1986年にフランスで発表され話題を呼び、40以上の言語に翻訳されるに至った小説『悪童日記』。日本でもベストセラーとなった同小説は、トマス・ヴィンターベアら名だたる監督による映画化の話が幾度も浮上しながら消えるなど、様々な要因が重なり、いつからかこういわれていた。“映像化不可能”と。その難題といえる映画化をハンガリーのヤーノシュ・サース監督がやり遂げた。その他の写真映画化が頓挫してきた原作への挑戦。まず、この試みに臨んだ理由を監督はこう明かす。「とにかく僕はリスキーなテーマや題材に挑むことが好きなんだ。また、両親がユダヤ人強制収容所からの生還者で。一度、戦争にきちんと向き合いたかった。『悪童日記』はそのふたつのテーマにトライできる。だから、いつか自分にチャンスが巡って来ると信じていたんだ」ハンガリー出身の亡命作家、アゴタ・クリストフの原作は舞台となる町の名も主人公の出身地も特定されていない。その中で、監督はハンガリーが舞台のハンガリー人の物語として描いた。「アゴタが自身の体験が基になっていることは明確。だから、アゴタ本人に会ったとき、僕はこう切り出した。『これはあなたの記憶と体験を綴った物語。ですから、ハンガリー語でハンガリーを舞台に描きます』と。そのとき、彼女は『そのとおりよ』といってね、すごく喜んでくれたよ」物語の主人公は第二次大戦末期、首都ブタペストから田舎町の祖母宅に疎開した双子の兄弟。ナチスの侵攻、ユダヤ人差別、貧困など、国が混迷を極める中、彼らが身を持って体験する過酷な現実が描かれる。中で鮮烈な印象を残すのが双子を演じた子役の二人。実は演技経験のない素人を起用した。「死と隣り合わせの戦時下を生き抜く兄弟を体現できる子役を現代から探し出すのは至難の業で。ハンガリーのすべての学校に電話して、奇跡的に出会ったのがアンドラーシュとラースローのジェーマント兄弟だった。実際に彼らは貧しい村の出身で。劇中の兄弟同様に肉体労働の経験もあった。ありのままでいてほしかったからあえて演技指導はしなかったよ」作品はチェコのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でグランプリを獲得など世界各国で高い評価を得ている。「各国ともに若い人たちがこの映画を支持してくれね。“この兄弟の境遇は他人事ではない”と現代の社会に重ねて語る若者がすごく多い。僕は受賞よりもそのことがうれしい。日本の若者にもぜひ観てもらいたいね」『悪童日記』10月3日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、シネマカリテほかにて公開取材・文・写真:水上賢治
2014年10月02日(画像はプレスリリースより)ヴァントルテ公式サイトがWEBカタログをリリースミネラルファンデーション「VINTORTE(ヴァントルテ)」が公式サイトでWEBカタログをリリースした。カタログ掲載はシルクパウダーミネラルファンデーション、SPF50+PA++++UVミネラルファンデーション、美容液リキッドミネラルファンデーション、京繭シルク×米デンプン×コメ発酵液×酒粕洗顔フォームの4製品。いずれも初回限定で送料無料。サンプルや泡立てネットがついているものがある。価格は定価が5,000円以上のものが1,800円。3,000円以上のものが1,600円(すべて税別)ヴァントルテ通信販売専門のsoarのブランド。コンセプトは「お肌によいものだけを贅沢に使用し、高品質な商品を長く使い続けていただける価格でご提供させていただきます。」(ホームページより)国産にこだわり、容器代やパッケージを最小限にしてコンセプトを実行。パウダーファンデーションには詰め替え用を用意するなどコストの削減につとめている。【参考】・ヴァントルテプレスリリース(PR PRESS)・ヴァントルテWEBカタログ
