パソコンのキーボードをたたき続けていると、手の甲から手首、ひじにかけて筋が張ったように痛むことがあります。気付いたら、肩もガチガチにこっています。鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、その対策法を教えていただきました。■15分に1分はケアするのが理想「パソコンの操作中は、手首から指先だけが上下左右に動いています。つまり、手首から腕、肩にかけては力が入って硬直していることになります。これは本来、不自然な動きです。腕の血流が滞って筋肉が萎縮(いしゅく)するため、長時間同じ作業をしていると、動きを支えている手首から腕にかけて痛むのは当然でしょう。できれば15分ごとに30秒~1分間ほど手首のストレッチ、ツボ指圧をしてください」と丸尾先生。ではここで、パソコン操作をしながらのストレッチとツボ押しの方法を教えていただきましょう。1.左右で10秒ずつ、手首をそらすキーボード上でいつでもすぐに実践したいのは、手首そらしです。左手の手首から指先までをデスクに立て、人さし指から小指までをもう一方の手でつかんで10秒ほどそらします。右手も同様に行いましょう。この動作だけで、指先から手首、ひじにかけての血流が促されます。気付いたときにはいつでも行うように習慣付けましょう。2.ツボ・内関(ないかん)を指圧する「内」とは文字通り腕の内側、という意味です。「関」は、東洋医学では血流や気の流れのポイントを表します。腕や手首の痛み全般に効果があります。ツボの位置手首の関節の手のひら側を見ると、横じわが数本あります。もっともひじに近いしわから、自分の親指の幅2本分(20~40ミリ)をひじの方へ移動したところで、痛みやコリを感じる場所を探しましょう。ツボの刺激法もう一方の手の親指で、強めにひと押し10秒ほどを数回繰り返します。腕から中指にかけて痛むときによく効きます。3.ツボ・げきもんを指圧する「げき」とはすき間、「門」は出入り口を表します。骨や肉のすき間にあり、血流や気の流れの出入り口になる場所、という意味です。手や腕の機能を調節するツボです。ツボの位置2の内関から、さらにひじのほうへ自分の親指の幅3本分(40~60ミリ)移動したところ。分かりにくいときは、手首の内側~ひじの内側までのラインをあちこち親指で指圧し、痛みやコリを感じる場所を探しましょう。ツボの刺激法もう一方の手の親指で、強めにひと押し10秒ほどを数回繰り返します。4.ツボ・外関(がいかん)を指圧する2の内関と、場所も名称も相対します。前腕(ひじから手首)の外側にあって、気や血液の流れのポイントとなります。手と腕の痛み、神経痛に関するツボですが、体のむくみにも対応しています。夕方に手がだるい、むくむときにはここを指圧しましょう。ツボの位置2の内関の外側。手首の関節の手の甲側の横じわから、自分の親指の幅2本分(20~40ミリ)をひじの方へ移動したところ。ツボの刺激法もう一方の手の親指で、強めにひと押し10秒ほどを数回繰り返します。5.ツボ・臂臑(ひじゅ)を指圧する「臂」はひじのこと、「臑」は肩からひじまでの上腕部を指します。指を動かす神経が通っているため、腕から指の動きを調整するとても重要なツボです。五十肩など重症の肩こりのときもここを指圧します。ツボの位置ひじから肩のまん中あたり。ひじの曲がり目(親指側)のくぼみ(曲池・きょくちというツボ)から、肩に向かって自分の親指の幅7本分移動したところ。ツボの刺激法もう一方の手の人さし指、中指、薬指をそろえて、強めにひと押し10秒ほどを数回繰り返します。その後、ここを中心に、ひじから肩にかけてのマッサージをしましょう。丸尾先生は、次のアドバイスを加えます。「とにかく、腕から指先にかけての血流を促すことを意識しましょう。ほんの数秒でも、いずれかの刺激をするだけで血流はアップします」15分ごとに携帯電話でタイマーをかけて実践すると、確かに手首、指ともすぐに樂になりました。こういったセルフケアを続けるよう、キーボードから手首をこまめに離すように意識しましょう。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年10月30日「春や秋は快適気温で寝苦しくないのですが、血流が滞りやすい季節でもあります。それが理由で実は眠れていないという患者さんが増えています」と話すのは、鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生。■就寝前と起床時に、ツボの様子を自分で確認丸尾先生は、睡眠とツボの関係について、こう説明を続けます。「睡眠不足のときは、血流が滞るなどで睡眠に関するツボが硬くなっていることがあります。就寝前と起床時に次に紹介するツボを指圧し、いつもと違うかなど、様子をチェックしましょう。また、眠りにくい、よく眠れないときは、寝る前に睡眠を促すツボの指圧を習慣化するというのも一つの方法です。歯磨きやトイレに行くことと同様に眠る前の儀式として行うことで、体に睡眠タイムを知らせるわけです」では次に、自分でチェックとケアができる、睡眠にかかわるツボ&ストレッチを教えていただきましょう。1.ツボ・関元(かんげん)をチェック「関」は「要所」、「元」は「源」で、関元とは元気、生体のエネルギーや活力の源を意味しています。指で押さえてここが硬い、あるいは違和感があるときは、エネルギーが低下していると考えます。