●初めてのお小遣いでCDを買った世代からすれば、夢のよう今回は、再びApple Musicの話だ。Appleは2015年6月30日にApple Musicを開始した。Beatsを買収してから1年で、iTunesに変わる新しい音楽サービスとしてリメイクし、立ち上げにこぎ着けた。Apple Musicでは、他のストリーミングサービスと同様、膨大な数の音楽に自由にアクセスすることができる。しかしAppleの独自性は、「ハンドクラフト」だ。24時間生放送のラジオステーション「Beats 1」や、エディターと呼ばれるAppleのスタッフが世界中で大量に作り続けるプレイリストのライブラリ、そしてアーティスト自身が投稿してファンとつながるConnectの機能など、人の手が介在した音楽の楽しみ方の提供にこだわっている。Apple Musicとよく比較されるのは、ストリーミング音楽サービスの認知度を向上させてきた存在であるSpotifyだ。登録ユーザー7,000万人、有料ユーザー2,000万人といわれる同サービスに、どれだけ迫れるかが、Appleの新サービスの成否を分ける指標にもなっていた。Appleの役員が披露した最新の数字では、有料会員数は1,100万人に上り、前述のSpotifyの有料会員数の半数を上回るようになった。iOSの「ミュージック」アプリと統合されている点で、非常に大きなアドバンテージがあるが、Appleとしては、世界の85%のスマートフォンのシェアを占めるAndroidユーザーを取り込むことで、さらに会員数を伸ばすことを狙う。ところで、皆さんは音楽をどのように聴いているだろうか。筆者は2001年にiPodを使い始めて以来、iTunesに音楽を蓄積してきた。CDからリッピングして音楽を貯めてきたが、だんだんiTunes Storeで音楽を買うようになり、現在それらの音楽は丸ごと、iCloudミュージックライブラリとしてサーバにアップロードしている。お気に入りの曲の再生カウントは3桁を超えるものもあるが、そうした楽曲に付随するメタデータも含めて、なんとか15年間ファイルをキープしながら聴いている。当然だが、物理メディアではないので、再生を繰り返しても、データの劣化などは理論上ない。逆に、少し音に深みが出てくる、といったアナログチックな変化があっても面白くはあるが、まあ、そんな事はない。レコードがすり減ったり、CDに傷がついていく代わりに、再生回数や星やハート、プレイリストへの追加といったデータが蓄積されていくのだ。ただ、Apple Musicで音楽を聴くようになり、もともと持っていたアルバムも含めて、ストリーミングで聴くようになってきた。あのとき買わなかった(お金がなくて買えなかった)作品も、すべて聴けるようになったのは、初めてのお小遣いでCDを買っていたような世代である筆者からすれば、夢のような環境だと言える。無駄に世代間論争をあおるつもりはないし、音楽を買わないことを責めたいわけでもないが、筆者のように音楽を物理的なメディアで買ってきた世代と、YouTubeなどで無料で楽しんでいる世代とでは、音楽を買う、聴く、という感覚は大きく異なるだろう。筆者が「夢のよう」と書いた内容について、おそらくCDというメディアを活用せずに済んだ世代からは、全く共感が得られないのではないか、と思う。●思い切って、iTunesの音楽ファイルを消してみた音楽の聴き方が変化してきたこともあり、15年間守ってきた音楽ファイルを、先日思い切って、すべて消してみた。手元のMacのディスク容量が不足してきたため、100GBあまりのiTunesフォルダを一掃したのである。ちなみに、音楽データは消えても、前述の再生回数などのデータは削除されなかった。一応、筆者もその機能を理解した上で、それでも心配で踏み切れなかったことではあるが、ディスク容量の限界が迫りくる状況で、一線を越え、データ自体をクラウドに任せたのである。ひとまず現状、問題はない。とはいえ、ファイルの削除が伴うため、読者の皆様が行う場合には、自己責任でお願いしたい。一応、Office 365アカウントについてくる1TBのOneDriveに、iTunes Storeに取り扱いがなさそうな音楽ファイルはバックアップしてある。クラウドストレージの容量に余裕がある方は、そちらも試しておくことをおすすめする。Apple Musicのユーザー、もしくはiTunes Matchを契約していると、ユーザーのiTunesライブラリ内、すなわち手元にある音楽ファイルは、iTunesと照合され、カタログにないものはアップロード、カタログにあるものは契約期間中は自由に再ダウンロード可能になる。これらの楽曲はストリーミング再生も行える。ちなみに、iTunes Matchが別料金なのは、この再ダウンロードする音楽ファイルについて、Apple MusicやiTunes Matchの契約解除後でも再生可能にするオプションが存在するからだ。もちろん、WAVEやAppleロスレスなど、再ダウンロード可能なAAC 256kbpsの音質より高くリッピングしていたファイルについては、音質が劣化する点を留意しておきたい。ただ、2001年ごろに筆者がリッピングしたのは、ほとんどがMP3 160kbps、頑張ってMP3 320kbps程度だったので、さほど気にする必要がないだろう。ファイルの削除は、MacのiTunes上から行った。ライブラリ全体の音楽をcommand+Aで選択し、deleteキーを押す。すると、「この曲を削除してよろしいですか?」という確認が表示されるので、「ダウンロードしたものを削除」をクリックする。すると、iCloudミュージックライブラリにファイルが保存された状態で、iTunes上のファイルが削除される。iCloudミュージックライブラリ・iTunes Matchでアップロードされるのは、iTunes Store購入分を除く10万曲で、1曲あたり200MB以下、再生時間2時間以内という制限が課せられる。また、より高品質な音楽はAAC 256kbpsに変換されてアップロードされ、品質基準以下のファイルはアップロードされない。アップロードされないファイルを削除すると復旧できないため注意が必要だ。アップロードされたかどうかは、iTunesのマイミュージックのリストのクラウドのマークを確認するとよいだろう。●Appleは「やっと」音楽をモバイル化したApple Music経由での再生が増えたことも理由ではあるが、Macのハードディスクに音楽ファイルそのものが入っていないからといって、普段の音楽聴取体験に特段不便も変化もない。それだけ、音楽を聴く環境が、Wi-Fiやセルラーなどでインターネットにつながっている環境だということだ。iCloudミュージックライブラリでは、Macから音楽ファイルを削除できる点に加えて、iPhoneからでも、Apple Music以外の音楽ライブラリにアクセス出来ることがメリットだ。Macに接続しなくても、1曲単位で必要な楽曲をダウンロードして、オフラインで聴くことができる。Appleは、iTunes Storeで、「音楽を購入する」という行為を、「音楽を聴く『権利』の購入」という形に変えてくれたように思う。しかしApple Musicとそれに付随してくるiCloudミュージックライブラリによって、「音楽を聴く権利をモバイル化した」と表現できるだろう。SpotifyやPandoraなど、始めからストリーミング主体でサービスを展開してきた企業にとっては、音楽のモバイル化は当たり前の話と考えているだろう。ユーザーにとっては、PCでもスマートフォンのアプリでも良いので、とにかくネットにつながって、サービスから音楽を流してくればよいだけだからだ。つまり、これらのサービスにおいては、はじめから音楽はモバイル化されていたのだ。しかしAppleには、iTunesユーザーや、iTunes Storeユーザーがおり、彼らは自分で音楽を所有してきた。そして、iPodやiPhoneに同期して、楽しんできた。こうしたユーザーに対して音楽をモバイル化するために、Appleは様々な手順を踏んでいく必要があった。iTunes Radioでストリーミング音楽を試しつつ、Appleにとって重要だったのは、iTunes Matchだと感じた。このサービスで、iTunes Storeのカタログを活用し、膨大なiTunesユーザーの音楽をクラウドへ持ち込むテストをしてきたといえる。Apple Musicは、購読型ストリーミングサービスの部分がよりフォーカスされるが、Appleにとって力を入れているのは、Apple Musicの1つの機能であるiCloudミュージックライブラリの方だろう。これにより、ユーザーが所有している音楽をモバイル化することができ、Apple Musicを受け入れてもらうだけの素地を作ることを実現したのだ。松村太郎(まつむらたろう)1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura
