連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース7】20年前、長男に孫が生まれました。初孫という事もあり、嬉しくなって近くの銀行で孫の名前の口座を作り100万円を入金しました。以来、毎年、孫の誕生日のお祝いを贈る頃、100万円の入金を続けました。この度、孫が20歳になったので、2,000万円貯まった預金通帳を孫に渡そうと思います。贈与税の非課税枠は、1年間に110万円と聞いているので、毎年100万円ずつ預金していましたから問題ないと思いますが、このまま渡して大丈夫でしょうか?【診断結果】そのまま渡すと695万円の贈与税が、課せられてしまいます。(2,000万円-110万円)×50%-250万円=695万円贈与は、自己の財産を無償で相手方に与える意思を示し、相手方がそれに受諾することによって成り立つ片務・諾成・無償の契約です(民法549条)。つまり、毎年、通帳へ入金する時、(1)お孫さん(親権者である父母)にあげるよと言い、(2)お孫さん(親権者である父母)がありがとう! と言い、かつ、実際にお金を渡す事で成立します。20年間100万円をお孫さん名義の口座に入金していましたが、通帳をずっと持っていましたので、お孫さんに贈与したことにはなっていません。ご相談者様名義の預金通帳からお孫さん名義の預金通帳にお金を移動しただけです。通帳も印鑑もカードもご相談者様が持っていれば、いつでも預金を引き出す事も出来ますので、この預金はご相談者様のものです。これを名義預金と言います。最近は、架空名義を使った振込詐欺などもあり、本人確認が厳しくなって他人名義の預金通帳や貯金通帳は作るのが難しくなっていますが、以前は容易に作る事も出来ました。○本事案では、通帳を渡した時点での贈与に本事案では、通帳を渡した時点での贈与になります。2,000万円の贈与です。無税で渡せると思っていたのに、695万円も税金がかかると知ったら、ビックリしてしまいますね。この様なご相談を時々お受けしますが、ご相談者様の贈与の気持ちを確実にするためには、通帳は最初の入金後にお孫さん(未成年者の場合には、親権者である父母)に渡してしまい、毎年、送金する事が重要です。ごくまれに、「そんな事黙っていれば、あるいは20年前に渡したことにすれば、税務署にばれないでしょ…」とおっしゃる方もいますが、例えば、ご相談者様は名古屋にお住まいで、お孫さんが東京に住んでいる場合、毎年の入金がご相談者様の家の近くの銀行で入金されていたりすると、すぐにばれてしまいますので、注意をして下さい。○贈与の"あげたつもり"は、思わぬところで贈与税がかかり大変危険「贈与の"あげたつもり"は、思わぬところで贈与税がかかり大変危険です!」今からでも、毎年100万円ずつとか200万円ずつ引き出して実際に贈与しましょう。平成27年から直系尊属(祖父母や父母など)から、一定の年齢の者(贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます)への贈与については、税率が下がりました。500万円の贈与をした場合の贈与税は、平成26年までは53万円だったものが、平成27年からは48.5万円です。2,000万円の贈与は、20歳になった翌年であれば、695万円が585.5万円と100万円ほど安くなっています。また2,000万円を4年に分けて贈与すると、48.5万円×4年=194万円です。贈与税は、累進税率の適用がきついので、金額が大きくなると税金がビックリするほど高くなります。しかし、少し工夫をすると、695万円が194万円と約400万円も安くなりますので、上手く賢く年数や人数を分けて暦年贈与を利用してください。○相続税対策としても、暦年贈与は一番手軽でかつ効果相続税対策としても、暦年贈与は一番手軽でかつ大変効果があります。まず、相続税額を計算し、ご自分の財産に対する相続税の税率を計算してください。例えば、財産が3億円で、法定相続人が子供2人の場合、相続税は6,920万円です。つまり、6,920万円÷3億円=23%。何もしなければ、亡くなった時の財産に23%で相続税がかかります。生前に500万円ずつ2人のお孫さんに5年間贈与すると、48.5万円×2人×5年=485万円の贈与税がかかります。その後亡くなると、500万円×2人×5年=5,000万円の財産が減っていますので、3億円の財産は2.5億円に減っており、相続税は4,920万円です。何もしなかった場合との差額は、6,920万円-485万円(贈与税)-4,920万円(相続税)=1,515万円となります。暦年贈与を上手に利用すると、1,515万円も簡単に節税することが出来ます。財産が2億円以上あると思われる方は、暦年贈与を上手に利用して、節税を考えてみて下さい。○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年04月01日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース6】平成26年3月、数年前から患っていた病気が原因で母が亡くなりました。享年75歳、仲の良い息子2人が揉めるはずもないし、相続税も関係なさそうだしと「遺言書」などは特に残していませんでした。長男「自宅は自分が取得し、現預金を次男が取得するしかないだろう」。次男「母親の財産は、法定相続分である2分の1ずつきっちり分けたい」。母親の財産は、長男家族と同居していた東京の自宅5,000万円と現預金1,000万円の合計6,000万円。両者の主張は妥協点を見いだせず、母親が亡くなって、すでに半年が経過していました。次男の要求を満たすためには、自宅を2分の1の共有にし、1,000万円を500万円ずつ分けるしかないのでしょうか。【診断結果】相続がもっとも"争族"になりやすいのは、遺産が「自宅と現預金少し、相続人複数」というケースです。遺産の大部分が自宅の場合、相続人間で平等に遺産を分けられないので、揉めてしまいます。本事案では、長男が妻と2人の子供と一緒に母親と同居し、数年前から少し体が不自由になった母親を長男家族が親身になって世話をしていました。10年ほど前にガンで父親が亡くなってからは、長男が家の大黒柱として家計を支え、古くなった家のリフォーム費用なども支払っていました。母親の生活も長男がすべて面倒を見ていましたので、長男としては、自宅以外のその他の現預金などは次男に譲っても良いが、自宅は自分が引き継ぐのが当然であると考えていました。一方、次男は、大学卒業後、大阪で就職・結婚し2人の子供と暮らしていましたが、勤務していた会社がリーマンショックの後遺症から立ち直れず、年収も下がり、妻もパートに出るようになっていました。長男から提案があった分割案は、自宅5,000万円を長男、現預金1,000万円を次男が取得することになっており、次男には不利な遺産分割案でした。長男が母親の面倒を看ていたこともわかっているので、長男と揉めたくはないという気持ちもありながら、5,000万円対1,000万円は、何も言わず印鑑を押すには金額の差が大きすぎる気がしていました。長男と仲違いしたいわけではないので、率直に勤務する会社の状況を長男に伝え、法定相続分をもらいたい意向を伝えました。長男も次男の状況に理解を示したものの、自宅を2分の1に分ける事も出来ず、かといって長男から2,000万円の不足分を支払うあてもなく、着地点が見えず膠着状態が続いていました。○「代償分割」とは?この様な状況の場合、「代償分割」という方法があります。長男が、自宅をもらう代わりに、次男に長男の財産を渡すという方法です。実際に、次のような会話をしました。小川 : 「弟さんの希望は、何でしょうか? 2分の1の財産をもらう事ですか? 自宅の2分の1の持分をもらって、希望はかなえられますか?」次男 : 「年収が下がって、かなり家族に負担をかけているのを少しでも家族を楽にさせたい。長男家族が母親の面倒をずっと見てくれていたので、事を荒立てたくもない」。小川 : 「それなら自宅の2分の1の持分をもらっても、自宅を売却でもしない限り、弟さんの希望はかないませんね。現預金1,000万円を分け2分の1の500万円を受け取る事も希望に逆行します。2分の1の持分をもらい自宅を売却すると、20%の税金が引かれるので、弟さんの手元に残るのは、2,500万円の80%=2,000万円。500万円の現預金と合わせて手元に残るのは、2,500万円です。しかもいつ売れるかわからないし、兄弟が育った家が無くなり、住むところを無くしたお兄さん家族から恨まれてしまうかもしれません。自宅はお兄さんに渡し、その代り、現預金1,000万円とお兄さんから代償金として、1,500万円受け取ってはいかがでしょう?」長男 : 「1,500万円の現金は、とても用意できません」。小川 : 「1,500万円は、一括じゃなくても良いのです。100万円ずつ15年で渡してはいかがでしょう?」長男 : 「それなら支払えます」。結局、長男は、5,000万円の自宅を相続する代わりに、100万円×15年次男に支払う。次男は、現預金1,000万円相続し、100万円×15年受け取る。という条件で遺産分割がまとまりました。長男の相続した金額は、5,000万円-1,500万円=3,500万円次男の相続した金額は、1,000万円+1,500万円=2,500万円受け取った金額は、1,000万円の差がありますが、長男も次男も大変満足し、これからも仲良く助け合って生きていく約束をしました。自宅が遺産の大部分を占める場合には、分けられないために"争族"に発展することも多いのですが、兄弟がお互いの立場を理解し、譲り合いの気持ちで遺産分割の交渉をすることが出来たので、大切な財産と家族を守ることが出来ます。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年03月27日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース5】「すべての財産を長男に相続させる」。49日法要が終わり、生前父が親しくしていた弁護士が預かっていた自筆証書遺言を読みあげました。兄は無言でうなずき、弟は無言でその場を立ち去りました。父親の生前、兄は地元に残り父親が経営していた事業を手伝い、弟は東京に出てサラリーマンをしていましたが、数年前に父親とちょっとした口論があってから何年も実家に顔を見せていませんでした。後日、弟は弁護士に相談し、遺留分減殺請求の訴訟を提起しました。小さい頃は仲の良かった兄弟ですが、相続の境に互いに口を利くことはなくなり、遺留分減殺請求の裁判が決着するまでに3年の年月がかかりました。【診断結果】遺言を書くと有効又は書かなければいけないのは、次のようなケースです。法定相続人以外の人に財産を渡したい法定相続分とは異なる割合で、財産を渡したい特定の財産を特定の人に渡したい(1)の典型は、内縁関係の方に財産を渡したい場合です。内縁関係の方は法定相続権を持たないため、遺言がないと財産を承継することは出来ませんので、法的な婚姻関係に無い方に財産を残したい場合には、遺言は必須です。その他、親身になって介護をしてくれた長男の奥様などがいる場合には、遺言で感謝の言葉とともに少しでも良いので財産を渡す事をお勧めしています。(2) 不動産や未上場会社の株式などが多い場合、法定相続分で均等に財産を分ける事は極めて困難です。相続人である当事者間の話し合いで決めるようとすると、均等に分けられないので、争いになってしまいます。平等に分けられない場合には、親が指定した方が子供は納得するものです。(3) (2)と同様、不動産は収益性が高いものやそうでないものもあり、利回りや換金性の高い財産は、誰もが欲しがり、活用が難しい田舎の不動産などは、誰もが敬遠します。相続人である当事者間で話し合いで、決着をつけることは非常に難しいものです。やはり、財産を誰に何をもらって欲しいかの親の意思表示があった方が子供は納得します。「先祖代々の土地は、近所付き合いやお墓の管理も含めて長男に相続させる。