不眠症のほか、うつの症状などの精神不安、疲労感が強いときはこのツボをチェックしてください。ツボの位置おへそから自分の親指の幅3本分(40~60ミリ)を下がったところ。ツボの刺激法両手の人さしと中指を重ね、おなかの脂肪がへこむようにソフトにひと押し20~30秒を数回、繰り返します。就寝前や起床時は寝たままで、仕事中ならイスに座った姿勢で指圧してください。冷える時期は、ここにカイロを貼(は)ることをお勧めします。2.ツボ・膈兪(かくゆ)をチェック「膈」とは横隔膜のあたり、「兪」とは東洋医学でいう内臓を調整する「兪穴(ゆけつ)」のこと。背中のコリをほぐし、横隔膜のけいれんをしずめて呼吸を楽にするツボです。上半身の血行を促進し、不眠対策のほか、めまい、のぼせ、せき、吐き気、胃などの不快感全般に対応する特効ツボです。ツボの位置背中側、けんこう骨の下の端を結ぶ線上で、背骨を中心に自分の親指の幅1本半(20~30ミリ)ほど外側。左右に2つあります。ツボの刺激法両手のこぶしを軽く握って両ひじを曲げ、背中側、けんこう骨の方へ引き上げます。ツボの位置あたりをこぶしでぐりぐり刺激し、痛むところを探します。就寝前や起床時は、うつぶせになって指圧してください。手が届かなければ無理をせず、あおむけになって背中にゴルフボールやテニスボール、ツボ押しグッズなどを入れて刺激します。誰かに押してもらうのもよいでしょう。3.ツボ・安眠(あんみん)をチェックその名のとおり快眠を促すツボとして知られています。睡眠不足、肩こり、頭痛があるときなどはこのツボ周辺は硬くなります。名称からして覚えやすいので、頻繁にチェックするとよいでしょう。ツボの位置左右の耳の裏側を指で触ると、頭がい骨の出っ張りがあります。その骨の下、くぼんだ場所を探してください。指で刺激して痛みや違和感があるところです。左右に2つあります。ツボの刺激法後頭部を両手で支え、親指で強めにひと押し10~20秒ほどを数回繰り返します。4.就寝前や起床時のストレッチ熟睡できない、睡眠不足だ、起床時に頭がすっきりしないなどの原因の一つに、肩こりや首痛があります。あおむけに寝たまま、両手を後頭部に回して両手で頭を起こします。すると、首の後ろや肩回りが刺激され、血流が促されます。1回につき10秒~20秒、就寝前には、肩こりや首痛の解消をイメージしながらソフトに1回だけ行います。起床時や昼間には、頭がすっきりするようにイメージしながら、2~3回行いましょう。最後に丸尾先生は、こうアドバイスを加えます。「眠れないからといってツボを強く刺激し過ぎたり、何十回も押すなどをしても意味はありません。就寝前は優しく指圧、起床時にはやや強めに指圧するようにしてください」これらのツボを押していくと、睡眠不足と精神不安、呼吸、肩こり、首痛、頭痛などは密接に関係しているということが実感できます。日々の体調を知るためにもよい方法のようです。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年10月26日慢性的に腰が痛い皆さん、特に、朝起き上がるときには毎日のように痛みがありませんか。鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、その対策法を教えていただきました。■あおむけのままひざを抱える、ツボを押す「1日の始まりは腰痛からという患者さんはとても多い」という丸尾先生は、「いつも腰が痛む人は、がばっと起き上がってはいけません。起床時は筋肉が硬くなっていますから、一気に起き上がると腰に負担がかかって痛みが増すだけです。目が覚めたらまず、少しの時間でも腰や足をストレッチしてから、横向きになってゆっくり頭から起こしましょう」と説明します。ではここで、ストレッチの方法を教えていただきましょう。1.あおむけで足を抱えて腰を伸ばす目が覚めたらあおむけに寝たまま、両腕で片方の足を抱えて20秒ほど腰を伸ばします。もう一方の足も同様に、呼吸は自然で。次に、両腕で両足を抱え、胸の方に引き寄せて同様に20秒ほどキープ。このとき、腰が痛むようなら無理をして抱え込まず、「痛気持ちいい」と思うところまでで止めておきます。一度足を伸ばしてからまた抱えることを繰り返すと、少しずつ伸びるようになります。2.両足の側面をさする両足を胸のほうに引き寄せて、両手のひらで、ふとももの側面からひざまでを上下に20~50回ほどさすります。ここは腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)が通っているところで、ランニングや自転車などの運動によって炎症を起こす人も多いので、座っているときなど、いつでも行ってください。3.ツボ「風市(ふうし)」を刺激する腕を下にまっすぐ伸ばしてふとももの外側につけたとき、中指の先端が触れるところが「風市」です。そこを指や手のひらでひと押し5~20秒ほどを数回繰り返し刺激します。風市は、腰痛の一つの原因である坐骨(ざこつ)神経痛や股(こ)関節痛、また、下半身のまひのケアなどに効果があります。立っているとき、デスクで座っているときにも指圧してください。■うつぶせで腰をさするだけで複数の効果あり4.うつぶせで腰をさするうつぶせになり、両手で背中の腎臓あたりから腰にかけて、手を上下に動かしながら50~100回ほどさすります。この動きは、単純で簡単なのですが、実はかなり効果があるのでお勧めです。