2016年03月02日米Appleは18日(現地時間)、「iOS 9.2.1」のアップデートの提供を開始した。エラー53が表示されてiPhoneやiPadが完全に機能しなくなる問題に対応した。Touch IDセンサーを搭載したiOSデバイスでは、部品の交換などによる不正行為を防ぐために、Touch IDセンサーと他のコンポーネントの適合性や動作のチェックが行われる。その際に想定外のTouch IDモジュールが検出されたり、またはTouch IDモジュールを確認できなかった場合にエラー53が表示される。そのエラー53が表示され、画面の指示に従ってiTunesに接続してもエラー状態のままアップデートも復元もできなくなる問題が報告されていた。Appleのサポート文書によると、エラー53問題の対処方法は最新バージョンのiTunesをインストールし、エラー53が表示されたデバイスを強制再起動して、デバイスの復元を試す。復元後、iOS 9.2.1は最新のiOS 9.2.1(13D20)になっている。なお、エラー53問題への対処であるiOS 9.2.1(13D20)は通常のOSアップデートとは異なる。すでに一つ前のiOS 9.2.1(13D15)にアップデート済みの場合、ワイヤレス経由ではソフトウエアアップデートは表示されない。iTunesに接続した時のみiOS 9.2.1(13D15) からiOS 9.2.1(13D20)へのアップデートが表示される。Touch IDセンサーを搭載したiOSデバイスの部品を交換した場合、安全保護のための機能が動作する可能性があり、エラー53が表示され続ける場合はAppleサポートに問い合わせるように同社は呼びかけている。
2016年02月19日米Appleがスウェーデンでは初となる独立店舗型のApple Store建設を計画していると話題になっている。同国には2012年以降、すでにショッピングモール内在型のApple Storeが3店舗展開されているが、ストックホルム市内では初の公式店舗となり、その外観は米ニューヨークの5番街にあるフラッグシップ店舗のようなガラス張りで、現地の観光スポットとして親しまれるものを目指すようだ。同件は9 to 5 Macなどがスウェーデンの現地紙Expressenの報道を引用して紹介している。場所として挙げられているのは、ストックホルム中心部に位置する王立公園(Kungstradgarden)の北端、現在はT.G.I. Friday’sが店舗を構えるHamngatan通りに面したスポットのようだ。周囲にはカフェやコンサートなどのイベントスペースもあり、そうした環境に囲まれながらApple Storeの入り口が来訪者を待ち構えているようになるかもしれない。ただExpressenによれば、現時点でいくつか交渉上のハードルが存在しており、そのあたりの問題を詰めている段階のようだ。そのうえで、早ければ2年以内には営業を開始できるとの見通しだとしている。前述のように、現在のスウェーデンにはモール型の比較的小規模な店舗しか存在しておらず、どれもストックホルムからは遠い場所に位置している。同国最初の店舗となるTaby Centrumモールの店舗は、その名前のとおりストックホルム郊外のタビーに位置しており、市内から気軽に行ける距離ではない。今後市内に公式店舗ができれば、ストックホルム観光での立ち寄りだけでなく、旅行者が何か必要に迫られてApple製品を買うのに役立つかもしれない。
2016年02月17日Appleが銀聯(China UnionPay)との提携と中国での「Apple Pay」提供を正式に認めて2カ月近くが経過するが、2月18日5時にもサービスが開始されるようだ。またフランスへの提供地域拡大や、カナダでよく利用されているデビットカードシステム「Interac」への間もなくの対応も噂されており、日本へのエリア拡大も含めたサービスの盛り上がりに注目が集まっている。同件はMacRumorsなどが報じている。それによれば、中国の広発銀行のWeChatアカウントにApple Payについて尋ねると、そのサービス概要と利用開始日について返答してくれるというものだ。iOS 9.2以上のiPhoneまたはiPad、そしてwatchOS 2.1以上のApple Watchが対象となり、銀聯カードを登録してサービスが利用できるという。もともとは春節前の1月中のローンチを目指していたといわれているが、最終的に春節終了後の2月中旬のタイミングまでずれ込んだとみられる。銀聯カードの非接触決済が中心となるため、利用範囲は現状で主に中国国内となるが、NFCによる店舗決済とオンラインでの決済の両方に対応するので、前述のようにNFCアンテナを装備しないiPadでもサービスが利用可能になるようだ。フランスへのApple Payの提供地域拡大の話題は同国のiGenが報じている。それによれば2016年前半にも何らかのアナウンスが行われるとしており、おそらくは6月上旬に開催されると思われるAppleの開発者会議「WWDC」で何らかの言及があるのではとのことだ。ライバルにあたるSamsung Payは英国とスペインでのローンチが間近といわれており、次なるターゲットとしてフランスも視野に入っているとされている。現在Apple Payは米国、英国、オーストラリア、カナダの4カ国での提供が行われており、間もなく中国での提供がスタートする。フランスやスペインなど、他の欧州諸国も順次提供地域に加わっていく可能性が高い。またカナダにおいては、同国でよく利用されている「Interac」への対応が裏で進んでいると噂されている。Interacはいわゆるデビット方式のカード決済で、同国内の複数の大手銀行らが集まって運営しており、クレジットカードなどと並んでカナダの決済トランザクションの多くのボリュームを占めている。NFCによる非接触決済対応も3年ほど前からスタートしており、今回のApple Pay対応はこの国別事情に合わせたものとなるだろう。iPhone in Canadaによれば、現在配信されているiOS 9.2.1のファイル中に決済ネットワークの一覧があり、そこに「Interac」の文字が発見できるとのことで、遠からず対応する可能性が高いはずだ。さて、問題の日本でのApple Payローンチだが、筆者が現在把握している範囲では複数方面から話が聞こえてきており、導入に向けた動きが水面下で進んでいることは間違いないようだ。問題となるのは「ローンチ時の規模」「具体的な時期」の2点に絞られており、このバランスを取りつつAppleが導入時期を判断することになると考えられる。ただ、いろいろ聞き取りを行っている範囲では小売大手での動きがやや鈍く、仮にフランスなどと同じタイミングでのローンチは小規模なものとなりやすく、難しいのではないかと考えている。現在のターゲットは最速でも2016年後半~2017年にかけてとみており、Appleが出すゴーサインを見逃さないようウォッチしてみてほしい。
2016年02月17日AppleファミリーのBeats by Dr. Dreとなってから、新規投入製品としてはこれが初となるBluetoothスピーカー「Beats Pill+」。本稿では生まれ変わった"Pill"の魅力を探っていく。先代のモデルと比べて、まず、変わったのはデザインとサイズ。ちょっとだけ大きく重くなったのだが、携行性については配慮されている。重くなったとはいえ、設置に際しての安定性は増しているので、これにも納得がいく。デザインも洗練度が高くなった。"beats"の文字は本体底面の普段は見えない部分へ、"b"ボタンは本体上部へとそれぞれ移動。ブランドの主張の仕方がさりげなく、それでいて上品になったという印象だ。先代モデルがストリートでやんちゃな小僧が持って歩いているというイメージなら、Beats Pill+はインテリアの一部として、部屋の中に溶け込むという印象がある。何と言うか、Appleファミリーとなって大人になったと言うか。操作性も向上しており、先述の"b"ボタンを含め、電源、音量などコントロール系を本体上部に集約させた。ここにはバッテリー残量を示すインジケーターも配置されている。最小限でシンプルなユーザーインターフェースだ。基本的な仕様だが、2ウェイのステレオアクティブ・クロスオーバーシステムを搭載し、ウーハーとツイーターのセットがそれぞれアンプを備えている。ツイーターとウーファーの分離には、世界中のプロレコーディングスタジオで用いられている音響メカニクスが採用されているということで、これにより、一般的なBluetoothスピーカーでは難しかった、ワイドなレンジ幅を得ることに成功した。ローがしっかり出てた上で、2KHz以上の帯域にある、ハイハットやシンバルなどの金物類は鮮やかで艶のある音を楽しめる。サイズの話に戻ると、ユーザーの使用環境は予想していたよりも広い部屋であることが分かったので、より高音質での再生が必要だと感じたらしく、結果、この大きさに落ち着いた模様だ。実際使ってみると、小さい音量で聴いても大きな音量で聴いても、上から下までちゃんと出ている。しかも、爆音に近い音量になっても、クリップすることがない。サウンドデザインの面でも一切の妥協がなく、局限まで追いつめているなという出音なのだ。Beats Pill+の大きな改良点は、iOS/Androidアプリ「Beats Pill+ App」から本体を制御することが可能になったところだ。先代モデルはNFCを搭載し、本体のみの操作で完結できるのが特徴だったのだが、Beats Pill+はNFC機能を外してしまった。これもユーザーからのフィードバックから得られた情報とのことだが、意外と、NFCを使っている人は少なかったようだ。ならばということで、iPhone/スマートフォンとの親和性を高める方向にシフトした、というのが事の経緯らしい。アプリの機能としては、2台のBeats Pill+をペアリングさせて、音量を増幅させる「増幅」モード、同じく2台のBeats Pill+をペアリングさせ、LRチャンネルにソースを分配してステレオサウンドを楽しめる「ステレオ」モード、そして、Beats Pill+に複数の端末を接続し、それぞれの端末から、それぞれのオーディオを代わる代わる送出できる「DJ」モードがある。「増幅」モードは、例えば、違う部屋にBeats Pill+をそれぞれ設置して、同じ音源を流す、といった状況に適している。「ステレオ」モードは、単体のBeats Pill+では左右の広がりが物足りない、と感じられるような場合に試してみたくなる機能だ。この二つのモードは先代のモデルでも搭載されていたが、アプリから制御できるようになったことで、NFCペアリングのために、いちいち設置場所から動かして、戻して、という作業をせずに済む。