東京のマンションは、次男に相続させる。その他の財産は、2分の1ずつ相続させる」といった感じです。財産を均等に分けられなくても、親が誰が何を引き継ぐかを決め、その理由も残す事によって、無用な争いが減ります。○遺言を書く際に注意すべき事とは?遺言書の最大のメリットは、「相続人間で話し合いをしなくて済む」事です。「話し合いをしない」事が、「争いの防止」になります。この様な観点で考えると、遺言を書く際には、次の3点に注意が必要です。すべての財産を明記する包括遺贈は避ける遺留分に配慮する(1)すべての財産を明記する相続人 : 長男・次男遺産 : 自宅5,000万円現預金5,000万円この様なケースで父親が「自宅は長男に相続させる」いう遺言を残すと、現預金5,000万円の分割についての話し合いをしなければなりません。その際、長男は、「遺言にある自宅5,000万円と現預金の2分の1の2,500万をもらえるはず」と主張し、次男は、「長男は、自宅5,000万円で法定相続分の2分の1に達しているので、現預金5,000万円は自分がもらえるはず」という主張をします。5,000万円の現預金についての父親の真意が分からず、兄弟が争ってしまい、何のための遺言だったかわからなくなってしまう事があります。(2)包括遺贈は避ける包括遺贈とは、「長男に2分の1、次男と3男に4分の1ずつを相続させる」という書き方ですが、結局何をもらうか話し合わなければならないので、揉めてしまう事がしばしばです。現預金や上場有価証券など、分割が容易な財産なら良いですが、不動産や未上場会社の株式には避けるべき遺言です。(3)遺留分に配慮する「長男に全財産を相続させる」という遺言は、ほぼ100%遺留分の争いになります。結局、他の相続人と遺留分について話し合いをしなければならなくなり、最も訴訟になりやすい遺言です。遺留分に配慮した内容に変更するか、親の財産がどうしても分け難く、遺留分を満たすことが出来ない場合には、長男の財産から遺留分を渡すように指示することも良い方法です。「全財産を相続させる」という遺言は、相続人が、配偶者と遺留分のない兄弟姉妹の場合には有効ですが、遺留分がある相続人がいる場合には、避けるべき遺言です。○遺言は、大切な家族に想いを伝える最後の手紙遺言は、大切な家族に想いを伝える最後の手紙です。しかし、書き方を間違えると、遺言によって、大切な家族が争い壊れてしまう事もありますので、相続に詳しい専門家と相談しながら、作成してください。また、亡くなってから親の本当の想いを知っても子供は寂しいだけです。遺言を書いたら、生きているうちに、大切なお子さんたちに想いと一緒に遺言の内容を伝えて下さい。きっと家族の絆が、深く強くなります。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年03月16日連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース4】長男 : 「父さんが亡くなった後、弟や妹たちと遺産相続で揉めたくないし、相続税が払えなくても困るから、父さんの財産をわかるようにしておいていただけますか?」父 : 「縁起でもない事言うんじゃないよ。俺はまだまだ死なないし、財産を狙っているのか?」「自分の父親にどうやって、相続の準備をさせたら良いか? 相続の話をすると不機嫌になって怒り出すんですよ」【診断結果】この様な相談を良く受けます。前回のコラムに書いた相続が揉める原因「財産を平等に分けられない」に次いで、相続が揉める2番目の原因は、「家督相続」と「平等相続」のギャップだと思います。明治31年の民法相続編は、江戸時代の武家相続を範型として、「家督相続」を規定していました。「家督相続」は「戸主」の交替と観念されましたが、現実には戸主に属する一切の財産の承継を意味していました。家督相続の相続順位は第5順位まで規定され、第1順位の家督相続人としては、被相続人の家族たる直系卑属があげられ、この直系卑属のうちでは、親等の遠い者より近い者を、女子より男子を、非嫡出子より嫡出子を、年少者より年長者を優先することになっていました。これは、多くの場合、「長男の単独相続」を意味しました。明治民法の「長男単独相続」は、社会的基盤として「家」制度の維持・存続をはかるものであったと言われています。○新憲法において「家督相続制度」は終焉昭和22年5月3日に施行された新憲法において、「個人の尊厳と両性の本質的平等」が尊重され、武家時代から続いた「家督相続制度」は終焉を迎えました。昭和23年1月1日施行された新民法においては、配偶者は常に相続人となり、第1順位直系卑属、第2順位直系尊属、第3順位兄弟姉妹とされました。そして、同一順位の相続人が数人いる場合には、その相続分は相等しいものとされました。昭和22年以前の相続においては、単独で全財産を承継した「家督相続人」か、ほとんど財産をもらえなかった「その他の人」という事になります。新民法が施行された昭和23年生まれの方は、今年67歳になりますので、80歳を超える方は、旧民法相続の経験の可能性がある方と言えます。○昭和10年前後の生まれで「家督相続世代」と「平等相続世代」との境界また今年80歳を迎える昭和10年生まれの方は、民法が改正された昭和23年までに小学校教育(尋常小学校又は国民学校初等科)を終えていますので、昭和10年前後の生まれで「家督相続世代」と「平等相続世代」との境界があります。私の父は平成10年に亡くなっていますが、昭和3年生まれの「家督相続世代」の大変厳しくも優しい父でした。母はいつも父を立て、家では絶対的な権限を持つ「家督相続制度」における「戸主」そのものでした。「戸主」である父の考えが、我が家の判断基準で、他の家族の多種多様な意見は採用されない場合が多かったですが、それでもあまり不満は無かった気がします。それは、「戸主」である父が、絶対的な権限を持っていましたが、家族に対する責任と深い愛情をしっかり持っていたからだと思います。一方、昭和23年「個人の尊厳と両性の本質的平等」を尊重する新民法が施行されてから、絶対的権限を持つ「戸主」はいなくなり、すべての家族を平等に尊重する「平等家族制度」となりました。「民法第900条第4項 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。」とされ、兄弟姉妹は平等に親の財産を相続する権利が与えられました。「介護が必要になった親と同居をして親身に世話をした子供」も「たまにしか実家に帰って来なかった子供」も平等に財産を相続する権利があります。親の面倒を看た貢献を「寄与分」として、財産を多く取得できる制度もありますが、金額的にはそれほど多く評価されません。○寄与分や配偶者の財産形成を相続時にもっと配慮するなどの民法改正が検討先日、寄与分や配偶者の財産形成を相続時にもっと配慮するなどの民法改正を検討している事が法務大臣より発表されたところです。現在、相続対策が必要な80歳以上の方は、「家督相続世代」で、家を継ぐ「戸主」がすべての財産を取得する事が「家」を守る事であり、財産を分割することは「家」を弱くする事であり、悪い事であると教育を受けた世代です。幼いころから、「戸主」がすべての財産を引き継ぐ事が「善」で、分割をすることは「悪」であると教えられ育っているので、自分の相続においても「分割」を前提に準備をしようとはなかなかなりません。○「家督相続」と「平等相続」のギャップが、"争族"の2つ目の大きな原因冒頭の相続の話をすると不機嫌になるお父さんは、このような心情だと思います。一方、財産を引き継ぐ60歳より若い方は「平等相続世代」です。平等にもらうのが当然であり、「家督相続は古き悪しき風習」と考える世代です。ここに、生前に相続の準備をしない「家督相続世代」の親が亡くなり、「平等相続世代」の子供が平等の権利を主張し、遺産を巡って争いになるという構図があります。「家督相続」と「平等相続」のギャップが、"争族"の2つ目の大きな原因です。「家督相続世代」は、「会社」や「家」を守るため、財産を分割しすぎない為の「遺志を残す」。「平等相続世代」は、自分たちの権利のみを主張せず、「果たす責任に見合った権利を主張する」。これらにより、「家督相続」と「平等相続」のギャップが埋まり、無用な"争族"を減らすことが出来ます。(参照:『基本法コンメンタール相続』(日本評論社))(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年03月03日連載コラム『人に聞けない相続の話』では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース3】弟 : 「兄ちゃんは大学も行って、ずいぶんお金かかったよね。俺は高校出てすぐ親父のお店手伝うようになったから、兄ちゃんとはお金のかかり方が全然違うよ」兄 : 「何言ってんだよ。お前は、高校時代、頭悪いのに勉強もしないで遊んでばっかりいて、浪人してでも大学行けばよかったじゃないか。俺は一生懸命勉強して、なるべく親に負担がかからないように、国立大学に行ったんだぞ」弟 : 「姉ちゃんは、結婚の時、ずいぶんお金出してもらったよね。それに昔からよく親父にブランドもの買ってもらってたし」姉 : 「何言ってるのよ。お父さんは私が可愛いから、『何が欲しい?』って聞くから、親孝行のつもりでもらってあげてたのよ」【診断結果】父親が亡くなり、まだ葬儀が終わっていないのに始まった遺産を巡る争い。一般社団法人相続診断協会が落語家の「桂ひな太郎」師匠と共同で作った「笑顔相続落語」の一節です。相続が揉めてしまう一番の原因は、「財産を平等に分けられない」からです。相続財産の50%超を占める土地や建物などの不動産は、分割する事は困難ですし、共有にすると後々にいろいろな問題が発生します。また、親が経営していた会社の株式は、兄弟姉妹3人いるから株式を3分割すれば良いかというと、そのような分割をすると社長となった長男は3分の1の議決権しかなく、残り2人が結託すると社長を解任される可能性もあり、やり辛くて仕方無い状態になります。遺産の大部分が、現預金などの金融資産であれば、平等に分ける事も可能ですが、現実的には、"遺産はほぼ、平等に分けられません"。また、親が亡くなった時の財産を平等に分ければ争いが起きないかというと、そうでもありません。冒頭の兄弟姉妹の争いのように、大学に行った行かない、留学したしない、結婚費用を出したもらった、マンションの頭金を出してもらったなど、生前に親が子供に使ったお金は、平等ではありません。亡くなった時の財産を均等に分けられたとしても、生前に親が子供たちに使ったお金を巡って、より複雑な議論が始まります。○すべての相続人が納得する"平等"という状況は極めて希少各人の"平等"だと思う概念が同じではないので、"平等"に分けると言っても、すべての相続人が納得する"平等"という状況は極めて希少です。民法では、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻、養子縁組、若しくは生計の資本として贈与を受けた財産が「特別受益」といい、遺産の総額に贈与を加えたものを遺産とみなし、特別受益を受けた者については、相続分から贈与の価額を控除した残額を相続分とする法定相続分の調整規定があり、法律上の平等は規定されていますが、「結婚式の費用」は特別受益の対象にならないが、「嫁入り道具」は特別受益の対象になるなど、一般人が理解し納得出来る内容ではありません。では、"平等"とは、どういう状況なのでしょうか?その子供が生まれてから親が死ぬまでにその子供のために使ったお金その子供が生まれてから親が死ぬまでにその子供に贈与したお金や物親が亡くなった時に相続で受け取ったお金と物1+2+3が、兄弟姉妹で同じ金額になれば、究極の平等です。子供が生まれてから、家計簿をつければ可能です…。実際の裁判でも、これに近い論点で1円まで遺産の奪い合いをしています。