「脳研究者」について知りたいことや今話題の「脳研究者」についての記事をチェック! (9/9)
忙しく働いている女性の中には、「職場を離れてもなかなか気持ちが休まらない…」という人が少なくない。また、休日に体を休めても、何となく疲労感が取れずに悩んでいるという人も多いのではないだろうか? そこで、医学博士・米山公啓さんに、脳科学の観点から、心身の健康を維持していくために必要な、疲労解消のコツを教えていただいた。■脳を休めないのは危険、「うつ」や重大な病気の引き金に! 「心身の健康を維持していくためには、体を休めるだけではなく、脳からしっかりリラックスさせ、疲労を回復させることが大切です。脳がリラックスしている状態とは、副交感神経が優位に働いている状態のこと。逆に、交感神経が優位の状態では、脳も活発に働いている状態。この、『リラックス脳』と『働き脳』を上手に切り替えられるようになれば、心身をしっかりと休められるようになるはずです」と米山先生。また、脳をリラックスさせない状態が続くと、精神の安定を促す神経伝達物質であるセロトニンが減少し、「うつ」症状に陥りやすくなってしまう。さらに、血圧の上昇などの身体症状が出ることもあり、重大な病気の引き金になってしまう可能性もあるそうだ。「いつも代わり映えしない、“変化のないライフスタイル”を送っている人は、脳がリラックスしづらくなっているので要注意。例えば、何か緊張することが終わったときに『ほっ』として頭がぼんやりするような感覚を味わったことがある人は多いと思いますが、それは脳がリラックスしている状態だからです。このように、脳をリラックスさせるためには、あえて緊張状態を通過することが必要になるのです」 >>続きを読む
2014年10月28日(画像はプレスリリースより)トレッドミルで脳血流量が増加2014年10月14日、ドイツ神経変性疾患センター、マクデブルク大学(独)は共同で肉体運動が記憶に関連する脳の血流を改善することを発表しました。この研究はドイツ神経変性疾患センター、マクデブルク大学、ライプニッツ神経生物学研究所(独)、カロリンスカ研究所(スウェーデン)およびマックスプランク研究所(独)の共同研究。この研究成果はMolecular Psychiatry誌で10月14日からオンライン版で公開しています。研究内容参加したのは60から77歳のその年齢で健康なボランティア40名。3か月間トレッドミルを用いた運動を行った群と単にマッサージだけを受けただけの群の2群で研究を実施。70歳未満の運動群の9例中7例はトレーニングによって肉体的に鍛えたれただけでなく、記憶に重要な役割を果たす脳の海馬部分の血流量が増加していました。この血流量の増加は絵の記憶テストでの検討による視覚記憶の改善を伴っていました。海馬の血流量の増加と記憶の改善は70歳以上の運動群とコントロール群では認めませんでした。今回の研究では核磁気共鳴画像法(MRI:magnetic resonance imaging )検査も実施。研究の意義と今後今回の研究は初期のアルツハイマー型認知症に対する治療方法の検討から出てきたものです。運動により、記憶能力の改善が示唆されましたが、視覚記憶という短期間の記憶であり、限定的なものとのこと。マクデブルク大学では、さらにトレッドミル運動中の脳の変化を検討しています。アルツハイマー型認知症に対して症状の進行を遅らせたり、進行を止めたりするために運動療法は一つの選択肢になり、薬剤治療によりさらに効果が高まることを期待しているとのことです。【参考】・ドイツ神経変性疾患センター、マクデブルク大学プレスリリース
2014年10月26日理化学研究所(理研)は10月23日、経験による脳回路の変化を新しい理論モデルで予測することに成功したと発表した。同成果は、理研脳科学総合研究センター神経適応理論研究チームの豊泉太郎 チームリーダーと、米コロンビア大学理論神経科学センターのケニス・ミラー 教授、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の金子めぐみ 研究員、同マイケル・ストライカー 教授らによる研究グループによるもの。10月22日付け(現地時間)米科学雑誌「Neuron」に掲載さた。人が経験を通じてさまざまなことを学習することができるのは、脳回路内の神経細胞同士のつながりである「シナプス」の結合の強さが動的に変化する「可塑性」という性質を持つためだといわれている。これまでの研究から、神経回路の中でよく使われるシナプス結合は強くなり、あまり使われないシナプス結合は弱くなるという「ヘッブ型可塑性」によって、特定の細胞グループが同時に活動しやすくなり、学習が進むと考えられてきた。一方、神経活動が極端に強くなったり、弱まったりすることをシナプスの強さの調整によって防ぐ「整調型可塑性」という仕組みも存在し、この2つの可塑性が相互に調節し合いながら学習を成立させていることがわかっている。しかし、2つの可塑性がどう組み合わさって学習を成立させているのか、その仕組みは明らかになっていなかった。同研究グループは、左右の眼から入力情報のうち、どちらが大脳視覚野で優先的に処理されるかが経験とともに変化する「眼優位性の可塑性」という現象に着目。近年の実験で、この現象は神経回路のつながりの強弱が先に「ヘッブ型可塑性」によって変化し、しばらくして回路全体の活性が「整調型可塑性」によって調節されることが示されている。同研究グループは、経験による脳回路の変化を明らかにするため、この「眼優位性の可塑性」を忠実に再現できる、新しい理論モデルの構築を目指した。従来の理論モデルでは、2種類の可塑性がつりあうことで安定状態に達すると考えられてきたが、解析の結果、2種類の可塑性の時間スケールに違いがある場合にはシナプス結合が不安定になって眼優位性の可塑性を忠実に再現できないことがわかった。この問題点を克服するため、同研究グループは「ヘッブ型可塑性は短い時間スケールで、整調型可塑性はより長い時間スケールで働き、それぞれ独立に安定状態に達する」という新しい理論モデルを構築。そのモデルが、「眼優位性の可塑性」の実験結果を非常によく再現できることを確認したという。今回、経験による脳の変化を司る2つの可塑性が相互に調整しながら働くメカニズムが明らかになったことで、脳の成長や記憶のメカニズムの理解が進むだけでなく、薬剤が脳の発達障害や学習障害に与える影響を予測して、医療現場などにフィードバックすることも可能になると期待される。
2014年10月24日平均睡眠時間が7~8時間と言われている日本。それよりも長い人、短い人、同じぐらいの人、さまざまな人がいるでしょう。最近の研究で睡眠時間と脳の劣化の関係が発表されました。いつまでも快活に生きるためには何時間の睡眠が最適なのでしょうか?脳と睡眠には関係がある?睡眠時間と脳の老化には関係があるのか、ないのか? これは誰もが非常に興味のあるテーマだと思います。じつは最近、これに関する最新の研究成果が発表されました。「睡眠時間の短い人のほうが脳の老化が早く、さらに認知力も低下しやすくなる」。これを証明するために、実験が行われました。被験者の脳の容積をMRIで測定し、さらに血液検査や神経心理学的検査を行い、睡眠時間が脳にどのような影響を与えているのかについて、数年間にわたって調べたそうです。実験では、睡眠時間の短い被験者ほど、認知能力が低下し、さらに脳室の拡大が早くなる、という傾向がみられたようです。アルツハイマーとも関わりが?睡眠は脳に大きな影響を与えるということが、ほかの研究からも解明されています。アメリカの大学の研究チームが発表した研究結果によると「睡眠は脳の老廃物を排除する効果がある」そうです。老廃物のなかにはアルツハイマー病にも深く関連しているタンパク質アミロイドベータと呼ばれる物質もあると言われています。これを調べるために行われたのがマウスを用いた実験です。マウスの脳の体液を調べたところ、起きているときに比べて、なんと2倍もの速さで脳内からアミロイドベータが取り除かれていたと報告されています。やはり睡眠は健康に生きていくために欠かせないものだということがわかりますね!睡眠は脳をつくる「睡眠は脳をつくる、脳は睡眠をつくる、睡眠は脳を守り、修復し、賢くする」という言葉があります。これは井上昌次郎・東京医科歯科大名誉教授が言ったとされる言葉です。睡眠がいかに脳に大きな影響を与えているかということがよくわかる言葉ではないでしょうか。人は大脳を酷使した後は、睡眠が欠かせないと言われています。みなさんも頭から湯気が出そうなほどに脳ミソを使った後は、ぐったりしてちょっと眠らないと頭が働かないという経験があるかもしれません。それは決して怠けているから、ということではなく、人間が本質的に求める行動だったということが最近の実験で明らかになっています。これからも睡眠に関する研究が進めば面白いですね!Photo by Nima Fatemi
