ファイナンシャル・プランナー/ ライフデザインコーディネーター FPとして「自分らしい暮らしを自分でデザインする楽しみ」を学ぶ個別レッスンを開催。また、子育て中のママだからこそ知っておくべき・子どもに伝えたいマネーの知識をセミナーやワークショップで発信している。 ブログ
さて、 前回 は、ふるさと納税のしくみやメリットについてお話ししました。ふるさと納税のポータルサイトや便利な決済方法などがどんどん導入されているため、気軽に寄付が出来る環境が整っています。 今回は、2015年から改正されてパワーアップした、ふるさと納税の特徴についてお伝えしましょう。 ■2015年からの、ふるさと納税の改正点(1)控除額が約2倍に! 2015年から、ふるさと納税の控除限度額(=支払うべき税金から差し引かれる限度額)である「ふるさと納税枠」が、これまでの約2倍に拡充されました。2015(平成27)年1月1日以降に納付したふるさと納税から対象となります。 ふるさと納税枠については、収入やすでに受けている控除によって個人で異なりますが、おおよその目安として、以下のようになっています。 <扶養家族が配偶者のみで、給与所得者の場合のふるさと納税枠> 年収300万円 拡充前12,000円 → 拡充後23,000円 年収500万円 拡充前30,000円 → 拡充後59,000円 年収700万円 拡充前55,000円 → 拡充後108,000円 寄付先に複数の自治体を選ぶこともできるので、枠を上手に使えば、いろいろな地域の名物を楽しむことができますね。 自営業の方、住宅ローン控除を受けている方については、控除枠が異なります。ふるさと納税のポータルサイトにある計算シートや、お住まいの市区町村等で確認しましょう。 ■2015年からの、ふるさと納税の改正点(2)確定申告が不要に! 確定申告をする必要のない給与所得者がふるさと納税を行う場合、年間5自治体までの寄付であれば、申請書を寄付自治体に個別に郵送することで、確定申告が不要となります(ふるさと納税ワンストップ特例制度)。 これは、平成27年4月1日以降に行うふるさと納税が対象となります。ふるさと納税ワンストップ特例の適用を受ける方は、所得税からの還付は発生せず、個人住民税からの控除で税の軽減が行われます(ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う個人住民税が軽減されます)。 なお、5団体を超える自治体にふるさと納税をした方や、ふるさと納税の有無に関わらず確定申告を行う自営業の方などは、これまで同様に確定申告書への記載が必要となります。 自営業の人と比べて税金を自分で調整しづらいサラリーマンにとって、よりいっそう取り入れやすくなった「ふるさと納税」。決済方法もクレジットカード(ポイントも貯まります!)やYahoo!公金支払いも使え、思った以上に簡単です。 人気の品や季節限定のものなどもあるので、まずはどんなお礼の品があるかをチェックしてみてはいかがでしょう。 (参考) 総務省|ふるさと納税ポータルサイト
2015年04月30日昨年、 こちらの記事 で、会社勤めの方でも気軽にトライしやすい節税対策としてご紹介した「ふるさと納税」制度が、今年からさらにパワーアップしています。 ふるさと納税は、子育て世代のママたちにこそ活用してほしい制度です。どんなところがパワーアップしたのか、なぜママにおすすめなのか、それらを2回にわたって解説します。 ■なぜ、「ふるさと納税」がお得と言われるのか 名称が誤解を招きがちなのですが、ふるさと納税とは、自分のふるさと(故郷)とは関係なしに、「個人が応援したいと思う自治体を選び、納税ではなく寄付を行う」という制度です。 それなのになぜ「納税」と呼ばれるのかというと、寄付した額に応じ所得税・個人住民税が軽減されるからです。「本来納めるはずの税金をセーブできて、その分を自分の好きな自治体に寄付できる」制度だからそう呼ばれている、と解釈すると、わかりやすいかもしれませんね。 この、ふるさと納税がおトクと言われるのは、寄付先の自治体から、とても魅力的なお礼の品を贈ってくれる場合があるからです。では、どんなお礼がもらえるのか、そして、どれくらい税金が軽減されるのかを整理してみましょう。 ■ふるさと納税では、寄付しても自己負担額は2,000円だけ! 都道府県・市区町村に対してふるさと納税(寄付)をすると、寄付した金額のうち2,000円を超える部分については、一定の上限まで、原則として所得税・個人住民税から全額が控除、つまり、本来払うべきだった税金から差し引かれます。 ふるさと納税の控除額の上限部分については、2015年から枠が広がっているので、次回、その2で詳しくお伝えします。 ■産直グルメだけじゃない! パソコンや電動自転車、電化製品まで取り揃えたお礼の品 すべてではありませんが、ほとんどの自治体が準備に力を入れているのが、ふるさと納税へのお礼の品。