保健同人社とヒューマネージは12月5日、12月1日に施行した「ストレスチェック制度」(労働安全衛生法の一部を改正する法律)について、企業のメンタルヘルス担当者に実施したアンケート調査の結果を発表した。同調査は両社が10月22日と27日に企業のメンタルヘルス担当者を対象に実施したもので、有効回答者数は366人。調査によると、施行1カ月前の時点においても企業の準備は進んでおらず、3割強が具体的な実施時期を決めていという結果となった。ストレスチェック義務化が施行される1カ月前となる10月末の時点において、準備状況について「ほぼ完了している」と回答した担当者は2%未満だった一方、7割以上が「検討中/情報収集中」と回答している。ストレス・チェック義務化施行の直前でも、企業の準備はなかなか進んでいない実態が明らかになった。準備状況を従業員規模別に見ると、「検討中/情報収集中」の割合は、従業員1,001人以上の企業では60.2%、従業員301人以上1,000人以下の企業では73.8%、従業員300人以下の企業では81.6%であり、規模が小さくなるほど準備が進んでいないことが分かった。ストレスチェック義務化への対応で懸念している点については、ストレスチェック実施後のフォロー体制が42.3%で最多であり、以下、規程の整備(35.8%)、高ストレス者への対応(34.4%)、担当者の業務負荷増大(30.9%)、医師面談の実施(28.1%)と続く。法律が定める「やらなければならないこと」にどう対応するかという点とともに、義務化対応を担うメンタルヘルス担当者のマンパワーについても不安を抱いていることがうかがえると両社は見る。ストレスチェックを既に導入・実施しているまたは導入を検討中の企業の担当者に対して、実際にストレスチェックを実施する時期を尋ねると、具体的な時期では「2016年4月~6月」と「2016年7月~9月」が多かった。ただし、最多は33.5%の「未定/無回答」であり、スケジュールなどの実施に関する具体的な事項はまだ検討中の企業が多いようだと両社は推測する。ストレスチェック義務化対応で外部委託先を選ぶ際に重視する点を複数回答で尋ねたところ、費用が56.8%と最多であり、以下、運用サポートの充実(45.9%)、ストレス・チェックの信頼性(43.7%)、セキュリティ体制(38.5%)、システムの使い勝手(36.9%)の順だった。委託先を選ぶ際に費用を重視することに加えて、「実施する際のサポートがどれだけ充実しているか」「ストレスチェックは科学的に信頼できるものか」「セキュリティは万全か」「スムーズに実施できるシステムかどうか」など、多岐にわたるポイントでパートナーを選定していることが分かる結果となった。これらの結果を受けて、両社が提供する企業向けEAP(従業員支援プログラム)サービスである「TEAMS」のEAPコンサルタントは「マイナンバーや新卒採用スケジュールの変更などさまざまな対応が重なるなか、ストレスチェック義務化の制度を理解し、運用体制を整えるにあたって、企業のメンタルヘルス担当者が非常に苦労していることがうかがえる」とコメントとした。外部委託先を選ぶポイントとして「『ただストレスチェックを実施するだけ』の対応では、情報漏洩など、取り返しのつかない経営リスクに直結する。堅牢なセキュリティ、科学的に根拠のあるストレスチェックを提供できることに加え、コンサルティングから業務プロセスの企画・設計・遂行までトータルにサポートできる外部パートナーを戦略的に使いながら、ぜひ、今回のストレスチェック義務化対応を組織の生産性向上へつなげてもらいたい」としている。
2015年12月15日Beat Communicationは11月24日、社内表彰制度システム「BEAT AWARD」の提供を開始した。従来の社内表彰制度は、Eメールやポータルサイトを利用したものが多く、現場からアイデアがうまく集まらなかったり、制度自体を活用する社員に偏りがあったりすることから、うまく機能しないという問題点があったという。このような課題を解決するために開発された「BEAT AWARD」は、全社員からアイデアを募集して成功している企業の、カスタマイズ要望から生まれた社内表彰用のパッケージサービスとなっている。本サービスは、「金銭」よりも従業員への「感謝」や「認知」というモチベーションをアップさせる仕組みを「見える化」することで、個人の潜在能力を引き出し、会社の全体的な底力を増し、強い企業作りの役に立つことを目的としたものだとしている。また、同社のコンサルティングのノウハウと、社内向けに実施してきた表彰制度実施プログラムを体系化し、これまで社内システム上で数多くの表彰制度を実施してきた実績や知見をプログラム化した、システムとリアルが一体となったサービスだという。同社は、システム提供だけを主眼に置くのではなく、企業風土を育成していくために、ソフト面からの支援も行い、さらに、経営層に対するコンサルティングサービスもオプションとして提供することで、システム以外でのサービスも実施していくとしている。
2015年11月25日FiNCは11月20日、ストレスチェック制度に対応した法人向け新ウェルネス経営サービスを提供開始した。同社では、医師による面接指導など同制度に対応したサービスを幅広く提供できるよう、全国37都道府県に1,000人以上の産業医/医師のネットワークもあわせて構築したとしている。同社のストレスチェックでは、厚生労働省準拠の57項目もしくは同社によって充実させた110項目の質問により、従業員のメンタルの状況を計測し、従業員にフィードバックする。また、高ストレス者への医師面談の勧奨から、医師面談の設定、意見書の取得などすべて同社のシステム上で完結させることができるほか、集団分析についても各社の要望に合致したものが提供されるという。スマートフォンや紙による受検にも対応しており、改善ソリューションとしてスマートフォンなどを通じたセルフケアや相談センターなどのサポートも提供される。さらに、産業医/医師のネットワーク構築により、産業医の選任支援や医師面談が必要な高ストレス従業員に対する産業医のスポット紹介なども提供される。
2015年11月24日ビデオ会議システムや音声会議システムなど、世界中で40万以上のユーザーがソリューションを利用しているポリコム。その日本法人であるポリコムジャパンでは、制度改革やオフィスの効率化などをふまえて自社製品を活用したテレワークを実践している。テレワークを支援するソリューションの提供を本業とする同社の取り組みについて取材した。○震災後、テレワークを全社員対象に自社の製品自体がテレワークを可能とするものだけに、ポリコムジャパンでは以前から海外とのやり取りや、営業スタッフ、地方にいるスタッフなどとはテレビ会議をはじめとする自社のユニファイド・コミュニケーション製品を用いてテレワークを行っていた。しかし同社が全社員規模にまでテレワークを拡大したきっかけは、2011年3月11日に発生した東日本大震災だった。震災の直後、社員全員が自宅に待機することとなったが、そうした状況下で各社員は自主的に自分のパソコンに入っているビデオ会議アプリケーションや内線を受けられるIPフォンなどを駆使して業務を継続させていった。一週間、一人も出社することなく事業を継続できたことで、テレワークの意義を改めて認識した同社では、翌4月には全社的にテレワークが行える環境を整えたのである。ポリコムジャパン ビジネスオペレーションズのシニアマネージャー、藤井浩美氏は「震災以前からテレワークを拡大したいという意向はあったのですが、オフィスにいない社員との連絡のとり方や人事面での評価をどうするのかなど課題もあってなかなか全社員を対象にするまでには踏み込めませんでした。それが震災後にいざ実践してみると、業務の滞りもなく、またオフィスにいなくても社員のプレゼンスやステータスが確認できるため、全員が“見えている”状態にできることが実感できたことから、全社展開が決まりました」と言う。社員のスケジュールはOutlookのカレンダーで社内に公開されているため、お互いに確認しながら動きを同期させることも容易に行えたという。○テレワークのための制度改革を実施ポリコムジャパンでは、全社員がテレワークを行うための制度改革として、テレワーク・フレックス制度や育児サポート関連、介護サポート関連といった3つの制度を新たに整えた。このうちテレワーク・フレックス制度は、以前から実施していたフレックス制度にテレワークに必要な要素を盛り込んだもの。全社員を対象にテレワークを許可し、上長の許可を得ることで誰でも利用が可能(総務・特定技術職は状況に応じて)としている。またコアタイム(11時~15時)以外の時間は、開始時間と終了時間について8時間の間で自由に設定可能とした。育児サポート関連の制度としては、最長1年間、育児休業を取得可能とするとともに、産前・産後の休暇や子どもの看護のための休暇も実施。このうち育児休暇と子どもの看護のための休暇は男性でも取得することが可能だ。こうした整備の拡充により、現在、育児休業からの復帰率は100%となっている。そして介護サポート関連の制度では、まず最大93日まで介護休業の期間を設け、配偶者や父母、子ども、配偶者の父母、その他会社が認めた人への介護に対して申請可能とした。これと合わせて別途時短勤務制度も整えている。○オフィススペースも50%削減ポリコムジャパンにおける、こうしたテレワークを軸とした多様な働き方の実践は、同社の「ダイバーシティ推進戦略」に基づいたものだ。「生産性の向上と業務の効率化、事業継続・リスクマネジメント、経費の削減をきっかけに、テレワーク活用を中心戦略とした柔軟な職場環境の構築を目指すのがダイバーシティ推進戦略です」と藤井氏は説明する。また同戦略に基づきテレワークを推進するための3つの柱として、先に挙げた制度改革と合わせて、インフラ・運用ルールの整備、オフィスの最適化を掲げている。このうち運用ルールとしては、Microsoft Lyncによる労働時間中のプレゼンス表示、Outlook利用でのスケジュール開示、セキュリティに関する社員の意識向上など6項目が必須として定められている。そしてオフィス最適化を象徴するのが、2014年6月9日に移転した東京・東新宿の新オフィスである。新オフィスでは、必要時のみオフィスに出勤する「テレワーク特化型」の仕事環境へとシフトするべく、フリーアドレス型のオフィスとして個々の固定デスクを廃止(技術職などの専門職を除く)。また資料など私物保管用のロッカーを設け、社員のニーズに対応しながら、仕切りのある席やオープンスペースなど用途に合わせて利用できる設計とした。「さまざまなライフステージにいる社員の自由な働き方を支援するために、これまで当社で培われてきたノウハウをベースにしながら新たなオフィス環境を構築しました」(藤井氏)社長室についても、社長が不在の際は会議室として利用可能とするなど、徹底的なオフィススペースの最適化を図った結果、前オフィス比で約50%ものスペースを削減することができた。そうして、顧客やパートナーへのサポートを強化するための「東京カスタマーエクスペリエンスセンター(TCEC)」を同オフィス内に新設することができたという。○テレワークが自然と可能になる技術の提供をポリコムジャパンの代表執行役社長、三ッ森隆司氏は、自社でのテレワークの取り組みについて次のような見解を示す。「われわれ自身が離れた場所にあるPCやモバイルからでもコミュニケーションを行うための技術手段を提供しているわけですが、それがあることで自然とテレワークやモバイルワークが実践可能なのだといった効果や意義を実感することができました。それとともに、テレワークを活用する社員自身のプロフェッショナルな業務遂行と高い意識も、テレワークを成功させるポイントであることも再認識しました」「お客さまを見渡すと、出張旅費の削減など、最初は目に見える効果を動機として当社の製品を導入いただき、その後、効果を実感しながらワークスタイル変革へと広げていくケースが多いようです。自社でテレワークを実践することで、ワークスタイルの部分に拡大していく際のサポートも充実できればと思っています」(藤井氏)今後ポリコムジャパンでは、さまざまな場所で働くことができるワークスタイルを普及していくというミッションのもと、自ら製品を活用し実践しつつ、自然とそうした働き方が浸透していくような展開を目指していくという。
