東京・六本木にあるIMA CONCEPT STORE内のIMA galleryにて開催されている写真家・西村裕介の写真展「The Folk」のクロージングイベントとして、最終日である4月2日に西村とNORITAKA TATEHANAのクリエイティブディレクター・舘鼻則孝によるトークショーが開催される。写真展「The Folk」は、西村裕介が日本各地の郷土芸能を撮影した写真集『The Folk』をもとに開催されるもの。明治神宮の祭事で郷土芸能に出会い、その強烈な魅力に魅せられた西村裕介は、以後3年半に渡り日本各地で受け継がれてきた伝統芸能を追い続けてきた。島根県にある津和野弥栄神社の「鷺舞」や、佐賀県市川の「天衝舞浮立」、沖縄県宮古島の「パーントゥ」などの演者の姿を黒幕の前で撮影することで、神聖さとともに猛々しい躍動感を捉えた写真作品の数々を展示する。今回のトークショーでは、今年3月にパリのカルティエ現代美術財団にて開催された、日本の民族芸能のひとつである「人形浄瑠璃文楽」の舞台「TATEHANA BUNRAKU : The Love Suicides on the Bridge / Nomadic Nights」の監督を手掛けた舘鼻則孝が登壇。世界を舞台に活躍する舘鼻とともに、日本文化を世界に伝える意味についてトークを行う。参加の申し込みはオフィシャルサイト()にて。【イベント情報】写真展「The Folk」のクロージングイベント会場:IMA gallery住所:東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3階会期:4月2日時間:17:00~18:00入場無料
2016年03月29日第37回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)PFFアワード2015の表彰式が9月24日に、東京都国立近代美術館フィルムセンターで行われ、21歳(応募時)の杉本大地監督が手がけた『あるみち』がグランプリを受賞した。PFFアワード2015入選作品はこちら主人公の杉本大地を監督本人が演じるほか、実際の友人や母親も出演する本作は、監督自身の体験を再現し、浪人時代を経て大学に入学してからの日々を描く。杉本監督は「自分の物語として撮らせてもらった。意識したのは、どんなエモーションがあるものを撮れるかということ。内にある爆発、現場の空気や匂いが撮れないかと考えていたので、それをくみ取っていただき、とても嬉しいです」と受賞の喜びを語った。中山剛平監督の『したさきのさき』は、一般審査員による映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)をはじめ、ジェムストーン賞(日活賞)、エンタテインメント賞(ホリプロ賞)の3冠に輝いた。片思いの相手に対し、常軌を逸した妄想を膨らませる異色青春映画で、中山監督は「中学時代のドキドキした実体験を、スクリーンで見ればきっとドキドキするんじゃないかと思い作った作品。自分が見たことない映像を見てみたいという思いもあった」と感激していた。表彰式には最終審査員を務めた奥田瑛二(俳優・映画監督)、阿部和重(小説家)、熊切和嘉(映画監督)、西村義明(プロデューサー)が出席。グランプリを受賞した『あるみち』について、阿部氏は「杉本さんにしか撮れないものが、画面から伝わり、現場で映画が作られている感覚があった」、熊切監督は「鮮度の高さがズバ抜けていた」と評していた。映画の新しい才能の発見と育成をテーマに1977年からスタートし、今年で37回目を迎えるPFF(ぴあフィルムフェスティバル)。今年はアワード応募総数577本のうち、20本が入選した。第37回PFFぴあフィルムフェスティバル10月3日(土)から9日(金)まで 京都シネマ10月31日(土)から11月3日(火・祝)まで 神戸アートビレッジセンター11月12日(木)から15日(日)まで 愛知芸術文化センター2016年4月(予定) 福岡市総合図書館で開催取材・文・写真:内田 涼
