セリーヌ(CELINE)の2019年春夏ウィメンズコレクション。今季のパリは、セリーヌの話題で一色だった。エディ・スリマンがパリにカムバック。ショーの前は「セリーヌはどうなる?」、そしてショー後は「新生セリーヌをどう思った?」と。とにかくファッションシーンは終始このトピックで持ち切り。ここまで話題を作り、注目を集めるエディは“カリスマ”か。テーマは「パリの夜」デビューショーのテーマは「パリの夜」。“セリーヌが消えた。 アイ ミス フィービー。”その声が上がるのも無理はない、これまでのセリーヌとは違う。ミニドレス、ギラギラの装飾、細身のタキシード。エディのコードがランウェイを駆け巡っている。エディファンにはたまらない、デビューショーの幕開けだ。学生時代のエディの記憶がいまに繋がるしかし、蓋をあけると、好きなものはずっと好きでいる彼のピュアな心と、ファンに向けてマイスタイルを贈る思いやりの心が垣間見える。インスピレーション源は、エディの10代の記憶。パリで学生時代を過ごした彼は、クラブに通い夜を過ごしたという。当時の思い出をファッションに落とし込み、そして自分の大好きな音楽との融合を楽しむ。クラブで踊っていた女の子たちをイメージした、ダンシングドレス。ふっくらと膨んだパフィーなミニドレスに、パイソン・クロコダイルなどアニマルモチーフのワンピース。華奢な脚を引きたてるミニドレスにはメンズライクなジャケットをあわせて、女子だってスーツを着たっていいじゃないとパンツスーツも用意した。エディに欠かせない「音楽」の要素70年代ヨーロッパを中心に流行っていた、コールドウェーブという音楽のムーブメント。グラフィカルな衣装を纏って、エレクトロミュージックを奏でていたアーティストたちをヒントに、ショルダーを大きく張ったジャケットや太もも辺りに羽のようなテキスタイルを残したテーパードパンツなどを作り出した。頭にのせたのはViViハットという名の小さな帽子かヘアバンド。これもパリのクラブで見かけた、女の子たちの思い出から生まれている。繊細な手仕事が生む「ストリートtoクチュール」エディの思い出が詰まったピースは、繊細なクチュールのテクニックによって表現される。強気なアニマル模様も全てスパンコールやビーズを並べて緻密な刺繍によって生まれたもの。ビッグサイズのドレスにもジャケットにも、細かいパーツを重ねて重ねて模様を描いた。ストリートtoクチュール、エディが示したもう一つのキーワードは、彼の大切な思い出とセリーヌの職人たちの手仕事によって表現されている。
2018年10月07日ノワール ケイ ニノミヤ(noir kei ninomiya)の2019年春夏コレクションが、フランス・パリで発表された。ショーでしか体験できないこと「ファッションショーでしか体験できないことを届けたい。」デザイナーの二宮啓の願いは、ドラマティックな演出で実現される。モデルがランウェイに降りた瞬間“たんぽぽになった”。真っ白なふわふわヘアーから、一つまた一つと綿毛が舞い、ふわふわと会場を漂っている。“花と人が一つになる”夢のような物語からショーはスタートした。テーマは「フュージョン」テーマは「フュージョン」。AとBが一つになって新しいものを作る。目指したのは、相反するものを融合させるのではなく、交わるはずのない異なる性質のコンバイン。軽い素材と重量感のある素材のミックスはありきたりだから…と、シルクとPVC、合皮とオーガンジーといった不協和音のようなマッチングにトライした。小さなパーツを繋いで服を作る小さなパーツやリボン状の長いパーツを繰り返し、繰り返し、繋げて出来上がるウェア。薄いPVCが波のように重なったジャケットやコート。断層のようにレザーを重ねたライダースジャケット。小さなピースを繋ぐのは光沢のあるメタルで、マテリアルの隙間からほっこり顔を出して輝きを届ける。コーディネートはレイヤードをポイントに。ライダースジャケットの上にはベストを、スカートの上にはさらにスカートを、斬新なミックススタイルが提案される。花のようなドレスなどもありながらも、新しさを感じたのはマニッシュなスタイル。テーラードコートやブルゾン、パンツスタイルなどが登場している。
2018年10月07日ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)の2019年夏コレクションが、フランス・パリで発表された。ガルニエ宮を選ぶ意味会場は“オペラ座”でおなじみの歌劇場・ガルニエ宮。華やかなゴールドの壁面と優美な所蔵品、“宝物がたくさん詰まった”パリ人気のスポットが今季もショー会場である。ステラ・マッカートニーがこの場所にこだわっているのは、ブランドが“リアルクローズであること”を訴えかけるため。女性たちの日常になじむピースだからこそ、歴史あるこの豪華絢爛な会場とのコントラストがユニークに映るのだ。エシカルであることは当たり前これまでの中でも一番サスティナブルであったという今季。リサイクルナイロンを含め、素材、そして製法にはとことんこだわり、エシカルであることは当然だ、とファッションを通して世界に発信している。リラックスムードとリズミカルなテキスタイル男性性と女性性の融合、この根っこの部分は変わらないが、今季は尖った部分が抑えてマイルドになり、全体に流れるのはリラックスしたムード。ぽわんぽわんと歩みに合わせて揺れるフリルのミニワンピース、ふわふわと舞い踊るエアリーなドレスといった、リズミカルな動きもまた、穏やかな気持ちにさせてくれるのだ。うねり動くディテール豊かな表情を生み出す“動き”はディテールにも反映させた。ブルゾンやパンツの上には、波のようにうねるジップを配した。開閉できるこのディテールは全開にして、生地の広がりを楽しむのが気分だ。夏に着るリネンスーツマスキュリンなスーツは、暑い夏を乗り越えてほしいと願いを込めて、リネンで仕立てた。夏にぴったりなこの素材は、快適な着心地だけでなく、肌にも優しく、すっと馴染んでボディにあったショルダーラインを作り出してくれる。ラペルの横には異素材のリボンを添えて。クロスしてボタンに引っ掛ければアクセサリーとなる、遊び心のあるディテールだ。ステラお気に入りのタイダイハッピーな気分は、ステラお気に入りのタイダイで視覚的に表現。ピンクやグリーンなど、少し褪せたパステルカラーを選んで、大人の女性も気楽に着れるミニワンピースを作り出している。
