日本商工会議所は12月28日、「2015年度の所定内賃金の動向」の結果を発表した。期間は12月11日~17日。対象は企業3,153社。○半数以上の企業が「賃金の引き上げ」を実施2015年度の所定内賃金の動向をみると、最多は「賃金の引き上げを実施」(55.6%)。前回の9月調査からは4.3pt減少した。以降、「賃金の引き上げを見送る」が23.6%、(9.1pt減)、「現時点では未定」が20.8%(13.4pt増)と続いた。「賃金の引き上げを実施」企業の業界別に割合をみると、「製造業」が63.0%で最多だった。次いで、「建設業」(60.4%)、「卸売業」(59.1%)となった。賃金の引き上げを実施した企業に対して、「賃金引上げの内容」を質問したところ、79.3%が「定期昇給」だった。以降、「ベースアップ」(31.8%)、「手当ての新設・増額」(10.1%)と続いた。2015年度の冬の一時金の動向は、「同水準」(62.6%)が最多に。次いで、「増額」(24.6%)、「減額」(12.8%)となった。
2016年01月06日国際半導体製造装置材料協会(SEMI)は12月15日、2015年末の半導体製造装置市場予測を発表した。それによると、2015年の半導体製造装置(新品)販売額は、前年比0.6%減となる373億ドルという予測となった。また、2016年は若干のプラス成長で1.4%増となる見込みだという。具体的には、半導体製造装置の中で、金額では最大のセグメントとなるウェハプロセス処理装置市場は、2015年は0.7%増の295億ドルに成長すると予測されたほか、ファブ設備、マスク/レチクル、ウェハ製造装置を含む「その他の前工程装置」は、20.6%増が見込まれるとしている。ただし、組み立ておよびパッケージング装置市場は16.4%減の26億ドル、テスト装置は7.4%減の33億ドルと、後工程関連はマイナス成長になるとの見方がなされている。一方、地域別で見た場合、台湾、韓国、北米の3地域が最大市場となるものの、日本における投資額も北米市場とほぼ肩を並べるまでに拡大するという予測となっている。また、欧州市場については、2015年に前年比13%減となるも、2016年はGLOBALFOUNDRIES、Infineon、Intel、STMicroelectronicsがファブの装置支出を増加させることが予測されることから、2016年には前年比63.1%増の34億ドルへと成長することが見込まれるとしている。なお、2016年の日本、韓国、台湾の装置市場は、いずれも縮小することが予測されている。
2015年12月16日クオリカは11月30日、製造業向けクラウド型生産管理システム「ATOMS QUBE」をバージョンアップし、同日よりサービスを開始することを発表した。「ATOMS QUBE」は受注出荷管理・生産計画・資材所要量計画・購買管理・工程管理・在庫管理など、生産管理システムに必要な機能を包括的にカバーしているクラウド型生産管理システムとなる。今回追加された「WEB購買」では、現状使用している生産管理システムから自動もしくは半自動で注文書や内示書を送信し、仕入れ先にてATOMS QUBE(クラウド)で受領を可能とする。加えて、「WEB購買」では、各仕入れ先へ配信する注文書などを一括送信、配信後の送信や受け取り状態の履歴確認、クラウドサービスで手軽に利用可能、イーパーセル社のサービスを採用することで伝送経路にファイルを残さず、プッシュ型によるデータ送信を実装などが可能となっている。同システムには、正確な出荷と営業所在庫の把握、適正発注によりキャッシュフロー改善、そのほかに得意先指定のサプライヤへの発注、単価管理が可能な機能などが搭載されている。そのほか、製品ロゴの刷新、ユーザーごとに設定できるマイメニュー対応、品目マスタ登録を簡易で設定できる機能を新設、顧客内示情報、顧客注文情報を一画面で見えるよう改善、支給機能の強化(支給先の在庫調整)などが行われた。
2015年12月02日●いかにインテリジェントを持たせ高効率に半導体を生産するのか?次世代半導体生産向け製造装置および製造プロセスの自動制御(Advoaced Equipment Control/Advanced Process Control)に関する国際シンポジウム「AEC/APC Symposium Asia 2015」が、「インダストリー4.0時代の境界なき交流の場」というテ―マの下、開催された(図1)。主催は、半導体製造のノウハウをサイエンスに高めてScientific Manufacturing(科学的製造)をめざす半導体製造国際シンポジウム(ISSM)実行組織体で、AEC/APCシンポジウムは、ISSMの姉妹会議の位置付けとなっている。後援は、電子情報技術協会(JEITA), 日本半導体装置協会(SEAJ)、国際半導体装置材料協会(SEMI)など。科学的な半導体製造で歩留まりや生産性を向上させるための核となるAEC/APCに関して、海外からの参加者も交えて活発な議論が行われた。○先取りしてIndustrie 4.0を実現する半導体工場AEC/APCというのは、半導体工場内の製造装置に温度、圧力、ガス流量、薬液組成、プラズマ密度、印加電圧・周波数、などさまざまな装置/プロセス・パラメータである多変量を計測する多種類のセンサを取り付けて、そこからの大量のデータ(いわゆるビッグデータ)を収集・解析し、フィードフォワード、フィードバックを駆使して装置やプロセスの変動による製品のバラつきを制御する手法である。先端半導体工場で、プロセスや装置の安定化をはかって製品歩留まりを向上させ、品質や生産性を高め、トータル・コストの低減をはかるための自動化システムと言えよう。これは、現在、世界中の産業界で注目されているIndustrial IoT(IIoT)やIndustrie 4.0の発想そのものであり、半導体工場では、他産業に先駆けてそれを具現化してきている。○日本では5回目の開催だが米国での開催数は27AEC/APC シンポジウムは、半導体メーカーと装置、材料、ソフトウェア、センサ、計測・分析機器メーカーが一堂に会し、プロセスや装置の自動診断や最適化を通して、インテリジェントで高効率な生産システムの構築を議論する場として、会議名称は若干異なるものの、毎年、世界3カ所(欧州・米国・アジア)で開催されている。アジアでは、2003年以来、台湾で毎年開催されている。日本では、2007年に熊本で初めて開催されたのを機に、隔年で開催されており、今回は日本で5回目の開催となる。米国では、1989年に「Sematech AEC/APC Conference」の名称で第1回が開催されて以来、毎年開催されており、今年は去る10月にテキサス州の州都オ―スチンで第27回目のAPC Conferenceが開催された。欧州では来年4月に「第16回 European Advanced Process Control & Manufacturing Conference (APC/M)」がドイツで開催される。かつて日本が勘と経験と度胸(?)でDRAMの大量生産を行っていた頃から、米国ではAPCが議論され、「製造を科学する(manufactuirng science)」ことにより、ついに米国半導体産業が復権を果たすこととなった。この点で、米国はAPC分野で先行しており、欧米はITの活用でも一日の長がある。○仮想計測や異常検出分類を中心に議論今回は、口述発表13件、ポスター発表8件の合計21件の発表がおこなわれた。国別では、日本14件、米国3件、韓国2件、ドイツ1件、マレーシア1件。組織別では、熊本大学3件、東芝、ルネサス、Infineonグループ(ドイツ/マレーシア)、Samsungグループ(韓国/日本)、 Rudolph Technologies(米国)各2件、その他の企業・大学各1件。今回も半導体製造装置/プロセスパラメータ情報をモニターし、その情報を活用することで、実際に計測・検査を行わずに半導体ウェハの加工特性を予測する手法である「仮想計測(VM:Virtual Metrology)」や、それぞれの半導体製造装置からのさまざまな出力をモニターし、何らかの異常を検出した場合、その結果を統計的に処理することにより異常の種類を分類する手法である「装置異常検出分類(FDC:Fault Detection and Classification)」を活用したAPCを関する発表が相次いだ。