なぜ子供たちが平等に財産を要求するかというと、『民法第900条第4項 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。』となっているからに他なりません。民法第900条第4項が、兄弟姉妹に均等の相続権を保障しているため、同じ金額をもらわないと損と感じてしまうのです。『兄弟姉妹の相続分は相等しい。』という民法を信じ、同じ金額をもらえると考える。しかし、現実には平等には分けられない。結果、争いになる。という構図があります。○争っている兄弟姉妹の心情は、「親から受け取る財産が平等=親の愛情が平等」この時、争っている兄弟姉妹の心情は、「親から受け取る財産が平等=親の愛情が平等」です。「親から受け取る財産が少ない=親の愛情が少ない」という心情ですので、引くに引けない争いです。「兄弟姉妹の遺産"争族"は、親の愛情の奪い合い」です。親の愛情をお金で測っているわけですから、きっちり平等に分けるか、1円でも多く他の兄弟姉妹よりも多くもらいたいと争います。実際に、どうしてここまで拘るのかと思うような争いをしている兄弟姉妹がありますが、「自分の方が親から愛されていたはず」という想いが、争いを泥沼化させています。○揉めない相続の秘訣は、『親の愛情を受け取る財産の多寡で判断させない事』一方、遺産分割が不平等でも、揉めない兄弟姉妹もたくさんいます。それは、親の愛情がしっかり伝わっている兄弟姉妹です。「親の愛情」というものは、子供に使った金額や残した財産の大小ではありません。「親の愛情」が伝わっていれば、受け取る財産の多寡で愛情を確認する必要がないので、金額に不平等があっても、役割の違いや関わり方の違いと納得し争う必要がありません。揉めない相続の秘訣は、『親の愛情を受け取る財産の多寡で判断させない事』です。子供たちに親の愛情が平等である事を生前にしっかり伝え、また遺言やエンディングノートに想いを残し伝える事が、大切な家族を守る秘訣です。子供たちが納得できる真の"平等"とは、「受け取る財産が平等」ではなく、『親の愛情が平等』という状況です。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年02月23日連載コラム『人に聞けない相続の話』では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース2】相続のセミナーを受けたAさん(50歳)は、エンディングノートに想いを残す重要性を知り、早速エンディングノートを購入し、記入し始めました。自宅の書斎でエンディングノートを記入していると、妻(46歳)がコーヒーを持って入って来ました。妻 : 「あなた、お仕事?」夫 : 「実は、相続のセミナーに参加してきたんだけど、エンディングノートに想いを残すと良いって聞いたんで、早速買ってみたんだよ」妻 : 「えっ? あなたどこか具合でも悪いの? エンディングノートって亡くなる前に書くものでしょ? どうしたの?」と焦って聞き返してきました。夫 : 「いや、違うんだよ…」妻 : 「どこも悪くないのに、どうして死ぬ準備なんかするのよ?」と今度は、泣きそうになって私に問い返してきました。【診断結果】一般の方にとって、『遺書』『遺言書』は、いずれも「亡くなるための準備の文書」なのかも知れません。そして、エンディングノートは、年配の方の「老いや死への準備」という印象が強いと思います。Aさんの奥さんは、ご主人が「エンディングノート」を記入しているのを見て「死」を連想し、狼狽されたのだと思います。辞書を引くと、『遺書』は、(1)死後のために書き残す文書や手紙、(2)自殺者が死に際して書き残した文書。『遺言書』は、(1)死後のために書き残す文書や手紙、(2)死後の財産の処置について書き残す文書や手紙、とあります。死後のために書き残す文書や手紙という広義の意味では、『遺書』と『遺言書』は、同じです。一般的な理解としては、『遺書』は、「自殺者が死に際して書き残した文書」。つまり、死を間近に感じている方が記入するものです。一方、『遺言書』は、「死後の財産の処置について書き残す文書や手紙」。例えば、「全財産を長男に相続させる」などです。『遺書』は、「死」までの時間が間近。『遺言書』は、「死」までの時間が、十分にある。死までの時間軸が違うと考えていただけると分かりやすいと思います。○『遺言書』と『エンディングノート』の違いは?そして、『遺言書』と『エンディングノート』の違いは、『遺言書』は、「死後の財産の処置について、法的な効力を備えられるもの」、『エンディングノート』とは、「法的な効力は有しないが、死後の財産の処置だけではなく、葬儀の方法、生きている間の延命治療や介護の方法、その他家族への想いやお世話になった方への感謝など多岐にわたって自由に記入することができるもの」です。『遺言書』と『エンディングノート』は、「まだすぐには、死なない人が書くもの」とも言えます。『遺言書』は、15歳以上で意思能力があればだれでも作成する事が出来ます。○『遺言書』の種類は?『遺言書』の種類は大きく、普通方式と特別方式があります。普通方式(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言(3)秘密証書遺言特別方式(4)危急時遺言(5)難船危急時遺言(6)隔絶地遺言(7)船舶隔絶地遺言特別方式の(4)危急時遺言は、やしきたかじんさんが、亡くなる4日前に弁護士3人の立ち合い下で作成し話題になりましたが、特別方式の遺言は死期が差し迫っている場合などのやむを得ない状況で行う事が認められている特別な遺言の方式であるため、遺言者が普通の方式で遺言を行う事ができるようになってから6カ月間生存した場合には、遺言の効力はなくなります。○一般的には、普通方式の(1)自筆証書遺言、または(2)公正証書遺言、を作成従って、一般的には、普通方式の(1)自筆証書遺言、または、(2)公正証書遺言、を作成します。(1)自筆証書遺言本人が、全文、日付、氏名を自筆で書き、印を押します。家庭裁判所での検認の手続きが必要。一番手軽に作成できますが、紛失や変造の可能性があり、また、本人が書いたかどうかで争いになる事もあります。(2)公正証書遺言本人が口述し、公証人が作成します。原本が公証役場で保存されるので、紛失や変造の恐れがありません。手間は掛かりますが、一番安心です。『遺言書』には、どの様な事でも書くことが出来ますが、法的に効力があるのは、次のとおりです。(1)身分に関する事子供の認知後見人及び後見監督人の指定(2)相続に関する事相続人の廃除及び廃除を取り消し相続分の指定遺産の分割方法の指定遺産の分割の禁止相続人間の担保責任の指定遺言執行者の指定遺留分の減殺方法の指定(3)財産の処分に関する事財産の遺贈財団法人を設立する為の寄付行為財産を信託法上の信託に出すこと以上、遺言によって法的に効力のある3つの事は、生前であれば当然に本人の意思で行う事が出来る事でもあり、内容によっては、相続人にとって納得しがたいこともあります。従って、法的には効力がありませんが、付言事項により遺言の説明を書くことは非常に重要です。○不動産は売却して良いか悪いかが書いてあるとトラブルを避ける事につながる残された家族への想い、お世話になった方への感謝の気持ちなどが書かれている遺言書は、大切な家族を亡くした喪失感を和らげてくれます。また、自分の親が亡くなって、知らない「子供の認知」が書かれた遺言が出てきたら、家族は戸惑うばかりです、やはり、お詫びの言葉や説明は必要でしょう。相続財産の分割は、法定相続分どおり平等に分ける事は、不可能になるケースが多いのです。財産を引き継いで欲しい理由が書いてあると、不平等な分割であっても納得しやすくなります。不動産については、処分を巡ってもめることがありますので、売却して良いか悪いかが書いてあると後々のトラブルを避ける事につながります。『遺言書』は、ある相続人に法定相続分より多く財産を引き継いで欲しい時、法定相続人ではない人に財産を渡したい時に確実に想いを達成する事が出来ます。従って、十分時間をかけ大切な家族が揉めないような付言事項を書き添える事をお勧めします。○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年02月16日連載コラム『人に聞けない相続の話』では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。【ケース1】母親は、東京で長男家族と同居していました。もう一人の相続人となる次男は、大阪の会社に勤務し、家族とともに大阪に住んでいます。母親が亡くなる1週間前にお見舞いに来ましたが、その前に母親の顔を見せたのは2年以上も前の事でした。母親は、亡くなる1年ほど前から足が不自由になり、一人ではトイレに行くのも難しい状況でしたが、長男の妻の献身的な介護もあって、非常に安らかな最期を迎える事が出来ました。亡くなった母親の財産は、長男と同居していた先祖代々の家(5,000万円)と預金(1,000万円)でした。平成27年から相続税法の基礎控除が下がり、相続人2人の場合の基礎控除は4,200万円に下がりましたが、母親と同居していた長男が家を引き継げば、小規模宅地の評価減の特例が使えるため相続税も0円となるので、「我が家には相続は関係ない」と長男は思っていました。次男から「法定相続分である3,000万円をもらいたい」と言われるまでは…【診断結果】相続の話になった際、「うちには大した財産はないから相続は関係ない」とおっしゃる方が、たくさんいらっしゃいます。そういう方は、ほとんど「相続税がかからないから」関係ないと思っています。確かに、「財産の金額が相続税に基礎控除を下回る場合には、相続税は関係ありません。しかし、「相続は、相続税を支払う事だけ」ではありません。財産が基礎控除以下の方も、遺産分割をしなければいけません。実際には、"大した財産がない"場合のほうが、揉めています。遺産分割事件の数は年々増える傾向にあり、平成25年度は1万2,263件に上ります。その内訳を見ると5,000万円以下の財産の方が4分の3を占めています。つまり、遺産分割調停の4分の3は、昨年までであれば、財産が相続税の基礎控除以下の方「大した財産がない」場合なのです。家1軒、現預金がわずかという財産の方が、分けられない遺産を巡って、骨肉の争いをしています。なぜ、相続が"争族"になってしまうかというと、平等に分けられない家督相続と平等相続のギャップ近くに相続について相談する相手がいないの3つが大きな原因として挙げられます。○(1)平等に分けられない相続財産の1/2を占めるのが不動産で、分けられない財産の典型です。冒頭のケースで、自宅を売却して財産を1/2に分ける事が出来ない為、弟の申し出もあり、母親と長男家族が住んでいた自宅を、「長男と次男の共有」にしたとします。10年後に弟が先に亡くなると、長男の家の家主として、次男の妻や甥姪が登場し、やがて家賃を請求されるようになったり、持分の買取りを要求されるようになったりします。母親の死後10年も経ってから、元々兄弟が生まれ育った家を巡って、長男は悩み、最悪は売却をしなければいけない事も起こりえます。未上場会社の株式もまた、会社の支配権をめぐって争いが起きやすいので、平等に分けづらい財産です。全てが金融財産でもない限り、法定相続分どおり平等に分ける事は不可能に近いのです。また、親が亡くなった時の財産を平等に分ければ、相続人すべてが納得するかというと、「大学へ行った。留学した。高校しか出ていない。マンションの頭金を出してもらった。結婚式の費用を出してもらった」など生前に親が子供に使った金額も平等ではないので、相続の際、そのような不満が爆発することも良くあります。兄弟姉妹の争族は、親の愛情を巡ってのケンカ、自分の方が愛されていたと思いたいケンカです。「相続でもらう財産の多寡で、親の愛情を確認する争い」になってしまうと、他の兄弟姉妹よりも「財産が少ない=親の愛情が少ない」という構図になり、お互い後に引けなくなってしまいます。