すごくかわいく描けたので、見てください!そんなひと言とともに、日本画の作品をX(Twitter)に投稿したのは、大森亜矢子(@_aya_1011_)さん。ある食べ物を描いたところ、そのクオリティに感動や驚きの反応が寄せられました!日本画というと、墨で描かれた水墨画や教科書に載っているような、美人画、風景画などを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。これまでの日本画のイメージを覆す、大森さんの素敵な作品をご覧ください!『いちごサンドひとつ』なんておいしそうな、いちごのサンドウィッチ!雲肌麻紙に岩絵の具を用いて描かれた『いちごサンド』は、食パンの質感や、いちごの瑞々しさが見事に表現されていて、思わず手をのばして食べたくなるほどのリアリティがあります。いちごの果汁が、ホイップクリームにちょっぴり染み出ている感じなど、細かなところまで描き込まれていて、見ていてワクワクするような作品ですね。大森さんは、「写真以上の感動、そのものの手触りみたいなものを表現したくて頑張りました」とつづっていました。投稿には「すごい!パンのもっちり感やフルーツのフレッシュな感じがおいしそう~!」「かわいい。日本画にはこんな表現もあるんですね」「本物みたい。これが絵なんてすごすぎる」などの声があがっています。ほかにも、おにぎりや大福といった、食べ物をモチーフにした日本画の作品を多く制作している、大森さん。気になる人は、ぜひXの投稿などをチェックしてみてください![文・構成/grape編集部]
2024年02月14日展覧会「日本の山海」が、東京・白金台の松岡美術館にて、2024年2月27日(火)から6月2日(日)まで開催される。日本画家がとらえた「日本の山海」四方を海に囲まれ、豊かな山林を有する日本。人々の暮らしに恵をもたらす一方で、時に猛威を振るう自然は、古くから信仰の対象とされてきた。しかし近代化が進むと、信仰や生活のためではなく、調査研究やレジャーとして山に登る人が増加。1894年には志賀重昂(しが しげたか)のベストセラー『日本風景論』が出版され、芸術家を含む日本人の景観意識に大きな影響を与えた。日本風景画&志賀重昂の文章を並べて紹介展覧会「日本の山海」では、「松岡美術館の創設者である松岡清次郎が自然に見出した美しさにも、志賀重昂の影響があるのではないか」という仮説のもと、日本風景画を志賀重昂の流麗な文章とともに紹介。近世以降の日本画家が描いた山や海から、日本の自然美を堪能することができる。9点の“富士の絵”注目は、日本最高峰の名山である“富士山”を捉えた作品たち。志賀重昴は『日本風景論』で「『名山』中の最『名山』を富士山となす」と記している。富士山は明治時代以前にも崇敬をあつめ、名山として認識されており、絵画にあらわされてきたが、「富士山が日本一の名山である」というイメージは明治時代以前にはなかったものだ。展覧会には、狩野常信の《富士三穂図》をはじめ、橋本雅邦の《春景富岳図》や下村観山の《富士》など、江戸時代から昭和時代にかけて描かれた9点の富士の絵が登場。それぞれの時代の日本画家が捉えた富士山を概観できる。竹内栖鳳や寺崎廣業“西の栖鳳、東の廣業”と並び称される、竹内栖鳳(たけうち せいほう)と寺崎廣業(てらさき こうぎょう)の作品も展示。モチーフを切りつめ群青の海を抽象的にとらえた竹内栖鳳の海景画《晴海》や、写生と装飾性が調和した寺崎廣業の風景画《春海雪中松図》などを間近で観ることができる。横山大観《黎明》&山下新太郎の油彩画もさらに、横山大観の手による《黎明》や、山下新太郎の油彩画《黒部峡谷鐘釣附近》、池上秀畝の《巨浪群鵜図》など、日本の山海を描いた多種多様な作品がラインナップする。【展覧会概要】展覧会「日本の山海」会期:2024年2月27日(火)~6月2日(日)[前期]2月27日(火)~4月14日(日) [後期]4月16日(火)~6月2日(日)※絵画作品の一部入れ替えがある。会場:松岡美術館住所:東京都港区白金台5-12-6開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)※毎月第1金曜日は10:00~19:00(入館は18:30まで)休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)入館料:一般 1,200円、25歳以下 500円、高校生以下・障がい者手帳の所持者 無料※会期や開館情報は変更となる場合あり(最新情報については、美術館ホームページなどを要確認)■同時開催「アジアのうつわ」■通年企画「古代エジプトの美術平穏と幸せへの願い」【問い合わせ先】松岡美術館TEL:03-5449-0251
2023年12月30日12月1日(金) 公開の映画『ナポレオン』の衣装デザイン画と、ナポレオンの妻・ジョゼフィーヌを演じたヴァネッサ・カービーによるコメント映像が公開された。『ナポレオン』は、ホアキン・フェニックスが主演、リドリー・スコットが監督を務めるスペクタクル超大作。18世紀のフランス革命からスタートする物語において、衣装は当時の空気を作り上げる重要な要素で、本作でも緻密な時代考証が行われたという。『グラディエーター』を含め、何作もリドリーと仕事をしてきた衣装デザイナーのジャンティ・イェーツはドレスを担当。キャラクターについてより深く知るためフランスに出向き、プロヴァンス地方アンペリ城にある陸軍博物館、パリの人類博物館、そしてジョゼフィーヌが隠居して晩年を過ごしたマルメゾンを訪れたほか、ナポレオンの図像が多く存在するフォンテーヌブローにも足を運んだ。フランス革命前後は、デザインもそれまでのロココの華やかな色彩のドレスから白基調のハイウエストワンピース型へ、そして素材も絹から綿へと流行は移り変わり、人々のファッションに対する美意識が大きく変化した時代。ジャンティは「革命後のファッションは過激そのもの。全身が透けたメッシュドレスに大胆すぎる胸元。そしてド派手な帽子……」と当時のトレンドを解説し、加えて「ジョゼフィーヌの地位が上がってからは、私たちはシルバーとゴールドにこだわりました。彼女のガウンはシンプルなものから華やかなものになり、多くのジュエリーを身につけるようになりました」と語った。また、ヴァネッサは「衣装の変遷は壮観でした。首の赤いリボンはギロチンの象徴で、当時のトレンドだった。ジョゼフィーヌは時代の最先端であり、ファッションアイコンでした」と、ナポレオンと出会い皇后となるまで、社会的地位の変遷が衣装を通して表現されていることに言及。そしてジャンティのデザインしたドレスについて「ドレスは素晴らしいものでした。ジャンティは天才です!すべてが実際のドレスをもとにジャンティがデザインしたもので、完全に手作り。そしてそれぞれのドレスに施された技巧に驚きました。30秒のシーンでさえ、驚くような衣装が用意されているんです。毎朝、どのドレスを着るかを選ぶのが楽しみでした」と絶賛した。軍服を担当したのが、『プライベート・ライアン』でキャリアをスタートさせ、リドリー監督とは『キングダム・オブ・ヘブン』『アメリカン・ギャングスター』でコラボレートしてきた軍服衣装デザイナーのデビッド・クロスマン。彼は「最初にしたことは、知り合いのコレクターから1790年代当時の本物の衣装を手に入れることでした。目的は当時の衣装の美しさを直に知り、捉えること。取り寄せたのは当時の軍服だけではありません。軍服は民間人の服装やファッションと非常に密にリンクしているので、民間人のファッションを模倣し軍服のデザインに取り入れようと考えたのです。当時の衣装の模様などをコピーしてから、本作用のサンプルを作り始めました」と語っている。ナポレオンといえば帽子が印象的だが、クロスマンは「現存する当時の帽子を徹底的に調べ、すべてが正しい比率になるようサイズをコピーしました。大きな帽子は人に恐怖感を与えるので、他の映画ではとても小さく縮小された帽子が使われていることが多いのですが、本作では正確なサイズとスケールのものを使うようにしました。ホアキンが被っているのは典型的なナポレオン・ハット(二角帽子)です」と、サイズまでもがリアリティを追求して制作されたものだったことを明かしている。また、「1790年代半ばのフランス軍は、フランス革命直後の混乱期。当時のナポレオンはあまり贅沢はできないような役職でした。指揮官としての地位を手に入れた頃には、徐々に刺しゅうが施された軍服を着るようになります。そして1790年代後半のエジプト遠征、そしてマレンゴの戦いでは、全面に刺しゅうが施された2列ボタンの軍服を着ています。この衣装はパリの美術館からお借りして、忠実にコピーしたものです」と、皇帝へと上り詰めていくナポレオンの変遷も衣装で表現することが求められたという。クロスマンは衣装の面から「皇帝になる頃には、よりシンプルな軍服に移行していきます。これは“もっと目立たないようになりたい”、そして“もっと印象を薄くしたい”という彼の思いを強く反映しているのだと思います。ナポレオンには矛盾するさまざまな側面があり、だからこそこんなにも興味深いのだと思います」とナポレオン自身の内面を考察。さらに戦闘シーンで兵士たちが着る膨大な衣装について「レンタルすることもできなかったので、衣装の約95%を作り上げました。すべてを時間内に仕上げようと急ぎ、工場が破綻しそうにもなりました。リドリーの仕事の早さにより、ある週は戴冠式、次の週はワーテルローの撮影……」と恐るべき裏話を明かしている。なんとか締め切りに間に合い、キャスト全員に衣装を着せた後、「リドリーは無線で“ワオ、ワオ、ワオ”と言い続けました。それを聞けてとても嬉しく思いました」という。クロスマンは「映画が完成した今、私たちは一息ついて、実際に自分たちが作り上げたものを見返し、深く誇りに思っています」と振り返った。『ナポレオン』ヴァネッサ・カービーによるコメント映像<作品情報>『ナポレオン』12月1日(金) 公開公式サイト:
