前回の「モダンスタンバイ」に続いて、Windows 10の電源周りに関するTipsを紹介しよう。「バッテリー節約機能」とはどんなものか、何ができるのか、概要と操作方法を観ていく。○省電力設定と違う「バッテリー節約機能」Windows 10は当初から「バッテリー節約機能(英語版ではBattery Saver)」を実装している。なぜなら、Windows 10はPC専用OSではなく、Windows 10 MobileやWindows 10 IoTなど、デバイスを問わないOSを目指しているからだ(One Windows構想)。だが、その動作は不明確な部分が多い。バッテリー節約機能を有効にすると「メール」など新着メールを知らせるトースト通知は現れなくなるが、OneDriveの通信は止まらない。Microsoftはバッテリー節約機能を有効にすると、以下のような動作変化が生じると説明している。デスクトップアプリとして動作するOneDriveの同期が止まらないのは、このような理由だ。エクスプローラーとの関係などから、すぐにOneDriveクライアントがUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)化するとは思えないが、今後の改良でバッテリー節約機能の範囲は増えていくだろう。○「バッテリー節約機能」を最初から有効にするバッテリー節約機能は、バッテリー残量が20%を切ると、自動的に有効になる。設定を変更すれば、バッテリー駆動時は常にバッテリー節約機能を有効にすることが可能だ。合わせて「バッテリー節約機能の設定」を解説しておこう。前述した「メール」の新着通知は同期処理が抑止されるため、トースト通知が現れなくなるが、他の通知も「バッテリー節約機能がオンのときも、すべてのアプリケーションからのプッシュ通知を許可する」をチェックオフすれば抑止できる。ディスプレイの明るさが変化してほしくない場合は、「バッテリー節約機能がオンのときは画面の明るさを下げる」のチェックを外す。明るさを手動で変更する場合は、システムアイコンもしくはアクションセンターのクイックアクションから実行すればよい。阿久津良和(Cactus)
2016年02月20日2月18日(現地時間)、MicrosoftはiOSのアプリケーション(以下、アプリ)をUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリへの移植を容易にする「Windows Bridge for iOS」用チュートリアル記事の第3回を公開した。この取り組みは1月20日(現地時間)から始まり、第1回は、iOS用の統合開発環境であるXcodeで単純なToDoリストアプリを作成し、UWPアプリへ移植する方法を解説。第2回は、iOSアプリ開発者向けのVisual Studioツアーを解説していた。今回はiOSの電卓アプリをStoryboard(画面レイアウトや画面間の遷移を管理するUIビルダー。Xcode 4.2から導入された)を使って作成し、UWPアプリ化する手順を解説している。Microsoftは「Project Islandwood」というプロジェクト名でiOS用アプリをUWPアプリ化する取り組みを、開発者向けカンファレンス「Build 2015」で発表し、未完成ながらもオープンソースとしてGitHub上で2015年8月から公開してきた。Microsoftによるチュートリアル記事の公開は、Windows Bridgeの基盤が整いつつあることを示している。他方で「Project Astoria」というプロジェクト名で進めている「Windows Bridge for Android」は姿を見せていない。2015年11月には海外メディアがプロジェクト停滞を示唆する記事を取り上げていたが、Microsoftは進捗状況を明らかにしなかった。阿久津良和(Cactus)
2016年02月19日Windows 10は、かつてコントロールパネルで行っていた各種設定を「設定」に移行させつつある。今回のテーマである省電力設定も、従来の「電源オプション」ではなく「電源とスリープ」がメインだ。Windows 10から加わった「モダンスタンバイ」の概要と確認方法を紹介する。○Windows 10時代の省電力設定モバイルユーザーにとってWindowsの省電力設定は、重要なチェックポイントだった。Windows 10でもこの点は変わらず、コントロールパネルの「電源オプション」を起動し、詳細設定を細かく設定する方が大半だろう。だが、その状況は変わりつつある。Windows 10の電源管理はS3(スリープ)と「モダンスタンバイ(Modern Standby)」という2つの電源モデルを用いている。前者は以前のPCでも使用できたが、後者はWindows 8から搭載した「CS(Connected Standby)」に加えて、稼働条件を緩和したものだ。単純に「CSが進化したもの」と考えた構わない。この機能に対応していると、「S0低電力アイドル(S0 LowPower Idle)=スリープ時」でもWi-Fi接続の維持を始めとするバックグラウンド動作が可能となり、スリープ状態からの復帰も高速化する。PCでもスマートフォン風の電源操作が可能になるのだ。○自分のPCは「モダンスタンバイ」に対応してる?モダンスタンバイはWindows 10からの新機能だが、Windows 7もしくはWindows 8.1をインストールしたPCから、そのままアップグレードしたユーザーも多いだろう。この環境でPCがモダンスタンバイ対応かどうかを確認するには、コマンドラインから電源設定を制御する「Powercfg.exe」を使用すればよい。モダンスタンバイに対応している場合、「以下のスリープ状態がこのシステムで利用可能です」に「スタンバイ(S0低電力アイドル)」が並ぶ。逆に未対応の場合、「システムファームウェアはこのスタンバイ状態をサポートしていません」というメッセージが現れる。阿久津良和(Cactus)
2016年02月19日日本マイクロソフトは2016年2月17日から3月1日まで、伊勢丹新宿本店メンズ館と「ISETAN MEN S×Surface~未来を纏え~」というテーマでコラボレーションし、「Surface Book」や「Surface Pro 4」に代表される約80台のデバイス展示や、最先端のテクノロジーを活用するイベントを開催する。伊勢丹新宿本店メンズ館は「未来のデパートメントストア」の表現手法として、ホログラムを活用したバーチャルショールームを1階で展開。設置したSurfaceでホログラムデータの読み込みや投影を行うほか、週末限定でユーザー自身のコーディネイトを撮影し、ホログラム化する体験もできる。……我々の暮らしはICTでどのように変わっていくのだろうか。そんな考えが頭の片隅をよぎるのが、今回のコラボレーションイベントだ。既に2-in-1 PCは1つのスタンダードスタイルと言え、そのスタイルを前面に押し出したMicrosoftのSurfaceシリーズと、若者向け百貨店の伊勢丹メンズ館は、近未来的なディスプレイとサービスを展開する。報道関係者向けの説明会では、伊勢丹新宿本店メンズ館1階のバーチャルショールームが披露された。Surface Pro 4を使ってモデルを撮影し、ホログラムを利用したディスプレイに映し出す。先述のように週末限定だが、訪れたユーザーが自分のコーディネイトを撮影してホログラム化する体験も提供する。そのほか、全フロアのプロモーションスペースにおいて、Surfaceシリーズを使ったディスプレイやサービスを展開。例えば、バッグと財布のブランド「ペッレ・モルビダ」は、 Surface Pro 4を使ったカスタムオーダーを受け付ける。デジタルデバイスとファッションは、関連性が乏しいように感じるかもしれない。この点について、三越伊勢丹ホールディングス 代表取締役社長執行役員の大西洋氏は、「既にウェアラブルがファッションの一部になっている。ファッションに興味を持つ方が来店されたとき、新しい価値を感じてほしい」と述べた。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏も、「アナログ的なファッションビジネスと、デジタル的なライフスタイルの境目がなくなりつつある」と現状を分析する。今回のイベント期間中、伊勢丹新宿本店メンズ館でSurfaceシリーズが販売される訳ではない。樋口氏は「ライフスタイルとデジタルがシームレスにつながる感覚をアピールしないと、感度の高い方に響きにくい。(Surfaceシリーズが)生活の一部であること示したい」と語り、需要は後からついてくると自信を見せた。大西氏も「お客様とのコミュニケーションツールとしてアピールしたい。モノではなく情報を得るためにご来店いただくことが最優先だが、将来的には(PCの販売なども)視野に入れている」と述べている。さらに樋口氏は「(Microsoftが)タブレットの世界において、少し出遅れたのは認めざるを得ない。だが、現在はSurfaceシリーズによってキャッチアップを図っている最中だ。(当初から訴えていた2-in-1 PCのアドバンテージが)世の中に浸透してきたこのタイミングだからこそ、Surfaceシリーズの特徴であるクール&機能的という部分をコラボレーションでアピールしたい」と、伊勢丹とコラボレーションする狙いを語った。他方で興味深いのが、伊勢丹側のスタンスである。筆者が述べるまでもなく、今の日本を取り巻く経済状況は決して楽観視できるものではない。大西氏も「ファッションという切り口は、これまでのように(市場が)成長する状況ではない」と危機感を示している。だからこそ、今回ようなコラボレーションイベントを開催するのだろう。「進歩の早いICTと掛け合わせた価値創造を、お客様に提供するのが未来型の百貨店」(大西氏)。蛇足だが樋口氏は、日本マイクロソフト入社前にダイエーの代表取締役社長を務めている。約10年ぶりの小売業を目にして「リアル店舗と(日本マイクロソフトが)どのような価値提供すればいいのか難しい部分はある。だが、お客様の感性に直接訴えられる表現力は大きい。ICTとファッションビジネスをつなげることで良い方向に進む」と自身の見方を示した。近いうちにデバイスを"纏う"時代が訪れるのかもしれない。阿久津良和(Cactus)