○(2)家督相続と平等相続にギャップ現在、相続を検討しなければいけない70歳以上の方は、戦前民法の家督相続で財産を引き継がれた家長の方、あるいは家長ではなく財産をあまり引き継がなかった方です。その世代の方々は、本能的に「家長となるものが財産を引き継げば良い」と思っていらっしゃいます。日本は戦争に負け、昭和22年に民法が、平等相続に改正されました。渡す側は、家督相続。もらう側は、平等相続。渡す側の70歳以上の方は、あまり多くを語らない世代なので、自分の死後の財産について子供たちに話していません。そのような状況で、親が亡くなると、一生懸命親の面倒を見た子供も何年も家によりついていない子供も同じ割合の相続権を主張しますので、やはり揉めてしまいます。○(3)近くに相続について相談する人がいない相続は、親の財産を明らかにし、誰が引き継ぐかという非常にプライベートな問題ですので、気軽に誰にでも相談出来る問題ではありません。また、税理士・弁護士・司法書士などの専門家に相談すればよい事はわかっていても、どの専門家が親切に答えてくれるのかわからなかったり、相談料が不安だったりで、実際に専門家に相談に訪れる方は少ないのが現実です。この大きく3つの事が原因で、実際に対策が進まないのが相続です。結果、何も対策されないまま相続が始まり、争族になり家族が壊れてしまう事が少なくありません。しかし、戦後の日本を支えた私たち両親の世代の方々は、何のために自分を犠牲にして24時間365日働いていたのでしょうか?お金のため・名誉のため、もちろんあったと思います。しかし、究極的には「家族のため」に働いていたと思います。家族のために自分を犠牲にして働いて築いた財産を巡って、自分の家族が壊れてしまったら、その人の人生は台無しになってしまいます。そんな不幸を減らすためには、どんな準備をしていけばよいで良いでしょうか?相続が円満で終わるケースは、「家やお墓を守る役割がある子供は、引き継ぐ財産も責任も大きい。家やお墓を守る責任がない子供は、引き継ぐ財産は少ない。それは役割が違うから仕方のない事。しかし、親の愛情は、兄弟姉妹すべてに平等。親の愛情をしっかり受け継ぎ、兄弟姉妹仲良く助け合って暮らして欲しい」そんな親の愛情が、しっかり伝わっている家族です。相続を"争族"にしないため一番大切な事は、「家族に愛情を伝える事」です。(※写真画像は本文とは関係ありません)○執筆者プロフィール : 小川 実一般社団法人相続診断協会代表理事。成城大学経済学部経営学科卒業後、河合康夫税理士事務所勤務、インベストメント・バンク勤務を経て、平成10年3月税理士登録、個人事務所開業。平成14年4月税理士法人HOP設立、平成19年4月成城大学非常勤講師。平成23年12月から現職。日本から"争族"を減らし、笑顔相続を増やす為相続診断士を通じて一般の方への問題啓発を促している。相続診断協会ホームページのURLは以下の通りとなっている。
2015年02月12日大和ネクスト銀行および大和証券は2月2日、相続発生時に金利を優遇するサービス「相続定期預金 紬~つむぎ~」の取扱いを開始した。○「相続定期預金 紬~つむぎ~」のサービス内容具体的内容ダイワのツインアカウントとは、大和証券の総合取引口座と大和ネクスト銀行の預金口座の両方を開設し、両口座の連携により、投資の待機資金を普通預金で自動運用し、効率的に資産を管理することができるサービス。必要書類相続人と確認できる書類:戸籍(除籍)謄本の写し、遺言書(公正証書遺言または自筆証書遺言で検認済のもの)の写しなど相続により引き継いだことが確認できる書類:金融機関に提出した依頼書の写し、被相続人名義の解約済通帳と計算書、遺産分割協議書の写し、遺言書(公正証書遺言または自筆証書遺言で検認済のもの)の写し等取扱窓口「ダイワ・コンサルティング」コース、「ダイワ・ダイレクト」コースいずれの顧客も、大和証券取引店(本・支店)にて申込む。コンタクトセンター、インターネットでは、同サービスは利用できない
2015年02月04日前回 に続き、よくある節税対策例についてご紹介していきます。今回は、不動産を利用した節税方法です。相続税増税を前に、ハウスメーカーや一括借り上げサービス業者の営業が加熱気味ですが、不動産投資による相続税対策は、方法を誤ってしまうと借金ばかりが残ってしまう悲惨な結末になりかねません。不動産による相続税対策例とその注意点について、お話していきましょう。■高層マンション購入による節税高齢になると、階段の昇り降りやちょっとした段差がつらくなってきます。そこで、戸建て住宅をリフォームするのではなく、駅近で利便性の高いタワーマンションをあらたに購入して、セカンドライフの住処とするシニアも増えています。マンションの相続税評価額は、土地の敷地持分と建物持分のそれぞれを評価していく仕組みです。タワーマンションは立体空間を活かした建築物なので、相続税評価額のうち、土地代の割合が少なくて済みます。さらに、建物の固定資産評価額は、面積のみを基準に計算されるので、1階でも最上階でも同じ評価額となるのです。美しい夜景や見晴らしの良い眺望は、評価額には一切考慮されません。そこで、人気のある地域のタワーマンションの高層階の部屋を購入しておくと、マンション自体の資産価値は下がりにくいので、売却価格と相続財産評価額に大きな差が生まれ、相続税対策になります。マンション特有の相続財産評価方法を活用した節税対策方法です。■不動産経営による節税アパートやマンションなど賃貸経営による節税対策は、相続財産額の大きな富裕層向けの対策といえるでしょう。賃貸物件にすることで、借地権や借家権が発生し、所有者が自由に土地と建物を処分しにくくなる分、相続税評価額が下がることを利用した節税方法です。相続税増税を前に、あちこちで似たようなマンションが増えていくのを目にしますが、営業マンの話を鵜呑みにして安易に手を出すと、節税額以上の財産を失うことになってしまうかもしれません。同じようなアパートを近くに建てられてしまうと、どうしても新築や駅近物件が有利になってしまい空室リスクが上がってしまいますし、現在のような低金利がずっと続く保証などないからです。営業マンが最初に見せる資料は、あくまでも現在の金利や空室率を条件にした見通しにすぎません。30年一括借り上げサービス(サブリース)についても、30年間の家賃を保証してもらえるサービスではありません。30年間借りてもらえるだけの契約です。家賃保証はされません。アパート経営による相続税対策は、親子で新規事業を立ち上げるという意識と覚悟が必要になります。分厚い契約書にもすべて目を通し、20年先までの長期的なプランを立ててみましょう。家賃収入・空室率・金利・リフォーム費用の楽観的な数値から悲観的数値まで、いくつものパターンのキャッシュフロー表を作成し、納得のいく結果にならないのであれば、ほかの節税対策を検討すべきです。不動産による節税対策は、空室リスク、金利変動リスク、入居者トラブルリスク、法的リスク、流動性リスクなど、数々のリスクをうまくコントロールできれば、相続税だけでなく所得税など税金の優遇制度も多く、収益まで手に入れることのできる、ほどほどのリスクとリターンのある投資方法ともいえます。リスクを下げる最良の方法は、人任せにせず、自分でしっかり考えることです。相続税に強い税理士やファイナンシャルプランナーなど、第三者の専門家に相談しながら、綿密な相続税対策プランを練りましょう。※この記事は2015年1月時点の法令に基づいて書いています。【連載:相続税の基本を学ぶ】・ (1)相続税の対象となる財産とは ・ (2)相続税の計算方法 ・ (3)相続税対策で人気の「教育資金等一括贈与」とは ・ (4)節税対策の注意点・その1
2015年01月28日2015年1月の相続から相続税法の改正が施行され、これまでより相続税の課税対象になる人が増えると見込まれています。この機会に相続税対策として、子どもや孫に生前贈与をして、相続税の課税対象財産を減らしておこうと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、生前贈与をするにあたってのよくある勘違いや、気をつけたい事例などをみて、効果的な生前贈与の方法を学んでいきましょう。そもそも、贈与とは?贈与とは、どのようなことを指すのか確認しておきましょう。まず、贈与者(財産をあげる人)が「あげます」と意思表示し、受贈者(財産をもらう人)が「もらいます」とそれを受ける。そして、贈与契約を取り交わし、贈与者が受贈者に財産を渡すことによって贈与が成立します。契約といっても、必ずしも契約書を交わす必要はありません。口頭でも贈与は可能です。ただ、契約書がないと、贈与者が亡くなって相続が発生したときに、税務署から贈与ではなく相続財産とみなされるケースもあるので、税務調査などを考慮するのであれば、贈与契約書を作成しておくべきでしょう。名義預金にならないように贈与するその年の1月1日から12月31日までの1年間(暦年)にもらったお金は、110万円までは贈与税がかからないことをご存じですか?これを、「暦年贈与」といいます。贈与をすることで相続財産を少なくすることができ、相続税対策になります(ただし、被相続人から法定相続人への生前贈与に関しては、相続発生前3年以内に受けていた贈与が、相続財産として相続税の対象になります)。この制度を利用して、長期にわたって親や祖父母の口座から子どもや孫の口座に毎年110万円を移動して、相続税対策をしている方もいらっしゃるのではないかと思います。しかし、これを暦年贈与として認めてもらうには、基本的には受贈者が自由にこのお金を使えることが必須です。なぜなら、「銀行の窓口に行くのも、通帳や印鑑を持っているのも贈与者」という場合は贈与ではなく、贈与者の「名義預金」(受贈者の名前を借りているだけの預金)とみなされてしまうからです。未成年者の通帳を、親が管理している場合の注意点名義預金とみなされた場合、その通帳に入っているお金は、相続財産として相続税の課税対象となります。きちんと贈与財産と認められるように、受贈者である子どもや孫が自分で窓口へ行き入金した上、通帳と印鑑を管理し、いつでも引き出せるようにしておきましょう。子どもが未成年の場合は、保護者である親などが通帳や印鑑を管理していれば問題ありません。しかし、親が管理している間に、親が子ども名義の口座から「生活費に一時借りる」など、一度でも出金してしまうと、その後元通りに戻しても名義預金とみなされ、贈与財産と認められなくなる場合があるので気をつけてください。子どもや孫が未成年の時から贈与を受けている場合、20歳になったら忘れずに通帳と印鑑を渡して、以後の贈与金は受贈者である子どもや孫が自分で入金するようにしましょう。面倒だからなどと子どもが銀行へ行かず、そのまま親が管理している場合には名義預金とみなされます。過去からの分を含めて贈与と認められないことがあるので、気をつけたいところです。あわせて、婚姻等で子どもの名前が変わったら、すぐに名義変更しておくことも重要です。旧姓のまま置いていると、「実際に使用していないのでは?」と考えられて、名義預金とみなされる可能性があるからです。生命保険料を贈与する場合の注意点「契約者=子、被保険者=親、保険金受取人=子」の生命保険に加入して、子どもに保険料を贈与するのも生前贈与対策の一つです。「若いうちから子どもに大金を持たせるのは、子どもに良い影響を与えないかも」などと考えて、実際にまとまったお金(保険金)を手にするのは親の相続時(亡くなったとき)となる、この方法を採用している人は少なくありません。親が子に保険料を贈与する場合、子が保険料を支払っている形にする必要があります。例えば、保険契約上は「契約者=子、被保険者=親、受取人=子」でも、親の預金口座から保険料を支払っていると、親が実質の契約者(保険料の負担者)とみなされてしまいます。親の口座から子の口座に保険料相当額を振り込むなど、贈与の証拠が残る形にして、子ども名義の口座から子ども自身が保険料を支払う形をとっておきましょう。保険契約者を親から子に変更する場合の注意点保険料を生前贈与するために、すでに契約している生命保険の契約者を子に変更することがあります。