特徴的なのは、やはり新機能の「DJ」モードだ。これはもう、パーティーシーンを想定しての機能で、まさしく"音"を"楽しむ"ためのものである。自分のお気に入りの曲を他の人にも聴かせたいという、Beats by Dr. Dreブランドらしい発想の機能と言えよう。Apple Musicとのコンビネーションは、もう抜群で、自分のiPhone/iPadに格納したプレイリストを集まった人と共有する、などという状況がパッと目に浮かんだ。この大きな改良点は、結果として、操作体系をよりシンプルにしていると思える。電源ボタンやボリュームといった基本的な機能は本体に、グレードの高い機能はアプリにという切り分けが功を奏しているという感触だ。先ほど、iPhoneとの親和性を指摘したが、これについて、もう少し言及しておきたい。AppleファミリーのBeats by Dr. Dreブランドというのはもちろんだととしても、iOSデバイスでApple Musicを利用するという機会が増えていることから、アプリを提供することは必定だった推測される。手にしたiPhone/iPadで音楽を再生する、スピーカーに出力するという流れがまとまっているほうが、間違いなくユーザビリティは高いからだ。また、充電用のコネクタにもLightningが採用された。これも、iPhone/iPad持ってるなら、Lightningケーブルがそこらにあるよね? それ使えば? という利用スタイルが念頭にあるはずだ。Beats Pill+の連続使用時間は12時間で、大容量のバッテリーが積載されている。これで、iOSデバイスを充電することも可能だ。しかも、オーディオの再生を止めることなく、外部機器をチャージできる。ペアリングしたiPhoneのスピーカーフォンとしても使用可能だ。Class1対応のBluetoothはアップルのテクノロジーが採用されている。これは別の見方をすると、アップルの次期オーディオ製品にBeatsが培った技術が搭載される可能性を示唆しているのではないだろうか。恐らく今年の秋に発表されるであろう新型iPhone用のイヤフォンがBeats by Dr. Dreによるものだったらと想像するとワクワクする。ざっと眺めてきたが、Beats Pill+は本当に魅力に溢れた製品だ。音とデザインはBeats印。だが、より、ソフィスティケイトされている。そして、なによりユーザーフレンドリーでもある。ただひとつ気になるのはカラーラインナップが、現時点ではブラック、ホワイトの2色というベーシックな展開になっているところだ。やはり、ここは、これまでのBeats by Dr. Dre製品と同じように、有名ブランドや著名アーティストとのコラボモデルの登場を期待したい。そして、その期待は裏切られず、絶対に欲しくなるようなモデルを投入してくるに違いない。
2016年02月09日いわゆる"聴き放題"サービスの「Apple Music」。曲数では競合サービスが上回ることもあるが、人力による楽曲レコメンド機能などAppleらしい仕掛けがあり、試用期間経過後に有償会員となるユーザは多い。楽曲を転送する手間がないという点もあるが、未知の曲と出会う楽しさが評価されているからではないだろうか。一方、Appleは引き続き「iTunes Store」で楽曲のダウンロード販売を行っている。利用頻度を考えれば980円/月は割高だ、他の端末で再生できるよう楽曲ファイルを手もとに置いておきたい、という理由で買い切りを好むユーザもいることだろう。自分好みの曲がない、という場合はCDを取り込むか他のWEBサイトでダウンロード購入するしかない。ところで、Apple Musicにはもうひとつの活用方法がある。アルバムアートワークの入手先になるのだ。Apple Musicは曲の有無を検索できる。iTunesを利用すれば、CDから曲を取り込むときiTunes Storeで取り扱いのある曲/アルバムはアルバムアートワークを自動設定してくれるが、iTunes以外のジュークボックスソフトはそうもいかない。アルバムアートワークを探し回る手間を考えれば、利用しない手はないだろう。手順はかんたん。まず、Apple Musicで目当ての曲/アルバムを検索し、共有メニューを表示して『メールで送信』をタップしよう。すると、曲/アルバムのリンク先とともに、アルバムアートワークがPNG画像として添付される。この画像を、自分が利用したい(パソコンの)音楽再生ソフトで使えばいいのだ。ハイレゾ再生ソフトは、アルバムアートワークを手動設定しなければならないことが多いため、ありがたく利用したい。
2016年02月09日リクルートライフスタイルは2月3日、米Appleとモビリティパートナー契約を結んだと明らかにした。同社は無料POSレジアプリ「Airレジ」を展開しており、21万アカウント以上の小売店ユーザーが利用している。同社はAirシリーズとして、受付管理アプリ「Airウェイト」や予約管理システム「Airリザーブ」も提供しており、これらプロダクト全般でApple協力の下でiOSアプリを提供していく。一方のAppleのモビリティパートナーと言えば、IBMとの協業関係が一番わかりやすいだろう。2014年7月に発表された両社の提携は業界にとって大きなサプライズだったが、提携の骨子は「IBMのエンタープライズ向けソフトウェアのノウハウとAppleの洗練されたユーザーインタフェースをマイグレーションする」ということだ。このモビリティパートナーには、リクルートライフスタイル以外にも米Boxや米DocuSign、米MicroStrategyといったエンタープライズにおける先進企業の名が並ぶ。こうした企業の中にリクルートライフスタイルが参加することになるのだが、Apple Japanによると同社が日本初のパートナー契約となる。○モビリティパートナーで何が変わるのか具体的には、モビリティパートナーとなることで、リクルートライフスタイルは以下の3つのポイントでiOSビジネスを進めていくという。AirレジのUI変更Apple Retailにおけるイベント開催エンジニア教育Airレジのユーザーインタフェース改善は一つの大きなポイントだ。「Appleの本国エンジニアと協業してUI改善を行っています。iOSにはデザインガイドラインが存在しますが、完璧に準拠しているわけではありませんでした。これからは、Appleのエンジニアの方と、ガイドラインに準拠しつつも、自分たちのノウハウをかけあわせたUI/UXを提供したいと考えています。もちろんそれは、最終的に店舗で実際に利用する店員の方が使いやすいように、という目的のためです」(リクルートライフスタイル 執行役員 大宮 英紀氏)また、Airレジに関してはすでにAppleが先日オープンソース化を発表した開発言語「Swift」でのアプリ制作が行われている。新言語への対応は、エンジニアのモチベーションにもつながる上に、Apple協力の下で育成できることで「よりSwiftにシフトできる環境が整った」(大宮氏)という。○モビリティパートナーで世界へこのモビリティパートナーは世界への足がかりの新たなる一歩と言ってもよい。同社は2015年1月にAirレジの英語版をリリースしたが、これは「R&Dとしての位置付け」(大宮氏)のもので、国によって異なる税や商慣習に対応する必要があるPOSレジは、それぞれの国に最適化しなければならない。「いくつかテストマーケティングを行っていて、日本のようにさまざまな小売店に応用できるという地域があれば、特定の業態に特化したソリューション展開を考えている地域もある。慣れ方が地域により異なるので、そういうところをAppleエンジニアとのコミュニケーションも含めて最適化していきたい」(大宮氏)今後、Airシリーズはどのように進化していくのか。大宮氏は、世界展開と国内展開の二軸で見通しを語った。「日本では無料提供という形をとっていますが、グローバル展開ではそれがすべてではないと思っています。現地の法人市場で展開するならば、最初から有料化してプレミアムなアプリケーションとして(プロダクトを)成立させる可能性もある。今回の発表で大企業向けのビジネス支援までという文言がありますが、すでに国内大手の家電量販店さまにも導入いただいており、企業規模を問わずに使いやすいプロダクトに仕上げています。(Apple)のグローバルのモビリティパートナープログラムの中で一緒にビジネスを進めていくことになったのは、加速していく1つのポイントになったと思います。より使いやすくするだけでなく、国内では消費税増税や軽減税率などの問題があるので、企業にとってはバックヤードコストがかかる時期なので、今回のタイミングで発表できたことは大きなインパクトだと思います」(大宮氏)なお、パートナー契約のポイントの1つとして挙げたApple Storeにおけるイベント開催は3月3日の銀座を皮切りに全国5店舗で開催される。来年4月に迫った消費税増税対応や軽減税率への対応についても解説する予定だという。
2016年02月03日Appleは、Logic RemoteはMac上のLogic Pro Xのコンパニオンアプリの最新バージョン「Logic Remote バージョン 1.3」の配布を、AppStoreにて開始した。価格は無料。同アプリは、iPadやiPhoneのマルチタッチをフル活用し、Logicのクリエイティブな力をさらに引き出すことができるリモートコントローラーアプリとなっている。Logic Remoteを使えば、部屋のどこからでも、Logic Pro Xで録音、ミックス、演奏、トランスポートコントロールなどが行える。最新のアップデートでは、iPad Proにおけるミキサーのフェーダー、キーボード、およびその他のTouch Instrumentの使用可能範囲の拡張、Smart ControlおよびTouch Instrument使用中にキーコマンドへのアクセスが可能となるなど、iPad ProとiPhone(Logic Pro Xのみと互換性あり)での動作を新たにサポート。 また、接続性を向上させるための修正および強化、複数のiOSデバイスの同時使用が可能になるなど、多数の修正および改善点が含まれている。