2014年05月19日ライフィートはこのほど、小説付きレトルトカレー「華麗なる小説」を発売した。○東京の文化流行を取り入れた"小説付き"ご当地カレー同商品は、有数の古書店街・神田神保町の「カレーと本」の文化流行をパッケージした商品。味へのこだわりはもちろん、付属小説やパッケージにも気を配り、東京の新しいご当地カレーとして、お土産や贈答品として活用できるよう、また幅広い年齢層が楽しめるように開発したという。カレーは、180g。日本人になじみのあるルウカレーと、幅広い世代に人気のあるキーマカレーの良さをバランスよく配合、鶏ひき肉を多く使って旨みを引き出し、あらゆる年齢層が楽しめるように適度にスパイスを効かせた中辛味とした。また、本を読みながら食べることをイメージし、冷めてもおいしく食べられるように風味にもこだわったという。付属の小説は、夏目漱石(夢十夜)、宮沢賢治(注文の多い料理店、他1編)、芥川龍之介(羅生門、他2編)、太宰治(走れメロス、他1編)など、日本を代表する文豪の短編小説を中心に収録。いつでもどこでもすぐに読めるよう、持ち運びにも便利な、市販の文庫と同サイズとした。小説は現在4種類あり、作家/作品は今後も追加予定となっている。販売価格は、648円。現在、Webサイトほかにて購入することが可能となっている。
2014年04月09日突然ですが、官能小説を書いてみたことがありますか?おそらくですが、ありませんよね。「どんなセリフや服装、仕草よりも、女性の書く官能小説ほど男性をムラムラさせるものはありません」こう語るのは、元人気グラビアアイドルでありながら、今月『キレイになりたくて』(双葉文庫)を発売し、官能小説家デビューを果たした小阪由佳さん(写真)。今回は小阪さんに、初心者でも簡単に実践できる、官能小説の書き方を伺います。みなさんも実際に官能小説を書いて、彼氏や気になる男性に見せてみてください。突然現れたあなたの壇密顔負けの色気に、きっとカレはボルテージが一気にMAXになってしまいますよ。■1.まずはお勉強「まずは官能小説なるものが一体どういうものなのかを知らなくてはいけません。そのために、本屋さんで、官能小説を一冊選び、恥ずかしがらずに購入しましょう。一通り読めば、“官能小説ってこういうものなんだ!”という雰囲気が掴めます。どうしても手にとって購入するのが恥ずかしい場合、アマゾンなどのネットショッピングを使うのもよいかもしれませんね」これは実に大切なステップ。官能小説を書く前に、まずは読んで、カラダの奥底から溢れる性欲を感じましょう。これが官能小説を書く際のエネルギーになりますから。■2.経験を元にし過ぎない「エッチな場面を書くとなると、初心者がついやってしまいがちなのが、自分の経験を元にノンフィクション風に書いてしまうことだと思いますこれではリアリティがある反面、ファンタジーに欠け、イマイチ読んでムラムラきません」それに、変にリアリティがあると、カレに見せた場合“お前ってこんな体験したことあるんだな・・・・・・”とドン引きされてしまい兼ねませんしね。■3.想像力をフル活用する「自分の経験を頼りにしないとなると、当てにできるのは想像力のみです。是非、頭の中のムラムラ・スイッチをONにして、想像力を働かせましょう。自分がやってみたいプレイを自由に書けることが官能小説の醍醐味です」これは非常に大切なステップ。カレに読ませれば、“こいつはこんなプレイに興味があるんだな。フムフム・・・・・・ムフフ・・・・・・”と、こっそりカレに、挑戦してみたいプレイを伝えることができますよ。■4.読み返して恥ずかしいくらい大胆に書く「官能小説を書くのは、人前で水着姿になっていたグラビアアイドルの私でも、恥ずかしいものがあります。外見より内面を出す方が恥ずかしいですからね。だからといって、中途半端な表現では読んでもムラムラこないのが官能小説。喘ぎ声や体位もはっきりと大げさなくらいに描写しましょう!」これも官能小説を書くときには重要なことです。あとから読み返して恥ずかしいくらいの表現が、官能小説には丁度いいのです。■おわりにいかがでしたか?カレのために書く官能小説は、いわば少しピンクなラブレター。恥ずかしいのは百も承知で、それでも勇気を出して素直に書いてみてくださいね。きっとベッドの中でのカレに大きな変化があるはずですよ。(小川沙耶/ハウコレ)※取材協力小阪由佳85年生まれ。元グラビアアイドル。2009年にグラビア界を引退後、美容専門家に。現在は、『(株)リバイバルミーティング』の代表を務めている。オフィシャルブログ「recovery」。2013年8月『キレイになりたくて』(双葉社)で官能小説家デビュー。二十歳のグラビアアイドルの女の子が、とにかく売れたい、と無我夢中になって業界に染められ、色々な男性と交わる話が話題を呼んでいる。
