し上演されているが、今回は一夜限りの豪華な舞台として、歌舞伎俳優と文楽座の共演が行われるのが、大きな話題だ。次々と大役を勤め、芸域を広げる尾上菊之助の忠信、立役・女方ともに芸を極める中村時蔵の義経に、文楽太夫の最高峰、豊竹咲太夫の浄瑠璃、華麗な撥さばきをみせる鶴澤燕三の三味線という配役が見どころだ。取材・文:七海友信
2019年08月20日週に何本もの人気番組をとりしきるウッチャンナンチャンの内村光良。バラエティを賑わせるMCとしての存在はテレビになくてはならないものだが、その一方で彼の本分である「演者」としての姿を観られる機会は決して多くはない。そんな内村のパフォーマーとしての魅力を存分に味わえる『内村文化祭’19 三茶』が8月28日(水)、29日(木)の2日間、昭和女子大学人見記念講堂にて開催される。【チケット情報はこちら】「内村文化祭」という名のイベントは2017年から開催しており、今回で3回目。女優の桜井日奈子、俳優のせとたけお、芸人のニッチェ、パーパー、きしたかのらを迎え、過去最大規模の公演となる。本格的な稽古が始まろうとするタイミングで、内村に話を聞いた。「この1年間、自分が経験したもの、体験したものを出すのがこの『内村文化祭』です。ひとつひとつの演目は統一感なくバラバラで、構成もつぎはぎだらけですけど、この場では本当に自分がやりたいことだけをやっています。今年はステージが広くなるので、歌や踊りをたっぷり見せる形になると思います」過去2回の公演では観て影響を受けたという劇団☆新感線の公演を再現してみたり、木村多江の「春興鏡獅子」を再現したり。体験したものをそのまま内村色にして出す演目もあれば、幼い息子のようすを描写したコントや自分の日常を語る漫談、しっかりと作り込んだ長尺コントからダンサーたちを従えたダンスも。まさに文化祭のようにさまざまな面白さが詰め込まれていた。「今回は病院を舞台にした、10分ちょっとのミュージカルコントがあります。以前の公演に出た丸山けんじ(ご当地ソングの名手という設定の、内村演じるキャラクター)は今回残念ながら出演しませんが、彼の弟の丸山ちはるという人が登場します。お楽しみに!」今年の演目について話しながら、楽しくてたまらないといった風情で笑う内村。本番はもちろん、稽古の時間もとても楽しいのだという。「今回の新たな挑戦としては、アクションものがあります。ヒーローものですね。息子がいま『仮面ライダージオウ』が大好きなんですよ。そのようすを観て、じゃあ私が仮面ライダーみたいなヒーローになろうと」歌、ダンス、アクション。『内村文化祭』は、芸歴34年を数える内村が、今やりたいことを純粋に追求し、それに向かって邁進する姿を観られる貴重な機会になりそうだ。「内村文化祭‘19 三茶」は8月28日(水)・29日(木)、昭和女子大学人見記念講堂にて開催。取材・文/釣木文恵
2019年08月16日2012年の『RENT』ぶりの舞台出演となる、石田ニコル。挑戦するのは、9月25日(水)より東京・TBS赤坂ACTシアターにて上演される新作ロックミュージカルA New Musical『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』だ。【チケット情報はこちら】7年ぶりの舞台を前に緊張を隠せないが「緊張は無駄だとも思うんですよ」と腹をくくった様子も見せる。「『RENT』の時は、ボイトレも演技もしたことがなかった。なにも色も味もついていない状態が新鮮だったと言ってくださって、人生で1番大きい経験となりました。でも終わったら「もっとできたんじゃないか」という考えが止まらなくて。もっと色んな経験を積んでから、もう1度チャレンジしたいと思いました」。舞台を観るのは好きだ。去年末、ある観劇中に「自分だったらどう演じるだろう」「私も歌ってみたい」と考えている自分に気づいた。「たぶん私、ミュージカルに出たいんだ、と自覚した頃、出演の話をいただきました。良いタイミングが重なった」。しかも共演者は、憧れの柚希礼音、『RENT』で共演したソニン、友人の清水くるみなど、願ってもないメンバーだ。「舞台に立っている回数が圧倒的に少ないので、すごい方達の中で私にしかできない役をどうするか……まずは喉を大事にして舞台に臨みたいです」物語は、19世紀半ばのアメリカ・ローウェルで自由のためにペンを手に戦うファクトリーガールズ(女性労働者)達を描く。「女性の差別問題は今の時代にも残っているけれど、この時代の女性はもっと辛い思いをしている。それをロックな音楽や物語でどう表現していくのか。観に来てくださる女性の勇気になればいいなと思いますし、男性の方にも響いてくれたらいいな。いろんな人に、女性や、人間の強さが伝わると嬉しいです」。石田が演じるマーシャは華やかな世界を夢見ている女の子。自分磨きに熱心で、ファッションが好きな部分は「モデルの自分に近いかも」と想像する。しかし恋愛に積極的なところは本人と違うようで、「着飾っている裏にはどんな思いがあるのかを見つけたい」と意欲的だ。近年はドラマや映画の出演も増えてきた石田。演じることについて、「1作にすごく時間をかける。モデルとはまた違う楽しさ」と言う。「ひとつのことについて考えるのはすごく好きです。しかも舞台はナマモノなので、毎公演同じではないことが面白い。楽しみです」上演は9月25日(水)から10月9日(水)東京・TBS赤坂ACTシアター、10月25日(金)から27日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて。取材・文:河野桃子
2019年08月14日『桂 雀々、はじめての全国ツアー にっぽん、まるごと笑わせまっせ!2019』と題し、3月から全国8都市をめぐるツアーを行っている桂雀々。大阪は8月18日(日)、NHK大阪ホールに登場する。「桂雀々」チケット情報若手時代、師匠の桂枝雀が全国で独演会を開いている姿に憧れていたという。今年、「還暦を前にいつかはやりたかった」という夢がかなった。しかも、大阪公演は59歳になったばかり。この年齢にも特別な思いがある。「師匠は59歳で他界しましたので、ちょうど師匠の年齢に追いつきました。これからがスタートかなと思います」と改めて気を引き締める。オーバーなリアクションにマシンガントーク、賑やかな上方落語でもって更に客席にまで飛び出しそうな勢いで沸かせる。その爆発的な笑いに師匠の面影を見るファンも少なくない。「“俺流”じゃないですけど、誰にも真似できない雀々の形を作り上げることができたらと思いますが、師匠にはまだまだ、まったく追い付きません。ただ、師匠の年齢に近づくにつれ、“あの時、師匠はこう言うてはったな”という思いとか、苦労してはったことが分かるようになりました」。東京に拠点を移して8年、上方落語を知らない観客の心を瞬時に掴むため、マクラにも力を入れている。「1分、2分で“おっ!”と思わせるため、目線に気を配りながら。内容は世情なども多いですが、なにより自分で足を運んで得た情報を取り入れています。しょっぱなにドン!とウケたら“来てる来てる!って思いますね(笑)」とうれしそうに話す。生まれ故郷でもある大阪はホームだけあって、「お帰りなさいという空気感がある」と幕開けを楽しみにしている。そして、NHK大阪ホールという大きな会場だからこそ、1席1席をたっぷりできると意気込む。「大きなホールでの独演会は半年に1回ぐらいなので、ぜひ足を運んでいただいて、まったく異なる空気感、世界観を感じてください!女道楽の内海英華先生にもゲストで出ていただきます」。落語は三席、演目は当日、会場の雰囲気を見て決めるという。「お客さんの空気感で違ってくるので、その時に合ったものをと考えていますが、主に夏の大阪の噺になると思います。夏の大阪を舞台にした噺はたくさんあるので、何をやるか、お楽しみに!」。公演は8月18日(日)NHK大阪ホールにて。チケット発売中。取材・文:岩本