ソニーセミコンダクターは、「さまざまなデ―タを活用したVM-APCによるMOSFETしきい値電圧の予測と安定化」と題する発表を行った(図2)。また筑波大学からは「VMとFDCに関する機械学習とデータマイニングの応用」と題する発表が行われ、Student paper Award(学生論文賞)を受賞した。さらにパナソニック・デバイスエンジニアリングからは、指数加重移動平均(Exponentially Weighted Moving Average:EWMA)を使った新しいFDC手法の銅めっき装置への適用例が報告されたほか、三重富士通セミコンダクターは「高密度プラズマCVDのエッチングレートのチャンバーごとのばらつきをなくす手法」を発表した。そして東芝からは、「NAND型フラッシュメモリ製造現場での減圧CVDプロセスへのAPCの適用による膜厚変動の減少と生産性の向上」に関する発表が行われた。さらに、同社は半導体製造装置が正常に機能しているかどうかをデータでチェックし、装置の信頼性や生産性を向上させるシステムである「装置エンジニアリング・システム(Equipment engineering System:EES)からのデータを用いた装置メンテナンス時の組み付け不具合の検知」のポスタ―発表で、Best Poster Award(最優秀ポスター賞)を受賞した。●ベストぺ―パ―アワードを受賞したのはルネサス○ルネサスの装置モニタリング手法がベストぺ―パ―今回のシンポジウムでベストぺ―パ―アワードを受賞したのは、ルネサスセミコンダクタマニュファクチャリングから発表された「インピーダンス測定を用いた新しいプロセス装置モニタリング手法」。装置異常の発生原因を見出すために装置を停止しておく時間(ダウンタイム)を減少させるために、装置インピ―ダンスの周波数応答を継続的に測定することにより、プラズマCVD装置に使われている部材の異常を検出する手法である(図3)。今後は長期にわたりモニタリングを行って、異常発生原因をより迅速に発見し、装置生産性を高めるという。ルネサスはこのほかウェハ内変動パターンに同期したCMP工程異常の検出についても発表したほか、オムロンからは、MEMS製造分野で、プロセス全体のPLS回帰モデルを用いて製品特性の予測制御をおこない、歩留まり向上をめざす取り組みが発表された。また、熊本大学からは「反射型レチクルフリー露光装置を用いた不均一伸縮基板対応アライメント方式の開発」、「相関法を用いた空間流の微小パーティクルモニタリング手法の開発」、「パルス光伝導法によるLSI非接触テスティング」と最多の3件の発表があった。○後工程やディスプレイ製造にAPCを適用する外国勢サムスン・グループからは、2件の発表があった。サムスン横浜研究所からは、「半導体チップ・マウンタ―のチップ位置を画像処理で実用的に推定する手法」について、Samsung Displayからは、「OLEDディスプレー製造プロセスにおけるしきい値電圧異常をモニターするための光学発光分析に基づくデ―タ駆動モデル」が発表された。Infineon Technologiesからは、「アルミ・ワイヤ・ボンディングにおけるAPCを用いたパッド・クラック検出」の発表があった。ドイツの国家プロジェクトになっている「Industrie 4.0」の一環として、後工程(組立・検査工程)におけるAPCの活用を検討しているという。マレーシアのInfineon Technologies Malaccaからは、同地で組み立てられている「車載タイヤ圧測定モニタリングシステム(圧力センサ)の検査工程で異常圧力を早期に発見するAPCの適用」に関する発表が行われた。前工程(ウェハプロセス)へのAPCの適用は今や常識となっているが、Infineonは、Industrie 4.0の実現を目指して、前工程だけではなく、後工程へのAPC適用にも世界規模で取り組んでいることを印象付けた(図4)。今回は、日本からの発表は、従来にも増して、個々の材料・装置・プロセス制御に関する発表が大勢を占め、製造ラインレベルあるいはファブレベルへの展開や、それによるトータルコスト削減やトータル歩留り向上はこれからの感があった。日本の半導体製造が競争力を持っていき残るためにも、是非とも一刻も早くファブレベルへと展開させて欲しいものだ。勘と経験に基づく製造から脱皮し、欧米台の生産技術の核となっているトータルシステムとしてのAEC/APCを活用して、プロセス制御性向上、設備生産性向上、資材費低減活動などに新たな方向性を見出し、半導体製造の国際競争力を高めるため、本会議をさらに積極的に活用することが望まれる。
2015年12月02日日立システムズとウイングアーク1stは11月6日、中堅・中小規模製造業向けの業務システム分野で包括的な協業を開始した。協業の第1弾として、ウイングアーク1stの帳票基盤ソリューション「SVF」を「FutureStage製造業向け生産管理システム」の機能の1つとして組み込むとともに、標準帳票および帳票機能を全面刷新した。これにより、従来は日立システムズのエンジニアが行っていたFutureStage製造業向け生産管理システムに関する帳票のカスタマイズ作業をエンドユーザーが簡単な操作で修正できるようになり、コストと工期を短縮することが可能。また、今後、ウイングアーク1stのBIツールや経営分析ツールとの連携強化も行い、FutureStage製造業向け生産管理システムのさらなる強化を図る。日立システムズが販売するFutureStageシリーズは、製造業や流通業などの生産管理や販売管理をはじめとした基幹業務システムを行う製品で主に中堅・中小規模企業の顧客を対象にしている。特に各業界特有の業務要件を満たした機能を標準で備えた特定業種向けシステムは、カスタマイズせずに導入できるモデルとして採用されている。一方、納品書や請求書、注文書などの帳票は、初期導入時にエンドユーザー向けにカスタマイズをしていたほか、導入後も取引先の要望に対応するため、帳票変更したいというニーズには、エンジニアが個別に対応していた。こうした背景を踏まえ、日立システムズはウイングアーク1stのSVFをFutureStage製造業向け生産管理システムの標準機能として組み込んだ。ウイングアーク1stのSVFは、グラフィカルな操作画面のほか、「1帳票複数言語の正式サポート」「多言語対応プリンター機種の拡充」など、帳票のグローバル対応をサポートしている。今後、日立システムズは協業を通じ、FutureStage製造業向け生産管理システムの拡販を図り、2016年度末までに35億円の販売を目指す。
2015年11月06日キーエンスはこのほど、製造業の現場でセンサを選ぶ際に役立つ「センサとは.com」を公開した。センサは製造業の生産性を高めるために今や欠かせないものとなっている一方で、種類が多岐にわたるため、しっかりとそれぞれの違いや特長を理解していないと、現場の検出条件にマッチした最適なセンサを選ぶのは難しい。「センサとは.com」ではこうしたニーズに応えるため、「検出原理」をベースに、各種センサ/測定器の概要、特長、分類軸などについて初心者でもわかりやすい解説が提供されている。同サイトに掲載されている主な検出方式は、「光電センサ/ファイバセンサ/レーザセンサ」といった「光で検出する方式」、「近接センサ/渦電流式変位センサ」に代表される「渦電流で検出する方式」、「接触式変位センサ」に代表される「接触で検出する方式」、および「超音波センサ」に代表される「超音波で検出する方式」の4方式。また、サイトと同様の内容をまとめたPDF資料も、無料でダウンロード可能となっている。今後は、選定前に知っておきたい代表的トラブル事例と対策方法や、検出方式を追加していくなど、役立つサイトを追求していく予定だという。