2014年10月14日脳科学は今、もの凄い勢いで進んでいる。アメリカの著名な脳科学者が約20年前に「脳科学は物理学で言えば15~16世紀。まだまだ初歩的な段階」と言っていたのに、「これまで科学で答えられなかった領域に今、どんどん突っ込んでいる。非常に面白い段階」とジャーナリストの立花隆氏は興奮を隠さない。脳科学の中で今もっともホットな分野である「記憶」について、第一線の科学者らが最新の研究成果を一般向けに話す第17回自然科学研究機構シンポジウム「記憶の脳科学~私たちはどのようにして覚え忘れていくのか」が9月23日、東京で開催された。その内容を数回に分けて紹介しよう。○行動しながら記憶する - ワーキングメモリの容量は3つ!?多くの人が日常生活で不便を感じ、役立てられることがあるのでは? と感じたのが大阪大学・苧阪(おさか)満里子教授の「ワーキングメモリ:脳のメモ帳」の講演だ。記憶というと「暗記能力」を思い浮かべがちだが、日常生活で暗記に集中する場面はそれほど多くない。それよりもスーパーに買い物に向かいながら夕飯の材料を覚えておく、など何かをしながら短時間だけ記憶することのほうがずっと多い、と苧阪教授はいう。このように行動しながら記憶することを「ワーキングメモリ」と呼ぶ。たとえば普段の会話でもワーキングメモリを使っている。相手に聞かれた質問を覚えておくことで質問に答えられる。読書でも登場人物や、前の頁の場面を覚えていることで、文脈が理解できるのだ。ワーキングメモリがうまく働かない例には、「2階に本を取りに行ったのにベランダの洗濯物に気づいて取り込むうちに、何をしに来たか忘れる」、「買い物に行ったのにセール品に気をとられて目的の物を買い忘れる」などがあげられるが、誰でも似たような経験があるのではないだろうか?では、なぜ私たちは頻繁に目的を忘れるのか。苧阪教授によれば「ワーキングメモリには制約がある。一度に使える情報処理の量は3つぐらい」とのこと。人は同時に多くの物事を処理することはできないのだ。だが、ワーキングメモリを働かせるのが得意な人とそうでない人がいるらしい。いったいどこが違うのか?講演ではここで、来場者にワーキングメモリの容量をはかるテストが行われた。複数の文章を読みながら、文章中の1つの単語だけを覚えていくテスト(リーティングスパンテスト:RST)だ。以下の文章が1枚ずつスライドで投影され、来場者は声を出して読みながら、強調された単語(ターゲット語)だけを覚えるよう促された(実際のテスト場面では、ターゲット語には赤線でアンダーラインがついている)水泳をしているためか、母は最近とても元気である。その花は熱帯の植物なので、北国の寒さには弱い。雷のため、電車の切符の販売機が故障した読み終えた後、文章を見ずに記憶しているターゲット語(上の文章では元気、北国、電車)だけを列挙する。つまり、単に単語を覚えるだけでなく、文章を読みながら単語を覚えるという二重課題が課されているわけだ。3つの文章では正解できる人が多いようだが、5つの文章中の5単語まで増やすと難しくなる。苧阪教授の研究室では大学生50名を対象にRSTを行い、高得点者と低得点者を比べたところ、興味深いことがわかったという。○高得点者は「読解力」に長け、「注意」を正しく向け、「方略」をもつ大学生にはRSTの他に読解力テスト(大学入試センター試験に準じる長さ)も行っており、相関を調べたところ、高得点者は「高い読解力」があることがわかった。文中にこのような単語や文章が出ていたという記憶力よりも、文章全体で何が書いてあったかという「文脈をとらえる能力」に長けていることがわかったそうだ。またRSTを実施中の眼球運動を測定したところ、高得点者はターゲット語に視線が集中していたが、低得点の人は文の中の色々なところに目がいく。つまり何を覚えるべきか、何をおぼえなくていいか、注意が向けられるべき言葉に向けられていない。さらに文が4つ、5つと増え、覚える単語が増えると、何らかの「方略」を使わないと覚えられなくなるという。たとえばターゲット語を意味的につなげたり、イメージ化したりして覚えるのが方略の例だ。高得点者は、方略を何種類かもっていて1つの方略がうまくいかないと判断したら、途中で他の方略に変えることができる。つまり自分で自分のやり方が正しいかどうか「自己モニタリング」できるのだという。○ワーキングメモリで働くのは、脳のどの部分?ワーキングメモリを支えるのは、脳のどの部分のどんな働きによるのだろうか。RSTを実施中の実験参加者の脳をfMRI(機能的磁気共鳴画像)などで調べると、脳のどの領域が活発に働いているかがわかる。苧阪教授が2003年の実験で「意外だった」というのは「ACC(前部帯状回)」が高得点群の人に顕著な活動が見られたことだ。その後の研究で、「DLPFC(背外側前頭前野)」、「SPL(上部頭頂小葉)」の3カ所がワーキングメモリの要となる中央実行形系のネットワークを作っていると考えられている。SPLは注意の焦点を特定の対象に向ける「注意の切り替え」を担い、DLPFCは「注意を保持」する。そしてACCは注意を向けるべき対象をうまくキャッチしてそうでない対象を「抑制する」働きをする。苧坂教授が強調するのは「注意の向け方」だ。ワーキングメモリの点数が低い人は決して覚えるのが苦手なのではない。「注意の移動」が苦手だということ。覚えなくていい対象に注意が向けられていたりして、覚えるべき対象に正しく注意が向けられていないようだ。○高齢者の特長 - ワーキングメモリを鍛える方法ワーキングメモリは20~30代がピークで年齢が上がるに従って機能が衰えていくという。高齢者にRSTを行うと、ターゲット語と違う単語を覚えてしまったり、ターゲット語だけ覚えればいいのに文章全部を覚えようとしたりする傾向が見られる。「つまり焦点化、覚えなくていいことに対する抑制制御がうまく働かないのです」と苧阪教授は指摘する。脳の働きを調べるとACCがほとんど活動を見せない。では、低下したワーキングメモリの機能は鍛えることができるのか?苧阪教授は「通常の日常生活を送っていれば、十分にワーキングメモリは鍛えられるので、むやみに鍛える必要はありません」という。会話したり、料理をしたり、買い物に出かけたりする行動のすべてでワーキングメモリを使っているのだと。しかし、加齢に伴って著しく低下しているときには「イメージング」が効果があるそうだ。覚えるべき単語をイメージして下さいと伝え、絵に描いてもらった。その後では脳内でACCの活動しているのが見られるようになった。イメージングするということは、「頭の中に表象を形成する訓練をする」ということ。その意味では本を読むのも効果的だ。またワーキングメモリで一度に情報処理できるのは3つと書いたが、その「3つ」はイメージ化によって充実させることが可能だ。たとえばカレーの材料をじゃがいも、にんじん、玉ねぎと1つずつ覚えて「3つ」でなく、カレーをイメージ化することですべての材料を「1つ」にまとめて思い出せるようにする。そして楽しい目的を持つときも、ドーパミンが出てDSPFCが活性化するという。日常生活を楽しく送り、時々は好きな本を読み、余計なことに気を向けず、注意をやるべきことに集中する。これがワーキングメモリを鍛える方法の1つかもしれない。写真出典苧阪満里子著 「もの忘れの脳科学」講談社ブルーバックス、2014.苧阪満里子著 「読書における文の理解とワーキングメモリー」苧阪直行編『小説を愉しむ脳』新曜社、2014