2018年10月07日アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。テーマは「一生を巡る長き旅」テーマは旅。異国や見知らぬ地を訪れるトリップではなく、女性の一生を巡る長き旅路をファッションに落とし込む。この世に命授かり、幼少期を経て少女へ。大人の女性になってからの婚約、結婚というライフステージ。楽しいことばかりではないけれど、様々なドラマが待っている女性の人生を、上質なテキスタイルと緻密なクチュールのテクニックを使ってポエティックに描き出した。同じマテリアルを使って表現される、女神の姿と紳士の姿。淡いイエローやホワイトのドレスは、少しの力でほどけてしまいそうなほど繊細な生地で仕立てられた。ドラマティックに流れたラッフルは、軽やかさと同時にフェミニニティも象徴する。ミックスさせたのはハードなレザーで、柔らかくなめして仕上げた、波打つような立体ベルトでウエストにポイントをおいた。切り裂かれたディテール切り裂かれたディテール。完成されたものをカットアウトした様は、時に直面してしまう困難を詩的に表現しているようにも見える。優美なロングドレスは、切り裂かれた部分からコルセットが顔を出している。デニム仕上げのジャケットは、裂け目にジップを配して、ブランドらしい強さを感じさせるディテールへと昇華。フレアスカートには、カットアウトのラインに沿ってシルバーパーツをあしらった。中世のウエディングドレスが蘇る横にふわっと広がったプリンセスドレスは、中世のウエディングドレスをもとに仕上げたもの。中世のウエディングドレスの上に花を置き撮影。その姿をテキスタイルに落とし込みドレスに仕立てた。プリーツの間からレントゲン写真のように映し出されたドレスが見え、中世の美を纏うものに訴えかける。中世の動物たちに再び命が宿るきっと、中世のプリンスの周りには、動物たちもいただろう。古代の胴部たちは、太陽やストーンなどあらゆるものと混じり合い、職人たちの手刺繍によって命を吹き返す。真っ赤なポピーもまた、職人たちによって一筆一筆手書きで描かれ、甲冑をイメージしたレザージャケットの上で花を咲かせている。
2018年10月06日ロシャス(ROCHAS)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。フロリンダ・ボルカンをマネて…クリエーションの起点となったのは、ブラジル生まれのイタリア人女優フロリンダ・ボルカン(Florinda Bolkan)。その才能を見出され南米からイタリアへと渡り、俳優業での活躍をみせた人物だ。特に、プライベートでみせるエレガントなファッションスタイルに好奇心と興味を持ったアレッサンドロ・デラクアは、彼女の私服を着想源にデザインを進めた。野性的かつエレガントキーワードは野性的かつエレガントであること。そして、ロシャスならではのクチュール的な美学は華美な装飾をそぎ落とし、素材に徹底的にこだわることで発信する。リボンやビジューなどロシャスらしいデコレーションはかなり控えめだ。代わりに登場したのは、アニマル模様。フロリンダ・ボルカンが好んだというアニマル模様は、ロシャスの新作コート、ドレス、スカートとなり新しい命を授かる。エアリーで軽いタフタを使ったコクーン型コートや、金糸を交えたジャカードのドレスには、レオパードのモチーフを。ポニーヘアーのコートの上に贅沢にも豹の模様をプリントしたものもある。ロシャスのアーカイブからヒントを得て作ったベルベットは、毛足の寝た非常に珍しい素材。包み込まれたくなるソフトな素材には、一つひとつ手作業でフェザーを配した。ワーキングウーマンこそ現代のエレガンス新しい女性のエレガンスとして提案されたのは、ワーキングウーマンのスタイル。フロリンダ・ボルカンのような野心にあふれる姿をパンツスーツにのせて、現代風にアレンジした。さらりと羽織るのはギャバジンのコート。凛とたたずむ立体的なシルエットが魅力的だ。
2018年10月06日ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。ファーストルックは、満開の花のようなドレス。ふわっと360度広がったスカート部分は、中に白いチュチュを仕込むことでドラマティックな表情になっている。エレガントで女性らしい、しかし素材はフェミニニティとは遠い存在のデニム。裂かれ継ぎはぎされ、華やかな世界に強いインパクトを投じる。ロックの中で見つけるロマンチシズム今シーズンは、本来出会うはずのないロックとロマンティックという2つの要素が、運命的に出会い、恋に落ちるように溶け合っていく。ロマンティックを表現するのは、ウエディングドレスの技術を使って作り上げたドレスで、そこにデニム生地やワークウェア、デイウエアをミックスすることで、ロックな精神を表現する。ヴィンテージ風に仕上げたオリジナルデニムデニムは全てオリジナルで仕上げた。ヴィンテージ風にみえるものも、全てストーンウォッシュ、ケミカルウォッシュなど洗いの方法を変えて作り上げている。パッチワークした端のほつれも一つひとつ細かく作り出し、横糸だけを残して内側にレースやチェック柄のテキスタイルを差し込んだパーツなどもある。ワークウェアとドレスの出会いオーバーオールは、シルクプリントのプリーツスカートやレースのスリップドレスとドッキングされた。サイドから見ると男性的なワークウェアであるのに、逆サイドから見るとフェミニンなスタイルだ。フレアシルエットのドレスは解体され、スカートの後ろ部分をカットオフ。トップスは白T、中にはデニムパンツを仕込んで、前からみるとドレス後ろから見るとラフなスタイルと意外性のある表情をつくっている。曖昧な境目デニムワンピースとボーダーのTシャツワンピースは、両者の境目が曖昧だ。テキスタイルが前に後ろに右に左に、複雑に交差してそのシルエットを作り上げている。また、シューズは今季もバッファローボブズ(BUFFALO BOBS)とリーボック(Reebok)とコラボレーション。バッファローとのシューズは“超厚底”になっていてボリューム満点だ。
2018年10月06日ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)が10月1日、パリで2019年サマーコレクションを発表した。