このとき、「保険契約を子にプレゼントする形になるので、贈与税の対象になるのでしょうか?」という質問をされる方がいらっしゃいますが、契約者の変更では贈与税が課税されることはありません。親に万一のことがあって、子どもに死亡保険金が支払われたときに、親が保険料を負担していた分に相当する保険金は相続税の対象に、子どもが保険料を支払っていた期間分は一時所得として、分けて計算されます。このように、保険の契約者を変えた場合は、贈与税の課税対象となるわけではないことを覚えておきましょう。贈与を考える際に必ず実行しておきたいことこれまでみてきたとおり、相続税対策として生前贈与を活用する方法はいろいろありますが、総合的にみて、必ずやっておきたいことがあります。それは、贈与があったことを裏付ける証拠を残しておくことです。贈与の際、渡す側と受け取る側の双方にその意思があったという贈与の事実を証明するために、贈与のたびに贈与契約書を作成しておきましょう。また、「連年贈与」にならないよう注意する必要もあります。例えば、毎年100万円を10年間贈与したとします。1年間の贈与は基礎控除である110万円の範囲内ですので、贈与税の対象になりません。ただ、「もともと毎年100万円を10年間贈与するという契約だった」とみなされると、1,000万円を贈与したものとして贈与税が課税されてしまいます。これが連年贈与です。そうならないように、毎年、贈与の都度取り決めをして、贈与契約書を作成することが重要になります。さらに、毎年同じ日に同じ金額で贈与するのは極力避けましょう。税務署から連年贈与とみなされるおそれがあります。贈与のタイミングや金額は、毎年変えておくのが理想的です。長い年月をかけて、相続税対策としての生前贈与をしてきたのに、実際の相続時に税務署に認めてもらえなかったということが無いよう、しっかりとした知識を持って進めていきたいですね。不安な方は、贈与の事実を税務署にきちんと説明できるように、専門家と相談しながら準備を進めるといいかもしれません。2014年12月、自民党税制調査会は来年度の税制改正で、親や祖父母が子や孫に将来の結婚や出産、育児関連の資金を贈る場合に贈与税がかからなくなる制度を、4年間の時限措置として新設を目指す方針を打ち出しました。この制度は、親や祖父母が金融機関に作った専用口座にお金を入れておけば、子や孫一人につき一定額(上限1,000万円を予定)まで贈与税がかからなくなるというものです。高齢者から若い人へ、資産が動くことが期待できるこの税制改正。今後の行方に注目していきたいですね!コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年01月27日2015年1月1日の相続税増税前に押さえておきたい相続税の基本シリーズ4回目は、よくある節税対策例についてご紹介します。© NOBU - Fotolia.com相続税への節税対策は数多くありますが、対策によって向いている人といない人がいます。保有資産の額や種類、割合によって、最適な相続税対策の方法が異なるからです。たとえば、相続財産に占める割合のうち、現金の多い方と不動産の多い方とでは、取るべき相続対策が違ってきます。各家庭に合った相続税対策を検討できるよう、参考になりそうな例を挙げてみました。■暦年贈与を利用した節税暦年贈与とは、「贈与税の暦年課税制度の贈与」のことで、1月1日から12月31日までの間(暦年)に贈与を受けた金額が110万円以下の場合、贈与税の申告が不要な制度です。もっとも簡単でリスクも低い節税方法ですが、節税にはある程度の年数が必要です。ただし、相続時から3年前までの贈与分は、みなし相続財産として相続税の計算に入れられてしまうので、要注意です。もう1つ注意すべきは、渡す側と受け取る側の両方が、「贈与である」という認識を持っている必要があるという点です。良かれと思って勝手に受け取り先名義の口座を作り、受け取る側に知らせずにその口座へ振込を続けたとしても「名義貸し」とされてしまい、贈与とは認められません。銀行口座の管理は、贈与される側がしっかり行うようにしましょう。ちなみに、毎年111万円の贈与をし、あえて贈与税を支払って贈与の証拠を残していくのも多くの方が取られる方法の1つです。暦年贈与を利用した節税対策は、双方が元気なうちに始めておきましょう。■贈与税の特例を利用した節税マイホームの購入やリフォームを検討中なら、「住宅取得等資金の贈与税の非課税枠」を利用する方法もあります。平成26(2014)年12月末までは、一般住宅500万円、省エネ・耐震住宅1,000万円までが非課税になります。この方法を利用するには、受贈者と建物、それぞれに条件があり、どちらも満たす必要があります。<非課税の特例の対象となる受贈者の要件>1.直系尊属からの贈与であること2.贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること3.贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること4.贈与する側とされる側のどちらかが日本国内に住所を持っていること続いて、対象となる建物の条件です。<購入の場合>1.住宅の登記簿上の床面積50平方m以上240平方m以下、かつ床面積の2分の1以上が居住の為に利用されること2.贈与の翌年3月15日までに増改築を完了し、少なくとも年末までに居住すること3.購入する家屋が中古の場合は、耐震基準に適合することが証明されること<増改築の場合>1.住宅の登記簿上の床面積50平方m以上240平方m以下、かつ床面積の2分の1以上が居住の為に利用されること2.増改築の工事に要した費用の額が100万円以上であること3.贈与の翌年3月15日までに増改築を完了し、少なくとも年末までに居住すること4.確認済証、検査済証、増改築等工事証明書により証明されたていること平成27年度税制改正にて、この非課税枠を3,000万円までに大幅拡大する要望が出されています。3,000万円まで非課税になれば、消費税が10%になる前の住宅の駆け込み需要の起爆剤にもなるかもしれません。 相続税の基本(3) でご紹介した「教育資金等一括贈与の非課税制度」を利用する方法もあります。まとめて大きな額を贈与できるチャンスになりますので、親に甘えられる時に甘えておくことが、結果として相続税対策に繋がることもあるでしょう。そのほか、結婚式費用を親に負担してもらうことや、結婚や出産などのご祝儀には、社会通念上、妥当とされる範囲であれば、贈与税はかかりません。実は、お祝いごとも相続税節税のチャンスだと覚えておきましょう。※この記事は2015年1月時点の法令に基づいて書いています。【連載:相続税の基本を学ぶ】・ (1)相続税の対象となる財産とは ・ (2)相続税の計算方法 ・ (3)相続税対策で人気の「教育資金等一括贈与」とは ・ (5)節税対策の注意点・その2
2015年01月21日ぱる出版は7日、書籍『親子・兄弟・孫で考える お金をたくさん残す相続』を発売した。著者は税理士・社会保険労務士の吉村修一氏。価格は1,500円(税別)。2015年1月から相続税が改正され、課税対象者の大幅増が見込まれている。中でも都市部に一戸建てを持っている人などは、「財産ののこし方」について悩んでいる人も多いのではないか。同書は、相続税がかからなくても必ずもめると言われる相続を、「いかに円滑に進めるか」「いかに税金(贈与ふくむ)を低くおさえるか」という2点に主眼をおいて、最新の節税対策を伝授。親子で相続を考え、かしこく財産を移す方法を紹介している。主な内容は、「第1章 相続税のしくみを知ろう」「第2章 プラス・マイナスの財産について知ろう」「第3章 相続税対策に入る前に」など。著者の吉村修一氏は1970年2月生まれ、千葉県出身。税理士・社会保険労務士、税理士法人永和総合事務所パートナー。著書に『領収書はどこまで経費で落ちるのか』(ぱる出版)などがある。
2015年01月08日税理士法人レガシィは7日、2015年の相続税改正で、相続税が初めて課せられる首都圏の一戸建てについて土地面積を算出し、その結果を発表した。同データでは、首都圏に一戸建てを所有している場合で今回初めて相続税がかかってくる土地の面積について、主要路線の駅ごとに分析・算出。レガシィが所有する累計相続実績件数(2014年12月末現在5,000件超)のデータベースのうち、過去6年間での東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県のデータベースを基にしている。前提条件は、金融資産が2,076万9,000円、その他資産が467万6,000円、債務が270万5,000円、相続人子供2人(持ち家有)の2次相続。初めて課税対象となる一例を見ると、JR中央線四ツ谷駅では3.81坪以上、JR京浜東北線大宮駅では15.77坪以上、JR高崎線上尾駅では44.90坪以上、JR中央線立川駅では13.90坪以上、JR東海道線大船駅では23.35坪以上、JR総武線船橋駅では25.38坪以上などとなっている。
2015年01月08日○相続税に縁のなかった人も、これからは税金を払わないといけなくなるかも?2015年1月からの相続税増税の最大のポイントは、基礎控除額(非課税枠)が6割に縮小されることです。このため、これまで相続税を払わなくてよかった人も2015年以降は納税の必要が出てくるかもしれません。相続税は、亡くなった人(被相続人)の財産を相続した人にかかる税金ですが、亡くなった方が保有していたすべての財産に対してかかるわけではありません。図1の通り、被相続人のすべての財産から、生命保険金の一部などの非課税財産を差し引き、借金などの債務を差し引き、さらに基礎控除額(非課税枠)を差し引いた残りがプラスになった場合、これを「課税遺産総額」といい、相続税はこれにかかります。このように相続税は一定以上の財産に対してかかるため、税金を払う人はそう多くありません。財務省が公表している相続税の課税割合(年間課税件数÷年間死亡者数)をみても、2011年で4.1%。つまり1年間に亡くなる人100人に対して、4人の財産が課税対象になる程度にとどまっています。相続税の納税額を少なくする節税対策は、被相続人が生前に、図1の課税遺産総額をできるだけ少なくすることです。少なくするには大きく2つの方法があり、ひとつは生前贈与などによって財産の絶対額を少なくすること、そしてもうひとつは、現金を不動産に換えるなどして財産の評価額を低くすることです。対策を講じた結果、課税遺産総額が0円になれば、遺族は相続税を払う必要がなくなります。被相続人の遺産の総額から差し引くことができるもののなかでも大きなウェイトを占めている基礎控除額が、2015年1月から4割削減され6割になります。たとえば、亡くなった人に、配偶者と2人の子供がいる場合、つまり法定相続人が3人のケースでは、2014年までの基礎控除額は5,000万円+3人×1,000万円=8,000万円ですが、2015年からは3,000万円+3人×600万円=4,800万円と、大きく減額されます。この大幅な減額のために、これまで相続税の節税対策をちゃんと行ってきた方は、再度プランの練り直しが必要になりそうです。また、これまでは「うちは、(あるいは、うちの親は)相続税を払わなければならないほど財産を持っていない」と思っていた人も、これからは相続税がかかるようになるかもしれません。特に影響が大きいのが、地価の高い都会のマイホームに住む人たちです。自宅の土地の評価額に預貯金を加えた額が、基礎控除額を超える方が、2015年以降は大幅に増えるのではないでしょうか。だからといって、大急ぎで相続税の節税対策をする必要はありません。2015年1月からの相続税増税は、2015年1月以降に亡くなる方の財産が対象です。いま50代、60代の方は、ふつう亡くなるまでの時間はたっぷりあるはずなので、じっくりと対策を検討すればよいでしょう。