というのも、うつぶせになることそのものが腰痛緩和になること、手の体温と指圧で腰の筋肉が柔らかくなること、さらに、けんこう骨を同時に動かすことになって肩こりの緩和にも役立ちます。立ったままやデスクワーク中でもどこででもできるので覚えておいてください。両手でこぶしを握って、腰回りを軽くトントンとたたくのも良いでしょう。5.うつぶせでカエル足に「うつぶせになって、片方の足のひざをウエスト位置まで持ち上げます。ウエストとふともも、ひざは各90度に保って20秒ほどキープ。もう一方の足も同様に行います。両足を同時に行うのは難しいので、片方ずつでいいでしょう。股関節を柔らかくして腰痛を改善します。6.コブラのポーズ起きているときには腰は、常に前かがみになっています。特に、猫背の人は思い当たるでしょう。体の部位はどこでも、同じ姿勢、じっとしていることはよくありません。よって、いつもと違う方向に伸ばすように心がけてください。5の後に、両手を肩の下あたりについて、上半身だけを起こします。ヨガでいう、コブラのポーズです。そのまま20秒ほどキーブしましょう。最後に丸尾先生は、「朝は体が硬いので、思うように伸びないとか痛みが起こることがありますが、焦らずあきらめず、気長に行いましょう。繰り返すうちに伸びていきます。全部行っても、3分程度です。この間に全身の血流が促されて目も覚めてきます」とアドバイス。取材の日から毎朝、実践しています。平日は2~3分、休日はゆっくり繰り返して10~20分ほど行っていますが、筆者の場合は開始したその日から、起き上がるときのあの嫌な痛みはなくなりました。ぜひお勧めします。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年10月24日だるい、疲れる、食欲がない。気温が高くなると毎年のように襲ってくる夏バテの症状。そこで、鍼灸師(しんきゅうし)で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、その対策のためのツボを聞きました。■ラップの芯で足の甲を刺激する「夏バテでの症状を、脱力感、疲労感、食欲減退の3つのポイントで考えて、自分で指圧できるツボをご紹介します」と丸尾先生。早速、教えていただきました。1解渓(かいけい)―けだるさなど脱力感に解は「解く、ほどく」、渓は「谷」の意味合いがあり、解渓とは、足と下肢部(かしぶ)の境目、谷間を表します。ここを指圧すると全身へのリンパ、血液の流れが促され、だるさやむくみが改善されます。足先がじーんとするようなしびれやこわばりにも効きます。ツボの位置足首の前、中央のへこんだくぼみ。足首をすねに向かって曲げたときにできる横じわから1~2センチほど上。ツボの刺激法親指でひと押し5~10秒の指圧を繰り返します。また、すりこぎやラップの芯で、このツボから足の甲全体をゆっくり、1~2分ほど転がすのもお勧めです。2湧泉(ゆうせん)―だるい、疲れやすいなど脱力感、疲労感に生きるエネルギーがわくツボとして、万能の役割があると言われます。体力とスタミナをアップする効果があり、血流を整えるため、のぼせ、冷えにも効きます。また、バテ気味のときに起こる気の落ち込みや高ぶりといった、気分を整えるツボでもあります。ツボの位置足の裏にあり、足の指をすぼめたときにできる「人」という字の中央部分。ツボの刺激法両手のひらで足をかかえ、親指でぐいぐい、ひと押し10~30秒の指圧を繰り返します。デスクワーク中には、ゴルフボール、ラップの芯などを床に置き、足の裏で押さえながら回転させると、刺激をすることができます。3鳩尾(きゅうび)―食欲がないときに一般的には「みぞおち」と読みますが、ツボの名称では「きゅうび」です。ツボの場所が、鳩の尾の形に似ていることからこう呼ばれています。胸の最下部で胃の上部にあたり、疲れたときのイライラや憂うつ感、また、怒りや緊張などで食欲がなくなるとこのツボはかちかちに硬くなります。暑さがうっとうしいことによる精神的疲労、不眠、動悸(どうき)、息切れをも改善します。ツボの位置左右のろっ骨の下のへりを指でなぞり、中心で合わさった部分の1~2センチ下のへこんだ部分。ツボの刺激法両手の人さし指と中指を重ねるようにあて、息を細く吐きながら、みぞおちの上のほうに向けてひと押し10~30秒の指圧を繰り返します。硬いときは指圧をしながら、自分で徐々にほぐしていきます。このツボから胃にかけて手のひらでさするだけでも緊張がほぐれる、胃をいたわることになり、効果があります。また、鳩尾から、自分の親指の幅1本分(約1~2センチ)下、みぞおちのまん中あたりに、「巨闕(こけつ)」というツボがあります。食欲不振のほか、胃炎を起こしているとき、下痢、吐き気がある、胸やけがするときにも効きます。さらに、このツボは息切れ、動悸、胸痛にも対応します。両手の人さし指と中指を重ねるようにあて、息を吐きながらやや上のほうに向けて10~30秒の指圧を繰り返しましょう。ツボの効能に加え、暑さ対策には、血液やリンパ、気の巡りが大事なのだということが分かりました。バテてぐたっとなる前に、これらのツボを刺激して全身の活力をアップしましょう。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年08月05日突然、ふくらはぎや足の甲、指先にかけて激しい痛みが走るこむら返り。なぜあのような痛みが走るのでしょうか。また、自分でケアする方法はあるのでしょうか。鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、その対策ツボを教えていただきました。■口から息を吐きながらゆっくりと指圧する丸尾先生は、こむら返りの原因について、次のように説明します。「こむら返りを起こすと、筋肉が硬直し、けいれんを起こしてひきつるような感覚と激痛を覚えます。痛みは、数秒から長くても2分程度でおさまりますが、急に痛むので驚き、慌てることもあるでしょう。水泳やジョギングなどハードなスポーツを急に行った、長時間のデスクワーク後に急に立ち上がった、また、冷えているとき、寝ているときや夏の疲労時などによく起こるようで、原因は、水分不足、疲労、ビタミンやミネラル不足、冷えなどと考えられています」また、丸尾先生は、「こむら返りは、『ふくらはぎ』と『すね』につながる筋肉で起こることが多い」と言い、「これらの筋肉のツボを知っておき、痛みが起こったら焦らずに、口から息を吐きながらゆっくりと筋肉を伸ばしたり、指圧するようにしてください」と話します。ではここで、こむら返りに効くツボを教えていただきましょう。■ふくらはぎの筋肉が原因と考えられる場合のツボ1.委中(いちゅう)「委」とは、「曲がる、ゆだねる」、「中」は「中央」の意味があり、足の痛み、足のしびれ、ひざの痛み、腰の痛み、また、腰のだるさなどに効く特効ツボです。ツボの位置ひざの裏の関節の真ん中。ツボの刺激法このツボは、あまり力を入れずに、さする、なでるぐらいの指圧でよいでしょう。刺激がほしい場合は、足を伸ばし、中指でゆるくひと押し10秒~1分を数回、繰り返します。また、いすに座ってひざを両手で包み込み、中指で委中を押しながら足を前後に振ると、刺激が柔らかめに伝わります。2.承筋(しょうきん)ふくらはぎの筋肉の痛みに効くツボです。足の筋肉にたまる老廃物(むくみの原因)の蓄積を防ぎ、こむら返りのほか、むくみ予防の効果もあります。さらに、腰痛で腰からひざの裏にかけての痛みやだるさがある場合も刺激を加えましょう。ツボの位置かかととひざの後ろの間で、ふくらはぎの最も盛り上がっているところの中央。ツボの刺激法ふくらはぎのけいれんが治まってきたら、両手の親指の腹でゆっくりと、ひと押し10秒~1分を数回、もみ込むように指圧し、筋肉の緊張を解いて血流を促します。痛みがあるうちは、ここをゆっくりなでるだけでよいでしょう。■すねの筋肉が原因と考えられる場合のツボ3.足三里(あしさんり)こむら返りが起こったとき、その原因となる筋肉がどのあたりなのか分からない場合は、この足三里を指圧しましょう。足の疲労、腰痛の改善にも効く、下半身の疲労に対する万能のツボです。こむら返りが起こりやすい人は、足が疲れたらまず、このツボを刺激するようにしましょう。ツボの位置すねの骨の外側、筋肉の盛り上がりの上、少しくぼんでいるところ。親指で強く押すと違和感があるところ。ツボの刺激法ひと押し10秒~1分を数回、親指でグッと強めに指圧します。4.太衝(たいしょう)東洋医学では、「衝」という字が使われていると脈拍を感じるツボを表します。太衝はその一つで、大きな拍動に触れるところです。足の痛み、足先の冷え、泌尿器や生殖器の不調、さらにイライラなどの精神的な症状にも効果があります。ツボの位置足の親指と人さし指の間を指で足首のほうにたどり、親指の骨と人さし指の骨がくっついている部分の手前のへこんだところ。ツボの刺激法ひと押し10秒~1分を数回、人さし指や親指で指圧します。おきゅうをするのも効果的です。最後に丸尾先生は、アドバイスを加えます。「繰り返しこむら返りが起こる場合は、痛みのある場所をアイシングし、痛みを取り除いてからツボの指圧を行いましょう。また、日ごろからこれらのツボを指圧したり、おきゅうをしたりと、ケアをしておくことが大切です。血流がよくなって筋肉疲労を緩和し、こむら返りの予防になります」あの嫌な痛みにこれらのツボで対抗できるかと思うと、気分的にも楽になります。運動前後にはいつも指圧しておくなど、予防を心がけておきたいものです。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年06月25日今日はどうも口臭がきついような気がする、というときはありませんか。仕事で大事な会議や打ち合わせ、さらにデートの約束がある日にこれはつらい……。そこで、鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、「オフィスや電車で自分で押せる口臭予防ツボ」を教えていただきました。■唾液(だえき)を促すツボを刺激する口臭の主な原因について、丸尾先生はこう話します。「口腔(こうくう)の問題、内臓の疾患、ストレスなどさまざまな原因が考えられます。一般的に、口の中が渇く、唾液(だえき)が少なくなる、歯周病、また、東洋医学で言う『胃熱』のとき、つまり、疲れなどで胃に熱がたまっているような場合に出る口臭の場合は、次のツボを刺激してください」1.湧泉(ゆうせん)足の裏にある、「押せば命の泉湧く」で知られるツボ。刺激をすると、疲労回復、リラックス、それに、唾液(だえき)を促す効果があります。足のむくみ、全身のだるさ、ストレスがあるときにも有効です。ツボの位置:足の指を曲げたときに足の裏にできる「人」の字の中央、少しへこむところ。ツボの刺激法:いすに座り、足をもう一方の太ももに乗せ、親指で少し強めにひと押し10秒~1分ほど、刺激を加えます。オフィスなら、ゴルフボールなどを床に置いて足の裏でコロコロ転がしながら刺激するといでしょう。