2014年10月08日科学技術振興機構(JST)は10月2日、同機構の戦略的創造研究推進事業において、マウスを用いた実験によって、脳の部位ごとに記憶に応じた遺伝子発現の調節を可能にするメカニズムを解明したと発表した。同成果は東京大学大学院医学系研究科の尾藤晴彦 教授、東京農業大学応用生物科学部バイオサイエンス学科の喜田聡 教授らの研究グループによるもので、10月1日付(現地時間)の米科学誌「Neuron」に掲載された。脳内で記憶を司る部位において、記憶が一時的なものか長期的に持続するものかは、特定の遺伝子発現の有無にかかっていることが知られている。しかし、脳の各部位でどのようにして特定の遺伝子群だけを読み出し、部位ごとに異なる機能を発揮できるのか、これまでわかっていなかった。長期記憶の形成には特定の遺伝子の発現が必要で、目的の遺伝子上に転写因子と呼ばれる分子が結合することで遺伝子の転写が開始し、特定の遺伝子発現の調節が行われている。代表的な転写因子の1つにCREBがあり、全身のさまざまな場面で働いており、脳でも、記憶のみならず、発生・細胞の生存維持・体内時計などさまざまな機能が報告されている。今回、同研究グループはCREBの転写補助分子であるCRTC1に着目し、長期的な記憶に必要とされる海馬と扁桃体で、海馬ではCRTC1の寄与が少ないのに対し、扁桃体では大きい一方で、CRTC1を海馬で強化すると記憶が向上するが、扁桃体ではそのような作用を確認した。このような部位ごとに異なる転写補助因子の振る舞いは、脳全体に普遍的に存在するCREBという転写因子が、脳部位ごとに異なる遺伝子発現調節を行うことを示唆している。CREBをはじめとする記憶の固定化にかかわる転写因子は、認知力向上の創薬ターゲットであり、今回の研究成果は、精神疾患や学習・記憶障害などの病態解明および治療法の開発につながるものと期待されるという。
2014年10月02日25の大学・研究機関で構成される「大学研究力強化ネットワーク」は9月3日、参加大学などの研究担当理事などが集う全体会議を開催し、これまで進めてきた研究力向上に向けたタスクフォースの概況などを話し合った。また、併せて、研究大学の課題、ネットワークの意義や役割についての記者向け説明会が行われた。同ネットワークは、日本の大学の研究力の向上によるイノベーションの加速や地域への貢献を実現するためには、一部のトップレベルの大学ではなく、科学技術の基盤を支える30程度の大学の研究群による全体の研究力の強化が不可欠という趣旨のもと、自然科学研究機構が世話役となって設立されたもので、参加研究機関が研究基盤を強固にすることを踏まえ、力を合わせて日本の研究力を高めていくことを責務とし、2014年3月5日に第1回の全体会議が開催されて以降、全体会議の下に運営委員会ならびに複数のテーマごとにタスクフォースを作り、運営を行ってきた。こうしたネットワークが形成された背景には、日本の大学に向けた研究開発資金の投資が諸外国に比べて低いということが挙げられる。特に対GDP比で見た場合の研究予算の伸びは海外に比べて低く、比率としては横ばい、ないしは若干の下降気味だが、その一方でアジア・太平洋地域、特に中国が急速に伸びており、アジア諸国が猛烈な勢いで研究・開発力を強化している。また、もう1つの指標として、論文数のシェアを見ると、直近では日本は以前の3位から5位に落としている一方、中国が2位に入ってきていることがあげられる。特に論文誌の格ともいえるインパクトファクターの値が高い論文誌への掲載数が相対的に低下しているという。こうした状況と、日本における研究資金の各大学や研究機関への配分比率はどうなっているかというと、トップクラスの大学などの比率が高く、トップである東京大学を100%とした場合、10位でその15%、20位になると6%とかなり低い額となる。では諸外国はどうか、というと、米国と英国を例にとると、10位では米国が36%、英国でも35%、20位になっても米国が26%、英国17%と、日本と傾斜配分に差が生じていることがわかる。ちなみに、米国はトップ研究機関が1400億円、英国が180億円、そして日本は220億円という金額であり、米国はともかく、予算規模が似通った英国であっても、英国の方がはるかに中堅層に手厚く配分が行われていることがある。この結果として、各大学の論文数シェアを見ると、トップ4の累計シェアの比率はほぼ英国と同じだが、それに次ぐ1%以上を占める大学の割合は日本が13、英国が27と、明らかに状況が異なっていることがわかる。こうした事実を踏まえ、日本全体として研究力を高めていくためには、ある程度の数の大学や研究機関が相応の支援を受ける必要性があるというのがネットワークとしての基本的な考え方となる。また、こうした提言などを行う組織的なものとして、RU11(学術研究懇談会)やURA(リサーチアドミニストレーター)ネットワークがあるが、同ネットワークでは、そうした既存のネットワークとの連携も今後、積極的に行い、大学・研究機関として、本当にどの程度の資金が何に必要なのか、といったことの情報共有などを図っていくとする。しかし、当然、大学や研究機関への資金の大半は税金であり、それを必要だから言い値で欲しい、というのは無理だということえ、行うべきところは共同して行うなど、相互の連携を強化していき、それでも必要となるところを行政に働きかけを行っていくための組織が同ネットワークということになる。同ネットワークでは、「決して国に予算をくれ、という話をするわけではなく、研究力を強化するために、何をするべきかということを問題として話し合う場。例えば、基盤的な光熱水料や消費税の増税、円高に伴う影響、そうした大学や研究機関で共通した問題などをシェアして、政策課題として掲げていくほか、若手の人材育成をどのように行っていくべきか、研究設備を効率よく整備するためにはどうするべきか、これについては、大型の研究設備を例え作ったとしても、その維持・運用にもランニングコストがかかるといった問題もある。そして個々の大学固有の問題などもあり、それらを具体的に話し合うのがこのネットワークという場の意義」とする。現在、同ネットワークにて動いているタスクフォースは以下の4つだという。国際連携国際情報発信キャリアパスコンプライアンス同ネットワークは、決して決定事項に強制力があるわけではなく、あくまで全体的なスキームなどを話し合う場であり、その内容を各研究機関ごとに持ち帰り、独自の運用に生かしていくというものとなっている。また、決して、現在のメンバーだけで運営を行っていく、というわけではなく、ネットワークが有用である、ということが見えてくれば、参加を表明する大学も増えてくると思っているとのことで、ネットワークとしては、そうした大学が増えることを期待したいとしている。なお、同ネットワークの会合に参加していた日本学術振興会の理事である渡邉淳平氏は、今回のネットワークについて「学術振興会は国側の組織だが、大学を中心とした研究の支援を行っている。日本は頭脳で勝負していく科学技術立国でなければいけない。そうした中で、研究力の中心となる大学という現場を見ていると、このままで大丈夫か、という心配があり、こうしたネットワークができ、それが研究力の強化に少しでもつながることになれば」と歓迎していることを表明。現時点での参加大学が22校にとどまったのは、文部科学省の予算の問題なとの兼ね合いがあったためだろうとし、「RU11はトップの大学たちが先駆けて活動してきた組織。しかし、それらトップの11大学だけで、日本の先進的な科学技術を支えきれるということは難しく、それを支えるための組織として、このネットワークが活動していってもらえれば」とした。また、「将来的には30大学、40大学とどこまで参加大学が増加するかは不明だが、日本の科学技術を支えるという自負を持った大学たちが、新たな取り組みを開始させたことは、科学技術立国を標榜する日本が人材の面を含め、今後のテクノロジー・サイエンスの分野にとってプラスに作用するはずだ。特に現在の日本は、研究費用、人、そして研究設備、すべての問題が山積となっている。しかし、そうしたインプット部分がいかに成果物である論文というものにつながるか、というのを目で見えるようにすることは難しく、そこを根本的に見直しことを世に問うのであれば、今、現状、こういう状況で、これがこのまま進めば、こうなっていく、ということをわかりやすく、広く世間に示す必要があり、それがひいては政策にもつながってくる。同ネットワークはそうした大学の実情というところに突っ込んだエビデンスを実態を示していってもらいたい。このままでは本当に大学が駄目になるという危惧を学術振興会で仕事をしながら思っており、こうした組織で、そういった具体的な活動をしてもらうことには大きな意義があると思っている」とし、今後の活動にエールを送っていた。