2016年02月17日Googleは2月16日(現地時間)、機械学習モデルをアプリケーションへ実装するAPI「TensorFlow Serving」をリリースした。11月9日にオープンソース化した機械学習ライブラリ「TensorFlow」で訓練したモデルを、TensorFlow ServingのAPIを使ってクライアントとの入出力に用いることができる。TensorFlow ServingはGPUリソースの使った処理の高速化する。クライアントとの入出力はgRPC(Googleが開発したリモートプロシージャコール)を使用し、同社が16コアのIntel Xeon E5(2.6GHz)マシンを使ってベンチマークを行ったところ、10万クエリ以上/秒の処理が可能だったという。また同社はTensorFlow Servingを利用することで、データ更新に共なる機械学習モデルのアップデートが発生した場合のライフサイクル管理や、多岐にわたるアルゴリズムの実験が可能になるとアピールしている。C++で書かれたコードおよびチュートリアルは、Apache 2.0ライセンスでGitHubからダウンロード可能。対応OSはLinux。阿久津良和(Cactus)
2016年02月17日2月12日、日本マイクロソフトはISVパートナー各社の製品やソリューションの詳細をカタログベースで確認できる「マイクロソフト パートナー ソリューション デジタル カタログ」サイトを公開した。Internet Explorer 10以上のWebブラウザーを対象としているが、Microsoft EdgeおよびGoogle Chromeバージョン48での動作は確認した。話題のソリューションやキーワード、業種などで検索を行い、自身のお気に入りや掲載済みのカタログの編集を可能にしている。現在はMicrosoft Azureに対応した150を越える製品/ソリューションを掲載しているが、今後はOffice 365やWindows対応製品/ソリューションへの拡大も行われる予定。Microsoftおよび日本マイクロソフトは「パートナーネットワーク」と題した協業姿勢を強化し、以前からパートナーの製品/ソリューションを紹介するパンフレットなどを作成していた。今回の取り組みは「マイクロソフト デジタル カタログ」をパートナーネットワークに広げた形となる。デジタルカタログの閲覧に制限はないが、掲載時などは企業名または個人によるID登録が必要となる。阿久津良和(Cactus)
2016年02月16日「Wikipedia」を運営するWikimedia Foundation(以下、WMF)は2月11日(現地時間)、新たな検索エンジン「Knowledge Engine(知識エンジン)」を構築することを明らかにした。「商用検索エンジンが、占有した技術でインターネット上の知識や情報へアクセス経路を固めてしまった」とWMFは開発理由を語っている。John S. & James L. Knight Foundationから2万5,000ドルの支援を行うサイン(2015年9月18日付け)を2016年2月11日に公開したことから、海外ニュースでも大きく扱われた。Wikipedia創設者であるJimmy Wales氏は2008年1月に独自の検索エンジン「Wikia Search」プロジェクトを立ち上げ、アルファ版を公開したが、2009年3月末にプロジェクトを中止している。WMFがJohn S. & James L. Knight Foundationに提出した書類上でKnowledge Engineは6つの分野において注力する。キュレーション構造の品質向上。透明性のあるオリジナルの情報をユーザーに伝える。メタデータへのオープンなアクセスと正確なソース提供。厳格な検索時のプライバシー保護。非広告。コミュニティ構築と情報共有を行うインターナリゼーション。同資料を確認するとWikimedia Foundationは開発に244万5,873ドルの予算と14人のスタッフやハードウェアを提出。WMF Executive DirectorのLila Tretikov氏は2015年6月に開催したスタッフミーティングで話し合い、Knowledge Engineという名前にたどり着いたとWikipedia上で説明している。阿久津良和(Cactus)
2016年02月16日2016年にMicrosoftが開催するイベントとして注目すべきは、3月30日から4月1日(米国時間)にサンフランシスコで行う「Build 2016」である。それを受けて日本マイクロソフトも5月24日から2日間、都内で「de:code 2016」を開催する予定だ。昨年のBuild 2015では、当時のOperating Systemsグループ担当CVPのJoe Belfiore氏がMicrosoft Edgeを発表し、Continuum for Phoneのデモンストレーションも披露した。このように、Build 2016でもWindows 10に関する何らかのトピックが明かされるはずだが、とくに興味深いのは大型アップデートとなる「Redstone (開発コード名)」の存在だ。Microsoft Engineering Systems Team担当CVPのGabriel Aul氏が公式ブログに執筆したWindows 10 Mobile Insider Preview ビルド10586.107の記事から、Redstoneの一端を探ることができる。注目すべきは「Release Preview Ring」と呼ばれる新たなリングを用意した点である。従来は、リスクもあるが最新の「高速リング」と、比較的ローリスクな「低速リング」の2種類だったが、Release Preview RingはCurrent Branchの直前に位置する。Windows Insider Program開始以前のMicrosoftはCTP(Community Technology Preview)版をよくリリースしていたが、それに相当すると言えばわかりやすいだろう。上図はInsider Hubの記事「Insider WDG」の説明をイラスト化したものだ。Canary (カナリア) リングから発する流れは従来どおりだが、Development Branch (以前のWindows Insider Preview Branch) で開発したOSを「リリース前にWDG経由で提供する」というのがポイントだ。Windows 10 November Update時は低速リングを経てリリースに至っていたが、Redstoneではリリースプレビューを経て、さらに多くのユーザーを巻き込んだ広範囲のテストが行われるはずだ。Webブラウザーに関する情報もある。Microsoft Edge担当Director of Program ManagementのJason Weber氏の記事だ。Microsoft Edgeはパフォーマンスなどエンジン部分の完成度は高いものの、日常的に使うWebブラウザーとしては不十分なところが多い。しかし、この記事でWeber氏は次の目標として「拡張プラットフォームの提供」や「アクセシビリティ」「セキュリティ強化や高パフォーマンスを実現する基礎部分の強化」などを掲げている。つまり、Microsoft Edgeリリース当初からアナウンスされていた拡張機能のサポートがようやく始まるということだ。執筆時点でMicrosoftはWindows 10のマイルストーンを公にしていないが、海外のメディアを見ていくと、2016年6月と10月の2回というリーク情報がある。とくに、2016年7月末にWindows 10無償アップグレードが終了することから、2016年6月の線は濃厚だ。阿久津良和(Cactus)