2016年01月29日Apple関連で著名なあるアナリストの報告によれば、同社は今年2016年にリリースが見込まれる「iPhone 7 Plus」に相当するモデルにおいて「デュアルカメラ」を採用する可能性があるという。デュアルカメラにより物体の3D測定が可能になり、撮影後のピント合わせや切り抜き処理、距離測定が可能になるといった効果が期待できる。また光学2~3倍程度のズーム機能をサポートする可能性も指摘されており、カメラ関係での機能飛躍が期待される。同件は9 to 5 Macが、KGI SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuoの最新レポートとして報じている。通常であれば、この手の噂は一歩ひいて話半分程度に聞き流すべきではあるのだが、Apple関係では比較的正確な情報を引き出してくるKuo氏のレポートである点と、記載内容にいくつか興味深い点があることで注目すべきソースになっている。以前にAppleはアレイカメラの技術を持つLinXという企業を買収しており、今回のデュアルカメラはそれを応用したものだと考えられる点だ。その仕組みやメリットの詳細については以前のレポートを参照してもらいたいが、最大の特徴は撮影品質を高めつつ、後処理でさまざまな効果を付与できる写真を取得できる点にある。同様の仕組みのカメラを持つスマートフォンとしてはZTEの「Axon」が知られているが、やはり高品質と「再フォーカス」可能な点をセールスポイントとしている。デメリットとしては撮影時に取得されるデータが通常のカメラ画像より多いうえ、後処理のために膨大なGPUパワーを必要とする点が挙げられる。筆者は2016年に登場するiPhoneの次期モデルで採用される「Ax」シリーズのプロセッサでは「GPUのさらなる強化や特定処理向けの回路増強」が行われると予想しているが、もしAppleがiPhoneでデュアルカメラ採用に動くのであれば、その的中率はかなり高まると考える。また現行のiPhone 6や6sのシリーズでは「本体背面にカメラモジュールが突き出ている」という構造上の問題を抱えている。もしKuo氏のいうように光学ズーム可能なレンズを抱えた場合、iPhoneのデザインがどのように変化するのかが気になるが、ASUSがZenFone Zoomで採用したHOYA製の「Cube」にみられるように、光学3倍ズームを可能にしながら比較的薄型を維持しているレンズユニットも存在し、工夫しだいではそこまで出っ張りの気にならないものを実現できるかもしれない。そして今回Kuo氏のレポートで最も注目すべき部分は「すべてのiPhone 7 Plusにデュアルカメラが搭載されるわけではない」と発言している点にある。Appleは「プレミア」に該当するハイエンド中のハイエンドモデルを製品ラインに設け、このプレミアムな機能としてデュアルレンズのシステムを提案するのだという。現在、Appleは4インチの廉価版にあたるiPhoneの派生モデルのリリースを計画していると噂されているが、これまで不動だったフラッグシップのiPhone製品においても、ディスプレイサイズ以外のSKUを追加する可能性が出てきたというわけだ。実際、筆者もAppleが今後2~3年でモデルの細分化や更新サイクルの変更を行っていくという噂を何度か耳にしており、Kuo氏のレポートもその動きをフォローするものとなっている。いずれにせよ、2016~2018年はAppleにとってもiPhoneにとっても大きな変革のタイミングになりそうだ。
2016年01月29日米Appleが仮想現実(VR)とそれに関連したインタフェース分野の専門家を雇い入れたことが話題になっている。現在のところ、AppleがVRを活用して何を目指しているのかは不明な部分が多いが、HoloLensを発表したMicrosoftをはじめとして、ライバルとされるFacebookやGoogleはVRや拡張現実(AR)の研究開発を進めており、Appleもまた自社のデバイスやサービスを絡めた何らかの取り組みを水面下で進めていると考えられる。同件は、Wall Street Journalが報じている。今回Appleに参加したのはDoug Bowman氏で、同氏は米ヴァージニア工科大学(Virginia Tech)のヒューマン・コンピュータ・インテラクション・センター(Center for Human-Computer Interaction)でコンピュータサイエンスの教授を勤めている。Bowman氏の経歴や成果は3D Interaction Groupのページにまとめられているが、VRの世界でどのようにユーザーが活動し、フィードバックを得るのかといった手法についての数々の研究プロジェクトに携わっている。例えば、WSJでも触れられている「Llamas vs. Kiwis」のYouTube動画を見ると、その一端がわかるだろう。もともとはFinancial Timesが報じていたもので、後にAppleがWSJに対してBowman氏雇用の事実を認めた。ただ、同氏がAppleに参加したこと以上の情報の提供については断っており、その背景などは不明だ。また、Bowman氏のヴァージニア工科大学名義のメールアドレスも「2016年8月まで休暇」との返信があるのみで、本人に接触できなかったようだ。ただ前述のように、ライバル各社は単にスマートフォンやタブレットの情報画面の中で情報表示が完結することなく、より生活に密着した形で情報にアクセスできたり、あるいは画面タッチやキーボード/マウスといった従来の限定的な操作インタフェースだけでなく、より自然な形でユーザーがコンピュータの世界にアクセスできる手段を模索している。現在のところ、Apple自身はOculusのような没入型のヘッドギアデバイスや、MicrosoftのHoloLens、GoogleのGoogle Glassといった装着型のデバイスを出しておらず、どのような形でユーザーとデバイス、そしてサービスを結びつけるのか不明だが、そのあたりも含めて新しい可能性を模索していくのだと考えられる。なおWSJによれば、Appleは昨年2015年5月にドイツでAR技術を開発するMetaioという企業を買収しているなど、過去に少なからずVRやARへの道筋を示す動きを見せている。今回は業界の著名研究者を引き入れた形だが、今後も買収やリクルーティング活動は続くとみられ、数年先の動向や新サービスに思いを馳せつつ、ウォッチしていると面白いかもしれない。
2016年01月26日米Appleで「Project Titan」の名称で噂される自動運転の電気自動車プロジェクトを率いていた人物が、同社を辞めると話題になっている。個人的な理由が原因とされているが、一方でApple上層部とプロジェクトチームでの意見の食い違いが存在しているという話もあり、2019年が目標といわれるプロジェクトの推移に注目が集まっている。同件はWall Street Journalが報じている。Project Titanについての詳細は以前のレポートを参照してほしいが、Appleが2014年から極秘で進めているといわれる自動運転と電気自動車(EV)を組み合わせたプロジェクトの名称とされている。同社はこれまで公式に一度もプロジェクトの存在や詳細を語ったことはない一方で、自動車業界各社から経験者を積極的に引き抜いていることが知られており、ほぼ公然の内部プロジェクトと認知されている。同部隊を率いているのはiPodやiPhoneの製品デザイン担当バイスプレジデントだったSteve Zadesky氏といわれ、実際に2014年からはProject Titanのスタートとともに同部門のトップに就任し、昨年2015年9月時点で600人超、現在は2,000人近いチームにまで膨れあがっていると噂される。Zadesky氏は1999年からすでにAppleに16年以上在籍しているが、スタンフォード大学の修士号を取得してからAppleに入社するまでの3年間は米Fordに在籍しており、自動車業界には近しいポジションにいたようだ。ただ、Project Titanそのものはあくまで噂のプロジェクトであり、2019年目標といわれる最初の自動運転車の稼働時期も含め、その最終的なゴールが電気自動車の製造販売にあるのか、あるいは要素技術の提供なのか、はたまたGoogleのように車の貸し出しサービスへの進出なのか不明な部分が多い。WSJによれば、現在Apple内のチームはゴール設定にあたりいくつかの問題に直面しており、本部から提示されるデッドラインを含めた目標設定に不満を抱いているともいう。いずれにせよ、あらゆる方面から最も注目を集めるプロジェクトの1つであることには変わりなく、Zadesky氏の動向が今後にどのような影響を与えるのかを見守っていきたい。
2016年01月25日米Appleは1月21日(現地時間)、欧州初となるiOSアプリ開発者に向けた開発支援施設「iOS App Development Center」をイタリアに開設することを発表した。次世代のiOSアプリ開発者を支援する取り組みとなる。この施設では、将来のiOSアプリ開発者向け専門的なカリキュラムや教師に対するトレーニングを提供する。また、イタリア国内パートナーと連携した補完カリキュラムの提供も予定。今後、同様の施設を世界中に展開していく計画だ。Appleによると、Apple Storeの売上総額は欧州全体で102億ユーロを超えるという。そのため、Apple Store関連のビジネスによって、140万人の雇用を創出しており、イタリアだけでも約7万5000人の雇用を支えていると述べている。