最近は、ふるさと納税専門のポータルサイトがあるほどです。 ふるさと納税のポータルサイトを初めて見ると驚くかもしれません。各地の特産のエビやカニをはじめとする海産物やブランド肉、お米、高級フルーツや地酒、地域の工芸品や地元施設の利用券など、バリエーションも豊かで選ぶのに困るほど。人気商品は品切れになることもあります。 それに、なんと電動自転車やパソコン本体、人気の家電が選べる自治体も! 還元率はさまざまですが、寄付額のおよそ3割相当のお礼の品を贈ってくれるそうです。 仮に10,000円を寄付して3,000円相当のお礼の品を受け取った場合でも、実質の自己負担額は2,000円なので、そう考えると、かなりおトクなことがわかりますよね。 中には贈答品対応をしてくれる自治体もあるので、寄付金控除枠を活用して交際費を抑える、なんていうこともできてしまいますね。 しかし、ふるさと納税のお礼の品合戦が加熱するにつれて、「本来寄付なのにお礼目当てでいいのかしら」といった意見も、実はあります。ですが、私がママにこそ、このふるさと納税を活用して欲しいと思う理由は、そこにあるのです。 ■ママこそ、ふるさと納税を活用すべき理由(1)寄付したお金の使い途がわかる! ほとんどの自治体では、ふるさと納税で寄付されたお金の使い途を開示しています。たとえば、自然環境保護、歴史的な文化遺産の再生、商店街の振興、被災地支援など。 そのため、被災地支援目的でふるさと納税を行う場合、その中でも、復興のためなのか、遺児のための給付金なのか、自分の関心のあることに寄付金を使っている自治体を選ぶことができるのです。 個人の立場で公共事業に参加できる機会は、そう多くはないので、自治体の方針に関心を持つ貴重なきっかけになります。子育て世代がこうした関心を持つことは、非常に重要なことといえるでしょう。 ふるさと納税のポータルサイトでは、寄付金の使い途からも自治体を検索できます。プロジェクトの進捗などの詳細については各自治体のホームページに掲載されています。自分の家計から出たお金がダイレクトに地域の役に立つ、という実感を持つためにもぜひ一度目を通してみましょう。 ■ママこそ、ふるさと納税を活用すべき理由(2)お礼の品も地域の活性化につながるから 北海道の上士幌町には2014年度に約8億4,000万円の寄付金が集まったそうです。町長によると、 「たしかに納税額の半分はお礼の品を用意しなければならず、配送料など必要経費を考えると、町の税収としては納税額の35%程度しか残らない。それでも2014年度の町税が6.4億円の町にとって、ふるさと納税の財政的なメリットは大きい。さらにお礼の品はすべて地元の農産物であり、物流や印刷も地元業者を使う。その点で、地元にお金が『落ちる』仕組みになっている」とのこと。 ふるさと納税をした人が、お礼の品をきっかけにその地域の特産品を「次は購入しよう」、というリピーターとなったり、旅行先として現地に足を運んだりする場合もあるそうです。 それが、その土地の周知や自治体の創意工夫のモチベーションにもつながるのであれば、むしろ有意義なのではないでしょうか。 というわけで「お礼の品」や「税金の還付」という経済的なメリットからも、「地方行政への関心や関わり」という意義からも、ママにぜひ活用して欲しいふるさと納税。2015年からは、さらに活用しやすい仕組みが加わっているのです。詳しくは次回お伝えします。 (参考) 総務省|ふるさと納税ポータルサイト
2015年04月27日前回 は、消費税アップに伴う、税金関係の影響を中心に、マイホームの買い時について説明しました。今回は、そのほかの要素について考えてみましょう。 ■住宅ローンの低金利はいつまで続くのか? 現状、住宅ローン金利は過去最低基準といえるでしょう。すでにローンを組んでいる方にとっても、借り換えの好機といえそうです。 ただし、新規でも借り換えでも、住宅販売のチラシのシミュレーションによくある変動金利を組む場合は要注意。固定金利(返済期間中金利が一定なタイプ)より金利が低いため、当初の返済額は有利に思えますが、長い目で見れば、景気が徐々に回復していく中で、いつかは金利も上昇する可能性があります。 最長35年と長期に渡る返済期間中には、金利が上昇するリスクがあることを、しっかり認識しておきましょう。 ■オリンピック前が本当にマイホームの買い時なのか? すでに海外投資家からの需要を織り込んで都心のマンション価格が高騰していること、インフラ整備などで原料費や人件費の高騰が見込まれることなどがニュースで報じられるのを見ると、「早く買わなければ」という気持ちになるかもしれません。 ですが、増税前の駆け込みのタイミングは、期限内に買うことに気を取られ過ぎて、見積もりの交渉をする余裕がなくなってしまう可能性もあります。 