2016年02月15日Windowsストア経由の収集した情報Webページ「Windowsの傾向 - Windowsアプリの開発」をMicrosoftが公開していることを確認した。Windowsストアにアプリケーションを公開する開発者向け情報として、ユーザーの動向や傾向を調査する際に役立つ。Microsoftは「開発するアプリケーションの種類や開発リソースをどこまで注力させるか、判断する際に役立つ」と同ページで説明した。PC&タブレット(すべて/ゲーマー)とスマートフォン向けユーザー動向として、OSの種類(Windows 7/8/8.1/10)やデバイスが搭載するメモリーやストレージ容量、解像度やDirectXのサポート状況をワールドワイドもしくは地域ごとに確認できる。これらの情報を元にすると4Gバイトのメモリーと500GBのストレージを搭載するPCやタブレットユーザーが多い。開発者はこの情報を元にメインターゲットを絞り込めばよい。また、Windowsストアの動向として、カテゴリー別に分類したWindowsストアアプリおよびUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリの人気度や、アプリケーション内購入の傾向なども公開。2015年11月のストア動向は2月4日(現地時間)に詳しい情報を公開したばかりだった(参考記事)。各Windowsに関する情報は、製品利用統計情報の送信に参加しているユーザーから取得し、アプリケーションの動向は購入やダウンロード時に直接収集していると説明している。阿久津良和(Cactus)
2016年02月15日2月15日、MicrosoftがWindows 10アップデートに関するWebページ「Windows 10 release information」を公開したことを確認した。CB(Current Branch)としてこれまでリリースしたバージョン1511(ビルド 10586)、バージョン1507(ビルド 10240)向けに公開した更新プログラムへのリンクを用意。今後はCBB(Current Branch for Business)やLTSB(Long-Term Servicing Branch)向けの情報も掲載される。Microsoftは「新機能へアップグレードするWindows 10の情報を定期的に公開する。本ページでお使いのデバイスが最新のWindows 10へアップグレードしているかなど、保守作業を行うために用意した」と同ページで説明した。ビルドナンバーはマイナーナンバーまで掲載し、執筆時点で最新版となるビルド 10586.104に"Microsoft推奨"のマークが付けられている。これまでのMicrosoftは更新プログラムで変更が加わる詳細情報をナレッジベースで公開してきたが、Windows 10では「累積的な更新プログラム」として情報をまとめるようになった。そのため任意の更新プログラムで、どのようなシステムファイルに変更が加わったのか確認しにくい。この方針は現在も変わらないが、具体的な更新内容は「Windows 10 update history」でも確認できる。阿久津良和(Cactus)
2016年02月15日2月9日(現地時間)、Microsoftは自社の雇用プログラムに自閉症者が参加し、社内で働いた結果を公式ブログで公表した。同プログラムは国連が定めた毎年4月2日の世界自閉症啓発デーに合わせて、2015年4月3日(現地時間)に発表したものだ。同社はプログラム開始後、数カ月で11人の新入社員を雇用している。Xbox Software EngineerのKyle Schwaneke氏は、アスペルガー症候群および自閉症スペクトラムの診断を受けているが、ゲームコンソール用のCortanaに関する開発に努めている。同氏は高校生時代にコンピューター技術のクラスに参加してプログラミングを学んだ時、「初めて他の人を理解する場所に感じた。そして彼らも私を理解した」と語り、Microsoftでの新しい仕事に活かされるとMicrosoft creative content strategistのJennifer Warnick氏は述べている。米疾病予防管理センターによれば、およそ68人に1人が自閉症スペクトラムと確認され、同障がいを持つ約80パーセントの人々が失業している状況にある。文部科学省が2012年に全国の公立小中学校約5万人を対象にした調査結果でも、約6.5パーセントの児童が発達障害児の可能性があることを明らかにした。だが、一部の人々は科学や数学といった特定分野に長けているという報告結果もある。阿久津良和(Cactus)
2016年02月12日2月8日(現地時間)、Microsoftはサイバーセキュリティの基準が概念から実装する時代に変化したことを公式ブログで述べた。ICT技術の進化に伴って生まれるサイバー犯罪に対して、政府や学会などの関係者から多くの提案が出されている状態だが、必ずしもサイバーセキュリティを抑止するものではないという。Microsoftは2015年1月20日(現地時間)に「Six Proposed Norms(6つのサイバーセキュリティ基準」を提案していた。Microsoft Trustworthy ComputingシニアディレクターのPaul Nicholas氏は、2015年1月に上海協力機構で語られた行動規範、同年5月の米国政府提案、同年6月の国際連合総会で語られた提言、同年9月の米中政府が共同発表したサイバーセキュリティ対策と、G20のサイバーセキュリティに対するプライバシーの国際協力といった政府間の発表を並べつつ、疑問視する姿勢を見せる。「政府はサイバーセキュリティの基準を国際法で認めたが、互いが対立するような場面で法的手段はサイバー空間の複雑さに阻まれる。特にサイバーセキュリティ攻撃が、政府もしくは代理によって行われたか否かに関わらず、ポリシーツール(サイバーセキュリティ基準)としての信頼性は乏しい」と述べた。Microsoftは以前から政府機関から顧客データを保護する方針を採用し、特定のデータセットに対して法に基づく要求があった場合のみ、データ提供を行うことを明らかにしている。Nicholas氏は「我々は国家のユーザーデータに対する不正アクセスから保護する」と記事内で述べ、自社のグローバルセキュリティ戦略をアピールした。阿久津良和(Cactus)
2016年02月12日Microsoftは2016年2月11日、犬の写真をアップロードすると犬種を識別するiOS向けアプリケーション「Fetch!」をリリースしたことを発表した。執筆現在は米App Storeでのみ公開し、日本のアカウントではダウンロードできない。同社は以前からMicrosoft Researchによる研究結果をAPIとして公開する「Project Oxford」を展開してきた。顔認識や音声認識・合成、言語理解などAPIは多岐にわたり、無償で使用できる。ただし、有償のMicrosoft Azureアカウントが必要(1カ月間の無料試用版もある)。これらのAPIを利用し、顔写真から年齢を判定する「How-Old.net」や、2枚の顔写真から類似度を計算する「Twins Or Not」など多くのサービスをローンチし、各種製品に反映させてきた。Fetch!は2009年から、Microsoft社員が実験的なアイディアを公表しながらアプリケーションやサービスを開発する「Microsoft Garage」の成果物。既にiOS向けニュースアプリケーション「News Pro」やOutlookへのスケジュール登録を容易にする「FindTime」といったアプリケーションをリリースしてきた。なお、Fetch!と同じAPIを使った「What-Dog.net」は日本国内からも実行できる。阿久津良和(Cactus)
2016年02月12日2月8日(現地時間)、MicrosoftはUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)がサポートするOCR(光学式文字認識)技術の対応言語を4つ増やし、25言語に対応したことを発表した。同社は以前からOCR分野に注力し、プロジェクト「Oxford」で培った技術をWordやOneNoteなど多くの製品に搭載している。既に2015年9月にリリースした、Windows 10 November Update(ビルド10586)からサポート済み。ソフトウェア開発者は数行のコードを記述することで、OCR技術をUWPアプリケーションで使用できるが、コーディング時はサンプルコードや技術資料に目を通した方がいいだろう。また、プロジェクトOxfordのデモページも参考になる。Microsoft Software Engineer on the AnalogチームのPavle Josipovic氏は、Microsoft OCR Library for Windows Runtimeを「画像のインデックス作成や文書の再構築、AR(拡張現実)などさまざまなシナリオで活用されている」とアピールし、同技術を使ったUWPアプリケーションの開発やフィードバックを求めている。阿久津良和(Cactus)