2019年08月09日8月17日(土)・18日(日)に東京・渋谷のBunkamuraシアターコクーンにて「九團次・廣松の会」が開催される。市川海老蔵一門として全国各地で公演を行うほか、バラエティー番組出演やCM出演など、歌舞伎以外でも幅広く活躍をしている市川九團次と、女方を軸に活躍し様々な可能性を持つ若手のひとり、大谷廣松が今回初めてふたりで公演を行う。【チケット情報はこちら】先日都内で行われた取材会で、九團次は今回ふたりでの自主公演を行うことになった経緯を「『九團次の会』を4年前からはじめて、毎回色々な形で挑戦をさせてもらってきました。廣松さんとは、普段から“何かできたらいいね”と話をしていました。本興行での舞台出演も非常に大事ですが、自分で主役を経験する事は勉強にもなるし度胸も尽く。真ん中に立って長台詞を喋り、長時間踊る事はなかなか本興行では経験できません。今回は上手くスケジュールも合い、この公演が決まりました」と語った。今回の演目は、茂山逸平監修による『柿山伏』(かきやまぶし)、そして挨拶を挟み、藤間勘十郎振付・中村京蔵 構成による『女夫蝶花臺』(つがいのちょうはなのしまだい)三場、「蝶の道行」竹本連中、「石橋」長唄囃子連中、というラインナップ。狂言、綺麗に化粧をした男女の姿を観ることのできる歌舞伎演目など、様々な日本の伝統芸能を1度に観ることが出来る。日本特有のエンタテインメントである歌舞伎、狂言を、まだ観劇経験の少ないお客さんにもぜひ観ていただきたいと語る九團次と廣松。見どころを尋ねるとふたりは以下のように語った。「歌舞伎は歴史があって、何百年も続いて今があるというのを考えるとゾクゾクします。歌舞伎は割とその当時に起こった題材にしているので、その当時を覗くことが出来ます。着物・鬘・セット・音楽家などの素晴らしさにも目を向けていただきたいです」(九團次)「日本の伝統的な喜劇である狂言。そしてお芝居の『蝶の道行』での恋の行末の心中、蝶に生まれかわるという物語性や、衣裳・道具・鬘など、諸々を含めての非日常を提供できたらと思います。これがみんなの憧れる恋の形であり、だから現代まで残ってきたんだ…ということを色彩美とともに味わっていただきたいですね。また『蝶の道行』の衣裳は素敵なので、衣裳での感情表現というのを非常に注目していただきたい。衣裳は言葉が要らない部分ですから、役者の表現と衣裳の表現が重なったときに、色々なものが見えてくると思います。それを頑張って見せられるようにしていきたいです」(廣松)すでに稽古は大詰めを迎え、いよいよふたりの公演は目前に迫った。九團次は「自主公演でいつも考えるのは、観に来ていただいたお客様にチケット代が高いねと絶対思われないようにしようという事です。安い!と思ってもらえるように、生き様を観ていただきたい。ご納得いただくものをお見せします」と意気込みを語った。
2019年08月09日7月28日(日)、劇団四季のミュージカル『ノートルダムの鐘』が京都劇場で幕を開けた。今回は2017年から約2年ぶりの上演。が、前回は2か月の期間限定上演だったため、チケットは発売後すぐに完売した。その反響を知りながら、観ることのできなかった人たちが期待を胸にここにいる。団四季「ノートルダムの鐘」チケット情報1482年、パリ・ノートルダム大聖堂の鐘が鳴り響き、幕が上がる。大聖堂に集まる人々、厳かな聖歌隊の歌、語りかけるノートルダムの大助祭・フロロー。フロローがローブを脱いだ瞬間、時代は彼の過去へとさかのぼる。フロローは“みなしご”として弟と大聖堂に引き取られるが、奔放な弟は大聖堂を追放され、その後、弟はジプシー女性との間に生まれた息子をフロローに託して病死する。葛藤の末、フロローは怪物のような容貌の赤ん坊に「できそこない」という意味の「カジモド」と名付け、大聖堂の鐘楼に閉じ込めて育てることにする…。物語のプロローグが、前回と比べて非常に印象に残る。フロローとカジモドの“宿命”。それは物語の根幹をなし、大きく激しい流れで最後へと導いていく。聖歌隊の歌声も、さらに美しく整い、そのハーモニーは清らかに、力強く、観客を大聖堂の中へと誘う。鐘楼にこもって鐘をつき、青年となったカジモド。外の世界に憧れる気持ちを、石像たちに語りかけ、歌う『陽ざしの中へ』。1年に1度の道化の祭りの日。飛び出した街で、カジモドは美しいジプシーの踊り子・エスメラルダに出会い、恋をする。フロローは彼女に邪悪な欲望を抱き、戦場から赴任して来たハンサムな警備隊長・フィーバスも心奪われる。3人の熱い視線がエスメラルダに注がれ、交錯し、スパークする…。エスメラルダを軸として展開する4角関係の愛を描いた物語。人間を容姿や地位だけで判断してはいけないというテーマ。それが『ノートルダムの鐘』と観ていたが、ドラマはもっと深く人間の光と闇をあばき、4人それぞれの苦悩を、そしてその「宿命」をくっきりと浮かび上がらせる。名古屋公演の折、海外クリエイティブスタッフが来日して作品をブラッシュアップした。キャラクターはより生き生きと、関係性を際立たせ…。その成果は物語全体に確実に表れている。が、「こんなシーンがあった?」と思うほど違う印象。合唱の素晴らしさに、そして作品の核の部分に触れた2度目。この作品は2度観の効用が体感できる。公演は2020年1月19日(日)まで京都劇場にて上演中。取材・文:高橋晴代
2019年08月09日関西ジャニーズJr.時代には、歌って踊れる美声年にして、どんな笑いをも回収できる抜群のトークセンスでも鳴らした浜中文一。Jr.卒業後は、人気ドラマ『初めて恋をした日に読む話』へ出演するなど俳優としても活躍の場を広げる。今秋には2016年に主演した、R-15指定の官能ミュージカルコメディ『50Shades!~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』の再演が決定した。演出を河原雅彦が務める、おバカ度200%のロック・エンターテインメントだ。新たなキャストと再演に挑む浜中に、意気込みを訊いた。ミュージカル「50Shades!~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~」チケット情報原作は、映画にもなった世界累計1億部突破のベストセラー官能小説『50Shades of Grey』。それをパロディ化したオフブロードウェイ・ミュージカルを日本人キャストで上演する。物語は3人の主婦が「本を読む会」に集うところから始まる。この日彼女たちが選んだ本は、とんでもない性癖を持つ青年実業家グレイ(浜中文一)と純真無垢な女子大生アナ(水崎綾女)の歪んだ愛を描く、サディスティックな官能小説だった…。想像を遥かに上回る浜中の振り切れっぷりに、「当時のマネージャーはクビを覚悟していたようです…」と遠い目で初演を振り返る浜中。「僕としてはすっごい楽しかったです。河原さんも毎日にニヤけた表情で稽古していましたし(笑)」。劇中では専門的な“器具”を図解入りで説明するなど、エロ・バカ・ロックの三拍子が揃った筋書きは、「主婦や会社帰りのサラリーマンが日頃のうっぷんを晴らすのにもぴったり!」。それだけに、うっぷんが溜まりきらない若い女性層からの、やや引き気味な視線も同時に感じたという。「そんなん言うてもね、若い子らもエッチなことは考えてるでしょうし。日頃皆さんの脳内を駆け巡っているエロいことを僕らが堂々と舞台で表現しているだけなんで。ジャニーズWESTの濵田(崇裕)は『ネタ元を知っていると思われるから笑うのが難しかった。重岡(大毅)は隣で爆笑してましたけど』って言ってました(笑)。なにわ男子の大西流星は年齢制限で初演が観れなかったので、今回は最前列中央で観てほしいなと思います」。演出の河原から「浜中文一だからこそ上品なコメディになる」と絶大な信頼を得る浜中。「どうせやるんやったら思いっきり演じた方が楽しいんでね。エッチなセリフも生バンドのロックな演奏に乗せて歌うとカッコいいですし、エロい女性の前で炭酸を飲み干したような爽やかさもある作品なので。気楽な感じで観に来てもらえたら、楽しいと思いますよ」。公演は11月15日(金)から24日(日)まで東京・新宿FACE、11月29日(金)から12月1日(日)まで大阪・Zepp Namba、12月3日(火)、4日(水)福岡・ももちパレスにて上演。チケットは8月24日(土)10:00より全国一斉発売。チケットぴあでは8月10日(土)10:00より大阪公演の先着先行を実施。取材・文:石橋法子