靴を脱ぎ、足の指をぎゅっと曲げる、伸ばすを繰り返すだけでも刺激になります。2.翳風(えいふう)「翳」は「陰」の意味があり、翳風とは、「陰になる場所にあって風を通す」ということを表します。耳たぶの後ろに位置し、歯周病、歯痛、ほおのはれ、これらが原因で起こる肩こり、首の痛みに効果があります。また、顔のけいれん、耳鳴り、難聴にも有効だと知られています。ツボの位置:耳たぶのすぐ後ろにあるくぼみ。押すと、あごや歯、耳に響く感覚があります。ツボの刺激法:人さし指や中指を使い、上下左右に向けて指圧を加える方角を変えながら、ひと押し10秒~1分ほど、いつでもどこででも何度でも、繰り返し刺激します。3.きょう車ほおと下あごに関係するツボで、口や歯、歯ぐきの痛み、ものを咬(か)みしめることができないときに効果があります。顎(がく)関節症(あごの関節周囲で痛みがある、あごのゆがみ、口が開きにくい、かみにくいなどの機能低下の症状)や、顔のむくみに効くツボとしても知られています。ツボの位置:耳たぶの下から、あごの骨に沿って下がると、えらの部分にあたります。そこから上に向かって中指の幅1本分、向かったところ。あごの力を抜くと少しくぼんでいます。ツボの刺激法:人さし指や中指でひと押し10秒~1分ほど指圧する。また、指で押しながら、口を軽く開ける、閉じるを繰り返すと刺激が増します。いつでもどこででも何度でも、繰り返し指圧してください。「疲れをとり、唾液(だえき)腺を刺激して唾液(だえき)量を促すことが重要です」と丸尾先生。ゴルフボールで足の裏を刺激しながら、耳の下やあごの部分を指圧する……これならいつでも簡単に実践できそうで、なおかつ、足や顔のむくみ対策になるのもありがたいです。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分品川緑/ユンブル)
2012年05月27日季節の変わり目や徹夜明け、二日酔い、あるいは特に原因も分からないまま、けだるさ、けん怠感を感じることがあります。鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、「けん怠感や頭をすっきりさせるツボ」について、おうかがいしました。■血流をよくして、体のだるさを解消「オフィスや通勤電車でさっとケアしたいなら、まずは頭部の血流を促すようにしましょう。これからご紹介するツボを中心に、いつでもどこででも、指圧を試みてください」(丸尾先生)1.天柱首のコリがほぐれ、血行が良くなってだるさやぼんやりとした不快感などが和らぎます。ほかにも、頭痛、肩こり、目・鼻・手の痛み、精神疲労やストレスにも効果があります。ツボの位置:後頭部の髪の生え際にある、首の後ろの2本の太い筋肉の両外側にあるくぼみ。ツボの刺激法:手で頭を後ろから包み込むようにして押します。そのまま、頭を前後にたおすと刺激を強くすることができます。2.風池(ふうち)体のだるさを和らげます。二日酔いのときは、僕は、自分でこの風池にハリをしてケアしています。すると、30分から1時間後にだるさやしんどさが軽くなります。ちなみに、風邪の予防にも効果的です。ツボの位置:後ろ髪の生え際沿い、2本の太い筋肉の両外側から左右の耳に向かい、自分の親指の幅2本分ほど離れたところにあるくぼみ。1の天柱と近い位置にあるので、セットで覚えておきましょう。ツボの刺激法:手で頭を後ろから包み込むようにして、左右のツボを親指で同時に押します。天柱、風池ともに反対側の眼球に向かって刺激しましょう。ともに、少し痛いくらいの刺激があるほうが効果があるでしょう。3.承光(しょうこう)頭の上部にあり、意識をはっきりさせてくれます。頭、体、気持ちのけだるさ、頭痛、頭重感、視力減退、目疲れ、鼻づまりのケアにも効果があります。ツボの位置:両方の眉頭(まゆがしら)から真っすぐ髪の毛の生え際へ向かい、そこから自分の親指の幅3本分ほど上がります。さらに、その地点より親指の幅1~2本分ずつ左右へ移動したところ。ツボの刺激法:両手の中指で同時にひと押し10秒~1分、指圧します。もし、左右のどちらか違和感が強いほうがあれば、そちらを長めに刺激してください。最後に丸尾先生は、こうアドバイスをします。「ツボが見つけにくい場合は、おでこから頭部の前側にかけて、いわゆる『前頭葉(ぜんとうよう)』のあたり(トップの画像参照)と、首と後頭部の境目から後頭部のでっぱったあたりまでを中心に、あれこれと指圧してください。違和感を覚えるところが自分のツボですから、そこを探し当て、重点的に指圧をするとよいでしょう」これらのツボを順番に押していると、首から全身に向かってすっきり感が広がるように感じます。ぜひ試してください。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分岩田なつき/ユンブル)