2023年11月26日特別展「北斎サムライ画伝」が、2023年12月14日(木)から2024年2月25日(日)まで東京のすみだ北斎美術館にて開催される。北斎の“サムライ画”が集結する特別展平安時代末期の平清盛の政権から江戸幕府が倒れるまで、約700年にわたって日本の政権を握っていた“サムライ”。特別展「北斎サムライ画伝」では、浮世絵師の葛飾北斎とその門人による浮世絵作品から、江戸時代の人々が抱いていた侍のイメージにふれることができる。戦乱の世から日常まで展覧会には、戦乱の世の武力の担い手として活躍する姿から、江戸市中を歩く日常の様子まで、さまざまな角度からサムライを捉えた浮世絵が登場。北斎の手による源頼朝の浮世絵や、すみだ北斎美術館で初公開の《美人と弁慶の耳かき》、江戸時代に起こった事件を伝える《仮名手本忠臣蔵 十一段目》といった作品が紹介される。浮世絵と“刀剣そのもの”の見比べもまた会場では、重要文化財《太刀 銘 信房作》をはじめとする刀剣や鑓も展示。描かれたものと実物を見比べて、イメージを膨らませながら北斎の描写力を感じることができる。さらに、北斎が波を描いた代表作《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》と、同じく波の文様を配した《刀 銘 津田越前守助広/延宝九年八月日》など、共通の主題を持つ品々も見どころのひとつだ。【展覧会概要】特別展「北斎サムライ画伝」会期:2023年12月14日(木)~2024年2月25日(日) ※前後期で一部展示替え予定。[前期 12月14日(木)~1月21日(日) / 後期 1月23日(火)~2月25日(日)]会場:すみだ北斎美術館 3階企画展示室、4階企画展示室住所:東京都墨田区亀沢2-7-2開館時間:9:30〜17:30(入館は17:00まで)休館日:月曜日※開館:1月2日(火)・1月3日(水)・1月8日(月・祝)・2月12日(月)※休館:12月29日(金)~1月1日(月・祝)、1月4日(木)、1月9日(火)、2月13日(火)観覧料:一般 1,200円、高校・大学生 900円、65歳以上 900円、中学生 400円、障がい者 400円、小学生以下無料※観覧日当日に限り、「AURORA(常設展示室)」も観覧可能。※前売券及び当日観覧券の発売日・販売方法や、各種割引の詳細、団体での来館、最新のイベント情報は、すみだ北斎美術館公式ホームページを要確認。【問い合わせ先】すみだ北斎美術館TEL:03-6658-8936 (9:30〜17:30 / 休館日のぞく)
2023年11月24日ポスト印象派を代表する画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890)。これまでも様々なかたちで紹介されてきたが、なかでも静物画に焦点をあてた展覧会が、代表作のひとつ《ひまわり》を所蔵する東京・新宿のSOMPO美術館で、10月17日(火)から2024年1月21日(日)まで開催される。オランダに生まれ、パリに出て印象派の影響を受けたゴッホは、南仏のアルルで画家仲間との共同生活を目指す。だが、唯一南仏にやってきたゴーギャンとの口論から自身の左耳を切る事件を起こし、サン=レミの病院での療養を経て、転地先で37歳の若さで亡くなった。しかし、短い生涯のなかで静物画、風景画、肖像画など多くの作品を精力的に描き、とりわけ画家が主観で描く要素の強い静物画では革新的な実験を試み、独自のスタイルを確立している。同展は、そのゴッホを西洋美術の静物画の歴史の中に位置づけるものだ。絵画ジャンルとしての静物画は、プロテスタントが台頭した17世紀のオランダで、カトリック教会を装飾する大型の宗教画のかわりに、花や日用品などの現世の事物をリアルに描く小型の絵画が流行したことで成立したという。その後、20世紀に至るまで、静物画がどのように展開してきたかをたどることによって、ゴッホが伝統から何を学び、それをどのように自作に反映させ、そして後世にどのような影響を及ぼしたのかを探るのが同展の試みだ。大きな見どころは、国内外25カ所から出展される全69点のうち、ゴッホ作品が25点に及ぶこと。アルル滞在時にゴーギャンの部屋を飾るために描かれた「ひまわり」連作に関わる《ひまわり》や、サン=レミで描かれた《アイリス》をはじめ、各時代の、そして様々なモチーフの静物画が集結する。ドラクロワやマネ、ゴーギャン、セザンヌ、シャガールらの静物画と比較しつつ鑑賞できるのも興味深い。なお、同展は、2020年の同館移転後の開館特別企画展として予定されつつも、感染症拡大により中止となったもの。開催を心待ちにしていたファンも多いに違いない。ファン・ゴッホを深く知ることのできる待望の展覧会にぜひ足を運びたい。<開催情報>『ゴッホと静物画―伝統から革新へ』会期:2023年10月17日(火)~2024年1月21日(日)会場:SOMPO美術館時間:10:00~18:00、11月17日(金)と12月8日(金)は20:00まで(入場は閉館30分前まで)休館日:月曜(1月8日は開館)、12月28日(木)~1月3日(水)料金:一般2,000円、大学1,300円※日時指定予約制公式サイト:
2023年10月02日・幼い頃の自分を見ているよう。・懐かしい日本の夏の風景。・すごく素敵。おやつはスイカかな。はらかずあき(@KBotchan)さんがSNSに投稿した写真に、そんなコメントが寄せられています。はらさんが公開したのは、夏休みの宿題を進める、息子さんの姿。夏休みの宿題を進める子供と聞くと、洋室のリビングや子供部屋で取り組む姿を想像する人が多いのではないでしょうか。ですが、はらさん家族の住まいは、築100年の古民家。伝統的な様式を持つ古民家で、息子さんが宿題をすると、なんともノスタルジックな雰囲気になってしまうのです。畳の縁側に置かれた小さな机で、夏休みの宿題を進める息子さん。息子さんの身体に合ったシンプルな机はもちろん、扇風機や『蚊遣り豚』といった、夏を感じさせるレトロなアイテムが散りばめられています。「夏休みは、宿題をコツコツやったほうがいい」という格言とともに、はらさんが公開した、ひと昔前の日本の夏を彷彿とさせる、素敵な写真。過去の思い出に思いを馳せ、胸をジーンとさせる人が相次ぎました。こうした、昔ならではの日本の風景を大切に残していきたいと、改めて思わされますね。はらさんは、Instagramでもさまざまな家族の写真を公開しています。気になった人は見てみてはいかがですか。Instagram:k_botchan[文・構成/grape編集部]
2023年08月12日風景をめぐる写真や映像表現を紹介する『風景論以後』が、東京都写真美術館で8月11日(金・祝)〜11月5日(日)開催される。風景とは何か。技術革新と経済成長の最中にあった1970年代前後の日本で、どこにでもある風景を、文化、社会、政治との関係から表現する実験的な写真が生まれ、映像にも大きな影響を与えた。近年国際的に再評価されている当時の動きを振り返り、現代の写真表現とつなげて考えてみる意欲的な展覧会だ。展覧会ではまず導入として、同展の起点となる映画批評家の松田政夫による風景論を紹介。全国的な都市化や近代化が進むなか、なんの変哲もない日常風景を国家と資本による権力そのものだとして、71年に刊行された『風景の死滅』などで展観する。さらに、広島を公園都市として、広島平和記念公園とその周辺を連続して撮影している笹岡啓子、ファッション写真雑誌の編集者として活動後、フリーの写真家となり、人の気配を残す匿名的な風景を撮影した清野賀子、自ら作り上げた「アレ、ブレ、ボケ」のスタイルを自己批判し、独自の実作と理論に向かった中平卓馬などの作品を展示。現代から70年代へと遡るようにその時代に現れた表現をたどっていく。また、足立正生、佐々木守、松田政男らによる映画《略称・連続射殺魔》も展示上映。1968年に起きた無差別連続射殺事件の犯人、当時19歳の永山則夫が、生まれてから逮捕されるまでに見たであろう風景のみで構成した実験的な作品だ。大島渚監督《東京战争戦後秘話》、若松孝二監督《ゆけゆけ二度目の処女》などの映像作品、アーカイブ写真や印刷物なども公開する。アーティストトークや映画上映のスケジュールもチェックしてから出かけたい。<開催情報>『風景論以後』会期:2023年8月11日(金・祝)~11月5日(日)会場:東京都写真美術館 地下1階展示室時間:10:00~18:00、8月の木金は21:00まで、9月以降の木金は20:00まで(入場は閉館30分前まで)休館日:月曜料金:一般700円、大学560円、高中・65歳以上350円※8月11日(金)~8月31日(木)の木金は17:00よりサマーナイトミュージアム割引あり公式サイト:()
2023年08月10日展覧会「風景論以後」が、東京都写真美術館にて、2023年8月11日(金・祝)から11月5日(日)まで開催される。1970年代前後の日本における風景論とその後風景は、芸術や美と結びつけて語られ、西洋の近代美術の主題となってきた。また、写真や映像においても、カメラのレンズを通して撮影者の視点をうつしだすという意味で、風景は重要な主題であり続けてきた。そして、「風景とは何か」を問う風景論は、社会的な構造や美の捉え方をも語るものであり、不安定な社会状況を背景に登場してきたのだった。実際、1970年前後の日本に現れた風景論は、どこにでもある風景を現実の側から捉えなおそうと試みるものであった。70年代に入り、学生運動の潮流が下火になる一方、全国的に都市化と均質化が進むなか、ありふれた、日常的な風景を国家と資本による権力そのものだとする風景論が、写真や映像メディアと連動して展開されたのだった。このように、写真や映像にうつしだされる風景の背後には、表面的には目に見えない権力の網の目が存在していると捉えられるのだ。展覧会「風景論以後」は、このように1970年前後の日本に登場した風景論を起点として、風景のなかに反映された社会制度や事象にまで光をあてるもの。当時の議論を牽引した映画批評家・松田政男による風景論や、その理論と連動した写真・映像表現を紹介するとともに、現在に至るまでの作品をたどることで、風景論以後の写真と映像の可能性を探ってゆく。現代における風景第1章では、現代における風景に着目。現代では、スマートフォンなどによって誰もが美しい風景を写真や映像に残すことできる一方、ソーシャル・メディアを通して、人びとはあらゆる種類の写真や映像を大量に消費している。このようにイメージが氾濫するなか、風景の背後に存在するものに目を向けることは難しい。会場では、広島平和記念公園とその周辺を継続して撮影し、公園都市としての広島を捉えてきた笹岡啓子などを紹介する。個人に向かう表現1970年代後半を経て、バブル経済の膨張と崩壊が起こる80〜90年代にかけて、写真や映画においては、非商業的で、個人に向かう表現が多数手がけられている。第2章では、70年代頃から写真や映像を用いて、大阪の居住地周辺の日常的な風景を記録するようになった今井祝雄や、ファッション誌の編集者から写真家に転向し、人の気配を残した匿名的な風景を撮影した清野賀子などに光をあてる。風景論誕生の契機本展で着目する風景論が生まれる具体的な契機となったのが、足立正生、佐々木守、松田政男らによる映画『略称・連続射殺魔』だ。