2013年08月27日ケータイ、スマホ、電子書籍端末などでも小説が読める時代になりました。文字だけで私たちを楽しませてくれる「小説」は最もお手軽で、しかし深みもあるエンターテインメントではないでしょうか。今までにあなたを感動させた小説はありますか?その小説は何でしょうか? マイナビニュース会員に聞いてみました。調査期間:2012/10/25~2012/10/28アンケート対象:マイナビニュース会員有効回答数 916件(ウェブログイン式)■あなたは今までに読んで感動した小説はありますか?はい232人25.3%いいえ684人74.7%まず「感動した小説があるか」を聞いてみました。約25%、1/4が小説で感動した経験があるとのこと。一番感動させてくれた小説は何か、またどんな点に感動したかを聞きました。結果、票が大変に割れました。一番票数を集めた小説でも6票でした。小説に関しては好みが非常に分かれるようです。代表的な意見と共にご紹介します。●『ノルウェイの森』著者:村上春樹別れようと思っていた恋人となぜかやり直してもいいかなと思ったきっかけになった。(京都府/女性/29歳)同回答が合計6人。今やノーベル文学賞の本命となっている村上春樹さんの代表作。ファンが多い作品として知られています。●『西の魔女が死んだ』著者:梨木香歩子供向けの小説ながら奥が深く、主人公とおばあちゃんの言葉が心に響くから。(栃木県/女性/28歳)同回答が合計6人。日本児童文学者協会新人賞を受賞しています。児童文学の新しい傑作です。●『塩狩峠』著者:三浦綾子利己的に生きるのではなく、利他的に生きるところ。(東京都/男性/29歳)同回答は合計5人。実際に起こった鉄道事故を元に、クリスチャンである三浦綾子さんが「自己犠牲」をテーマに描いた古典的な名作です。●『いま、会いにゆきます』著者:市川拓司純粋で温かい物語だったところ。(兵庫県/女性/27歳)同回答は合計5人。メディアミックス展開で大成功を収めた小説。映画は2004年に公開されています。●『手紙』著者:東野圭吾人間同士の温かいきずなに触れた。(東京都/男性/42歳)同回答は合計4人。毎日新聞に連載され、単行本になるや第129回直木賞候補になったベストセラー。●『容疑者Xの献身』著者:東野圭吾見返りを求めない、こんなに深い愛があるものかと感動しました。(広島県/女性/29歳)同回答は合計4人。ミステリー小説です。映画化もされて大々的に宣伝されたので、読んでなくても知っている人が多いのでは。それにしても東野圭吾さんの小説は人気がありますね。●『白夜行』著者:東野圭吾読んだ後の余韻を残すうまさ。(大阪府/女性/30歳)同回答は合計4人。これまたベストセラーになった東野圭吾さんのミステリー。2006年にはテレビドラマ化。2011年には映画化されました。●『恋空』著者:美嘉まだ若い自分が好きな人をおいて死んでしまう。(富山県/男性/31歳)同回答は合計3人。元はケータイ小説で、美嘉さんのデビュー作でもあります。2006年に書籍化されてベストセラーになりました。●『星の王子様』著者:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ読んでいて純粋な気持ちになった。(大阪府/女性/23歳)同回答は合計3人。児童文学史に残る永遠の名作。大人になってから読むと、また別の感動が心に広がります。●『アルジャーノンに花束を』著者:ダニエル・キイス人間にとっての幸せってなんだろうと考えさせられるところ。(栃木県/男性/39歳)同回答は合計3人。SF小説の傑作です。映画化された際の邦題『まごころを君に』は、あの『エヴァンゲリオン』に引用されています。