ただ、70代、80代の方の場合は、そろそろ対策を考え実行したほうがいいかもしれません。また、「配偶者の税額軽減」があるので、1次相続ではあまり心配しなくてもよさそうです。さらに、「小規模宅地等の評価減の特例」という相続税を軽減する仕組みも2015年から拡充されます。○配偶者の税額軽減によって、配偶者の相続税は大幅に軽減される!一般的な夫婦は、夫が先に亡くなり、その後に妻が亡くなることが多いようです。このとき夫が亡くなることを「1次相続」、そのあとに妻が亡くなることを「2次相続」といいます。1次相続の場合、配偶者の相続税には大きな軽減措置が設けられています。その背景には、財産の名義はどちらか一方のものであっても夫婦の財産はお互いが助け合って築いてきたものだと考えられること、また、配偶者には老後の生活保障が必要であること、さらに、夫婦は基本的に同世代なので、いずれ近いうちに残った方も亡くなり短期間のうちに同じ財産に2度相続税がかかることになることなどがあります。税額軽減の内容は、「配偶者が取得した財産が法定相続分、または、1億6千万円までのいずれか多い方までなら、配偶者には相続税がかからない」というものです。配偶者の法定相続分は、子供がいる場合、2分の1です。たとえば、亡くなった夫の財産が1億6千万円以内の場合、妻がすべて相続すると相続税はかかりません。また、夫の財産が5億円の場合、妻が法定相続分の2億5千万円までを相続しても妻には相続税がかかりません。このように、1次相続では大きな軽減措置があるものの、子供だけが相続する2次相続には軽減措置はありません。したがって、場合によっては、1次相続の税額と2次相続の税額をあらかじめシミュレーションし、トータルで税額が少なくなる相続のやり方を、1次相続のときから検討したほうがいいかもしれません。○自宅の土地の相続税評価が80%減額される「小規模宅地等の評価減の特例」もある!「小規模宅地等の評価減の特例」は、相続等によって取得した居住用や事業用の宅地の一定の面積までの評価額が大幅に減額される仕組みです。この制度の背景には、被相続人の財産が不動産に偏っているような場合に、相続税を払うために自宅や店舗などを売却して換金しなければならない事態を防ぐ意図があります。相続のために自宅や店舗など生活の基盤を失うことのないように配慮された仕組みです。減額割合(2015年1月以降)この仕組みが適用されると、相続した土地の評価額が大幅に減額でき、その結果、課税遺産総額が少なくなれば、相続税の額を減らすことができます。特に地価の高い都会に住む人や事業をしている人にとってはありがたい制度です。この制度では、自宅などの居住用の宅地の場合、330平方メートルまでの相続税評価額を▲80%も減額することができます。たとえば、自宅が建っている相続税評価額が5,000万円の土地を、1,000万円の評価額とみなすことができるのです。店舗などの事業用は400平方メートルまでの相続税評価額を▲80%減額することができます。賃貸アパートなどの貸付用は200平方メートルまでを▲50%減額することができます。なお、この特例の適用を受けるには、相続税の申告期限まで居住や事業を継続することが条件になります。また、マイホームに住んでいる子供が相続する場合などは、「居住用」の仕組みの適用を受けることができません。2015年1月からの相続税の増税と併せて、この「小規模宅地等の評価減の特例」も拡充されることになっています。そのうちのひとつが居住用宅地の上限面積の拡大です。2014年までは240平方メートルですが、2015年以降は330平方メートルになります。また、居住用と事業用との完全併用が可能(貸付事業用は除く)になります。2014年までは居住用と事業用を併用する場合の上限面積は合計400平方メートルですが、2015年以降は、それぞれの上限の合計730平方メートルに拡大されます。2015年から増税される相続税ですが、相続税の節税対策は、被相続人が生きているうちに実行できればいいものです。自分の年齢や健康状態などを考え、税理士などとも相談して効果的な対策を講じたいものです。また、活用できそうな優遇策はできるだけうまく活用する方向で考えたいものです。そして、財産は少なくても必ず必要なのが「争族対策」です。遺産の分割を巡って、遺族同士が争うことのないように、あらかじめ遺言などを準備しておいたほうがよいでしょう。○執筆者プロフィール : 中村宏(なかむら ひろし)ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。(株)ベネッセコーポレーションを経て、2003年にFPとして独立し、FPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを多数行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。新著:『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)メルマガ「生活マネー ミニ講座」(平日・毎日)→
2014年12月17日国税庁は16日、2013年(2013年1月1日~2013年12月31日)の相続税の申告状況を発表した。それによると、2013年に亡くなった人(被相続人)の財産にかかった相続税の申告税額は前年比22.8%増の1兆5,367億円となり、2000年以来13年ぶりに1兆5,000億円台に乗ったことがわかった。相続財産の金額の構成比を見ると、土地は41.5%(前年45.8%)で最も多かったものの、現在の基礎控除額となった1994年以降で最低の水準となった。一方、現金・預貯金等は26.0%(同25.6%)、有価証券は16.5%(同12.2%)となり、ともに割合は最も高くなった。被相続人数は前年比1.0%増の126万8,436人。このうち相続税の課税対象となった被相続人数は3.5%増の5万4,421人で、課税割合は同0.1ポイント増の4.3%となった。1人当たりの相続税額は前年比18.6%増の約2,824万円だった。課税価格は前年比7.8%億円増の11兆6,253億円で、被相続人1人当たりでは同4.2%増の2億1,362万円となった。
2014年12月17日「相続税がかかるのはお金持ちだけで、ウチには関係ない!」なんて思っていませんか?ところが、2015年の相続税法の改正で、そうとも言っていられなくなりそうです。今回は、相続税法の改正で、何がどのように変わるのかをお知らせします。2015年相続税法改正は4つのポイントに注目消費税増税のニュースの影に隠れるように、いつの間にか実施が秒読みとなっている、2015年の相続税法の改正。この改正により、今まで日本全体で4%程度といわれていた相続税の課税対象者が、6%前後に増えると予想されています。特に、土地の値段の高い首都圏では、それ以上に課税対象者が増えるかも知れないとの予測までされています。あと1カ月ほどで変わる、この改正の内容を確認しておきましょう。今回の改正は、大きく次の4つの項目が見直されました。基礎控除額の引き下げ相続税率の見直し未成年者控除額および障害者控除額の引き上げ小規模宅地等の特例の範囲拡大ここでは、最も大きな改正となる「基礎控除額の引き下げ」を中心に解説します。2015年から控除額が4割削減!?基礎控除額が現行の6割に相続税を納めることになるかどうかを大きく左右するのが「基礎控除額」です。それは、相続財産(課税価格の合計額)が基礎控除額を上回った場合に相続税が発生するからです。図表1 相続税のしくみ(法定相続人が妻、子2人の場合)資料:税務署「平成27年1月1日施行 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」を参考に執筆者作成これまで(2014年末まで)の基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」でした。例えば、夫婦2人と子ども2人のご家庭でお父さんに万一のことがあった場合、お母さんと子ども2人が法定相続人になります。この家族の相続税の基礎控除額は、5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円となり、8,000万円までの遺産相続に対しては相続税がかかりませんでした。これが2015年の相続から「3,000万円+600万円×法定相続人数」に変わります。先ほどの家族に当てはめると、3,000万円+600万円×3人=4,800万円 と、8,000万円から4,800万円に、実に4割も控除できる金額が少なくなってしまうのです。この家族の例で、年内に相続が発生した場合、遺産にかかる基礎控除額は8,000万円ですが、平成27年1月1日以後になると、4,800万円に縮小されてしまうことになります。冒頭にお話しした相続税の課税対象者が4%から6%前後に増えるとみられているのはこのためです。法定相続人が配偶者の場合は、相続税の配偶者控除(1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い方)が使えるので、相続税がかかる人はそれほど多くないと思われますが、法定相続人が子ども1人という場合は、早めに対策されることをおすすめします。実家が持ち家の場合、事前に対策をしておかないと、最悪の場合、相続税を納めるために実家を手放さざるを得ないこともあるので注意してください。相続税の最高税率が50%→55%になります(各法定相続人の取得金額6億円超の場合)改正点の2つめは「相続税率の見直し」です。各法定相続人の取得金額が次の場合に影響を受けます。<各法定相続人の取得金額>2億円超~3億円以下…現行:40% 改正後:45%6億円超~…現行:50% 改正後:55%(3億円超~6億円以下は現行の50%のまま)先に紹介した図表1の通り、ここでの税は法定相続分で按分した後の資産に対してかけられます。最高税率の引き上げは、かなりの富裕層でないと影響を受けないところといえそうです。図表2 相続税の税率構造資料:税務署「平成27年1月1日施行 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」を参考に執筆者作成未成年者控除・障害者控除の控除額が拡大されます3つめは、「未成年者控除と障害者控除の控除額の拡大」です。基礎控除とは反対に、控除額が上乗せされる改正となります。未成年者控除額… 現行:20歳までの1年につき6万円→改正後:10万円障害者控除額… 現行:85歳までの1年につき6万円(特別障害者12万円)改正後:10万円(特別障害者20万円)例えば、相続人が5歳の場合、20歳になるまで15年(=20歳-5歳)あります。2014年内に、親に万一のことがあったときの未成年者控除額は90万円(=6万円×15年)ですが、2015年1月1日以後に相続が発生した場合は150万円(=10万円×15年)となり、算出された相続税額から直接差し引ける税額控除となります。小規模宅地等の特例の対象不動産の範囲が広がります4つめは、「小規模宅地等の特例の適用範囲拡大」です。相続に関わったことのない人には聞きなれないフレーズばかりですね。これは一定の条件を満たした被相続人(亡くなった方)の自宅土地または事業用地に関して、相続税の計算上、一定の割合を減額(80%または50%)するものです。2014年に大幅な改正(有料老人ホーム等に入居した場合でも一定の要件を満たし、かつ、いつでも自宅に戻れる状態であれば適用を受けられるようになるなど)がありましたが、2015年からは対象となる土地の限度面積が拡大されます。居住用の宅地等(特定居住用宅地等)の場合…現行:240㎡ →改正後:330㎡居住用と事業用の宅地等を選択する場合… 現行:(特定居住用宅地等240㎡、特定事業用等宅地等400㎡)合計400㎡まで適用可能 →改正後:(特定居住用宅地等330㎡、特定事業用等宅地等400㎡)合計730㎡まで適用可能小規模宅地等の特例は、要件が複雑なのでここでの説明は割愛しますが、マイホームを持っている人、事業用の土地・建物を所有している人、アパートやマンションを経営している大家さん、本人、あるいは家族が介護施設への入所を検討している場合等には、相続に詳しい専門家にこの特例を使うことができるのか確認をとっておくのが賢明といえそうです。