2014年09月26日日中、頭がぼーっとして仕事にならないということはありませんか?異常な眠気を伴うときは、脳疲労の可能性があります。この脳疲労の原因やメカニズムを知れば、自らの対策に役立てることができます。異常な眠気、頭がぼーっとする原因は?仕事中に襲われる異常な眠気。どう対処していますか?眠気がそれほど強くないときも、頭がぼーっとしてしまうことってありますよね。そんなとき、脳はある状態に陥っている可能性があります。それは、脳疲労。過剰なストレスが長時間続くと、脳の働きが低下するといわれているのです。この脳疲労の原因といわれているのがアンモニアです。脳は酷使し続けると、アンモニアが大量に発生し、脳にどんどんたまってしまうのだそうです。アンモニアは、脳を酷使するだけでなく、イライラすることによってもたまってしまうそう。アンモニアは体にとって毒です。それがどんどんたまっていくなんて、想像しただけで恐ろしいものですね。アンモニアでやる気が下がる!?脳にアンモニアがたまるとどうなるのでしょうか。本来、アンモニアは有毒なので、肝臓で無毒化されてから最終的には尿素として体外へ排出されます。しかし、大量発生した毒であるアンモニアに対して危険を察知した脳は、アンモニアをこれ以上増やさないために、脳を疲れさせることでやる気を低下させるのだそうです。なんだかぼーっとする、やる気が起きないというときはアンモニアがたまっているのかもしれないですね。また、血糖値が下がり、脳にエネルギーが足りないときにも脳疲労は起こります。その他、眠気や生あくびが多くなる場合は、酸欠状態が疑われます。脳疲労の対策は?脳疲労には色々な原因がありますが、中でもアンモニアがたまっていることが疑われる場合、どのような対策があるのでしょうか。アンモニアをグルタミンというものに変換して解毒してくれるのは、アミノ酸のグルタミン酸だといわれています。このグルタミン酸を供給するのが、BCAAと呼ばれる分岐鎖アミノ酸。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品に多く含まれているそうです。また、アンモニアが無毒化されて体外へ排出されるのを助けるアルギニンというアミノ酸も大事です。肉や魚、大豆製品などに多く含まれているので、意識的に摂取してみてください。また脳の機能を復活させるために必要な、エネルギーの源であるビタミンB群を補給するのも忘れずに。脳疲労が疑われる人は、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。Photo by UGL_UIUC
2014年09月21日(画像はプレスリリースより)体の恒常性を司る脳-肥満とやせの不思議を探る2014年9月8日、自然科学研究機構は2014年10月4日(土)に一般公開を開催することを明らかにした。その一環で、生理学研究所の箕越 靖彦教授が「体の恒常性を司る脳-肥満とやせの不思議を探る」と題して講演を行う。場所は岡崎コンファレンスセンター、時間は午前10時~10時45分。入場は無料、予約は不要。講演概要現代では世界中で肥満が問題となっている。肥満は、暴飲暴食を行うことによりその分だけ太るという訳ではない。逆に食事がとれない場合も、痩せすぎないように体が調節しているのだ。この体の調整は脳が重要な役割を果たしていることが明確になってきており、生活習慣によって脳に変化が起こり、肥満することも分かってきている。箕越教授の講演「肥満とやせにかかわる体の不思議」では、このような脳と体の関係を分かりやすく話す。箕越 靖彦教授の研究箕越 靖彦教授は「脳におけるエネルギー感受機構と食餌嗜好性調節機構の解明」と「視床下部腹内側核を介した摂食調節ホルモンの摂食・代謝調節作用とその統合機構」と題した科学研究費助成事業の研究代表者である。両研究とも2015年3月31日まで継続する予定。この事業は順調に進行しており、すでに視床下部は、摂食と末梢組織の代謝を統合的に調節することを発見し、論文投稿を行っている。また、マウス室傍核神経細胞に活性型AMPKを発現させると炭水化物食への嗜好性が亢進して過食となり、肥満することを見出し、論文投稿を行っている。【参考】・自然科学研究機構 生理学研究所プレスリリース
2014年09月12日「歴史は繰り返す」という言葉があるけれど、これは脳科学的にも証明されていること。「ヒトの脳には一定の刺激に対し、7年で飽きる」というクセがある。一方で、大衆と呼ばれる単位=「同時期に、同じような事象を見聞きし、味わい、触れる集団」がある。この7年の周期と同時期に同じ事象に触れる大衆連動(ブレインサイクル)を研究し、トレンドをドンピシャに予測し続けているのが脳科学者の黒川伊保子さん。今年からの流行予測をズバリ聞いてみました。(c)yo- - Fotolia.com人の脳は7年経つと飽きて気分を変え、それを8回繰り返すと元の感性に戻ります。つまり、56年軸で歴史が繰り返されるので、56年前に起こった社会現象をみながら、政治やビジネス、ファッションが来年、再来年どうなるかという予想を立てることもできます。政治で言えば、1953年、吉田茂首相がバカヤロー解散をし、翌年、民主党の鳩山一郎首相が「友愛政権」を掲げて総理に就任。その後短命政権が続いて、1955年に政界大編成が行なわれて自由民主党が誕生、ようやく1957年に岸信介首相が就任して、政治が安定しました。1953年のちょうど56年後、吉田茂首相の孫の麻生太郎首相がバカみたい解散をし、ほどなく鳩山一郎首相の孫の鳩山由紀夫氏が「友愛政権」を掲げて、民主党が第一党に。その後短命政権が続いて、1955年の56年後=2011年には東日本断震災後の失態によって民主党が自滅、結局自民党の安定政権に戻りました。1957年の56年後の2013年には、岸信介首相の孫の安倍晋三首相が就任、政治経済が安定傾向に入りました。56年前と、非常によく似ていますね。そして、1956年に東京タワーが出来て、人々は空を見上げました。1958年6月には、岩戸景気と言われた長い好景気期に入りました。55年後、東京スカイツリーが誕生、今年は大阪にはあべのハルカスが、東京には虎門ヒルズがオープン。人々は空を見上げました。岩戸景気開始のちょうど56年目に当たる2014年6月は、消費税で一度落ち込んだ消費が再び活性化し、長い好景気に入ったことが予感されます。また、1957年は長嶋茂雄監督が巨人軍にデビューした年。そして今年は、人が伝説になりやすい周期にあります。112年前もシャネルが孤高で世の中に登場し、毅然と逆風を受け伝説になりました。ちょっと前までは「人を癒したい」という社会起業家が多かったのですが、これからはもっともっと上をめざし、「本物」に踏み込んで行った企業が勝ちます。値段が安く、インターネットで広くではなく、高くても本当にいいものが売れるようになるのです。ファッションは、1959年にスッキリとしたシルエットのシャネルスーツをケネディ夫人や世界中のセレブが着て大流行。