2019年08月09日エロティックコメディミュージカル『50Shades!(フィフティシェイズ!)~クリスチャン・グレイの歪んだ性癖~』(演出:河原雅彦)が2019年11月から12月にかけて、東京、大阪、福岡の3都市で再演される。2016年に上演された日本初演版に引き続き、主人公のクリスチャン・グレイ役を演じる浜中文一と、今回が初のミュージカル出演で、ヒロインのアナ役を演じる水崎綾女に、舞台への意気込みを聞いた。【チケット情報はこちら】本作は、全世界で1億冊が売れた大ベストセラー官能小説「50Shades of Grey」のパロディ作品。若く有能だが心から人を愛せないサディストの青年実業家・グレイと、純真無垢な大学生・アナとの歪んだ愛の形を刺激的かつユーモアたっぷりの性描写で描く。再演について、浜中は「早く再演したいなと思っていたので、すごくうれしいです。キャストが全員集まらないのではないかと思っていたけど、みなさん出て下さってよかった。(自分以外は)新キャストでどういう感じになっていくのか、今から楽しみです」と素直に語る。初演時には演出の河原が「文ちゃん以外にこの役をやれる人がいるのかなと思うくらい。森光子さんの『放浪記』くらい文ちゃんが何回もやればいいのに」と褒めていたが、浜中は「そういう風に言ってもらえる役があるのはうれしいですね。でも、この役がはまっているのがいいことなのか、分からないですけど」と笑う。そして、「稽古場では河原さんからいろいろと“お題”が出されます。無茶振りに対応して頑張っていきたいと思います」と話した。今回が初参加となる水崎は「楽曲も良くて、面白い作品だったので、すぐにやりたいと思いました。再演なので、プレッシャーはありますが、楽しみです」と話す。“エロティックコメディ”で過激なシーンも多い舞台ゆえ「河原さんや浜中さんに“(出演して)本当に大丈夫?”と聞かれる」というが、「楽しみの方が勝っています」。そして、「初めてのミュージカルなので、しっかり歌が届けられたら。浜中さんのファンの方もたくさん見にこられると思うので、私が演じるアナに、ご自身を投影していていただいて、浜中さんにいろいろされている姿を想像してもらえるいい機会かなと思っています。ぜひ見に来てください」と意気込んでいた。東京公演は11月15日(金)から24日(日)、新宿FACE。大阪公演は11月29日(金)~12月1日(日)、Zepp Namba。福岡公演は12月3日(火)・4日(水)、ももちパレス。出演者は、浜中文一、水崎綾女、シルビア・グラブ、野口かおる、青木さやか、福田転球、レディビアード、カイル・カードほか。取材・文:五月女菜穂
2019年08月07日8月10日(土)にサンケイホールブリーゼで行われる『米朝一門会 令和夏の陣 「昭和入門軍」vs「平成入門軍」』。昼の部は、桂南光、桂雀三郎、桂千朝、桂塩鯛、桂米團治、桂団朝らが出演する「昭和入門軍」が、夜の部は桂南天、桂米紫、桂吉弥、桂しん吉、桂ちょうば、桂二葉らが出演する「平成入門軍」がそれぞれ、落語会を開く。米朝一門会 令和夏の陣 「昭和入門軍」VS「平成入門軍」チケット情報昭和入門軍、平成入門軍を代表して、南光、団朝、南天、二葉が取材会に登場し、意気込みを語った。「米朝一門でサンケイホールブリーゼには何度も出させていただいておりますが、こういう企画は初めてです。噺家は年を重ねていたほうがいいに決まっているのですが、ひとつだけひっかかることがあります。細かいことですが、入場料金が我々は5000円で、平成入門の若い人たちが4500円。500円の差しかないんですわ。私が一般のお客様なら平成入門の方に行きますね。1コインでも安いほうがいい!」と昭和入門軍の南光、冒頭から沸かせた。同じく昭和入門軍の団朝「お盆なので、天国でうちの師匠(桂米朝)が?お、こんなことをやっているのか“と喜んでくれるような一日になったらいいなと思います」と笑みを浮かべ、平成入門軍の南天とは同い年であることから「同じ年齢の人間が昼と夜に出ているというところも面白いのではないかと思います」と見どころを語った。平成入門軍の南天は「平成と昭和と別れた落語会は面白いと思います。まさかサンケイホールブリーゼでの米朝一門会でトリなんて。吉弥さんも米紫さんもみんな面白いので、彼らに負けないようにできたら」と気合を入れた。サンケイホールブリーゼでの米朝一門会に初出演という二葉は「出させていただいてめちゃくちゃうれしいです」と声を弾ませ、「私は平成入門軍のトップで、昭和入門軍のトップは米團治師匠ということで、米團治師匠に負けないようにできたらと思います!」と意外なところでのライバル心を燃やした。昼夜とも、大喜利も開催。「大喜利は苦手」と話した南光、当日はどう魅せるか、こちらも注目だ。取材・文:岩本
2019年08月07日2020年1月8日(水)に開幕するミュージカル『フランケンシュタイン』のファン感謝祭イベントが、7月29日に行われた。会場には抽選に当たった150名と報道陣が集まり、出演者、演出家、プロデューサーらのトークや歌唱を楽しんだ。【チケット情報はこちら】登壇したのは、2017年の日本初演に引き続き出演する中川晃教、柿澤勇人、加藤和樹、小西遼生、そして演出の板垣恭一。東宝の篠崎勇己プロデューサー司会のもと、約40分のトークが行われた。2役を演じる魅力について、中川は「俳優としてはふたつの役をどう生きるか、お客様は2つの顔を見られる」と紐解く。同役を演じる柿澤は「1幕では新しい命を創造する天才科学者。ある意味一本筋の通った役です。2幕は180度違う役。カロリー的にはしんどいですが、楽しんでやれた」とコメント。ダブルキャストについて、相手役のひとり、加藤は「アッキー(中川)は共に進んでいく、カッキー(柿澤)は支えてあげなきゃ」と違う印象を持つ。また同役の小西がふたりの違いを「カッキーは目で芝居と目で表現し、アッキーは歌ですごく表現する。(表現の)飛ばし方は違うけれど、同じところに来る」と説明すると、加藤も大きく頷いた。板垣は「韓国版の初演と再演を見て、良いとこどりをした。日本版はシーンを追加したので上演時間が長くなっていたが、韓国メディアから「どこをカットしたんですか?」と聞かれて嬉しかった。短く感じたんだな」と嬉しそう。途中、なんと熊カレーが登場!会場に良い香りが漂う。劇中の「クマ、オイシイ」という台詞が人気で、初演時も急きょロビー販売がおこなわれた熊カレー。「食べやすい」「美味しい」と食べる5人を眺める不思議なトークイベントに……。小西は「俺のは肉がない」とぼやいていたが、全員ペロリと完食した。登壇者ばかり食べていては悪いと、抽選で熊カレーの缶詰をプレゼント。それぞれが2枚ずつクジを引き、10名に熊カレーが当たった。トーク後に新キャストとなる露崎春女が歌唱を披露。音楽とともに登場し、すぐに『その日に私が』を歌い上げた。緊張もしていたようだが、まっすぐな声が心地よい。歌い終えると「ミュージカル出演は初めてで楽しみ」と言う露崎を、他の出演者が温かく向かえた。最後にそれぞれがコメントを述べ、中川が「この作品からミュージカルがもっと広まってくれたら」と締めくくった。ファン達の拍手に見送られ、再演への熱気を強く感じるイベントだった。取材・文:河野桃子※篠崎勇己の「崎」は立つ崎