●『罪と罰』著者:フョードル・ドストエフスキー主人公が殺人を犯してもその男を愛した女が彼の送られるシベリアまでついて行って彼をずっと見守っていたところ。(熊本県/男性/29歳)同回答は合計3人。長いことでも有名なロシア文学の古典です。ロシア文学は登場人物の名前を覚えるのも大変なんです。長いので。●『おおつごもり』著者:樋口一葉人間の業を見事に描いているから。それも24歳の女性の作品であるから。(東京都/男性/45歳)樋口一葉と言えば今や5千円札の人。彼女は夭折しましたが偉大な文学者でした。今読んでみるとみずみずしい筆致に驚かされます。●宮部みゆきさんの小説全般人物描写の匠(たくみ)さと、目に浮かぶような情景描写のテクニックには嫉妬(しっと)心さえ浮かびます。(東京都/男性/37歳)宮部みゆき作品で「これ」という票をたくさん集めたものは残念ながらありませんでした。しかし、「全部好き」という回答がこの人以外にも。さすがベストセラー作家ですね。熱い支持者がいます。この記事を読んでいるあなたが感動した小説は何でしょうか?(高橋モータース@dcp)
2013年01月13日推理小説を執筆する際に、守らないといけないルールというのが実は存在します。「推理小説が大好き!」という人なら知っていると思いますが、、たまに読む人やあまり読まないという人はもしかするとそんなのがあることさえ知らないかもしれません。今回は、そんな推理小説のルールを紹介します。とはいえ、そのルールを絶対に守らないといけない!という訳ではありませんし、推理小説を書く際の入門的なものだと考えてもらえると幸いです。まずは『ノックスの十戒』から紹介しましょう。ノックスの十戒とは、1928年に推理小説家のロナルド・ノックスが発表した推理小説を書く際の入門的なルールです。1.犯人は物語の最初の部分から登場している人物でなくてはならない。いきなり最終局面で「実は私が真犯人なのだフハハハハ!」などといきなり知らない人物が登場したらダメですもんね(笑)。2.探偵方法に超自然的な能力を用いてはいけない。時間を巻き戻せたりしちゃうと簡単に犯人が分かってしまいますし……。3.犯行現場に秘密の抜け穴や秘密の通路が2つ以上あってはならない。1つだけあるのはOKだそうです。4.未発見の毒薬や難解な科学的説明が必要になるような器具を用いてはならない。読者が推理できないような空想上の薬物や、ドラえもんの秘密道具などのトンでもアイテムが登場してはいけない、ということですね。5.中国人を登場させてはならないこのルールが発表された当時は、中国人は神秘的、または超常現象的な力が使えると考えられていたそうです。6.偶然や第六感によって事件を解決してはならない。適当に犯人の名前を挙げたら正解でした、めでたしめでたし。という展開は確かに寒いですよね(笑)。7.探偵自身が犯人であってはならない。そりゃそうだ(笑)。ただし、探偵が事件を解決に導くために犯人を装うというのはアリだとか。8.事件を読者がわからないような手がかりによって解決してはならない。読者に推理できる証拠はすべて明らかにしないといけない、ということでしょうね。9.ワトソン役(物語の語り部)は自分の判断や見解をすべて読者に伝えないといけない。これも9番目と同じく、推理の判断材料をちゃんと提示せよ、ということのようです。10.双子の登場人物、または一人二役の変装などは予め読者に知らされなければならない。出すならちゃんと読者にも知らせろ、とそういうことですね。ノックスの十戒は以上です。次に、ノックスの十戒と並んで有名な推理小説を書く際のルールが、『ヴァン・ダインの二十則』です。これは推理作家のS・S・ヴァン=ダインがノックスの十戒と同じ1928年に発表したもの。少し長いですが、おつき合いください。1.事件の謎を解く手がかりは明白に記述されていなくてはならない。読者に謎の手がかりなどはあってはいけないということで。これはノックスの十戒と同じですね。2.作中の人物が仕掛けるトリック以外に、作者が読者を騙すような記述をしてはいけない。