2015年09月24日12日(土)に東京国立近代美術館フィルムセンターで開幕する第37回PFF(ぴあフィルムフェスティバル)のメインプログラム“PFFアワード”の最終審査員が決定した。その他の画像“PFF(ぴあフィルムフェスティバル)”は、世界最大級の自主映画コンペ“PFFアワード”をメインプログラムに据えている映画祭。今年も全国から集まった577作品の中から20作品が入選作に決定。全作品が映画祭で上映され、各賞が決定する。また、“サミュエル・フラー~誰もが憧れた奇跡の作家~”や、“映画内映画~映画は映画をつくることをどのように描いてきたか~”などの特集も開催される。最終審査員は、俳優で映画監督の奥田瑛二、映画監督の大友啓史、小説家の阿部和重、映画監督の熊切和嘉、プロデューサーの西村義明の5人。審査員は毎年、違う顔ぶれで、討議の上で各賞を決定。24日(木)に東京会場で表彰式が行われる。第37回PFFぴあフィルムフェスティバル9月12日(土)から24日(木)まで 東京国立近代美術館フィルムセンター10月3日(土)から9日(金)まで 京都シネマ10月31日(土)から11月3日(火・祝)まで 神戸アートビレッジセンター11月12日(木)から15日(日)まで 愛知芸術文化センター2016年4月(予定)福岡市総合図書館で開催
2015年09月01日第87回米国アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされた高畑勲監督『かぐや姫の物語』のプロデューサー西村義明と、同作で中心的な役割を果たした百瀬義行が再タッグを組んだ映像作品「JR 西日本 SUMMER TRAIN!」が本日より公開された。北陸から九州まで、美しい海、山、川といった自然はもちろん、歴史ある寺社や史跡など魅力的なスポットの多い西日本エリア。多くの人に列車で訪れてほしいというJR西日本の思いが込められた映像作品は、3世代家族によるかけがえのない瞬間を描き出した内容となっている。西本家の旅の始まりは駅のホームから。不機嫌な鉄太に、やさしい声をかけるおじいちゃん。しぶしぶ列車に乗り込んだ鉄太だが、列車が動き出した瞬間に、頭の中は一気に夏休みに!青い海に山でのバーベキューと夏を楽しむ西本家の姿が映し出される。百瀬監督のもとに多くのジブリ作品を手がけたアニメーターや美術スタッフが参加した本作は、どことなく『となりのトトロ』の山や『崖の上のポニョ』の海を想起させる。特に注目すべきは、絵画表現とCG技術の融合した新幹線の走行カット!背景美術とCGを融合させて動かすという新たな「列車表現」に挑んでいる。さらに圧倒的に楽しく明るい家族を描こうという演出方針のもと、家族みんなのワクワク感を創出するために、現場では大人もこどももジャンプしたり、その場で走りながらのアフレコを敢行したというのだから驚きだ。同日公開となったテレビCMでは、「軍師官兵衛」「MOZU」など数多くの映画やテレビドラマ音楽を手がける作曲家の菅野祐悟を迎えたバージョンを放送。楽しそうな家族3世代の表情に、思わず見ているほうも「出かけたい!」という気持ちになってしまうワクワク感あふれる映像作品に仕上がっている。スペシャルサイト「SUMEER TRAIN WEB」では、夏のおでかけにおすすめのスポット情報を始め、家族そろって楽しむことができるコンテンツを順次展開予定だという。(text:cinemacafe.net)
2015年06月24日スタジオジブリ最新作として現在大ヒット公開中の『思い出のマーニー』。このほど、“美人すぎる女子アナ”として話題になっているフリーアナウンサーの伊藤綾子ら、ジブリファンを公言する出演者たちが語り合う特別番組「ジブリのことが大すき。」が、インターネットの無料映像配信サービス「GyaO!」にて配信されることが決定。本作の西村義明プロデューサーに突撃電話取材を敢行し、制作の裏話が明かされていることが分かった。『借りぐらしのアリエッティ』(’10)の米林宏昌監督が、4年ぶり2作目の長編作品としてメガホンを取った本作。イギリスの作家ジョーン・ロビンソンによる同名児童文学を原作に、海辺の親せきの家に預けられることになった少女・杏奈(高月彩良)と、海辺に佇む“湿っ地屋敷”に暮らす金髪の少女・マーニー(有村架純)とのひと夏の“思い出”が描かれている。本作の公開を記念して配信される「ジブリのことが大すき。」は、座談会形式で本作だけでなく、ジブリ作品について大いに語り合う、ジブリ好きの、ジブリ好きによる、ジブリ好きのためのトーク番組。日本テレビの夕方ニュース「news every.」