今年は、長いこと続いてきたセクシーグラマラス系の息の根が止まり、エレガントで上質なファッションへ移行していきます。モノトーン系も流行りそうな予感がしますね。ユニクロやZARA、H&Mなどファストファッションの人気はそのままに、値段が高くても質のいいもの選ぶ消費者が増えるでしょう。メイクはつけまつ毛で盛って目を大きく見せるよりも、アイラインでもともとの目元を引き締めて、美しく見せる傾向にきています。また、世の中は弱いものを守り、頼りがいのあるヒーローがもてはやされる時代に入ります。覚悟と凛々しさ、そして使命感があるということに、人々は心踊らされるのです。モテる男子の傾向も、小柄でカワイイ、ジャニーズ系の草食男子よりも、しっかりとした男らしいタイプが人気に。1957年は石原裕次郎さんがデビューした年。56年後の去年NHKの朝の連ドラ「ごちそうさん」のヒロインの夫役で話題をさらった東出昌弘さんは、190センチの長身。骨格のしっかりした顔は、石原裕次郎のデビュー当時の顔にそっくりです。ちなみに、今期のNHKの朝の連ドラ「花子とアン」で、ヒロインの夫役として人気急上昇中の鈴木亮平さんも、187センチの長身に、しっかりしたお顔。ここ1~2年で、モテ男子傾向は大きく変わってきているのです。56年前の周期には、「小さな恋の物語」という長身男子と小柄な女性の恋物語がベストセラーになりました。ごつい男子、よかったね!「孤高である」ことがテーマになるので、24時間SNSで自分のランチの情報なんか垂れ流してたらだめ! それは女子も一緒で、仲間でたまって女子会をするよりも、ひとりで行動できる「おひとりさま」になりましょう。孤高になり、高嶺の花になり、周りに敵をつくり、バッシングに耐えるほうが周りの好感度は上がります。ひとり旅をして、自分を孤独な環境に置いてみることもおすすめです。 特集:黒川伊保子が教える、幸せを呼ぶ脳のつかい方 毎週金曜更新
2014年07月18日早稲田大学(早大)は7月17日、ウズラを用いた研究から、異性を見た際、脳内で性ホルモンの分泌が変化する新たな神経機構を発見したと発表した。ヒトを含めた哺乳類でも同じ仕組みが存在することが考えられ、一目惚れの際の神経機構の解明につながることが期待されるとしている。同成果は、同大教育・総合科学学術院/先端生命医科学センター(TWIns)の筒井和義 教授および戸張靖子研究助手らによるもの。詳細は米国神経科学会誌「Journal of Neuroscience」に掲載された。動物が、群れからはぐれて一匹になった時やつがいを形成するといった社会環境が変化すると、その行動や生殖腺からの性ホルモンの分泌が変化することがこれまでの研究から報告されており、ヒトも社会的な情報により行動や生理状態が瞬時に変化することが知られている。異性と同性の前では態度や行動が異なっていたり、素敵だと思う異性を前にすると、性ホルモンの分泌が変化することなどがよく言われるところだが、こうした社会環境の違いが、脳にどのような変化をもたらして行動や生理状態を変化させるのかについてはよくわかっていなかった。そこで研究グループでは、こうした瞬時に動物の性ホルモン分泌が変化する仕組みの解明を目指して、日本ウズラを解析モデルとして実験を実施したという。日本ウズラは、オスがメスを視覚的に認知すると数秒後に交尾するという瞬時の行動変化を示すことが知られており、実験では、1匹だけの状態のオス、透明プラスチックの壁越しにオス、またはメスとお見合いしたオスの脳における「生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)」と「生殖腺刺激ホルモン放出抑制ホルモン(GnIH)」の変化を調査。この結果、メスを見た際にはGnIHだけが増加していることを突き止めたほか、メスとお見合いをしたオスの血中の生殖腺刺激ホルモン濃度が低下していることも突き止めたとする。また、その際の脳内の仕組みを調べたところ、オスの脳では、メスを見ると、GnIHをつくる神経細胞(GnIHニューロン)が存在する脳の場所で、一過的に注意や覚醒に重要な神経伝達物質である「ノルエピネフリン」の放出が増えることが確認されたほか、ノルエピネフリンをオスのウズラの脳に投与すると、GnIHの放出が増えること、ならびに血中の生殖腺刺激ホルモン濃度が低下し、男性ホルモン(テストステロン)の血中濃度が低下することが確認されたとする。今回の結果を受けて研究グループでは、ノルエピネフリンとGnIHは人間をはじめとする多くの動物に共通して存在している物質であり、ヒトを含めた哺乳類でも同じ仕組みが存在することが考えられるとコメント。今後の一目惚れをするときの神経機構や分子メカニズムの解明につながることが期待されるとしている。
2014年07月17日大阪大学(阪大)は、脳マラリアの新たな診断と治療のターゲットを発見したと発表した。同成果は、同大免疫学フロンティア研究センター(IFReC)マラリア免疫学研究室のCevayir Coban准教授らによるもの。詳細は「Cell Host & Microbe」に掲載された。脳マラリアはマラリアの中でも致命的な合併症であり、血液脳関門(BBB)に破壊、脳の免疫異常に起因して生じると考えられているが、症状が起こる前の最初の現象はわかっておらず、早期診断が困難なため、早期の迅速かつ安価な診断法の確立が求められていた。今回の研究では、11.7TのMRIおよび多光子顕微鏡法(2光子)を組み合わせることで、脳マラリアにおける脳の組織内で起こるマラリア原虫と免疫細胞の攻防の可視化に挑んだ。具体的には、マウスマラリアのモデルを用いて、マラリア感染後の脳全体をMRIで撮影し、その変化を解析。その結果、嗅覚を司るといわれる「嗅球」に、今まで観察されなかった微細な点状の変化が5~6日目に生じることを確認したという。さらに2光子顕微鏡を用いてマラリア原虫や免疫細胞の観察を行ったところ、嗅球の微細な血管をマラリア原虫が走り回り、いくつかのマラリア原虫が血管にとどまるような様子が観察されたほか、同じ部位で免疫細胞、特にT細胞の存在も確認すると同時に血管が破れて出血する瞬間を撮影することに成功したという。この結果について研究チームでは、これまでの考え方を覆す成果であることから、さらなる研究として、嗅球において機能的に障害を受ける状態を定量的に計測する診断法であるburied food testを行って計測したところ、感染赤血球移入後3~4日目に、明らかな嗅覚異常を確認したとのことで、この結果から、嗅覚の簡単なテストを行うことにより、脳マラリアの早期診断の可能性が示されたと説明している。
2014年05月16日20代後半から30代。仕事も軌道に乗ってきて、ある程度自信もある。その分、責任が重くのしかかったり、イヤな上司にイライラし、要領のいい同僚に嫉妬もしたりして…、ストレスも半端なく溜まっている。そんな働く女性たちに対して、脳科学者の黒川伊保子先生が提案するのが「無邪気な脳」のススメ。「無邪気というのは、好奇心と素直さ。損得勘定なしに、他人の気持ちを自分の気持ちのように思えることです。それができると、右脳と左脳の連携が良くなり、まなざしが深くなる。すなわち相手にもそれが伝わり、会う人会う人を夢中にさせ、話術や戦略よりも強い力を持ちます。ただし、今の40代以下の女性は「本当の無邪気さ」を押し殺して生きている女性が多いのです。現代のように女性活躍が期待されている社会では、ことさら「女性ならでは」の発想や振る舞いを喜ばれる傾向にあります。別に自分が好きでもないのに「ふわふわピンク」を使わざるを得なくなったり、「女性に優しいサービス」を提案しなければならなかったりする。たとえば、車に化粧直しミラーなんかつけちゃったりすると、男性たちは「やっぱり女性目線じゃないと」と感心したりして、「女性活用」の初期モデルができあがってしまったからです。そのため、男性たちが期待する「女性ならでは」に応えざるを得ない立場に追い詰められている若い女性たちを、私は何百人も見てきました。