2015年11月05日●日本が抱える課題世間ではマイナンバー制度に関するニュースが多数報道されているが、今年の12月から施行される重要な法律があることも忘れてはいけない。改正労働安全衛生法に基づく、ストレスチェック制度である。従業員50人以上の事業場では、今後年に1回全従業員へストレスチェックを実施し、従業員のストレスの状況について検査を行わなければならない。マイナンバー制度への対応に向けて、業務も費用も企業にとって負担が生じるなか、この法律も重荷に感じている企業も少なくないだろう。しかし、この法律の背景には、日本の経済力を高めることを目的とした政府の考えがある。10月13日、メンタルヘルス関連サービスを展開するアドバンテッジ リスク マネジメントは、ストレスチェック制度に関するセミナーを開催した。当日は同社の代表取締役社長である鳥越慎二氏が講演。当日の講演内容についてお届けしよう。○職場におけるメンタルヘルスの状況警察庁による自殺者数の調査では、総数は減少傾向にあるものの、「被雇用者・勤め人」にあたる労働者の自殺者数は横ばいで推移している。平成26年度では、総数が25,427人に対し、労働者の自殺者数は7,164人で、全体のおよそ28.2%を占める高い割合となっている。自殺の理由はさまざまであるが、「その多くが鬱状態ではないか」と鳥越氏は推測する。ちなみに、交通事故による死亡者数は平成26年度で4,113人となっている。比較すると、労働者の自殺者数は交通事故死者数の1.7倍となっていることがわかる。また、厚生労働省による精神障害などの労災補償の調査では、平成26年度の労災請求件数は1,456件、認定件数は497件、うち自殺件数は99件となっており、いずれの件数も過去最多となっている。従業員がメンタル不調などで休職・退職することによって、実は大きなコストがかかっている。休職前後の周囲の従業員が手伝う残業代や、休職中の本人への手当、周囲の業務調整、事務対応など、さまざまな場面で人件費が発生し、内閣府によると一人の従業員(年収約600万円想定)が6カ月間休職した場合に発生するコストは、422万円にのぼるという。さらに、その従業員が退職し、新たな人材を採用するためのコストは、約180万円(年収×30%で試算)だと言われている。これらの状況を受けて、政府は企業の健康経営の推奨やブラック企業の是正など、さまざまな施策を実施・検討している。●ストレスチェック制度のポイント○ストレスチェック制度の目的は?鳥越氏は、ストレスチェック制度のポイントとして次の3点を挙げた。50名以上の事業場について、医師・保健師などによる全従業員へストレスチェックを実施し、実施した医師・保健師より従業員へ直接チェック結果を返却高ストレス状態かつ申し出を行った従業員への医師による面接指導の実施面接指導の結果に基づき、医師の意見をふまえて必要に応じた就業上の措置これは、法律で定められている基本的なポイントとなる。しかし、鳥越氏も参加していたという法案公布後の審議会では、法律で触れられていない点に対して付け加えを行ったという。鳥越氏は「ストレスチェックを実施するだけでなく、ストレス問題を改善することが重要」とし、さらに3つのポイントについて説明した。まず、「企業の集団分析」である。ストレスチェックの結果を部署ごとに分析し、企業は職場環境改善のために活用するよう求められている。集団分析は努力義務とされているが、鳥越氏は「"努力義務"とは、"努力することが義務"なので、これはほぼ義務ということ。ストレスチェックを行っただけでは、改善されない。改善するためにはストレスチェックの結果を利用し、企業が努力することが必要」と説明した。2つめは、「相談窓口の案内」である。ストレスチェックを行った結果、高ストレス判定を受けた従業員は、その後会社に対して医師による面接指導の申し出を行う必要がある。「高ストレス状態の人が、果たして自分で申し出をするものか?」と鳥越氏は疑問を投じる。そこで、医師面談とは別にカウンセリングなどが受けられるような環境の整備をすることが、推奨されている。3つめは、「労働基準監督署への報告」である。企業はストレスチェックの実施日・チェックを受けた人数・フォロー状況を、労働基準監督署に報告することが義務付けされている。「この報告内容によって規制や取り締まりは行わないとされているが、十分に注意した方がよい。政府はこの報告内容をブラック企業対策の参考にすると考えられる」と鳥越氏は促す。「ストレスチェック義務化の目的は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止が主な目的であって、ストレスチェックをすることが目的ではない。この目的のために、ストレスの原因となる職場環境の改善を行うことが、企業が求められている対応である」(鳥越氏)●ストレスチェック制度で求められる対策○企業と従業員、双方に求められる対策ストレスチェック制度の実施にあたり、企業が行わなければならないこととして、まず、衛生委員会などで調査審議を行い、社内規定を定め、従業員に周知する必要がある。また、実施する医師は誰にするのか、帳票の回収やデータ入力など、ストレスチェック結果を出力するまでの情報を扱う実施事務従事者を誰にするのかなど、体制を決めていく必要もある。鳥越氏は「事業者はストレスチェック制度に対する基本方針を決める必要がある。それによって、対応の仕方が変わってくるからだ」と話す。今回の法令に遵守するレベルで考えるのであれば、ストレスチェックの実施と医師面接の実施を行えばよい。しかし、メンタル不調者の未然予防も考えるのであれば、前出の外部相談窓口の設置についても検討する必要が出てくる。さらに、メンタルヘルス対策にとどまらず、組織改善や活性化をはかり、企業の生産性を向上させようと考えるのであれば、しっかりとした組織分析・改善施策の実行が必要となってくる。また「企業だけでなく、従業員も意識を変える必要がある」と鳥越氏は話す。「政府が推奨するストレスチェックに関する57の質問項目はNIOSH職業性ストレスモデルを参考にしてつくられている。しかし、このモデルにあって、ストレスチェック推奨項目に欠けているのが、『個人的要因』に関するチェックだ。個人の性格などを抜きにしてストレス対策を進めても、効果が出ないケースがある。ストレスは客観的には存在しないもの。個人の受け止め方によってストレスに変わる。従業員も刺激に強くなるために努力する必要がある」(鳥越氏)鳥越氏は、ストレスチェック制度の実施にあたって「自分の会社がどういった対応をするのか、従業員は会社を判断するきっかけになる」と言う。きちんと運用できる体制で、従業員の期待に応える制度運用を行うことが、望まれる。
2015年10月21日健康保険組合連合会はこのほど、健康保険制度についての理解や認識の度合いをはかるべく、「健康保険に関する調査」を実施し、その結果を発表した。それによると、少子高齢化の進行による高齢者医療費を支える健康保険料の負担や、日本の健康保険制度への不安を強く感じている人が多いという現状が浮かび上がったという。まず、健康保険料についての印象を尋ねたところ、最も多かったのが「健康保険料は高いと思う」の69.6%(「そう思う」「ややそう思う」の合算。以下同様)で、次いで「最近、毎年健康保険料が増え続けている気がする」が63.1%。一方、「勝手に天引きされる(控除)から気にしても仕方ない」という人も4人に1人程度(25.3%)存在していた。続いて、日本の健康保険制度についての印象を尋ねたところ、「高齢化による医療費の増大を考えると、将来的に制度が維持できるか不安」が80.8%、「将来、自分も制度の恩恵を受けられるか不安」が74.9%と、不安に感じる人が多いようだ。少子高齢化については、「少ない人数で高齢者を支えられるか心配」が88.7%、「漠然と将来に不安を感じる」が87.4%と、9割近い人が不安に感じていることがわかった。一方で、高齢化により影響を受ける健康保険制度について、全体では70%以上(「関心がある」「やや関心がある」の合算。以下、同様)が関心を示しているものの、20代・30代では60%前後となり、若い世代ほど関心が低いことが判明した。同調査は、9月に全国の20~70代の男女を対象とし、性別ごと年齢階層別にスクリーニング調査で抽出して実施。各カテゴリの設定数を100人とし(年齢階層ごとに男性100人、女性100人)、合計1,200人を回収した。集計の際は、日本の性別・年代の人口推計比率に応じたウェイトバック集計を行っている。
2015年10月19日病気やけがで医療機関にかかるときに必要不可欠な健康保険。保険証があれば医療費は3割負担で済むのは誰でも知っていることですが、その負担も医療費自体が高額になれば3割でもキビシイとなんとなく不安を感じている人もいるのでは? その不安を解消するために医療保険が必要と思っているなら、その前に確認を。高額の医療費がかかったときや病気で会社を休んでお給料がもらえなくなったには、健康保険の特別な制度を利用できるケースもあります。制度の内容をしっかり理解して、その上で不足分を医療保険で準備する方法を考えてみましょう。○健康保険の高額療養費制度ってどんな内容なの?健康保険制度では、医療費が一定以上の高額になったときには、その負担を補助してくれる高額療養費制度があるので、青天井に医療費がかかることはありません。高額療養費制度とは、1カ月の医療費が一定額を超えた場合に、その超えた金額を健康保険制度が負担してくれるという制度。毎月1日から月末までの間の1カ月間の医療費の合計額で計算します。対象となる医療費は、健康保険を使って医療機関や薬局窓口にはらった自己負担分。2つ以上の医療機関にかかった場合でも合算でき、また同じ世帯の人の分も合算して申請できます。ただし、70歳未満の世帯では1人あたり月2万1000円以上かかった場合のみ合算の対象となります。自己負担の上限金額は年齢とその人の所得によって異なります。70歳未満の場合、所得額により5つの区分に分かれています。一般的な所得区分である報酬月額が26万円~50万円の人(所得区分ウ)の場合、自己負担限度額は8万100円+(払った医療費の合計額-26万7000円)×1%となり、仮に医療費が月に100万円ほどになったとしても、この制度のおかげで実際の負担は月10万円程度で済むことになります。報酬月額が26万円以下の人(所得区分エ)の場合は、自己負担限度額は5万7600円とさらに低くなります。高額な医療費はかからないとは言っても、10万円近くの予定外の出費が数カ月以上にもわたるとなれば家計への負担も大きくなります。その点も考慮され、直近1年間の間に3カ月以上高額療養費の対象となる出費があった場合には、4カ月目からは上限額が引き下げられ、4万4000円以上かかった分が戻ってきます。このように高額療養費制度はかなり充実していて、保険の利かない特別な治療が必要でない限り、医療費に関してはそれほど心配は要らないということがわかります。○病気で自宅療養しても傷病手当金がもらえるの?また、それ以外にも、病気などの療養で長期間仕事を休まなければならないことによる収入減のリスクをカバーする公的な保障制度として傷病手当金制度があります。これは病気などで会社を4日以上休んだときにお給料が払われない期間の保障が受けられる制度です。もらえる手当金は1日当たりお給料の日額(標準報酬日額)の3分の2。最長で1年6カ月にわたって受け取ることができます。傷病手当金は会社などの健康保険に加入している人が対象なので、国民健康保険に加入している人はありません。つまり、自営業者などは病気で休んだときの収入の保障を自分自身で考えておく必要があります。○医療保険でカバーしなければならない本当のリスクとは?このように、日本の公的健康保険制度はかなり充実していて、病気などでの経済的リスクはかなりの部分がカバーできるようになっています。ただ、入院が必要なケースでは、この制度の適用外のさまざまな支出がかさむことがあるので注意が必要です。そのひとつが食事代。入院時の1食あたりの自己負担は260円。1日3食で780円となっています。この入院時の食事代負担は、今後2018年までの段階的な引き上げが決まっていて、来年度は360円、最終的に2018年までに460円に引き上げられることになっています。数日の入院ではそれほど負担にはならないかもしれませんが、長期入院では費用がかさんでいくので、無視できない費用です。また、それ以上に負担が大きいのが差額ベッド代。4床以下の病室に入院する場合に必要になります。治療上必要なケースなどは個室を利用しても差額ベッド代はかかりませんが、それ以外では大部屋に入りたくても入れないという場合も多く、差額ベッド代は必要なものと思って備えていたほうが安心です。平均的な1日の費用は5000円以上。個室でなければ1日あたり2000~3000円台が多いようです。そのほかに消耗品などの雑費もあるので、入院したときには治療費以外に1日あたり大体5000円ぐらいはかかると考えておいたほうがいいでしょう。病気治療などとは直接関係ないですが、見舞いのための家族の交通費や家事・育児をほかの人へ依頼するための費用など状況によっては治療費以外のさまざまな費用がかかるケースもあります。直接な医療費は健康保険でカバーできるのでそれほど負担にはならないという家庭でも、治療以外の入院時の費用を準備できるかどうか考えておくことも必要でしょう。<著者プロフィール>ファイナンシャルプランナー 堀内玲子証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て1993年に独立。1996年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別ライフスタイル別生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。