でカルチャーやスポーツ、エンタメのコーナーなどを担当し、一部ネットユーザーから“美人すぎる女子アナ”として熱烈な支持を得ている伊藤アナウンサーを始め、国民的美少女コンテストから生まれた次世代ユニット「X21」の若山あやのと山崎紗彩、映像研究家の叶精二が参加。特に伊藤アナは、TOKYO FM「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」で鈴木敏夫プロデューサーと親交があり、『コクリコ坂から』(’11)では声優出演も果たしたジブリ通だ。本番組では、『思い出のマーニー』の感想や、ジブリトリビアなどを語ったり、MCを務める映画パーソナリティのコトブキツカサによる“好きなジブリキャラクター”による心理分析などが行われる中、本作プロデューサーの西村氏による電話出演も実現。西村プロデューサーは、原作のイメージにぴったりくる“湿地”を探すための北海道でのロケハンや、話題の主題歌を歌ったL.A.のシンガー・ソングライター、プリシラ・アーンとの出会いについて語り、「実は彼女に決定したのは完成約4か月前のぎりぎり。もしかしたらこの作品には主題歌がなかったかも知れない状況でした(苦笑)」と、冷や汗ものの裏話があったことも明かしている。さらには、いまだから語れる前作『かぐや姫の物語』(’13)での高畑勲監督とのエピソードも!「映画完成時、高畑監督が『まだやっていたい』と言っていたのですが、正直自分は『いい加減終わらしてやる』って思っていましたよ (笑)」と赤裸々に語り、プロデューサーとして、とことんこだわり抜く高畑監督との “対決”も激白しているという。『思い出のマーニー』公開記念番組「ジブリのことが大すき。」は、「GyaO!」にて7月30日(水)より配信中。全5回予定。『思い出のマーニー』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:思い出のマーニー 2014年7月19日より全国東宝系にて公開(C) 2014 GNDHDDTK
2014年07月30日7月19日に公開されるスタジオジブリ最新作のアニメーション映画『思い出のマーニー』の追加キャストとポスタービジュアルが発表された。先日、スタジオジブリの西村義明プロデューサーによるブリーフィングにおいて、杏奈役の高月彩良、マーニー役の有村架純というダブルヒロインが明らかになった本作。今回は彼女たちの瑞々しい演技を支えるキャストとして、杏奈の養母・頼子役に松嶋菜々子、杏奈が憧れる女性・久子役に黒木瞳、杏奈がお世話になる夫婦の妻・大岩セツ役に根岸季衣、夫・大岩清正役に寺島進、悲しみに暮れる老婦人役に森山良子、湿っ地屋敷の使用人・ばあや役に吉行和子という豪華な面々が名を連ねている。森山は、劇中歌も担当しているという。また、公開されたビジュアルは、本作の米林宏昌監督が世界観を一枚画で表現したデザインで、6月14日より全国の劇場で掲出される。長編アニメーション映画への声優参加は初となる松嶋は、「アフレコはあまり経験がないので最初はスタジオの雰囲気にのまれて声が小さくなってしまったり、また映像のと自分の演技を合わせていくことに苦戦しました」と吐露したが、米林監督をはじめとした現場の優しくおっとりした雰囲気で緊張は和らぎ、演じきることができたという。松嶋の起用は、本作の配役の中でまず最初に決まったキャストであり、西村プロデューサーは「母としての心配と不安、同じく母としての愛と決意。今のお母さんたちに共感してもらえるであろう頼子の両面を声で表現できるとしたら、それは誰か。求めた母の声は、松嶋菜々子さんにあると感じた」と語っている。また、『それいけ!アンパンマン ロールとローラ うきぐも城のひみつ』(2002年)のローラ姫役、『Mr.インクレディブル』(2004年)ヘレン・パー役などの声優経験がある黒木は、ジブリ作品は『風の谷のナウシカ』からファン。声優については「キャラクターに声を吹き込むと少しずつ一心同体になっていく感覚を感じられるので、声のお仕事は好き」と話し、本作を「主人公杏奈の成長物語でありながら、人間が成長する上で必要な条件の一つ"愛される事"に焦点をあてた愛の物語」と解説している。役柄は杏奈憧れの女性だが、西村プロデューサーは「大人の女性の色気、そして子どもに寄り添うような優しい声が欲しかった」と説明。