2016年01月22日米Appleは1月15日(現地時間)、iOSアプリに広告を配信する広告ネットワーク「iAd App Network」を終了させる計画を発表した。サービス提供は2016年6月30日まで。iAd Workbenchを通じたキャンペーン作成は可能だが、すでに新しいアプリをネットワークに登録することはできなくなっている。iAdは、アプリ/ゲーム開発者のビジネス機会を広げるためにAppleが用意した広告プラットフォームだ。2010年7月に配信を開始した。eMarketerの調査によると、米国のモバイルディスプレイ広告におけるiAdの売上シェアは約5%。Appleの売上における割合は非常に小さく、一方でユーザーのプライバシーを重んじるAppleは広告ベースのビジネスモデルに対する批判を強めており、そのためAppleがiAdを提供する矛盾も指摘されていた。iAd App Networkは終了になるが、iAdプラットフォームおよびAppleのモバイル広告事業の今後については不明。開発者向けのiAdサイトで情報をアップデートするとしている。
2016年01月18日米AppleがiOS 9の次期アップデート「iOS 9.3」のプレビューを公開した。夜間にディスプレイの表示をナイトモードに自動的に切り替える「Night Shift」、学習にiPadを活用するためのエデュケーション向け機能「Education」といった全く新しい機能のほか、「メモ」「ヘルスケア」「News」などの標準アプリにも強化や新機能の追加が行われる大きなアップデートになる。モバイルデバイスやPCを夜間に使用すると、ブルーライトによってサーカディアン・リズム(昼と夜の周期による1日のリズム)が崩れて不眠につながる恐れがある。Night ShiftはiOSデバイスの時間とロケーションに基づいて、日没後にディスプレイの表示を自動的により暖色で目に優しい設定に切り替え、翌朝に通常の設定に戻す。iOS 9で機能が増加し、様々な情報を扱えるようになった「メモ」アプリ。金融関連や医療関連、またはログイン情報といったプライベートの情報も安全に管理できるように、パスワードやTouch IDを使って情報を保護するセキュリティ機能が加わる。またメモを作成日、変更日、タイトルなどでソートできるようになる。健康やフィットネスに関連するアプリのデータを一カ所で管理できる「ヘルスケア」。ダッシュボードが改善され、サードパーティのアプリとの連係が向上する。たとえば、体重、ワークアウト、睡眠といったカテゴリーで、対応するサードパーティアプリがスライダーメニューで表示され、簡単にダッシュボードに追加できるようになる。またApple Watchのムーブ、エクササイズ、スタンド、そして目標などのデータもヘルスケアに表示されるようになる。iOS 9と共にプレビュー公開されたEducationには、以下のようなサービスやアプリ、機能が含まれる。Shared iPad:生徒がログインして、それぞれの環境を呼び出しながら利用し、複数の生徒でiPadを共有する。生徒に一台のiPadを用意できなくても、共有することで効率的に全体で活用できるようになる。Classroomアプリ:iPadを使った授業をアシストする教師向けアプリ。Apple School Manager:Apple IDの作成、アプリの購入、デバイスのセットアップなど管理者向けポータル。Managed Apple ID:パスワードのリセット、IDのグループ作成、権限のカスタマイズなど学校での利用に即してデザインされたエデュケーション向けApple ID。ニュース・アプリ「News」(米国/英国/オーストラリアで提供中)は、ユーザーが関心を持つ分野のニュースや記事をまとめて配信するパーソナライズ機能「For You」が向上する。新しい記事をアップデートするスピードが高速になり、トレンド表示やエディタのオススメが利用者の発見を促す。記事にビデオが含まれている場合、フィードから直接再生できようになり、iPadだけではなく、iPhoneでもランドスケープ表示が利用可能になる。iPhoneを接続してカーAV機器と連動させる「CarPlay」も音楽やマップ機能が向上する。音楽は、Apple MusicのNewとFor Youに対応、マップは近くのガソリンスタンドや駐車場、レストランなどをリストする「この周辺」をサポートする。なお、AppleはCarPlayのページにおいて、2016年以降にCarPlayをサポートするメーカーと車種のリストを公開した。これまではパートナーメーカーのみだったが、車種まで具体的にリストされているので購入の計画の参考になる。AppleがiOS 9.3プレビューで公開している情報は以上だが、9to5Macによると、iOS 9.3では他にも数多くの機能追加が計画されている。たとえば、3D Touchでアプリの切り替え画面にアクセスする際に、操作に振動のフィードバックが加わり、切り替わったタイミングが分かりやすくなる。「天気」「設定」「コンパス」「ヘルスケア」が3D Touchに対応、「App Store」「iTunes Store」の3D Touchショートカットが改善される。「Wallet」アプリのApple Payやパスから連動するサードパーティのアプリに移動でき、またApple Watchのアクティビティデータを表示する「アクティビティ」アプリにワークアウトが加わる。そしてSiriがヘブライ語とマレー語をサポートする。
2016年01月12日Appleは、同社が例年販売している福袋「Lucky Bag」の販売が2016年はないことを明らかにした。Apple Storeは2日からの営業となる。「Lucky Bag」はAppleが毎年販売している福袋。例年、各店舗に行列ができるほどの人気がある。2016年の販売について、Apple Store 表参道に問い合わせると、「全国の店舗で販売を予定しておりません。理由についてはわからない」とのことだった。なお、2016年の営業は全国共通で2日からとなり、開店時間は、午前10時から午後6時まで。
2015年12月28日草創期から近年までのApple製品を集めた「Apple Museum」が最近になりチェコの首都プラハでオープンし、話題になっている。もともとは個人コレクションだった製品群がチャリティ目的で寄贈されたもので、Appleの歴史を辿れる貴重な博物館となっている。「Lisa」など比較的レアな製品も展示されているようで、興味ある方はプラハ観光のついでに寄ってみてもいいかもしれない。同件はMacRumorsが報じている。博物館はプラハ歴史地区の中心部にあり、歴史的な建造物を改装する形でオープンした。Webサイトでは構築中のようだが、3D映像による現地のバーチャルツアーコーナーや、オンラインショッピングも将来的には可能となるようだ。このほか、「Steven’s Food」というコーナーがあり、ビーガン用の食事の提供も検討されているとみられる。Webサイトによれば、営業は休館日なしの毎日朝10時から夜10時まで。料金はそれぞれ大人11ユーロ、学生8ユーロ、子供5ユーロとなっている。住所は「Husova 156, Prague, Czech Republic」で、位置的にはヴァーツラフ広場とカレル橋(Charles Bridge)の間にあたる。
2015年12月24日米Appleが2013年12月に買収を発表したソーシャルメディア分析・検索サービスのTopsyが、サービスを終了するという。同社のTwitterアカウントがサービス終了ととれる告知を12月15日に行っており、買収から2年を経てサービス終了となった模様だ。現在TopsyのページにアクセスするとiOSのサポートページへと誘導されるようになっている。直近でAppleの買収により終了したサービスとしてはBeats Musicがあり、こちらはサービス終了後の12月からはApple Musicへの誘導ページとなっている。同件はWall Street Journalが報じている。Apple買収時点でTopsyの有料サービスであるProアカウントの受付はすでに停止されており、既存ユーザーが細々と検索サービスを利用できる状態だった。Topsyは当時Twitterの公式パートナーであり、いわゆるTwitterの「Firehose」として2006年創業当時からの公開ツイートをすべて取得し、その分析情報をたどれる数少ないパートナーの1社だった。実際、Twitter社内でも同社のサービスがよく利用されていたほか、共同キャンペーンでのトレンド紹介など、比較的緊密な関係が続いていたことで知られる。なお、日本国内でのFirehoseとしてNTTデータの存在が知られている。同社は取得済みの全ツイートの再販売ほか、それを用いた分析サービスの提供を行っていた。だが2014年4月にTwitterがGnipというソーシャルメディアAPIアグリゲータ企業を買収し、自らツイートの再販売事業へと乗り出したことで、2015年4月に同社との再販契約を解除し、NTTデータの位置付けを再販事業者から戦略的パートナーへと変更している。GnipもやはりFirehoseの1社だが、その買収背景にはAppleのTopsy買収への危機感があり、蓄積したデータの積極活用をTwitter自身が行っていく戦略的転換点になったともいわれている。Appleは過去に買収した企業の例をみても、買収した企業のサービスや技術を他社にライセンスはせず、そのまま終了させてしまうことが多い。例としては音楽ストリーミングの「Lala」は買収後にサービスが終了され、既存ユーザーはBeats Musicのように代替サービスが用意されることもなく放逐されている。一時期問題になった例としては、代替技術探しやサポート継続が課題になった、Touch IDのベース技術である指紋認証のAuthenTecがある。また、iOS 9の公共交通乗り換え案内サービスのベースとなったHopStopや、iAdの基幹技術となったQuattro Wirelessのように既存製品への組み込みが明らかな買収がある一方で、Topsyの明確な用途はいまだ不明だといわれている。ただ、TopsyのページにアクセスするとiOSやSiriの検索に関するサポートページが表示されることからもわかるように、インデックス検索やSiriの性能向上でTopsyの技術が活用されているのではないかとも推察されている。