2015年10月14日いよいよマイナンバーの通知カードの送付が始まります。また、マイナンバー制度のもうひとつの番号、法人番号の通知、公表も始まり、ここからマイナンバー制度がスタートします。その一方で、内閣府が9月に公表した世論調査では、マイナンバー制度について「内容まで知っていた」と答えた人の割合が43.5%と5割にも満たない現状が明らかになっています。そのほか民間企業などの調査結果では、マイナンバーの取り扱いが必須となる中小企業の取り組みの遅れも明らかになってきており、平成28年1月から利用が開始されるマイナンバー制度がスムーズにスタートできるのか懸念の声もあがっています。今回は、最新の情報を整理、確認してみましょう。○通知カードの送付および個人番号カードの交付申請最新情報整理総務省のお知らせ「個人番号の通知に係るスケジュールについて」によると、マイナンバー通知カードの「お届けの時期」について「概ね10月中旬~11月中を予定」としています。住民票を有するすべての個人(約1億2,800万人)にマイナンバーを付番した後、世帯単位(約5,600万世帯)に簡易書留で送付するわけですが、これだけの数の簡易書留が送付されること自体、前代未聞のことですので、さすがに一時期に集中して送付することは難しく、1カ月以上の時間をかけての送付となってしまいます。また、簡易書留での送付ですので、届け時本人不在の場合は再配達が必要となったり、土日に地区の郵便本局へ引き取りにくる人が殺到したり、受取人不在のまま市区町村まで返送されるものも多数でることが想定されています。返送されたマイナンバーの通知カードは再送付が行われることになっているようですが、住民票を有するすべての個人がマイナンバーを受け取るまでには相当の混乱が起きてしまうことが予想されます。送られてくる通知カードですが、図1のように、マイナンバーの通知カードと個人番号カードの交付申請書が一体となった様式で送られてきます。通知カードは氏名、住所、生年月日、性別の個人4情報とともにマイナンバーが記載されています。顔写真が掲載されていないため身元確認には使用できませんが、番号確認が必要なシーンでは個人番号カードを取得するまで、この通知カードを使用することになりますので、大事に保管しておく必要があります。また、個人番号カードを申請する場合は、この交付申請書書に顔写真を添付して書面で申請するのが基本ですが、パソコンから指定のWebサイトに進み、申請書に記載されている「申請書ID」を入力して申請する方法や、申請書下部のQRコードをスマートフォンで読み取ってWebサイトへ進み申請する方法なども用意されています。○法人番号の通知・公開法人番号の通知・公開のスケジュールも法人番号の付番機関である国税庁より、図2のとおり公表されています。こちらも10月下旬から11月中くらいの期間に通知書が発送されるとともに、国税庁の法人番号公表サイトに法人名称・所在地・法人番号の基本3情報が公表される予定です。法人番号は公表される番号ですから、いつでも入手可能ではありますが、取引先などの法人番号を記載しなければならない書類の提出時期までには、確実に入手できるように段取りだけはつけておく必要があります。○今年中にマイナンバーを収集するために考慮しておくことこの連載では、中小企業のマイナンバー取り扱いの入り口となる従業員などからのマイナンバーの収集を、マイナンバーが送付される10月から11月にかけての期間で行うことを提案してきました。それは、来年の年末調整時期以前にもマイナンバーの利用が必要となるケースもあること、また来年のこの時期に収集しようとすると必ず通知カードを失くした従業員や扶養親族が出てくることが想定されることを考慮した提案でした。先に見たとおり、市区町村によっては送付時期が11月下旬までかかってしまうことや、最初の送付で受け取れず再送付を待たなければならない従業員も出てくることを想定すると、従業員などからの収集に12月までかかることは想定の上で、収集スケジュールを組み直す必要があります。すでに、従業員へのマイナンバー提供依頼の案内や収集したマイナンバーの安全管理措置など必要な準備を整えている場合は、通知カードが手元に届いた従業員から順次収集していくほうが、一斉に収集することにくらべると非効率のようでも実際的な対応方法といえます。また、現時点でマイナンバー制度への対応準備が充分にできていない中小企業の場合は、あわてて従業員などからのマイナンバーの収集を始めるのではなく、マイナンバーの利用分野である税や社会保障の専門家である税理士や社会保険労務士に相談して、まず制度への理解を深めるとともに、自らの企業規模に応じた方法として、これら外部の専門家にマイナンバーの取り扱いも委託する方向で相談していくことが、対応準備の近道となります。そのうえで、信頼できる税理士などにマイナンバーが必要となる源泉徴収票作成業務とあわせてマイナンバーの取り扱いを委託する場合は、税理士事務所と企業との役割分担を決め、企業がうけもつ役割に応じて安全管理措置を講じてから、従業員などからのマイナンバーの収集を開始しても、遅くはないのではないでしょうか。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年10月13日妊娠・出産は病気ではありませんので、健康保険が適用になりません。しかし、お母さんの身体に合併症が発生するなどの問題が起こり、検査や治療・投薬が行われたような時には健康保険が適用されます。そしてその場合、医療費が高額になってしまった場合には高額療養費の制度を利用できます。そのあたりを少し詳しく見ていきましょう。そもそも高額療養費って何?高額療養費制度とは、月初めから月末までの医療費が高額になった場合に、一定の自己負担額を超えた部分が払い戻してもらえるものです。健康保険法等に基づく制度で、医療機関に支払う医療費を一定額以下にとどめてくれるものとなっています。ある人が同じ月に2つ以上の病院にかかった場合や、同じ病院で外来診療と入院治療を行ったような場合、条件さえクリアすればそれを合計して計算することができるようになっています。どれぐらい戻ってくるの?ある月に支払った医療費のうち、自己負担限度額(その人の所得に応じて決まります)を超えた分が後で払い戻されます。70歳未満の人の場合、医療費が高額になることが事前にわかっている場合には事前に申請を行い、「限度額適用認定証」をもらっておくというやり方もあります。そうすれば、医療機関で支払いをする際に、かかった療養費の総額が自己負担限度額を超えていても自己負担限度額までの支払いをするだけで済むようになります。平均的な所得がある70歳未満の人の場合を例に取ると、高額療養費の自己負担限度額は、80,100円+(その月の医療費の総額-267,000円)×1%という形で計算で求めることができます。例えば、ある月の医療費が総額で600,000円となったケースでは、自己負担限度額は『80,100円+(600,000円-267,000円)×1%=83,430円』となります。健康保険の適用による自己負担額は『600,000円の3割=180,000円』となるため、従って、高額療養費として戻してもらえる額は、『180,000円-83,430円=96,570円』となります。前述の通り、70歳未満の人の自己負担限度額は所得に応じて決まっており、詳細は以下の通りです。・住民税非課税の人:35,400円・年収約370万未満の人:57,600円・年収約370万円~約770万円の人:80,100円+(その月の医療費の総額-267,000円)×1%・年収約770万円~約1160万円の人:167,400円+(その月の医療費の総額-558,000円)×1%・年収約1160以上の人:252,600円+(その月の医療費の総額-842,000円)×1%事前の申請をしなかった場合、普通の時と同じように医療機関で医療費の総額の3割を支払い、その後で高額療養費を申請します。申請が受理されると、およそ2ヶ月から3ヶ月後に支払金額と自己負担限度額との差額にあたる金額が戻ってくることになります。どうやって申請するの?高額療養費の申請手続きは、診察日を含む月の翌月1日から行うことができます。ただし、申請は2年以内に行わねばなりません。必要な書類は、高額療養費支給申請書、健康保険証、医療機関で発行してもらった領収書などとなります。これらの書類を揃えた上で、職場の健康保険に加入している場合には健康保険組合ないし全国健康保険協会に、国民健康保険の加入者は自治体の窓口に直接または郵送で提出することになります。職場の健康保険に加入している人の場合、どこに提出すればいいのかについては職場の担当に相談するとよいでしょう。■メモ高額療養費の制度の話からは少々ずれてしまいますが、医療特約のついている生命保険や医療保険を個人で契約されているということはないでしょうか。そうした契約の保険があれば、入院したことによって給付金が出たり、手術に関する補償や通院時の補償などがついている場合があります。高額な医療費が発生しそうになったときには、念のためしっかり契約内容を見直し、申請し忘れたというようなことのないようにしましょう。
2015年10月05日日本では国民全員がなんらかの公的医療保険に加入していますので、入院や手術をした場合でも、実際の治療費の負担はかかった医療費の3割(小学校入学以後70歳未満の場合)になります。しかし、3割負担といっても重い病気にかかったり、長期入院したりして、まとまった治療費が必要になると、家計の負担はどうしても重くなります。そのようなとき、非常に頼りになる制度が「高額療養費制度」です。高額療養費制度とは、医療機関や薬局で支払う1カ月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた分が還付される制度です。ただし、食事代や、自分から希望して個室に入院したときの差額ベッド代、先進医療等健康保険適用外の治療費は対象外になります。高額療養費制度具体例高額療養費制度の計算式は、所得によって5段階に分かれています。例えば、70歳未満で年収500万円の方が、医療費総額100万円の支払いが必要になった場合、下表の計算式にあてはめると「80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円」となり、実際の自己負担額は87,430円です。このように、健康保険適用内での治療であれば多額の医療費の支払いが必要になることはありません。また、高額療養費制度には、さらに負担が軽減される仕組みが2つ設けられています。1つ目は、直近1年間に高額療養費の支給を受けている月が3回以上あると、4回目以降は別扱いになり、負担の上限額がさらに引き下げられる「多数回該当」という仕組みです。2つ目は、1人では一定額を超えない場合でも、同じ世帯の方と合算して一定額を超える場合には、「世帯合算」として計算し、その合算額が一定額を超えた場合、超えた分が高額療養費として還付される仕組みです。申請手続き高額療養費制度は基本的に申請しないと適用されませんので、手続きの仕方をみてみましょう。まず、医療機関の窓口で3割負担の治療費を支払い、負担額が一定額を超える場合は、健康保険組合や共済組合および市町村等、自分が加入している公的医療保険に支給申請書を提出し還付を受けます。公的医療保険によっては自動的に振り込まれるところもあります。また、支給申請をしても還付されるまで数カ月程度かかることもあり、3割負担の治療費を支払うのが難しいケースがあります。そのようなとき、70歳未満の方が、「限度額適用認定証」を事前に申請し受け取って、医療機関の窓口で「限度額適用認定証」を保険証と併せて提示しておくと、支払いが自己負担限度額までで済みます。今後の医療保険制度日本は少子高齢化が進んでおり、現在の医療保険制度を維持できるかどうか不安があります。現に、医療費の自己負担は以前、2割や1割だった頃もありましたが、現在は3割負担に引き上げられましたし、高額療養費制度も少しずつ負担が増える方向で改正されています。このような現状を踏まえると、将来を見据えた自助努力が必要と考えられますので、医療保険への加入を検討されることをおすすめします。※掲載されている情報は、最新の商品・法律・税制等とは異なる場合がありますのでご注意ください。
2015年09月25日オービックビジネスコンサルタント(OBC)は9月18日、企業が行う初めてのストレスチェック制度の準備に対応したオールインワンサービス「OMSS+ストレスチェックサービス」を同月24日から同社の販売パートナーを通じて発売すると発表した。同サービスはOBCの業務サービスとして年間利用型で提供し、価格は税別でProfessionalタイプ(実施者・相談センターIT受検/分析)は9万5000円(社員数100名まで、人事奉行所有のOMSSユーザーの場合)~。同サービスは厚生労働省のガイドラインに則ったサービス設計をしており、法令完全準拠。専用導入運用ガイドでは企業に必要な体制構築の手順や準備書式を提供し、IT受検サービスでは「職業性ストレス診断簡易票」をベースに、57問・23問・80問の設定が可能。努力義務となっているストレス状況の組織分析は厚生労働省が提唱する「仕事のストレス判定図」に沿って、企業全体、組織のストレス状態を把握でき、努力義務となっている職場環境改善の指標として利用できる。また、メンタルヘルスに精通した専門医を実施者として提供し、実施者はITによって収集された診断結果を総合的に判断し、高ストレス対象者と面接勧奨などを適切に判定。実施結果に対して、実施者は企業の状況を適切に分析し、改善ポイントやアドバイスをレポート。さらに、利用企業の総合的なサポートするために相談センターを設置し、対応するスタッフは産業保健に精通した事務スタッフ・産業カウンセラー・社会保険労務士などのプロ集団が総合的に対応。相談は体制構築・書面作成・ストレス実施・分析など多岐に渡る内容に対応し、初めての制度対応・ストレスという未経験な内容に対し相談することが可能で従業員からのストレス診断結果に関する直接のお問い合わせに対応する。