同作では、1968年に起こった無差別連続射殺事件の犯人が、生まれてから逮捕されるまでに目にしたであろう風景のみ構成されている。第3章では、この『略称・連続射殺魔』や、風景論を経て独自の実作と理論へと向かった中平卓馬を紹介する。1970年代前後の風景論を再考第4章では、風景論の起源に着目。風景とは、馴染みのある言葉であり、さまざまな文脈や歴史的背景のもとに語られてきたため、風景論として定義することが難しい。1970年前後の日本における風景論は、そのなかでも特異な位置を占めるものの、当事者間の理論的な差異などから、その内容には大きく光があてられてこなかった。会場では、『略称・連続射殺魔』ばかりでなく、大島渚の『東京战争戦後秘話』などの映像作品、アーカイブ写真や印刷物の数々から、風景論の登場当時の議論を再考する。展覧会概要展覧会「風景論以後」会期:2023年8月11日(金・祝)〜11月5日(日)会場:東京都写真美術館 B1F 展示室住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内開館時間:10:00~18:00(木・金曜日は20:00まで)※入館はいずれも閉館30分前まで休館日:月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)観覧料:一般 700円(560円)、学生 560円(440円)、中学生・高校生・65歳以上 350円(280円)※( )は有料入場者20名以上の団体、同館の映画鑑賞券提示者、各種カード会員割引料金※小学生以下、都内在住・在学の中学生、障害者手帳の所持者および介護者(2名まで)などは無料※第3水曜日、9月18日(月・祝)は65歳以上無料※8月11日(金)〜31日(木)の木・金曜日17:00〜21:00 は、サマーナイトミュージアム割引(学生および中学・高校生は無料、一般および65歳以上は団体料金)■上映企画・出品作家による上映:崟利子日時:8月26日(土) 10:00 / 13:00 / 15:30 / 18:00・出品作家による上映:遠藤麻衣子日時:8月27日(日) 13:00 / 15:00 / 17:00・風景論をめぐる映画特集:平沢剛(キュレーター、本展企画協力)日時:8月24日(木) 18:00、10月6日(金) 18:00、10月7日(土) 10:00 / 13:00 / 15:00 / 18:00、10月8日(日) 13:00 / 15:00 / 18:00、10月9日(月・祝) 15:00 / 18:00、10月12日(木) 18:00、10月13日(金) 18:00料金:いずれも 当日券(1プログラムにつき) 500円※全席指定、各回定員(190名)入替制※鑑賞当日10:00より当日上映回すべての受付を開始※上映作品については美術館ホームページを参照【問い合わせ先】東京都写真美術館TEL:03-3280-0099(代表)
2023年07月29日映画監督ウェス・アンダーソンの世界を体現したような風景写真を集めたInstagramのコミュニティ《Accidentally Wes Anderson(AWA)》をもとにした展覧会『ウェス・アンダーソンすぎる風景展あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』。2023年5月26日(金) まで寺田倉庫G1ビル(東京・天王洲)にて開催中の同展が、2023年11月25日(土) よりヒカリエホール(渋谷ヒカリエ9F)にて再び開催されることが決定した。《Accidentally Wes Anderson(AWA)》は、世界の実在する風景から、『グランド・ブダペスト・ホテル』などで知られる人気映画監督ウェス・アンダーソン監督の作品に出てきそうな場所を撮影し投稿する人気Instagramコミュニティ。2017年にアメリカのブルックリンで、ワリーとアマンダ·コーヴァル夫妻が旅行計画のバケットリスト(死ぬまでにしたい100のこと)を構想したことから始まり、いまでは170万人以上のフォロワー数を誇っている。2022年には韓国・ソウルで開催されて好評を博し、現在、東京・天王洲にて開催中の同展では、《Accidentally Wes Anderson(AWA)》に投稿された写真の中から、ウェス・アンダーソンの映画のワンシーンを切り取ったような約300点あまりを紹介。「ポップなパステルカラー」、「シンメトリー(左右対称)な構図」など、ウェス・アンダーソン作品の特徴が表現された世界各地の写真が、旅に関する10のキーワードにそって展示されている。<開催概要>『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』2023年4月5日(水) ~5月26日(金)、寺田倉庫G1ビルにて開催『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷あなたのまわりは旅のヒントにあふれている』2023年11月25日(土)~12月28日(木)、ヒカリエホールにて開催公式サイト:
2023年05月17日獅子舞競技に魅せられた少年たちをCGアニメーションで描く中国映画『雄獅少年/ライオン少年』より、主人公や獅子舞のキャラクター画、美術設定画が公開された。2022年に日本で限定上映された本作が、今回日本語吹き替え版で全国公開。花江夏樹が声をあてる本作の主人公・チュンは、身体が弱く、友達も少ないが負けず嫌いなキャラクター。そんな性格を表すように、ポケットに手を入れて歩くキャラクター画と、様々な表情の作画が見られる。また、山寺宏一演じる獅子舞の師匠・チアンは、目じりが垂れ下がり、気だるさが表現されている。本作で特に描くのが大変だったというのが獅子舞。プロジェクト始動時、それぞれのチームが獅子舞の訓練受け、動作の基本的な法則をベースに絵コンテ作りを始め、そこに舞踊や武術の動作を組み合わせ、カメラの動きを調整して視覚効果を生み出したという。一番難しかった獅子頭は、型の種類、材料の違いなどについて特に細かく調査。大量の毛がつき、伝統的なものは硬い毛を使い、動くとよく跳ねるのが特徴だが、チュンの持っている新しいタイプの獅子頭は、毛がふわふわしていて動きの演算が非常に多かった。設定画では、2種類の獅子頭を様々な角度から丁寧に描いていることが分かる。ほかにも、獅子舞を披露する競技場やチュンたちが生活する村の設定画も公開された。『雄獅少年/ライオン少年』は5月26日(金)より全国にて公開。(cinemacafe.net)■関連作品:雄獅少年/ライオン少年 5月26日(金)全国公開©BEIJING SPLENDID CULTURE & ENTERTAINMENT CO.,LTD ©TIGER PICTURE ENTERTAINMENT LTD. All rights reserved.
2023年05月06日ハトは、首をしきりに振る姿が印象的。小刻みに動いている姿を、つい見てしまう人もいるのではないでしょうか。蝉屋(@tittanmayer)さんは、ニュージーランドのクイーンズタウンにある、ワカティプ湖の風景を動画として撮影していました。動画は、カメラを固定した状態のもと、一定間隔で撮影した静止画を処理して1つにまとめる方法で撮影。一般的な動画よりもやや速く再生されることが特徴的です。撮影された動画の中には、鳥が写っていたのですが、速さが特徴的なため…。( ㆁωㆁ) おい、鳥ぃ!!微速度撮影に映り込むのはいいんだけど、真顔で首を振るなぁ!! pic.twitter.com/d2ULOeob78 — 蝉屋@ちったん(べらんだ) (@tittanmayer) March 4, 2023 鳥が真顔で首を何度も左右に振っています!何羽もの鳥が、一斉に首を振っている光景にもクスッとしますよね。ネット上では蝉屋さんが撮影した光景に、「じわじわくる」「吹き出したわ!」「笑いすぎて腹筋が崩壊した!」と人気を呼んでいます。通常とは異なる速度の動画であるからこそ、こうしてユニークな光景になるのでしょう![文・構成/grape編集部]
2023年03月12日展覧会「ウェス・アンダーソンすぎる風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」が、2023年4月5日(水)から5月26日(金)まで、天王洲・寺田倉庫にて開催される。“まるでウェス・アンダーソン監督作品”世界中から集めた風景写真が集結アカデミー賞において数々の賞を受賞した『グランド・ブダペスト・ホテル』をはじめ、『犬ヶ島』『フレンチ・ディスパッチ』など、話題作を生み出し続けているウェス・アンダーソン監督。その独特のセンス、構図、ユーモアを兼ね備えた唯一無二の世界観に、世界中の多くのファンが魅了されている。「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」は、そんなウェス・アンダーソン監督が“いかにも撮りそうな”写真を集めたユニークな展覧会だ。会期中は、ポップなパステルカラー、シンメトリー(左右対称)な構図など、偶然に配置された“ウェス・アンダーソン監督らしい”風景写真を約300点展示。撮影された地域も実に様々で、スイス・フルカ峠やイギリス・ロンドン 、アメリカ オハイオ州・クリープランド、キュラソー島・ウィレムスタット…など、世界各地の名が連なる。韓国では約25万人を動員なお「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」は、世界の実在する風景から、ウェス・アンダーソンの映画に出てきそうな場所を撮影し投稿するSNSコミュニティ“AWA(Accidentally Wes Anderson)”の作品を使用したもの。2022年、韓国・ソウルで「AWA展」として開催された際には、25万人を動員するほど話題に。今回の日本開催は、そんな同展の巡回展という位置づけとなる。ウェス・アンダーソン監督コメントここに紹介された写真は、僕が出会ったこともない人々が(わずかな例外をのぞいて)僕が見たこともない場所や物を撮ったものだが──実際僕が撮りそうな写真だ。偶然に僕であるとはどういうことか、よく理解できた。どうもありがとう。じゃあ意図的に僕であるとは、どういう意味なのだろうか。きっと僕自身のことを指すのだろうが、いまだによくわからない。けれどそれは大したことじゃない。ほかにはない魅力的な風景を発見し、共有してくれたことに、心からの祝福と大きな感謝を伝えたい。※公式ブック:『ウェス・アンダーソンの風景』より東京限定グッズ&ソウル直輸入アイテムまた本展の開催を記念したグッズも見逃せない。