2018年10月06日コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。変化し続けるコム デ ギャルソンコム デ ギャルソンは、10シーズンに渡ってランウェイで芸術作品のようなショーピースを発表し、そのエッセンスを落とし込んだコマーシャルピースを展開する、という方法を行ってきた。しかし、今季からはよりシンプルな考え方に回帰した。ポイントは「ハサミを入れること」川久保玲が「静かなコレクション」と表現する今季の特徴は、カッティング。彼女が考える上質なもの、仕立てのよいクラシックなものにハサミを入れ、新しいものを作り上げる。そこには、今までのものを捨て、新境地へ臨む意気込みのようなものが感じられる。多くはテーラードがベースとなっていて、上質な素材のジャケットやジャンプスーツが並ぶ。中には総刺繍を施した生地も。カットされた位置はピースによって異なり、ウエストを真っ二つに切ったもの、ジグザグにカッティングしたもの、サイドにスリットのように入れたものなどがある。新しい肌に直接纏う隙間からのぞいているのは、タトゥのようなボディスーツ。ブランドのロゴや数字、ローズなどが薄手の素材に描かれている。まるで新しい肌に服を直接纏っているようだ。トレンチコートのアシンメトリーに長くなった身頃は、ロール状にまとめたり、蛇腹に畳んだりして、ベルトで留めるなど、様々な“纏い方”をアレンジできる。ハサミを入れた、ナイキコラボシューズシューズは、ナイキ(NIKE)とのコラボレーションによるもの。NIKE SHOXの凹凸ヒールにチェーンを通して、ブランドロゴのゴールドチェーンをあしらった。ナイキのロゴマーク周りやタンの部分が切りっぱなしになっている点からも、ハサミのエッセンスが感じられた。
2018年10月06日アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)が、2019春夏年ウィメンズコレクションショーを10月1日パリで開催した。
2018年10月06日ビューティフルピープル(beautiful people)の2019年春夏コレクションが、フランス・パリで2018年10月2日(火)に発表された。テーマは「サイド C」。ワイン染め、自然由来のマテリアル“タタン、タタン、タタン…”リズミカルな音とともに幕を開けた、今季のランウェイショー。足早なスピード感のある音色が響くが、装いはナチュラルで優しい印象。オーガニックにこだわったというマテリアルには、ホワイトやサンド、淡いブルーやピンクなど柔らかな色を染めて。染色はワインで行い、塩を縮ませた自然由来の素材。そのナチュラルな風合いをいかしたワンピースが並んでいる。違和感のあるディテール目を凝らしてみると、どのピースも少し違和感がある。解体と再構築を繰り返して作られているため、ワンピースでありながらジャケットやフーディコート、ブラウスのようにも見え、そして一部分が切れていたり、脇下や腰のラインにスリットが入っていたり、リボンが長くのびていたり…“無意味な”ディテールがあるように見える。ランウェイ中に始まる着付けショーこの謎は、全ルックの公開後に解決される。ランウェイに出たピースが4体再登場すると、グレーの羽織りを纏った職人たちが。モデルの前に立つと、ジップを開閉したり、布を織り込んだり、巻き付けたりして、まるで全く違うピースへと変幻させる。そう、今シーズンの新作は自由自在に変幻するワードローブなのだ。「サイド C」というテーマには、AからCへ、CからBへ…と変換する終わらない可能性の意味を込めたもの。布を内から外へ、前から後ろへ、その反対も…とパズルのように組み合わせていけば、想像以上の新シルエットがそこには出来上がる。自由自在に変幻する新しいワードローブ巻き付けていたマテリアルに腕を通すとコートに変幻するドレス。トレンチコートは、腕を通さず腰巻きすることで、反対にドレスへと変化。いくつものステップを踏むことで、何通りもの着こなしができる洋服には、“前に進み新しいものを生み出したい”という強い想いが込められている。
2018年10月06日© Louis Vuitton Malletierアーティスティック・ディレクターのニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquière)によるルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)が、2019年春夏ウィメンズコレクションショーをパリのルーヴル美術館中庭の特設会場で開催した。© Louis Vuitton Malletier今シーズンは特にテーマを設定していないが、フューチャリスティックで造形的なフォルムのアイテムで構成。またロボットや地形図のようなものから、グラフィカルなペインティング風、あるいは最後のバラのシリーズまで、様々なモチーフを駆使している。オーバーサイズのプリントブルゾンは太い芯を入れたスリーブが特徴的で、身頃全体にクリアスパンコールを刺繡。異なるプリントをはめ込んだTシャツには、中心線にジップを配したトロンプルイユ的なジャケットをコーディネート。よく見ると「LV」の文字が描かれているレッドやターコイズ、イエローなどのペインティング風アイテムは、その色合いからすると非常に80年代的だが、ドロップショルダー&オーバーサイズで、コンテンポラリーなスタイルに仕上げられている。スリーブに太い芯を入れたスパンコール刺繡のドレスは、今シーズンのキールックともいえるアイテム。シリコン製のハーフコートやダメージ部分にスパンコールとバゲットビーズを刺繡したニット、ジャカードにローズモチーフをプリントし、更に箔プリントを施したファブリックのシリーズなど、今までになくバリエーション豊か。しかし、フューチャリスティックなフォルムを貫くことで、一つの強いメッセージを感じ取ることのできる内容となっていた。