彼女たちは、けっして幸せそうには見えません。でも、よかれと思って、好意で期待していることなので、男性側には罪の意識はいっさいありません。女性の側が、バカバカしい「女性ならでは」を脱ぎ捨てなければならないのに、若い女性には、その気づきもない。それはね、母親の期待に答えようとするクセがついているから。大人になっても、社会の期待通り「いい子ちゃん」になろうとしすぎていて、それが無邪気さの邪魔をしているのです。そして、自分の本当の気持ちさえも分からなくなり、それが、ストレスとして蓄積されている。危険なのは、ストレスが溜まると脳の使い慣れている回路だけを漫然と使うようになるので、思い込みが激しくなったり、過去の呪縛にとらわれやすくなること。すると、自分が知っている以前起きた事象でしか物事を判断することができないので、新しい視野で考えが浮かばなくなります。頭が良くて美人や、器用な人ほど抜け出せないのですが、まずは自分の中にある不快、嫌という違和感を自覚しましょう。「それ、違うと思います」とハッキリ言えることが無邪気さなのです。それから自尊心を立てるのも大切なこと。自尊心というのは、周りにどう言われようと、どう思われようと自分の信念を守ることです。世界中でミニスカートがブームになり始めたころ、ココ・シャネルは頑と「大人の女性は膝を見せないのがエレガント」と、膝下丈のスカートを提唱してきました。1959年、テレビのインタビューで彼女はこう答えています。「膝? あんなものを見せるなんて、気がしれない。大人の膝は汚いわ。誰もが19歳でいられるわけじゃない。けれど、本当のエレガンスは40過ぎてからわかるもの。私は、本当のエレガンスがわかる大人の女性のために闘い、守るの」と。時代遅れと言われようと、シャネルは生涯膝下丈を守り抜き、ノーカラージャケット&ひざ下丈タイトスカートのシャネルスーツは、その後世界中でブームになりました。1963年、ダラスのあの事件のとき、ケネディ大統領夫人ジャクリーヌさんが着ていたのも膝丈のシャネルスーツでした。シャネルにはゆるがぬ自尊心があったのですが、その自尊心は「これは不快、許せない」という明確なセンスがあったからこそ生まれました。自尊心を立てるには、自分が不快に思う事がきちんと見えていなければなりません。いい子ちゃん症候群を抜け出し、自分にしか出来ない仕事を確立するには、まずは「これは不快」を自覚すること。そこから始めてみてください。最後に、「相手が自分の言う事を聞いてくれない」という多くの女性が感じるストレスについてアドバイスを。あるセミナーで、上司との関係に悩む女性がいました。「私は経理部に書類を持って行く担当なのですが、17日に提出しなければいけない書類を、部長は19日にしか持ってこない。私のことを軽んじています。こんな会社、辞めたいんです」それは、部長が経理部のデッドポイントが23日だと知っているからかもしれません。だから、遅く提出するのかもしれないけれど、彼女の事前のアラームについて彼はありがたがっているはずなのです。自分がないがしろにされていると思い込むのは女性の悪いクセ。本当は部長から「いつも事前に知らせてくれてありがとう」と言うべきですが、忙しい上司に感謝の言葉や言い訳を期待してもムダ。彼女は彼女の役割をきちんと果たしているのだから、それでいいんです。余計なストレスを貯めないためには、人に言うことを聞かせようとしたり、自分も人の思い通りに動くことをやめることなのです。 特集:黒川伊保子が教える、幸せを呼ぶ脳のつかい方 毎週金曜更新
2014年03月28日DHA(ドコサヘキサエン酸)は、生活習慣病予防や脳の活性化、知能の発達などに貢献することで知られている。このほど、英オックスフォード大学の最新の臨床研究により、藻由来のDHAを多く食べると、学校成績の標準以下である児童の読解力に向上がみられたことが発表された。12月13日、本研究の臨床試験の主任研究員を務めたポール・モントゴメリー博士が来日し、研究説明会が開催された。ポール・モントゴメリー博士によると、藻類や魚介類に多く含まれているDHAは、最適な細胞信号伝達に不可欠な細胞膜の流動性を高める働きがあるという。脳の発達に良いと認識されている理由として、DHAは脳の乾燥質量の6~10%を占めており、脳の成長や接続性に影響を与えることが挙げられている。また、DHAの欠乏によって視覚処理の初期段階における脳膜の信号が1,000倍以下に低下することがあり、暗視力の低下やその他の視覚、空間注意力関連の処理問題につながるという。今までのDHAに関する研究では、発達性協調運動障害を有する児童にDHAを多く食べさせると、行動・態度に緩和がみられ、読解力も向上するという結果が発表されていた。同大学が2009~2010年にかけて行った本研究は、普通学校に在籍し、読解力が標準以下の児童(読解力が33パーセンタイル以下の7~9歳児)を対象にして行った。対象児は英語を母語とする362人で、1週間に魚介類を2回以上食べていないことも条件としていた。試験期間は16週間で、固定用量600mgのDHA(藻由来)、500mgカプセル(1カプセルにつき、DHA200mgを含有)を1日3カプセルを180人に与えた。また比較研究として、プラセボ(偽薬)も同様に、1日3カプセルの投与を182人に行った。臨床試験の結果は、集団全体ではプラセボを上回るDHAの効果は十分にみられなかったが、読解能力の低い児童(20パーセンタイル以下)では有意な読解力改善が、最も読解力の低い児童(10パーセンタイル以下)ではさらに顕著な改善がみられたという。ただし、行動・態度に関しては、ともに正常範囲内(向上の余地が少ない)という結果となった。DHAを多く含む食物には、藻類の他に魚介類がある。本研究では藻由来のDHAを用いたが、魚介由来のDHAでも同様の結果が得られるだろうとポール・モントゴメリー博士は推測している。また、英国の児童に比べ、日本の児童は比較的魚介類を多く食べていると言えるだろうが、日本の児童においても、同様の結果が見込めるだろうとコメントした。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月17日教育ソフトや高齢者向け能力開発コンテンツの企画・開発などを行うレデックスは10月15日、病院や就労支援施設のための認知リハビリ・ツール「高次脳機能バランサーPro」を発売する。同製品は、認知機能リハビリに多数の実績ある手法「神経心理循環」(高次脳機能を高めるため、身体全体としてアプローチする全人的リハビリテーションの在り方を表したもの)に基づき開発。国立成育医療研究センター・リハビリテーション科医長の橋本圭司医師の「脳機能を多角的にトレーニングする」という手法をパソコン・プログラムに置き換えている。プログラムは、「視覚探索課題」(数字やアルファベットなどが書かれたスイッチを、指示された順番でクリックしていくプログラム)や「キャンセレーション課題」(指示された文字を、漏れが無いよう正確に素早くクリックしていくプログラム)といった、専門医が行う認知テストを含む29のプログラムを用意。基本3種や標準7種、側面別リハビリ・メニューなど、一人ひとりの状態や好みに合わせてゲーム感覚で取り組め、「見当識」(時間や場所を正しく認識する能力)、「抑制力」、「注意力」、「情報獲得力」、「記憶力」、「遂行能力」、「空間認知力」の7つの側面から脳機能を総合的に改善するという。また、48名までの個人データの自動保存や、個人ごとのパスワードの設定も可能。最新30日分の認知機能データは、プリンターで印刷することができる。希望小売価格は、「高次脳機能バランサーPro」(20インチ高機能Windows7 タッチパネル機インストールモデル)が、198,030円、「高次脳機能バランサーPro ソフト」(CD-R 簡易パッケージ)が97,965円となっている。なお、販売は、同社Webサイトのほか、全国販売網を持つダイワボウ情報システムにて。