2012年03月10日食べ過ぎた後や飲み過ぎの翌日、胸やけがして集中力を欠いてしまうことはありませんか。オフィスでもケアできる方法として、鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、「胸の不快感に効果的なツボ」を教えてもらいました。■足のすねと胃は直結している「胸やけは、胃酸がのどもとまで上がってきている状態です。つまり、胃の機能を改善させる必要があります。足には胃腸の経絡(けいらく・体内の気の通り道)があり、足を刺激することも効果的です。これらのツボの刺激には、どれも、親指や中指、ツボ押し棒など押しやすいもので、ひと押し10秒~1分ほど指圧をしてください」(丸尾先生)では、ツボの紹介です。以下は丸尾先生談です。1.足三里(あしさんり)胃、腸、冷え性、足の疲れ、全身疲労、体力増強などの特効ツボです。ツボの位置:すねの骨の外側、筋肉の盛り上がりの上、少しくぼんでいるところ。親指で強く押すと違和感があるところ。2.上巨虚(じょうこきょ)・下巨虚(げこきょ)おなかが鳴るときにも指圧しましょう。ツボの位置:「足三里」から親指の幅3本分下がったところに「上巨虚」、上巨虚からさらに親指の幅3本分の下に「下巨虚」があります。3.懸枢(けんすう)胃腸の症状を整えます。また、腰痛の改善にも効くツボです。ツボの位置:背中の両方の腰骨を結んだ線と背骨の交差するところが、腰椎(ようつい)の4番目と5番目の間になります。指で背骨の突起をたどり、腰骨の1番目と2番目の間に懸枢(けんすう)があります。分からなければ、胃の後ろにあたる背骨を指でたどり、違和感がある箇所を見つけてください。4.気舎(きしゃ)ゲップを排出しやすくするツボです。しゃっくり、のどの痛み、首のこりなどにも効きます。ツボの位置:首の前側、のどぼとけの真下に胸の骨があります。その胸骨と鎖骨と境目の上。両方の人さし指で指圧します。5.巨闕(こけつ)あらゆる胃の症状に対応する胃の特効ツボです。ツボの位置:みぞおち。両手を重ねて、中指の先で指圧します。かたい部分があれば、柔らかくなるまで、優しく指圧を続けましょう。丸尾先生は、最後にこうアドバイスを加えます。「ツボの位置は人それぞれ違います。自分で少しずつ位置を変えながら指圧して、痛いところ、気持ちいいと感じるところを探し当ててください」覚えておくといざというときに役立ちそうなツボばかりです。それに、これらのツボを意識していると、食べすぎない、飲みすぎないように気を付けるということにもつながりそうです。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分岩田なつき/ユンブル)
2012年03月08日何やら頭が重い、集中できない、でも大事な会議と打ち合わせがある……。「そんなときは頭がさえるツボをひと押ししてください」と鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生。■頭のてっぺんに特効ツボあり「頭がさえない、頭重感があるときは、原因として、頭部への血流が滞っていることが考えられます。まずは、肩、首、頭への血流を促すことを考えてください」と丸尾先生は話します。1.百会(ひゃくえ)「百」には、「あらゆる」、「たくさんの」などの意味があり、「百会」とは、「体の道すじが一堂に会する場所」を表します。頭のてっぺんにあるので、その意味も分かりやすいでしょう。頭部の不快感全般のほか、めまい、立ちくらみ、乗り物酔い、二日酔い、血圧の変化、疲れ目、鼻づまり、歯茎のはれなど、多くの症状のケアに有効です。ツボの位置:耳を前に折り曲げたときにできる上端から頭のてっぺんに向かって線を伸ばします。さらに、眉間(みけん)の中心から後頭部に向けて線を伸ばし、両者が交差するところ。ツボの刺激法:頭のてっぺんからおなかあたりまで、まっすぐに体の芯をぬくようなイメージで指圧します。親指、人さし指、中指、あるいはボールペンの頭などでひと押し10秒~1分ほどを数回、刺激します。2.通天(つうてん)1の百会に通じ、百会に気を送り込むツボです。特に後頭部からうなじにかけてのこわばりをほぐし、血流を促す特効ツボでもあります。首、肩のこりが原因で頭が重いと感じる場合は、ここを重点的に刺激してください。また、鼻づまり、抜け毛などの症状にも効くことで知られています。ツボの位置:額の髪の生えぎわの中心から、親指の幅4本分ほど後ろにたどり、さらに両耳の方向へ親指の幅1本半ほど下がったところ。1の百会の両側から、少し前よりにあります。細かい場所は気にせずに、頭頂部をあれこれ触って違和感がある場所を探し当ててください。ツボの刺激法:両方の手で頭を抱え込むようにして、中指でひと押し10秒~1分ほどを数回、指圧します。こめかみを親指で同時に押すとさらに効果的でしょう。3.玉枕(ぎょくちん)「玉」は宝玉、「枕」は「枕骨」を指し、枕があたる後頭部にある宝玉のツボという意味合いです。そのとおり、後頭部にあるツボで、頭部の血行を促し、精神的ストレスによって起こる頭痛、頭重感に効きます。ツボの位置:後頭部の一番出っ張ったところから、左右に親指の幅2本分(3~4センチ)離れたところ。ツボの刺激法:親指でひと押し10秒~1分ほどを数回、指圧します。■足の裏のくぼみは、万能のツボここで、おまけとして、自宅や風呂で押すと効果的な特効&万能ツボを一つお伝えしましょう。4.湧泉(ゆうせん)名称のとおり、人がみな、生まれながらにして持っているエネルギーがわき出るツボを意味します。体の疲労感のほか、不安やストレスなど精神的な原因による頭重感、だるさ、寝つきの悪さを改善し、体調を整える特効&万能のツボです。ツボの位置:足の裏で、足の指に力を入れたときにできるくぼみ。ツボの刺激法:両手の親指やツボ押し棒などでひと押し10秒~1分ほどを数回、指圧します。仕事中ならトイレで押す、もしくは、ゴルフボールを足元に置いてこのツボを刺激するなどでも効果があります。