2018年10月05日サカイ(sacai)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2018年10月1日(月)に発表された。サカイの“ハイブリッド”デザイン今シーズンもサカイの“ハイブリッド”デザインは続く。テーラードジャケットとトレンチコート、デニムジャケットなど、全く異なる歴史とデザイン特性を持ったものたちが、一つのガーメンツに落とし込まれ、新しい洋服として生まれ変わる。ドッキングの方法は、右半分がAで左半分がBといった方法ではなく、大胆でアグレッシブだ。左のアームはエポレットを残したトレンチコートそのもの、横にはガンパッチが残っている。しかし身頃全体はダブルのジャケットになっていて、右のアームはクラシックなスーツスタイル。首元は両者が共存し、襟高なトレンチコートの要素も、ラペル付きのシックなスーツの要素も残っている。ホワイトシャツはより細かく解体され、襟元、胸元、袖口などのディテールだけを残し、シースルートップスと融合させた。反対の袖は肉厚なニットが支配し、新しいファッションピースのような大きな存在感を放っている。装飾をプラスしてより複雑にクラシック、ミリタリー、スポーツ、ドレス。コットン、レース、デニム、オーガンザ。テイストも素材も無秩序に入り乱れたスタイルには、グログランテープやドローコード、ハトメ、レースのパッチなどでデコレーションを加え、さらに複雑で難解なものへと昇華させる。流れるようなアシンメトリーなシルエットシルエットは、どちらか片方に傾きアシンメトリー。特に、プリーツスカートやシースルードレスが横に流れるように伸ばされ、軽やかに仕上がっている。発色のよいイエローや、オレンジ・パープル・ターコイズなどパンチの効いた色彩のミックスなど、色使いも新しくフレッシュに映る。
2018年10月05日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)は、2019年春夏ウィメンズコレクションを、日本時間の2018年10月3日(水)早朝3:00より、フランス・パリのルーヴル美術館で発表する。ファッションプレスでは、その模様をライブ配信。先シーズンは、フランスの伝統とフューチャリスティックな要素を融合させたコレクションを展開。例えば、チェックや千鳥格子模様の生地、ゴールドベルトのデコレーションなどで、コンサバティブに仕上げたスカートと、スポーティーなトップスを組み合わせたり、マルチカラーに彩ったコルセットを洋服の上から重ねたりと、シンプルなフレンチシックを、多彩なアプローチで近未来的にアップデートした。最新コレクションはどのように展開されていくのか、リアルタイムでぜひチェックしてみて。【詳細】ルイ・ヴィトン 2019年春夏コレクション ライブ配信日本時間:2018年10月3日(水)3:00~現地時間:2018年10月2日(火)20:00~
2018年10月05日アニエスベー(agnès b.)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2018年10月1日(月)に発表された。音楽はクリエーションの起点ブランドに欠かせないミュージック、今季はシンガーソングライターのJainを招き、ライブパフォーマンスから披露。彼女の伸びやかな歌声とともに登場したの3つのコラボレーションピースで、鳥をモチーフにしたデザイン。秋晴れのパリの空にあうバードモチーフをパーカーやTシャツなどにプリントした。いまを切り取るプリントシリーズこのフレッシュなムードは新作にも起用。テイストは様々だが、どれも若々しい印象だ。パリの街角シリーズなど、印象的な要素を捉えてきたプリントシリーズは、インスタグラム“大流行”のいまに即したスクエア型のフォトグラフィーをプリントで表現。インスタグラムのように規則的にならべたモチーフは、ドレスやボタンカーディガンなどアイコニックなピースに落とし込んだ。フレッシュなパリジェンヌショートパンツ、パーカー、キャップ、ベアドレス。ティーンエイジャーの夏の思い出に刻まれそうなポップなピースが印象的だ。しかし、どれもデザインはフレンチシックでシンプル。キャップにパンプスのタッグ、ネオンカラーなのに上質な素材。無駄な装飾はそぎ落とし、カラーと素材、そしてコンビネーションを楽しんでいる。ほんのり香る和シックなドレス&セットアップシリーズは、春夏仕様にアップデート。セットアップはすべてリネンに素材を変えて涼しげに。前後でカット位置を変えて、燕尾服のように後ろを長くのばしたジャケットも登場した。ドレスは和のエッセンスを感じさせる扇子柄テキスタイルや浴衣風スタイルを取り入れて。モチーフや素材がカジュアルでありながらも、シルエットはパリジェンヌに沿うエレガントな佇まいとなっている。
2018年10月05日バレンシアガ(BALENCIAGA)の2019年夏コレクションが、フランス・パリで発表された。記憶に残るファッションショーとは?「ファッションショーは、記憶に残るものでなければならない。」アーティスティックディレクターのデムナ・ヴァザリアがこの考えのもと進めたショーは、ビジュアル・アーティストのジョン・ラフマンとのコラボレーションによるもの。天井から壁、床まで会場全体を包み込むように映像作品を流し、音楽とともに時の移ろいに合わせて変化させた。クチュールをいまに落とし込むということそして、デムナがもう一つ掲げた目標は、クチュールを着心地のよいものにすること。ストリートテイストを取り込むことで“洋服が売れている”バレンシアガにとっては、チャレンジングな試みともいえる。いまを愛するデムナは同時にメゾンの歴史も愛し、メゾンにとってアイデンティティでもあるクチュールをモダンに昇華させたのだ。いま着てほしい「新シェイプ」“現代の人はどうしたらセットアップを着てくれる?”この問いには、新シェイプと名付けられた新しいシルエットを取り入れることで決着をつけた。特徴的な肩周りはスクエア型になっていてボリューミー。スカートは前に流れるような立体的なシルエットになっていて、サイドから覗くと凹凸の激しいユニークなフォルムとなっている。ジャケットを羽織らずとも着れるシャツとのコンセプトから、肩パットをのぞいたビックサイズのシャツが登場している。歴史に紐づくいまのデザインクチュールといえば…のドレスは、布地と身体との空間そしてショルダー、クリストバル・バレンシアガが大切にしていた2つのポイントを頼りに思考を進めた。ストラップドレスは、肩のストラップだけで全身を支えている面白いデザインで、ドレス地とボディの間をふわりと風が通り抜け、歩みにあわせてゆらゆら、ふわふわとテキスタイルが揺れ動く。フィナーレに登場したドレスは、その昔1枚布で作成したサリードレスに着想したもの。バレンシアガの名前、そしてパリのメゾンであることを主張するように、ロゴとPARISの文字を何度も何度も重ねるように並べている。未来へ向けたボディフィット3Dモーリングは今季も健在。ネオプレンのドレスは、まるで人間の型をとったように立体的で、胸元は膨らみ腕周りは細く、ボディにぴったりフィットするようになっている。ゴールドチェーンをプリントしたドレスは、チャイナ服風のアジアンテイストな仕上がり。手の位置にはジップ付きのポケットもついていて、纏う人のことを考えた機能性にも富んでいる。