2015年11月06日富士フイルムは10月1日、半導体材料の製造販売子会社FUJIFILM Electronic Materials U.S.A.(FEUS)を通じて、半導体関連の製造プロセスなどで使用する溶剤の製造販売会社である米Ultra Pure Solutions(UPS)を年内に買収すると発表した。年内に買収手続きを完了し、UPSをFEUSの100%子会社FUJIFILM Ultra Pure Solutionsとして新たにスタートさせる予定。なお、買収額は公開されていない。UPSはカリフォルニア州とテキサス州に製造拠点を構え、高純度な溶剤を安定的に製造できる精製技術を保有している。半導体の製造プロセスなどで使用される高純度溶剤を中心とした幅広い製品ラインアップを持ち、米国の大手半導体メーカーや化学メーカーを顧客に持つ。富士フイルムは、半導体のプロセス材料として、フォトレジストや現像液、洗浄液、CMPスラリーなどに加えて、高純度溶剤の製造・販売も行っている。今回UPSを買収することで半導体材料事業の拡大を狙うほか、UPSの精製技術による高純度溶剤を用いて高機能・高品質なフォトレジストや現像液などを開発していくとしている。
2015年10月01日日立ソリューションズは、グローバル製造業向けに、製造現場から経営マネジメントまでの情報をリアルタイムにつなぐことにより、市場環境や経営環境の変化に迅速に対応し、企業の収益向上と価値創出をトータルに支援する「グローバル製造業向けトータルソリューション」を9月7日から提供開始する。同ソリューションは、最近の製造業を取り巻く環境の変化を踏まえ、同社のノウハウである顧客の課題や事例と、ソリューションを整理したもの。例えば、本社と連携した海外拠点での迅速な経営判断や、グローバルな需要変動を加味したコスト戦略策定による機動的経営、海外拠点での保守サポート品質向上のように、直近の課題を解決するシステムから、製造現場の人・機器・システムが相互につながり協調できる最新の自律分散システムまで紹介している。主要なソリューションに、「経営マネジメント」「グローバルPLM(Product Lifecycle Management)」「グローバルSCM(Supply Chain Management)」「グローバルSLM(Service Lifecycle Management)」「製造現場見える化」などがある。「経営マネジメント」では、生産拠点データや、販売拠点データの収集・分析により、製品別の利益構造を可視化し、さらに市場データを加えた経営計画のシミュレーションによって、需要変動などの環境変化に対応した、タイムリーな意思決定を支援する。「グローバルPLM」では、マスカスタマイゼーションに対応するため、機能設計、原価企画のPDCAを強化し、設計の精度を高めることで、計画的な利益の確保を可能にする。
2015年09月02日インターワークスが運営する製造業求人情報サイト「工場ワークス」は31日、同サイトに掲載されている求人広告から、2015年7月度の製造業の平均賃金をまとめた結果を発表した。それによると、全国の平均時給は前年同月比17円(1.5%)増の1,100円となり、調査開始以来、最高額を記録した。○国内生産の増加で人材採用が活発化前年同月比は21カ月連続のプラス。前月比は17円(1.5%)増と2カ月ぶりに増加した。エリア別に見ると、前年同月比は全7エリアでプラス。うち信越・北陸は同26円増の1,047円、中部・東海は同24円増の1,163円などとなった。業種別の前年同月比は、全12業種中、8業種でプラス。うち「医療・福祉・介護・製薬」は同39円増の1,147円、「車・バイク・重機系」は同31円増の1,199円などとなった。職種別の前年同月比は、全29職種中、17職種でプラス、12職種でマイナスとなった。同社メディア戦略室室長代理の高橋貢氏は「円安による国内生産の増加で人材採用が活発になってきていることが要因と考えられます」と話し、「大手自動車メーカーでは、期間従業員の契約更新手当の復活や正社員登用の増加等、定着に向けた制度の変更が進んできていることから、生産を維持するための人材確保で今後も平均賃金の上昇が続くと考えられます」と分析している。
2015年09月01日近年、製造業にとって重要なキーワードとなっているのがドイツ発の「インダストリー 4.0」だ。「インダストリー 4.0」は、「センサーによって情報を収集したデータを活用する」というIoTのコンセプトを製造業向けに拡張させたアイデアで、工場をネットワーク化して製造プロセス全体を最適化することを目指している。製造業をデジタル化していくという点で、キープレーヤーとなるのがソリューションベンダーだ。今回、「インダストリー 4.0」発祥の地・ドイツにグループ本社があり、製造業と密に関わってきたシーメンスPLMソフトウェア(シーメンスPLM)のグローバル・セールス、マーケティング、サービス担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるトニー・ヘミルガン氏に時間をもらい、同社が「インダストリー 4.0」において何を重視しているのか、話を聞いた。○データを設計に活用するだけでは不十分ヘミルガン氏によれば「インダストリー 4.0」では「シームレスなインテグレーション」が重要だという。直訳すれば「途切れのない統合」ということになるが、具体的には何を統合すれば良いのだろうか。IoTでは、製品ライフサイクルにおける、運用フェーズの製品データを集めて設計フェーズにフィードバックするというサイクルの構築が重要とされる。しかし、同氏は「それだけでは十分ではない。」と語る。「設計(Ideation)と運用(Utilization)フェーズの間には製品の実現化フェーズ、つまり製造(Realization)フェーズがある。設計・製造・運用のフェーズをシームレスに統合しなければならない。製造というフェーズには制御系・保守メンテンナンス・製造管理・設計・シミュレーションなどさまざまな要素が含まれるが、それらを包括的に統合することで、より確実な意思決定ができるようになる。」(ヘミルガン氏)。しかし、「シームレスな統合」を進めるといっても、「インダストリー 4.0」がカバーしている範囲があまりに広範で、実際に取り組みを始めようとしてもどこから手を付けるのが良いのかわかりづらい。この点について同氏は「CAE、製造、サプライチェーンなどお客様の強みによって始めるポイントは異なるが、その前にコラボレーションを可能とするためのプラットフォームの構築が必要となる。」とする。CAD・CAE・PLMといったソリューションは製造業のデジタル化において重要なツールだが、それぞれを有機的に運用することができるプラットフォームが整備されていないと「シームレスなインテグレーション」は不可能というわけだ。○製品のスマート化に対応するためには「Digital Twin」が必要また、ヘミルガン氏は製品のスマート化という点でもプラットフォームの重要性を指摘する。「ソフトウェアとメカニカルが統合されたスマート製品では、機能が複雑化している。だからこそ(コラボレーションが可能となる)プラットフォームが必要となる。サプライヤーも自分たちが製造している部品を複雑化した製品にフィットさせなければならない」ためだ。同氏は、複雑化する製品に対応するための具体的なソリューションとして「Digital Twin(デジタルの双子)」というシミュレーションの方法を挙げる。物理的なモデルに限りなく近いバーチャルモデルを用いることで、より複雑な解析を効率的に行うことが可能となるのだ。同社は解析ソリューションの強化にも余念がなく、2013年にはLMSという構造解析ソリューションの会社を買収している。もちろん、収集したビッグデータは活用しなければ意味が無いわけで、シーメンスPLMではOmneoというビッグデータ解析ソリューションを提供している。「OmneoはDELLやBOSEが採用しており、この先数年で拡大していく」とヘミルガン氏は考えており、この分野は現在エレクトロニクス業界が最も進んでいるものの、今後、自動車や機械産業に広がっていくと予想している。○「まだまだ道は長いが、シーメンスPLMは抜きん出ている」「インダストリー 4.0」における製造業のデジタル化に向け、力強く進み続けるシーメンスPLM。ヘミルガン氏は「『インダストリー 4.0』についてはまだまだ道は長いが、シーメンスPLMは抜きん出ている」と胸を張る。この自信は、シーメンスPLMのビジネスが好調であることにも裏付けられている。同氏によれば同社がビジネスを展開しているすべての地域で成長しており、中でも製品のスマート化が年々加速している自動車業界では高い成長を見込んでいるという。社会のIoT化に伴う「スマート製品」の増加によって、「インダストリー 4.0」が製造業にとって持続的な競争力を確保する上で避けては通れない道となった今、製造業のデジタル化を強力にバックアップするシーメンスPLMの動向に今後も注目する必要がありそうだ。