昨年末の大地真央との対談で黒木の声を聞き、そこからオファーに至ったという。『思い出のマーニー』は、英作家のジョーン・G・ロビンソンが1960年代に発表した児童文学が原作で、米林監督にとってデビュー作『借りぐらしのアリエッティ』(2010年)以来、4年ぶりに手がけるアニメーション映画。脚本は『借りぐらしのアリエッティ』で脚本を担当した丹羽圭子氏、『もののけ姫』(1997年)で作画監督を務めた安藤雅司氏、米林氏の連名で、音楽はピアニストで作曲家の村松崇継氏が担当。舞台を日本に移し、主人公アンナとマーニーの交流が描かれる。(C)2014 GNDHDDTK
2014年05月28日女優の有村架純がスタジオジブリ最新作『思い出のマーニー』で、ヒロインのひとりであるマーニー役で声優を務めることが明らかとなった。有村さんが、アニメ作品に出演するのは初めて。昨年末、約300人が参加するオーディションが開かれたそうだが、“即決”で大役を掴んだ。イギリスの作家ジョーン・ロビンソンによる同名児童文学を原作に、海辺に暮らす親せきに預けられることになった少女・杏奈と、海辺に佇む“湿っ地屋敷”に暮らす金髪の少女・マーニーがひと夏を過ごし、ある秘密を分かち合う姿が描かれる。メガホンをとるのは『借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌監督。原作ではイギリスが舞台だが、今回の映画化では北海道に舞台を移し、主人公の名前も“アンナ”から“杏奈”に変更された(※マーニーは原作と同じ)。あくまで主人公は、杏奈とマーニーの2人であり、いわば“Wヒロイン”。奇しくも現在大ヒット中のディズニー作品『アナと雪の女王』との共通点も注目を集めそうだ。4月14日(月)、都内で発表会見が行われ、西村義明プロデューサー(『かぐや姫の物語』)がキャスティングを含めた、本作の概要について説明。Wヒロインのオーディションは、昨年末に3日間行われたと言い「300人ほど集まってもらい、杏奈とマーニーの声を決めようと。実は1日目の1人目が有村架純さんで、麻呂さん(米林監督の愛称)とも『あっ、マーニーは見つかったな』と…」(西村プロデューサー)。起用理由については「あまり物語について詳しくは言えないが、マーニーは杏奈が憧れるような存在。有村さんの声も存在も、それにあてはまる。実は『かぐや姫の物語』で忙しくて、僕も麻呂さんも『あまちゃん』は見ていなくて…。有名な女優さんだと知らなかった」と語った。一方、もうひとりのヒロイン・杏奈を演じるのは、5人組グループ「bump.y」のメンバーで女優の高月彩良。こちらもアニメ作品で声優を務めるのは初めてとあって、有村さんとのフレッシュな共演に期待がかかる。以下、高月さんと有村さんのコメント【高月彩良/杏奈役】「最終オーディションは緊張の連続でした。結果はまた後日と言われるのかなと思っていたら、その場で米林監督から「あなたが杏奈です」と言われ、一瞬何のことだかよく分かりませんでした。ですが、周りの方々から「おめでとう!」と言われ、台本を渡されたとき「杏奈が私!?」と一気に鳥肌が立ちました。夢なら醒めないでと心から願いました。夢じゃないと分かった今は、声優も初挑戦の中、こんなに大きな役が私に努めるのかという不安と、絶対に素敵な作品にしたい!という気持ちが入り混じった状態です。一生懸命に杏奈を知って、杏奈に命を吹き込むことができたらいいなと思っています。ちなみに、私は『もののけ姫』が公開された年に生まれました。ですが、生まれる前のスタジオジブリ作品もすべて観て、どれも大好きな作品です。『思い出のマーニー』も、世代を超えて、深く長く愛される作品になるように、精一杯頑張りたいと思います」。【有村架純/マーニー役】「オーディションを受けたとき、正直受からないだろうな。でも思い切って演じよう!と思って、その時初めて目を通した台本を読みました。声だけで表現しなくてはいけない難しさを、その瞬間でも感じましたが、自分なりに表現してみたことが結果に繋がったことが本当に本当に嬉しく思っています。スタジオジブリ作品は小さい頃から観てきた作品です。数々の役者さんがアフレコをしてきた中、自分もその憧れの世界に飛び込んでいけることに、不安ももちろんありますが、今は監督やキャストの方々と、素晴らしい作品を作るぞ!という前向きな気持ちでいっぱいです。初めてのアフレコで分からないことばかりですが、全力で挑んでいきます」。『思い出のマーニー』は7月19日(土)より全国にて公開。(内田涼(cinema名義))