2015年の改正で、相続税は富裕層だけの問題とはいえなくなりそうです。そのため、事前準備を始めておくことをおすすめします。対策しておけば、無用な争いを避け、大きな相続税納税に苦労することなく、みんなが円満な相続を迎えることができますね。コラム監修者プロフィール 柳澤 美由紀(やなぎさわ みゆき)CFP(R)/1級ファイナンシャルプランニング技能士関西大学社会学部卒。大学時代に心理学を学び、リクルートグループに入社。求人広告制作業務に携わった後、1997年ファイナンシャルプランナー(FP)に転身する。相談件数は800件以上。家計の見直し、保険相談、資産づくり(お金を増やす仕組みづくり)が得意で、ライフプランシミュレーションや実行支援も行っている。家計アイデア工房 代表※この記載内容は、当社とは直接関係のない独立したファイナンシャルプランナーの見解です。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2014年11月20日相続税対策として人気のある「教育資金等一括贈与の非課税制度」を知っていますか。おじいちゃん、おばあちゃん(直系尊属)から30歳未満の孫などへ教育目的の資金をまとめて贈与する場合、孫など1人につき1,500万円までは、贈与税が非課税になる制度です。一般社団法人信託協会によると、2014年6月末時点での上記制度の契約数は76,851件、信託財産合計額は5,193億円となっており、多くの方が利用している状況です。この制度が相続税対策としてなぜ人気なのか、解説していきましょう。■教育資金一括贈与の対象者非課税(税金がかからないこと)の対象となるのは、直系尊属(祖父母、曾祖父母など縦の流れの関係)からの贈与です。孫へ贈与するケースが目立ちますが、ひ孫や玄孫、親から子への贈与も対象となります。親子間の贈与より、孫などに贈与したほうが税金対策としての効果が高まります。相続の世代を飛ばせるからです。たとえば、孫が4人いるとしたら、1,500万円×4人=6,000万円の財産を、贈与税も相続税も掛からずに孫へ贈ることができます。両家の祖父母から孫へ贈与したい場合、孫1人当り1,500万円が限度額なので、話し合いで贈与額を調整する必要があります。また、後々の相続時に揉める原因とならないよう、すべての孫へ同額ずつ行うことが望ましいでしょう。30歳以下の若いママなら、この制度を自ら利用するという手もあります。育児休暇中や育児に専念している期間に、この制度を利用して資格取得のための学費を出してもらい、キャリアアップへ繋げることもできるのです。30歳までに使い切れなかった分については贈与税が掛かりますので、必要な額だけ贈与してもらうといいですね。■教育資金一括贈与の対象となるもの対象となるものは以下の通りです。1.学校等に対して直接支払われるもの入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、入学検定料のほか、給食費、修学旅行費、学用品購入費など、学校等の教育にともなって必要な費用。2.塾や習い事に掛かる費用など、学校等以外に対して直接支払われるもの学校以外の費用である塾や習い事にかかる費用の贈与については、500万円までが認められています。なお、「学校等」とは、学校教育法に定められた幼稚園、小中学校、高等学校、大学、大学院、専修学校、各種学校、一定の外国の教育施設、認定こども園または保育所などを指します。■教育資金の一括贈与方法制度を利用するためには、銀行などの金融機関で「教育資金贈与非課税口座」を開く必要があります。口座の開設や維持に手数料はかかりません。また、支払った学費等は、年内に払い出しを受ける必要があります。払い出しには領収書が必要です。金融機関によっては、教育機関等へ直接、振込払いを行ってくれるところもあります。■利用上の注意点おもな注意点は以下の5つです。1.受贈者1人あたり1つの金融機関でしか口座を持てない2.期限を経過した領収書は対象外3.領収書には、日付、金額、支払内容、支払者の氏名および住所の記載が必要4.契約の終了事由に該当しない場合は解約できない(30歳の誕生日の前日または死亡時)5.キャッシュカードは発行されない教育資金一括贈与は費用や時間がほとんどかからないので、アパート経営などに比べ、お手軽でリスクの低い相続税対策といえるでしょう。1,500万円が限度額ですが、贈与平均額は650万円程度との調査結果も出ています。2015年12月31日までの期間限定の制度ですが、延長される見込みも高く、焦る必要はないでしょう。一度、ご家族でじっくり相談してみる価値は十分にありますよ。※この記事は2015年1月時点の法令に基づいて書いています。【連載:相続税の基本を学ぶ】・ (1)相続税の対象となる財産とは ・ (2)相続税の計算方法 ・ (4)節税対策の注意点・その1 ・ (5)節税対策の注意点・その2
2014年10月29日親子で相続税のおさらいをするシリーズ第2弾。 前回 は、相続税の対象となる財産について確認しました。今回は、相続税の対象となる人と相続税の計算方法についておさらいしていきましょう。■財産の相続人となる人誰かが亡くなった場合、その人の財産を相続する権利のある人は、以下の通りです。1)配偶者(夫または妻)2-1)子2-2)親2-3)兄弟姉妹亡くなった人の配偶者、つまり夫や妻は、常に法定相続人となります。子どもがいる場合は、配偶者と子どもとで財産を相続することになります。たとえば、妻と3人の子どもがいる男性父親が亡くなった場合、法定相続分は、配偶者(妻)が2分の1、残りの2分の1を3人の子どもで分けることになります。なお、子どもについては、養子や胎児、認知された子も相続人として認められています。再婚のご家庭は、配偶者の連れ子をきちんと養子にしていないと法定相続人に該当しないので、注意しておきましょう。また、内縁の妻も法定相続人ではありません。配偶者と親が健在で子どもがいない場合は、配偶者と親で、財産を相続します。法定相続分は、配偶者が3分の2、親が3分の1になります。配偶者と、亡くなった人の兄弟姉妹が健在で、子どもと親もいない場合は、配偶者と兄弟姉妹で相続をします。法定相続分は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹で残りの4分の1を分け合うことになります。ただし、法定相続分は、絶対にこのように財産を分けなければいけないというものではありません。財産の分け方に困った時の一つの目安に過ぎないのです。遺言書があれば、遺言書に従って分けたり、相続人全員の意見が一致するなら、相続人独自の分け方で分けたりしてよいのです。■相続税の基礎控除額の算出方法現在の相続税の基礎控除額(「ここまでは相続税が発生しません」という金額)は、5,000万円+(相続人数×1,000万円)です。母と子ども2人、計3人の相続人がいるなら、5,000万円+(3人×1,000万円)=8,000万円までは、相続税がかかりません。2015年1月1日からは、この計算式が3,000万円+(相続人数×600万円)に改正されます。つまり、相続人が3人なら、相続税のかからない財産額が4,800万円にまで引き下がってしまうのです。■相続税率一覧基礎控除額を超えた相続財産に対しては、相続税が発生します。相続税の税率は次のようになっています。表中の「控除額」とは、法定相続分から算出した税額から、さらに控除される金額のことです。たとえば、基礎控除を差し引いた遺産額が3,000万円の場合、配偶者が払う相続税の額は3,000万×法定相続分1/2×15% - 50万=175万円となります。2015年度からの相続税改正では、基礎控除額の引き下げで課税対象者を増やしています。また、相続税率の変更により相続財産が1億円を超えると増税になっています。相続税増税に備えて、雑談程度から親子でコミュニケーションを取ることが何よりの相続対策であり、親孝行にもなることを覚えておきましょう。次のコラムでは、相続税対策として最近人気の高い、教育資金等一括贈与について詳しくお話していきます。※この記事は2015年1月時点の法令に基づいて書いています。【連載:相続税の基本を学ぶ】・ (1)相続税の対象となる財産とは ・ (3)相続税対策で人気の「教育資金等一括贈与」とは ・ (4)節税対策の注意点・その1 ・ (5)節税対策の注意点・その2
2014年10月28日未来相続はこのほど、相続に特化したポータルサイト「未来相続」を新規オープンした。同サイトは、相続について分かりやすく学ぶことができる情報コンテンツを掲載するとともに、遺言作成のための行政書士など各種専門家への相談・依頼もサイト上から行うことができる。2015年の相続税改正により、従来は一部の富裕層だけが考える必要があった相続問題が、より一般の人々にも広がることが見込まれる。また、高齢化社会が進む中、相続市場は年々拡大しており、悩みを持つ人が一層増えることが予想されている。同サイトでは拡大を続ける相続市場において、「知識のない方でも分かりやすく」「何でも知ることができる&相談できる」総合ポータルサイトを目指すという。主なコンテンツとして、相続関連用語の解説などの初心者向け情報コンテンツ、相続を経験した人の体験談、相続に特化したニュース・コラムを掲載。また、遺言作成のための行政書士、相続税申告のための税理士など、各種専門家に対してサイト上から相談・依頼が可能となっている。今後は、相続に関する情報コンテンツの量を増やしていくとともに、提携の士業事務所・企業を拡充していくことで、より利便性の高いサービスを提供する予定としている。
2014年10月27日2015年1月1日から相続税が増税されます。増税にあたり、注意すべきポイントは大きく2つあります。1点目は相続税の税率が引き上げられること。2点目は「ここまでは相続税は発生しません」という基礎控除が引き下げられる点です。これまで一部の富裕層が対象だった相続税ですが、この改正によって対象が一気に拡大します。しっかり貯めて資産を増やしてきた団塊世代の親を持つ皆さんは、今からゆっくりと親子で相続について話し合っておくことが何よりの相続税対策になります。まずは、相続税の基本について、おさらいしておきましょう。■相続税の対象となる財産とは相続税の対象となる財産にはどんなものがあるのか、改めて確認してみましょう。財産のうち「お金に換算できる経済的価値のあるもの」がすべて相続税の対象に該当します。対象となる財産の一覧は以下の通りです。1)現金・預金2)株や債券などの有価証券3)車、宝石や貴金属、美術品などの動産4)土地や建物などの不動産5)貸付金、売掛金6)特許権や著作権、ゴルフ会員権7)生命保険金8)死亡退職金9)亡くなる前3年以内に贈与された財産10)未払金、借金、住宅ローン上記のうち、気をつけておきたいポイントが4つあります。順に詳しく解説しましょう。■1.死亡前3年以内に贈与された財産は相続財産とみなされる死ぬ前に慌てて財産を贈与しても、残念ながら相続税の計算に入れられてしまいます。相続税対策は、10年掛けてすることもあります。その時になってから慌てて対策するのではなく、親が元気なうちに始めることが大切です。なお、孫や子1人当り1,500万円まで非課税になる「教育資金の一括贈与」を利用した贈与は、贈与後3年以内に亡くなった場合でも相続財産に加算されません。今、相続税対策として人気があるこの方法については、回をあらためて詳しく紹介していきます。■2.借金などの負の財産も、相続税の対象になる住宅ローンを始めとした、マイナスの財産も相続財産になります。相続税の計算では、プラスの財産からマイナスの財産を引き、残額が基礎控除額(ここまでは税金が発生しない額)を超えると、相続税が発生する仕組みです。プラスの財産よりマイナスの財産のほうが大きい場合は、相続を放棄することで親の借金を背負う必要がなくなります。相続放棄の期限は、亡くなった翌日から3ヵ月以内と期限があまりにも短いので、親がどれだけ借金をしているのか、プラスだけでなくマイナス面も、できれば事前に把握しておきましょう。■3.生命保険金や死亡退職金には、相続税の非課税枠がある生命保険金や死亡退職金も相続財産とみなされますが、法定相続人1人あたり500万円までの非課税枠があります。法定相続人が3人なら、1,500万円までは相続税の対象となりません。この生命保険の非課税枠を相続対策として上手に利用する方法もあるのです。■4.相続する財産によって価値の算出方法が異なる相続財産のうち、現金や預金は残高がそのまま相続財産として計算されてしまいます。しかし、株や債券などの有価証券は時価、宝石や貴金属、車などの動産は売却価格と、財産の種類によって、相続時の評価方法が異なります。この評価方法の違いを利用して、アパート経営などの相続対策を行うことができます。相続税の対象となる財産と注意すべきポイントについて、全体像がつかめましたか。次回のコラムでは、相続税の計算方法について一緒におさらいしていきましょう。※この記事は2015年1月時点の法令に基づいて書いています。【連載:相続税の基本を学ぶ】・ (2)相続税の計算方法 ・ (3)相続税対策で人気の「教育資金等一括贈与」とは ・ (4)節税対策の注意点・その1 ・ (5)節税対策の注意点・その2