過去には増税後に不動産価格が下がったという事例があったり、少子化によって長期的な需要の増加が見込みづらかったりすることを考えると、前回(1964年)の東京オリンピック時のように、日本全体の地価や不動産価額が上がるということは、2020年のオリンピックではないと考えるのが妥当です。 もしも、希望の物件が割高だと感じる時は、その理由を業者さんにきちんと確認しましょう。 ■ライフプランをしっかり立てておくことが、マイホーム購入を失敗しないコツ そして、マイホーム購入のタイミングを図る上で、何よりも欠かせないのが、ライフプランを立てることです。家の購入後に起こりうるライフプランを把握しておきましょう。 これから子どもが大きくなるまで、夫婦それぞれの働き方がずっと今のままとは限りません。それによる収入の変化、教育にかかるお金、返済期間によっては老後の収入のことなど、まずは今後起こりうる人生のイベントを書き出し、それを踏まえた上で、自分たちにとって、今が本当にマイホームの買い時なのかどうかを判断しましょう。 これらを把握せずに家を買うのは、たとえ増税前で金利も安く、住宅価格が割安であったとしても、おすすめできません。 繰り上げ返済を毎年行うはずが、子どもの進学で支出が増加した途端に不可能になり、老後の生活が破綻するというケースは、決して少なくありません。ただし、プランを立てておけば、そうした事態も回避することができます。 ■インパクトがあるのは、消費税の2%増よりも、ローンの金利1%アップ 私がファイナンシャルプランナー(FP)として「今は買い時か」と聞かれたら、もろもろの環境はおおむね好条件である、ということをお伝えした上で、ライフプランの中で住宅にかけられる予算を家族で共有できていること、そして納得いく物件と出会えているのであれば、「買い時でしょう」とお答えしています。 ただし、その言葉や、目先の消費税増税に惑わされてマイホームを買うことは、何度も言っているように、おすすめできません。長い期間かけて支払う住宅の購入代金において、本当の意味でインパクトがあるのは、消費税の2%ではなく、住宅ローンの金利1%の増減です。 そのため、「消費税が10%になるから!」というだけでマイホームを購入するのは、やめたほうがよいでしょう。 まずはご家族のライフプランを第一に、更にそれを補強する形でその時々の制度をうまく活用し、満足できる住宅購入につなげてください。
2015年04月26日2015年10月には10%になるはずだった消費税改正案が先延ばしになり、住宅購入の計画を見直している方もいるのではないでしょうか。 消費税アップが先延ばしになったとはいえ、将来的に増税が見込まれることには変わりありません。いつかはマイホームを買いたい、とお考えの方は、このタイミングに住宅購入のポイントをおさらいした上で、消費税増税への心構えをしておきましょう。 ■消費税が上がると、マイホーム購入の負担はどれくらい増える? 消費税を恐れるあまり、住宅を買い急ぐのは得策ではありません。まずは、消費税が増税するとどれくらいの影響があるのかを知っておきましょう。 住宅は大きい買い物なので消費税の影響が大きい、というイメージがありますが、実は 物件価格に丸ごと消費税がかかるわけでありません 。土地は消費税の課税対象外のため、消費税の影響があるのは、建物のみ。 したがって、マンションでも戸建てでも、物件全体の購入額が5,000万円、うち建物分の価格が2,000万円であれば、8%から10%に上がる際の消費税による負担増は、2,000万円×アップした分の2%=40万円ということになります。 ちなみに、中古住宅の売主が個人である場合(不動産業者などが直接保有する物件でない場合)は、消費税の課税対象にはなりませんが、仲介手数料など諸費用部分には消費税がかかります。 ■消費税8%のうちに購入するには、いつまでに契約すべきか 現時点では、消費税は2017年4月に10%に引き上げられる予定です。つまり、住宅の引き渡しが2017年3月31日までに完了すれば、消費税は8%、2017年4月1日以降の場合は消費税が10%となります。 ただし、注文住宅や新築マンションなど、完成までに一定期間がかかるものに関しては、請負契約(※)が2016年9月30日までに完了していれば、引き渡し時期に関わらず消費税は8%となります。 いずれも、期限間近の駆け込み時期には、契約を急ぐあまり、見積もりをきちんとチェックしないことや、需要が立て込むことで工期が遅れる、といった事態が起こりがちです。そうならないよう注意するとともに、できるだけ余裕を持って契約しましょう。 ※請負契約:工事請負契約。建築工事の完成とその報酬の支払いに関し、建築主と工事請負業者との間で取り交わされる契約のこと。 ■慌てないほうがいい!? 増税で控除額もアップ 消費税が5%から8%に上がるとき、負担増による買い控えで景気が鈍らないように、との配慮から、政府は各種控除を拡大しました。