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月15日「思考のくせなどから、脳には大きく分けてそれぞれ7つのタイプがあります」というのは、脳科学者の塩田久嗣先生。先生の考案した診断方法では、すぐにそれが分かるのだとか。今回は、そんな脳タイプ診断テストをご紹介しましょう。■無意識に選んだものがあなたの姿を物語るイラストの景色の中で、あなたは、どの場所にいたいと思いますか?次の中から、最も近いものを選んでください。(1)ヘリコプターで、上空から地上を眺めている(2)自転車で一生懸命山を登っている(3)車の助手席に乗り山を登っている(4)自転車に乗り猛スピードで山を下っている(5)車を運転して山を下っている(6)モーターボートに乗り湖を横切っている(7)カップルで景色を眺めながらベンチに座っているこうした診断を行う時には深層心理が働き、自分の普段の習慣や、本当の姿に近いものが表れるそうです。では、続いて先生に解説をお願いします!●「ヘリコプターで上空から地上を眺めている」を選んだ人は『サバサバ脳』「ヘリコプターから地上を見下ろすように、物事を客観的にとらえようとする人。論理的思考や言語中枢をつかさどる、左脳の働きが優位です。夢中で何かを好きになったり、われを失ったりすることは少ないでしょう。理系の技術者などに多いタイプです」●「自転車で一生懸命山を登っている」を選んだ人は『コツコツ脳』「自転車でゆっくりと山を登っていくように、何事も一歩一歩確実に成し遂げていくのを好むタイプです。興味のあることなら、一定の集中力を長い期間持続させることができるのが特長です」●「車の助手席に乗り山を登っている」を選んだ人は『ニコニコ脳』「精神を安定させる脳内物質セロトニンが脳を支配するタイプで、温厚な平和主義者。また、助手席を選んだということは、人への依存心の表れでもあります。恋愛や仕事などでも、受け身の態度が多いでしょう」●「自転車に乗り猛スピードで山を下っている」を選んだ人は『キョロキョロ脳』「ドーパミンが脳内で多く分泌されてやる気に満ちあふれ、好奇心旺盛な人。自転車で猛スピードを出すところからも分かるように、スリルを求める傾向もあります。アメリカなど、移民の子孫や移民が多い国にはこのタイプが多いようです」●「車を運転して山を下っている」を選んだ人は『イケイケ脳』「ノルアドレナリンが分泌されやすい興奮型で、感情の起伏が激しい人が多い人。自分で運転したいというのは、自己主張の表れでもあります。何事にも積極的で、相手を自分色に染めようとします。経営者、特に、自ら起業して社長になった人はこのタイプが多いようです」●「モーターボートに乗り湖を横切っている」を選んだ人は『スイスイ脳』「大脳新皮質と扁桃(へんとう)体の作用で、応用力や適応能力が発達したタイプ。モーターボートでスイスイと進むように、世渡り上手な一面もあります。どんな人・環境でもうまくやっていけますが、八方美人なところも」●「カップルで景色を眺めながらベンチに座っている」を選んだ人は『ウルウル脳』「最もロマンチックなシチュエーションを選んだこのタイプは、繊細で感受性の強い人と言えます。感情を支配する大脳辺縁系の働きが活発です。恋に恋をしたりするような、妄想型でもあります」――私は2つで悩んだのですが、こういう場合は?「そういう人は、最終的に選んだものがメインの傾向で、迷った選択肢も傾向としてあると考えてください。より細かい診断では、ニコニコ脳×コツコツ脳など、2つ以上の傾向が出る人もいます。例えば、アスリートでは負けん気の強いイケイケ脳が多いですが、コツコツ脳の要素も持っている人は多いです」――お国柄が出るのも面白いですね。「日本人に最も多いのはニコニコ脳ですが、近年は主体的な人も増えてきたのか、このタイプはやや減少傾向です。次に多いのはコツコツ脳で、この2つが日本人のツートップ。そのほかはほぼ同じくらいですが、多少、イケイケ脳が増加傾向です」――ちなみに、タイプごとの相性ってありますか?「基本的には、お互いに無い部分を補うということで、正反対のタイプ同士だと相性がいいですね。イケイケ脳ならニコニコ脳、キョロキョロ脳ならコツコツ脳、ウルウル脳はサバサバ脳と相性がいいです。スイスイ脳は、どのタイプとも特に問題なくやっていけるでしょう」――私は『スイスイ脳』でしたが、八方美人なんですかね……。「八方美人というと言葉が悪いですが、環境に溶け込みやすい人ということです。一人旅が好きではありませんか?」――たしかに、海外でも一人で平気ですし、引っ越しで旅先でも、どこでもすぐに気に入って、ここで一生暮らしたい!なんて言ってます(笑)「それは、典型的なスイスイ脳ですよ。意外な結果が出ても、やっぱりそれを選んだということはそういう傾向があるのだと思います」――先生、ありがとうございました。皆さんも、ぜひ試してみてください!(取材・文/島田彩子)塩田久嗣(しおた・ひさし)1962年生まれ、脳科学者。ブレインサイエンス・ラボラトリー所長。京都大学卒業後、脳や心の研究に従事し、それまでの脳科学の常識を覆す「感情量」という独自の概念を提唱している。人気携帯サイト『男子脳×女子脳』の企画・監修をはじめ、執筆活動やテレビ、ラジオ出演も多数。おもな著書に、『99.9%成功する脳の使い方』(中経出版)、『"成功脳"の秘密がわかった!「扁桃(へんとう)体パワー」が幸せを引き寄せる』(徳間書店)など。
2012年08月05日別に食べ過ぎているわけでもないのにやせられない…そんな時って考え事が多いときだったりしませんか?実は脳の疲労とダイエットが関係しているらしいのです。脳疲労というのは、自分の中にある理性や感情、本能がバラバラの方向を向いてしまって統率がとれず、バランスを崩してしまっている状態。例えば、「明日までにこの仕事をしなければならない」という司令が、脳に伝わってきたとしましょう。理性をつかさどる左脳では、「遊びをやめて、休まないで仕事をする」という判断を下します。左脳は、その情報を食欲中枢や自律神経中枢のある間脳にも伝えます。一方、同じ情報は本能や情動をつかさどる大脳旧皮質にも伝わっていきます。もしかしたら本能は疲れきっているので休みたい、あるいは眠りたいと感じているかもしれない。すると、大脳旧皮質からの情報も同じく間脳に伝わっていくので、間脳にはまったく異なる情報がバラバラに届いてしまうのです。仕事をするという意志の強さ、眠ろうとする本能の強さ、どちらもが過剰に間脳を刺激すると、間脳は統制がとれなくなり、食欲中枢や自律神経中枢に混乱したままの情報を送ることになり、心身のバランスを崩してしまいます。脳のなかで起こるこうした混乱の状態を脳疲労と言います。脳疲労が起こると、脳のプログラミングが乱れ、五感に狂いが生じやすくなると言われています。五感とは視覚、聴覚、嗅覚(きゅうかく)、味覚、触覚。今まで10の甘さで十分に甘いと感じていたものが、20の甘さを摂(と)らないと同じように感じないという具合。感覚が鈍くなると、体を動かすこともおっくうになりはじめてしまうものなのです。脳疲労を解消していくには、少しずつでも自分への抑圧から解放してあげること。ダメとか禁止というフレーズを一時的に引っ込め、好き、やってみたいというフレーズを大切にしてあげるようにしましょう。脳疲労を起こしやすいのは、至ってまじめな人。他人に言われたことを忠実に守るような人。一日3食食べなくちゃいけないと思い込み、欲しくなくても無理して食べる人も、脳疲労を起こしやすい傾向にあります。脳疲労を癒やすには、本当におなかがすくまで何も食べない。おなかがすいたら何時だろうと食べる。自分の味覚がおいしいと感じるものを満足するまで食べる。こんな、一見不健康に思える食習慣も、脳疲労を回復させるには必要なステップであることがあるのです。脳疲労が解消に向かえば、ひとは心身のバランスを取り戻し、偏った食事や食べ過ぎなど体が本来求めないことは自然と減ってくるものです。ただし、肥満の原因がすべて脳疲労だと思い込むのは危険です。食べ過ぎてもないし、運動不足というわけでもないなら、何らかの病気や精神的障害の場合もあります。気になる人は専門医に相談を仰ぎましょう。(ビューティ&ダイエット編集部)