2018年10月05日カラー(kolor)の2019年春夏ウィメンズコレクション。東京都内のキャバレーで撮影されたルック、ライブミュージックが演奏されるスペース、アイコニックな人形たち、煌びやかな装飾。無秩序でしかし文化的要素を感じる“THE・昭和”な雰囲気。この空間は、今季のカラーを視覚的にエモーショナルに映し出し、装いを魅力的に魅せている。アーティスティックな即興性&緻密な計算による仕上がりシーズンキーワードは、手持ちの道具でリメイクしたような即興性。シンプルなコンセプトであるが、予想外な組み合わせや意外性のある仕上がりを生む“ワクワクと心躍らせる”ユニークな試みだ。「おでかけの前にちょっとリメイクしよう…」そんな楽し気な気持ちでスタートしているように見えて、仕上がりは緻密な計算がされた美しいもの。ラバーテープ止めでマイサイズにジャケットやスカートは“親のを借りてきちゃった”という微笑ましいエピソードが浮かびそうなほど、ビッグシルエットのものがベース。それを腰のラインに合わせてサイドを絞り、しっくりとくる形に整うまで調整を繰り返す。その作業を表現したラバーバンド。パパっとテープでとめたような仮のスタイルであるが、袖を通すと計算された形であることに気づかされる。パッチワークで作るアシメトリープリーツスカートは、腰の辺りで一部分をカットアウトしたようなアシンメトリーな仕上がり。中のアンダーウェアが見えないように、手持ちの布を張り合わせたようなパッチワークのデザインもポイントだ。左右で比較するとスカートの長さが異なり、ユニークな形状となっている。コラージュアートを洋服でカーディガンの襟元、袖口には大切なものを隠して。レース素材になった端っこには、スパンコールやレース、布の切れ端など“お気に入り”のものを寄せあつめたようなコラージュ仕様になっている。中には、ドローコードも入れ込んで、旬なスポーツミックスをほんのりと香らせている。
2018年10月05日アー・ペー・セー(A.P.C.)の2019年春夏ウィメンズコレクションは、メンズと合同でランウェイショー形式で発表。パリ市内のアトリエを飛び出し、駐車場スペースでのショーだった。テーマは「We must imagine ourselves HAPPY」。未来へ向けて新しい舵を切るブランドの30周年を皮切りに新しい動きを見せるブランド。今季は次なる30年、そしてもっと先の未来へ向けて新しい舵を切ったかのようなサプライズに溢れたショーだった。アー・ペー・セーといえば、ベーシック、クリーン、フレンチシック、上品、こういった言葉が似合う。しかし、今季はこの“合言葉”の世界観を保ちながらも、斬新で新しく、意外性のある要素がふんだんに溢れている。意外性のある配色&ワントーンコーデ一つに色。パキっとイエロー、フェミニンなピンク、情熱的な赤。差し色や柄の一部でなく、これらのパレットがメインカラーとして、ニットやコート、スカートを彩っているのだ。発色のよいカラーはバッグやストールの小物までワントーンでコーディネートして、全体の雰囲気をまとめ・整えることで“新参者”のカラーをブランドの世界観へと引き込んでいる。フレッシュにセットアップを着こなす装いはフレッシュに。メンズ同様セットアップスタイルが多様され、ショートパンツ&ジャケットのコンビネーションが多かった。若々しいイメージの2ピースには、レオパード柄やカモフラ柄など、インパクト大な模様をのせる。足元はポインテッドトゥのパンプスで、大人っぽさとエレガンスを忘れないで。バッグの持ち方自由自在新作バッグは巾着タイプ。鮮やかな色彩と柔らかなフォルムだけでなく、コーディネートの仕方もこれまでと一味違う。バッグをスマートに手に持ったり、肩にかけるだけでなく、くしゃっと丸めてクラッチのように持ったり、ベルトにかませてウエストポーチ風にしたり…取り入れ方もブランドの新境地がみえる方法である。
2018年10月05日パコ ラバンヌ(paco rabanne)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。メタルの隙間から覗く柄×柄のコンビネーション柄オン柄のレイヤード祭り―自由な発想で色柄が組み合わされる、今シーズンのパコ ラバンヌ。アイコンの“鎧”を作る金属素材は、中の色柄を透かせてみせるガラスのような役割を担っている。幾何学模様に花柄などを重ねたトップスに、メタル素材のロングスカートとドット柄のパンツをマッチ。小さなパーツの隙間からまん丸としたモチーフが顔をのぞかせている。“鎧”ドレスをモダンに昇華させて、シースルーのレースドレスへ転身させたものも。花模様のブラックレースドレスの中には、真っ赤なチェック柄パンツを仕込んで、パターンの重なりを楽しんでいる。遊びをきかせたバックスタイルシルエットはタイトフィットが主流で、バックスタイルに遊びをきかせた。背中を大きくえぐるようにカットアウトしたり、マントのように贅沢に生地を使ったり。また、前から見えるとドレスだが、後ろからのぞくとエプロンのような形になっているものもある。ゴールドアクセを重ね付けアクセサリーデザインをしていた創業者のパコ・ラバンヌへのオマージュからか、新作のアクセサリーが豊富。ゴールドのコインペンダントを重ねづけしたり、3連のベルトに進化させてスカートとのコーディネートを楽しんでいる。
2018年10月04日クレージュ(courrèges)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで発表された。パリ市内のブティックで“接近型”の体感ショー新アーティスティック ディレクターにヨランダ・ツォーベル(Yolanda Zobel)によるショーは、パリ市内にあるブティックで開催。招待客・取材者とモデルとの距離は、数センチという“接近”型のランウェイで、ゲリラショーのような躍動感があった。モデルたちもキャットウォークだけでなく、ダンスをしたり、目を閉じて立ち止まったり、クールなポージングをみせたり…様々なスタイルで自分を表現する。ファッションだけでなく、会場全体にフレッシュな空気が流れていたのが印象的だ。シースルー素材のタイトフィットインナーが新アイコン!?ブランドを象徴するクレージュロゴは、ジャケットやコートの胸元やバッグ中央に配されアイコニックに輝く。かつてクレージュから登場し、一世を風靡したボディータイツを想起させる、シースルー素材のタイトフィットインナーも特徴的だ。シースルー素材の上にホワイトのブランドロゴや、シルバーのフラワーモチーフがランダムにのり、タトゥのように肌に溶け込んでいる。機能性を重視装いはアクティブで機能的。ワイドパンツはサイドにスナップボタンがあしらわれていて、開閉加減でフレアなシルエットも楽しむことができる。アイコニックなミニスカートはショートパンツに代わり、ルーズシルエットなロングブーツと合わせるのが気分だ。ジャケットやコート類には、ドローコードが設けられていて、マイサイズに合わせて調整できる機能が設けられている。