読者のミスリードを誘ういわゆる「叙述トリック」というものですが、ヴァン・ダインはこの叙述トリックがあまり好ましくなかったそうで、こういったルールを入れたそうです。3.余計なラブロマンスを付け加えて知的な物語の展開を混乱させてはいけない。ミステリーの課題は、犯人を正義の庭に引き出すことであり、恋に悩む男女を結婚の祭壇に導くことではない。確かに推理小説を読んでいるつもりがいつの間にか恋愛小説になってたら驚きますよね(笑)。4.探偵自身や捜査員の1人を突然犯人にしてはいけない。これは恥知らずのペテンである。これはノックスの十戒にもありましたよね。5.犯人は論理的な推理によってしなければならない。偶然や暗合、動機のない自供によって解決してはいけない。これもノックスの十戒にありました。テキトーな推理で偶然犯人が分かる、などは持っての他ということですね。6.探偵小説には必ず探偵役が登場して、その人物の捜査と一貫した推理によって事件を解決しなければならない。誰も推理しなかったら物語は進みません。非常に基本的なことですね。7.長編推理小説には死体が絶対に必要である。殺人より軽い犯罪では読者の興味を持続できない。殺人と窃盗で比べると、解決することの重要性などが違ってきますね。8.占いとか心霊術、読心術などで犯罪の真相を告げてはならない。ちゃんと自分の頭で推理しろってことでしょうか。9.探偵役は1人が望ましい。1つの事件に複数の探偵が協力し合って解決するのは推理の脈絡を分断するばかりでなく、読者に対して公平を欠く。それはまるで読者をリレーチームと競争させるようなものである。読んでいる人も1人の探偵の目線の方が読みやすいかもしれませんね。10.犯人は物語の中で重要な役を演ずる人物でなくてはならない。最後の章でひょっこり登場した人物に罪を着せるのは、その作者の無能を告白するようなものである。仰るとおりで(笑)。11.端役の使用人等を犯人にするのは安易な解決策である。その程度の人物が犯す犯罪ならわざわざ本に書くほどの事はない。要するに犯人役にはちゃんとした重要性を持たせろということですね。12.作中にいくつもの殺人事件があっても、真の犯人は1人でなければならない。ただし端役の共犯者がいてもよい。真犯人が何人もいるのは推理する読者も困惑してしまうかもしれませんね。でもグループ犯などもありますし、今はこの限りではないのでしょうね。13.冒険小説やスパイ小説なら構わないが、探偵小説では秘密結社やマフィアなどの組織に属する人物を犯人にしてはいけない。非合法な組織の保護を受けられるのでアンフェアである。あまりにも強大な力がバックにあると、探偵側が手も足も出なくなっちゃうからでしょうか。14.殺人の方法と、それを探偵する手段は合理的かつ科学的であること。空想科学的であってはいけない。毒殺の場合なら、未知の毒物を使ってはいけない。これもノックスの十戒にありましたね。15.事件の真相を説く手がかりは、最後の章で探偵が犯人を指摘する前に、作者がスポーツマンシップと誠実さをもって、全て読者に提示しておかなければならない。ノックスの十戒にあるように、推理の手がかりはちゃんと読者に明かしなさい、ということです。16.よけいな情景描写や、わき道にそれた文学的な饒舌は省くべきである。物語の筋と関係ない余計なパートは入れるな、ということのようです。17.プロの犯罪者を犯人にするのは避けること。それらは警察が日頃取り扱う仕事である。真に魅力ある犯罪はアマチュアによって行われる。13番目と同じように、探偵役が手も足も出ないような人物を犯人にしてはいけない、ということですね。18.事件の結末を事故死とか自殺で片付けてはいけない。こんな結末は読者をペテンにかけるようなものだ。そんなオチだったら読者は「今までの推理はなんだったんだ!?」と唖然となりますね。19.犯罪の動機は個人的なものがよい。国際的な陰謀とか政治的な動機はスパイ小説に属する。要するに、探偵役の手に負える範囲で……ということですね。20.自尊心のある作家なら、次のような手法は避けるべきである。これらは既に使い古されたものである。