2015年07月28日●グローバルと日本とで受け止め方が異なるIoTこの数年、「IoT」という言葉がビジネスの分野で使われない日はないが、この正式名称であるInternet of Thingsや日本語訳のモノのインターネットと言われても、いまいちピンと来ない人も多いのではないだろうか。特に日本では、そうした傾向が顕著であると指摘するのは、コンサルティング大手のアクセンチュアだ。同社が実施した世界約1400社(うち日本は50社)のCEOを対象とした「経営者がIoTをどのようにとらえているのか」に関する調査(グローバルCEO調査 2015)でも、グローバルでは約7割の企業が競合がIoTの活用によりビジネスモデルを変化させると思うが、日本企業だけを見ればわずか16%であり、IoTにより競合が市場を一変させる製品やサービスを投入する可能性があると思っているか、という問いに対してもグローバルでは62%の企業がそう思うと答えたのに対し、日本ではやはり16%という結果となった。IoTの仕組みは、簡単に述べれば人が介在しない機器が、自動的にセンサなどから情報を収集し、それを集め、分析・解析し、ビジネスに役立てよう、というものだ。特に産業界でのIoTの活用についてアクセンチュアではIndustrial IoT(IIoT)という言葉を用いている(筆者は、昨年来、産業分野向けIoTを同社と同じようにIIoTと呼び、コンシューマ分野向けをConsumer IoT、CIoTと呼んでいるが、同社ではそうした呼び名はしておらず、IoTの中でも特に重要な分野としてIIoTという名称を用いている、としている)。では、こうした世界と日本の経営者の意識に差異はどこから生まれてくるのか。同社の調査では、IIoTがもたらすであろう期待(効果)が異なる点を指摘している。グローバルで見た場合、約6割の経営者が新たな収益源の創出に貢献すると考えているが、日本の経営者の場合、約6割がオペレーションの効率化や生産性向上のためのツールとしてとらえているというのだ。また、その恩恵を受ける分野として見ているのは、大半の経営者はITや小売りといった業界に限られるとの見方を示しており、次いで多い製造業や金融の4つの業界に集中してしまっており、まんべんなくすべての分野で恩恵を受けるというグローバルの潮流とはかけ離れたものとなっている。もちろん一部の日本の経営者も新たな収益源との期待をしているが、経営者の考え方次第で2極化しているともいえる。●単にものを作って売るビジネスからサービスを提供するビジネスへ近年、価格や製品開発などさまざまな角度の競争激化により、日本の電機メーカー各社がBtoCからBtoBへとビジネスの主戦場を移そうとしている。皆が皆、コンシューマにものを売るBtoCから、企業間取引などを中心としたBtoBへと市場をシフトさせれば、当然、そこにも新たな競争が発生することとなる。IIoTは、そうした産業分野において、ものづくり産業が勝ち残るために必要となるツールであり、同社執行役員 戦略コンサルティング本部 統括本部長である清水新氏は「ものづくりを行ってきた企業が、単にものを売るだけでは、ビジネスの拡大に限界がある。ものを売るのではなく、アイデアを売る方向に進むべきであることを示すのがIIoTだ」と指摘する。例えば、GEは航空機のエンジンの製造をしてきたが、同市場はグローバルで8兆円程度だ。すでにセンサをエンジンにつけることで遠隔監視を行い、状況を逐次把握し、状況に応じた保守を行うというサービスを展開していたが、対象が"航空機のエンジン"である限り、市場規模は変わらない。そこで同社は、そうした遠隔監視による保守で培った技術を航空機のメンテナンスへと分野を拡大、機体全体の監視による予防保全などを提供することで、メンテナンスコストの削減などを提供することに成功した。さらに、コストにシビアなLCCを中心に航空会社としては、機体のメンテナンス不良により飛行できなかった分のロスを減らしたい、飛行した分だけメンテナンスコストを支払いたい、というニーズがあることを受け、運航コストの削減や定時到着率の向上など、顧客の収益の最大化までつなげることに成功したという。「ものづくりは単にものを作って売るというものから、サービスへ。IIoTは成果を売る仕組みを構築できる。世界は成果を売る、という経済に変化してきている。飛行機であれば、飛んだ分だけ、自動車であれば走った分だけ、今までのものづくりのビジネス手法とはまったく異なる」と清水氏は指摘する。これまでのビジネスは、機能や性能、品質を提供し、顧客からのクレームなどの反応を聞いて、そこから求められるものを類推し、次に生かす、といった手法であったものが、IIoTにより、提供する製品にセンサを取り付け、今、現場で何が起こっているのか、顧客のビジネスモデルそのものや、何に困っているのか、といったレベルの話題を知ることができるようになる。こうなると、これまでの職人的な技による技術の洗練や安定した製品供給能力の提供だけではなく、最新技術を組み合わせて顧客に提供する力や、収集したデータを分析し、何が問題なのかといった解析する能力といった、サービスの提供を進化させていく必要がある。「確かに技術は重要と日本の経営者は語るが、では、誰が担当するのか、という話になるとCIO、という返答が返ってくるなど、温度差が見える」と清水氏はCEOの在り方にも言及する。なぜCIOではなくCEOか。端的に言えば、ものを売れば、その場で売り上げがあがるが、サービスを提供する場合、長期的な視点が必要であり、単年度(短期)の売り上げにこだわり続ければ、実現できず、そうした発想とメトリクスの変化をCEOが受け入れる必要性があるためだ。「規模が大きな企業が内部で新しいことをやるのは難しいが、それを実現させるのがCEOの仕事」とCEOの意識変革を促す清水氏はこうも述べている「これまでのエコシステムとはまったく異なる姿が求められる可能性がある。さまざまな分野のエキスパートたちを導き、ビジネスと技術を融合させる人が重要になってくる。さまざまな産業分野に新たなプレーヤーが参入し、新たな価値が生み出されるようになってきた。その結果、今までのビジネスモデルでは戦いにさえならない可能性も出てきた。将来を考えたうえで、今、何が必要であるかを提示する必要がある。幸い、まったく別の業界からの参入者が、いきなり新たなビジネスプラットフォームを構築することはまだできないと思える。業界別に、どの業界の企業が顧客の課題を一番早く解決するかの戦いになっていくだろう」。ものづくり産業の構造を単なるものを作って売る、というものから、新たな価値を生み出して、それを売る、というものへと変えるIIoTの存在感は、日々増してきている。日本のものづくり産業がそうした動きをどのようにとらえ、変化を追及していくのか。新たに生じるであろう競争を勝ち残るための時間はそれほど残されていないものと思われる。