8%→10%にアップする時にも、こうした控除枠の拡大が予定されています。 慌てて購入すべきか、それとも控除枠が拡大されてからのほうがいいのか、この点をぜひ抑えて、じっくり検討しましょう。 (1)年収によってメリットあり=すまい給付金 「すまい給付金」は、2014年4月より始まった制度です。消費税率が8%時は、給付額が最大30万円で、目安としては収入が510万円以下の方が対象となります。 消費税率が10%に引上げられる際には、給付額が最大50万円、対象者も収入が775万円以下まで拡大される予定となっています。 (2)親からの住宅購入援助を受ける場合にメリットあり=贈与税の特例 親御さんから、マイホーム購入の援助を見込んでいる方にとって忘れてはならないのが、住宅取得のための資金の贈与の一定額が非課税となる制度です。 通常、人から贈与を受けた場合は、その額に応じて贈与税がかかります。それが住宅取得の際の一定要件を満たした場合には非課税となる特例があるのです。この特例の額が、上がったり下がったりするので、注意が必要です。 1.まず、2015年1月から12月末までは、贈与税特例の限度額が、今までの1,000万円から1,500万円に引き上げられます。 ↓ 2.翌年2016年の1月から9月は、消費税増税前の駆け込み需要が見込まれるため、1,500万円からいったん引き下げられて、1,000万円から1,200万円程度を計画しています。 ↓ 3.同じく2016年10月から翌2017年9月末までは、増税の反動減対策として過去最大規模の3,000万円に引き上げられます。 (※2015年3月25日時点の情報) そのほか、住宅ローン減税も引き続き(2017年12月31日まで)適用されます。 住宅ローン減税は、年末の住宅ローン残高の1%を所得税、住民税から差し引く制度です。それまで残債の上限は2,000万円でしたが、2014年4月以降、8%の課税対象となった住宅に関しては、対象となる年末の住宅ローン残高の上限が4,000万円まで引き上げられました。 これにより、年間最大40万円、10年間で最大400万円の減税となりました(長期優良住宅の場合は、さらに控除枠が大きく年間最大50万円、10年間で500万円まで控除)。住宅ローンの金額が大きい方にとっては、かなりのインパクトがあるでしょう。 まずは、消費税増税で増えるマイホームの購入負担額と、増税の一方で控除や給付される金額があることについて触れました。 次回、「その2」では、不動産購入のタイミングを考えるための、税制以外の要素についても考えてみましょう。
2015年04月24日前回 の続きです。 さて、それでは実際に4月から6月の3ヵ月間に残業が多かった場合、先々にどれくらいのインパクトがあるのかを計算してみましょう。 ■社会保険料の算出方法 まずは前回のおさらいです。社会保険料は1年に一度、各被保険者の標準報酬月額(※)を実際の報酬(給与)と見合ったものにするため、標準報酬の改定が行われます。これを定時決定といいます。 標準報酬月額は、毎年4月、5月、6月の3ヵ月の報酬の平均を取り、決定されます。この定時決定された標準報酬月額は、その年の9月分の保険料(多くの場合、10月支払い分の給与控除)より変更され、原則、翌年の8月まで適用されます(雇用された当初や、報酬月額に大きな変動があったときなどには例外あり)。 標準報酬月額は区分により30等級に分かれ、その等級により保険料額が異なってきます。 <参考サイト> ※標準報酬月額=賃金、給料、手当など、労務の対償として受け取るもののすべてを含んだ金額。基本給のほかに、残業手当や休日手当、通勤手当、住宅手当なども含まれる。 ■もし、4~6月の3ヵ月間に残業手当が月平均3万円ついたら、社会保険料はどれだけ上がる? 標準報酬月額が20万円の40歳未満の会社員の場合、厚生年金保険料が月額17,474円、健康保険料が9,970円となり、合計額は27,444円です。 もしもこの人が、4月からの3ヵ月間の残業手当の平均額が3万円で、報酬の平均額が23万円となった場合は、平均報酬月額の等級が2ランクアップします。 すると、厚生年金保険料20,969円、健康保険料11,964円、合計額が32,933円となります。1ヵ月分の保険料の違いは5,489円ですが、これが1年間固定となるので、トータルでは65,868円もアップしてしまいます。 さらに、この人が40歳以上であった場合は介護保険料が加わるため、平均の報酬が20万円だった場合の社会保険料合計額が29,024円なのに対し、23万円だった場合の保険料は34,829円で1ヵ月あたり5,805円、1年間では69,660円の違いとなります(いずれも、全国健康保険協会管掌健康保険料:東京都の場合/平成27年4月~)。 