2015年09月18日NECは9月16日、社会保障・税番号制度(マイナンバー制度)の開始に伴い、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)から、全国の地方公共団体(7月時点で1743団体)の個人番号カード(ICカード)交付窓口で、本人確認に利用される「個人番号カード交付窓口用顔認証システム」を受注したことを発表した。同社によると、顔認証システムが全国の地方公共団体において統一的に導入されるのは、今回が初めての事例となるという。本システムは、地方公共団体の窓口において個人番号カードの交付を希望する住民に対し、来庁者と個人番号カードの顔写真を照合、もしくは、来庁者と個人番号カード交付申請書の顔写真を照合するもの。これにより、地方公共団体における個人番号カード交付時のなりすまし対策などに対して有効だとしている。同社によると、採用されたシステムには、同社の顔認証エンジン「NeoFace」を活用しているという。
2015年09月16日NECは9月14日、山梨県甲州市から、社会保障・税番号制度(以下、マイナンバー制度)を扱うすべての住民基本台帳システム端末約160台のセキュリティ強化に向け、顔認証セキュリティソフトウェア「NeoFace Monitor V2」を受注したと発表した。甲州市は2016年1月のマイナンバー制度運用開始に合わせ、同ソフトウェアの利用を開始する予定。「NeoFace Monitor V2」は、顔認証エンジンをベースに、顔認証によるPCログオン、ログオン中の利用者の常時監視を可能とするソフトウェア。端末を複数の職員で共有する場合でも、利用者を個人単位で認証し、いつ誰がアクセスしたという利用履歴が確実に残るため、職員の不正利用への心理的な抑止効果も期待できる。常時監視機能により、端末利用者の離席をすぐに検知して自動で画面をロックするとともに、ログオン中に未登録ユーザーが着席した場合も検知して画面をロックする。これにより、未登録ユーザによる不正利用を確実に防ぐ。
2015年09月15日株価が乱高下する中、上場各社が長期株主確保のために充実させているのが「株主優待制度」だ。だが、これまで株式を保有したことのない人にとっては、株の購入はハードルが高いかもしれない。そこで今回は、投資情報会社のフィスコ 情報配信部 株式アナリストの小林大純氏に、株主優待を受けるための株式購入の方法など、「株主優待制度」の基本についてインタビューした。○「株主優待制度」、利用できる条件とは?――株主優待の基本について、株を持てば受けられるというのはわかるのですが、何株持てばいいのかなど、その辺りから教えていただけますでしょうか。株主優待というのは、上場企業が株主に長期的に株を保有してもらいたいとか、そういった目的のために、自社の商品をプレゼントしたり、あるいはサービスを提供したりといった、文字通り贈呈する仕組みです。受けるためには幾つかの条件があります。1つ目が、1年の決まった時に株式を保有している必要があることです。おおむね、企業には1年のうちで決算期があり、大抵の場合は3月ですが、2月、1月というところもあります。決算の期末であるとか、3月期末の決算企業であれば9月など中間期ですね。多いのは年に1回期末のとき、あるいは期末と中間の年に2回、その時時点の株主さんに株主優待をするというケースです。ですので、株主優待を受けるには、その企業が、いつ時点の株主さんに株主優待するかを確認する必要があります。――なるほど。企業ごとに決まった時点でその企業の株を持っているかどうかが株主優待を受ける第一の条件なんですね。それはどうやって調べればいいのですか?企業のホームページを見ますと、IRサイト、つまり株主向けページに、株主優待のコーナーを設けている企業が多く、「基準日」といいますが、いつ時点で株主である必要があるかということが記載されています。――たとえば、3月期末の会社は、3月31日に持っていればいいということですか。そこが注意点です。初めて株をする人は間違いやすいことなので、ぜひ注意してほしいのですが、3月期末の会社は3月31日時点で株主であることが必要であることが多いのですが、証券会社さんで株を買いますと、発注して即日それが自分のものになるわけではないのです。たとえば31日の3営業日前までに買う必要があると、決済が終了して自分の名義になるのが3営業日後になります。3営業日前が「権利付の最終売買日」となります。権利を取得するためにその日までに買っておく必要があるのです。――最終売買日は、3月31日の3営業日前になるということですね。そうです。その時点で買っておく必要があります。3月末が株主優待の「権利確定日」である場合は、その3営業日前が「権利付の最終売買日」です。具体的にいいますと、今年の3月は、31日が火曜日、この時点で証券会社さんで株を買いますと言ってもだめです。3月27日までに買っておく必要がありました。この3月27日が「権利付の最終売買日」です。企業のホームページを見ると、「権利確定日」は3月末時点の株主様と書いてあったりしますが、これを3月末に買えばいいという誤解をしてしまうと、31日に買っても優待は受けられないのです。――なるほど。「権利付の最終売買日」が重要なんですね。もう一つ注意してほしいのは、保有株数の条件が設定されています。大抵の場合は、売買するための最小単位、「単元」といいますが、100株、1000株の企業が多いです。今は大抵100株ですね。最低の売買単位が100株の企業ですと、100株持っている株主から優待を提供しますよという企業が多くありますが、たまに300株以上の株主とか、500株以上の株主いう条件がある場合もあるので、何株以上からの株主が対象かということを確認する必要があります。また、100株以上が対象の企業でも、500株以上の株主さんになると贈呈品が倍になるとか、段階的に優待のボリュームがアップするケースが多くあるので、これも確認しておきたい点です。――よく条件を確認しておく必要がありますね。株主優待を受けるためには1単元以上という企業が多いのでしょうか。そうですね。そもそも、株式投資は1単元以上から可能ですので、最低投資金額以上であれば優待対象という企業さんが多いです。まれに、「1単元」が100株でも、500株以上でないと株主優待の対象にならないというような企業もあるので気をつけたほうがいいですね。○企業は何のために株主優待をやっている?――最初の話に戻るかもしれませんが、企業は何のために株主優待をやっているのでしょう?自社の商品を提供してファンになっていただいて、直接株を保有してもらう。BtoCの企業ですと、優良顧客にもなり得るわけです。そういった意味で、長期株主を定着させたり、消費者としてのターゲットとして自社の商品のファンになってもらう、そういう狙いで株主優待を提供している企業が多いですね。また、最近出てきた動きですが、保有している期間によって優待内容に差をつける企業が出てきています。たとえば、100株以上を3年以上保有していると、今までの優待が1000円分だったのが2000円分になります、など。長く持っている株主さんに手厚くする傾向が最近徐々に出てきていまして、これも注目すべき動きです。――それはどういった理由からですか。ファンになってもらうことや、株価の安定でしょうか。そうですね。株価の安定や、安定株主をつくるということですね。企業同士の株の持合いの解消ということもあり、個人投資家に安定株主になってもらおうと。――なぜ持合いの解消が必要なのでしょう。「コーポレートガバナンス・コード」で、極力持ち合いはやめましょう、やる場合は説明しましょう、という制限がついてきました。○株主優待のリスクはある?――中国の問題で株が下がったりしています。個人の投資家にとっての株主優待のメリットは、商品・サービスが受けられるということだと思いますが、リスクはどうでしょうか。当然、株式ですので、投資した原資が100%返ってくるというわけではなく、場合によっては100万円投資したものが50万円になってしまうとか、ほとんどないですが、倒産してゼロ円になってしまうとか、そういうケースもあります。ですので、優待の商品の中身も大切ですが、その企業がどういったビジョンで経営していて、どういった成長戦略を持っているのかとか、そういった見極めも大事になってくるのです。――企業がどうなるか予測するのは個人投資家にとって、経済の勉強にもなると思いますが、どのあたりを見ればいいですか。ファンドマネージャーでもなく、アナリストでもなくという場合に、企業の株を買う買わないという、どの辺に判断の基準はありますか。1つは業績のトレンドです。決算短信、東証の適時開示システム(TDnet)など、企業の業績を開示する資料はたくさんありますので、そういったところをごらんになっていただいたらいいと思います。赤字か黒字かだけではなく、直近2期、3期ぐらいの利益の増勢、トレンドが出ているかとか、そういったところは簡単に見ることができると思います。また、財務情報を見るのは一般の投資家には難しいと思いますが、企業の決算を監査する監査法人が、企業が継続していくことに対して注意すべきところがあるのかどうか意見を付している、継続疑義の注記というのがあります。これは、企業が継続していく際に、たとえば何期赤字になっているので、このまま赤字が続くと資本を食いつぶして危ないとか、負債が増えていて危ないとか、注意点があれば投資家さんに知らしめるための注記を付しています。継続疑義の注記がついている、ついていないとかを見るだけでも参考になります。短信自体に継続疑義の注記が付されているのですが、たとえばネット証券会社のWebサイトでは、継続疑義の注記がついている企業の一覧が載っているケースが多いです。投資情報の一環としてそういうリストがあったりします。投資したいと思っている企業がそこに該当するかどうかのチェックは簡単にできます。○「配当」も考慮すべき?――株式を持っていると配当もあるかと思うのですが、株主優待目的で株を購入する場合でも、配当は気にするべきですか。配当も株主への還元という意味で、個人投資家にメリットがあります。配当は機関投資家も含めてメリットがありますが、株主優待は機関投資家にはあまり人気がありません。機関投資家は大量のロットで株を持っていても、優待が要らない人たちですので。個人の投資家さんにしてみれば、投資していることで得られるリターン・メリットの考え方として、優待と配当を合わせた総還元利回りというものがあります。たとえば100万円投資したら3万円の配当がもらえて、同時に優待が1万円分もらえるとします。100万円の投資に対して1年間で4万円、4%のリターンが得られるわけです。両方合わせてどのくらいのリターンが得られるのかという、総還元利回りという考え方で投資先を検討している投資家も増えています。――配当額はどうやってわかるのですか。企業さんの決算短信に記載されています。1株あたりで記載されています。100株持っていたら×100すればいいのです。自分がいくら投資したかによって、何%のリターンかというのがわかります。――優待もそうですが、配当もうれしいですね。個人投資家がひかれるのはワクワク感ですので、配当も考慮することで、その企業がどんなことをやっているのか理解する助けになると思います。○おすすめの銘柄は?――小林さんから見ておすすめの銘柄はありますか。外食系だと、食事券、割引券がもらえることが多いですが、注目して見ているのは、アスラポートダイニングです。牛角など多業態でレストランを経営しています。ダイヤモンドダイニングも多業態で展開しています。最近、多業態で展開している企業も多いので、優待の使い道がいろいろあるので注目しています。――なるほど。外食産業にそういう傾向があるのですね。注意点の1つになってくると思うのですが、外食企業などサービス系の企業全般にいえると思うのですが、近くに使える店舗があるかどうか確認していただきたいですね。首都圏で展開している企業で、大阪在住の投資家は店舗利用券をもらっても使えないということになりますので、実際に使える店舗が近くにあるかどうかが大事になってきます。一方、そういう株主に配慮しようということで、最近、サービス系とか外食系含めて、自社店舗での利用券または商品を発送しますという企業も増えてきている。そうすると、使える店舗が近くになくても、その企業の商品を取り寄せて楽しむことができます。――外食系以外におすすめの企業はありますか。皆さんのご趣味だとか、それぞれ違ってくると思うのですが、会社のサービスなどが目に見えるというのが株主優待を受ける楽しみでもありますので、サービス系がいいと思います。たとえば、カラオケをよくされるのであればシダックスですと利用券がもらえます。また、ネットカフェをよく利用する人にとっては、「自遊空間」を展開しているランシステムもいいかもしれません。身近でこういうサービスがいいなと気づいたときに、そこが上場されている企業であれば優待がないかと調べてみるのも楽しみの一つだと思います。自分の普段の生活から探してみるということです。――あらためて自分の生活を振返ってみるのもいいかもしれませんね。最近検索エンジンも進化していまして、FISCOウェブでもキーワード検索といって、「自遊空間」と入れるとランシステムが出てきます。弊社の投資情報アプリである「FISCOアプリ」は、投資家向けに提供させていただいているのですが、こちらでもキーワード検索ができますので、たとえば店名と会社名が違うというケースはあるのですが、店名検索していただければ、運営されている会社にたどり着くということはできます。○手元にいくらあれば、株主優待目的の投資を行える?――手元にいくらぐらいあれば、株主優待目的の投資を行えますか?最近は東証の指導がありまして、投資のために必要な最小単元を広く投資家に持ってもらうために引き下げましょうという動きがありまして、最小限の投資単位で持とうとすると安くてすむようになってきています。単元の株数が少ない会社ですと数万円から投資できますし、多いところでも数十万円、50万円未満にしましょうという指導されています。この範囲内に収まる企業さんが大抵です。――50万円未満でできるということですね。ボーナス1回分ぐらいでしょうか。10万円未満で買える株特集なども雑誌で組まれていますので、あきらめずに探せば、余裕資金が10万未満しかないという人でも投資できます。弊社でも特集をやっています。――フィスコさんで特集を組むというのはホームページ上でということですか。先ほどのFISCOアプリや、アプリがPCのWeb画面でも利用できる「FISCOウェブ」でも見ることができます。――「株主優待制度」を利用するだけで、いろいろな知識が身につきそうですね。本日はありがとうございました。