2015年07月27日6月23日に「データ活用でさらなる強み! 製造現場の最先端」セミナーが開催される。ここでは、そのセミナーで講演する1社について紹介しよう。○「製造業においてなぜ原価分析はうまくいかないのか? 利益創造につながる原価分析のノウハウを明かす!」今、一部の製造業において、原価管理を単に「決算のための手続き」と考えるのではなく、原価管理を徹底活用することで利益創造にもつなげていこうという機運が高まっている。そのため、ITの道具としてBIツール等を導入する企業が多い。しかしその一方で、原価情報の利活用のためにBIツール等を導入しても、うまく分析できないという声がよく聞かれるのも事実だ。その理由について、NECネクサソリューションズ 第三システム事業部の若松拓也氏は、次のように語る。「まず1つは、BIツールの導入時につくりこみを行う際に、意識すべき点を見逃しているという理由があるでしょう。例えば、BIツールは“入れて終わり”という意識の企業が多いのも現実なので、そのような企業では、BIツールの導入がゴールとなってしまっており、どう使うかについては導入後に考えればいい、といった姿勢になりがちです。しかし、これでは原価情報の利活用は不可能でしょう」同社では、食品・素材・化学といったプロセス製造業向けに、生産管理、品質管理、原価管理、販売管理システムの導入に強みを持っている。若松氏はプロセス製造業向けシステムの導入・運用支援に深く携わり、その中でBI環境の構築を経験してきた。この経験により、原価活用BIテンプレートを構築した。「BIテンプレートの主旨は、ただ値を出力するだけでなく、分析シナリオまで踏み込んで原価分析の適切な方向を示すことにありますので、原価管理をつきつめていくことで、どのような“値”が見えてくるのかが理解できるはずです」と若松氏は強調する。例えばある製造業のBI構築では、在庫の有効期限の管理において、滞留在庫がどこに残っているかなどのデータを原価に当てはめていくことで、どの程度の損失が生じているのか可視化することに成功した。各工程の労務費や経費などの細かいデータまでを可視化することにより、工程の班長は、担当する部門の生産性を具体的にどれぐらいかといった数値で示せるようになった。これは、製造工程における人員の評価にも生かされている。ほかにも、同社のBI導入支援により、自社に適したBI環境の構築を実現した企業は多い。6月23日(火)に開催されるセミナー「データ活用でさらなる強み! 製造現場の最先端」での若松氏のセッション「化学・素材・食品製造業のための、経営に役立つ原価管理活用法」では、それらの企業がどのように現場の課題を把握し、可視化すべき値を明確にしながら、その分析のためにBIツールをいかに“使える”ようにしたかについての数々のノウハウが語られる予定だ。「原価分析では、現場に役立つようなシステムをつくって、役立つ数字を示せるようにすることと合わせて、経営層のビジネス判断を支援できるような数字をいかに示せるのか考えることが重要です。セミナー当日はそこまでをゴールと見据えて、原価分析のためのBIツールの組み立て方、その活用方法についてお話したいと思っております」自社の原価についてしっかりと把握し、更なる利益向上を目指す製造業の方々であれば、ぜひ当日会場に足を運び、若松氏のセッションを参考にしてみてはいかがだろうか。
2015年06月19日HOYAサービスとディーバ・ビジネス・イノベーションは6月16日に、MicrosoftのDynamics AX分野で協業し、グローバル展開する製造業向けに、生産管理テンプレートと会計テンプレートを組み合わせた共同ソリューションの提供を開始することを発表。2015年7月に提供開始予定となっている。HOYAサービスは、HOYAグループへのERPパッケージ(Microsoft Dynamics AX)導入の経験・ノウハウを元に生産管理テンプレートを保有し、ディーバ・ビジネス・イノベーションは会計分野における多数の導入実績を元にERPパッケージ(Microsoft Dynamics AX)ベースの会計テンプレートを保有しているという。今回の協業によって、ビジネスのグローバル展開を支援する基幹システムの提供や、ASEANを中心としたグローバル拠点へのスピーディなロールアウト、ローコストかつ短期間での各拠点展開のサポートを提供していく構えだ。
2015年06月16日ビッグデータがマーケティングなど、さまざまな分野で活用され始めている。この傾向は製造現場においても同様。各工場から集めたデータや各製造工程のおけるセンサーからのデータを収集・分析・管理することで、製造効率や品質管理を向上させている企業が増えている。こうした製造業におけるデータ活用について学べる参加無料のセミナー「データ活用でさらなる強み! 製造現場の最先端」が、6月23日(火)13:00~、東京・千代田区一ツ橋のパレスサイドビル9F、マイナビルームで開催される。セミナー内容はオムロンの水野伸二氏による「全工程ログの可視化による生産効率の改善」、アプレッソの友松哲也氏による「IoTとビッグデータ活用でニーズ急増! データ統合基盤づくりの勘所」(仮)、NECネクサスソリューションズの田中徹氏・若松拓也氏による「化学・素材・食品製造業のための、経営に役立つ原価管理活用法」の3講演となっている。前述のように当セミナーは参加無料(要事前予約)となっており、製造業の現場でデータ活用を考えているビジネスパーソンにぜひ参加していただきたい。○同セミナーの詳細は以下の通り・タイトル:データ活用でさらなる強み! 製造現場の最先端・開催日時: 2015年6月23日(火)13:00~15:50・参加費:無料 (事前予約制)・開催会場:千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル9F マイナビルーム9F-A・最寄り駅:東京メトロ・東西線・竹橋駅直結・主催: 株式会社マイナビ
2015年06月15日Infineon Technologiesは、韓国LS Industrial Systemsと2009年に設立したインテリジェントパワーモジュール(IPM)の製造をてがける合弁会社「LS Power Semitech」の発行済み株式すべてを購入したことを発表した。IPMはパワー半導体(今回の場合はIGBT)とICを高信頼性の小型パッケージデバイスに集積し、冷蔵庫や食洗器、乾燥機、エアコンなどの家電製品のエネルギー効率を向上させる半導体モジュール。InfineonはすでにIPM分野で相互補完的なポートフォリオを有するInternational Rectifier(IR)を買収しており、今回のLS Power Semitechの発行済み株式の取得は、最適化された独自のシステム製品を世界中の顧客に提供するという、同社の戦略的な布石を意味するものとなる。2009年に設立されたLS Power Semitechは韓国のIPMサプライヤーであり、LS Industrial Systemsとの合弁会社として、設立当初からインフィニオンは株式の46%を保有していました。その後、2014年6月には、持分を66%まで引き上げています。LS Power Semitechは、ソウルに本社と開発部門を、韓国チョナンに製造拠点を置いており、韓国国内と中国、世界の大規模な家電市場へのサービス提供で絶好のポジションを確立しており、主要家電ブランドの全社と取引を行っています。
2015年06月02日オートデスクは4月14日、製造業界向け「デジタルプロトタイプ」アプリケーションの新バージョンを4月15日より順次発売すると発表した。今回の新バージョンでは、製品開発の関係者がさまざまなアイデアを検討しながら共同作業を効率的に行えるよう、操作性、3Dモデリング性能、3Dプリンタとの連携などに関する機能が向上した。また、シミュレーションにおいては、各アプリケーション同士のデータ連携を高めて、解析モデルの修正、簡略化、形状の追加/変更を反映させるなどの機能強化が実施されたという。今回発表された各アプリケーションの主な概要は以下の通り。
2015年04月14日PTCジャパンは4月2日、中小規模製造業向けPLMソリューション「PTC PLM Cloud」を発表した。同ソリューションは、同社のPLMソリューションである「PTC Windchill」の機能を備える一方、中小企業のニーズに合わせたサブスクリプションホスティング環境によって、PLM導入を簡素化したもの。クラウド上でデータを共有することで、社内だけでなく、協力会社やサプライヤなど社外チームとの開発業務の改善が可能になる。また、セキュリティはISO 27001:2013に準拠しており、99.5%の可用性を提供する既存のPTC PLMホスティング環境を利用するなど、信頼性の高い開発環境が提供される。同社は「本ソリューションはマルチCADデータ管理、コラボレーションを含むフル機能を有する実質的なPLM製品です。極めて小規模な製造企業でも利用いただける、実証済の真のPLMを提供できることを非常に喜ばしく思います。システム管理に関する心配は不要であり、最も重要な事業に注力いただけます」とコメントしている。なお、同ソリューションの日本での提供時期は未定となっている。