もし、この残業手当が支給される時期が7月からの3ヵ月だった場合、平均報酬月額のランクが上がることはなく、社会保険料が上がることもありません。そうすると、年度末から年度頭の時期にかけて、必要以上のオーバーワークには、ちょっと注意しなくてはいけないという気になりますよね。 とはいえ、もちろん社会保険料は高くなった分、メリットもあります。 厚生年金保険料は多く払った分、老齢になった時、死亡した時、障害状態になった時に受け取る年金額もそれぞれ上がります。健康保険も、怪我や病気の際に支払われる傷病手当金の支給額が、平均報酬日額(標準報酬月額の30分の1に相当する額)と連動しています。 目先の手取り額を考えるなら、残業を(自分でコントロール可能な場合は)なるべく控える、将来あるいは不測の事態への備えを重視するのであれば、平均報酬月額アップを狙う、という結論となりそうです。 どちらにせよ、こうした情報を知らずにいると、忘れた頃に「急に社会保険料が上がった!」と損した気分になりそうなので、この機会に計算の仕組みを知っておきましょう。 ご自分の平均報酬月額は、「ねんきん定期便」に記載されています。合わせて確認してみてくださいね。
2015年03月31日4月は子どもの新学期に伴い教育費が上がったり、パパママも昇進による給与の見直しがあったり、家計の予算の見直しのタイミングでもあります。 よーし、バリバリ働くぞ、と気合いが入りがちですが、ちょっと待って。実は新年度早々に残業や休日出勤が多くなると、ちょっともったいないことになるんです。 今回は、知っておくと必ず得する、サラリーマンの社会保険料の計算法についてお話ししましょう。 ■社会保険料って何をさすの? 会社員としてお勤めの方は、毎月のお給料から社会保険料が天引きされているはずです。「えーと、社会保険料というと、年金と健康保険と…後は何だっけ?」という方も多いかと思いますので、今一度整理してみましょう。 社会保険料には通常、下記の5種類が含まれます。 <社会保険料に含まれるもの> ・健康保険料 ・介護保険料 ・厚生年金保険料 ・雇用保険料 ・労災保険料 このうち、給料から差し引かれるのが、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の4つで、労災保険料は全額が会社負担になります。 そして、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の3つは、お給料の額(正しくは、標準報酬月額)により、保険料が決まっています。 ■標準報酬月額って? 標準報酬月額という言葉、ちょっとわかりづらいですよね。しかし、これこそが健康保険料や厚生年金保険料の算定の基礎となるものなのです。 実は、この平均報酬月額は毎年1回、4月、5月、6月の3ヵ月間の報酬の平均額を用いて決定します。そして、7月に決定した標準報酬月額は、1年間(9月~翌年8月まで)固定されてしまうのです。 ここで、「報酬と基本給はどう違うの?」と思われる人もいるかもしれませんね。ここでいう報酬には、賃金、給料、手当など、労務の対償として受け取るもののすべてが含まれています。そして、それこそが今回のお話のポイントなのです。 賃金、給料、手当の中で、もっとも変動の幅が大きいのが「手当」でしょう。手当と名のつくものは職場によってさまざまな種類があります。残業手当、休日手当、皆勤手当、通勤手当、家族手当、住宅手当、食事手当などが一般的でしょうか。 手当でも、通勤手当や住宅手当は、毎月の金額は、どの月でもほぼ変わらないはずです。逆に変動が大きいのが、残業手当や休日手当。当然ですが、残業や休日出勤の多かった月は手当の金額も大きくなり、そうでない月は少なくなります。 そこで思い出していただきたいのが、社会保険料の一部の金額は「毎年1回、4月、5月、6月の3ヵ月間の報酬の平均額を用いて決定」されるということ。 つまり、新年度前後の時期にあまりに張り切って残業し過ぎたり、休日出勤し過ぎたりすると、1年間の標準報酬月額が上がってしまうため、後半ペースダウンしたとしても、9月から天引きされる額が増えてしまう、ということになるのです。 では、具体的にどれくらい額が上がるか、次回シミュレーションをしてみましょう。