2015年09月15日すでに報じられている通り、2016年(平成28年)1月から「マイナンバー制度」がスタートします。正式名称は、「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(平成25年5月31日法律第27号、通称「番号法」)に基づいた「社会保障・税番号制度」。社会保障と税に関する行政手続きで利用するため、日本に住民票を持つ個人全員に対し、12桁の「個人番号」が付与されるというものです。結果として各個人の所得を正確に把握できるようになり、公平な税負担、社会保障の的確な提供などの効果が期待できるとか。また、行政機関・自治体等のさまざまな確認作業の負担も軽減されることになるといいます。とはいえ、私たちにとっては不安なことだらけ。そこで基礎知識を得るために読んでおきたいのが、『これ1冊でできるわかる 小さな会社のマイナンバー制度やるべきこと、気をつけること』(村阪浩司著、あさ出版)です。「Part 1 マイナンバー制度の基本を押さえる」から、「これだけは知っておきたいキーワード4つ」に焦点を当ててみます。■1:「個人番号」先に触れたように、マイナンバー制度においては住民票を持つ全国民に12桁の個人番号が指定されることになります。そして原則的に、一度指定された個人番号は生涯変わらないのだといいます。間もなく2015年10月以降に通知カードが配布され、さらに希望者には2016年1月以降、個人番号カードが交付されるそうです。ちなみにこれは写真つきなので、申請者の個人番号の確認だけでなく、身元確認にも有効。■2:「法人番号」法人番号とは、「国の機関、地方公共団体、会社法その他の法令の規定により設立の登記をした法人」、あるいは労働組合やマンションの管理組合などの「上記以外の法人又は人格のない社団等であって、法人税・消費税の申告納税義務または給与等に係る所得税の源泉徴収義務を有することとなる団体」に指定されるもの。難しい表現ですが、つまりは各種法人や団体のための番号です。■3:「特定個人情報」特定個人情報とは、個人番号や、「個人番号に対応する符号」を含む個人情報のこと。ちなみに「個人番号に対応する符号」というのは、個人番号に対応し、個人番号に代わって用いられる番号や記号などで、しかも住民票コード以外のものを指すのだといいます。■4:「特定個人情報ファイル」特定個人情報ファイルは、「個人番号や個人番号に対応する符号」をその内容に含む個人情報ファイル。民間の企業の場合は、個人情報保護法に定める「個人情報データベース等」と同じ意味だそうです。*これが、マイナンバー制度の基本的な部分。これを踏まえたうえで、会社の仕事がどう変わるのかを、本書ではわかりやすく解説しています。なんらかのかたちで自分自身にも関わってくる問題ではあるので、本書でしっかりと知識をつけておきたいところです。(文/印南敦史)【参考】※村阪浩司(2015)『これ1冊でできるわかる 小さな会社のマイナンバー制度やるべきこと、気をつけること』あさ出版
2015年09月07日富士通は9月2日、同社グループのマイナンバー制度に対する取り組み状況に関する説明会を開催した。冒頭、富士通 マーケティング戦略室 番号制度推進室長 木田順啓氏は、富士通グループのマイナンバーに対する取り組み方針を、「富士通では、マイナンバー制度を社会基盤の1つとして捕らえており、間近に迫ったマイナンバー制度施行に向けた対応と、将来の利活用についてICTの観点から支えたいと思っている」説明した。同社ではマイナンバー制度のビジネスを、政府・官庁向け、自治体向け、民間向けの3つの分野に分けており、政府・官庁向けでは市場規模1,000億の2割にあたる200億、自治体向けでは市場規模1,000~1,500億円弱のうち350億円、民間向けでは100億円の、計650億円の獲得を目標に設定しているという(2014年度~2016年度)。なお、これらにはマイナンバーの利活用の部分の金額は含まれていない。同社のマイナンバーに対応のスケジュールとしては、マイナンバーの通知が開始される2015年/10月、各種手続きの利用開始となる2016年/1月、新入社員への対応が必要な2016年/4月、2016年の年末調整への対応が必要な2016年/9月の4つボリュームゾーンを想定しているという。マイナンバー制度では、ガイドラインで示された安全管理措置が対応が大きな課題になっているため、同社では運用プロセスの見直しをシステムの改修とともにやっていくという。セキュリティ対策について木田氏は、「マイナンバーのためにセキュリティを強化するのではなく、内部統制、情報漏えい対策なども含め、マイナンバーを1つの契機にセキュリティ対策を見直してほしい」と語った。富士通のマイナンバー対応ソリューションには、コンサルティングサービス、システム対応、教育サービス、セキュリティサービスがあり、システム対応では、既存システムの改修、別システムとしてのアドオン、マイナンバー管理をアウトソーシングするBPOサービスが用意されている。同社によれば、現在はマイナンバーの配布が近いこともあり、ほとんどの顧客はマイナンバーの収集方法で悩んでおり、できるだけ手間がかからず、無理のない方法で、安全でセキュア、ミスのない収集方法を模索しているという。なお、マイナンバー対応では各省庁から出されているガイドラインに適合させる必要があるが、具体的なものが示されておらず、対応を迷う面がある。これに対して、富士通グループではSDN規格を決め、その中にアクセス制御、ログの消去など、マイナンバーに向けた基準を設け、それを満たさないと出荷できない仕組みになっているという。木田氏はこの点について、「ガイドラインをどう理解していくかについては、昨年の12月にガイドラインが出される以前から対応をを検討し、基準を定めてきた。また、富士通自身も大きな会社なので、どういった対応すべきかについては、社内にもPDCAサイクルをまわすような仕組がある。これら社内実践の経験もシステムに反映していきたい」と述べた。
2015年09月03日レバレジーズが運営するサービス「レバテック」は7月31日、エンジニア/クリエイターが主催しているイベントや勉強会を対象とした「スポンサー制度」を開設したと発表した。レバテックでは、案件提案サービスやスキルを高める無料イベントの開催など、エンジニアやクリエイターのキャリアステップのためのサービスを提供している。今回開設されたスポンサー制度では、エンジニア/クリエイターが主催しているイベントや勉強会に対して、レバテックが開催場所や協賛金、告知サポートなどの面から支援を行う。定型のプランがあるわけではなく、その都度相談が必要となる。
2015年07月31日カレーなどの煮込み料理を作る時、コトコトと長い時間煮込んでいると光熱費もどんどん上がってしまいます。そこで光熱費を節約しつつ、ちゃんと煮込める裏ワザを紹介します。○カレーをバスタオルで余熱調理してみた今回は余熱調理でカレー (4人前) を作ってみます。準備するのはバスタオルだけ。なるべくサイズが大きく、毛足が長いフカフカなものを用意してください。カレーの材料たまねぎ 大1個、にんじん 中1本、じゃがいも 中2個、ズッキーニ 1本、薄切り豚肉 150g、カレールー 1パック、水 500ml、油、調味料具材などを入れ、沸騰したら火を消しましょう。フタをして鍋を下ろし、バスタオルで包みます。鍋の底も熱くなるので、鍋敷きの上に置きましょう。火傷には十分注意してください。普通に煮込んで作ると50分くらい火にかけますが、この裏ワザを使うと火にかける時間は10分程度。約40分の間に必要となる光熱費の節約になります。ちなみに、鍋を火から下ろしてから30分後の温度を測ったら、バスタオルに包んだ場合が約84℃、包まない場合が約67℃でした。執筆:みーたん小学生の息子2人を持つ主婦。関心テーマは、男児の育児と時短家事。飲食店でのアルバイト勤務もこなし、毎日多忙ぎみ。本稿の内容を実行したことによる損害や障害などのトラブルについて、執筆者および編集部は責任を負うことができません。記載内容を行う場合は、その有効性、安全性など十分に考慮いただくようお願い致します。記載内容は記事掲載日時点の法令や情報に基づいたものです。また紹介されている商品やサービスは、すでに提供が終了していることもあるほか、入手先など記事に掲載されている情報のみとなり、お問い合わせに応じることができません。記載内容を参考にしていただき、ご自身の暮らしにお役立ていただけますと幸いです。
2015年07月24日今年の10月からスタートするマイナンバー制度。国民全員にマイナンバーが通知され、施行されていくことになります。マイナンバー制度について、報道やCMなどで耳にしたことはあっても、その内容をきちんと理解できていない人も多いのではないでしょうか。施行される前に、制度についてきちんと知っておきましょう。マイナンバー制度ってどんなもの?マイナンバーとは、1人に1つずつ国から定められる12桁の個人番号のこと。今年の10月から通知され、2016年1月から社会保障、税、災害対策の行政手続きで使われることになります。マイナンバーは、国内に住民票を持つすべての人に与えられ、原則として一生変わりません。制度のスタートにあたって手続きなどは一切必要ありませんが、逆に「マイナンバー制度に加入したくない」ということもできません。これまで、個人の税金や社会保障に関する情報は、各自治体や税務署、年金事務所などがそれぞれ管理していました。マイナンバーの導入によって、それらが1つの番号で管理されることになります。マイナンバー制度のメリットとは現在、税金の確定申告や国民保険の加入などの各種申請には、さまざまな添付書類が必要です。しかし、マイナンバーによって税や社会保障に関わる情報が一元的に管理されるようになれば、添付書類も減り手続きが簡単になります。確定申告や引っ越しの際はもちろん、災害にあったときの支援給付を受け取る場合などは、手続きがスピーディなのは大きなメリットになります。また、所得や納税、行政サービスの受給状況がしっかり把握できるようになるため、不正を防ぎやすくなります。たとえば生活保護の不正受給などを防ぎ、本当に必要な人に行政サービスを行うことができます。さらに、手続きが簡略化するということは、行政の作業の効率化にもつながります。各種手続きの際の情報の照合や入力などが必要なくなり、作業の無駄を省くことができます。マイナンバーはどんな場面で必要?マイナンバーが必要になるのは、雇用保険や年金の手続きや確定申告、災害の支援金の受給時などです。源泉徴収票への記載も必要なため、会社勤めの人は勤務先に自分のマイナンバーを知らせる必要があります。法定調書などに記載するため、証券会社や保険会社にもマイナンバーを提示することになります。また、子どもがいて児童手当を受け取っている人は、毎年1回の現況届の際にマイナンバーを提示します。マイナンバー制度導入で考えられるリスクとは便利なことの多いマイナンバー制度ですが、導入後のリスクも考えられます。まず気をつけなければいけないのが、個人情報の流出や不正利用。先日起こった日本年金機構の情報漏えい事件のこともあり、気になるところですよね。現在のところ、マイナンバーの利用は行政手続きに関わるものに限定されていますが、将来的には民間サービスにも利用が拡大されていくといわれています。そうなると怖いのが、なりすましなどの不正利用です。番号が盗まれて知らない間にクレジットカードを作られてしまったり、ローンを組まれてしまったり…ということが、ないとも限りません。また、将来的には、個人の銀行口座もマイナンバーと関連付けられる可能性もあります。そうなると、税務署などにお金の流れがすべて把握されてしまうことに。もちろん、脱税や所得隠しなどやましいことがなければ、何も問題はないのかもしれません。でもたとえば、身内の間で気軽にお金を振り込んだら、贈与税だと税務署にチェックされる…ということもあるかもしれません。マイナンバーが通知されたら、流出を防ぐために自分自身でもしっかりと管理すること。そして、今度どのように活用されていくのか、きちんと注目していきたいですね。