2016年02月10日2月4日に日本国内でも発売されたSurface Book。本誌でも既にレビュー記事が掲載されているが、筆者も実機に触れる機会を得たので所感を述べたい。○クリエイターをターゲットにしたSurface Book日本マイクロソフトはSurfaceシリーズを日本市場に投入する際、「これさえあれば、何もいらない」というキャッチコピーを用いた。背景にはPC市場の低迷とタブレットの台頭があり、Surfaceシリーズは両者の利点を供える2-in-1 PCとしてデビューした。そのスタンスはSurface Bookでも変わらないと言う。日本マイクロソフト関係者によれば、2015年6月にリリースした「Surface 3」は購入者の約3割が女性。発売当初は、医薬情報担当者など外勤のサラリーマンや学生層から支持された。2015年11月発売の「Surface Pro 4」は個人よりも業務利用のユーザーが多く、筆者も出先の原稿執筆マシンとして活用している。だが今回、Surface Bookはこれまでとは違った市場を狙っている。2015年10月に開催した「Windows 10 Devices Event」ではデモンストレーションにCADアプリケーションを使うなど、プロクリエイターがターゲットであることは明確である。ちなみにキーボード側には、NVIDIAと共同開発したGeForce GPUを内蔵している。発売前の予約台数が多かったのはIntel Core i7と16GB メモリを搭載したハイエンドモデル(個人向けは税抜344,800円)。同社の狙い通り、CADアプリケーションの利用を目的とした建築関係者が多いそうで、前出の関係者は予想以上の引き合いに好感触を得ている様子だった。○Surface BookのライバルはMacBook Pro?ここからは、実機のキーボードの使用感について述べておこう。机上でキータイプすると、しっかりとした打鍵感を覚えた。感覚的にはSurface Pro 4タイプカバーの打鍵時に発生するクリック感を弱めた感じと述べると伝わりやすいだろうか。ノートPCライクな設計のため、このあたりはしっかりと作り込んだ印象を受ける。おおむね問題はないSurface Bookのキーボードだが、膝上でキーをタイプするとディスプレイの動きがやや気になる。Surface BookはDynamic Fulcrum Hingeという特殊なヒンジを採用しているが、強度を高めたがゆえに、逆にセンシティブな反応を示すのかもしれない。Surface Bookはオフィスや自宅の机上で、腰を据えて使用するデバイスと言えよう。以前からハイエンドノートPCは、デスクトップPCの代替として存在してきた。だが、筆者はSurface BookをデスクトップPCではなく、MacBook Proのライバルと見ている。Windows 10 Devices Eventで、Microsoft Surface担当CVPのPanos Panay氏はSurface BookとMacBook Proを比較するプレゼンテーションを行った。さらに米国では、Surface Bookの発売に合わせて乗り換えキャンペーンを実施した。日本マイクロソフトは、米国と同じようなキャンペーンを行う予定はないとしているが、同様にライバル視している雰囲気は感じ取れる。Microsoftが躍起になってMacBookシリーズと比較するのは、OS XやWindowsといったOSではなく、アプリケーションやWebサービスを利用する新たなユーザー層にアピールするためだ。さらに、打倒Macの道筋を作る意図もあるのだろう。こう考えれば米国本社の姿勢や日本の関係者の発言も合点がいく。新たにPCを購入する際、ユーザーがMacBook ProとSurface Bookを見比べる。そのようなシチュエーションが発生し、その何割かがSurface Bookを選択すれば、Microsoftの戦略は一つ成功したと言えるだろう。阿久津良和(Cactus)
2016年02月09日日本マイクロソフトは2月9日、東京エレクトロンデバイスなど9社と協力して「IoTビジネス共創ラボ」を発足したことを発表した。Microsoft AzureをベースとしたIoTソリューションの開発促進や、共同検証結果を発表するセミナー開催など、各企業がマッチングする場を提供する。登壇した日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「Azure IoT Suite」による迅速な共同検証の支援で、スモールスタートから本格導入までスムーズに行えるとアピールした。日本のICT産業を語る上で「IoT(Internet of Things)」は、今もっとも注力しなければならない分野である。米国のように官民一体となってIoT事業を推進しなければならないのは、誰の目にも明らかだ。このことを改めて強く感じさせたのが、日本マイクロソフトが2016年2月9日に開催した「IoT分野の新たな取り組みに関する共同記者発表会」である。東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー(幹事社)、日本マイクロソフト(事務局)、アクセンチュア、アバナード、テクノスデータサイエンス・マーケティング、電通国際情報サービス、ナレッジコミュニケーション、日本ユニシス、ブレインパッド、ユニアデックスの計10社が協力して「IoTビジネス共創ラボ」を発足したことを発表した。登壇した東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー カンパニープレジデントの八幡浩司氏は、「IoTのエキスパートによるエコシステム構築や、プロジェクトの共同検証によるノウハウ共有、先進事例の共有によるIoT導入の促進といった目的を持って、各企業がエコシステム的に協力しあう。自由な議論から生まれる発想を活かしたい」と発足理由を語る。そもそも東京エレクトロン デバイスは、産業用エレクトロニクス製品の設計や開発、半導体電子デバイスおよび情報通信機器の販売や保守を行う企業として、さまざまなデバイスを世に送り出してきた。日本マイクロソフトとは23年前から組み込み分野で付き合いがあるというから、Windows Embedded CompactがまだWindows CEと呼ばれていた時代までさかのぼる。そこで東京エレクトロンデバイスと日本マイクロソフトが中心となって、ビジネスソリューション開発やサイエンス分野など幅広い専門分野に声をかける形で、IoTビジネス共創ラボの発足に至った。IoT分野における未来予測はIDCやGartnerの調査結果が顕著だが、八幡氏は2020年までにIoT接続数は250億(Gartner)、市場売り上げ規模は1.7兆ドル(IDC)を引用し、「数字だけではピンと来ないが、我々が関わるすべてのものがインターネットにつながる世界を想像してほしい。より良い行動指針を提示する未来が訪れる」とIoTで変わる未来を語った。また、McKinsey&Companyの調査結果である"IoTがもたらす価値の70パーセントはB2Bシナリオから"についても、「正しい予測だ。我々も同様に始める」という。さらに日本国内のIoT市場についても言及し、「(IDC Japanの調査結果によれば)現在のICT市場は25兆円だが、そのうちIoT市場は9兆円。今後はIoTが市場全体を牽引し、年12パーセントの成長率がある」と説明した。特にサーバーやストレージ、分析ソフトウェアなどが成長分野となり、IDC Japanの調査結果では4年後の2019年には16兆円まで拡大する。この7兆円の部分を参画する企業たちで盛り上げようというのが、IoTビジネス共創ラボの存在理由だ。IoT導入で問題視されるのがセキュリティや投資対効果、そして人材不足である。この点についてはMicrosoft Azureで解決することが可能であると八幡氏はいう。記者からの他社製パブリッククラウドの導入について検討しなかったのか、という質問に対して、「(東京エレクトロン デバイスの調査によれば)あらゆるモジュールを持っているのはMicrosoft Azureだけだった。顧客がオンプレミスサーバーでデーターを管理している場合も、データーだけをPower BIに投げるなど柔軟なシナリオに対応できる」と、日本マイクロソフトを協業パートナーに選択した理由を説明した。さらに日本国内にデーターセンターを保有している点も大きいという。IoTビジネス共創ラボではプロジェクトを検証するため、5つのワーキングループを設けることを明らかにした。各分野に特化した「製造ワーキンググループ(リーダー: 東京エレクトロンデバイス)」「物流・社会インフラワーキンググループ(リーダー: ブレインパッド)」「ヘルスケアワーキンググループ(リーダー: ユニアデックス)」の3つに加え、ビジネスインパクトがあるIoTシナリオを検討する「ビジネスワーキンググループ(リーダー: アクセンチュア)」と、多様なデーターを分析、活用する「分析ワーキンググループ(リーダー: ブレインパッド)」が脇を固める。八幡氏は「ホワイトボードに書き殴りながら議論を進めたい」と語った。日本マイクロソフト 代表執行役 会長の樋口泰行氏は、「IoTはクラウドとデバイスを結びつけることで高い付加価値を生み出せる。弊社は後出しジャンケンが得意な会社だが、より良いもの目指した結果、機能的には(他社製パブリッククラウドよりも)先に進んでいる」と述べている。IoT市場においてはMMI(マンマシンインタフェース: 人と機械の間で情報伝達を行うデバイスやソフトウェア)が重要だが、Microsoftは同分野の研究を長年続けてきた。この点についても「M2M(Machine to Machine)からIoT、最終的には人とつながることに価値を見いだしたい」という。樋口氏はIoTデバイスの多様化を、自社のSurface HubやHoloLensといったデバイスと機械学習などのIT技術を例に挙げ、「別々に存在したものがクラウドやIoTでつながり、それが人につながっていく」と説明した。近年の日本マイクロソフトは国内にデーターセンター設置してから、Microsoft Azureを用いたビジネスを開く展開している。シェア拡大の理由について樋口氏に尋ねると「最近はオンプレミスサーバーを自社で購入する企業はかなり減ってきている。