2019年08月07日学ラン姿で踊る男性のみのダンスカンパニー・コンドルズ。ダンスはもちろん生演奏、人形劇、映像、コントも展開する彼らの舞台は、性別年齢国籍を超えて幅広いファンを持つ。毎年恒例の福岡・イムズホール公演を前に、プロデューサー兼出演者の勝山康晴と、福岡出身のダンサー・ぎたろーが意気込みを語った。【チケット情報はこちら】今や“コンドルズといえば学ラン”のイメージが定着しているが、やはり初めて観る人からは“なぜ学ランなのか”と必ず聞かれるという。コンドルズ創設メンバーでもある勝山の解説によると「“青春が終わってないから”というもっともらしい理由もあるんですが(笑)、実際は、結成当時、自前で揃えられる衣装が学ランだったから、ですね。学ランって無個性なだけに、身体の個性が引き立つ、動きのキレが見える、なんてアーティスティックな長所もあるんですよ。海外ツアーでも興味持ってくれるし、喜ばれるし」。結果、トレードマークにもなり、衣装代も浮く。なんとも利点ばかりのようだ。20代から50代までが集まるカンパニー。最近では、主宰の近藤良平と若手が中心になってシーンを作り、後でベテラン組が「よぉーし、やるか!」と動き出すスタイルに変わりつつあるという。「世界のトップ企業は、上司も部下も関係なく意見を出し合っている。コンテンポラリーダンスというジャンルは舞台芸術の中で先端を行く予定(笑)なので、僕らも先を行くチームとして全員で関わって作品を作ってます」(勝山)「稽古の時から、こんなにも笑いが絶えない稽古場ってあるかな?っていうくらい、とにかく楽しくて。本番でも、その楽しい雰囲気がそのまま客席に伝わっているから皆さんにも楽しんでもらえるんだと思います」(ぎたろー)新作『Don’t Stop Me Now』のツアー公演はまもなく開幕。ぎたろーは「何も考えず観に来ても“何か楽しかった!”という気分になれるんじゃないかな。明確なストーリーはないんですが、深読みしたらいくらでもできるし、色んな見方ができるのがコンドルズの良いところ。初めて観る方にも楽しい気分になっていただけると思います」。そして勝山も「今、“生き辛い世の中だよな”という雰囲気があるじゃないですか。将来への不安とか。でも僕らの舞台を観てそういうモヤモヤを吹き飛ばして、前向きに生き生きと過ごしてほしいんですよね。劇場を出た時、心の中で“Don’t Stop Me Now”とつぶやいてもらえたら、僕らの思いが伝わったのかなって。それが今の目標ですね」公演は全国7か所で、2019年8月からスタート。福岡公演は8月31日(土)、9月1日(日)の2日間、イムズホールにて。チケットは発売中。
2019年08月05日米倉涼子が主演するブロードウェイ・ミュージカル『シカゴ』の来日公演が8月1日、大阪・オリックス劇場で開幕した。その開幕を前に、ゲネプロと囲み取材が行われ、米倉のほか、アメリカ・カンパニーの来日キャストから、ヴェルマ・ケリー役で史上最多出演数を誇るアムラ=フェイ・ライト、物語の鍵を握る悪徳敏腕弁護士ビリー・フリン役のピーター・ロッキアーが取材に応じた。ブロードウェイミュージカル「シカゴ」チケット情報女優デビュー20周年の米倉、7月には自身3度目となるブロードウェイ公演でも主演ロキシー・ハート役を務めてきた。「とにかくたくさんのお客様に喜んでいただけたので、日本公演も精一杯頑張りたい」とコメント。ピーターは「涼子とは舞台上でとても楽しく上演できている」と笑顔で語り、公私ともに“相棒”というアムラも「涼子と私たちは毎日より良くなっている。涼子とは親友同士としての化学変化も楽しみたい」と上々の仕上がりをアピールした。本作は1997年初演、これまでトニー賞最優秀リバイバル・ミュージカル作品賞を含む6部門、ローレンス・オリヴィエ賞2部門、グラミー賞を獲得。アメリカ(ブロードウェイ)作品として歴代1位のロングラン、世界36か国、500都市以上、12言語で上演されているメガヒット・ミュージカルだ。実話に基づいたふたりの“悪女”によるシンデレラ・ストーリーはスキャンダラスで、『オール・ザット・ジャズ』など劇中を彩るナンバーも名曲揃い。加えて鬼才ボブ・フォッシーによる振付はスタイリッシュかつセクシーで、それらが三位一体となり極上のエンタテインメントとして、色褪せぬ輝きを放ち続けている。7月31日には、ミュージカルCD「シカゴ」の日本盤ボーナス・トラックで、米倉涼子が歌う『ロキシー』が世界120か国以上で配信された。世界デビューについて問われた米倉は、「なぜ私が?と、いまだに信じられません」と恐縮しきり。だがニューヨークでのレコーディングは「ブロードウェイのアンサンブルボーイズふたりにも歌を入れてもらい、とても楽しい時間を過ごすことができました」と振り返った。また米倉にとって8月1日は自身の誕生日。「ハッピーバースデー!」とピーターからバラの花束を受け取った米倉は「誕生日なんて忘れてた」と驚きの表情。『シカゴ』の本拠地、ブロードウェイのアンバサダー劇場を模したケーキが運ばれると、3人は「素敵ー!」と声をあげた。そんな祝福ムードのなか、改めて米倉が日本公演に向けて意気込みを語った。「今回は半分以上が初めて共演させていただくメンバーです。最後のリハーサルでも、みんなで一丸となって前を向いて気持ちをひとつに整えたので、長丁場になりますが、日本公演も精一杯がんばります!」と力を込めた。公演は8月4日(日)まで大阪・オリックス劇場、8月7日(水)から18日(日)まで東京・東急シアターオーブにて上演。
2019年08月02日ヨーロッパで今最も注目の高いバレエカンパニー、「バレエ・アム・ライン」による初来日公演が、今年9月20日(金)・21日(土)に東京、9月28日(土)には兵庫にて開催される。【チケット情報はこちら】その演目はバレエを見たことがない人でも知っている有名な演目《白鳥の湖》だ。マニュエル・ルグリの後任として2020年シーズンよりウィーン国立バレエの芸術監督就任が決まっている鬼才マーティン・シュレップァーが世界初演時の原典譜と台本を用いてチャイコフスキーが理想とする《白鳥の湖》を新演出。ファンタジーよりリアリティを追求した物語性豊かな作品は、見慣れた≪白鳥≫のイメージをガラっと変える。日本公演のアンバサダーに就任したのは、元宝塚歌劇団花組男役トップスターで、現在は女優として活躍する真飛聖。真飛は公演の見どころについて、「セットがシンプルで、衣装もチュチュや白タイツは登場しない。人間がシンプルな姿で表現することで、観る者の想像力を掻き立てる演出になっている」と語る。また、ドイツ・デュッセルドルフを訪れ現地でバレエ・アム・ラインのレッスンを見学した真飛。「バレエダンサーは華奢なイメージだけど、バレエ・アム・ラインのダンサーたちは裸足で踊ったり、アクロバティックな振付が多いので、筋肉がすごい!女性ダンサーも肉体がバレリーナというよりアスリートという感じで、バレリーナであんなに筋肉質なダンサーは初めて見ました」とダンサーたちの肉体美を絶賛。自身も小さな頃からバレエをやっていたというが、新しい世界観での《白鳥の湖》に驚きを感じたと言い、「ちょっと敷居が高いなと思う人でも、彼らのスタイリッシュで力強いパフォーマンスを観たら衝撃を受け、その肉体表現にさらに興味が湧いて、もっとバレエを観たいと思ってもらえると思う。これまでバレエを観たことがなくても、気軽に劇場に来ていただけたら」とメッセージを送った。公演は9月20日(金)・21日(土)、東京・Bunkamura オーチャードホールにて、9月28日(土)兵庫・兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールにて。またアンバサダーの真飛がドイツ・デュッセルドルフを訪れ、同公演を紹介する特別番組「恋するバレエ~真飛聖魅惑のドイツ旅~」が、8月4日(日)朝5時15分より関西テレビ放送にて、8月25日(日)15時30分よりBS日テレにて放送される。チケットはいずれも発売中。