頭をしゃきっとさせるためには、頭頂部から後頭部にかけてと、足の裏を指圧すればいいということが分かりました。なんだか理屈にかなっていて分かりやすいツボばかり。ぼーっとするときにはすぐにひと押ししましょう。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年03月07日残業時、おなかが減ってキュルキュル~、帰宅後のドカ食いでまた太る……を繰り返す筆者ですが、なんとか食欲を抑えるツボはないものでしょうか。そこで、鍼灸師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、「自分でできるツボ・5つ」を教えていただきました。■おなかがすいたら耳を触るまず、丸尾先生は、食欲についてこう説明します。「よく、『やせるツボはありますか』と聞かれますが、ここを刺激すれば体重が減る、というツボはありません。体の機能はつながっていますから、『食欲が過多なとき、不足のときに、その人にとってちょうど良い状態に持っていく。体調に応じて食欲を調整する』というのが東洋医学の考え方です。例えば、『ストレスで食べ過ぎてしまう』、『残業続きで、深夜に食欲がわく』、『水分の取り過ぎでむくんでいる』など、それぞれに有効なツボが違ってきます」食欲過多の場合はその原因を追及し、崩れたバランスを整えるためにツボ刺激をうまく活用したいものです。■耳を指で押す、ひっぱる、つまむだけでOKではここで、具体的なツボを指導してもらいましょう。「オフィスでも通勤電車でも、風呂でもトイレでも、どこででも刺激ができるという点で、耳のツボ刺激をお勧めします。『食欲を抑えたい方は、すぐに耳を刺激する』と覚えておくといいでしょう。耳のツボは、最初は探しにくいと思われがちですが、『1点だけを探す』と思わず、『だいたい痛む場所』という観点で探してください」と丸尾先生。1.飢点(きてん)名称は、飢えを解消するという意味。その名のとおり、食欲を抑え、過食を調整するツボとして有名です。どのような体調のときにでも、食欲過多のバランスをとる効果があるツボです。食事の15分~20分ほど前に刺激すると、食べ過ぎを防ぐとも言われています。ツボの位置:耳の穴の前、少しふくらんだところのやや下にあるへこんだ部分。左右の耳にあります。ツボの刺激法:ひとさし指と親指でつまんだり、ひとさし指や中指で、左右のツボを30秒~3分ほど押す、軽くたたくなど、刺激します。自分の脈の速さに対応させるとより効果的です。また、ヘアピンやつまようじの先の丸い方を使い、あちこちを押してみる、あるいは、いろいろな方向から押してみるなどして、痛い箇所を探して刺激します。ただし、あまりぐいぐい押し過ぎると内出血やケガをしやすいので、注意してください。2.胃胃の働きを調整するには、耳のなかの、胃にあたる場所を刺激します。食べ過ぎ、飲み過ぎたとき、胃、腸など、消化器官が不調のときにも有効です。特に、食道につながる噴門部(ふんもんぶ)は右にあるため、右耳のツボを押さえると効果的です。ツボの位置:耳の一番外側の骨を耳たぶから指でたどっていくと、ちょうど耳の中心にたどりつきます。そのやや下あたりの、痛む箇所を探します。ツボの刺激法:ひとさし指や中指で、左右のツボを30秒~3分ほど押す、軽くたたくなど、刺激します。自分の脈の速さに対応させるとより効果的です。3.肺東洋医学で言う「肺」は、脳の視床下部につながっているとされ、自律神経系、ホルモン系などの中枢神経をコントロールする役割があります。過剰な食欲や、血糖値(血液中の糖分の割合)が高くならないと満腹感を覚えないという状態を調整します。ツボの位置:3の胃のツボの数ミリ下、耳の中の平たい部分。耳の穴の入り口の際(きわ)。ツボの刺激法:ひとさし指や中指で、左右のツボを30秒~3分ほど押す、軽くたたくなど、刺激します。自分の脈の速さに対応させるとより効果的です。また、ひとさし指や中指でいろいろな方向に押して、痛む箇所を探します。4.内分泌(ないぶんぴつ)読んで字のごとく、内側の関にあたるツボです。ここが硬い場合は、体のエネルギーの巡りをせきとめている状態。そうなると、イライラ、ヒステリー、不眠、心臓や胃の不調などの症状が現れます。よって、ここを柔らかく保つようにしましょう。ツボの位置:耳の穴のくぼみの一番下。耳の表面ではなく、くぼみの奥にあるので注意してください。ツボの刺激法:ひとさし指や中指で、左右のツボを30秒~3分ほど押す、軽くたたくなど、刺激します。自分の脈の速さに対応させるとより効果的です。また、親指とひとさし指で耳たぶをつまむようにしてもむ、さするなどもしやすい箇所です。5.陽陵泉(ようりょうせん)最後に一つ、胃酸の過剰な分泌を抑制する足のツボをご紹介。足三里(あしさんり)というよく知られているツボがありますが、ここは「胃酸が不足して消化不良のとき」に対応しますが、陽陵泉は、「胃酸過多を抑制してバランスと整える」という役割があります。ストレスで食べ過ぎる、胃が痛むときに試しましょう。ツボの位置:外くるぶしからひざに向かって、親指で上になでで行くと、ひざの下で骨にぶつかります。その下のくぼみ。ツボの刺激法:親指やツボ押し棒などで、あちこちの角度から押してみて、痛みがある箇所を探します。押す、もむ、さするなどを繰り返しましょう。最後に、丸尾先生は「耳は柔らかいので、ツボの場所にこだわらず、全体を指で、『押す』、『ひっぱる』、『つまむ』だけでも十分刺激になります」とアドバイスします。早速、つまようじの丸いほうで刺激してみると、耳のあちこちに鈍い痛みを感じる箇所を発見。「あ、ここがわたしの耳のツボなんだ」と分かりました。ぜひ、探してみてください。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)