その環境変化に合致したのだろう。『Azure Stack(IaaSやPaaSの機能をオンプレミスで利用可能にするパッケージ)』や他社製パブリッククラウド、企業内クラウドなどにシームレスに対応し、その裏でもインテリジェンスな機能が多数存在するため選んでもらっている」と、Microsoft Azureの強みを語った。IoTビジネス共創ラボにおける日本マイクロソフトの役割は事務局ということだが、容易なクラウドとIoT導入を実現すると同時に遠隔監視や予兆保全、資産管理などのシナリオをパッケージ化する「Azure IoT Suite」や、IoTデバイスとソリューションバックエンド間でセキュアな双方向通信を認定する「Azure Certified for IoTプログラム」を提供。後者は2015年9月から米国本社で始めたプログラムだが、認証済みデバイスなどをリスト化することで、ユーザーのIoT導入支援につなげる意図がある。既に8社のゲートウェイパートナーが申請を開始し、内1社認証を取得済みだという。その他にも、「Azure IoT Hub(何百万台ものIoTデバイスとクラウド双方向通信やセキュリティ保護を確立するサービス)」を2月3日から最終版として提供を始めている。さらにIoT市場の需要喚起として、製造や流通といった各種業界の意思決定者5,000人を対象にしたイベントやセミナーを開催。既に3月10日には1回目の勉強会を予定している。さらにパートナーマッチングや先進事例のモデル化などを行いながら、1年以内に100案件の送出を目指すという。加えてIoT技術者不足を改善するため、無償トレーニングも提供する。年90回以上のトレーニング開催を予定し、合計1万人の技術者育成を目指す。最後に活動目標として八幡氏が「1年以内に(顧客企業を)100社に拡大する」と語った。その理由として「日本は製造業の土壌がある。長年付き合いのある企業は3,000社、常に取引のある企業は2,500社以上。各社からIoT市場への参画をほのめかす声を頂いている」からだという。今回の取り組みがIoT市場へどのようにコミットし、成果を生み出すのか現時点では分からない。だが、IoTへの取り組みは世界レベルで切磋琢磨する時代となった。IoTビジネス共創ラボには次世代のICT市場を盛り上げる役割を期待したい。阿久津良和(Cactus)
2016年02月09日Microsoftは2月4日(現地時間)、Arduino(アルドゥイーノ)をUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリケーションから遠隔制御するデモンストレーションを公開した。ライブラリはNuGetから「Windows Remote Arduino for Windows 10 and Windows 10 IoT core」からダウンロードできる。Windows Remote Arduinoライブラリは、ArduinoのGPIO(汎用入出力)ポートから、デジタルリード/ライトやアナログリード/ライト(PWM)、ピンモードの設定、ピン値が変更した際のイベント受信が可能。また、I2C経由でデータの送受信が行える。さらにMicrosoftは上級者向けとしてカスタムコマンドの使用を薦めている。公式ブログでは、サンプルコードや各種技術資料に関するリンクを用意。記事を執筆したWindows and Devices Connected Everyday ThingsチームのDevin Valenciano氏とJesse Frush氏はHackster.ioの「World’s Largest Arduino Maker Challenge」を引き合いに、「(同コンテストは)予備段階で3,000人以上の参加者と1,000以上のアイディアが集まっている。UWPアプリケーションを開発してほしい」とアピールした。ArduinoはArduino LLCおよびArduinoSRLが設計・製造しているが、ハードウェア設計および開発環境はオープンソース化しているため、昨今のIoTブームと相まって大きな注目を集めている。阿久津良和(Cactus)
2016年02月08日Windows 10へのサインインやWindowsストアからのダウンロードなどに欠かせないMicrosoftアカウントは、2013年4月から2段階認証オプションを追加した。今回は、iPhone、Android端末、Windows Phone(Windows Mobile)端末の「認証アプリ」を用いた2段階認証を紹介する。○iPhoneなどで2段階認証を行う前回述べたように、Microsoftアカウントの2段階認証には認証アプリが使える。お使いのスマートフォンによって選択肢が異なり、iPhoneの場合は「Google Authenticator」、Android端末は「Microsoftアカウント」、Windows 10 Mobileの場合は「Authenticator」という認証アプリだ。それぞれ一長一短があるため、順番に説明しよう。Google Authenticatorは「認証アプリの設定」で表示されたバーコードをiOSデバイスでスキャンするか、秘密鍵を手動で入力し、一定時間ごとに更新されるランダムな数字をセキュリティコードとして入力する。ポイントは複数アカウントをサポートしている点。もちろんGoogle製のため、Googleアカウントをサポートしているので、各IDを1箇所からまとめて管理する際に便利だ。○Androidで2段階認証を行うAndroid用のMicrosoftアカウントアプリは手順が少々異なり、アプリ側で一連のセットアップを行う。認証方法は、2段階認証が必要なときは自動的にアプリが起動し、ユーザーは許可・禁止の操作を行うだけでよい。セキュリティコード入力に比べるとスムーズで便利なのだが、この方法を用いているのは本アプリのみだ。○Windows 10 Mobileで2段階認証を行うAuthenticatorはモバイルデバイス用アプリだが、Windows 10 Mobileでも問題なく動作する。ただし、一部のメッセージが中国語のままなど気になる点は多い(2016年2月5日時点)。有効化の手順はGoogle Authenticatorと同じく、アプリ側でバーコードを撮影して、表示されたセキュリティコードをWebページ上で入力する。なお、2段階認証を無効化する場合はMicrosoftアカウントのセキュリティの設定ページで、「2段階認証の無効化」→「はい」と順にボタンをクリック/タップすればよい。阿久津良和(Cactus)
2016年02月06日2月4日(現地時間)、MicrosoftはWindowsストアの最新動向を発表した。同社はこの4半期を振り返り、カテゴリー別ではゲームが支配的に多いものの、カテゴリー構成で見るとナビゲーション&地図系アプリケーションが増加していると分析する。2015年7月末のWindows 10無償アップグレード開始以降、Windowsストアは再び注目を集めるオンラインストアとなったが、MicrosoftのBernardo Zamora氏は「Windows 8.x用がストアの大半を占めているが、Windows 10用はダウンロード回数とボリュームの合計で急成長している」と語った。肝心の市場規模については明言していないが、各国市場ごとにまとめた有償アプリケーションのトランザクション総数を見ると、米国が36パーセント、イギリス、ドイツ、フランスが25パーセント。日本はその他に含まれている。Zamora氏はストア利用者の使用言語にも言及し、ロシア語は4位に上昇し、中国語は9位に低下していることを明らかにした。また、増加傾向にある言語として、スペイン語やポルトガル語、ロシア語、ヒンディー語、そしてイタリア語は過去の4半期と比べても増加傾向にあるという。興味深いのは収益化オプション(アプリケーション購入やアプリケーション内購入、もしくはアプリケーション内広告)に関するデータだ。アプリケーション購入は全体売り上げ高の14パーセントに留まるが、広告収益は37パーセント、そしてアプリケーション内広告は49パーセントとトップを誇る。これらのことからWindowsストアで自社アプリケーションやゲームタイトルをリリースする際の収益モデルを想定できるだろう。Zamora氏も「アプリケーション内購入はもっとも重要なソース。特にゲーム分野で顕著だ」と語る。阿久津良和(Cactus)