2015年12月21日米Appleと中国の銀聯(UnionPay)は12月18日、提携を発表し、中国でAppleのモバイルペイメントサービス「Apple Pay」を提供する計画を明らかにした。中国の規制当局からの承認が得られ次第、2016年の早い時期にも提供を開始できる見通し。銀聯はカード決済サービスで中国最大手であり、銀聯カードの発行数は50億枚を超える。また銀聯が展開する非接触型決済サービス「QuickPass」が中国国内だけではなく、中国以外の国においても急速に拡大している。銀聯カード所有者は、バンクカードをApple Payに登録し、QuickPass対応の小売店やApple Payをサポートするアプリにおいて、Touch ID対応のiPhoneやiPadまたはApple Watchを用いて簡単に支払いを済ませられる。安全性もApple Payの売りの一つだ。小売店にクレジットカードやデビットカードの番号を渡すことなく、支払いごとにダイナミックセキュリティコードを生成してやり取りするため、小売店側から決済データが漏洩しても個人情報流出を避けられる。
2015年12月21日米IBMは12月17日(現地時間)、Appleとのパートナーシップの1つの成果として、100を超えるIBM MobileFirst for iOSアプリを提供したと発表した。これらのアプリは14の業界と65の職種にわたって「働き方を変革する」もので、金融アドバイザーから、客室乗務員、救急隊員、看護師、小売業界の購買担当者まで、幅広いニーズに対応する。アプリは、IBMのビッグデータ・アナリティクスの能力と、Appleの"ユーザー体験"を融合している。これにより企業は、新たなレベルの効率性、有効性、顧客満足を、これまでよりも迅速かつ容易に実現できるとしている。すでにAir CanadaやAXA、Coca-Cola Amatil、日本郵便、Rimac、Vodafone Netherlandsなどの多数の企業がIBM MobileFirst for iOSアプリを利用しているという。IBMは、今後リリースする多くのIBM MobileFirst for iOSアプリに「Watson」のコグニティブ機能を採用。アプリが従業員や顧客のニーズを継続的に学習し、効果的にデータを構築して活用できるようにする。同社はほかにも、iPad Pro用エンタープライズ・アプリの開発を進めている。それらのアプリでは、デバイスが持つ、高度な処理能力や大画面を活用する。また、iOS 9のマルチタスキング機能を利用して、ビジネス・ユーザーが同時に2つのアプリを並べて作業できる。ほかにも、Apple Pencilに対応したアプリを提供することで、部屋のデザインやレイアウト、トランザクションのログ、メンテナンス・ログへの注記の追加などの作業を、より正確かつ機能的に行えるという。両社は今後も、自動車や高齢者、化学・石油などの新市場へポートフォリオを拡張していくと発表している。
2015年12月18日米Appleは12月17日(現地時間)、エグゼクティブチームの人事を発表した。オペレーション担当のバイスプレジデントだったJeff Williams氏が最高執行責任者(COO)に昇格、ワールドワイドマーケティング担当のシニアバイスプレジデントであるPhil Schiller氏がApp Storeの責任者を兼務する。Williams氏は1998年に入社。2004年にバイスプレジデントに就任し、2010年からワールドワイドオペレーションの責任者としてサプライチェーン全体の管理、サービス&サポート、ソーシャルリレーションを担当してきた。またオペレーションと平行して、2007年のiPhoneの発売においてモバイル市場攻略で重要な役割を担い、2013年からApple Watch(2015年発売)プロジェクトを率いていた。AppleのCOOは、前任のTim Cook氏が2011年に最高経営責任者(CEO)に就任してから空位になっていたが、この数年の間にCook氏の腹心と言われていたWilliams氏が責任のある職務を担うようになり、肩書きを除いてCOOの役割を同氏が引き継いだ状態だった。なお、COO就任後もWilliams氏が引き続きApple Watch開発を指揮する。Schiller氏は基調講演でハードウエア製品の発表を担当することが多く、広く一般に知られているエグゼクティブの1人である。iPhone用のアプリストアから始まったApp Storeは、iPad、Mac、Apple Watch、そしてApple TVへと広がっている。その責任者として同氏は、Appleのエコシステムの基盤としてApp Storeを成長させる戦略を担う。また、Johny Srouji氏がハードウエアテクノロジ担当のシニアバイスプレジデントとしてエグゼクティブチームに加わった。同氏は2008年に入社し、Appleが設計した初のシステムオンチップ「A4」の開発を率い、チップ開発とハードウエア技術を手がける開発チームを築いてきた。これらのほか、Grey New Yorkの最高クリエイティブ責任者兼プレジデントだったTor Myhren氏が、マーケティングコミュニケーション担当のバイスプレジデントとしてAppleに入社することも発表した。
2015年12月18日米Bloombergによれば、米Appleは台湾の桃園市龍潭区に秘密のラボを設置して、新しいディスプレイ技術の開発を進めているという。ここには現在エンジニアを含めて50名の従業員が在籍しており、台湾AUOや米Qualcommからディスプレイ技術者を引き抜くなど、現在もリクルーティング活動を続けているようだ。報道によれば、この龍潭区の施設は龍潭科学園区の一角に存在しており、以前はQualcommが「Mirasol」の開発を行っていた場所に今年2015年4月以降に移転してきたのだという。施設の外見や従業員からはAppleの関連を示唆する情報は出てこないが、もともと台北市内にあった同国のApple事業所で登録されていた住所が、桃園市龍潭区へと移転されており、実質的に台湾のApple研究開発拠点として機能しているようだ。現在、Qualcommはディスプレイパネル自体の供給をAppleには行っていないが、前述のAUOは以前の世代のiPhoneではディスプレイパネルのメインサプライヤーの1社であり、現在噂に上っている「iPhone 6c」こと4インチiPhoneのパネル供給事業者になるのではとみられている。一方でAppleは有機EL (OLED)技術のiPhoneへの採用にも興味を示しているといわれるが、それと同時に現在利用しているTFT-LCD技術を使ってさらに薄く視認性の高いディスプレイの研究開発を進めており、その製造技術確立に向けた先端研究の場としてこの台湾の施設が機能しているのかもしれない。
2015年12月16日米AppleによるTV配信サービスだが、2016年開始といわれた計画が中止されたようだ。Apple自身はサービス提供を諦めておらず、将来的な提供に含みを持たせているという。とはいえ、9月に発表したApple TVの目玉として提供が予想されていたTV配信サービスを断念したことで、tvOSプラットフォームは当面の間はサードパーティ製アプリ頼りとなる、これにより普及台数と開発者のモチベーションの両面で厳しい状況となる可能性が出てきた。同件は米Bloombergが報じている。それによれば、CBS CorporationのCEOであるLes Moonves氏が12月8日に米ニューヨーク市内で開催されていたカンファレンスでAppleの計画についてコメントしたもので、現在Appleはインターネット経由のTV配信を「保留」状態にしているという。もともとの計画は今年2015年春ごろに複数のメディアによって報じられていたもので、"Skinny Bundle"と呼ばれるフル形式ではない簡易版の主要チャンネルを25局前後まとめ、月額10~20ドル程度で有料配信するというものだった。米国ではここ数年、プレミアムチャンネルを多数束ねた高額なCATV(もしくは衛星TV)の月間契約に嫌気がさして解約するユーザーが増えており、TVネットワーク経由での配信収入減がTV各社を悩ませている。NBCのように、Appleの計画から一歩引いたTV局もあるが、CBSはサービスのローンチパートナーの1社になるとみられており、特にAppleのサービスがライトユーザー層をうまく取り込んで、収益拡大のきっかけになることに期待をかけていたと考えられる。だが、AppleのTV配信サービスは、新型Apple TVローンチ直前である8月になって2016年への延期が伝わるようになり、今回の報道で2016年中の提供にも赤信号が灯った状態となった。新型Apple TVの目玉はこのTV配信サービスとtvOSによるアプリのエコシステムにあったといわれ、現在もなお片翼飛行を余儀なくされているといえる。だがMoonves氏によれば、計画そのものはまだ保持されており、将来的に30~40ドルの価格帯でライトユーザー層を取り込むサービスとして登場する可能性があるという。これがMoonves氏らTV会社らの願望なのか、あるいはAppleの実際の希望なのかは不明だが、当初噂された月額10~20ドル程度の簡易TVプログラム配信に比べると、(85ドル程度のフルプログラム配信ほどではないものの)かなり高い価格帯へとシフトしており、これがユーザー層の拡大につながるかどうかは微妙なラインにあると筆者は考えている。tvOSそのものは2016年前半に大規模アップデートが行われるという話はあるものの、当面はアプリ頼みの状況が続きそうだ。