2018年10月04日ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)によるヴァレンティノ(VALENTINO)が、パリで2019年春夏ウィメンズコレクションショーを開催した。
2018年10月04日トム ブラウン(THOM BROWNE)の2019年春夏ウィメンズコレクションが、フランス・パリで2018年9月30日(日)に発表された。テニスコートがプールサイドに早変わり。秋晴れのパリで行われたショーは、天井の抜けた開放的なテニス場が、カラフルなヤシの木が咲くプールサイドに姿を変え、一足早く暖かな季節の訪れを告げる。プールサイドパーティ!?ショーの始まりは、ブランドらしいドラマティックな演出から。三角帽子を被り、サンタクロースのような髭をたくわえた男性が現れ、会場隅にある三角屋根の家の扉を開ける。まるでプレゼントを配るサンタクロースのように、持っていた満開の花をプレゼントする人も…。と同時に、4人のマスク姿の人物が飛び出しプールの両端に設けられた観察員の指定位置へ。ビックサイズの笛を下げた彼女たちが席に座ると“ピーーーーーーッ”と笛の音色が聞こえ、今季のドラマティックなショーがスタートする。プールサイドに訪れた現代のマーメイド?始まりは人魚のような4人の登場から。胸に貝殻のマークを当てたマーメイドスカートの人、イカリマークの全身タイツにビキニ、上にラメドレスや立体的なヒトデ柄のドレスを纏ったもの。彼女たちは人魚のように優雅な動きで、ランウェイ中央をゆったりと散歩している。海の生き物たちの社交場マーメイドラグーンを囲むようにして構えた四角いランウェイ。その上に登場するのは、海に纏わるピースに身を包んだ海の女たちだ。ブランド得意なテーラードに、クジラやヒトデ、ザリガニ、などを落とし込む。特にはジャカードで、時には立体的なボアや刺繍で様々な形で海の生き物たちを生き生きと表現し、ジャケットやパンツなどにのせた。中には、シュリンプの形そのものをドレスとグローブにしたルックも。“いま”を感じるクラフト感たっぷりのデザインまた、新作ウェアは作りたてのような儚い仕上がりが特徴。大好きな布地と布地をくっつけたかのような即興性があり、見る角度によってレングス、色味、柄などが異なるドラマティックな要素が詰め込まれている。左側はラフィアなのに右側がファー、前後左右で全く違う丈感のスカート、本来は稼働が効くはずのアームをアイコン・ストライプの糸でがちがちにとめたトップスなど。ブランドタグとバックスタイルに施されるストライプタグをパッチワークして、パールの立体刺繍を施したジャケットもあった。フルーツのようにジューシーにキュートなレザーグッズには、バナナ型のバッグが仲間入り。プールパーティのように楽し気な雰囲気に包まれた今季は、ポップな色彩で彩られたバナナ型バッグなど、フルーツモチーフが揃った。バナナ、チェリー、スイカなどのモチーフは洋服にも落とし込まれ、シースルージャケットや鮮やかカラーのドレスに転身している。
2018年10月04日マリメッコ(marimekko)の2019年春夏コレクションが、フランス・パリ装飾美術館で2018年9月30日(日)に発表された。パリ装飾美術館でのプレゼンテーション今シーズン象徴的に使用された、市松模様のパターン。パリ装飾美術館のフロア(床)がこのパターンと同じ模様であることから、歴史ある建造物での開催が決まった。階段をのぼると2階には、市松模様のフロアとマリメッコを象徴するウニッコの壁紙が広がり、アーティスティックな空間が広がってきた。アーカイブのプリントにフォーカスブランドの原点を見つめ直すことにフォーカスを当てたという今季、アーカイブのプリントを積極的に起用した。ウニッコはネイビー×ホワイトなどシックな色味でセレクトされ、ボタニカルモチーフのプリントは、ホワイトの下地にピンクやイエローなど、元気いっぱいの色彩をのせている。モダンフラワー柄の新プリント新作プリントは「Vikuri」。モダンなフラワーを描いたこのパターンには、自由・チャンスをつかむといった意味が込められている。モチーフは縮小版~拡大サイズまであり、大振りなモチーフはロングスカートに、小ぶりなモチーフはシャツに仕立てられている。象徴的な市松模様は、クールなその佇まいを保ちながらも、ギャザーを寄せたロングドレスなど女性らしいアイテムに姿を変えている。贅沢な生地使い、ロングシルエットテキスタイルブランドならではの感性で、贅沢に生地使って仕上げたガーメント。足首までを包み込むロングドレスには、ふわっと丸みのある袖を合わせて。ジャンプスーツやロングスカートなど、チャンキーヒールのパンプスが似合う、縦長なシルエットが繰り返し登場している。