2019年08月02日脚本・演出を勤める西条みつとしが主宰する劇団TAIYO MAGIC FILMの旗揚げ公演だった「HERO」、このたび2019年夏バージョンとして東京・ヒューリックホールにて7月31日に幕を開けた。開幕に先駆け、ゲネプロが行われ、7年ぶりとなる本作品を、廣瀬智紀、北原里英、小松準弥、前島亜美ほか、出演者らが熱く演じきった。【チケット情報はこちら】ヒーローにあこがれていた少年時代も、今は毎日がうまくいかない飯塚広樹(廣瀬)。広樹はある日、仕事中の不注意をきっかけとした怪我で入院することになる。見舞いにきた彼女の浅美(北原)は、広樹とある約束があり、まもなくその日を迎えようとしていた。その約束が、「2年間限定の恋愛」というもの。付き合い始める前に広樹から言われ、条件を快諾した浅美だが、今は別れたくないと思っている。ふたりを別れさせたくない広樹の妹・真菜(前島)は、雑誌でみた広告を頼りに、怪しい人材派遣会社を訪ねる。そこにいためんどくさいタイプの社長の松島(小松)、部下の小松崎(小築舞衣)が提案してきたのは「パターン31作戦」。「あらゆるお悩み、トラブル解決します成功しなければ100万円贈呈」と豪語する松島を信じ、依頼した真菜だったが、この「作戦」で事態は思わぬ方向に向かっていき・・・・・・。初演では人材派遣会社の社長を演じた廣瀬は、初演とまったく異なる役となった「2年間」にこだわる広樹を、過去・現在を演じわけながら物語をすすめていく。そして広樹が話さない過去に翻弄される彼女・浅美を演じる北原、兄のためを思って行動する妹・真菜を演じる前島は、想定外に作戦へ巻き込まれた様子を、緊張感ある演技でありえないシチュエーションをリアルに演じた。また広樹と同室の若草(今立進)、その彼女・皐月(中村涼子)、友人・穴川(米千晴)も作戦の被害者となるが、想定外の推理で更なる混乱を呼び起こす。3人が登場するコメディパートは思わずクスッとくること間違いなしだ。謎が謎を呼び、人材派遣会社の松島、小松崎が提案した「パターン31作戦」が全員を引っ掻き回しながら進んでいく今作。「パターン31作戦」の全容とは? また広樹が持ち出した「2年間限定の恋愛」の理由、そして広樹、浅美の行く末は、ぜひ劇場で確認してほしい。公演は8月4日(日)まで、東京・ヒューリックホール東京にて。チケットぴあでは各公演前日まで、当日引換券を発売中。
2019年08月02日新演出版ミュージカル『サタデー・ナイト・フィーバー』(イギリスプロダクション) の来日公演が決定。12月13日(金)から29日(日)まで、東京・国際フォーラム・ホールCにて上演する。【チケット情報はこちら】1977年公開されたジョン・トラボルタ主演の不朽の名作を、2018年にビル・ケンライト演出、ビル・ディーマー振付で舞台化。誰もが抱えた行き場のない青春のエネルギー、そして胸を熱くするディスコミュージック、エネルギッシュな振付で現代に訴えかける。主人公トニー役を演じるのは、マシュー・ボーン版『白鳥の湖』や『シザーハンズ』の主演で日本にもファンが多い、リチャード・ウィンザー。チケットぴあでは、本日8月2日(金)昼12時よりチケット最速先行を受付。
2019年08月02日熊川哲也が英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍後、Kバレエ カンパニーを設立したのは1999年のこと。古典作品を独自の視点で演出した作品群のほか、稀有なダンサーである熊川の審美眼によって創り出される意欲作も、Kバレエの魅力だ。2014年にはオペラ原作の『カルメン』、2017年には台本や音楽などすべての構成を担当した『クレオパトラ』を世界初演。毎日芸術賞特別賞を受賞するなど、高い評価を得ている。そして今年、カンパニー創立20周年を迎えた熊川が次に挑戦するのは、オペラ『蝶々夫人』の全幕バレエ化だ。都内で行われた制作発表に足を運んだ。【チケット情報はこちら】物語は明治時代、開国間もない頃の日本で展開する。長崎の武家に生まれたバタフライ〔蝶々〕(矢内千夏、中村祥子、成田紗弥のトリプルキャスト)は、家が没落したことで、今では遊女見習いとして遊郭にいた。その頃、海軍士官としてアメリカから赴任してきたピンカートン(宮尾俊太郎、山本雅也、堀内將平のトリプルキャスト)は、たまたま訪れた遊郭でバタフライと出会う。可憐な一輪の花を思わせるバタフライに惹かれ、ピンカートンは港を見下ろす邸宅に彼女を住まわせることにする。ピンカートンに一生を捧げるものと信じて、嫁入り道具や父の形見の短刀を携えやってきたバタフライだったが……。会見では熊川と矢内、中村、成田、そしてピンカートン役のほか本作では振付補佐も務める宮尾が登壇。 和と洋が融合する新たなバレエの舞台を、今まさに制作中という熊川は、「自分自身に“必ず成功する!”と言い聞かせているところ」と笑わせながらも、「非常に悩みましたね」とクリエイティブの苦労を明かす。「我々ダンサーは“アウト”(身体や脚を常に開くバレエの基本)にするという西洋の伝統を受け継いできたわけで、対照的な日本の“イン”の動きを同時にするのは、やはり難しい。なので、日本的な要素はスピリットなものに込めようと思っています」と熊川は語る。その“イン”の象徴ともいえるバタフライ役の矢内は、昨年プリンシパルに昇格したばかり。「日本人だからこそ感じ取れる心情はあると思うので、そこを大切に演じたいです」と真剣な面持ちだ。一方、同じバタフライ役でも、ベルリン国立バレエ団やハンガリー国立バレエ団でプリンシパルの経験を持ち、スケールの大きさが魅力の中村。「自分と一致する部分があまりないので大変ですね」と笑いつつ、熊川の振付には「いつも感銘を受けています」と新たな挑戦を楽しんでいる様子だ。また注目のホープ、成田は「国籍や身分の違いも超える愛を、ステップや音楽に乗せて演じられたら」と初々しく語った。「バタフライが物語でどう見えるかを考え、客席からブーイングが起きるほどのピンカートンにできれば」と話す宮尾ともども、意気込みは充分。Kバレエならではの『マダム・バタフライ』の誕生を、今から楽しみに待ちたい。9月27日(金)から29日(日)までオーチャードホール、10月10日(木)から14日(月・祝)まで東京文化会館大ホールにて上演。取材・文/佐藤さくら
2019年08月01日毎年GWの2日間、幕張メッセで開催される大規模イベント「ニコニコ超会議」。そのイベントホールを会場に、約5千人の観客を前に上演されてきた、中村獅童とバーチャルシンガー初音ミクの主演舞台「超歌舞伎」。NTTの最新映像技術を駆使し、巨大画面に映し出された映像上の俳優と生身の歌舞伎俳優が共演する、新時代の歌舞伎エンターテインメントだ。2016年の初演から今年で4回目を迎えた注目作が、遂に南座に初お目見えする。「南座新開場記念 八月南座超歌舞伎」チケット情報演目は、獅童の宙乗りや新作を含む南座仕様の豪華3本立て。まずは、観客参加型の解説『超歌舞伎のみかた』に始まり、出雲のお国(初音ミク)とその恋人・名古屋山三(中村獅童)らが次々に踊る新作舞踊『お国山三 當世流歌舞伎踊』、美玖姫(初音ミク)と白狐が転生した佐藤四郎兵衛忠信(中村獅童)がご神木の千本桜を守るため、邪悪な青龍(澤村國矢)と戦う軍物語『今昔饗宴千本桜』へと続く。千本桜の大詰ではバーチャルシンガーの初音ミクが本領発揮、獅童らと観客を煽るなどライブさながらの演出で盛り上げる。「通常、専門の方がやる大向う(掛け声)も自由に参加していただけますし、大詰では立ち上がって声援を送ったり、サイリウムを振りながら楽しめます」。そう話すのは、初演から獅童の敵役を勤め、本作では全演目に出演する澤村國矢。