2016年02月05日2月4日(現地時間)、Microsoftは「Visual Studio Tools for Unity(VSTU) 2.2」をリリースしたことを公式ブログで明らかにした。多くのバグを修正し、各Visual Studio 2010/2012/2013/2015の各バージョンに対応したコンポーネントのダウンロードを可能にしている。前バージョンとなるVSTU 2.1は2015年9月にリリースしていた。Unityは複数のプラットフォームで動作するUnity Technologiesのゲームエンジンだが、Microsoftは2014年7月に「UnityVS」を開発するSyntaxTreeを買収し、改称したVSTUを無償で提供している。MicrosoftはVisual StudioとVSTUを組み合わせることで、デバッグ作業やコーディングの効率化が可能になるとアピールしてきた。バージョン2.2では、以下の改善が行われている。VSTUインストーラーがすべての情報を正しく扱う。OS X上のUnityと仮想マシン内のVisual Studioの組み合わせでデバッグが正しく行われる。Unity 4.6使用時にUnityEngineとUnityEditorの参照が正しく行われる。サポートするC#のバージョンは4.0に制限する。Unityパッケージ内のエラーを修正した。Microsoftは既存ユーザーに対して、Visual Studioの拡張機能マネージャを用いたアップデートを推奨している。新規にインストールする場合は、使用しているVisual Studioのバージョンを確認してから対応するVSTUをインストールする。なお、Unityがバージョン5.2以降であればVSTUはネイティブサポートされているため、インストールする必要はない。阿久津良和(Cactus)
2016年02月05日Windows 10へのサインインやWindowsストアからのダウンロードなどに欠かせないMicrosoftアカウントは、2013年4月から2段階認証オプションを追加した。アプリケーションやコンテンツを購入するためにクレジットカードを登録している場合、本オプションは有効にすべきだ。○2段階認証の必要性とはMicrosoftは、Windows 8からMicrosoftアカウントの使用を推奨してきた。ローカルアカウントを使い続けるユーザーも多いのだが、Windows 10 Mobileデバイスの登場や、ユニバーサルWindowsアプリの連係を考えると、Microsoftアカウントを使ったほうが便利である。とはいえ、Microsoftアカウントには、個人情報やクレジットカード情報などを紐付けできるため、そのまま使うのは非常に危険だ(GoogleアカウントやApple IDなども同様の危険をはらんでいる)。我々が自衛する方法として、Microsoftは、2013年4月から2段階認証オプションを提供した。なお、以前からオプションは提供されていたが、2013年4月からアカウント全体の保護を可能にしている。2段階認証の概要は日本マイクロソフトのWebページをご覧いただくとして、今回は2段階認証の有効化や、その効果を見ていく。○2段階認証を有効にするまずは、Microsoftアカウントのセキュリティの設定ページにアクセス。ここで「2段階認証をセットアップして有効化」を選択する。たったこれだけで、2段階認証は有効になる。お使いのPCは「信頼済みデバイス(Microsoftアカウントに紐付けされたデバイス)」のため、特別な操作は必要ない。ポイントは、それ以外からサインインする際に求められるセキュリティコードだ。Microsoftアカウントアカウントの安全性確保として、他のメールアドレスや電話番号(SMS)に届いたセキュリティコードを入力するか、スマートフォンのアプリケーションを使ってサインインを実行する仕組みである。一見すると面倒に感じるが、届いた数字をテキストボックスに入力するだけで、仮に自分のMicrosoftアカウント情報が漏洩したときでも、他者のサインインを防げるのは大きい。以上の手順によって、Windows 10と一緒に使用するMicrosoftアカウントの保護が可能になる。次回は、メールやSMSよりも便利なスマートフォンのアプリケーションを紹介しよう。阿久津良和(Cactus)
2016年02月05日2016年2月3日(現地時間。日本は4日早朝)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14257をリリースした。2016年初のビルド11099まで振り返ると、毎週新ビルドをリリースしてきたことになる。事実上、"週刊Windows 10 Insider Preview"だ。今回、もとい今週も目に見える大きな変更点はなく、各種バグフィックスに留まっている。○週刊Win10 IPは3歩進んで2歩下がる今回も公式ブログの発表を元にビルド14257で修正されたバグから紹介する。Microsoft Engineering Systems Team担当CVPのGabriel Aul氏の説明によると、ビルド10525から加わった「Compression Store(メモリー不足時に不要な部分を圧縮して、ディスクページング時のパフォーマンスダウンを抑える技術)」が起因となるアプリケーションのクラッシュを改善したという。筆者は未使用のため本バグに出くわしていないが、説明ではGitのWindowsクライアントである「Git for Windows」などで発生していたそうだ。「設定」の<パーソナル設定/スタート>に並ぶ<よく使われるアプリを表示する>は、スタートメニューにお薦めのユニバーサルWindowsアプリを表示する設定項目だが、こちらがオフの状態でも表示されていたという。また、<パーソナル設定/ロック画面>からロック画面をカスタマイズした際に、<ロック画面にトリビアやヒントなどの情報を表示する>をオンにしても正しく動作しない点を合わせて修正した。個人的に嬉しいのが、DPI変更時にアイコンの位置がおかしくなってしまう問題を修正した点である。筆者は現在4Kディスプレイと複数のFHDディスプレイを組み合わせて使用しているが、画面撮影の関係から96DPI(100パーセント)の状態で使用してきた。それでも加齢による視力低下も相まって、4KディスプレイはPCゲームか動画鑑賞、もしくはPDFファイルによる著者校正にしか用いていない。たまにDPIを変更すると、前述のようにアイコンの位置が別のディスプレイに移動するなど困り果てていたのである。Aul氏が説明する「100パーセントから150もしくは175パーセントに変更する際に発生する」を検証したところ、確かに別のディスプレイに移動するといった問題は改善していた。こちらのバグには一切気づかなかったが、圧縮フォルダーに右クリックもしくは[Ctrl]+[V]キーでファイルを貼り付けても動作しない問題も修正されている。筆者が疑問に感じるのは、Windows開発チーム陣がどのような経緯で、圧縮フォルダーに影響をおよぼすコード変更を行ったのだろうか。察するにクリップボードの機能拡充などを試しているのだろう。筆者の環境に限った現象かもしれないが、ビルド14251ではWebブラウザーとテキストエディターの間でクリップボードに関するエラーが発生し、アプリケーション側の問題かと報告を控えていた。ビルド14257にアップグレードして数時間程度だが、同様のトラブルには出くわしていない。その他の修正点として、アクションセンターの<接続>アイコンが復活し、Microsoft Edgeの「F12開発者ツール」が使用可能になった。次はビルド14257でMicrosoftが認識している問題を紹介する。「設定」の<更新とセキュリティ/回復>に並ぶ<このPCを初期状態に戻す>を実行すると、PCが動作しなくなり、Windows 10の再インストールが必要になるという。ビルド14251時点で発生し、ビルド14257でも依然として残っているため、Windows Insider Program参加者は注意してほしい。Aul氏は次のビルドで修正すると述べている。サインイン時に現れる「WSClient.dll」を起因とするエラーダイアログは本ビルドでも修正されていない。こちらはビルド11102から発生したバグだが、Aul氏は「次のビルドで~」と同じ言葉を繰り返していた。優先順位が低いため放置していると思われるが、対処方法は以前の記事を参照してほしい。致命的と思われるのが、Surface Pro 4やIntel RealSenseなどを用いて行うWindows Helloの顔認証が動作しない点だ。またフロントカメラを利用するアプリケーションも同様に正常動作しない。筆者はIntel RealSenseを所有していないが、この点については「次ビルドで~」といった発言はないので、利用者は一時的にスローリングに切り替えるか、PINなどによるサインインを用いることになる。最後は機内モードに関する問題だ。PCにサインインした際、Wi-Fiが有効な状態でも機内モードがオンになるというもの。実のところビルド10586でも同様の問題が発生し、延々と改善されない問題の1つとして有名だった。Aul氏は「プラットフォームからの応答でUIの表示状況を切り替えるタイミングの問題」と説明している。機内モード機能自体は問題なく動作するものの、この点も早期改善を期待したい。なお、筆者が試した限りでは「設定」の<システム>など一部の項目を選択すると、「設定」自体がハングアップする問題が多発するようになった。これが一時的なものなのか、本ビルドから発生するバグなのか判断できないが、Windows 10 Insider Previewをお試しの方は注意してほしい。阿久津良和(Cactus)