2018年10月04日メゾン マルジェラ(Maison Margiela)の2019年春夏「デフィレ」コレクションが、フランス・パリで発表された。6月にメンズ初のオートクチュールとなる「アーティザナル」コレクションを展開したブランドは、今季メンズ・ウィメンズの新作を合同で紹介。しかし、いわゆる合同ショーとは一線を画した性差を全く感じさせない「フリュイド」というコンセプトのもとに行われている。カテゴライズを辞めることで到達する新しい思想ジョン・ガリアーノが目指したのは、男性・女性あるいはLGBTなど、ジェンダーをカテゴライズする考えから解き放たれた新しい思考。 そもそもカテゴライズする必要が本当にあるのか…と問いを進めた彼は、新しい時代のマニュフェストを投じる。一番大切なことは、互いに認め合い尊重しあうことではないのか?と問題定義をした彼は「想像力」の大切さを訴えかける。表と裏を逆にした「インサイドアウト」手法をアイコニックに取り入れ、繰り返し洋服作りを行ってきたブランドからすると、表と裏という区別そのものを拭いさるような、斬新なアイデアである。ジェンダーの区切りとは?ランウェイには男性・女性のモデルが登場するが、従来の考えとは全く逆転させ、メンズモデルが女性性の強いものを、ウィメンズモデルが男性性の強いものを着用することで「フリュイド」の考えをより際立たせた。これは男性服?女性服?という問いから観客が放たれ、洋服そのものに着目するように仕向けたのだ。紳士服として誕生した、いわゆる男性性の強いテーラードジャケットは、ケープシルエットに変化させることでそのアイデンティティを捨て去る。プリーツドレスは、メンズモデルが着用することでケープにも、新しいシャツにも解釈することができ、フェミニニティと距離を置いた、全く新しい洋服として新しい命を宿している。「想像力」を搔き立てられるアイデア洋服そのものにも「想像力」を搔き立てられるアイデアが満載だ。シェイプはスカートの形をしているが、襟がついていたり視覚的にはジャケットにも捉えることのできるピース。後ろにはボックスプリーツが施されていて、ますますトップスなのかボトムスなのかその境目を曖昧にする。テーラードのコートは、アウターとしての主張を強めるベルトをベルクロに変更することで、ドレスのようにもみえる新しい表情を引き出した。ジャケットにはスリットを配すことで、着こなしによってはノースリーブトップスにも変化。また、トレンチコートはアームの後ろのスリットから、中に来たインナーを外に出すことができるようになっていて、アウター・インナーの関係性に新しい形を作り出した。ジョン・ガリアーノが就任以来、女性の美しさを象徴する言葉として使用してきた「グラマー」のアイデアは、今季ノマディック グラマーへと進化。その考えを象徴するピースはダウン風スカーフだ。ダウンジャケットの身頃を大胆にカットアウトしてそのまま首に巻き付け、ストールへと変身させた。枠にとらわれず、現実と非現実の狭間、そんな視覚的にとらえることの難しいものをファッションに落としこんだピースであるという。
2018年10月04日パリのパレ・ド・トーキョー(Palais de Tokyo)で2019年春夏ウィメンズコレクションショーを開催したドリス ヴァン ノッテン(Dries Van Noten)。先頃、スペインのラグジュアリーグループであるプーチによる買収が話題となったが、クリエーションについての姿勢に一切の変化はなく、このブランドらしいエレガンスと美しさをもって、最後まで観る者を魅了し続けた。テーマは「ワークウエアとオートクチュール」。この整合し得ないと感じられる2つの要素を、絶妙なバランス感覚でミックスし、シンプルかつオーソドックスなアイテムを新鮮なものに仕上げている。つなぎやクライミングロープといったスポーティーなディテールを配したブルゾンやコートには、羽をイメージしたビニールパーツを刺繍したドレスをコーディネート。20年代風の肩パッドのトップスには、ビーズのロングフリンジを刺繍し、カジュアルなクチュールを提案。ディアゴナルストライプにフローラルプリントのオーガンザを重ねるなど、ミスマッチが新しい美しさを見せるというアイテムも多く、このブランドのマジックを感じさせた。アースカラーとヴィヴィッドカラー、マットな素材と光る素材、グラフィカルなモチーフと具象的なモチーフ。あらゆるコントラストを描きながら様々な要素を織り込んではいるが、ワークウエアとオートクチュールの融合をいとも簡単に実現させ、一つの揺るぎない世界観を見せていた。
2018年10月03日ビューティフルピープル(beautiful people)が10月2日、パリで2019年春夏コレクションショーを開催した。
2018年10月03日ハイダー アッカーマン(HAIDER ACKERMANN)の2019年春夏コレクションが、フランス・パリで2018年9月29日(土)に発表された。メンズ・ウィメンズ同時に発表メンズ・ウィメンズの合同ショーとなった今シーズンは、同時に複数のモデルが入り乱れる形で展開。メンズ・ウィメンズで同じデザインや柄を取り入れるなど、ジェンダーを越えて新しいスタイルを提案している。ハイダー アッカーマンらしいジャケットとパンツのコンビ。本来はマニッシュで力強い印象を放つスタイルであるが、今季はレースのような透かし模様で女性らしさをプラスしている。シンメトリーなモチーフをラペルの横から首を通って、反対のラペルまでぐるっと囲むように並列に並べた。また、シックなテーラードジャケットにはアレンジをプラス。片方のラペルだけをカットして、まるでタイのようにだらりと下げた。逆サイドのベルトループに通してアクセントをきかせたコーディネートも提案。真っ白なランウェイに映える、華やかな色柄ジャケットまたはコートに、シャツ、パンツ、そして足元はツンと上を向いた先のとがったブーツ。これが今季のユニフォームであるが、華やかな色柄が一つひとつに個性を灯している。太陽のようにも花のようにも見える放射線状にのびたモチーフ。グリーンの下地にゴールドで絵柄を施したジャカード地は、床かた壁まですべて真っ白に仕上げたランウェイによく映えた。また、目の覚めるようなイエロー、深みのあるグリーンといったパレットも、明るく前向きな印象を与えている。
2018年10月03日ケモノ(Kemono)が2019年春夏コレクションを、渋谷・西武百貨店にて発表した。ジャバニズム×アバンギャルドなスタイルを組み合わせて「アジア、日本伝統のあるものと現在、未来無重力をかけあわせたもの。」を、コンセプトに掲げるケモノは、2015年に日本で誕生したファッションブランド。日本の要素を取り入れたアバンギャルドなスタイルを得意とし、近年では海外コレクションでの発表も積極的に行っている。コレクションテーマは、「透藍生」そんなケモノが今季テーマとして掲げたのは「透藍生」。デザイナーのI.P.Uが注目したのは、生命の起源である藍色の海。本来なら透明にも関らず、人の目からは“藍色”に見えるその神秘に魅了され、“透明”な状態として生まれた人間が、人生を通して色付いていくというストーリーを思い描いた。コレクションの中では、カラーやディテールを通して、そのアイディアを表現していく。ファーストルックは“トランスペアレント”ショーの始まりを飾ったのは、頭からすっぽりと被ったトランスペアレントのジャケット。