東京会場限定の刺繍ハンドタオルやマグカップ、キャンバスバッグなどがラインナップするほか、韓国・ソウルから直輸入したマスキングテープやフォトステッカーも取り揃えている。ワットカフェにて限定メニューもさらに、会場近くにあるアートギャラリーカフェ「ワットカフェ(WHAT CAF)」では、本展にちなんだ特別メニューを展開。中でも注目なのは、カラフルなクリームソーダにラムネを添えた「ウェス・アンダーソンすぎるクリームソーダ」だ。フレーバーは、ラムネ・ストロベリー・レモン・メロンの4種を用意している。また、レモンが香る爽やかなケーキ「旅を夢見るレモンケーキ」やさくら&バニラフレーバーのダブルアイス「ひらめきもたらすカラフルアイス」などを提供するため、「ウェス・アンダーソンすぎる風景展」を鑑賞した後に、立ち寄ってみてはいかがだろうか。詳細「ウェス・アンダーソンすぎる風景展 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」会期:2023年4月5日(水)~5月26日(金)※休館日なし会場:東京・天王洲| 寺田倉庫 G1 ビル住所:東京都品川区東品川2丁目6-4開館時間:11:00~19:00、毎週金・土曜日 11:00~20:00(入館は閉館の各30分前まで)※ゴールデンウィーク中(4月30日~5月4日)と最終週(5月22日~25日)は11:00~20:00※状況により、会期・開館時間等が変更となる場合あり。※本展は予約不要だが、状況によりオンラインによる事前予約が必要となる場合あり。公式HPにて最新情報を要確認。入館料:一般2,000円(1,800円)、大学生1,500円(1,300円)、高校生以下1,000円(800円)※()内は前売り料金。※未就学児は入館無料。※学生券の購入の場合は、学生証の提示が必要(小学生は除く)※障がい者手帳の提示で本人と、同伴1名が半額。■グッズ例<東京オリジナルグッズ>・刺繍タオル 1,100円・マグカップ 1,980円・キャンバスバッグ 3,080円<韓国直輸入グッズ>・マスキングテープ25mm 500円・フォトステッカー 430円■メニュー例・ウェス・アンダーソンすぎるクリームソーダ 各900円・旅を夢見るレモンケーキ 800円※1日20食限定・ひらめきもたらすカラフルアイス 700円<店舗情報>「ワットカフェ」住所:東京都品川区東品川2-1-11営業時間:11:00~18:00 不定休
2023年02月24日東京ステーションギャラリーで、『佐伯祐三 自画像としての風景』が開かれています。パリや東京の街並みなどを描いた作品をはじめ、人物画や静物画なども高く評価されている画家、佐伯祐三(1898-1928)。東京では18年ぶりとなる本格的な回顧展の見どころについて、学芸員さんのお話も交えてレポートします!天才画家の代表作が集結!『佐伯祐三 自画像としての風景』展示風景【女子的アートナビ】vol. 278『佐伯祐三 自画像としての風景』では、約100年前に30歳の若さで亡くなった天才画家、佐伯祐三の代表作が一堂に集結。世界最大の佐伯コレクションを誇る大阪中之島美術館の所蔵作を中心に、日本各地の美術館やコレクターが所蔵する多彩な作品約100点が集まっています。東京ステーションギャラリー館長の冨田章さんは、プレス内覧会で「洋画界のスーパースターといってもいい佐伯祐三の展覧会は、ぜひ開催したいと思っていた」とコメント。「当館の建物は、佐伯と同時代に建てられた。石造りの壁を好んで描いたパリ時代の絵は、赤レンガ壁の展示室に合うと思う」と語りました。なお、本展は2022年にオープンしたばかりの大阪中之島美術館が企画した展覧会の巡回展です。同美術館学芸員の高柳有紀子さんによると、美術館開館のきっかけは佐伯祐三の作品にあるとのことで、次のように語りました。高柳さん大阪の実業家で美術コレクターの山本發次郎さんが、佐伯の才能に一目ぼれして最大150点ほどのコレクションを築きました。そのうち2/3ほどは空襲で燃えてしまったのですが、残った作品を大阪市にすべて寄贈。それがきっかけとなり、美術館をつくる構想ができました。佐伯祐三の展覧会を開くことは、私たちの大切なミッションでした。30歳で亡くなった伝説の画家…『佐伯祐三 自画像としての風景』展示風景佐伯祐三とは、どんな画家なのでしょう?まずは、彼の人生をご紹介します。佐伯は大阪の由緒あるお寺、光徳寺の次男として誕生。従兄の影響で絵を描きはじめ、東京美術学校(現・東京藝術大学)を卒業後、すでに結婚していた妻と生まれて間もない娘を連れてパリに渡ります。実家の支援で不自由なくパリで活動していた佐伯ですが、体があまり健康でなかったため、心配した親族から帰国を促されて留学を中断。日本に戻り、東京・新宿のアトリエで制作活動を続けます。その後、1927年に妻子を連れて再び渡仏。しかし、結核が悪化した佐伯は神経衰弱も進み、パリ郊外の精神病院に入院、1928年に30歳の若さで亡くなりました。その約2週間後、さらに一人娘も病没。娘さんは6歳でした。フランスの画家に罵声を浴びせられて…『佐伯祐三 自画像としての風景』展示風景佐伯は、悲劇的な生涯を送った画家のため、展覧会では画家のドラマチックな人生を作品とともに紹介するパターンが多いのですが、本展では作品そのものに注目して展示構成されています。まず、展覧会の前半では、日本で描かれた作品を中心に展示。アトリエのあった新宿・下落合の風景画や大阪で描いた船の絵、また自画像や家族の肖像画などを見ることができます。高柳さんの話によると、佐伯は画学生時代を中心にたくさんの自画像を制作。その後は、自画像のかわりに風景を描き、その中に自分を没入させていたそうです。『佐伯祐三 自画像としての風景』展示風景展示の後半では、パリ時代の作品をまとめて展示。渡仏した1924年、佐伯は当時フランスで活躍していた画家、ヴラマンクに自分の自信作を見せに行きますが、「このアカデミック!」と罵声を浴びます。これが転機となり、彼の作品は大きく変化。やがて、自分の画風を確立していきます。しびれるアートがいっぱい!『佐伯祐三 自画像としての風景』展示風景パリ時代の約4年間、佐伯は重厚なパリの街並みや、ポスターが貼られた建物の壁、カフェ、プラタナスの並木道などを描き、多くの傑作を生みだしていきます。冨田館長の話によると、佐伯はとても早く描く画家で、現場で見たままの景色をすごい勢いで画面に写し取っていたそうです。あまりに描くのが早いため、線が躍動し、特にパリ時代後半の作品は、生き生きした生命力のある線になっている、とのこと。実際、佐伯の作品は、実物を見ると本当に迫力がありますし、特にパリの街並みを描いた作品群は現地の空気も伝わってくるようで、しびれるほどかっこいいです。また、展示室の赤レンガ壁と作品の相性も抜群。最高に贅沢な空間で絵画鑑賞を楽しめます。本展は4月2日まで。大阪中之島美術館では4月15日から開催予定です。Information会期:~4月2日(日)、月曜休館(3/27は開館)会場:東京ステーションギャラリー開館時間:10:00〜18:00(入館は30分前まで)※金曜日は20時まで開館観覧料:一般¥1,400、大学・高校生¥1,200、中学生以下無料
2023年02月12日大阪、東京、パリと3つの街で描き、30歳という若さでこの世を去るまで短い生涯を描くことに捧げた洋画家・佐伯祐三。東京では実に18年ぶりとなる回顧展『佐伯祐三自画像としての風景』が東京ステーションギャラリーで1月21日(土) に開幕した。同展は、国内最大の佐伯祐三コレクションを誇る大阪中之島美術館の企画・構成のもと同館の収蔵品を中心に構成されている(東京展終了後、4月15日(土)から大阪中之島美術館へと巡回)。昨年2月に開館した大阪中之島美術館だが、美術館開館の構想は1983年に実業家・山本發次郎の旧蔵品が大阪市に寄贈されたことからスタートした。その山本發次郎コレクションの中心を成していたのが、佐伯祐三の作品群だった。このような深いつながりから「開館後、早い段階で『佐伯祐三展』を開催するということは私たちの大切なミッションとして温めてきたことでした」と大阪中之島美術館学芸員の高柳有紀子さんは語る。さらに「30歳で亡くなった佐伯祐三の短くも凝縮された画業を、その悲劇性をまとった人生の歩みとともに通覧するというのがこれまで行われてきた佐伯の個展の展開でしたが、今回は作品ひとつひとつにじっくりと向き合い、彼が何を見て、何を描こうとしたのかを見て頂けるような構成にしたいと考えました」と高柳さん。展覧会のタイトルは「自画像としての風景」。このタイトルを象徴するプロローグとして展示は佐伯の自画像を集めたコーナーから幕を開ける。「佐伯は風景を描くときに自分を没入させるような表現の仕方をしているので、それを表すためにこのタイトルにしました。自画像は画学生時代とパリに渡ってすぐのときに描いているのですが、その後はほとんど描いていないんです。自画像の替わりに自身を投影する対象として風景を描いたということは作品を見て頂いてもわかるのではないかと思います」(高柳さん)《立てる自画像》1924年大阪中之島美術館左:《自画像》1920-23年頃三重県立美術館右:《自画像》1919年頃和歌山県立近代美術館第1章「大阪と東京」では、東京美術学校時代の作品や、渡仏後に一時帰国し大阪や東京で描いた作品を紹介する。特に1926年から27年の「一時帰国時代」の作品については、これまでの展覧会では特に重要視されてこなかったというが、同展では佐伯がアトリエを構えた下落合(東京都新宿区)の風景や停泊する船を描いた「滞船」シリーズなどの連作を展示。この時代の作品を並べて見ると、電柱や電線、船のマストなど「線」の表現が存在感を示し、作品における重要な要素となっているのがわかる。左:《下落合風景》1926年頃和歌山県立近代美術館右:《下落合風景》1926年頃個人蔵左:《滞船》1927年ポーラ美術館右:《滞船》1926年神奈川県立近代美術館続く第2章は「パリ」。佐伯が東京美術学校を卒業後、最初にパリに渡った第1次パリ時代(1924~25年)と一時帰国を経て再びパリにわたった第2次パリ時代(1927年8月~)の作品を紹介している。第1次パリ時代の重要な作品として挙げられるのは1925年に描かれた《壁》だ。佐伯はこの頃からパリの下町の建物の古びた壁を、質感豊かに、画面いっぱいに描くという作風を確立していった。また、同じモチーフに執着し何度も描くというはこの時代に限らない佐伯の特徴であり、ここでも同じ建物の壁を描いた作品が並べて紹介されている。