2015年07月20日富士通エフサスは7月9日、2015年10月の社会保障・税に関わる番号制度(マイナンバー制度)の施行に向け、同制度に対応した業務支援、安全管理措置対応に向けたサービスを提供開始すると発表した。各サービスの価格は個別見積もり。同社は、マイナンバー制度施行に先立ち課題を解決すべく、特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(以下、特定個人情報保護ガイドライン)を踏まえて、特定個人情報の収集・登録などの業務支援(常駐型など)を提供するとともに、セキュリティ強化施策を提案・実施する。「マイナンバー業務支援(オンサイト型)」としては、特定個人情報の収集・登録・保管といった一連の業務を顧客企業に常駐する(=オンサイト) ことで支援し、作業負荷軽減に貢献していく。同社施設を活用するセンター型の提供も予定している。今回の取り組みは、富士通が1月21日に発表した「FUJITSU BPOサービス マイナンバーBPOサービス」の1つに位置づけられ、富士通からの提供も予定されている。「安全管理措置対応のためのセキュリティ強化施策」としては、特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドラインで定める安全管理措置6項目のうち、「組織的安全管理措置」「物理的安全管理措置」「技術的安全管理措置」の3つの観点から、セキュリティ施策を体系化し提案・実施する。
2015年07月10日東京都は24日、難病医療費助成制度の対象を拡大すると発表した。2015年7月1日より新たに196疾病が指定難病に追加され、全体で306疾病が対象となる。原因が不明で治療法が確立していない希少な疾病で長期の療養を要する、いわゆる難病のうち、一定の診断基準が確立しているなどの要件を満たし、厚生労働大臣が定める疾病を「指定難病」という。指定難病については、「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づき、患者の医療費の負担軽減および治療研究を推進するために、一定の認定基準を満たしている場合、その治療にかかる医療費の一部を助成している。今回、新たに追加された疾病は、先天性ミオパチー、マリネスコ・シェーグレン症候群、筋ジストロフィーなど196疾病。助成対象は、指定難病に罹患した人のうち、国の定めた病状の基準を満たしている人、あるいは申請月以前の12月以内に指定難病にかかる医療費が3万3,330円を超える月数が3回以上ある人となる。申請は、特定医療費支給認定申請書などの書類を区市町村窓口に提出して行う。
2015年06月25日○「個人番号関係事務実施者」とは?前回は、マイナンバー制度とはどのような制度なのか、その概要と今後のスケジュールを整理してみてきました。マイナンバー制度のなかで中小企業は「個人番号関係事務実施者」という役割をおうことになります。今回は「個人番号関係事務」とはどのような事務なのか、それを行う「個人番号関係事務実施者」に求められる役割などをみていきます。○個人番号関係事務実施者とはマイナンバー制度では、1人でも従業員を雇用している事業者であれば、自分以外のマイナンバーを取り扱うことになります。特定個人情報保護委員会の「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(以下「ガイドライン」)では、従業員を有する事業者、中小企業が、他人のマイナンバーを取り扱うことを、個人番号関係事務と呼んでいます。具体的には、従業員などのマイナンバーを源泉徴収票や健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届などの書類に記載して、行政機関や健康保険組合などに提出する事務が、個人番号関係事務に該当します。そして、この事務を行う事業者や担当者および事業者の委託を受けて個人番号関係事務を行うものを、個人番号関係事務実施者と呼んでいます。小規模な事業者であっても、法で定められた社会保障や税などの手続きで、従業員などのマイナンバーを取り扱うことになりますので、すべての中小企業が個人番号関係事務実施者となります。小規模な事業者は、個人情報保護法で定める義務の対象外ですが、番号法で定められる義務は規模にかかわらず、すべての中小企業に適用されることになります。○個人番号関係事務を適正に実施するために知っておくべきこと個人番号関係事務を適正に実施するためには、番号法や「ガイドライン」で示されている「してはならないこと」「しなければならないこと」をきちんと確認しておくことです。この回では、「してはならないこと」を中心に知っておくべきことを整理してみましょう。○マイナンバーの利用制限マイナンバーの利用範囲は、法律に規定された社会保障、税および災害対策に関する事務に限定されています。一般の中小企業の場合は、社会保障および税の分野に限定されていると考えれば良いでしょう。個人情報保護法では本人の同意があれば、他の用途に個人情報を利用することができましたが、マイナンバーはたとえ本人の同意があっても、社会保障および税の事務以外で利用することはできません。たとえば、社員番号にマイナンバーを流用することはできません。○マイナンバーの提供の求めの制限、収集制限利用に制限がありますので、従業員などにマイナンバーの提供を求め、収集する場合も、社会保障および税の事務を利用目的とする範囲でしか、提供を求めることおよび収集することはできません。前項の例のように、社員管理のためにマイナンバーの提供を求め、収集することはできません。○マイナンバーの提供制限中小企業がマイナンバーを提供できるのは、社会保障および税に関する事務のために従業員などのマイナンバーを行政機関や健康保険組合などに提供する場合に限られます。たとえば、系列会社間で従業員が出向などで移動した場合に、系列会社間でマイナンバーを提供することはできません。この場合、出向先の会社は改めて本人にマイナンバーの提供を求め、収集しなければなりません。○マイナンバーの保管(廃棄)制限マイナンバーは社会保障および税に関する事務を処理するために収集、保管するわけですから、それらの事務を行う必要がある場合に限り、保管し続けることができます。継続的な雇用契約がある場合、従業員などから収集したマイナンバーを源泉徴収や健康保険・厚生年金保険などの関連事務で翌年以降も継続的に利用することが予定されますので、継続的に保管することができます。ただし、講演や原稿などを依頼し、支払調書を作成するために、講演者や原稿の執筆者から提供を受けたマイナンバーは、翌年以降同じ講演者や執筆者に依頼する予定がない場合は、継続的に保管することはできません。こうしたケースでは、必要がなくなったマイナンバーをできるだけ速やかに廃棄しなければなりません。○番号法の罰則規定「ガイドライン」では、「しなければならない」および「してはならない」と記述されている事項について従わなかった場合、法令違反と判断される可能性があるとしています。法令違反と判断されると、罰則が科される可能性もでてきます。番号法では、個人情報保護法よりも罰則の種類が多く、法定刑も重くなっているので注意が必要です。番号法で規定されている罰則には、国の行政機関や地方公共団体の職員などを対象にしているものと、民間事業者や個人を対象としているものがあります。下の表は民間事業者や個人を対象としている罰則規定と対応する法定刑を整理したものです。(内閣官房よくある質問 (FAQ)より)この中でも最も重い法定刑のものは、個人番号利用事務、個人番号関係事務などに従事する者や従事していた者が、正当な理由なく、業務で取り扱う個人の秘密が記録された特定個人情報ファイル(※)を提供するケースで、4年以下の懲役または200万円以下の罰金となっています。また、前項で取り上げた制限事項を守らず特定個人情報保護委員会の命令を受け、それに違反したケースでも2年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。個人番号関係事務実施者となるすべての中小企業では、限られたリソースのなかでマイナンバーを取り扱うことになりますが、罰則の適用を受けるような事態を避けるためにも、マイナンバー制度への対応をしっかり準備していかなければなりません。特定個人情報ファイル:個人番号をその内容に含む個人情報ファイル(個人情報データベースなど)著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年06月22日サイボウズは6月16日、同日より「脆弱性報奨金制度」のルールを一部改定したと発表した。改定により「サイボウズLive」と「cybozu.com 運用基盤」の2つも脆弱性報奨金制度の対象となった。また、報奨金を獲得する報告者は、報奨金を受け取る際、「報奨金の獲得」か「報奨金寄付制度」のどちらかを選べるようになった。サイボウズの脆弱性報奨金制度は、同社が提供するサービスに存在するゼロデイ脆弱性を早期に発見し改修することを目的とする制度で、同社のパッケージ製品・クラウドサービスの脆弱性を発見し報告した人に報奨金を支払うもの。今回、新たに導入された報奨金寄付制度は、報奨金受け取りを辞退する代わりに、同社が指定するOSSコミュニティに寄付できるもの。寄付は報告者の名義で行い、報告者が獲得した報奨金と同額をサイボウズが上乗せして代行で寄付を行う。脆弱性報奨金制度は、2014年6月から実施しているが、報告者より「報奨金を受け取る代わりに、寄付ができないか」という問い合わせが複数あったことから、今回報奨金活用の新たな選択肢を提供し、報告者のモチベーション向上に寄与する考えだという。寄付先は、同社が製品開発に利用している「Apache Software Foundation OSS」「Linux Foundation 」「日本にあるOWASP Local Chapter(OWASP Japan/OWASP Kansai/OWASP Kyushu等)」のコミュニティから選択。寄付金はOSSコミュニティの運営費として活用される。
2015年06月18日エプソンは6月10日、2016年1月より開始されるマイナンバー制度に対する会計事務所向け支援サービスとして、会計システム「R4シリーズ」のマイナンバー制度への対応を2015年10月より順次開始すると発表した。マイナンバー制度に対応するために、「R4シリーズ」では専用のデータベースを用意し、個人番号・法人番号の一元管理と専用のアクセス権限を設定。これにより、日本税理士連合会発行のマイナンバーガイドブックに即した、マイナンバーの収集から破棄までの運用を支援するという。マイナンバーの安全運用を実現する専用データベースでの対応内容として、次の3点が挙げられている。マイナンバーの一元管理と暗号化マイナンバーの取り扱い権限管理とログ管理個人番号の廃棄リスト・アラート表示「R4シリーズ」では、各アプリケーションに標準搭載される統合管理機能「Eiボード」内にマイナンバー専用のデータベースを用意し、一元管理する。さらに、個人番号をサーバーに格納する際には、暗号化(CRYPTREC 暗号ソフト)処理によるセキュアなデータ管理を行うことで、事務所内での安全管理・運用を支援。また、システムのユーザー権限とは別に、マイナンバー専用の取り扱い権限設定が可能で、マイナンバー取り扱い権限がある場合のみ、帳票出力・電子申告・申請が可能となる。取り扱い権限がない場合は、帳票や画面などにマスキング処理がなされ、個人番号が表示されない。マイナンバーに関する処理を行った際には、ログ管理で利用履歴を把握し、日本税理士連合会の雛形に準じた「特定個人情報ファイル管理簿」を作成することができる。さらに、個人データの関与終了日を入力することで、廃棄対象リストやアラートを表示し、データの消し忘れを防止することにより、確実な廃棄処理ができる。個人番号廃棄時には、ログとして記録保持し、顧問先提出用の「個人番号廃棄証明書」を発行することが可能。同社では、マイナンバー制度導入にあたり、会計事務所として取り組まなければならないポイントや、「R4シリーズ」のマイナンバー管理・運用方法および情報漏洩対策などについて説明する「税理士のためのマイナンバー実務対応セミナー」を、2015年6月から主要エリアで順次開催する予定だ。