その下に合わせたのは純白のシャツワンピースで、その姿は生まれたばかりのようなピュアな印象を与えてくれる。時が経つごとに、そのカラーは変化していって、ブラックやグレンチェックが掛け合わされ、洋服に多彩な表情を生みだしていく。ゆらりと揺れる海面をイメージしたテープ随所に見られたのは、ピースに施された特徴的なテープ。海面が揺れ動く様子からインスピレーションを得たというこのディテールは、ジャケットの身頃全体に施されていたり、裾を中心に縦横無尽に張り巡らされていたりする。モデルが歩く度にひらりひらりと舞うテープは、風に揺らめく波を彷彿させる心地よい余韻を残していく。ガーリーなフリルで遊び心溢れるシルエットをまたテープに代わって登場したフリルは、ピースの上でアシンメトリーにあしらわれていて、日々変わりゆく波のように、ユニークなシルエットを描いていく。ブラックドレスに幾重にも重ねたフリルの上には、同じくフリルを配したグレーのジャケットを重ねて、ボリューミーに。またドレスに3段あしらったフリルには、ネイビー・グレー・ブラックと3色の配色を施すことによって、その立体的なシルエットをより強調。躍動感溢れるフレッシュな印象に仕上げた。足元には、スケルトンの下駄を忍ばせてブランドのコンセプトを可視化したものとして、最も顕著だったのがスケルトンの下駄だろう。本来日本の伝統的なイメージの強いフットフェアは、その色を完全に消滅させることで、近未来的な仕上がりに。無色ながらも、ピースの中でひと際存在感を放っていた。
2018年10月02日マメ(Mame Kurogouchi)が再びフランス・パリへ。2019年春夏ウィメンズコレクションが、キャットウォークを組み込んだプレゼンテーション形式で2018年9月28日(金)に発表された。色の交わりを楽しむ上品なすみれ色からの始まり。時が経つほどに黄金色や藍色、白色などが混じり合い、美しい色彩のコンビネーションが生まれる。色の重なりや交わりを楽しむように、素材は肌を透かすほど薄いシースルーが積極的に用いらている。マメのファンをつかんでやまないワンピースは、今季シルエットがゆったりめだ。丸いくるみボタンや曲線的なラインはそのままに、深いスリットを施すことで、軽やかな素材がふわりと舞うように動き、また新しい色の重なりを見せてくれる。和を洋に落とし込むと…随所に香るのは、和を感じさせるエッセンス。着物のように帯ベルトを巻いたガウンコートや袴のような立体感のあるボトムス。ドレスのウエストには、ストール風の素材で仕上げた帯状ベルトが巻かれている。ニットベストのインナーには半襟のようなレーストップスが仕込まれ、端には繊細な刺繍が施されている。足元には下駄風のサンダル。鼻緒の位置が少しずれたアシンメトリーなシルエットは、デザイナー黒河内真衣子の遊び心を感じさせる。巾着風のバッグはぺしゃんとつぶして、洋風バッグ風に仕上げ、2つ同時に持つ重ね持ちでモダンなコーディネートを提案した。
2018年10月02日シクラス(CYCLAS)はミニショー形式で、2019年春夏ウィメンズコレクションをフランス・パリで発表。2018年9月27日(木)に開催された。テーマは「WOMAN - Abstraktes Bild」。男性性と女性性をミックスさせたシルエット、ソフトな素材とタフな素材の融合。得意のアプローチでデザインされた洋服は、従来のイメージを脱し抽象化され、モダンなフェミニニティへと昇華している。いずれのピースも日本人デザイナーならではの繊細なハンドクラフトと縫製の技術が光っている。テーラードから男性性を抜き取ると…象徴的なのは、マスキュリンなイメージの強いテーラードのアレンジ。脇の下からをカットアウトして、バンドのような帯状布で繋ぎあわせベストに仕立てた。紳士服をベースとしているようなビックサイズながら、サイドを開くことでふわりと広がるフェミニンな動きをピースにもたらしている。ボトムスもフレアなパンツを選び、トップス同様に風になびくアレンジを加えた。トレンチコートをふんわりシルエットにかっちりとした印象のトレンチコートは、その正統派なルックスからは距離を置き、柔らかさを求めた。特徴的なのはアームのアレンジで、量感をたっぷりと取りそこにギャザーを施すことでふんわりとしたシルエットを作り出している。ワークウェアを可愛くアレンジWポケットのワークアウターも、同様にギャザーを入れて。バッグスタイルに丸みを持たせることで、メンズライクなものを女性らしく上げている。日本人ならではの繊細な手仕事ドレス類は繊細な手法を使ってデザイン。ストライプのハーフスリーブドレスは、ウエストの辺りだけ配色をチェンジ。つなぎ目・色の変化がわからないほど細やかなテクニックで作り出したピースは、腰回りをシャープに見せてくれ女性に嬉しい仕掛けだ。
2018年10月01日スーアンダーカバー(SueUNDERCOVER)の2019年春夏コレクションが発表された。テーマは「Exquisite (Ab)Normality」。究極のノーマルと相反するアブノーマルの共存を目指す。究極のノーマル+アブノーマル究極のノーマル―言葉そのもののインパクトは大きいが、ブランドが打ち出すノーマルとは、いわゆる日常に溶け込みやすいデイウェアであること。オフィスに着ていけるジャケット、休日に羽織りたいボンバージャケット、デートにあわせるのはフェミニンなドレス、リラックスタイムに纏いたいスウェットトップス。月曜~日曜までの1週間の生活シーンに寄り添う服作りを目指したのだ。インサイドアウトで、見えないものを見せるプレーンでシンプル、その中に溶け込ませたアブノーマルの要素。象徴的なのは、本来は見えていないはずのものをみせるインサイドアウトの手法だ。パイピングや縫い目、本来は洋服の内側のものが表に出ている。ジャケットのポケットは、パイピングが露わになることでその存在感を増し、トップスやパンツの縫い目はサイドラインのアクセントのように変化する。ブランドロゴ入りオリジナル柄こだわったのはオリジナルのテキスタイル作り。特に、バンダナ模様は特別だ。シックなネイビーの下地の上で動き回る白色のモチーフ。エスニックなパターンの中には、さりげなくブランドロゴを添えた。アグレッシブな配色ベーシックウェアでありながら、配色は遊び心満載にセレクトして。発色の良いレッド、イエロー、ピンク、ブルー。差し色として取り入れるのもよいが、複数のカラーをミックスしても品よく決まる。
2018年10月01日