全47公演中、8回ある『今昔饗宴千本桜』のみのコンパクトな公演「リミテッドバージョン」では、中村獅童に替わり主演の大役も勤める。「こういう機会をもらうこと自体すごいことですが、それを成功させなければ、僕たちワキをやってきた人間にとって、これが希望となるのか、ならないのかが変わる。節目の8月だと思い、一か月間大切に挑んでいきたい」と決意を語る。幕張での初演では、初音ミクが登場した際に沸き起こる歓声に圧倒された。「ただ、そこから歌舞伎の立廻りの迫力や臨場感を目の当たりにしたことで、お客様の情熱が、ミクさんもすごいけど電話屋(NTTの屋号)さんの技術もすごいし、歌舞伎もすごい!と分散していった。それは生の舞台である歌舞伎が持つ力だと思うんですね。だから毎年楽しみにしていてくださり、ここまで続けてこられた。演じていて自信になりました」。そんな幕張のファンには歌舞伎の劇場を、歌舞伎ファンには初音ミクの世界をそれぞれ体験してほしいという。「すっぽんや花道など、歌舞伎の劇場ならではの機構をフル活用した演出になると思います。初役の忠信では、狐のぶっ返りで引っ込む狐六法を勉強させていただきます。いつか演じてみたかった役が超歌舞伎で叶いました。大立廻りでは自分の持てる最大限を使って大暴れするので、ぜひ注目していただきたいですね」。公演は8月2日(金)から26日(月)まで、京都・南座にて上演。チケット発売中。取材・文・撮影:石橋法子
2019年07月30日7月27日、宝塚歌劇月組の梅田芸術劇場メインホール公演ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN(オン・ザ・タウン)』が開幕した。20世紀を代表する指揮者・作曲家のレナード・バーンスタインが20代だった1944年、同い年の振付家ジェローム・ロビンスとタッグを組んだ衝撃作。後に『ウエスト・サイド・ストーリー』を生み出すふたりの才能の片鱗が煌めく出世作だ。宝塚歌劇月組 梅田芸術劇場メインホール公演 ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN』チケット情報「恋だ!」「観光だ!」と24時間を期限にニューヨークに上陸した水兵3人の恋の珍道中を描いた物語。潤色・演出の野口幸作が現代性を盛り込んだ新演出、新振付で活気溢れるドラマに再構成する。水兵トリオには、トップスターの珠城りょう、本作で月組カムバックを果たす鳳月杏、そして暁千星。ヒロインをトップ娘役の美園さくらが務める。全編を通して感じるのは、圧倒的な音楽の素晴らしさだ。<♪ニューヨークニュヨーク憧れの街!>と冒頭からトランペットが勢いよく破裂音を響かせ、観客の心までいやおうなく弾ませる。ニューヨークガールたちの群舞は躍動感と色彩に溢れ、劇場を瞬時に都会の喧騒と華やかさで包み込む。その後も1曲ごとに起承転結のドラマがあり、まるでオムニバスのドラマをみるよう。感情の起伏を視覚化するようなダンスはスピーディーかつ個性的で、トリオやソロで届けられる歌声はアップテンポなラテン調あり、交響曲のように優美なバラードあり。さらに、タカラジェンヌたちの客席降りや本編後にはショーまで付いて、五感を満たす宝塚ならではの演出に大興奮間違いなしの約3時間だ。三者三様の恋模様も楽しい。“野獣担当”の鳳月杏は本能的な愛の一撃を食らわせ、応じる人類学者役の夢奈瑠音(海乃美月と役替わり)は理性が崩壊した瞬間が見もの。暁千星は恋に奥手な年下男子をキュートに好演。彼を翻弄する強気なお色気タクシードライバー役の白雪さち花(夢奈瑠音と役替わり)は、難曲を歌い上げる歌唱と表現力が圧巻。そんな妄想やデフォルメされた場面が多いなか、作品の軸を担うのが主演の珠城りょうだ。心情溢れるバラード「孤独な街」「神様の奇跡」を感動的に歌い上げ、一目惚れから始まる正当派の恋模様を丁寧に紡ぐ。ヒロインの美園さくらは美脚が映えるバービースタイルで、歌やダンスを可憐に披露。真面目が過ぎて笑えるなどコメディエンヌとしても新境地を開く。他にも個性的な役柄が続々登場。ハプニング続きの展開からも目が離せない。底抜けに明るいラブ・コメディだが、第二次世界大戦中に開幕した初演当時を思えば、また違った感慨にも襲われる。つらい現実をひととき忘れさせる、エンタテインメントの底力を思わずにはいられない。名作に触れられるまたとない機会だ。公演は8月12日(月)まで梅田芸術劇場メインホールにて上演中。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2019年07月29日現代のバレエ界において“レジェンド”という言葉がもっとも相応しいダンサー、アレッサンドラ・フェリとロベルト・ボッレ。彼らが9人のゲストたちと展開する〈フェリ、ボッレ&フレンズ〉。その開幕を前に、ふたりに公演の見どころを聞いた。【チケット情報はこちら】ふたりは今回、Aプロで上演されるアシュトン振付『マルグリットとアルマン』で共演。オペラ「椿姫」と同じ、デュマ・フィスの小説を原作とした35分ほどの作品だ。「私の大好きなバレエなの。これより先に、ジョン・ノイマイヤーが振付けた『椿姫』でもマルグリットを踊っているけれど、おかげでアシュトンのマルグリットでも、そのキャラクターの陰影を心の底から理解して演じることができているわ」と話すフェリ。ボッレは、彼女が演じる高級娼婦マルグリットに恋する純粋な青年、アルマンを踊る。「非常に密度の濃いバレエです。この作品を核に、いくつもの宝石をちりばめるようにしてプログラムを組みました」と話す。その美しい容姿から、イタリアの貴公子と呼ばれてきた彼だが、長く芸術監督を務める〈ボッレ&フレンズ〉の初の日本公演となる今回、実に対照的なふたつのプログラムを組んできた。「いっぽうのBプロは、(ジョン・ノイマイヤーが芸術監督を務める)ハンブルク・バレエ団のダンサーたちも参加して、敬愛するジョンにオマージュを捧げるプログラムに。僕が踊る『オルフェウス』は彼が僕に振付けてくれた作品だし、アレクサンドル・リアブコとは、ジョンが振付家ベジャールの70歳の誕生日に捧げた『作品100~モーリスのために』を踊ります」(ボッレ)。フェリも、「今回は私たちが80歳を迎えたジョンへのお祝いと、感謝の気持ちを込めたいわ。私も『バーンスタイン組曲』でハンブルクの彼らと共演し、また、私にとって極めて特別な作品、『フラトレス』を踊ります」。イタリアの伝説的女優、エレオノーラ・ドゥーゼを題材とし、フェリのために創作されたバレエ『ドゥーゼ』、その第2幕に配された場面だ。「瞑想的で、スピリチュアルな作品です。それは死後の世界であり、すべてがゆるやかに進む、まるで禅の庭のような美しさです」(フェリ)『ロミオとジュリエット』や『マノン』などのドラマティックな役柄で一世を風靡したフェリ。44歳で1度引退するも50歳で見事に復帰、多くの人々を魅了し続ける彼女の、まさに新境地だ。ボッレも、「Aプロ、Bプロと全く違う世界をお見せすることになるから、両プログラムとも観ていただかなきゃ、損ですよ!」と笑顔を見せた。公演は7月31日(水)~8月4日(日)、東京・文京シビックホールにて。チケットは発売中。取材・文;加藤智子