2015年04月03日内田洋行は3月4日、ERP/基幹業務システム「スーパーカクテルデュオシリーズ」において、食品製造小売業向けの「スーパーカクテルデュオFOODs店舗販売」を開発、販売を開始したと発表した。主な店舗管理機能は、オーダー受付およびオーダー問い合わせ機能店舗(消化店・自営店)からの商品補充依頼や得意先(納品店・卸)からの注文の電話・FAXによる受付、また、ハンディーターミナルやスマートデバイスを利用した注文受付など。オプションを利用すると、オペレーターによるデータの二重入力や転記作業ミスなどによる業務負荷の削減が可能となる。問い合せ機能で店舗区分別にオーダーの受付状況を一覧で確認できる為、オーダーがきていない店舗の把握が可能となり、オーダー受付伝票照会画面へのドリルダウンもできる。また、店舗からの売上報告機能を実装店舗からの日々の売上報告を商品別もしくは分類別に入力でき、売上金額だけでなく、客数情報や店舗の稼働人員などの情報も入力できる。専用カスタマイズツール「スーパーカクテルデュオシェーカーズ」により、顧客の個別要件にも高品質、低コストで対応可能だという。直接販売のほか、全国約100社のパートナー網を通じ販売する予定で、初年度は50本の販売を計画している。
2015年03月06日富士通は3月4日、組み立て加工製造業向けに製造現場管理システム「FUJITSU Enterprise Application GLOVIA ENTERPRISE MES(GLOVIA ENTERPRISE MES)」の販売を同日より開始すると発表した。同製品は各工場ごとの製造実績情報の収集・管理方法を標準化し共有することで、工場間の実績比較が行え、ノウハウの共有や改善活動による生産性向上を可能とする。また、拠点別生産性やライン別の製造進捗などの現場情報と本社システムを連携させることで、経営層、管理者層、現場層などそれぞれの階層に応じた情報を見える化する。さらに、部品を最適な時に必要分をラインへ補充する自動補充指示のシステム化、不具合から原因部品・部材を特定するだけでなく、部品・部材の不備の影響を受ける製品を特定する2方向からのトレーサビリティを実現する。価格は基本管理(1サーバライセンス、10ユーザーライセンス)が200万円で、工程管理(1サーバライセンス、10ユーザーライセンス)と在庫管理(1サーバライセンス、10ユーザーライセンス)が300万円。価格はいずれも税別。工程管理および在庫管理の導入には基本管理が必須となる。同社は、3年間でサーバライセンス150本の販売を目標としている。
2015年03月04日JNCは1月29日、子会社であるJNC石油化学の市原製造所内において、リチウムイオンバッテリ用セパレータの製造設備の竣工式を開催したと発表した。これまで、セパレータについては、従来培った樹脂加工技術のうち、特にポリオレフィンフィルム分野における製造・加工ノウハウ、材料選定ノウハウを生かし、市原製造所内にセパレータ量産化検討のためのパイロット設備を設置し、製造技術開発および市場開発を行ってきた。今回、竣工した製造設備は、これまでパイロット設備で積み重ねてきた、独自のセパレータの製造技術を反映させた商業用量産設備である。現在、パイロット設備による試作品の提供などにより採用に至っている顧客に対し、ライン変更の認証に向けた製品の提供を行っており、以降認証を受けた顧客から順次今回の製造設備に生産を移管し製品の供給を行っていく。今後、市場拡大が期待される大型リチウムイオンバッテリへの供給体制の整備のみならず、膜厚、空孔率の設計自由度をさらに追求した高性能なセパレータ、およびバッテリの高容量化に伴う安全性の高いセパレータの開発を行うとともに、安定した品質の一層の向上を目指し積極的に取り組んでいくとコメントしている。
2015年02月02日大都は1月7日、運営する事業者向け工具・消耗品の通販サイト「モノトス」にて、製造業で働くゲンバ男子限定のコーディネートコンテストの参加者の募集を開始した。事業者向けホームセンター「モノトス」は、2014年10月より大阪市の中小企業支援拠点「大阪産業創造館」が実施する「ものづくり若手採用応援プロジェクト」に参画。ユニフォームや安全靴、グローブなども取り扱う「モノトス」が実際に製造ゲンバを訪ね、ゲンバ男子をコーディネートし、コンテンツとしてWEB上で発信している。「バートル(BURTLE)」のおしゃれで機能的なユニフォームや、イタリアのスポーツ用品メーカー「ディアドラ(DIADORA)」の安全靴など、仕事帰りにそのまま飲みに行けるような、おしゃれなコーディネートを提案しているという。「実際にはもっとオリジナリティあふれる、かっこいい服装で仕事をしているゲンバ男子がいるのではないかと思い、ゲンバ男子コーディネートコンテストの開催に至りました」と同社。応募条件は、製造業の技術系現場担当者(自薦・他薦問わない)の35歳までの男性。用意する写真は、上半身、全身(コーディネートが写っている写真)、作業写真の計3種類。応募は、応募フォームから受け付けている。締め切り後に2015年2月中旬、コーディネート一覧掲載にてFacebookのいいね! 投票を開始。結果発表は2015年3月末頃を予定している。いいね! の数が一番多かった応募者様に「モノトス」で使える賞品がプレゼントされる。
2015年01月07日Infineon TechnologiesとUnited Microelectronics(UMC)は、車載用アプリケーション向けパワー半導体分野への製造パートナーシップの拡大を発表した。UMCは15年以上にわたり、Infineonのロジックチップを生産してきた。最近締結した合意に基づき、両社は今後、Infineonの車載適合スマートパワー技術「SPT9」をUMCに共同で移管し、300mmウェハを対象に生産体制を構築する。そして、2018年前半には、台湾にあるUMCの300mmファブで「SPT9」製品の生産を開始する予定としている。「SPT9」は、マイコンのインテリジェンスとパワー技術をシングルダイに集積した、Infineon独自の130nmプロセス技術である。
2014年12月26日キーエンスは、FA(ファクトリーオートメーション)における静電気対策のノウハウを学べるWebサイト「静電気ドクター」を公開した。製造業の現場では、静電気は部品の根詰まりや異物付着など、様々な問題の原因となっている。しかし、静電気は目に見えないため確認し難く、トラブルの原因特定や対策機器の選定についてノウハウが必要とされるため、検討の仕方がわからないというケースも多い。「静電気ドクター」はこうしたニーズに応えるべく開設されたWebサイト。「静電気対策」について初心者でもわかるような解説が加えられているほか、静電気の性質、静電気による障害、静電気対策機器の選定などについての解説や、専門用語の解説ページも用意されており、製造ラインで静電気に悩まされている担当者にとって役立つ情報が掲載されている。同Webサイトの主なコンテンツは、同社が顧客に出向いて実施している「静電気セミナー」の内容やユーザーから人気の高かった技術資料をベースに構成されており、静電気について発生のメカニズムから除電器による対策まで体系立てて解説している。Webサイトの内容をまとめたPDF資料も無料で提供され、今後は静電気の測定についての項目などを追加していく予定だ。キーエンスは「現場に根差した現実的な提案力」で評価されており、静電気対策に関するソリューションも、世界直販体制で現場を知るキーエンスならではのコンテンツとなっている。同社は「製造業に対し、生産性・品質向上・コスト削減に役立つコンサルティング提案により、今後も貢献していく」としている。
2014年12月22日東京大学は11月25日、翼形、波形など特殊な断面形状を持つ蜂の巣様の構造(ハニカムコア)をオンデマンドで製造できる新しい製造方法を実証し、アルミ合金製パネルの試作に成功したと発表した。同成果は、同大 生産技術研究所 機械・生体系部門の斉藤一哉助教によるもの。科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)の支援を受けて行われた。軽量で高強度、高剛性を実現できるハニカムコアサンドイッチパネルは航空機・宇宙機から建材、家具まで、さまざまな工業製品に使われている。現在、ハニカムコアは半世紀程前に英国で開発された展張式と呼ばれる手法で製造されているが、この方法では平板パネルしか作製できず、曲率を付けたり、テーパーを付けたりする際は、コストのかかる2次加工が必要となるため、使用できる形状に多くの制限があった。そこで、斉藤一哉助教は"折紙式"という新しいハニカムコアの製造方法を実証した。これは1枚の紙から折り曲げのみで、さまざまな立体形状を作り出す折紙の手法を応用し、周期的なスリット・折線を入れた1枚のシートからハニカムコアを立体化する方法で、展開図のパターンを変えることにより平板だけでなくテーパー形や翼形、曲面パネルなどさまざまな形状のハニカムコアを直接製造できる利点がある。そして今回、この折紙式ハニカム製造装置のプロトタイプを城山工業、フジカケと共同で開発し、波形や曲率パネルなどさまざまな形状のアルミ合金製ハニカムコアの試作に成功したという。今後、産業化がなされれば形状の異なるさまざまな製品で、安価な軽量化手段を提供することができるだけでなく、遮音・吸音、断熱性などハニカムコアの持つさまざまな優れた機能特性を広汎な製品で利用可能になるとコメントしている。