2014年10月27日今、相続がクローズアップされている。なんのわだかまりもなく円満に終えることの方が少ない、という相続。残された遺族が揉めないためには、 「きちんとした遺言書を残しておくのが一番」 。でも、おうちスタイル世代のご両親に、そんな意識があるだろうか? 引き続き税理士の羽田リラ先生と、同じく税理士の板倉京先生にお話を伺った。■親の老後について、話し合う提案を! 「うちの親、相続について深くは考えていないかも」と思った方は、(不謹慎かもしれないが)、一度、親が何の準備もなく亡くなった時のことを想像してみて。どこに何があるかもわからないところから、親の知人の連絡先を探し、お金の後始末をして……。「うわっ、かなり面倒かも!」と事態の大変さに気付いていただけるのではないだろうか? 「そう言われても、親に相続のことを考えて、なんて言いづらいなぁ」と、思った方は、コチラ→「 “親の老後”を考えると相続に繋がる 」■相続対策は、必ず手順を踏まなければならない親に相続の話を切り出せたとしたら、子ども側が相続対策について親をリードしていかなければならない。そのためには、最低限の基本知識を子ども側が持っておくことが必要。ただ、相続対策と聞くと「生前贈与はどうしたら? 」「遺言書の書き方は?」など、いきなり自分の興味があることや、知りたいことに目が行きがちだが、ちょっと待って! 「相続対策は、好きなところから始められるものではありません。きちんとした相続対策をするためには、むしろ、“相続対策には何が必要なのか”を知り、しっかりと手順を踏んで頂くことが重要なのです。」(板倉先生)■相続対策の4ステップまずは、簡単に相続の対策のステップを紹介しよう。1. 財産リストの作成 ↓2. 1をもとに財産の分け方を考える ↓3. 遺言書の作成。2をもとに、家族と話し合い、分割方法を決める。それを遺言書などで法的に有効な形にする。↓4. 財産リストをもとに、相続税がかかるかどうかの試算。かかるようなら、税理士に相談し、納税資金の確保や節税対策を検討する。■亡くなってからでは遅い! 最初の「財産リストの作成」の段階で、「ああ、面倒くさい。や~めた!」と思ってしまう人が多いのではないだろうか。でも、実は「人が亡くなってから行うお金の後始末」は、準備のある、なしにかかわることではなく、つまり、この面倒な作業は、人が亡くなったら「必ず」やらなければならないことなのだ。それなのに、もし何の準備もしていなかったら? 「御本人が亡くなられた後だと、通帳ひとつ探すのだって、一苦労です。相続の準備を何もせずに死んでしまったら、それだけ残された家族が大変になるということです」(羽田先生)。「相続ってヒトゴトじゃないんだな」と思った人は、次回もチェックして。文章/楢戸ひかる
2014年01月20日相続対策で気軽に始められるのが生前贈与! でも、生前贈与には思わぬ落とし穴も。きちんと生前贈与を行うためには、どんな点に注意すればいいのだろうか?■孫の大学入学祝い900万円に贈与税は191万円かかる子どもや孫名義の預金通帳を作って、本人に内緒でその口座にコツコツと預金しているケースは、「名義預金」と言われ贈与をする場合のよくある失敗。たとえば、毎年50万円ずつ孫名義の預金を積み立てて、18歳の大学入学の時に900万円を「おめでとう!」と渡したとすると、この渡した時に贈与が成立する。そのときにかかる贈与税は、なんと191万円だ!(現行の税制の場合)■贈与税は、1年間に110万円までは税金がかからない上記のケースで、もし毎年50万円ずつあげていたならば税金を払う必要はない。なぜなら贈与をする場合、一年間に110万円までは税金がかからないからだ。ただ、この場合、“ちゃんと”あげるために、贈与があったことを税務署やほかの親族などに証明できるような贈与契約書を作成しておこう。贈与契約書は、どんな書式でも構わない。下記の内容が含まれていれば、OKだ。ただし、すべてワープロで作成すると、後々、信憑性を疑われる可能性があるので、名前と日付は手書きにしておこう。それから。“ちゃんと”あげるためには、財産は、もらった人が管理するようにする。通帳を渡したけれど、印鑑とカードは渡さないといった人もいるそうだが、それでは贈与にならない。贈与があったかどうか疑問の余地を残すようなことはしないようにしよう。■相続開始前3年以内の贈与は節税にならないここで、一つ知っておいて欲しいことは、相続開始前の3年以内にした贈与は、相続税の節税効果が見込めない。相続で財産をもらった人が受けた贈与のうち、相続開始前3年以内に行われたものは、たとえ贈与税の非課税枠内でも、相続財産に加算して相続税の計算をするという決まりがあるからだ。 相続が近そうだといって急にバタバタと贈与で節税をしても、効果がないということになる。とかく、相続には時間がかかる。生前贈与による節税対策は、長期にわたり計画的に行うことが大切だし、相続についての親族間の話合いにも時間をかけて行うに越したことはない。税法が改正されるのは2015年だから、まだ先のような気がするが、相続対策、今から考え始めても決して早くはないのだ。取材/楢戸ひかる
2013年11月19日ホイットニー・ヒューストンの遺産相続を巡って、娘のボビー・クリスティーナ・ブラウンと家族側が合意に至ったようだ。ゴシップサイト「TMZ.com」の報道によれば、ホイットニーの母シシー・ヒューストンや義妹でマネージャーのパット・ヒューストンらホイットニーの遺産を管理する財団側は当初、娘のボビー・クリスティーナが受け取る遺産相続分が多すぎるとして裁判に訴える構えを見せていたものの、全関係者は今回、当初の相続プラン通りで合意に至ったという。今回の合意により、現在19歳のボビー・クリスティーナは、21歳になった際に遺産の10%を、25歳時に20%を、さらに30歳になると残り全ての金額を受け取ることになり、母・ホイットニーの遺産を将来的に全額受け取ることになった。ボビー・クリスティーナは先日、一度は婚約を解消した義理の兄にあたるニック・ゴードンと再び婚約を果たしている。
2012年10月30日2年前に亡くなったデニス・ホッパーの遺児である9歳の娘が、約300万ドルの遺産を相続することが明らかになった。5番目の妻・ヴィクトリアさんとの離婚問題が泥沼化する中、2010年5月29日にガンのために74歳で亡くなったデニス。「TMZ.com」によると、1996年の結婚時に交わしたプリナップ(婚前契約)により、ヴィクトリアさんへの遺産はゼロだが、彼女との間にもうけた愛娘ゲイレン・グリアー・ホッパーちゃんが現金約225万ドル、60万ドル相当の土地を相続した。デニスが亡くなった当時7歳だったゲイレンちゃんは、ニューメキシコ州タオスで執り行われた葬儀に参列することができなかった。実はデニスの遺言が、ヴィクトリアさんの参列を拒否してゲイレンちゃんのみ来てほしいというものだったのだが、ヴィクトリアさんが自分の付き添い無しに7歳の娘をロサンゼルスからタオスまで旅させることを拒んだのだ。ゲイレンちゃんは未成年であるため、遺産は信託され、ヴィクトリアさんは関与できないようになっている。デニスはそれまでの4度の結婚で3人の子供をもうけたが、成年に達している子供たちが、ヴィクトリアさんが遺産を相続できないように仕向けたと言われている。大人の事情に巻き込まれ、父親と最後の別れもできなかったゲイレンちゃんは、どんな思いでいるのだろう。(text:Yuki Tominaga)© Rex Features/AFLO
2012年09月19日ナイジェリアで開かれた驚きの離婚裁判「妻は遺産相続を狙って俺を殺そうとしていたんだ...セックスで。」そう離婚法廷で証言するのは、39才のダニエルさん。この奇妙な裁判は、ナイジェリアの南西部にあるラゴスの裁判所で開かれた。(Photo:Sex Museum By Rob Lee)夫婦の証言と裁判の結果ダニエルさんの証言によると彼の妻は毎晩少なくとも8回ものセックスを要求してきたという。彼は法廷でこう述べた。「妻は気が狂っている。絶対にセックスで満足することはない。彼女は、セックスで私を殺して遺産を相続することを計画していたんだ。」それに対して妻は次のように答えたという。「私は浮気女ではないので、彼は私を不貞で訴えることはできない。もし彼が私を異常な性欲で訴えるのであれば、法では裁けない。単なる彼の頭痛の種よ。」さらに妻は夫が悩んでいたこともしらず、突然荷物をまとめて出て行くように言われたとそうだ。この裁判により二人は正式に離婚することが決まったという。編集部鈴木真美元の記事を読む
2012年02月01日相続手続き支援サービス 「astas」ITホールディングスグループのアグレックスは、相続手続き業務を“簡単・迅速・安心”にサポートするSaaS版の相続手続き支援サービス「astas」(アスタス)の提供を開始しました。「astas」はSaaSで提供するため、利用者は初期投資の必要がなく、安価にすぐに利用可能で、相続を扱う弁護士事務所や保険会社などの利用者は、相続事務業務の効率化・標準化を可能にします。相続手続きは銀行・保険会社・各種共済組合などが取り扱っており、一部の専任者のみによって行われていますが、作業の煩雑さから、相続業務全般に関する効率化・標準化・システム化の検討が必要とされてきたことが、astas開発の背景になりました。被相続人の親族情報を簡単に入力できる機能、被相続人の親族情報から、それぞれの相続人に対応した相続手続きに必要な戸籍の取得案内文書、郵送による戸籍交付請求書などの各種案内文書や、相続関係図を自動で作成する機能などの機能を搭載しています。
2011年01月28日二重課税あらまし本年7月6日の最高裁判例において、遺族が年金形式で受け取る生命保険金のうち、相続税の対象となったものは、所得税の課税対象とならないとした判決が下された。それをうけて国税庁は、「遺族が年金形式で受け取る生命保険金に対する所得税の課税の取消しについて」とする発表を行った。最大22万件も発表ではまず、判決の翌日に野田財務大臣が行った発言をひき、過去5年分の所得税ついては、該当者による更正請求を経て、減額更正を行い、すみやかに返金するとしている。ただ、5年を超える部分の納税については、「制度上の対応が必要」として、政令の改正か、新たな法的措置を検討して判断するとした。この問題に関しては、生命保険協会の渡辺光一郎会長が9月17日の記者会見で、対象となる契約が、生保業界で最大22万件にのぼることを発表した。
2010年09月23日