さらにこの時代の終わりくらいには壁に貼られたポスターが現れるようになってくる。左:《壁》1925年大阪中之島美術館右:《広告のある門》1925年和歌山県立近代美術館左:《レ・ジュ・ド・ノエル》1925年大阪中之島美術館右:《レ・ジュ・ド・ノエル》1925年和歌山県立近代美術館左:《リュ・デュ・シャトーの歩道》1925年和歌山県立近代美術館右:《パストゥールのガード》1925年神奈川県立近代美術館第1章で紹介されたように「一時帰国時代」の作品には「線」が描かれるようになったが、その後の第2次パリ時代の作品にも同じようにパリの風景のなかに「線」が現れてくる。この時代の作品では細い線が素早く躍動感のある筆致でパリの街路樹やポスターの文字などを表現しているのが特徴だ。《ガス灯と広告》1927年東京国立近代美術館佐伯がこの「線」の描写に関心を持っていたのはわずか数か月のことであり、1928年に入るころには黒く太い輪郭線で建物を素早く描きとる作風に展開していく。第3章「ヴィリエ=シュル=モラン」では、1928年2月に佐伯が訪れ最後の写生地となった村、ヴィリエ=シュル=モランで描かれた作品を紹介。ポスターに氾濫する文字も鮮やかな色彩もない田舎の村で、佐伯が集中的に描いた小さな教会の連作などが展示されている。第3章「ヴィリエ=シュル=モラン」展示風景モランでの20日ほどの滞在の後、パリに戻った佐伯は3月に風邪をこじらせたことをきっかけに床に臥すようになる。病状の悪化とともに精神も不安定になりこの年の8月、30歳でこの世を去った。「人物と扉」と題された展覧会のエピローグでは、佐伯が最後に手掛けた5点の作品が展示されている。左:《ロシアの少女》1928年大阪中之島美術館右:《郵便配達夫》1928年大阪中之島美術館左:《黄色いレストラン》1928年大阪中之島美術館右:《扉》1928年田辺市立美術館(脇村義太郎コレクション)短い生涯のなかで、大阪、東京、パリで描き、自らの画風を模索し続けた佐伯祐三。それぞれの町の風景に投影された佐伯の思いを感じながら、ひとつひとつの作品と向き合ってみてほしい。<開催情報>『佐伯祐三 自画像としての風景』1月21日(土)~4月2日(日)、東京ステーションギャラリーにて開催
2023年01月27日東京ステーションギャラリーで開催される「佐伯祐三 ―自画像としての風景」展をご紹介します。速く、熱く駆け抜けた夭折の画家が掴んだオリジナリティ。約100年前のパリ。華やかな通りを外れた路地裏で、何の変哲もない建物の壁や、剥がれかけたポスターを一心に描く日本人画家がいた。「佐伯祐三はパリの有名な場所をほとんど描いていません。それより裏町のさびれたようなところがモチーフとして面白かったのでしょう。そういう場所を求め、パリ中を歩き回ったのだと思います」と、東京ステーションギャラリー館長の冨田章さん。佐伯が描くパリの風景は、これまで多くの人を魅了してきた。しかし実は本格的な画家としての活動期間は5年に満たず、その間に一時帰国をはさんで2度渡仏し、パリに暮らした。本展ではあまり注目されることのなかった大阪、東京の一時帰国中に描いた風景作品と、パリ時代の作品を併せて公開する。画家人生の全てを俯瞰する試みだ。厚く絵の具を塗り重ね、その上に速書きの線というスタイルは、日本から戻った第2のパリ時代に完成したとされる。ポスターの文字に見る、油絵の具で描いたとは思えないキレのよいカリグラフィーに書道を連想する人もいるかもしれない。「こうした線描写が、重厚な画面に生き生きとした活気を与えています。一時帰国中は電信柱や電線、船の帆柱など、線のモチーフを繰り返し描いていますが、このときの探究が晩年のスタイルに働きかけたと考えられています」パリに着いたばかりの頃、フォービスムの巨匠ヴラマンクに絵を見せたところ「アカデミック!」と一喝されたという有名なエピソードがある。同じ頃に描かれた自画像の顔の部分は消され、未完のままだ。その後は突き動かされるように、雨の中でさえ絵を描き続けた。「佐伯はパリで自分の全てを注ぎ込んだ絵を描きました。一枚の絵を本当に苦しみながら描いているのが感じられて、見ていると切なくなるほどです。そしてそれが佐伯の絵の魅力なのだと思います」一枚一枚に魂の全てを込めた。佐伯にとって風景画こそ「自画像」だったのかもしれない。壁・文字・線のパリ。「晩年の絵の線の描写をぜひ見ていただきたい」。塀を覆うポスターを躍動的な文字が覆う。こうした線描を佐伯は非常に速いスピードで描いた。1日に何枚も絵を仕上げることもあったとか。佐伯祐三《ガス灯と広告》1927年東京国立近代美術館住んでいたアパートの近所にあった靴屋は、幾度も描いた愛着ある場所。「壁」も佐伯の重要なモチーフの一つだった。「重厚な石造りの壁を表現しようと試みた作品です」佐伯祐三《コルドヌリ(靴屋)》1925年石橋財団アーティゾン美術館一時帰国:大阪と東京。自宅兼アトリエのあった東京・下落合の風景を描いた作品。電信柱と空を横切る電線など、風景の中の「線」の描き方を研究していた。大阪では港に停泊している帆船をよく描いた。佐伯祐三《下落合風景》1926年頃和歌山県立近代美術館絶筆となった3作品も。亡くなる半年ほど前、郵便配達夫にモデルを頼んで描き上げた。そのほか絶筆の2作品も展示。「結核に侵されながら、絵が輝いているよう。絵の神様に描かされたような絵だと思います」佐伯祐三《郵便配達夫》1928年大阪中之島美術館かきとられた自画像。「パリに行って間もなくヴラマンクに会い『アカデミック』と言われ、なんとか脱却しようと苦労しているときに描いたもの」。顔の部分はおそらくうまくいかずに消してそのままに。佐伯祐三《立てる自画像》1924年大阪中之島美術館「佐伯祐三 ―自画像としての風景」東京ステーションギャラリー東京都千代田区丸の内1‐9‐1JR東京駅 丸の内北口 改札前1月21日(土)~4月2日(日)10時~18時(金曜は~20時。入館は閉館の30分前まで)月曜(3/27は開館)休一般1400円ほかTEL:03・3212・2485※『anan』2023年1月25日号より。取材、文・松本あかね(by anan編集部)
2023年01月24日風景画の名作で名高い浮世絵師・歌川広重。その風景の中に描き込まれた人物像に注目した『広重おじさん図譜』が、2月3日(金)から3月26日(日)まで、東京・原宿の太田記念美術館で開催される。「笑う、がんばる、食べる、旅する——おじさんがいっぱい」というキャッチコピーを掲げた、なんとも楽しげな展覧会だ。主役ではないかもしれないけれど、なんとも味わい深い表情や仕草で風景画の中に登場する人物たちを、親しみと愛着を込めてあえて「おじさん」と呼んで光をあてるコンセプトは、2017年と2021年に岐阜県の中山道広重美術館で好評を博した『ゆる旅おじさん図譜』展を元にしているという。今回は、多彩な浮世絵コレクションを誇る太田記念美術館が、約150点の作品で、広重の浮世絵版画を中心に、その「おじさん」の描写の魅力に迫る。登場するのは、無垢な笑顔を見せるおじさん、仕事をがんばるおじさん、グルメを楽しむおじさん、ピンチであわてるおじさん、不思議な装いのおじさんなど。さまざまな職業につき、さまざまな状況におかれたおじさんたちは、旅人だったり、地元の住人だったりするが、いずれも個性豊かで、愛嬌に満ちた表情をたっぷりと見せてくれる。同展の魅力のひとつは、ユーモラスに描かれたおじさんたちの姿に着目することで、広重の風景画がこれまでとは違った新鮮なイメージで見られることだろう。保永堂版「東海道五拾三次之内」や「木曽海道六拾九次之内」など、代表的な風景画シリーズのほか、「おじさん」視点だからこそ選ばれた、普段展示されることの少ないレアな作品も紹介される。広重の新たな魅力を発見できる貴重な機会となるに違いない。もうひとつの魅力は、北斎や国芳、清親など人気絵師たちが描いた作品も並ぶこと。おじさんの個性は、絵師によって大きく異なる。広重のみならず、その多彩な表現も堪能できるのが楽しみだ。<開催情報>『広重おじさん図譜』会期:2023年2月3日(金)~3月26日(日)※会期中展示替えあり会場:太田記念美術館時間:10:30~17:30 (入館17:00まで)休館日:月曜、2月27日(月)~3月2日(木)料金:一般800円、大高600円公式サイト:
2023年01月19日大阪中之島美術館では、2023年1月21日(土) より、『開館1周年記念特別展 大阪の日本画』を開催する。開館一周年記念展となる同展は、近代大阪の日本画が勢揃いする史上初の展覧会にして、美術館の開館後初の日本画展。大阪で活躍した50名以上の画家たちによる、約150点の作品を展示する。東京とも京都とも違う、大阪ならでは日本画の魅力が浮き彫りになる展覧会だ。6つの章で構成される同展では、まず第一章の「ひとを描く」で、大正時代、妖しく退廃的な画風で「悪魔派」といわれた北野恒富とその弟子たちの作品を紹介。後年、恒富は格調高い美人画を描くようになるが、その画風の変遷にも注目だ。つづく第二章の「⽂化を描く」では、古き良き浪速の風俗を描いて大変な人気を博した菅楯彦と、その女性の弟子の生田花朝の作品を展示する。どんどん漫画のようになっていく菅楯彦のユーモラスな画風には、興味をひかれることだろう。さらに第三章の「新たなる⼭⽔を描く」では、江戸時代以来の文人画に近代的な感覚を取り入れた、矢野橋村「新南画」を、第六章の「新しい表現の探求と⼥性画家の⾶躍」では、他地域より群を抜いて多かった大阪の女性画家たちを紹介する。当時、大阪の裕福な家庭では女子に絵を習わせることが一般的に行われており、そこから力をつけた女性たちが画家となっていったという。そのほか、当時の絵画に対する大阪人の好みが、床の間や座敷に飾って楽しめるあっさりとした絵であったこと、漢詩や漢文をたしなみ高い教養を誇った大阪商人たちの間で、文人画が大変な人気を博したことなど、様々な特徴が見えてくる。武士でもなく、公家でもなく、古くからの町人文化が育んだ、大阪の多様な日本画に、改めて興味が湧くに違いない。中村貞以《失題》大正10年(1921)大阪中之島美術館【展⽰期間:1/21〜3/12】菅楯彦《阪都四つ橋》昭和21年(1946)鳥取県立博物館【前期展⽰:1/21〜2/26】生田花朝《天神祭》昭和10年(1935)頃大阪府立中之島図書館島成園《祭りのよそおい》大正2年(1913)大阪中之島美術館吉岡美枝《店頭の初夏》昭和14年(1939)大阪中之島美術館<開催情報>『開館1周年記念特別展 大阪の日本画』会期:1月21日(土)~4月2日(日)会場:大阪中之島美術館時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)休館日:月曜(3月20日は開館)料金:一般 1,700円、大高 1,000円美術館公式サイト:
2022年12月16日山種美術館では2022年12月10日(土)より『【特別展】日本の風景を描く ―歌川広重から田渕俊夫まで―』が開催される。四季折々の豊かな自然に恵まれた日本の風景は、古くから美術の題材として描き継がれてきた。特に19世紀、江戸後期には、街道が整備され庶民の旅がそれまで以上に盛んになると、歌川広重の《東海道五拾三次》や《近江八景》などの浮世絵風景画が人気を博し、明治以降は写実的な風景画や心象風景なども描かれるようになった。同展ではそれら風景画の名品約50点を紹介する。まず見どころとなるのは、宿場や名所を中心に抒情豊かな風景を描き出した浮世絵師・歌川広重や、日本の豊かな自然とともにそこに生きる人々の姿も描いた川合玉堂、そして今現在日本画壇の最前線で活躍する田渕俊夫など、風景画の巨匠たちの作品が一堂に紹介されることである。もちろん横山大観、東山魁夷、横山操といった、有名画家による風景表現も幅広く展示される。もうひとつ注目したいのが、石田武の《四季奥入瀬》の連作全4点、初の同時公開だ。なかでも春と夏を描いた《四季奥入瀬春渓》と《四季奥入瀬瑠璃》の展示は37年ぶり。この他にも数十年ぶりにお目見えする作品も多いため、風景画や近代美術のファンの方はお見逃しなく。美術館恒例、きものでの来館者には一般料金が200円引きとなるきもの特典あり。関連イベントでは日本画家・安原成美が実際に日本画の描くところを撮影し、それを本人が解説するというオンライン講座「日本画の描き方を知ろう」なども予定されている。詳細は美術館ホームページで確認を。池大雅 《東山図》18世紀山種美術館横山大観《春の水・秋の色》1938年頃山種美術館蔵菱田春草 《釣帰》 1901年山種美術館蔵川合玉堂 《早乙女》1945年 山種美術館蔵<開催情報>『【特別展】 日本の風景を描く ―歌川広重から田渕俊夫まで―』会期:2022年12月10日(土)~2023年2月26日(日)※会期中展示替えあり会場:山種美術館時間:10:00~17:00 (入館は16:30まで)休館日:月曜(1月9日は開館)、12月29日(木)~1月2日(月)、1月10日(火)料金:一般1300円、大高500円(冬の学割適用のため)美術館公式サイト:
2022年11月28日ストップモーションアニメ『マッドゴッド』よりメイキング映像が解禁。監督のフィル・ティペットが黙々と撮影に勤しむ作業風景が捉えられている。特殊効果の巨匠フィル・ティペット監督が『ロボコップ2』(90)の撮影後にアイディアを閃き、製作を始めたという本作。だが、『ジュラシック・パーク』(93)で時代が転換点を迎え、業界が本格的にCGへ移行。「俺の仕事は絶滅した」とプロジェクトは中断されてしまう。それから20年後、ティペット・スタジオの若きクリエイターたちが奇跡的に当時の映像を発見、彼らの熱望により企画が再始動する。さらに、クラウドファンディングで世界中のファンからの応援も集まり、完成した本作は、2021年のシッチェス映画祭で上映され喝采を浴びた。製作時は躁状態になりがちで、一度作業を始めると手が止まらないと語るティペット監督。この度解禁されたメイキング映像は、その言葉通り、黙々と作業をするティペット本人の姿が収められ、製作期間30年という想像を絶する作業風景の一部が収められている。映像には、無機質であるはずのものたちが、ペインティングや装飾を重ねられることで、地下世界の生き物として命を吹き込まれていく過程が映し出される。作中で映る時間は関係ない。地面や壁などあらゆるところに、ペンキを振りかけたり、手形を押したり、風景に埋もれるキャラクターにも部品を一つ一つ貼りつけて細部にまで丁寧に作業をし、地獄の世界をコツコツと積み上げていく。『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』や『ロボコップ』をはじめとする、名作の数々から培った技術が隅々まで込められ、作り手の愛情までも感じることができる。まさに本作が監督にとっての渾身の1作であることがうかがえる。最近では、キャラクターデザインやCG監修などを務めているフィル・ティペット。ストップモーションアニメという原点に返り、自らの手でコツコツと作り上げられた「地獄の世界」は、グロテスクながらもその質感の全てに生命力と共感が宿り、不思議と温かみまで感じられる。その独特の世界の創造に立ち会うかのような、圧倒されるメイキング映像となっている。『マッドゴッド』は12月2日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:マッドゴッド 2022年12月2日より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、アップリンク吉祥寺ほか全国にて公開©2021 Tippett Studio
2022年11月27日石川県金沢市にある日本庭園『兼六園』。国の特別名勝にも指定されており、四季折々の趣ある風景を楽しめることで有名です。特に、秋は園内の木々が鮮やかな黄色や赤色に紅葉し、その美しさに圧倒される人も多いとか。mame(@daizphoto)さんは、園内で撮った紅葉の写真をTwitterに投稿。園の中心部に位置する『霞ヶ池(かすみがいけ)』で撮影された1枚は、まさに息をのむ光景です。金沢兼六園の紅葉が美しすぎてこの世のものとは思えない。 pic.twitter.com/Be8ITdy0hE — (@daizphoto) October 20, 2022 「この世のものとは思えない」星空の下で浮かび上がるのは、美しい小さな島。紅葉した木々と、後ろに見える縄で雪から枝を守る『雪吊り』をした木々が、絶妙な調和を保ち並存しています。錦に織りなす小島が池の水面に反映され、なんとも幻想的な光景ですね。投稿には、コメントが相次いでいます。・夜の兼六園がこんなに美しかったとは知りませんでした!・なんだかファンタジーの世界で突如現れた夢の島みたい。・兼六園といえば雪の風景と思っていました。紅葉も素晴らしいのですね。・この景色が実在しているなんて、素敵。行ってみたい。10~11月に見頃を迎える兼六園の紅葉。見頃時期にはライトアップも実施され、期間限定で夜間が入園無料になります。心震える風景をひと目見に、訪れてみてはいかがでしょう。[文・構成/grape編集部]
2022年10月28日19世紀末のパリで活躍したナビ派の画家フェリックス・ヴァロットンは、黒一色の革新的な木版画で名声を高めた版画家でもあった。その黒と白のみでつくられた木版画の世界に焦点をあてた展覧会が、東京・丸の内の三菱一号館美術館で、10月29日(土)から2023年1月29日(日)まで開催される。三菱一号館美術館は、2014年にヴァロットンの回顧展を開催し、この画家の全貌を日本で初めて紹介した実績がある。その際にも一部の木版画が展示されたが、実は同館は世界有数のヴァロットン版画コレクションを誇る美術館だ。今回は、約180点に及ぶそのコレクションを一挙初公開し、油彩画とはまた違ったヴァロットンの魅力を探求する試みとなる。希少性の高い連作〈アンティミテ〉〈楽器〉〈万国博覧会〉〈これが戦争だ!〉なども含むコレクションはまた、ヴァロットンが生涯に制作した版画の大部分を網羅している。そのため、作品を通じて彼の生涯をたどり、また彼が時代ごとに抱いていた関心の移り変わりを見てとることもできる。たとえば、スイスからパリに出てきた彼が異邦人としてパリを観察した作品では、「群衆」や社会の暗部を露呈するような事件が、皮肉やユーモアを込めて描き出されている。ナビ派の仲間たちと活動した時代には、アール・ヌーヴォーの美学にも似た装飾性豊かな作品が登場。結婚後は、男女関係や結婚生活の不協和音が感じられる作品も見られ、また第一次世界大戦が勃発すると、戦争を主題とした作品もつくられた。テーマや表現は多様だが、一貫しているのは、その独特の視点や、白と黒を効果的に活かした卓越したデザインセンスだ。ときにブラック・ユーモアにあふれるその作品は、観る者を魅了してやまない。なお、今回は、同館と姉妹館提携をしているフランスのトゥールーズ=ロートレック美術館の開館100周年を記念した特別展示もある。ロートレック美術館の協力のもと、ロートレックとヴァロットンの作品を並べて見せる展示室では、同時代のパリでともに女性たちを描いたふたりの画家の個性の違いを見比べる楽しみも待っている。フェリックス・ヴァロットン《ユングフラウ》1892 年三菱一号館美術館フェリックス・ヴァロットン《入浴》1894 年三菱一号館美術館フェリックス・ヴァロットン《フルート(楽器Ⅱ)》1896 年三菱一号館美術館フェリックス・ヴァロットン《嘘(アンティミテⅠ)》1897 年三菱一号館美術館アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《二人の女友達》1894 年トゥールーズ=ロートレック美術館、アルビ【開催概要】『ヴァロットンー黒と白』会期:2022年10月29日(土)〜 2023年1月29日(日)会場:三菱一号館美術館休館日:月曜(10月31日、11月28日、12月26日、1月2日、1月9日、1月23日は開館)、12月31日、1月1日開館時間:10:00〜18:00、金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21:00まで(入館は閉館30分前まで)料金:一般1,900円、大高1,000円公式サイト:
2022年10月20日絶賛公開中の『LAMB/ラム』より、スケッチ画と監督直筆ストーリーボードが解禁。着想や撮影秘話を明かした監督のコメントも到着した。『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』のA24が北米配給権を獲得したことでも注目が集まっている本作は、公開館数36館にも関わらず、公開3日間で観客動員数2万人、興行収入3千万円を超える大ヒットスタートを切った。SNS上では、「超かわいい」「ぬいぐるみ欲しい」「どうやって撮ってるの?」等、羊から産まれた羊ではない“何か”=“アダ”に夢中になる人が続出している。そんな本作のアイコンとも言える“アダ”はどのようにして誕生したのか?幼少期に祖父母の羊牧場で時間を過ごすことが多かったというヴァルディミール・ヨハンソン監督。羊は身近な存在だったようで「アダのインスピレーションは、祖父母が牧羊をしていたことから来ていると思います」と語っている。そんな気になるアダのビジュアルについては「美しくて、面倒を見たくなる姿を心がけて作りました」とのこと。この度、そんな監督のアイディアが落とし込まれたアダのプロダクションデザインスケッチ3点が初公開された。ヨハンソン監督は物語を作り上げるために、まずは画像や自身のドローイング等を集めたムードボードとグラフィックノベルの制作に取り掛かった。監督にとって"ビジュアル"は映画作りの出発点であり、物語を伝える上で最も重要な要素なのだという。今回は監督が描いた本作のストーリーボードの一部も解禁。それぞれ最終的にどのようなシーンに仕上がったのかは映画本編で確かめてほしい。また、アダの撮影においては、これまで「ゲーム・オブ・スローンズ」シーズン2(12)、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)など数々の特殊効果を担当してきた監督の手腕が存分に発揮されている。「現場ではまずパペットで撮影し、次に同じシーンを子供で撮影、最後に羊を入れて撮影しました。なるべく撮影した映像を使って表現したかったので、VFXを使わないように心がけていました。ただし合成した際に、頭が大きく動いてしまっていたところはVFXで羊の頭を作りました。そのように頭と体の連動に気をつけながら撮影しました」と工程を分け、アダの表現に時間と創意工夫が重ねられたという撮影秘話を明かした。アダを描く点で注意したのは「映画を見ている人に『アダの姿をはっきりと見せられないんだな』と思わせないこと」だという。映画では描くことが難しい部分に、そもそもカメラを向けないことで済ますことができるが、本作で監督は妥協をしなかった。目論見通り、アダの衝撃的でありながらリアルな存在感はじわじわと話題を呼んでいる。『LAMB/ラム』は全国にて公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:LAMB/ラム 2022年9月23日より新宿ピカデリーほか全国にて公開© 2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON
2022年10月03日フランス幻想絵画の鬼才 ジェラール・ディマシオによる「世界最大の油彩画」の世界観を表現株式会社 新冠開発共同企業体(本社 北海道新冠町 代表取締役社長 廣島 貴史)は太陽の森 ディマシオ美術館(北海道新冠町字太陽204-5 理事長 谷本 勲)敷地内に常設展示されている「世界最大の油彩画」(横27m、よこ9m)を観たアーティストが幻想絵画の世界観からインスピレーションを受けてディマシオ絵画とのコラボアート作品を制作する企画を考案。その第1回目として北海道札幌を拠点に活動をしているギタリスト 山木 将平(やまき しょうへい)を起用し、「ディマシオ×ソロギター(山木 将平)」を実現させMV(ミュージックビデオ)をリリースいたしました。ギタリスト山木将平背景ディマシオによる幻想絵画は様々な感情や意味が込められており、観る度に捉え方や感じ方が変化いたします。「美しさ」を感じる人、「恐怖」を感じる人、「儚さ」や「人間の愚かさ」を感じる人など千差万別です。弊社ではディマシオの幻想絵画から受ける個人のインスピレーションに着目しそれを豊かに表現出来るアーティストとのコラボ作品を制作する事で、より皆様にディマシオによる幻想世界の面白さをご提供したいと考えました。併設されているグランピング施設「GLAMPING VILLAGE」 ご宿泊者様限定のナイトミュージアムではより幻想的な世界が楽しめます「山木将平」のプロフィール1989年10月3日札幌生まれ。2010年サッポロシティジャズ・パークジャズコンテストにてグランプリを受賞トロントジャズフェスティバル、ジャワジャズフェスティバル、ミラノ万博、ライジングサンロックフェスティバル、中州ジャズなど国内外の音楽フェス、イベントなどへ多数出演。2018年 北海道150周年記念式典にて天皇皇后両陛下の前で単身演奏。2019年 札幌国際映画祭にて楽曲が使用された作品「ODESSEY」で最優秀作曲賞を受賞。本件で山木将平が制作した楽曲の特徴1. Ayers(エアーズ)ギターArers SJ07-C DXE OTS2.0OTS(Over Tone System)搭載の倍音豊かなギターにより鮮やかさと音の太さが増し立体感が生まれ、余韻に違いが出る事でディマシオ幻想絵画の壮大さにマッチさせています。2. 独自のオリジナルチューニング1弦:E2弦:C(半音上げ)3弦:F(1音下げ)4弦:C(1音下げ) 5弦:A6弦:D(1音下げ)444Hz設定という変則チューニングを、ディマシオ幻想絵画から受けたインスピレーションで設定し楽曲を制作。3. 山木将平のインスピレーション「壮大で美しく、哀愁が漂う、滅びた文明だが 希望を感じる。そんなイメージから頭の中で色を固定し世界観を合わせて制作しました」世界最大の油彩画商品概要名称:ディマシオコラボVol.1動画配信日:2022年9月28日撮影地:北海道新冠郡新冠町字太陽204-5 太陽の森 ディマシオ美術館URL : 会社概要商号:株式会社 新冠開発共同企業体代表者:代表取締役廣島貴史所在地:北海道新冠郡新冠町字太陽204-5設立:2022年6月17日URL: お問い合わせ先株式会社 新冠開発共同企業体担当:伊藤電話番号:0146-45-3312音声ガイダンスが流れますので「2」を押して下さいE-mail: zero-one@dimaccio-glamping.jp 詳細はこちら プレスリリース提供元:NEWSCAST
2022年10月01日モデル、俳優の玉城ティナさんがチャーミングに、シックにドレスアップ。ありふれた街中の風景が煌めく、ドレスと日常の出合い、その瞬間。裾たなびかせ、気分は幻想的なおとぎ話の主人公!「angel wing satin dress」の名の通り、まるで天使のようにピュアで繊細なサックスブルーのキャミドレス。アセテート100%のとろみある柔らかな風合いで、羽をイメージした装飾をあしらったバックスタイルも特徴。着るだけでロマンティックな世界に。この他はグローブと、モノトーンのパンプスでミニマムにまとめて。シルバーもあり。ドレス¥176,000グローブ¥50,600(共にタナカ ダイスケ/パッチワークス TEL:03・4400・7746)パンプス¥139,700(マノロ ブラニク/ブルーベル・ジャパン ファッション事業本部 TEL:03・5413・1050)美しく、刺激的なアンサンブルに心を躍らせて。秋の気配が漂うこっくりとしたブラウンの、生地感たっぷりなAラインドレス。バレエをバックボーンに抱える『Chika Kisada』のアイコニックなクリノリンを重ねることで、構築的なシルエットが完成。メイクも濃い口で統一して、上品さを保ちながらも、エッジーな雰囲気に。ドレス¥75,900クリノリントップス¥187,000(共にチカ キサダ/エドストローム オフィス TEL:03・6427・5901)ピアス 参考商品(クリティカルラボ/ピーアールワントーキョー TEL:03・5774・1408)ブーツ¥156,200(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ カスタマーサービス TEL:0570・016600)ブラックはボリューミーに?タイトに?魅惑のラビリンス。右・アーティスティックな曲線美に垂涎。ドレス¥341,000(モモコ チヂマツ/サヴァン ショールーム TEL:03・6457・9003)中に着たビーズトップス¥49,500(チカ キサダ/エドストローム オフィス)ネックレス¥79,200ブレスレット¥69,300(共にスワロフスキー・ジュエリー/スワロフスキー・ジャパン TEL:0120・10・8700)パンプス¥115,500(マノロ ブラニク/ブルーベル・ジャパン ファッション事業本部)左・ボーダーリブニットで、ヘルシーなボディコンシャスを体現。ドレス¥110,000ビーニー¥25,300(共に3.1 フィリップ リム/3.1 フィリップ リム ジャパンcustomercare@31philliplim.co.jp)ピアス¥39,600(スワロフスキー・ジュエリー/スワロフスキー・ジャパン)サンダル¥97,900(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ カスタマーサービス)モダンなムードと気品が共存する、クリーンアーバンスタイル。潔いまっさらなホワイトカラーと洗練されたデザインながら、クリーミーな肌触りで、着心地まで完璧なウール100%のドレス。ゴールドアクセサリーを添えて、凛とした佇まいに。ドレス¥162,800(ジア スタジオ)パームカフ 参考価格¥103,400リング 参考価格¥46,200(共にラッツェル アンド ウォルフ) 以上ザ・ウォール ショールーム TEL:03・5774・4001ピアス¥28,600(スワロフスキー・ジュエリー/スワロフスキー・ジャパン)ミュール¥183,700(マノロ ブラニク/ブルーベル・ジャパン ファッション事業本部)たましろ・てぃな1997年10月8日生まれ、沖縄県出身。金曜ナイトドラマ『NICE FLIGHT!』(テレビ朝日系)に出演中。9/9公開の映画『グッバイ・クルエル・ワールド』他、待機作も多数。※『anan』2022年8月10日号より。写真・杉田 拓(Y’s C)スタイリスト・榊原優佳ヘア&メイク・山口恵理子(by anan編集部)
2022年08月03日・かわいすぎて食べられない!・ずっと見ていたい動画。・猫好きには、たまらん発想だ!Twitterに投稿された1本の動画に、そういった声が続々と上がっています。話題になっているのは、栃木県真岡市で和菓子店『御菓子司 紅谷三宅』を営んでいる、三宅正晃(@beniyamiyake)さんの動画。同店で販売する、ある和菓子の製造風景を公開したところ、見ていて気持ちのいい光景に多くの人が心奪われたようです!灼熱の工房で肉球の焼き印を押しています pic.twitter.com/KEkkN8rlaQ — 三宅 正晃 (@beniyamiyake) July 23, 2022 映っているのは、同店が販売する『ねこのてて~猫の肉球どら焼き~』の製造中の光景。1枚ずつ丁寧に焼いた生地に、肉球型の焼きごてを使って、かわいらしい猫の足跡をつけているのです!どら焼きについた猫の足跡は、まるで小さな猫がこの上を散歩したかのよう。猫好きは誰もがキュンとしてしまいますね!三宅さんによると、焼き印をきれいに作るコツは、焼きごてが真っ赤になるまで、一番最初に火にかけることなのだそうです。お客さんの要望に応え、生み出されたという『ねこのてて~猫の肉球どら焼き~』。味だけでなく、見た目でも食べる人を楽しませてくれるのが魅力といえますね![文・構成/grape編集部]