2014年04月16日昨年公開された『かぐや姫の物語』をプロデュースしたスタジオジブリの西村義明氏が3月21日(金・祝)、東京・新宿バルト9でトークショーを行った。ジブリ新時代を担う存在として注目され、夏公開のジブリ新作『思い出のマーニー』も手がける西村氏ってどんな人?この日は「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」が特別企画した3夜限定の上映会「これが出発点だ。」の“第1夜”で、高畑勲監督の記念すべき長編アニメ初作品『太陽の王子 ホルスの大冒険』(’68)がニュープリント版で上映された。同作に加えて、宮崎駿監督の初期代表作である『ルパン三世 カリオストロの城』(’79)、『風の谷のナウシカ』(’84)もスクリーンに復活。どれも現在のジブリを語る上で欠かせない、文字通りの“出発点”だ。西村氏は1977年、東京生まれ。アメリカ留学後の2002年、スタジオジブリに入社した。「若気の至りで映画を作ってやりたいと思っていたが、何をしたらいいのか分からなかった」そうで、入社当初は「著作権や法務を扱う部署で、ひたすら契約書のファイリングをしていた」のだとか。その後、『ハウルの動く城』『ゲド戦記』『崖の上のポニョ』の宣伝に参加し、高畑監督に多大な影響を与えた50年代の仏アニメ『王と鳥』(’06年に日本公開)で宣伝プロデューサーを務めた縁で、高畑監督と出会った。ちょうどこの時期、『かぐや姫の物語』は準備段階にありながら、ほとんど前進が見えない状況だったという。そこでスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが白羽の矢を立てたのが、西村氏。そこから『かぐや姫の物語』が完成するまでの苦闘の8年が始まった。「初めて高畑さんにお会いしてから、監督をお願いするのに1年半。脚本はさらに1年半かかった。ところが出来あがった脚本は、上映時間が3時間半もあって…」と西村氏。さまざまな試行錯誤を経て、当初183ページあったシナリオは、138ページにまで絞られたそうだ。絵コンテの段階になっても、高畑監督のこだわりはノンストップで「ある日突然、高畑さんが『なんで竹が光るんですか?光源はどこですか』って(苦笑)。その答えが出るまで、絵コンテが6週間止まってしまった」(西村氏)。映画は2013年7月、宮崎駿監督の『風立ちぬ』と同日公開される予定だったが、最終的には同年11月23日に全国封切りされた。「最初から無理だったんでしょうね。製作が遅れるなか、夏に公開するか、企画そのものを中止するか決断することになった。鈴木さんに『企画を中止にし、製作にかかった数十億円をドブに捨てる権利を僕にください』と伝えた。すると鈴木さんは『お前が始めたことだからな。いいよ、ドブに捨てても』って…。最終的には4か月遅れで、高畑さんとも意見が合致しましたが。高畑さんは初めて納得してくれましたね。そもそも(『風立ちぬ』との)同時公開には納得していなかったですし」(西村氏)。目下、夏の全国公開に向けて、最新作『思い出のマーニー』の完成を目指している。メガホンをとるのは、『借りぐらしのアリエッティ』で長編デビューを飾った米林宏昌監督。こちらは、演出面でジブリ新時代を担う存在だ。西村氏は「全然、順調じゃないです!夏には公開しますけど。米林監督は現実的で、現状の中で最大限の力を発揮する人。朝10時から翌朝4時まで頑張っています」と現状報告した。そんな西村氏が考えるスタジオジブリ作品の魅力とは?「ピクサーやドリームワークスと違うのは、夢だけじゃなく、悪夢も描いているところ。例えば『となりのトトロ』が夢なら、『火垂るの墓』が悪夢。過去のあやまちや現実に、目を背けてはいけないとアニメーションで訴えるのはジブリしかないと思う」(西村氏)。(photo / text:Ryo Uchida)