2019年07月26日秋以降には『ウエスト・サイド・ストーリー』上演が待ち望まれるバーンスタイン作品。その生誕100年の節目に、彼が26歳の時に発表したミュージカル『オン・ザ・タウン』の豪華舞台が実現した。すでに兵庫公演を終え、25日から28日(日)まで、上野の東京文化会館大ホールにて上演されている。【チケット情報はこちら】1940年代、早朝のニューヨーク。軍船から降り立った3人の水兵は、24時間の休暇を楽しむために街へ繰り出す。初めての大都会に期待を膨らませている彼らだが、うちひとりのゲイビーがポスターの女の子にひと目惚れをしてしまったものだから、手分けしてその子を探すことに……。バラバラに行動する3人はそれぞれニューヨークをさまよい、恋をし、翌朝明け方までの時間を目いっぱい楽しむ愉快な冒険物語。はたしてゲイビーは愛しの彼女に会えるのか!?60人以上のフルオーケストラが生演奏する迫力の音楽に彩られ、明るく、鮮やかなニューヨークの一日が繰り広げられる。男3人は、限られた休暇を楽しもうと陽気でのん気だ。テンポ良くすすむ物語だが、軽くなりすぎず、深くしっかりと届くのは、オーディションで選ばれた俳優たちや丁寧なスタッフワークだろう。出演者はロンドンで開催された大規模オーディションにエントリーした1000名以上から選ばれた。英国ロイヤルオペラなどで活躍するゲイビー役のチャールズ・ライスを筆頭に、オペラ俳優やダンサーたちが勢揃い。ストーリーはシンプルだが、だからこそたっぷりと音楽とダンスを堪能できる。実力者の彼らがしっかりと聞かせるオペラらしい音楽や、軽快なジャズなど、さまざまな音楽が溢れていた。舞台美術は1940年代のニューヨークの絵はがきがモチーフだ。お洒落でレトロな雰囲気のなか、3人の男と3人の女の恋模様が展開される。歌も芝居も始終コミカル。一方ダンスシーンでは、バレエのような抽象的な振りや、踊りそのものをじっくりと見せる演出などもある。ミュージカルでありながら、オペラ、バレエ、芝居、音楽演奏などさまざまな要素が融合したダイナミックな“新次元シンフォニック・ミュージカル”。企画・制作した兵庫県立芸術文化センターの佐渡裕芸術監督は「これまでとは一味違った“総合芸術”の楽しみになることは間違いありません!」と情熱を込める。その言葉に違わぬよう、さまざまな要素が融合したステージだ。ジャンルを越えて楽しめる、ニューヨークの一夜の夢が繰り広げられている。取材・文・撮影:河野桃子
2019年07月26日城田優が演出を手掛けるミュージカル『ファントム』が11月・12月に上演される。その製作発表会見が開かれ、ファントム/エリック役の加藤和樹と城田優、ヒロイン・クリスティーヌ役の愛希れいかと木下晴香、ファントムの恋敵・シャンドン伯爵役の廣瀬友祐と木村達成(それぞれWキャスト)が出席した。ミュージカル「ファントム」チケット情報本作は、ガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』を原作に、アーサー・コピットが脚本、モーリー・イェストンが作詞・作曲を手掛け、アメリカで1991年に初演されたミュージカル。今回の上演は、2014年にファントム/エリック役を演じた城田が演出を手掛ける新演出版。城田はファントム役も演じる。加藤、城田、愛希、木下による劇中歌『You are music』の美しいハーモニーからスタートした会見では、モーリー・イェストンから「(今回の新演出版では)今まで観たことのない、城田優ならではのオリジナリティが生きた『ファントム』を期待しています」というメッセージも。城田は今回の演出について「歌を歌いあげるミュージカルではなく、心情を歌い上げるミュージカルをつくりたい。いかに“心”に届けられるかが一番大事だと僕は思っています」と語る。城田とWキャストでファントム/エリックを演じる加藤は「城田優とは僕の初舞台でご一緒しました。僕を知っている彼だからこそ、一緒につくり上げられる役だと思います。城田は『「今までで一番加藤和樹がいい」と言わせる作品にする』と言いました。この言葉は自分にとってもプレッシャーです。演出家・城田優に最後までついていきたい。ご期待ください」と熱く語った。愛希は「この作品、そしてクリスティーヌという役にはずっと憧れがありました」と明かし、木下は「自分の新しい一面を出して、衝撃的なクリスティーヌを皆様にお届けできるよう精一杯つとめていきたいです」と意気込み、廣瀬は「プレイボーイでもあるシャンドンがいかにクリスティーヌに惹かれていくか、そこにある純粋さもみせていきたい」、木村は「こんなに勉強させていただける座組はなかなかない。いろんなことを吸収しながら、作品の一員として素晴らしいものにできるようがんばっていきたい」とそれぞれコメントした。城田が「オペラ座の怪人…つまりオペラ座に住んでいるお化けがどうして誕生したのか、彼がどうしてそうならなければならなかったのかを描いたストーリーに心打たれる」と語る公演は、11月9日(土)から12月1日(日)まで東京・TBS赤坂ACTシアター、12月7日(土)から16日(月)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて。取材・文:中川實穗
2019年07月25日「ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 全国大会 青学(せいがく)vs立海 前編」が、7月11日に開幕した。【チケット情報はこちら】2014年にスタートし、これまで地区予選、都・関東・全国大会と9回の本公演を行ってきた“テニミュ3rdシーズン。全国大会決勝の「前編」となる本作では、主人公・越前リョーマ(阿久津仁愛(にちか))ら青学(せいがく)メンバーが、関東大会の決勝戦でともに死闘を繰り広げた立海と再び相見える。劇中では、“風林火陰山雷”を繰り出す立海・真田弦一郎(田鶴翔吾)に翻弄される部長・手塚国光(青木 瞭)、立海・柳 蓮二(井澤巧麻)&“悪魔(デビル)化”した切原赤也(前田隆太朗)を前に劣勢となる乾 貞治(竹ノ内大輔)&海堂 薫 (中島拓人)、“コート上の詐欺(ペテン)師”こと立海・仁王雅治(後藤 大)に瞳を閉じて対峙した不二周助(皆木一舞)、パワーアップした丸井ブン太(大薮 丘)&ジャッカル桑原(川﨑優作)の立海“プラチナ”ペアと大石秀一郎(江副貴紀)&菊丸英二(田口 司)の“黄金(ゴールデン) ペア-”による試合が展開された。7曲の新ナンバーを含めたバラエティ豊かな楽曲が作品を彩る中、特筆すべきは決勝戦を前に記憶を失くしてしまったリョーマの存在だろう。圧倒的なプレーでチームに貢献してきた彼を目覚めさせようと、先輩の桃城 武(大久保樹)・乾・海堂は次々と必殺技をぶつける。阿久津はこのシーンをゲネプロ後の囲み取材で見どころに挙げ、「テニスに対して新鮮な気持ちで向き合う演技を、毎公演で進化させることができたら」と意気込んだ。青木は「作品を通じた“テニミュケーション”でファンの交流を加速させることが喜び」とキャスト一同の思いを代弁。「62公演の長丁場を毎回全員でベストを尽くし、熱い戦いを皆さんにお届けできれば」と立石が誓えば、田鶴も「原作があるので結末も知られていますが、僕たちはそれを上回る熱量でこの夏を駆け抜けます」と続く。両校の激闘を見守る四天宝寺は今回、日替わりの笑いを届ける。部長・白石蔵ノ介役を演じる増子敦貴は「試合の臨場感や白熱した様子をお伝えできれば」と笑顔を見せた。公演は7月21日(日)まで、東京・TOKYO DOME CITY HALLにて。さらに大阪・愛知・福岡・宮城と巡演したのち、9月に再び東京へ凱旋する。取材・文:岡山朋代(c)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト(c)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会