2014年11月27日インターワークスが運営する製造業求人情報サイト「工場ワークス」はこのほど、同サイトに掲載されている求人広告から、2014年9月度の製造業の平均賃金をまとめた結果を発表した。それによると、全国の平均時給は前年同月比3.1%増の1,082円となり、11カ月連続で前年を上回った。前月比は0.2%減と3カ月ぶりのマイナスだった。エリア別に見ると、北海道・東北が前年同月比6.6%増の988円、信越・北陸が同4.4%増の1,032円など、全7エリア中6エリアでプラス。一方、関西のみ同0.1%減の1,077円とマイナスとなった。業種別では、「半導体・先端技術」が前年同月比5.6%増の1,085円と過去最高を更新。同社メディア営業部部長の大崎卓也氏は「人気スマートフォンの販売が日本で好調である事に加え、10月には海外でも販売が開始されることが要因となり、関連メーカーでの求人ニーズが上昇しています」と分析している。このほか、「車・バイク・重機系」が前年同月比1.2%増の1,175円、「物流・倉庫」が同7.6%増の1,112円など、全12業種中10業種でプラス、2業種でマイナス。前月比では5業種がプラス、7業種がマイナスとなった。職種別に見ると、全29職種中、前年同月比では23職種がプラス、6職種がマイナス、前月比では12職種がプラス、17職種がマイナスとなった。
2014年11月05日富士フイルムは10月27日、子会社でバイオ医薬品受託製造会社(CMO)であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies USA(FDBU)を通じて、バイオ医薬品CMOでワクチン製造に強みを持つKalon Biotherapeutics(Kalon)を買収し、ワクチンCMO市場に参入すると発表した。FDBUは10月22日、Kalonの持分所有者であるテキサス州およびテキサスA&M大学と、Kalonの持分譲渡に関する契約を締結した。今後、数か月以内に決済手続きを行い、Kalonの全持分の49%を取得する。また、Kalonの取締役の過半数を富士フイルムグループから任命する。今後、FDBUは同契約に規定されたマイルストーンに沿って持分比率を100%まで引き上げていくとしている。Kalonは、テキサスA&M大学によって設立された、高度な技術と最先端の設備を持つバイオ医薬品CMO会社で、米国保健福祉省傘下の米国生物医学先端研究開発局(BARDA)から、バイオテロや新型インフルエンザのパンデミックなどの非常時に公共の健康を守るための医療手段を開発・製造する重要拠点「Center For Innovation In Advanced Development and Manufacturing(CIADM)」の1つとして指定されている。また、テキサス州はテキサス新興技術基金(Texas Emerging Technology Fund)を通して、本拠点の建設・運営を援助している。技術面において、Kalonはワクチンを動物細胞培養法で製造することに強みを持っている。ワクチン製造に必要なウイルスを製造工程内にとどめる、世界トップレベルの高度な封じ込め技術を保有しており、新型インフルエンザウイルスやエボラウイルス、炭疽菌などに対するワクチンを安全かつ安定的に製造することができる。さらに、ウイルスの高度な封じ込めが可能な、小型で可動式のモバイルクリーンルームを完備している。このモバイルクリーンルームを同社のワクチン製造施設である「National Center for Therapeutics Manufacturing」に、最大20基まで設置することが可能という。この設備では、多品種のワクチンを同時並行で製造することができる。さらに、増設が容易なため、顧客からの増産要請にも柔軟に対応できる。なお、同クリーンルームは、動物細胞培養法によるワクチンはもちろんのこと、抗体医薬品を含むあらゆる種類のバイオ医薬品の製造も可能で、今後高まるバイオ医薬品の多品種少量生産ニーズに応えることができるという。今後、富士フイルムは、テキサス州行政庁およびテキサスA&M大学のサポートも得ながら、ワクチン分野への取り組みを強化していくとコメントしている。
2014年10月28日NECネクサソリューションズは、新製品の開発や新しい発想が求められる製造業を対象に「伸びる会社・つぶれる会社 ~成長企業になるために、今こそ経営者に求められるもの~」(主催:NECネクサソリューションズ)と題したセミナーを10月21日、東京都港区で開催する。NECネクサソリューションズは、1974年の日本電気の情報処理データセンター本部からの独立から30年以上にわたり、アウトソーシングサービス、システムインテグレーションサービス、プラットフォームサービスを組み合わせて提供してきた。21日に同社が主催するセミナーでは、"新しい発想"や"新製品の開発"が求められる厳しい環境において、製造業の経営者がいかに会社を運営していくのか?東京理科大学名誉教授・日本経営システム協会会長 田中雅康氏を講師に迎え、会社の成長と倒産を分岐する五つ要因(環境 / 経営者 / 製品・商品 / 技術・ノウハウ / 管理・社員)について、事例を交えた解説やディスカッションが予定されている。NECネクサソリューションズからは、個人のスキルやパワーに頼りがちな新製品開発の作業進捗管理を、ツールによって標準化。品質管理を遵守徹底しながら、ものづくりを推し進めるためのソリューションが事例を交えて紹介される。○「伸びる会社・つぶれる会社 ~成長会社になるために、今こそ経営者に求められるもの~」日時:2014年 10月 21日(火) 14:00~17:00会場:Walk In Solution Center 東京 (東京都港区三田1-4-28(三田国際ビル1階))定員:50名参加費:無料(事前登録制)主催:NECネクサソリューションズ共催:NEC申込み:同社Webサイトより
2014年10月14日ものづくりの世界で、今もっとも大きな潮流は「民主化」という動きだ。3Dプリンターなどのデジタル工作機械やネットでたのめるデジタル製造サービスを使うことで、いままで大企業しかできなかったことが、零細企業や個人でも可能となりつつある。このような「ものづくりの民主化」によって、製造業はどう変わっていくのか。今回の対談では、3Dプリンターのビジネス利用などのコンサルティングを行うイノベーティブ・ジャパン株式会社の浅見純一郎氏(以下:浅見氏)を招き、氏が入居するコワーキングスペース「MONO(モノ)」にて、ものづくりに関わる方々に日本のものづくりの未来について意見が交わされた。なお、コワーキングスペースMONOは、「世界を代表するMONOづくり・コンテンツ創造のHUBになる」ことを目的とし、2013年3月にお台場・テレコムセンタービル内にオープンした、ものづくりに特化したコワーキングスペースである。3Dプリンターやレーザーカッターなど、ものづくりに必要となる数々の機材を設置しており、ものづくりに関わる起業家やアーティストが数多く集まるコミュニティとなっている。<MONOホームページ<○3Dプリンターを通じて生み出せる付加価値浅見氏:私は「MONO」に入居してまだ1ヶ月ほどですが、3Dプリンターに凝っていろいろな模型をつくりました。ここはマニュアルが整備されていますし、スタッフに聞きながらつくることができます。「簡単にできる」というのは、ものづくりの民主化のために欠かせない要素ですね。