2016年02月04日Microsoftは2月3日(現地時間)、SQL Serverのコンポーネントをすべて構成・管理・開発・アクセス可能にする統合管理ツール「SSMS(SQL Server Management Studio)」のプレビュー版「SSMS January 2016」をリリースした。2015年12月リリース以降の更新プログラムを含み、多数のバグを修正している。こちらのページからダウンロード可能。SSMSと同等の機能はSQL Server 2000時代もリリースしていたが、SQL Server 2005以降、現在の名称に変更している。SSMS January 2016では、拡張イベント(XEvent)セッション削除時のバグや、アベイラビリティグループやデータベースのプロパティダイアログを開く際に発生したバグを修正した。また、Azure上のデータベースに接続した際にテーブルの内容が重複するバグも合わせて修正している。バージョンナンバーは「13.0.1000.281」に更新された。なお、既知の問題として分散再生機能が正しく動作しない。Microsoftは現在修正に取り組み、次のリリースで利用可能にすると表明している。阿久津良和(Cactus)
2016年02月04日2月3日(現地時間)、MicrosoftはAI(人工知能)を使って入力予測を行うキーボードアプリケーション「SwiftKey」の開発元を買収したことを発表した。Microsoftは買収額を明らかにしていない。同社は今後数カ月内にSwiftKeyの技術をMicrosoft Researchが開発したWindows Phone向けキーボード「Word Flow」と統合する。SwiftKeyはユーザーの入力スタイルを学習しながら、その使用頻度の高い単語候補を提示するスタイルのキーボードアプリケーション。Android版は2010年からリリースし、iOS版は2014年から提供が始まった。既にMicrosoft Researchが開発したWord FlowをWindows Phone用にリリースし、現在iOS版のベータテストが行われている。Microsoft Technology and Research担当EVPのHarry Shum氏は、「今回の買収は、すべてのプラットフォームへサービスを提供するというMicrosoftの取り組みを示すものだ」と述べた。なお、今回の買収により、SwiftKey CTOであるDr. Ben Medlock氏とCEOのJon Reynolds氏はMicrosoftに参加。同社はAI分野やスマートフォン事業の強化を実現したこととなる。阿久津良和(Cactus)
2016年02月04日Microsoftは2月2日(現地時間)、Salesforce LightningがWindows 10 MobileのContinuum for Phonesに対応したことを発表した。Windows 10 Mobile対応「Salesforce1モバイルアプリ」はユーザー向けに本日から提供を開始する。MicrosoftとSalesforce.comは2014年5月にグローバルな戦略的提携を発表し、良好な関係を現在まで続けてきた。既にLightningプラットフォーム上で動作するSkype for BusinessやOneNote、SalesforceとExcelの双方向でデータを読み込み、Power BIによるレポート作成や情報の可視化といった製品統合を進めているが、Windows 10 Mobileに対応するビジネスソリューションの発表は初めてとなる。具体的には、既存のSalesforce1モバイルアプリをWindows 10 MobileのContinuum for Phonesに対応させることで、顧客はSalesforce Lightning(Salesforce1プラットフォーム上で構築されたツールなどの総称)を、Windows 10 Mobile搭載デバイス上で実行し、Continuum for Phonesに接続したディスプレイやマウス、キーボードでデスクトップPCと同じUX(ユーザーエクスペリエンス)を得られる。阿久津良和(Cactus)
2016年02月03日Microsoftは2015年10月に発表した、Windows 7&8.1環境からWindows 10へアップグレードする更新プログラムの扱いを、2015年2月1日から「重要」に変更した。具体的には「Windows 7アップグレード用互換性更新プログラム」と題したKB2952664と、GWX(Get Windows 10)をインストールするKB3035583を適用したWindows 7 Service Pack 1およびWindows 8.1環境で、Windows 10への自動アップグレードが開始される。Windows 10に関しては概ね好評を得ているようだが、古いアプリケーションの互換性問題や、OSがユニバーサルWindowsプラットフォームへの移行途中とあって、不完全な部分を残しているのは否めない。Microsoft Windows and Devices Group EVPのTerry Myerson氏は、「アップグレード後も31日以内であれば以前のバージョンに戻せる」と述べている。だが、アップグレード時も相応の時間(環境にもよるが数時間)、ダウングレード時も同様の時間を要し、その間は作業ができないため、決して簡単ではない。このような、いわば強硬な姿勢に立つ理由の1つは、2015年7月末から2~3年で「10億台ものWindows 10搭載デバイス」を目標に掲げているからだろう。Microsoftは2016年1月の時点で、2億台を突破したと発表しているが、さらにその数を増やすには、一定のシェアを持つWindows 7ユーザーを巻き込んだ方が確実である。なお、Windows 10アップグレードはグループポリシーエディターやレジストリ編集で抑制できる。前者の場合は「Turn off the upgrade to the latest version of Windows through Windows Update」を有効にし、後者は以前寄稿した記事を参照してほしい。阿久津良和(Cactus)
2016年02月03日2月2日、日本マイクロソフトとブイキューブは、ビジュアルコミュニケーションにおけるクラウド連携で協業することを発表した。ブイキューブは自社の「V-CUBE」シリーズとOffice 365の連携ソリューションを開発し、2016年2月から提供を開始する。日本マイクロソフト代表執行役会長の樋口泰行氏は「1社で閉じる時代ではない。あらゆる企業との連携を進める」と今後の展望を語った。テレビ会議やWeb会議といった映像と音声を組み合わせ、距離を超えた意思疎通を行うビジュアルコミュニケーションは、加速するIT市場において以前から注目を集めていた。近年はさまざまな企業とパートナーシップを組んで、日本的エコシステムを進めてきた日本マイクロソフトだが、今度は1998年からビジュアルコミュニケーションサービス分野で活躍するブイキューブとの協業を発表した。そもそもブイキューブは「V-CUBE」シリーズを通して、ミーティングやオンラインセミナーなど企業内の幅広い利用シーンに対応するサービスを多数提供しているが、今回はクラウド認証基盤の連係として、「V-CUBE One」とOffice 365、Azure Active Directoryを連携させ、SSO(シングルサインオン)と両社のクラウドサービスのシームレス化を実現する。その理由としてブイキューブ 代表取締役社長 CEOの間下直晃氏は、「我々の顧客でもOffice 365はデファクトスタンダード的存在となり、多くの企業が採用している。だが、(自社サービスと)認証基盤が異なるため不便を強いてきた。今回の協業により顧客は(Office 365と自社のクラウドサービス)両者へシームレスにアクセスできる」と説明している。さらにV-CUBEとOffice 365の連携第1弾として、会議などに用いる「V-CUBEミーティング」と配信サービスである「V-CUBEセミナー」においてOutlookカレンダーを連携することを発表した。具体的には「V-CUBEミーティングOutlookアドイン」を提供し、OutlookからWeb会議のスケジュール登録などを可能にする。現時点では以上2つのサービス連携を発表したが、将来的なサービス提供として、顧客のMicrosoft Azureプライベートネットワーク接続を想定し、数カ月内に提供する予定。さらに年内にはMicrosoft SharePointやPower BIとの連携を目指すことを明らかにした。具体的な内容は明かさなかったが、ビジュアルコミュニケーション上で得られるビックデータを活用し、顧客の利便性向上を実現すると言う。加えて「Microsoft TranslatorやCortana Analyticsなどとの(Azure上で動作する各サービスとの)連携を予定している(間下氏)」と今後と展望を述べた。ソリューション提供については、販売パートナーを経由することになるが、ブイキューブの料金体系が日本マイクロソフトと異なるため、パートナー向けにOffice 365の料金プランに合わせる新プランを用意した。既にソフトバンクコマース&サービスがディストリビューターとして決まっている。ブイキューブは両サービス利用者数見込みとして初年度内に10万ID、今後3年間で100万IDを目指す。だが、日本マイクロソフトにはSkype for Businessなどビジュアルコミュニケーションソリューションを既に展開している。必然的に競合することになるが、この点について、「部分的な競合よりもユーザーの利便性も優先した(樋口氏)」「ビジュアルコミュニケーション分野は日本でも数パーセントといった市場規模。