2012年08月04日菌やカビについて調査研究している衛生微生物研究センターは、生活者の多くが菌の増殖やニオイを気にしている「食卓やキッチンの台ふきん」について、雑菌の繁殖状態や菌の拭き取りに関する実態調査を行った。一般家庭13件の台ふきんを回収し、付着している雑菌の数を測定したところ、すべての台ふきんから大量の雑菌を検出した。約8割の台ふきんが10cm平方当たり1,000万個以上の雑菌で汚染されており、もっとも雑菌数が多かったものは、1cm四方になんと2億8,000万もの雑菌が付着していた。これらの台ふきんで食卓を普段通りに水拭きし、その直後の食卓表面上の菌数を調べたところ、水拭き後も約9割の食卓が雑菌まみれだった。しかも、約7割の水拭き後の食卓からは「水拭き前を上回る雑菌」を検出。水拭きだけでは菌を除去して清潔にできないばかりか、台ふきんで増殖した菌を塗り広げるだけだということが分かった。また、調理器具や野菜などをじかに置く調理台を調べたところ、半数の家庭の調理台が、水拭き前から100万個以上の雑菌で汚染されていた。さらに、9割の家庭は、水拭き後も雑菌が減少せず、3例は水拭き前より雑菌が多かった。昨年の調査では、食卓上が食中毒菌で汚染された状況でも、市販のアルコール除菌剤をしみ込ませた台ふきんで拭くだけで、ほぼ0の状態まで菌を除去することが確認されている。アルコールは、大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌のような食中毒菌に対して短時間で殺菌力を発揮するためと考えられる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年06月05日大好きなパートナーでも、「なんで?」とイラッとすること、ありますよね。それは、男性、もしくは女性ならではの脳の働きのせいかもしれません。男子脳・女子脳の違いを知っておけば、「なんてヒドイ人なの!」「どうしてこうなるんだ!」と怒りを爆発させる前に、仲直りすることができるかも?男女がお互いに「イラッ」としてしまうポイントとその理由を、脳科学者の塩田久嗣先生にお聞きしました。■人間は、理解できないことにイラッとする――先生、男女のすれ違いやイラッとしてしまうことって、どうして起こるのでしょう。怒りを感じる、イラッとしてしまうという感情は、「自分が理解できないもの」に対して起こります。もちろん個人差はありますが、一般的な傾向として、男性的な脳・女性的な脳というタイプがあり、それぞれ違う特徴があります。それぞれの脳の特徴を知っておけば、イライラすることも減るのではないでしょうか。男女の脳の最大の違いは、左脳と右脳をつなぐ脳梁(のうりょう)の大きさ。一般的に女性の脳は脳梁(のうりょう)が大きく発達しており、言語中枢間の連絡がスムーズに行えると言われています。大まかに言えば、左右の脳をバランスよく使って「情報をつなげて整理する」とか、「全体から細かいことに気づく」ことに長(た)けているのが女性。それに比べ、脳を部分的に使うことに長(た)けており、論理的なのが男性の脳と言えます。■女性がイラッとする場合――そのような違いによって、起こりがちな問題とは?女性が男性に対してイラッとする場合、最もよくあるのが「男は鈍感である」という部分。女性の脳は、細かいことを明確に記憶するのが得意なので、記念日や告白されたシチュエーションなどまでしっかり覚えていて、男性が覚えていないと落胆してしまいます。また、髪型を変えたりかわいいネイルをしたときに、男性が気づいてくれずガッカリするなどもありがちですね。女性は、相手の表情を読むのも上手です。ですので、男性が何か言い訳したりうそをついたりすると、すぐにピンときてしまう。男性からすると、「細かいことを説明するのが面倒」とか、「本当のことを言って波風を立てるよりも……」と、特に悪気なくうそをつくこともあると思いますが、女性からしたらバレバレ。「なんで見え透いたうそをつくの?」と、ケンカのもとになってしまいます。また、別々の情報をつなげて考えたり、一つの事象から連想することが得意なのも女性の脳の特徴。例えば、たまたま男性が忙しくて素っ気ないメールを送ったら、女性は「私のこと、もう好きじゃないのかな」などと心配したりすることもあります。■男性がイラッとする場合――身に覚えがあることばかりです……。では逆に、男性が女性に対してイライラするポイントとは?男性の脳の大きな特徴として、論理的で一つ一つ計画するのが得意というものがあります。ですから、せっかく計画したのにその通りにいかないと、イラッとするでしょう。例えばデートで、男性があらかじめプランを考えていたとします。ところが女性が、「あそこも見たい」「こっちも行きたい」と気ままに行動したりするとイライラしてしまいます。――女性からしたら、「仕事じゃないんだし、楽しめばいいじゃない」と思いますが、違うんですね……。女性は男性と比べて環境適応能力が高く、感情の変化も早いと言われています。子供を産み育てるにはストレスは大敵ですから、ストレスをためこまないよう、その時その時の状況に応じて、自分の気持ちを変化させるんですね。男性が女性に対して、「機嫌がコロコロ変わって困る」とか「すぐに話が飛んでついていけない」と感じるのも、こうしたところに原因があります。また、男性は脳を部分的に使うのが得意なので、物事にこだわりやすい性質があります。ほかはどうでもいいけど自分が興味を持ったことには一直線というような、いわゆる「オタク」タイプですね。自分の趣味やこだわりをパートナーの女性が理解してくれないと、大きなストレスになるでしょう。女性からしたら、「このことにはまるで無頓着なのに、なんでここだけ細かいの?」と思うかもしれませんが……。――「男はダメ」、「女は分かっていない」などと思わず、それぞれの長所が違うことを知っておきたいですね。(取材/スタープレス)●塩田久嗣先生プロフィール1962年生まれ、脳科学者。ブレインサイエンス・ラボラトリー所長。京都大学卒業後、脳や心の研究に従事し、それまでの脳科学の常識を覆す「感情量」という独自の概念を提唱している。人気携帯サイト『男子脳×女子脳』の企画・監修をはじめ、執筆活動やTV出演も多数。おもな著書に、『99.9%成功する脳の使い方』(中経出版)、『"成功脳"の秘密がわかった!「扁桃体パワー」が幸せを引き寄せる』(徳間書店)など。【関連リンク】【コラム】 終わった恋に執着する人と、しない人の違いは?【コラム】 「一目ぼれ」は信用できる?恋愛を科学的に分析【コラム】 「恋人と別れたあとに初めて気づく」のはなぜ?
2011年07月28日高齢者福祉の研究助成日本興亜損害保険株式会社は4日、同社が1991年に設立した財団法人「日本興亜福祉財団」が行っている、高齢者福祉の研究助成事業の成果を冊子としてまとめ、発行したことを公表した。今回発行されるのは非売品の『ジェロントロジー研究報告 No.9』(B5判、149ページ)と題されるもので、2008年5月下旬から7月にかけて、全国の大学や研究所、高齢者福祉施設の現場関係者などを対象として行われた助成と、そのおよそ1年にわたる研究の結果がおさめられている。助成への応募は全部で51件あり、助成件数は16件。助成の総額は793万円で、平均助成金額は49万円であった。研究は共同のものが7件、個人研究が8件。※画像はイメージ身近で切実なテーマ個別の研究を見ると、目をひくものに富山福祉短期大学看護学科に所属する荒木晴美氏の共同研究「在宅療養者を介護している人の自分自身の終末期への思いへの影響」という切実なものがある。また山梨大学教育人間科学部に所属の岡林春雄氏による個人研究「認知症高齢者は、若者との関わりによってどのように変容するのか」など、全体的にきわめて興味深いテーマが並んだ。本格的な高齢化社会の中、誰もが身近に存在する問題への研究助成事業と言えるだろう。
2010年11月06日