2015年12月11日2012年秋にiOS 6とともに提供が開始されたAppleの「Maps(マップ)」は、その品質の低さから衝撃的なデビューとなったが、その後地道にサービス改良が続けられ、現在ではTurn-by-Turnによるナビゲーションや公共交通の乗り換え案内などを搭載し、以前のGoogle Mapsベースのアプリに劣らない十分なものに仕上がりつつある。ある報道によれば、iOSプラットフォームにおけるMapsの利用は、同OS上の「Google Maps」アプリの3倍にも達しており、事実上ほとんどのユーザーがMapsを利用している状況にあるようだ。同件は9 to 5 Macなどが、AP通信の記事を引用する形で報じている。現在、Mapsは、iOS上で動作する"次点の筆頭競合"のサービスに比べて3倍以上の頻度で利用されており、週間で50億以上の地図関連リクエストがサーバに行われているようだ。今年10月時点でGoogle Mapsのスマートフォン全体におけるシェアはMapsの2倍以上だとされているが(記事中では明記されていないが米国内の話だと考えられる)、これはほぼ米国内でのスマートフォンOSのシェアを反映した形になっているとみられる。つまり、Androidではデフォルトの地図サービスとしてGoogle Mapsが利用され、iOSでは同様にほとんどの(おそらく7割以上の)ユーザーがApple Mapsを利用していると思われる。2013年末に「iOS版Google Mapsのシェアはごくわずか? ある調査報告が示すもの」というある考察を紹介したが、この分析がほぼ正しく、実際に時間の経過とともにさらに顕著となったのだろう。ただ、これは北米など一部地域の話と考えたほうがいいかもしれない。Mapsはデビュー時から(多少の問題はあれど)北米での地図サービスの品質はそこまで低くなかった。一方で、問題が頻出していたのは欧州や日本を含むアジアなど、それ以外の地域で、こうした地域のユーザーが積極的にMaps以外を利用していたという背景がある。現在もなお改良が続けられ、日本でもサービス検索や道順検索ではそれなりの品質に仕上がりつつあるが、都市部で重要な乗り換え案内サービスが不十分など、やはり日々の利用には厳しい状態だ。北米ではプラットフォームごとにくっきりと明暗が分かれたが、それ以外の地域ではまだ差が埋まるのに時間がかかるかもしれない。
2015年12月11日Appleは12月8日(米国時間)、iOS 9のアップデート「iOS 9.2」をリリースした。アップデートすると、Apple MusicやiBooks、アクセシビリティの機能が改善され、数多くのバグ修正が行われる。Apple Musicでは、曲をプレイリストに追加する際に新しいプレイリストを作成できるようになった。iCloudダウンロードボタンをタップしてiCloudミュージックライブラリからアルバムやプレイリストをダウンロードでき、「マイミュージック」と「プレイリスト」では各曲の横に表示されるインジケータで曲のダウンロード状態を確認できる。また、Apple Musicカタログでクラシック音楽をブラウズする際に、作品、作曲者、演奏者が表示される。iBooksは3D Touchに対応し、目次、メモ、ブックマーク、そしてページ検索の結果からページのPeekとPopを行えるようになった。アクセシビリティは、画面スリープ解除のVoiceOverと、3D Touchジェスチャーを使ったアプリスイッチャーを起動するVoiceOverをサポートする。これらのほか、メールがMail Dropを使った大きなファイルの送信に対応、Newsアプリ(米、英、オーストラリアで利用可能)にトップ記事セクションが設けられ、Siriの対応言語にアラビア語が加わった。バグ修正によってSafariとPodcastの安定性が向上し、以下のような問題が修正される。一部のPOPメールアカウントを使用するユーザーがメール添付ファイルにアクセスできなくなる問題添付ファイルがメール本文と重なる問題古いiCloudバックアップから復元するとLive Photosがオフになる問題連絡先で検索結果が表示されない問題カレンダーの週表示でいくつかの曜日が欠ける問題iPadのカメラでビデオ撮影時に画面が真っ暗になる問題ヘルスケアでデータが表示されない問題Walletのアップデートとロック画面の通知が表示されない問題iOSをアップデートするとアラームが鳴らなくなる問題一部のユーザが「iPhoneを探す」にログインできない問題手動でのiCloudバックアップが完了しない問題iPadキーボードの使用時に突然テキスト選択モードに切り替わる問題カメラを使った顔認識時のVoiceOverの問題通話終了時のアクセスガイドの問題画面の読み上げ速度の問題
2015年12月09日米Appleは12月3日(現地時間)、プログラミング言語「Swift」をオープンソースソフトウエアとして公開した。Swift.orgのWebサイトを開設、オープンソースのSwiftプロジェクトを開始した。同社は今年6月にWWDC15の基調講演でSwift 2を発表し、Swiftをオープンソース化する計画を明かした。Swiftは「Swiftコンパイラ」、REPLを含む「LLDB」、「Swift標準ライブラリ」といった複数のプロジェクトで構成されており、さらに3日に「Coreライブラリ」プロジェクトと「Swiftパッケージマネージャー」プロジェクトが追加された。Swiftプロジェクトの拠点となるのがSwift.orgである。全てのソースコードがホストされているGitHubサイトなどリソースへのリンクがまとめられ、メーリングリストやSwift開発環境を整えるための情報ページなどコミュニティを支援する場になっている。また、WWDC15で予告していたようにLinux用のポートもリリースした。現時点で対応するアーキテクチャはx86-64のみで、Ubuntu向けのバイナリも用意されている。Swiftチームは「ポート作業はまだ進行中だが、テストしてもらえるようになったことに満足している」と述べている。SwiftはObject-Cとの相互運用を特徴とするが、Swift on LinuxはObjective-Cランタイムに依存しないように設計されており、Objective-Cがなくともコアライブラリを利用できる。そのため、Swift言語および標準ライブラリはAppleプラットフォームとほぼ共通の実装とAPIになるものの、ふるまいが異なる点もある。Appleはまた、2016年春にリリースする予定の「Swift 2.2」と同年秋にリリースする計画の「Swift 3.0」に関する情報も公開した。Swift 2.2は、バグ修正とQoIの向上を目的としたマイナーアップデートになる。Swift 3は、Swift言語と標準ライブラリのバイナリインターフェイスを安定させるために一部で大幅な変更が行われる。たとえば、APIデザインガイドラインに従って標準ライブラリとコアライブラリがアップデートされる。
2015年12月04日米Appleが2018年にも同社iPhoneに有機ELディスプレイ(OLED)技術を採用すべく、複数の部品メーカーらに通達を出したというニュースが話題になっている。実際にiPhoneは既存の液晶ディスプレイ(LCD)からOLEDへと置き換えられていくのだろうか。同件は日本経済新聞が報じている。また、同じ内容で英語版にあたるNikkei Asian Reviewで全文が公開されているので興味ある方は確認してほしい。それによれば、Appleは2018年にも登場するiPhoneにOLEDを採用する計画で、同技術への適合や増産に向けた投資を打診しているという。実際、すでにサプライヤの1社であるLG DisplayがOLED増産に向けた設備投資を表明している。ただし、スマートフォン等で利用される中小型のOLEDパネルは、AMOLED方式を採用するSamsungが圧倒的シェアを獲得しており、同社Galaxyシリーズに全面採用している。一方でLG DisplayのOLED増産はTV向けの大型パネルも含んでいるが、iPhoneを含む世界のスマートフォンでの採用を見込んだ中小型パネルの外販を目指しているとも考えられ、OLED開発競争が加速する可能性がある。現行iPhone向けのLCDパネルサプライヤとしては、上記2社のほか、日本のシャープとジャパンディスプレイ(JDI)の2社がいる。日経新聞の同報道を受け、日本時間で11月26日は売上損失懸念から両社ともに株価が急落している。JDIは、産業革新機構(INCJ)、ソニー、パナソニックの3社とともにJOLED(ジェイオーレッド)というジョイントベンチャーを設立し、2017年以降をめどにOLED製品の開発と量産を発表しているが、現時点ではモニター向けの中型パネルやサイネージなど、すでにスマートフォン向けで大きなシェアを握るSamsungらとは直接競合しにくい領域を選択している。もし今回の報道が事実であり、Apple側の要請を受けてiPhone向けの量産計画を立てるのであれば、その動向が注目される。