2012年02月17日筆者が通う鍼灸整骨院で、「20代の患者さんにこのごろよく聞かれるのは、『腹が立つ気分、怒りをしずめるツボはありますか?』ということです」という話を聞きました。そこで、鍼灸(しんきゅう)師で太子橋鍼灸整骨院院長の丸尾啓輔(まるお・けいすけ)先生に、「怒り、イライラを抑えるツボとストレッチ」について、おうかがいしました。■腹が立つ、イライラするときは、全身がこわばっている丸尾先生は、怒りやイライラを感じるときの体の状態を、こう説明します。「腹が立ったり、イライラしているときは、体のあちこちの関節が緊張で硬くなっていることがあります。ですから、意識的に、手首や足首、肩関節を回す、首筋を伸ばす、股(こ)関節をゆるめるなど、屈伸運動のような軽い運動をするとよいでしょう。心の硬さと体の硬さは直結しますので、体の硬いところをほぐして心に働きかけるわけです」ではここで、具体的なツボとストレッチ法を紹介していただきましょう。1.心兪(しんゆ)と厥陰兪(けついんゆ)を刺激するストレッチ心兪(しんゆ)は、カッとなりやすい、イライラする、ヒステリー、心身症などに対応し、ストレス、精神的ショックなどを和らげるツボです。厥陰兪(けついんゆ)の「厥」とは、血液循環が悪い状態を表します。ストレスが体の内にこもり、体が冷えるときに刺激しましょう。ツボの位置:心兪(しんゆ)は第5胸椎(きょうつい)の外側、厥陰兪(けついんゆ)は第4胸椎(きょうつい)の外側です。ともに、けんこう骨の内側で、背骨をはさんで左右に2つずつあります。ツボの刺激法:自分では手が届かず、うつぶせになって人に背中を押してもらう位置にありますが、この2つを同時に刺激する、自分でできるストレッチがあります。両手を背中に回して、手を組みます。組んだ手を体から引き離すようにし、左右のけんこう骨をくっ付けるようにして背中を刺激しましょう。上半身のこわばりがゆるんでいきます。2.腎兪(じんゆ)を刺激するストレッチ東洋医学では、「腎の臓」に邪気が集まると病気になると言いますが、腎兪は腎臓や泌尿器系、また、呼吸器、神経系、婦人科系、の病気から、不眠症、立ちくらみ、腰痛……などさまざまな症状に対応します。ここを刺激、ストレッチをすることで、全身の筋肉がゆるみ、体が柔和になります。ツボの位置:左右の腎臓の上部、背骨の両脇、左右に2つ。ツボの刺激法:軽くこぶしを握って、腎臓のあたりに手を当てます。そのまま、背中を後ろへ反りましょう。いすに座ったままでも、立ってでも行えます。3.神門(しんもん)「神」は心を、「門」は出入り口を表すと言われ、心臓に異常があればここに違和感が生じます。怒り、ヒステリー、イライラ、心身症、不眠症、動悸(どうき)、胸が痛むときは、すぐにこのツボを押してください。高ぶった感情をしずめます。ツボの位置:手のひら側、手首の関節部の小指寄りの端にあるくぼんだ部分。ツボの刺激法:反対の手の指でくぼみを軽く抑え、グーパーか、または手首を前後にぱたぱたと振ることを繰り返します。4.内関(ないかん)読んで字のごとく、内側の関にあたるツボです。ここが硬い場合は、体のエネルギーの巡りをせきとめている状態。そうなると、イライラ、ヒステリー、不眠、心臓や胃の不調などの症状が現れます。よって、ここを柔らかく保つようにしましょう。ツボの位置:手のひらを上にした前腕の中心線上。手首から指の幅2本分ほどひじの方向へ離れたところ。ツボの刺激法:反対の手の親指で、ツボを指圧する。この付近をもみほぐしても効果があります。5.照海(しょうかい)ツボの名称は、「体に異常があるとき、明らかに邪気が集まる場所」という意味です。小さなことに腹が立つ場合や、特に、女性のイライラ、怒り、月経不順や月経にともなう精神不安や不快な症状に効きます。ツボの位置:内くるぶしの下にある大きなくぼみ。見つけやすいツボです。ツボの刺激法:指で指圧するほか、デスクワーク中や通勤電車では、反対の足の親指で刺激するとよいでしょう。ツボの刺激の仕方について丸尾先生は、次のように説明します。「あまり強く押し過ぎず、自分が『効いているな』と思う程度の強さで、一つのツボにつき30秒ほど、5~10回指圧をします。また、さする、もみほぐす、なども繰り返してください。ストレッチは、『伸びているな』と自覚する感覚を大事にして、いつでも何度でも行うようにしましょう」最後にこうアドバイスを加えます。「カッとなった、むかついた、キーッと感情が高ぶったとき、すぐさまこれらのツボを刺激したり、ストレッチを行ったりしてください。一瞬で、気分が変わるようになります」最近「イライラする」という方は、ぜひお試しください。監修:丸尾啓輔氏。鍼灸(しんきゅう)師。柔道整復師。太子橋鍼灸整骨院院長。太子橋鍼灸整骨院:大阪府守口市京阪本通1-3-10TEL: 06-7176-6289地下鉄谷町線・今里線太子橋今市駅から徒歩1分藤井空/ユンブル)【関連リンク】【コラム】鍼灸(しんきゅう)師に聞く。オフィスで目疲れ解消ツボ・ベスト5【コラム】怒り、疲れ、不安を癒やすツボとは?【コラム】ツボ押してスッキリ!自分で簡単にできる足裏マッサージ
2012年01月12日