・犯行現場に残されたタバコの吸殻と、容疑者が吸っているタバコを比べて犯人を決める方法・インチキな降霊術で犯人を脅して自供させる・指紋の偽造トリック・替え玉によるアリバイ工作・番犬が吠えなかったので犯人はその犬に馴染みのあるものだったとわかる・双子の替え玉トリック・皮下注射や即死する毒薬の使用・警官が踏み込んだ後での密室殺人・言葉の連想テストで犯人を指摘すること・土壇場で探偵があっさり暗号を解読して、事件の謎を解く方法簡単に言うと、ありきたりなものは使うな、ということのようで(笑)。以上が、推理小説を書く際のルールと呼ばれているものです。1928年に発表されたものですので、今では「ちょっと意味がわからないです」と思ってしまうものもありますね。ただ、本当に基本的なルールも含まれているので、「推理小説を書いてみたい!」という人は、まずこれらを参考にしてみるのもいいかもしれませんね。(貫井康徳@dcp)
2012年11月17日累計5000億円を運用してきた元ファンド・マネージャーが、その膨大な知識と経験を生かし、これまでになかったマネー小説を、Web上で執筆します。掲載最初の週である先週は平日毎日更新しました。今週からは週1回の更新となります。女性インタビュアーは柏木の発言を受けて、さらに質問をした。「確かに米国は構造的に難しい状況に陥ったかもしれませんが、それに代わる成長のエンジンは生まれたのではないでしょうか? 中国や新興国はそうなってはいませんか?」柏木は軽く微笑みを作ってから答えた。「エンジンのひとつであることは否定しません。12億の人口を持つ国が豊かになるプロセスが世界経済に好影響を与えることは間違いありません。しかし、あの国は米国とは経済構造が違います。米国は内需成長型の国ですが、中国は外需成長型です。つまり、輸出に大きく依存している。将来のどこかで内需型に転換がなされるかもしれませんが、10年以内には不可能でしょう。それに貯蓄率も高い。つまり個人が消費に向けるエネルギーはまだまだ少ない。世界を見回して米国と同じ内需型になっている新興国は……ブラジルだけですね。ブラジルが米国の代わりになれば成長のメイン・エンジンになるでしょうが、まだまだその規模は小さい。それを考えると……」柏木はそこまで言うと視線を落とし少し淋しげな顔つきになった。自分の表情から結論を読み取って欲しいという態度に思われた。その後も質疑応答は繰り返された。特にユーロ圏の信用問題に時間が費やされ、柏木は丁寧に答えていった。そして、話題は日本のことになった。「ユーロ圏の信用問題もあって通貨では円が長期的な上昇傾向を続けていますが、ミスター・カシワギはこれについて、どのようにお考えですか?」「為替は本当に難しい。どんな力学が通貨に働くかは永遠の謎と言っていいかもしれない。でも、マネーのプロとしてそんなことを言ってはいられないですよね」柏木は笑いながら言ってから続けた。「円という通貨を考えるには、逆説的な説明をしなくてはならないと考えています」一転、真剣な表情になった柏木にインタビュアーは小首を傾げた。「逆説的?」「為替、つまり国家が発行する通貨の価値が何によって決まるのか。あるべき姿として、国力によって通貨の強弱が決まるとしましょう。すると、円という通貨を発行している日本という国の国力は強くなり続けていることになりますね。でも、直感的にその等式は成り立たないとお感じになるでしょう?」「確かに日本経済の長期低迷とは異なりますね」「国力とは何で構成されているか? 私は、(1)政治力、(2)経済力、(3)軍事力、(4)ソフト・パワー、の四つの総合で構成されていると考えています。この考え方に異論はないと思いますが?」女性インタビュアーは頷いた。「ひとつずつ見てみましょう。(1)の政治力には外交力も含まれます。日本の現状は酷いものです。政権交代後は混迷の連続で外交面でも戦後最悪の状況を作り出してしまった。(2)の経済力は見ての通りです。バブル崩壊以降、失われた20年は30年になりかねない。(3)の軍事力は…周辺諸国の軍事増強の中で安全保障の米国頼みは否めません」「(4)のソフト・パワー、文化や芸術による対外発信力ですが…KAWAII以外に目立った発信は出来ていない。