ワークスタイル変革の実現と市場規模拡大を目指すため、競合部分には気にしない。顧客の選択肢が広がればよい(間下氏)」と回答した。ブイキューブはIBMのSoftLayerやAmazonのAWS(Amazon Web Service)など多くのSaaSを利用しているが、今回の協業により、V-CUBEのシステムインフラをAWSからMicrosoft Azureへ移行する。移行コストに関して間下氏は、「昨年春頃から取り組み、約1年で完了した。工数もさほどかからず、比較的容易に移行できた」と語った。振り返ると日本マイクロソフトが多くの企業と協業する背景には、AWSからMicrosoft Azureへ移行する企業が少なくない。この点について日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー エバンジェリズム統括本部長の伊藤かつら氏は、「製品的にはAWSが5年先を進んでいたが、この2年で部分的ながらもMicrosoft Azureが先進的と言えるまでになった」と自社サービスに自信を見せた。さらに「機能差や製品よりも企業同士の付き合い、クラウドプラットフォーム提供者としての信用度など、ビジネスディスカッションが重要になる」と手厚いサポート体制をアピールしている。米国本社であるMicrosoftのCEOとしてSatya Nadella氏が就任して以降、日本マイクロソフトは多くの企業と協業する姿勢を選択してきた。「Microsoftだけでソリューションを閉じるのではなく、ユーザーの利便性を選択する」と語る樋口氏は本協業について「ビジュアルコミュニケーション分野やワークスタイル変革で頼もしいパートナーを得られた」と語る。阿久津良和(Cactus)
2016年02月02日2016年2月1日(現地時間)、Microsoftは太平洋に自己完結型データセンターの試作機を設置する実験を行った。300台分のデスクトップPCに相当する約1万7,000キログラムの装置を、海面下2~3メートルに設置することで、データセンターが抱える排熱処理といった既存の問題を解決する可能性が生まれる。同社は「将来的に世界中の海へデータセンターを設置するのが当たり前になるだろう」と公式ブログで述べている。「Natick(ナティック)」と名付けられた本プロジェクトは、データセンターを収容する容器を構築するだけで90日間を必要とし、テスト期間は2015年8月末から11月までの約3カ月間行われた。その間はオフィスから定期的にリモート制御し、月に一回はダイバーが潜って容器のチェックを繰り返していたとプロジェクトチームは説明する。Microsoft Datacenter Strategy担当ジェネラルマネージャーのChristian Belady氏は、「費用面など多くの問題があり、成功するか懐疑的だったが、我々は常に限界へ挑戦する必要がある。今回のプロジェクトから得た経験は、将来の(データセンター戦略に)多くの教訓となった」と語った。プロジェクトチームは4倍の容器、20倍の計算能力を持つ次のデータセンター設置テストを計画している。今後のICT社会に欠かせないデータセンターだが、消費電力やCO2排出など多くの問題を抱えているが、Microsoftの実験はこの問題に一石を投じそうだ。また、既に世界の海底上には多くの光ファイバーケーブルが配置されているが、これらにデータセンターが直接接続する可能性も将来的に考えられる。阿久津良和(Cactus)
2016年02月02日2015年11月のNovember Update以降、Windows Insider Program参加者向けに4つのビルドをリリースしたMicrosoftだが、進捗が鈍化したように感じないだろうか。Microsoft Engineering Systems Team担当CVPのGabriel Aul氏は、ビルド11082をリリースした時点で、「Windows共通のコアとなる"OneCore"の構造強化に務めた」と述べていた。だが、先頃リリースしたビルド14251でも、新機能の実装は見送ってバグフィックスやコア部分の改善に留まっている。そもそもOne Coreとは、何を指すキーワードなのだろうか。カーネル(OSの中核をなす部分)のことかと思いがちだが、Windows NTから現在のWindows 10に至るまで、すべてのWindowsは同じ「NTカーネル」を採用し、その上でWindows 10やWindows Server 2012 R2といったWindowsプラットフォームを構築している。厳密に言うと、現在に至るまで多くの改良を加えているので、1993年7月(日本では1993年1月)にリリースしたWindows NT 3.1のカーネルとWindows 10のカーネルは似て非なるものだ。つまりOneCoreは、PCやタブレット、スマートフォン、Xbox Oneなどを包含する「One Windows」プラットフォームを実現するために必要な基盤となる。具体的には、Windows 10プラットフォームに共通する一連のAPIやDDIといったインタフェースを指す。OneCoreを使って開発したユニバーサルWindowsアプリやドライバーは、デバイスを問わずWindows 10プラットフォームで動作する仕組みだ。デバイスのサポート状況がOSの価値を左右することを、Microsoftはよく知っている。だからこそOneCoreによって、Windowsプラットフォーム全体のユニバーサル化を推し進めたいと考えている。○ビルドナンバー再設定の理由Windows 10 Insider Previewに関しては、ビルドナンバーの再設定も気になるところだ。Aul氏は「Windows 10とWindows 10 Mobileのコードベースを合わせるため」と説明しているが、これは狭義の意味でWindows 10とWindows 10 Mobileを別チームで開発していたことも影響しているのだろう。下図はFastリング向けにリリースしたWindows 10 Insider PreviewとWindows 10 Mobile Insider Previewのビルド履歴をまとめたものだ(ただし、10586.11および10586.29は割愛している)。図を目にすると、Windows 10は無償アップグレードを開始する2015年7月直前、Windows 10 Mobileも2015年11月直前にテストビルドの更新が活発化していることが瞭然だ。振り返ればWindows 10は、最初にゴール(無償アップグレード開始)ありきで、突貫工事的に開発を進めてきたように感じる。MicrosoftはWindows 10をサービスであると定義し、完成度よりも更新頻度を重視していることは周知のとおりだ。しかし、肝心のユニバーサルWindowsアプリも問題が散見され、信頼性に欠く印象は拭いきれない。だからこそMicrosoftの開発陣はOneCoreの構造強化に努めるのだろう。ユーザーとして気になるのは、いつ作業を終えて新機能を搭載するかだ。Microsoftの開発者向けカンファレンスである「Build 2016」は、3月30日から4月1日(現地時間)と昨年よりも1カ月早く開催する。このタイミングに合わせて構造強化を終え、Redstoneに向けた新たなWindows 10の姿を披露するはずだ。阿久津良和(Cactus)
2016年02月01日米国政府は2016年1月30日(現地時間)、幼稚園児から高校生まですべての米国に住む学生に対し、コンピューターサイエンスを学ぶ機会を増やすため、40億ドルを拠出する計画を発表した。さらにMicrosoftも同政策についてサポートすることを同日発表している。「Computer Science for All」と題した発表内容によれば、日本の幼稚園年長組から高校までの13年間を指す米国の「K-12教育」で、コンピューターサイエンスを学ぶ学生はわずか4分の1。22の州は科目を単位として認めていない。米国政府は2018年までにSTEM教育を受けた51パーセントの生徒が、コンピューターサイエンスに分野で働き、今後の米国産業を支えるために重要だと考えていることから今回の計画に至った。Microsoftは自社の企業市民活動である「YouthSpark」を通じて、7,500万ドルの支援を行い、コンピューターサイエンスの活動を支援する。同社プレジデント兼CLOのBrad Smith氏は「他国ではコンピューターサイエンス分野に注力しているが、米国内の高校でも(STEM教育を実施しているのは)12パーセントに達していない」と、政府よりも厳しい視点で支援すべき背景を説明した。本施策に協力する企業はMicrosoft以外にも、AppleやFacebook、Salesforce.org、QualcommといったIT業界ではなじみ深い社名が並ぶ。CTO of U.S.のMegan Smith氏は、Barack Obama大統領が2016 State of the Union Addressで発言した「今後数年間、すべての学生が実践的な仕事に就けるため、コンピューターサイエンスと数学の授業を提供し、進捗状況を構築する必要がある」を引き合いに出しながら、「コンピューターサイエンスは、経済的機会や社会的流動性のために必要な『新たな基本スキル』であると認識している」と説明している。阿久津良和(Cactus)
2016年02月01日