このiPhoneでのOLED採用については、興味深いレポートをKGI SecuritiesのアナリストMing-Chi Kuo氏が、つい2週間ほど前に発表している。Mac Rumorsによれば、同氏はiPhoneでLCD向けバックライトを提供しているミネベアをはじめとするサプライチェーンらの情報を総合し、少なくとも今後3年間はAppleがiPhoneでOLEDを採用することはないと結論付けている。また、iPhone組み立ての主力企業であるFoxconnことHon Hai Precision IndustryがTFT LCDの製造ラインの大規模投資を行っており、この大量生産が2018年にスタートする見込みであることから、3年という期間を超えてもなお、既存のLCD技術をiPhoneで採用し続ける可能性があるとも分析している。2018年という部分が偶然にも一致した2つのレポートだが、その後の展開を巡っては両者の意見は完全に異なっていることになる。実際、2018年というのは年1回新製品がリリースされるiPhoneにおいて3世代先の話であり、どのディスプレイ技術が採用されるかは完全に未知数の世界だ。ただ、Appleの会計年度で2015年度時点ですでにiPhoneの世界販売台数は2億台を突破しており、もし今後も順調に7~10%程度の年率成長を果たしていくのであれば、2018年には2.45~2.66億台の年間販売台数に達する。仮に横ばいで推移したとしても、2億枚のパネル需要をOLEDで満たさねばならず、サプライヤの限られるOLED 1本にディスプレイ技術を絞るのは3年先の話とはいえAppleにとって大きなリスクになると筆者は考える。Appleは「Apple Watch」でOLED技術を採用しているが、未公表ながら必要パネル枚数は数百程度とiPhoneのボリュームに比べても著しく低く、その意味でのリスクはなかった。そのため、仮にOLEDを採用するのであっても、iPhoneのラインナップに応じて同じ世代でディスプレイ技術を使い分ける可能性もあるのではないかと予想する。
2015年11月26日iPad Pro専用のデジタルペン「Apple Pencil」の価格がオークションサイトで高騰しているようだ。Appleオンラインストアでの価格は税別11,800円だが、「ヤフオク!」では、倍以上の価格が入札されている。オンラインのApple Storeでは、「Apple Pencil」の出荷は4週間から5週間となっており、品薄状態が続いている。Apple Store実店舗でも同様で、Twitter上では、ストアに行ったが品切れだったとするツイートが散見される。そうした人気からか、「ヤフオク!」では、新品未開封の「Apple Pencil」が22,000円から30,000円ほどで入札されており、直販価格の倍以上の値段を払っても欲しいというユーザーが数多く見られる。このまま品薄状態が続けば、今以上の価格高騰もありえるかもしれない。「Apple Pencil」は、圧力センサーと傾きセンサーに加え、新しいMulti-Touchサブシステムを備えたiPad Pro専用のデジタルペン。充電はLightningコネクタによって行う。
2015年11月24日Appleは17日、同社独自のSIMカード「Apple SIM」の国内販売をApple Store各店舗で開始した。価格は税別600円。Apple SIMは、携帯キャリアより提供されるSIMを適時入れ替えることなく、サービスメニュー上でキャリアを選択するだけで当該キャリアへの接続が可能になるApple独自のSIMカード。世界90以上の国と地域で利用でき、端末上から現地の通信キャリアやデータプランを選択・購入できる。対応機種は、iPad Pro Wi-Fi+Cellularモデル、iPad Air 2 Wi-Fi+Cellularモデル、iPad mini 4 Wi-Fi+CellularモデルおよびiPad mini 3 Wi-Fi+Cellularモデル。日本の通信キャリアは、KDDIが対応を表明している。
2015年11月17日米Wall Street Journalの11月11日(現地時間)の報道によれば、米Appleは個人間送金サービスの提供のため銀行各社との協議を進めているという。モバイル端末やPCを使った個人間送金の仕組みは海外では主要な金融サービスの1つとなっているが、もし同社がこうした金融サービスに参入すれば、すでに存在するiPhoneのシェアとも相まって、PayPalをはじめとする既存のサービス事業者ひしめく市場に一定シェアを獲得する可能性がある。WSJではAppleとの交渉相手としてJ.P. Morgan ChaseやCapital One、Wells Fargo、U.S. Bancorpなどの名前を挙げ、多数の金融会社が交渉テーブルに乗っていることを示唆しているが、一方で交渉自体が流れる可能性も指摘しており、サービス開始のタイミングも含めて未知数のことが多い。また、もしサービスが提供される場合は現在PayPal傘下のVenmoのようなサービス形態になるとも指摘しており、若者を中心に急成長中のベンチャー企業のサービスを参考にAppleが送金機能を同社プラットフォームに実装してくることになるかもしれない。2014年にApple Payの提供を開始し、今年2015年には最新のiOS 9でロイヤリティカードなどクレジット/デビットカード以外のカード情報を包含して総合的な"ウォレット"サービスへと進化させたAppleだが、おそらく次の目標はApple Payの対応パートナー拡大とともに、金融サービスそのものの拡充に向かうと考えられる。「P2P決済」や「P2P送金」と呼ばれる個人間送金の仕組みはインターネットを使った金融サービスでも最も基本的なもので、例えばPayPalが2000年代初期に急成長を実現したのはeBayのオークション利用における個人間送金サービスにあったといわれる。欧米では少額のやり取りのほか、親が子供に一定金額を渡す仕組みなどに活用されているとされるが、新興国ではそもそも銀行口座を持っていない国民が多く、携帯電話の普及が先行したことでモバイル端末を使った個人間送金の仕組みが発達している。こうした新興国ではモバイル端末のSMS機能などを使って一定金額を相手に送ることが可能で、出稼ぎでの家族への送金や各種料金の支払いで活用が進んでいる。最近でこそLine Payなどが登場しているものの、日本ではマネーロンダリング関連の規制もあり、長らくインターネットを活用した手軽な個人間送金サービスは提供されてこなかった。本来、モバイル端末を使った個人向け金融サービスといえば、おサイフケータイのような仕組みよりもむしろ、この個人間送金が主流と考えられるくらい、世界においては重要なサービスだといえるこのように個人間送金の仕組みが過去15~20年ほどで大きく発達してきたものの、米国ではいまだに小切手や現金を使った個人間送金の比率が高い。銀行の提供するオンラインバンキングやアプリを活用する例もあるが、まだ既存の伝統的なサービスを置き換えるには至っていない。個人間送金の代表的なサービスとしては前述PayPalやVenmoのほか、Squareのような決済プラットフォーム、Apple PayのライバルにあたるGoogle Wallet、SNSのFacebookなどが挙げられる。ただ、伝統的にシェアを伸ばしてきたPayPalやシェアを急拡大させているVenmoに比べれば、大きく市場を拡大するには至っていない。Appleの個人間送金サービスに期待されるのは、こうした市場のさらなる開拓だ。個人間送金は大きな金額のやり取りだけでなく、少額での現金を使わないやりとりに活用できる。例えば米国ではチップの支払いや割り勘、青空市での買い物など、モバイル端末同士のやり取りだけで実際に現金を持たずとも金銭を融通できる。ある意味で、クレジットカードなどをつかって買い物をするよりも細かいやり取りが多く発生するため、使い勝手しだいでは利用頻度はApple Payよりも多くなるかもしれない。
2015年11月16日Appleは13日、同社の直営店Apple Storeで12.9インチタブレット「iPad Pro」の店頭販売を開始した。取り扱いが始まったモデルは、Wi-FiモデルとSIMフリーのCellularモデルで、価格は税別(以下同)94,800円から。Apple Store 表参道では、1階にiPad Proを展示するコーナーが設けられており、ストアの開店時間と同時に、人だかりができていた。iPad Proは、米Appleが9月に開催したスペシャルイベントで発表し、11月の発売を予告していた新型iPad。iPad史上、最大となる12.9インチのディスプレイを搭載しながらも、厚さ約6.9mm、重量約713g(Wi-Fiモデル)と、見た目以上にスリムなボディとなっている。性能面では“Pro”と名が付くだけあって、「iPad Air 2」の2倍近いCPUパフォーマンスを誇るA9Xチップを搭載する。これにより、3Dデザインの作成・レンダリング、4Kビデオのマルチストリームの編集といった作業でもスムーズに行えるという。さらに、専用のアクセサリとしてスタイラスペン「Apple Pencil」、キーボードカバー「Smart Keyboard」も別売りで用意される。こちらも、iPad Proの隣に展示されており、Apple初の純正スタイラスペンやキーボードカバーをいち早く試してみたい人が集まっていた。Apple Store 表参道の地下1階には、「Smart Cover」や「シリコーンケース」などおなじみのアクセサリも数多く並んでいた。iPad Proの価格は、Wi-Fiモデルの32GBが94,800円、128GBが112,800円、SIMフリーのWi-Fi+Cellularモデル(128GB)が128,800円となっている。
2015年11月13日