すると、総合的に見て日本の国力が下がっているのは明白です。では、何故日本が発行する通貨、円が上昇を続けるのか?」インタビュアーは身を乗り出し、柏木を見詰めた。「私は今の世界経済の状況は1930年代と同じ状況だと考えています。主要国が各々時間差でバブル崩壊を起こし、デフレ状態に陥っている。中国の不動産価格を見ても明確にバブル崩壊を起こしている。つまり、世界はデフレに陥ってしまっているのです。国内の消費や投資、つまり内需は伸びず、外需に頼るしかない。全ての国は何とか輸出を伸ばして外貨を獲得しようとする。その為に自国通貨を安くして輸出競争力を高めたい。そこに真の国力が働きます。1930年代に近隣窮乏化政策と呼ばれたものを、暗黙の裡に世界主要国は国力の発揮と共に採っています。つまり……」言葉を切ってから、柏木は厳しい口調で続けた。「国力の強い国の通貨が弱くなり、国力の弱い国の通貨が強くなる。そういう前提が今の為替マーケットを支配しているのです」「だから国力の弱まった日本の通貨、円が上昇していると……」「日本人として悲しいですが、それが事実です。中国は国力があるから自国通貨の人民元を安く維持できる。円ドルの過去の関係を御覧なさい。円は米国の意思によってその方向性は決まってきた。米国政府の意思、米国企業の意思、米国通貨当局の意思、その総合によって決まって来たのです。米国の力が世界の中で相対的に落ちる中でも米国に代わる国々の総合力が日本に勝っている。それが円を『強くする』バイアスをかけ続けるのです」「柏木さんは日本という国を一体、どのようにお考えですか? 日本への投資、低迷を続ける日本株への投資を、これからどのようにお考えなのでしょうか?」女性インタビュアーは真剣な面持ちで訊ねた。「あの国は……もう、ダメです」(イラスト : ミサイ彩生)【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年10月09日iPhoneに特化した雑誌「iPhone Magazine」から、おしゃれでこだわりのあるiPhoneアクセサリーを集めたWEBストア『iPhone Mag Store』がオープンした。iPhone Magazineは、毎月19日に発売されるiPhoneに特化した雑誌で、iPhoneを中心に取り扱い、誰でもわかりやすい内容が紹介されている月刊誌。今年9月12日にオープンしたウェブストア『iPhone Mag Store』は、発売されたばかりのiPhone5のアクセサリーもすでに多数ラインナップされており、普段手に入るようなアクセサリーではなくメーカーがこだわり抜いたアイテムをセレクト。世界のトップデザイナーやブランドとのコラボモデル、限定アイテムなどを豊富に取り揃え、お洒落なケースが並ぶ。コラボレーション第一弾は、「monro」、「ojaga design」、「KNIT」。独自開発されたテキスタルを使用したアイテムが話題のMonroとのコラボケースは、実際の生地をケースに貼り付けたレアスタイルで、ポップなカラーバリエーションが多数用意されている。レザーブランドのojaga designは、機種を問わず使用できるケースを制作。あたたかみのあるデザインで、フックもついているのでiPhoneのみならず様々な用途にも使用可能となっている。KITは、赤、白、青のトリコロールカラーが鮮やかなコラボケースが完成。プラモデル感覚で楽しめるアイテムとなっている。他にも世界各地のデザイナーとコラボレーションしたアイテムが随時登場する予定で、今後も様々なブランドとのコラボレーション企画が予定されている。・Monro × iPhone Mag Store限定コラボケース(iPhone4S用)\5,040・ojaga design × iPhone Mag Store限定コラボケース\11,550・KIT × iPhone Mag Store限定スペシャルカラー\2,980【iPhone Mag Store】元の記事を読む
2012年09月28日