2015年06月11日サラリーマンやビジネスウーマンの皆さんは、公的医療保険である健康保険に加入しています。健康保険に加入していると、けがを治療する際やけがによって会社を休んだ際に、一定の金額が給付されるということをご存じの方も多いでしょう。ただ、実は意外と知られていない制度も多いように思えます。健康保険は、皆さんが思っている以上に制度が充実しているのです。今回は、手術や入院で医療費がかさんでしまった際に利用すると便利な「高額療養費制度」と「限度額適用認定証」をご紹介しましょう。高額療養費とは、医療費の自己負担額を抑えるための公的扶助で、医療費が一定限度額を超えないようにするものです。この制度は、自費で支払った後に自己負担限度を超えた分が戻ってくるものですが、一時的な自費での支払いが難しければ、限度額適用認定証の利用が可能です。それぞれの制度について、確認しておきましょう。○世帯での合算でも使える高額療養費制度高額療養費制度とは、病気やケガで手術や入院をしてその費用が高額になった場合、患者の医療費負担が増えすぎないようにする公的医療保険の制度です。通常医療費は3割が自己負担分ですが、医療費が数百万円や数千万円になるケースもあり、そうなれば家計は破たんしてしまいます。そこで、所得により区分を設け、1カ月の医療費負担に上限を設定することで、過剰な医療費が家計の負担にならないよう配慮されています。上限となる自己負担額は、世帯で合算できるため、同時期に家族が病気やケガなどにかかり、治療費が高額になったという場合でも申請することができます。○2015年から高所得者は負担増へ2015年に制度が改正され、年収210万円~370万円の層では自己負担限度額が約2万円減り、5万7,600円となりました。年収370万円~770万円の層は、8万100円の据え置きに。年収770万円~1,160万円では約2万円アップの16万7,400円に、1,160万円以上だと約10万円増の25万2,600円になり、高収入世帯では大幅な負担増となっています。これにより、一般的な収入の家庭では、従来通り月の医療費は最大でも8万円程度に抑えることができます。とてもありがたい制度ですが、デメリットもあります。この制度を利用するには、一度医療費を自己負担で全額病院へ支払う必要があります。申請すれば後で戻ってくるとはいえ、貯蓄がなければ、大金を自己負担で支払うことができない場合もあります。そのことを知らないと、突然の出費に右往左往することになってしまいます。○高額医療費が予想されるときは限度額適用認定証をそんなデメリットをカバーするための制度が、限度額適用認定証です。一時的にでも3割負担分の支払いが難しいとき、加入している健康保険組合へ事前に連絡し、申請書を提出し限度額適用認定証の発行をしてもらいます。この認定証と健康保険の被保険者証を医療機関の窓口に提出すると、3割分を負担することなく、最初から限度額までの支払いで済ませることができます。入院が長引いたり、治療費が高くなったりしそうなときは、治療費の総額が分からなくても事前に限度額適用認定証の申請をしておきましょう。○負担金を増やさぬよう、事前の手配が肝心高額療養費制度も限度額適用認定証も、この制度を理解したうえで、自ら申請する必要があります。病院などでも説明を受けられると思いますが、知らずに負担金が増えてしまうという事態にならぬよう事前の手配を心掛けてください。限度額適用認定書の期限は、数カ月から1年です。治療が長引く場合、有効期限切れになることがあるので、期限が切れる前に新しい認定証を発行するようにしましょう。写真と本文は関係ありません筆者プロフィール: 武田明日香(たけだ あすか)エフピーウーマン所属、ファイナンシャルプランナー。日本テレビ「ZIP!」やTBSテレビ「あなたの損を取り戻せ 差がつく! トラベル! 」、「Saita」「andGIRL」等の雑誌、「web R25」「わたしのマネー術」等のウェブサイトなど幅広いメディアを通じ、お金とキャリアの両面から女性が豊かな人生を送るための知識を伝えている。お金の知識が身につく初心者向けマネーセミナー受付中(受講料無料)。
2015年06月10日キヤノンマーケティングジャパン(キヤノンMJ)は6月9日、社会保障制度・税に関わる番号制度(マイナンバー制度)に対応したソリューション事業を、グループ各社と連携し展開することを発表した。マイナンバーの本人確認書類を電子化する「収集・管理ソリューション」や、マイナンバーの業務プロセス構築の支援や業務運用を受託する「コンサルティング・BPO サービス」を6月22日より順次開始するという。2016年1月から施行されるマイナンバー制度により、すべての民間企業は従業員の給与や健康保険、厚生年金などの手続きのため、本人や家族のマイナンバーを収集して管理する必要がある。また、マイナンバーを取得、保管、利用、廃棄するプロセスで、特定個人情報保護委員会より定められた「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」に準じ、ルールや運用体制の整備、情報の漏えいや不正使用防止などの安全管理措置が義務づけられている。これに伴い、給与や経理などの既存システムとマイナンバーをひもづける仕組みやセキュリティの強化など、企業は改修や導入などの対策が必要となっている。キヤノンMJグループでは、このガイドラインに対応した製品やサービス、ソリューションを体系化し、「ハードウエアソリューション」「収集・管理ソリューション」「セキュリティソリューション」「コンサルティング・BPO サービス」の4つの分野でマイナンバー制度に対応したソリューションを提供していくという。9月から発売予定の「収集・管理ソリューション」では、ICカード認証で個人を特定しながら個人番号や本人確認書類を複合機でスキャン、電子化し、暗号化されたイメージデータをクラウド上のストレージやサーバに格納、そのデータと給与管理システム上のマイナンバーを照合することで、個人番号や本人確認を簡単に行えるとしている。6月22日からサービス開始予定の「コンサルティングサービス」では、コンサルタントがマイナンバー制度に関わる対象業務を洗い出し、課題抽出や解決策、新業務プロセスの構築や運用人員体制の構築などを支援するという。「BPOサービス」では、サービスセンターで業務運用を代行するサービスと顧客常駐型で代行する2パターンのサービスが用意されている。キヤノンMJは、マイナンバーソリューションの提供企業である、キヤノンシステムアンドサポート、キヤノンITソリューションズ、キヤノンビズアテンダ、スーパーストリームとともに、グループ全体で2016年にマイナンバーソリューション関連事業で売上高50億円を目指すという。
2015年06月09日○マイナンバー制度はすべての中小企業に影響がありますTVCMなどでも紹介されているマイナンバー制度。個人レベルではさまざまな利便性がもたらされると案内されています。また、今国会では、マイナンバーの民間利用を進める法案が審議され、2018年からの開始を見すえた報道も増えてきました。その一方で、マイナンバー制度が中小企業にどのような影響をおよぼすかについては、まだまだ周知されているとはいえない状況です。いろいろな機関から発表されている事業者のマイナンバー制度対応についての調査からは、大企業はすでに準備を始めている様子がうかがえますが、中小企業については、マイナンバー制度への理解も含めて、これからといった現状が見て取れますマイナンバー制度は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「番号法」 2013年(平成25年)5月31日公布)により成立した制度です。法律名にあるとおり、行政手続においてマイナンバー、すなわち個人を識別するための番号(以下、個人番号)を利用することになるわけですが、事業者がどのように関わることになるかの理解が進んでいないため、中小企業では、準備が進んでいないのではないでしょうか。今年末から使用することになる「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の、現時点で国税庁から公表されている書式(図1)では、給与所得者であるサラリーマンなどの従業員本人はもちろん、扶養親族の各氏名欄に個人番号を記入する欄が追加される予定です。この書類を集めることになる中小企業では、法律で規定されたルールを守って雇用者の個人番号を取り扱う必要があります。つまり、個人情報保護法では、扱う個人情報の数により規制の対象とならなかった中小企業でも、マイナンバー制度では「番号法」など関係法令の規制を受けることになるわけです。特に個人番号を含む個人情報は、漏洩などについて厳しい罰則も設けられており、中小企業でもルールをきちんと理解して対応を準備していく必要があります。○どの業務で個人番号の取り扱いが必要になるのか?マイナンバー制度は「社会保障・税番号制度」とも呼ばれ、中小企業で社会保障や税に係る業務を行うシーンで、従業員ひとりひとりに割り振られた個人番号を取り扱うことになります。具体的に個人番号の取り扱いが必要となる業務は、主に以下となります。○マイナンバー制度に対応するためにどのような準備が必要となるのか?これらの個人番号が記載されることになる書類の作成・提出は2016年(平成28年)1月からになっています。また、住民票を有する個人に2015年10月5日より市区町村より個人番号の通知カードが送付されます。個人番号の送付開始まで、もう半年を切っていますが、今からでも準備は遅くありません。まずは、前項であげた業務で、実際に個人番号を取り扱う業務や特定個人情報の範囲を明確にし、個人番号を取り扱う業務にあたる事務取扱担当者および責任者を決めることです。そのうえで、特定個人情報保護委員会(*)が公表している、「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」を参考に必要な準備をしていくことになります。主な項目をあげると以下のようになります。1.基本方針の策定従業員に制度を周知させるためにも策定することが重要とされています2.取扱規定等の策定特定個人情報の適正な取扱を確保するために策定します。前項であげた業務について、すでに業務マニュアルなどがある場合は、特定個人情報の取り扱いを明確化した項目を加えて作成することも考えられます。3.組織的安全管理措置担当者・責任者の明確化などの組織体制の整備や、取扱規定に基づく運用、取扱状況が分かる記録を作成・保存するなどの措置。4.人的安全管理措置取扱担当者に対する必要かつ適切な監督や、適切な教育を行うことなどの措置。5.物理的安全管理措置特定個人情報を取り扱う業務を行う区域、特定個人情報ファイルを扱う情報システムを管理する管理区域と特定個人情報を取り扱う事務を実施する取扱区域を明確にし、管理区域に対しては入退室管理、取扱区域に対しては間仕切り等の安全管理を行うなどの措置。6.技術的安全管理措置担当者や責任者のみが特定個人情報ファイルにアクセスできるように限定するアクセス制御を行うなどの措置。以上の項目を準備していくことになるわけですが、より詳しい内容については次回以降でみていきます。(*)特定個人情報保護委員会は、個人番号その他の特定個人情報の有用性に配慮しつつ、その適正な取扱いを確保するために必要な措置を講ずることを任務とする内閣府外局の第三者機関です。著者略歴中尾健一(なかおけんいち)アカウンティング・サース・ジャパン株式会社取締役1982年、日本デジタル研究所 (JDL) 入社。30年以上にわたって日本の会計事務所のコンピュータ化をソフトウェアの観点から支えてきた。2009年、税理士向けクラウド税務・会計・給与システム「A-SaaS(エーサース)」を企画・開発・運営するアカウンティング・サース・ジャパンに創業メンバーとして参画、取締役に就任。マイナンバーエバンジェリストとして、マイナンバー制度が中小企業に与える影響を解説する。
2015年06月08日みなさんは、死刑が必要だと思いますか?実は、アメリカの最東北部にあるメイン州には”死刑制度”がありません。一体なぜだと思いますか?これには、メイン州で起きたある悲劇が関係しています。今回はその悲劇と一緒に、死刑制度について改めて考えさせられる7つの話を『BDN Maine』を参考にご紹介します。■1:あまりにも残酷な死刑が過去に行われている悲劇は、1885年メイン州で行われた最後の死刑の時に起きました。このとき刑を受けたのはダニエル・ウィルキンソンという男性。当時メイン州では絞殺によって死刑が行われていたのですが、そのときウィルキンソンに使われた縄は十分に結ばれていませんでした。結果、彼は何千もの観衆の前で苦しみながらゆっくりと殺されることに……。人が苦しむ姿は誰だって見たくないものですよね。このときの観衆のショックは計り知れないものでした。しかし、この悲劇がきっかけとなり、メイン州議会では死刑廃止の動きが強まります。そして翌々年の1887年、死刑制度はついにメイン州から廃止されることになりました。現在アメリカにある50州のうち文面上死刑制度を設けている州は全部で32州。しかしその中でも死刑制度に大多数の人が賛成している州は、カリフォルニア、フロリダ、テキサス、ペンシルバニア、アラバマのたった5つの州だけです。■2:世論は死刑制度に否定的になりつつあるアメリカ国民の多くは死刑制度を支持していますが、その支持数はここ40年でどんどん低くなっています。ピュー研究所によれば、56%の人が殺人犯へ死刑を求刑することについて賛成、38%の人が反対と回答。ただ、ここのところ民主党員や女性たちの間で意見が大きく変化しつつあり、中立な立場にいる人や死刑制度に賛成の立場をとっている共和党員の数もゆっくりとですが減りつつあるようです。■3:無実の人が死刑を受ける可能性がある死刑制度に賛成している人でさえ、「死刑制度にはリスクがある」と答えています。そのリスクとは、無実な人が死刑を受けてしまうこと。ピュー研究所の国内調査によれば、「死刑を言い渡された無実な人に対し、彼らを守る手立てが十分に整備されている」と答えた人はたったの26%しかいませんでした。