2022年07月26日リアルな植物画や小花柄、デザインに落とし込んだものなど気分を盛り上げるフラワーモチーフのアイテムを集めました!全身で楽しんだり、小物で一つ加えたり。お気に入りを見つけて。同じ花柄を重ねた上級者セットアップ。ブランドオリジナルの再生繊維セルロース素材の生地に、フローラル柄をハンドプリントしたシャツとパンツ。リラックスしたフォルムながら、柔らかな光沢ととろみが、上品な印象に仕上げてくれる。同柄のハイネックと合わせると、よりモダンに。モノトーンゆえ、他のアイテムとも合わせやすいところもうれしいポイントに。シャツ¥35,200プルオーバー¥20,900パンツ¥31,900(以上ニアー ニッポン/ニアーTEL:0422・72・2279)サンダル¥38,000(ピッピシック TEL:03・6434・0975)美しい草花の絵と色の切り替えにうっとり。ブーゲンビリアとサンニン、サガリバナの水彩画をプリントした巻きスカート。¥53,900(エンリカ/アッシュプラスエリオトローブ)サンダル¥41,800(ペリーコ/アマン TEL:03・6418・5889)ボタニカルプリントにビーズの刺繍が輝く一枚。『ユナイテッドアローズ』主宰の「united LOVE project」のTシャツ。背中には自然を連想するワードをプリント。¥17,600(ミュベール/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店 TEL:03・5786・0555)デニムはスタイリスト私物スイムウェアやワンピースに合わせて。オーストラリア発ハットブランドのアイテムは、イエローの小花柄が軽やか。コットン地で、つばが広く、あごで結ぶ紐付き。ハット¥17,050(ラック オブ カラー/ジャック・オブ・オール・トレーズ TEL:03・3401・5001)※『anan』2022年6月8日号より。写真・多田 寛スタイリスト・武政ヘア&メイク・yumi(Three PEACE) モデル・桜庭結衣(LIGHT management)文・重信 綾(by anan編集部)
2022年06月01日寒い冬が明け、さまざまな花や若葉が色づき始める春。写真家として活動するTatsuki Ito(@ta2funk)さんは、春の風景を撮影しようと長野県の山を訪れました。きれいな景色を写真に収めることに成功した一方で、「ガチで遺作になるかと思った」と語ったItoさん。一体どういうことなのか…こちらをご覧ください。ガチで遺作になりそうだった一枚がこちらです(背後にクマ) pic.twitter.com/sU8lPalltL — Tatsuki Ito| ta2funk.eth ᵍᵐ (@ta2funk) April 24, 2022 春の美しい絶景を撮影していたItoさん。この写真を撮った直後、背後から『グルルル…』といううめき声が聞こえてきました。Itoさんの背後に、なんとクマが近付いていたのです!※写真はイメージ慌てて近くに停めてあった車に乗り込み、事なきを得たItoさん。まさに九死に一生の体験をしたといえるでしょう。Twitterに投稿された美しい写真と、驚愕のエピソードは多くの人を驚かせました。・山は怖いですね…。無事でよかったです。・怖い思いの中でこんな素敵な写真を撮っていて、すごいです。・命がけの撮影、お疲れ様でした…!景色がよく、過ごしやすい気候の春は、登山やハイキングにも向いているといえるでしょう。しかし、冬眠明けのクマが、食べ物を求めて活発に動いている可能性があります。入山する場合は音の出るものを携帯したり、クマが活動する朝夕の時間帯には立ち入らないようにしたりなど、最大限の警戒をして臨むようにしましょう![文・構成/grape編集部]
2022年04月25日雪が積もった、冬のとある日。ani③(@ANI3)さんは、美しい風景写真を撮影し、Twitterに投稿しました。空気は澄み渡り、雲間からのぞく太陽の光が、街並みを美しく照らし出す美しい風景写真。冬の凛とした空気が伝わってくるようです。しかし、写真には続きがありました。投稿者さんの視界には、美しい風景以外のものも映っていたのです。町の役場の塔に登って、見えたもの。 pic.twitter.com/k8tY9Yh5Md — ani③ (@ANI3) December 30, 2021 新雪を前に、テンションがあがってしまったのでしょう。積もった雪の上にダイブした痕跡が、くっきりと残っています!写真は反響を呼び「自分もよくやった」と、さまざまなコメントが寄せられました。・天使が寝そべった跡ではないでしょうか。・1人が2回ダイブしたのか、それとも2人でやったのか、想像がふくらみます。・スカイダイビングでもしたのか!?コメントにもあるように、一体どんな状況なのか、想像が膨らみます…!しかし、楽しさも伝わってきて、誰かが残した『冬の楽しい一瞬』に、クスッときてしまいますね。[文・構成/grape編集部]
2021年12月31日現在、新宿のSOMPO美術館で『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』展が開かれています。日本の風景画などを数多く手がけた版画家の川瀬巴水(1883-1957)。アメリカにもファンが多く、あのスティーブ・ジョブズも作品を購入したことで知られています。今回は、巴水の人生と作品をご紹介します。周囲からは反対され…【女子的アートナビ】vol. 2301883年、東京市芝区(現在の港区)の糸屋兼糸組物職人の長男として生まれた川瀬巴水(本名・文治郎)は、幼いころから絵が得意で、画家になることを夢見ていました。ですが、跡取りであったため周囲から反対され、家業をつぎます。絵の道を諦めきれなかった巴水は、家業を妹夫婦に譲り、25歳のとき日本画家・鏑木清方に入門を希望します。しかし、年齢を理由に断られてしまいます。27歳で、再び清方に入門を懇願。そこで認められ、約2年後に清方から画号「巴水」を与えられます。1918年、35歳で木版画家としてデビュー。風景画を得意とした巴水は、旅に取材してさまざまな景色を写生し、最初の連作『旅みやげ第一集』を発表します。巴水の制作を支えたのは、版元の渡邊庄三郎です。もともと浮世絵商だった渡邊は、大正期に、芸術性の高い木版画「新版画」の制作を開始。才能のある絵師と彫師、摺師と組んで制作を進めていました。巴水も渡邊のもとで、さまざまな作品を生み出していきます。巴水が描いたのは、日本の名所だけではありません。江戸情緒が残る街並みや、ガス燈や電柱など近代化しつつある日常風景など、彼の心に響く場面が題材に選ばれています。例えば、現在の浅草・駒形橋あたりを題材にした《こま形河岸》は、竹屋の情景を巴水独自の視点で切り取り、味わいのある構図で描かれています。竹の間から見える夏空もポイント。場面の空気感までも伝わってくるようです。震災ですべて焼失…風景画の絵師として注目され、創作活動に打ち込んでいた1923年9月、関東大震災が発生。巴水の自宅は全焼し、家財だけでなく、写生帖188冊と画業の成果もすべて失います。しかし巴水は版元の渡邊に励まされ、同年10月から長期の写生旅行に出発。諏訪から木曽、富山、城崎、出雲、瀬戸内、近畿などをめぐる102日間の旅で制作した写生帖をもとに、新しい作品を生み出していきます。巴水版画のなかで最も売れた作品《芝増上寺》も、震災後の写生をもとに誕生。ほかにも、復興途上の東京や、昔ながらの美しい東京を描いた作品も生み出し、国内外で高い評価を受けます。特に巴水らの「新版画」はアメリカで人気があり、オハイオ州では大規模な展覧会が2度も開かれました。スランプや戦争も…人気を博していた巴水ですが、その後もスランプに陥ったり、戦争による空襲の激化で疎開したりと数々の困難が彼を襲います。戦争によりアメリカとの関係も絶たれていましたが、終戦後は進駐軍が“お土産”に版画を買い求め、再びブームが到来。巴水の作品もたくさん売れました。1957年、胃がんにより74歳で逝去。絶筆となった《平泉金色堂》は、死後に版画が完成しました。12月26日まで開催中巴水の作品を見ていると、大正から昭和初期の雰囲気がよくわかり、日本の美しさを再発見できます。また、雪や雨の細かい描写や、夕景や夜景などの深い青の発色も大変美しく、彫師や摺師の技術力の高さにも感動します。なお、会場には「ジョブズと巴水」のコーナーも設けられています。新版画のコレクターだったジョブズは、巴水の風景画を気に入り、1980年代に何度か来日して作品を数十点購入。ジョブズが買った作品と同じ版画も展示されています。アップル社の洗練された製品スタイルに、日本の美が影響を与えたのかも……と想像しながら見ても楽しいです。本展は、初期から晩年までの巴水版画をまとめて見ることができる貴重な機会です。ぜひ心に響く日本の景色をご覧になってみてください。会期は12月26日まで。Information会期:~12月26日(日)※休館日: 月曜日会場:SOMPO美術館開館時間:10:00~18:00(最終入場時間 17:30)観覧料:※日時指定制オンラインチケット一般¥1,300、大学生¥1,000、高校生以下無料当日窓口チケット一般¥1,500、大学生¥1,100、高校生以下無料※入場無料の方もオンラインチケット(無料)を取得のうえ、ご来館ください。オンライン取得が難しい方用に、当日券も一定数ご用意しています。※最新情報などの詳細は公式サイトをご覧ください。※画像写真の無断転載を禁じます。
2021年12月12日シュ、シュール…! 毎日の家族の夕食風景にのはずなのに、なんだかものものしい雰囲気!?I nstagramにて、ご自身の育児体験談や日常のヒトコマを紹介しているグッドスリープ(@good.sleep7416)さんが、家族の日常を法廷画タッチで描いた問題作、ここに登場!!法廷画で育児。「ただいまー」「あ、お父さんお帰りー」いつもの日常風景のはずなのに、なんだか厳粛な空気……? 「我々親は…あるいは大人たちは」というフレーズが何だか夢に出てきそうな……(笑)。法廷画タッチのシュールな絵に気を取られがちですが、お父さん実は結構良いこと言っているので、ぜひもう一度読んでみてください♪ 著者:マンガ家・イラストレーター グッドスリープ
2021年12月06日