2019年07月24日ミュージカル『SMOKE』が7月25日(木)、東京・浅草九劇で開幕する。3人の俳優のみで、ひとりの天才詩人の苦悩と葛藤をドラマチックに描き出すミュージカル。昨年日本初演され、その濃密な世界がまたたく間に話題となったが、今年は6月の池袋・東京芸術劇場バージョンに続き、初演の地・浅草九劇に再登場。大山真志、日野真一郎ら日本オリジナルキャストを中心とした若手実力派俳優たちが、魂の叫びを聴かせる。7月23日に行われた最終稽古及びプレビュー公演を取材した。チケット情報はこちら物語は、20世紀初頭に生きた韓国の天才詩人、李箱(イ・サン)の遺した詩と彼の人生にインスパイアされた内容。「海へ行きたい、その資金を手に入れたい」とふたりの青年・超(チョ)と海(ヘ)が、三越デパートの令嬢だという紅(ホン)を誘拐してくるところから始まる。ミステリアスな物語はやがて、自分の才能に絶望し、苦悩し、その中でもひと筋の光を掴もうとするひとりの天才詩人の内面を描き出していく……。予想もつかない方向へ物語が転がる面白さに加え、すべてが明かされるわけではない余白もあり、その奥深さが中毒者が続出する要因のひとつでもある。登場人物は3人のみ。九劇バージョンはそれぞれの役がトリプルキャストで、超を大山真志、日野真一郎、木暮真一郎、海を大山、日野、木内健人、紅を池田有希子、高垣彩陽、元榮菜摘が演じる(大山、日野は2役)。取材したのは大山(超)、日野(海)、池田(紅)の組み合わせと、木暮(超)、木内(海)、元榮(紅)の組み合わせ。前者の組み合わせは大山・日野は昨年は演じていない役への挑戦だったが、全員初演を経験していることもあり、作品への没入度が深い。物語の謎めいた旅路へと観る者を深く深く誘い、捕らえて離さない魅力がある。大山の超の焦燥感、日野の海の混乱、池田の紅のミステリアスさが渾然一体となり、熱い物語が展開された。後者の組み合わせは木内、元榮が初参加。木暮の超の絶望感、木内の海の苦悩と痛み、元榮の紅のフレッシュさが印象的。こちらは同世代感があるトライアングルで、物語のラストで明かされる3人の関係性がすんなり腑に落ちる一体感があった。ほかにもキャストの組み合わせ次第で、物語の様々な顔が浮かび上がるに違いない。何より、客席100席程度という非常に緊密な浅草九劇の空間が、この作品にはよく似合う。アクティングスペースを四方から客席が囲む作りで俳優たちの熱演を間近で観ることができ、ほとばしる汗に、小さな表情の変化まで余すことなく客席に伝わってくる。音楽も、実力派揃いのキャストたちが大迫力の歌唱で届ける。贅沢な空間で、繊細に、大胆に紡がれるミュージカル。ぜひお見逃しなく。公演は8月18日(日)まで同劇場にて。チケットは発売中。
2019年07月24日昨年夏に京都で大好評を博した、稲垣吾郎の主演舞台『君の輝く夜に~FREE TIME,SHOW TIME~』が今秋、東京で上演される。2012年から3度にわたり上演されてきた『恋と音楽』シリーズの進化系といえる作品だ。稲垣に話を聞いた。【チケット情報はこちら】『恋と音楽』に続き、鈴木聡(作・演出)とジャズピアニスト・作曲家の佐山雅弘(音楽)と再びタッグを組んだ本作では、ジャズミュージシャンとの生演奏とともに大人の恋物語が展開する。「錚々たるミュージシャンの方たちと舞台の上でやりとりできるのは、すごく贅沢なことですよね。一流だからこその余裕といいますか、毎回奏でる音楽の表情が違う。もともとジャズは即興の音楽ですから、僕ら俳優もあまり決めつけて演じてはいけない気がして。お互いに共鳴しながら日々変化していくというのが、この舞台の面白さのひとつだと思います」音楽に造詣が深く、オールジャンルを楽しむという稲垣は、この作品を演じている間は、自然と家でもジャズを聴くことが多いそう。今回は、昨年亡くなった佐山への追悼の意を表した公演でもある。「佐山さんが書かれたオリジナル楽曲はジャズをはじめ、ボサノバ、シャンソン、昭和歌謡のテイストまで入っていて実にバラエティ豊か。音楽の引き出しの多さに驚かされるばかりですし、一緒に仕事をしながら、真のエンターテイナーだなといつも感じていました」物語の舞台は、海の見えるホテルを兼ねたダイナーだ。そこで稲垣演じる男と、それぞれ事情を抱えた3人の女性が出会うが……。「鈴木さんが僕に当て書きしてくださったジョージという男は、恋しやすいところがユーモアたっぷりに描かれていてチャーミングなんです。これまで何作もご一緒してきて僕のことをよくご存知ですし、こういう部分をファンの方が見たいんじゃないかとか、リアルだけど僕自身ではない人物を作ってくださるのがありがたいですね」芝居と音楽の一体感も魅力の本作。「鈴木さん主宰・作・演出の劇団ラッパ屋の上質なコメディーの要素がありながら、音楽と歌でさりげないお話を描くという。僕たちが最初に目指したオリジナルミュージカルのひとつの完成形ができたかなと思っています。1幕と2幕の間にはショータイムがあり、京都ではスタンダードナンバーがメインだったところ、東京で曲も新たになり、衣裳も変わります。お話自体はサラっと観れるんだけど、ちょっとドキドキして甘酸っぱい気持ちになってもらえるものになっているので、ぜひリラックスして観にきていただきたいですね」公演は8月30日(金)から9月23日(月・祝)まで東京・日本青年館ホールにて。チケットは7月23日(火)より一般発売。ぴあでは7月21日(日)までWeb先行販売を実施中。取材・文:宇田夏苗
2019年07月19日トップスター・紅ゆずる、トップ娘役・綺咲愛里の退団公演となる宝塚歌劇団星組公演『GOD OF STARS -食聖-』『Eclair Brillant(エクレール ブリアン)』が、7月12日、兵庫・宝塚大劇場にて開幕した。宝塚歌劇星組 ミュージカル・フルコース『GOD OF STARS-食聖-』/スペース・レビュー・ファンタジア『Eclair Brillant(エクレール ブリアン)』チケット情報『GOD OF STARS -食聖-』は、現代のアジアを舞台に繰り広げる、アジアン・クッキング・コメディ。上海の総合料理チェーンの三ツ星天才料理人として世界にその名を馳せるホン・シンシン。しかし彼の傲慢な振る舞いに呆れた同店CEOのエリックは、ホンの弟子リー・ロンロンに声を掛ける…。エリックの策略により築き上げてきたものすべてを失ったホンは、シンガポールの下町で屋台を切り盛りする娘アイリーン・チョウとその仲間たちに助けられ、反発し合いながらも次第に心を通わせていく。そして、世界最高の料理人を決める“ゴッド・オブ・スターズ”に挑むことに…。クールな二枚目も、おどけた三枚目も変幻自在の演技で魅了してきた唯一無二のトップスター。その紅の集大成として、彼女の個性が存分に発揮される絶好のステージが用意された。演じる天才料理人のホンは、自信家で傍若無人。エラそうな態度を取りながらも、アイリーンの店を繁盛させて“一番”になるために的確なアドバイスをしたりと、根は熱い。そんなホンを紅は、ぶっきらぼうで、カッコよく、面白く、時にドジっぷりを発揮し…と、コロコロと表情豊かに多面的な魅力で惹きつける。綺咲が演じるアイリーンは、屋台街にある自身の店を守るべく奮闘する娘。気が強く、店や家族を守るためには自分の身体を張ってでも戦いに挑んでいくような女性を、綺咲はまっすぐに、それでいて愛らしく魅せる。次期トップスターが発表されている礼真琴は、ホンの弟子であり、後にホンと料理対決することになるリー・ロンロン役。実力はありながらも自信を持てないへなちょこのリーが、憧れの女性を前に一変する様をコミカルに表現。シャレの利いたセリフでも楽しませてくれる。そんな個々の奮闘もありながら、星組の集団の力を見せつけるような場面もたっぷり。明るく賑やかに、今の星組の集大成を堪能できるステージとなっている。第2幕のショーは、宇宙から舞い降りた青年が、世界各地を舞台に舞い踊る姿を描いた美しくゴージャスなレビュー。紅がしっとり歌い上げるソロ、客席降り、黒燕尾での男役群舞など見せ場も盛りだくさん。ときにスタイリッシュに、クールに、情熱的に…とさまざまな表情を魅せながら展開している。公演は8月19日(月)まで兵庫・宝塚大劇場にて上演中。東京公演は9月6日(金)から10月13日(日)まで東京宝塚劇場にて。東京公演のチケットは8月4日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年07月19日