2015年03月27日では、 前回 に引き続き、奨学金と教育ローンの基本について解説していきます。 ■奨学金の種類(2) 無利子または低金利の「貸与型奨学金」 卒業後に返済が始まる貸与型奨学金については、9割の学生が借りている日本学生支援機構の場合に沿って説明しましょう。 貸与型奨学金には、無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金があります。どちらも選考があり、無利子の第一種奨学金のほうが、成績や家庭の収入などの選考基準が厳しくなっています。第二種奨学金は有利子ではあるものの、教育ローンよりは低金利となります。 申請のタイミングは3パターンあります。 1.予約採用 入学前に奨学金を予約する制度。進学する前年に、在学している学校で申し込みます。大学院を除き、進学先が確定していなくても申込みができますが、国立看護大学校など文科省以外の省庁が所管する大学校は、日本学生支援機構の奨学金の対象外となることがありますので、注意しましょう。 2.在学採用 入学後、毎年春に在学している学校の奨学金窓口で申し込みをします。予約採用で不採用になった人も、再度申込みできます。 3.緊急採用、応急採用 ご家族の病気や災害など家計の急変で奨学金を緊急に必要とする場合、年間を通じて在学している学校の奨学金窓口から申し込みが可能。第一種奨学金(無利息)は緊急採用、第二種奨学金(利息付)は応急採用という呼び方になります。 当たり前のことですが、学ぶ意欲のない学生の場合、奨学金の支給を停止(1年以内)廃止(資格喪失)されることもあります。また ・返済義務を負うのは学生本人 ・毎月定額が「入学後(早くとも5月以降)に」振り込まれる という点にも注意しましょう。 ■奨学金の種類(3) 教育ローンという選択 大学の入学金を支払う時期にお金の準備が間に合わない、という時は、教育ローンという手があります。奨学金と異なり ・返済義務を負うのは保護者 ・審査が通れば一括で支給される ことが特徴です。 国の教育ローン、民間の教育ローン、大学の提携教育ローンなどがありますが、いずれも成績は特に審査の対象になりません。 国の教育ローンの場合は所得制限があり、家計の状況により支払い期間も選べます。ただし、連帯保証人、または財団法人教育資金融資保証基金による保証も必要となります。 民間の場合は保護者の返済能力が審査の際に重点的に見られること、そして、比較的融資限度額が大きい反面、国の教育ローンに比べ金利が高いことに注意しましょう。 ポイントとしては、「貸与型の奨学金」と「教育ローン」の場合はいずれも借金であるということです。入学金のような大型出費の場合、できれば事前に準備しておくのが一番ですが、事情によって間に合わないこともあるでしょう。 もし「間に合わなかった」という時も、「奨学金や教育ローンで借りればいい」と安易に頼るのではなく、学びの機会を得たことに感謝し、一生涯散らない花を咲かせていけるようなライフプランを考えるきっかけにしましょう。
2015年03月25日「サクラサク」――合格発表の吉報は、わが子に限らず嬉しいものですね。いっぽう、入学金をはじめとして、毎年発生するお金のやりくりに頭を悩ませている親御さんも多いよう。今まで志望校に合格するためのサポートで頭がいっぱいだったところに、今度は入学後のお金の問題が現れるわけで、まさに一難去ってまた一難です。 日本政策金融公庫の調査によると、高校入学から大学卒業までに必要な費用は、平均で子ども1人当たり880万円だそう(「教育費負担の実態調査結果」平成26年度)。せっかく入学できたのに、途中で学費が続かないという事態は極力避けたいものです。 今回は、美しく咲いたサクラを満開にするためにも、知っておきたい奨学金情報をお伝えします。 ■そもそも奨学金とは? 「奨学」とは、学問を奨励すること。奨学金とは読んで字のごとく、学問に励む意欲と能力がありながらも、経済的な事情でそれが難しい学生を応援するシステムです。 もっとも多く利用されているのは、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金ですが、ほかにも大学独自の奨学金や地方自治体の奨学金、民間団体の奨学金などもあります。 基本は「いつかは返すお金」ですが、なかには返還不要のものもあります。また、奨学金に類似した「教育ローン」というものもあります。それぞれの特徴をおさえておきましょう。 ■奨学金の種類(1) 返還しなくていい「給付型奨学金」 奨学金といえば「貸与型」、つまり卒業後に返済する義務のあるものがよく知られていますが、返還義務のない「給付型」奨学金というものがあるのはご存じでしょうか。 少子化で学生の数が減っていく中、優秀な学生を集めたいという意図から、私立大学などで採用するところが増えているようです。企業や財団、自治体などで設定している場合もあります。 給付型奨学金の中でも、入学前に申請し、合格時にもらえるかどうかがわかる「予約型」と、入試の成績や入学後の成績が審査対象となる奨学金とがあります。 給付額などの詳細は各学校で異なりますが、卒業後の返済がない分、それなりの成績が要件となります。もちろん、卒業後は学んだことをもとに社会への貢献を期待されていることも自覚しましょう。 学生の本分である勉学に励んで、なおかつ返還不要な奨学金を取得できるのであれば、学生にとっては一石二鳥。学ぶ意欲と能力があるのに経済的な負担がネックとなっている場合は、この給付型奨学金の存在を知っておいて損はないはずです。 ただし、情報を探しにくいのがちょっと難点。事前に、余裕を持ってリサーチしておくことをおすすめします。 では、(その2)では、よりメジャーな「貸与型奨学金」と「教育ローン」を解説していきましょう。