2014年03月22日12月13日公開の映画『ゼロ・グラビティ』の公開直前イベントが10日、都内で行われ、第4回国民的美魔女コンテストでグランプリを獲得したタレントの西村真弓が出席した。世界43カ国で興行ランキングNo.1を獲得し、全米週末興行ランキング3週連続第1位を記録するなど、すでに全世界で600億円を突破する興行成績を収めたサンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー主演の本作。この冬最大の話題作がいよいよ日本で公開されるとあって、この日は"ハリウッド最強の美魔女"のサンドラ・ブロックにちなみ、第4回国民的美魔女コンテストでグランプリに輝いた西村真弓を招いたトークショーが行われた。西村は「終わった直後に無気力になるというか、『はぁ~終わっちゃった~』という感じで、非常に孤独と向き合う作品だと思います。サンドラ・ブロックの演技は、演技というより1人の人間性というか、女性が持っている強さを感じさせてくれました」と本作の感想を述べ、同じ美魔女と呼ばれているサンドラ・ブロックを「一言で言うと49歳には見えないですよ。お茶目な女性ですが、作品に向かう姿勢はお茶目から想像できないぐらいに真摯に受け止めている女性だと思います」と絶賛した。観客が女子高生ということで、美魔女の秘訣も伝授。「美の秘けつは、実は目に見えないことだと思います。目に見えないことをいかに大切にするか」と外見の美しさよりも内面の美しさを強調。コンテストでは"ランジェリー美魔女"と謳われたが「17歳から下着にはこだわっていました。人に裸とか身体を見てほしくないと思う人もいると思いますが、体型変化は誰にでも起きます。身体の身体に合ったものをつければ、20年後に必ず差が出ますよ。自分に合ったランジェリーを身につけることが大事です」と女子高生たちにリアルなアドバイスを送った。映画『ゼロ・グラビティ』は、12月13日より3D/2D同時公開。
2013年12月11日スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、12月2日(月)に行なわれた『もののけ姫』のブルーレイ発売記念トークイベントで、「SKE48」の松井珠理奈、松井玲奈と対面。毒舌トークで会場を盛り上げた。鈴木プロデューサーと現在公開中の高畑勲監督作『かぐや姫の物語』で初めてプロデューサーを務めた西村義明プロデューサーの2人のトークで始まった同イベントだが、“もののけ”と“かぐや”という2人の“姫”を語るということで、「SKE48」の2人の姫が花束を手に登場した。鈴木プロデューサーは珠理奈さんから花束を受け取ると「いくつ?」と年齢を尋ね、珠理奈さんが16歳と知ると「いやになっちゃう」と苦笑い。珠理奈さんが「『もののけ姫』の公開の年に生まれました!」と語ると愕然としていた。鈴木さんは「SKEを知っているか?」と質問されると、「知らない!『AKB』とは違うの?」と尋ね、鈴木さんの故郷でもある名古屋を本拠地にした姉妹グループであり、珠理奈さんは「AKB」も兼任しているなどと説明されると「へぇー」と興味深そうに頷く。『かぐや姫の物語』を鑑賞したという珠理奈さんが「もしも自分だったら?と想像したら悲しくて…」と感想を語ると、「君は自分中心の子なの?」とツッコミ、さらに玲奈さんと比べて声が大きいことに触れ「君は気が強そうだね。男をエサに生きていく感じ」とストレートな物言いで会場を沸かせる。珠理奈さんも負けじと「声は大きいけど、心根は優しいんです!」と抗議し笑いを誘っていた。一方、玲奈さんは「小学1年生くらいのときに両親と一緒に『もののけ姫』を見に行った」そうだが、「そのときに衝撃を受けたのが“タタリ神”!ジブリ作品のキャラクターでも一番好き」と少年・アシタカに呪いをかけるグロテスクなタタリ神をイチオシのキャラとして告白。鈴木さんは即座に「アタマおかしいんじゃないの(笑)?」と嘆かわしそうな表情で語り、会場は笑いに包まれた。『もののけ姫』ブルーレイは12月4日(水)発売。(黒豆直樹(cinema名義))■関連作品:かぐや姫の物語 2013年11月23日より全国にて公開(C) 2013 畑事務所・GNDHDDTK