簡単にものづくりができるわけですから。また、3Dプリンターは人との出会いも提供してくれます。たとえば「MONO」に入居されている方で、3Dプリンターをアイドルのイベント企画に活用されている方がいらっしゃいました。このように、今までの仕事では出会えなかった色々な方からは、大きな刺激をもらえます。そこから新しいビジネス、発想が生まれていきますね。パン氏:確かに、同じ人と同じ場所で同じやりかたで仕事をやっていても、革新的なアイディアは生まれては来ません。私は、このMONOのような場で、異なる背景、異なる技術を持つ人が出会うことが、3Dプリンターを使いこなすために必要だと思っています。浅見氏:私も、今までの経験を活かして、どうやって3Dプリンターをビジネスに使っていくかを考えています。これまで私は、ITを使った経営管理・生産管理などのコンサルテーションをしてきました。例えばモニタ越しに2次元のグラフを眺めるよりも、3Dプリンターで製作したオブジェクトをベースに数値情報を共有したほうが、企業状況をより正確に伝えることができるのではないかと思っています。例えば地域別の収益データを、まさに手に取りながらその規模を把握し、意志決定などができるわけですから。このように、手軽に使える3Dプリンターがあるからこそ「ものづくりの民主化」ができるのだと思います。パン氏:ものづくりの民主化は、3Dプリンター以外でも広まってきていきます。弊社のお客様には、もともとソフトウェアのエンジニアだった方がいます。彼は、iPhoneやスマホを通じて家の中の家電をネットワークで遠隔操作できるITグッズを2年前に起業して開発しました。これは、いまハウスメーカ各社が注力している「スマートハウス」の先駆けです。ネットでたのめるデジタル製造サービスによって新しい製品を生むことができたわけです。具体的には、起業したてのこの方の会社でも、電子基盤と樹脂筐体の小ロット生産を簡単にネットで外注できたことで、大企業のような資本がなくても付加価値のある斬新なITグッズを製品化できたのです。浅見氏:3Dプリンターでも大きな付加価値が創造できれば、同様なものづくり革命が起こせそうですね。はやくそのような応用領域を見出したいと思っています。○先進国が目指すべき、アメーバ的なものづくり浅見:これからは、3Dプリンターを扱う時にも、師匠みたいな人がいて、徒弟制のように学んでいけるようにすべきだと思います。それがある種の標準化になります。長くその世界で学んだ人が、標準化して、みんなに伝えていく。教わる人はそれぞれスキルを持っているわけですから、例えばITのスキルを活かしていけば、より高度なものがつくれるようになっていくはずです。パン氏:標準化ですね。それは非常に面白い話題だと思います。私は、量産のような標準化して効率を上げるところと、アイディアにより付加価値を伸ばすところを明確に分けることが必要だと考えています。中国やベトナムやミャンマーの人々と日本人の給与差10倍や20倍というような差異を標準化と効率アップで埋めることはできません。高い賃金の中では、どれだけ付加価値を高めるのかが大切です。それなら、10%や20%などのレベルの効率アップをする手法などに手間をかけて教えるよりも、全く新しいアイディアによる付加価値がついてさらに伸びるところに教育の時間をかける。そんな教育システムが日本でも必要ではないでしょうか。今までは分業化された「製品の機能部分」のものづくりの改善を主にやっていればよかったわけですが、これからは、3Dプリンターに象徴されるような、アメーバのように従来のものづくりでは想定外だった領域に広がって行くようなものづくりがあっても良いかもしれません。今は、まだどこも何をやっていいのか分からない状態かもしれません。でも、もし多くの斬新なアイディアの方向性がまとまって、日本だけにしかできないものづくりが見つかれば、それが世界に対する競争力になります。日本のような先進国でやるものづくりは、このようなスタイルが合うのではないでしょうか。「MONO」ではまさにそれが取り組まれていると思います。浅見氏:そんなエキサイティングな時代が、目の前に迫っています。○未来のものづくりのために、今できること浅見氏:ものづくりが民主化していくにつれ、異なる背景を持つ人が交わってくるわけですが、これでイノベーティブな力が生まれやすくなると思います。日本も、今までやってきたことを取捨選択して、いかにイノベーティブなことをやるかが鍵となるでしょう。個人的には、教育が大事だと思っています。子どもたちに、新しいイノベーティブなことを考えられる力、コミュニケーションをする力を広めていきたいですね。パン氏:私たちもできれば人の役に立つものや、自分にしか出来ないものをつくりあげたいという方たちの力になりたいと思っています。それが教育のツールになるのか、生活が変わるような製品か、便利グッズなのか、方向性はさまざまですが。ただ、3D プリンターでもそうですが、ものづくりを民主化するには、3D CADで設計したデータがどうしても必要になります。2D図面を職人が解釈しながら素早く多くの自由形状を製造するのには、限界があります。我々はその3Dデータをネット経由で受けて、自動化を駆使した切削加工や射出成形でメカパーツを作るのが専門ですが、子供たちがゲーム感覚で習得した3D CADを使いこなして創発したアイディアを、たとえば「MONO」で、その子どもたちと一緒に作り出していけたら面白いですね。<対談者プロフィール>浅見純一郎氏 イノベーティブ・ジャパン株式会社 代表取締役大手監査法人系コンサルティング会社に在籍中、企業に経営・業務・ITシステムの改善のコンサルティングをしてきた経験を活かして、イノベーティブな活動を企業で実施することをサポートしている。特に、各業務におけるITを活用したBPRを主にしており、営業・R&D・生産・経理業務のおけるカイゼンをクライアントと一緒に計画策定・実行支援を行っている。また、ITに加え、3Dプリンターなどの多品種製造に適した装置が普及してくることを想定して、新たなBPRを構想し、企業における生産工程や販売業務のカイゼンを日本の企業へ提案。イノベーティブ・ジャパン株式会社ホームページ
2013年11月12日出光興産は10月28日、キャッサバからタピオカスターチ(でんぷん)を製造する際の残渣(キャッサバパルプ)を使ってエタノールを製造する技術の実証のため、タイ国内にパイロットプラントを建設し、運転を開始したことを発表した。今回の取り組みは、東南アジアにおける再生可能エネルギーとして有望なバイオ燃料事業への取り組みの一環として、タイ最大のスターチメーカーSanguan Wongse Industries(SWI)の工場敷地内にパイロットプラントを建設し、SWIの協力の下、技術実証のための運転を開始したというもの。今回開発されたバイオエタノール製造プロセスは、原料であるキャッサバパルプに対する特別な前処理が不要なほか、発酵槽での撹拌を行わないで済むといった特長があり、低コストでバイオエタノールの製造を可能にするもの。パイロットプラントの製造能力は年産50klで、同社では技術の実証を行った後、プロセスデータの採取を行い、商業化を目指す計画としている。
2013年10月28日財務省および造幣局は13日、 バングラデシュの一般流通貨幣「2タカ貨幣」の製造をバングラデシュ中央銀行から受注したと発表した。外国の一般流通貨幣製造を受注するのは戦後初となるという。今回受注した「2タカ貨幣」はステンレススチール製で、日本円で約2円に相当する。直径は24ミリメートル、重さは5.5グラム。バングラデシュ初代大統領ムジブル・ラーマン氏の肖像と、バングラデシュの国章をあしらっている。製造枚数は5億枚。バングラデシュ中央銀行は7月14日に入札を実施し、日本のほかスロバキア、オランダ、ドイツ、スペイン、イギリスの計6カ国が参加。11月8日に日本が最も低い約5億2,000万円で落札した。製造は年明けから開始し、2013年4月頃からバングラデシュに納入する予定。今年は日本とバングラデシュの国交樹立40周年の節目に当たる。同省は「今回の受注は、両国間の一層の関係強化にも貢献するものと考えている」としている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月14日