さらに、米国科学アカデミー紀要の2014年の調査によれば、もし仮に全ての死刑判決受けている囚人が終身刑のままであれば、少なくともその中の4.1%の人が無実の罪を晴らすことができるかもしれないとしています。もし、罪のない人の命を奪うことになったら……?考えるだけでゾッとしますよね。■4:35%は死刑制度で犯罪が止まると思っている死刑の議論で必ず話題に上がるのが、「死刑は犯罪を止める抑止力になりうるのか?」という話です。これについて先ほどのピュー研究所の調査を見てみると、アメリカ国民の35%の人が「死刑制度は犯罪抑止になる」と答え、61%の人が「抑止にならない」と答えています。しかしながら、これについて現存する研究を調べてみたところ、死刑制度によって犯罪が抑止されるかどうかについてはまだ答えが出せないというのが現状のようです。ただ犯罪の抑止力について明らかになっていることがあるとすれば、それは犯罪者自身が「確実に捕まってしまうだろう」と感じたとき、警察はただそこにいるだけで犯罪行動を止められる、ということだけです。■5:死刑制度には多くのコストがかかっている実は終身刑の囚人より死刑囚を管理する方が多くのコストがかかるのだそうです。これについてシアトル大学の研究を紹介します。この研究によれば、死刑執行までにかかるコスト(拘置や裁判での判決といった管理に関するコストから警察にかかったコストまで含めたもの)よりも、死刑を求刑しない時のコストの方が安いのだそうです。さらに実証実験により明らかになったことは、死刑囚を管理するコストの方が一般の囚人を管理するコストよりも平均して高いということ。これは囚人と職員の数における比率の問題で、死刑囚の場合より高いレベルのセキュリティが必要となり、幽閉場所も一般囚人とは別にしなければなりません。そのため、より人件費がかさみコストが高くなるのだそうです。■6:人種によって形に偏りがある死刑を宣告された人々の間では、なんと人種によってその刑に偏りがあるのだそうです。根拠として、このことについて議論した自由権規約人権委員会のレポートをご紹介しましょう。少しおおざっぱですがそのレポートの内容をまとめると、殺人の犠牲者になるという点では黒人も白人もその数に大きな偏りはないのですが、死刑を宣告される場合を見てみるとその80%近くは白人を手にかけた場合なのだそうです。■7:問題のある死刑が行われている死刑を執り行う際、問題が起きることはないのでしょうか。イギリスのアメリカ法学研究誌の調べによれば、1900年~2011年までにアメリカで施行された死刑約9,000件のうちで270件もの死刑が(つまり全体の3%もの死刑が)死刑に関する議定書から逸脱して行われています。そして、その行使に極めて問題があったこともわかっています。さらにアメリカの『The Daily Beast』は、致死薬注射による死刑は19世紀から行われてきた他のどの方法よりも高い確率で(約7%の確率で)執り行う最中に問題が起きると伝えています。以上、死刑にまつわる7つの話でした。現在日本では死刑が行われていますが、果たして死刑は廃止すべきものなのでしょうか?ぜひこの機会に死刑制度について考えてみませんか。(文/和洲太郎)【参考】※American Support for Death Penalty Declining, Especially Among Democrats-Pew Research Center※Most Americans See ‘Some Risk’ an Innocent Person Will Be Executed-Pew Research Center※Rate of false conviction of criminal defendants who are sentenced to death-PNAS※Five Things About Deterrence-The National Institute of Justice※The Economic Costs of Seeking the Death Penalty-Seattle University School of Law※Three percent of US executions since 1900 were botched, study finds-ScienceDaily※Lethal Injection Leads to the Most Botched Executions-The Daily Beast※7 things you should know about the death penalty-BDN Maine
2015年05月23日会社員だからこそトク! という制度があるのを知っていますか? サラリーマンは社会保険料も年金も、税金も天引きされてソンな感じがする、といった不満も聞こえますが、逆に、サラリーマンだからこそ使える公的制度もあるのです。これは隠れた収入ともいえ、知らなかったでは、それこそ本当にソンをしてしまいます。代表的なものをご紹介しましょう。○会社員だからこそ使える公的制度って何?会社員が使える制度には、会社独自のものと、公の機関によるものがあり、次のようなものが挙げられます。会社独自の制度社内預金財形貯蓄制度確定拠出年金制度健康保険の制度健康保険組合など病気、ケガ入院での高額療養制度+付加金出産手当金+付加金傷病手当金雇用保険の制度失業給付金それぞれ、簡単に説明していきましょう。○非課税などの税制優遇や、提携割引などを使いこなすまず、会社の制度では社内預金を筆頭に、財形貯蓄制度、最近では確定拠出年金制度を導入する企業も増えてきました。いずれも社員の資産形成をバックアップするもので、財形貯蓄のうち住宅財形、年金財形は、元本550万円(貯蓄型)までの利子は非課税という特典があります。確定拠出年金制度は、国の年金を補完するものとして導入されたもので、掛け金は企業が負担し、運用商品は従業員が選択するというものです。また、従業員が掛け金を上乗せできる(マッチング拠出)場合は、その分が給与から天引きされますが、掛け金に税金はかからないので、実質的な所得控除となります。サラリーマンの住宅取得や老後資金づくりのための優遇制度ですから、勤務先で導入していれば、優先的に利用すべきものです。次に、健康保険制度の特典ですが、これは勤務先独自の健康保険組合なのか、業界団体で加入する健康保険組合なのかでも、少し変わってきますが、いずれの場合も、注目すべきなのは、保養所などの福利厚生施設です。提携しているホテルやアミューズメントパーク、スポーツジムなど利用しない手はありません。利用枠が決まっていたり、利用したい期間が集中したりして、予約が取りづらいということはありますが、健康保険料は、こうした福利厚生にも使われているので、使っただけトク! と言えます。健康保険の本来の役割である、病気、ケガでの治療に関しては、自己負担額3割というのが基本になります。自己負担3割は、自営業者が加入する国民健康保険と変わりはありませんが、独自の給付を設けているところも少なくありません。たとえば、国の制度で「高額療養費制度」というものがあり、これはある一定額を超えた自己負担額は払い戻されるというもので、会社員でも自営業者でも仕組みはほぼ同じです。しかし、会社員の場合は、さらに多くの払い戻しを受けられることがあります。これも健保組合によって異なります。同じように、「出産手当金」に関しても、産休中の収入保障のために、標準報酬日額の3分の2×休んだ日数分、受け取ることができます。これに付加金を上乗せする健保組合もあります。自営業者でも給付される「出産育児一時金」は赤ちゃん1人につき42万円ですが、やはりこれも会社員の場合、健保組合によってはプラスアルファされるところが多いのです(妻が専業主婦でも、夫が会社員なら会社から支給される)。○意外と知られていない「傷病手当金」で病気治療に専念するもうひとつ、健康保険で保障されているのが、業務外での病気やケガで仕事につくことができなくなった場合の収入の保障です。意外と知られていませんが、これを「傷病手当金」といいます。仕事につけなくなってから3日間(待期)ののち、4日目以降も仕事につけなかった日数に対して、標準報酬日額の3分の2が支給されます。この間、給料が支払われていても、傷病手当金より少なければ、その差額が支払われます。最長で1年6カ月です。最近、特に問題化しているメンタル疾患。入院、手術で完治する病気とは異なり、闘病期間も人それぞれで長期化する傾向にあります。メンタル疾患になった場合、復職するめどが立たないからと、早々に離職を決意してしまう人も少なくありません。しかし、会社員の場合は、健康保険で「傷病手当金」という制度がもうけられています。仕事ができない、退職をしなければならない、収入がなくなるという不安を持つことなく、治療に専念することができます。また、万一、会社を辞めることになれば、雇用保険から失業給付を受けることができます。病気などで、すぐに求職活動ができないような場合は、延長申請すれば、求職を開始したときに「失業給付」を受けることが可能です。こうした制度は、知っているのと知らないのでは、大きな違い。勤務先の制度や自分が加入している公的な制度を把握しておくことは、会社員ならではの特典を十分に生かすために、必要なことです。(※写真画像は本文とは関係ありません)<著者プロフィール>伊藤加奈子マネーエディター&ライター。法政大学卒。1987年リクルート(現リクルートホールディングス)入社。不動産・住宅系雑誌の編集を経て、マネー誌『あるじゃん』副編集長、『あるじゃんMOOK』編集長を歴任。2003年独立後、ライフスタイル誌の創刊、マネー誌の編集アドバイザーとして活動。2013年沖縄移住を機にWEBメディアを中心にマネー記事の執筆活動をメインに行う。2級FP技能士。
2015年05月11日地域の特産品などを実質2000円の負担だけで受け取ることができると、人気を集めている「ふるさと納税」。2015年の今年から納税制度の改正が発表され、制度が若干変更になりました。今回はその変更点についてご紹介します。○そもそも「ふるさと納税」って?「納税」と呼ばれていますが、その実体は特定の自治体に寄付することで税額の控除を受けられる寄付金控除の一種。また「ふるさと」と付いていますが出身地である必要はなく、寄付先は全国約1800の都道府県、市区町村から自由に複数を選ぶことができます。2008年にスタートした当初は、米や海産物、肉類といった地元の特産品が特典のほとんどでしたが、最近では宿泊券や体験ツアーなど内容がより多彩になったことも加わり利用者が急増しています。さらに充実した内容が、マネー雑誌だけでなくテレビでも大々的に取り上げられるなど認知度は急上昇。しかし、実際に行動に移している人は1割程度といわれ、さらに確定申告を行ってオトクを享受している人はその半分程度という調査結果もあります。その理由は、やり方がわからない、確定申告が面倒という声が多数。それを受けて今年から、(1)住民税からの控除額の上限が、これまでの1割から2割に引き上げ(2015年1月1日~適用)、(2)一定の条件を満たした会社員は確定申告が不要(2015年4月1日~適用)、と制度が変更されました。○変更点(1) - 負担が2000円で済む寄付金額が、ほぼ2倍に!ふるさと納税は、寄付額のうち2000円を超える部分について、一定の上限まで所得税と個人住民税から控除されます。これが、実質2000円で特典が受けられる理由です。この一定の上限が、これまでは住民税の約1割でしたが2015年1月1日から約2割へ拡充。これによって、控除の上限額がグンとアップしました。しかし、上限額は年収や家族構成、ふるさと納税以外の控除などによって異なります。負担を2000円に抑えたい場合は、自分の控除上限額を調べておく必要があります。チェックするのは、毎年6月に届く「住民税決定額通知書」の「都道府県民税(所得割)」と「市区町村民税(所得割)」欄。この合計額の約2割が目安です。ただし、これは前年の所得に対して今年かかる税額。今年ふるさと納税をする場合は、今年の所得をもとに計算されますから、今年の所得が昨年の所得より大きく増減する場合は考慮する必要があります。計算するのが面倒という人は、総務省が目安を公表しているので(下図)、まずはこれで確認してみてください。○変更点(2) - 給与所得のみ、寄付先が5自治体までなら確定申告が不要ふるさと納税をしたことのない理由として、多くの人が挙げるのが確定申告をしなくてはいけないことがあります。これが2015年4月1日から、確定申告が不要な給与所得者で寄付先が5団体までならば「ワンストップ特例申請書」を提出することで、確定申告が不要になりました(5団体を超える自治体にふるさと納税したり、ふるさと納税の有無にかかわらず確定申告が必要な人は、これまで通り確定申告が必要)。これまで確定申告をしないためにオトクを享受しきれていなかった人や、確定申告が面倒でふるさと納税を諦めていた人には大きな朗報です。この制度変更を受けて、新たにふるさと納税を導入したり内容のリニューアルを行う自治体が増えています。この機会にぜひチェックしてみましょう。<著者プロフィール>鈴木弥生編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。
2015年04月28日