2013年12月03日俳優の西村雅彦率いる「ドリス&オレガコレクション」の第6弾公演『地球の王様』が、10月26日、東京・シアター1010にて開幕した。初日前日の25日にはマスコミ向けに公開リハーサルが行われた。『地球の王様』チケット情報脚本を手がけるのは、「ドリス&オレガコレクション」への参加はこれが4度目となる金子茂樹。また映画『沈まぬ太陽』やドラマ『やまとなでしこ』などで知られる若松節朗が、初の舞台演出に挑戦している。物語はウィルスの感染により、世界中の人々が死に至る事件が勃発したことからはじまる。生き残った6人の日本人たちは、時に衝突しながらも、富士山の山小屋で穏やかな日常を過ごしていた。そんなある日、宇宙飛行士を名乗るひとりの男が山小屋に現れる。彼はウィルスが蔓延する前に宇宙へと旅立ち、地球に戻ると、生命反応が確認出来るのは今この場にいる7人だけになっていたと言う。人類存亡の危機に直面した7人。彼らは残された人類のリーダーとなるべき、“地球の王様”を決めようとするのだが……。“人類再生”という壮大なテーマを掲げながらも、そこに登場するのは食品会社の社員と清掃員という、いわゆるフツーの人々。だからこそ彼らは、嫌味な上司に対して愚痴をこぼすこともあれば、恋愛を巡ってすったもんだも巻き起こす。とても“地球の王様”に選ばれる者とは思えない、身勝手で情けない、でも妙に愛おしい、小市民たちの実像が浮き彫りになっていく。しかしそこに一石を投じるのが、“宇宙飛行士”というトップレベルの肩書きを持つ男の存在。ウィルスさえ無ければ、彼とほかの6人の人生が交わることは恐らく一生なかったであろう。しかし地球上に残された人類は、この7人の男女のみ。そんな状況のなかで彼ら彼女らがどんな決断を下すのか、非常に興味深いラストが待っている。カンパニーを引っ張るのは、やはりベテランの西村。クセのある中年男のなかに見え隠れする、悲哀とかわいらしさを体現させたら、この人の右に出る者はいないだろう。宇宙飛行士役の永井大は、自尊心の強い男ならではの表と裏の顔を使い分け、真骨頂を見せる。ほかに岡田義徳、大塚千弘、浅利陽介、高橋ひとみといった実力派が脇を固め、清掃員役の片桐仁が、独特の空気感と間で客席の笑いを誘っていた。近年の世界の状況を考えれば、この物語が現実になる日もいつか来るのかもしれない。だがそんななかでも生きていく、人間の図々しいほどのたくましさを、この舞台に見た気がした。公演は兵庫、宮城、大阪、福岡と各地を巡演する。なお、東京公演は11月14日(水)から25日(日)まで紀伊國屋サザンシアターにて上演。チケットは一部を除き発売中。取材・文:野上瑠美子
2012年10月26日第144回芥川賞を受賞した西村賢太氏の同名小説を、『天然コケッコー』『マイ・バック・ページ』などを手掛けた山下敦弘監督が映画化した『苦役列車』が 7月14日、全国で封切られ、西村氏と山下監督をはじめ、主演の森山未來、共演する高良健吾、前田敦子(AKB48)、マキタスポーツが東京・丸の内 TOEIで初日舞台あいさつに立った。その他の写真三畳一間に住み、日雇い労働にすがる19歳の青年役に森山を迎え、実力派俳優の高良と、映画オリジナルのヒロインを演じるAKB48の前田が脇を固める本作。原作は壮絶な自身の過去をベースに書き綴った“私小説”だが、西村氏は完成した映画をさまざまなメディアで公に酷評し、大きな話題と熱い議論を巻き起こしていた。舞台あいさつでもその言動に注目が集まったが、この日は「ご覧いただき、ありがとうございます。小説家として終わりかけたときに執筆した思い入れのある作品。妙に図々しさとしぶとさがある小説なので、その部分に皆さんが共鳴してもらえたら、こんなにうれしいことはない」と観客への感謝に終始した。それでも山下監督と言葉を交わすことはなく、いまだ埋められない“距離感”が見て取れたのも事実。今後、両者の確執がどのようにクリアされるか、さらに注目を集めそうだ。山下監督は「毎日、日替わりで面白い人がやってくる、まるでイベントのような現場だった」と多彩なキャストが集結した現場を振り返っていた。主演の森山は「昨日、急に十二指腸あたりが痛くなって、まさかの『体調不良で舞台あいさつ欠席』になるところだった」と同日、公開初日を迎えたライバル作『ヘルタースケルター』に主演する沢尻エリカを連想させる第一声で客席の笑いを誘い、高良は「憧れの山下組で、素敵な経験ができた」と感激しきりの様子だった。また、先日21歳になったばかりの前田は「ぜひ、同世代の人たちに見てほしい」とアピールしていた。『苦役列車』公開中取材・文・写真:内田 涼
2012年07月17日