2015年03月23日前回 の冒頭でも触れた、「今のような将来が不透明な時代にプランニングを行う意味なんてあるのですか?」という質問について、プランドハプンスタンスという考え方を引用し、キャリア構築の理論としては、変化が多い時代だからこそ「予期せぬ出来事」を「チャンス」に変える姿勢が重要とお伝えしました。 今回は、変化が多い時代のライフプランニングを成功に導くために大切なことについてお話しします。 ■変化に対応する姿勢をプランニングする 経済の状況も個人のライフスタイルも変化の多い現代では、一度立てた計画が大きく変わってしまう可能性もあります。 だからこそ、ファイナンシャル・プランニングも数字だけの計画ではなく、「変化にどう対応するか」という自分の姿勢について「プランニング」する必要があります。具体的な例をいくつかご紹介しましょう。 「景気が悪化し、お給料が下がるのが不安でしたが、ただ心配していても時間の無駄ですよね。そうなったときにでも家族でレジャーを楽しめるよう貯蓄を増やしたり、転職に備えてスキルを磨いたりします。」 「失敗したくないので投資を避けていましたが、年金が不足したときに備えて、勉強しながら少しずつ無理のない額から始めてみようと思います。」 「もう1人子供が欲しいけれど今後の教育費が上がりそうで諦めていました。でも、必要な教育を見極めたり成長に合わせて少しずつ私が働いたりして工夫すれば大丈夫そうです!」 このように、未来に不確実な要素があるからこそ、「いま自分ができることは何だろう」と考えるのが、ファイナンシャル・プランニングを行う意味なのです。 そうした考え方は、つくったプランを実行に移す段階にきた時にも必要です。きっちりプラン通りに行動することが重要なのではなく、自分の望むライフプランを実現するためにはどんな準備が必要なのかを知ること。そして、目先の成果ではなく「少しずつ調整しながらであっても自分らしい未来に近づいている」と安心できること。それらを重視することで、未来はもちろんのこと、今を充実して過ごせるようになります。 ■プランドハプンスタンスを成立させるために必要な5つのスキル 最後にもうひとつ、変化が多い時代に成功をつかむため、大切なことをお話ししておきましょう。 「プランドハプンスタンス」理論の提唱者であるJ・クランボルツ教授は、プランドハプンスタンスが成立するためには次の5つスキルが必要と言っています。 <プランドハプンスタンスを成立させるために必要な5つのスキル> 1.「好奇心」 ― たえず新しい学習の機会を模索し続けること 2.「持続性」 ― 失敗に屈せず、努力し続けること 3.「楽観性」 ― 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること 4.「柔軟性」 ― こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること 5.「冒険心」 ― 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと これらは、キャリアの領域だけではなく、これからの時代のライフプランにも必要な要素でしょう。 年金不安や増税など、私たちの未来への道筋は、不透明なもやに包まれているかのように思えることもあります。 しかし、そんな時でも無計画に進んだり、不安に立ちすくんだりするのではなく、その先にどんな景色を見たいのかをイメージし、自分の行動でそこに近づけるのだと信じること、途中の予期せぬハプニングも乗り越える勇気を持ち、楽しみながら進んで行くことが、実際に未来を明るいものにするのではないでしょうか。
2015年02月25日お金の話題になると大体において出てくる、「ファイナンシャル・プランニング」や「ライフプラン」という言葉。それらを聞いて、「一度計画を立てたら、その通りに生活しなくてはいけないのでしょう? なんだか窮屈そう」という印象を持つ方も多いようです。また、「今のような将来が不透明な時代に、プランニングを行う意味なんてあるのですか?」という質問を受けることもあります。 私自身もファイナンシャルプランナー(FP)の勉強を始めたばかりの頃、結婚する時期が未定だったり、転職を考えていたりと生活の変化が予測しづらい場合、プランを作っても無駄かもしれない、と考えていました。 ですが、その後、多くの方のプラン作成を経て、「やはりプランは必要なもの」と考えています。それはなぜかをお伝えする前に、ある理論についてお話ししましょう。 ■ビジネスマンの8割が、自分の成功を「偶然の産物」と考える理由とは 皆さんは、「プランドハプンスタンス」という言葉を聞いたことがありますか? これは、スタンフォード大学のJ・クランボルツ教授によるキャリア理論のことです。教授が行った、数百人に及ぶ成功したビジネスパーソンへの調査の結果、その内の8割が「いまある自分のキャリアは予期せぬ偶然に因るものだ」と答えたという結果を得たことに基づいており、「計画された偶発性」と日本語訳されています。 ビジネスで成功するには、根気強く努力を積み上げるというイメージがありますが、自分は「たまたま」成功した、と考える人が8割もいるというのは、少し意外な数字かもしれません。なぜ、そのような結果になったでしょうか。 通常、キャリア構築というと、「この仕事に就きたい」という明確な職種名や、「何歳までにこの役職に就きたい」というようなゴールを先に決め、そこから逆算して資格を取ったりスキルを磨いたりといった合理的な行動をはかるアプローチが一般的でした。 しかし、現在の世の中は環境変化が激しく、企業も今までのようにキャリアの明確な見通しを提供することが難しくなってきました。さらに、女性の社会進出が増加する中で、出産や育児による働き方の変化は避けられない、ということも認知されてきました。「3年後にはこのチームのトップ営業に!」と思ってスキルを磨いていたのに、出産後復職すると諸々の条件を勘案した結果、人事課に異動などという場合もあり得ます。 そんな時に、無理をしてまで当初のゴールに固執したり、キャリアの方向性が変わったことでモチベーションを下げたりするのではなく、新しい状況を積極的に受け入れ、自分を成長させる糧にできる人が結果的に成功者となる、というのが「プランドハプンスタンス」の考え方です。 つまり、前述の調査対象だったビジネスマンは、偶然の出会いや出来事をチャンスに変えた結果、成功を収めたと考える人々が多かったといえるでしょう。 ■偶然の出会いや出来事をチャンスに変えるための、4つのステップ 新しい状況を受け入れるといっても、もちろん、無目的に流れに身を任せることがよしとされているわけではありません。偶然の出会いや出来事をチャンスに変えるためには、4つのステップが必要であるとJ・クランボルツ教授は言っています。 <偶然の出会いや出来事をチャンスに変えるための、4つのステップ> ステップ1.Clarify Ideas :自分の興味を惹かれること/関心事を明確にする ステップ2.Remove the Blocks :障害を取り除く(出来ない理由ではなく出来る理由を考える) ステップ3.Expect the Unexpected :思いがけないチャンスがくると思って心構えする ステップ4.Take Action :必要な準備をする&好機と見れば掴まえる つまり、ビジョンをしっかり持った上で、ひとつの方法・可能性に固執せず、起こりうるリスクや変化に対して「行動を起こす」準備をおこたらないことが重要だといえるのです。プランドハプンスタンスの中の「計画された」という言葉が指すのは「何の職業に就くのか」ではなく、「どう成長したいか」「どうありたいか」ということについての計画なのでしょう。 これは、ファイナンシャル・プランニングにも重なる考え方であると、私は考えています。ファイナンシャル・プランニングというと数字的な計画をイメージしがちですが、実際はそれだけではありません。詳しくは次回お伝えします。 <関連リンク> マネープラン、ライフプランは本当に必要? スタンフォード大学に学ぶ、不透明な未来への備え方(その2)
2015年02月23日前回 、部屋の片付けと家計管理の悩みの共通点についてお伝えしましたが、今回は解決法にも共通のものがないかを探ってみます。 ■部屋が散らからないようにするには? 部屋が散らからないようにするには、整理収納を行うことが必要です。「整理収納」とはその言葉どおり、「モノの整理を行い、収納する」わけですが、その前にしなくてはいけないのは、「目標設定」。自分や家族がどんな部屋でどんな暮らしを送りたいかのイメージを明確にするのが大事なのだそうです。 そして、「整理」とは何かというと、不要なモノを手放し、さらに限られた収納スペースの中で必要な度合いに応じて優先順位をつけることです。「収納」もただ詰め込むのではなく、それぞれのモノが使いやすくなる配置をシミュレーションしたら、調整しながら定位置を決め、その後はあちこちに散らばらないよう維持することなのが重要だそうです。 つまり、手順としては 「目標設定」⇒「整理(棚卸し・分析)」⇒「収納」 ということになります。 目標設定を行わないと、毎回不要なものを手放す作業から入ることになり、面倒なのはもちろん、何より不経済ですよね。 それに、しっかり目標を設定することで、モノを買う時も「今欲しいから」「便利だから」「皆が持っているから」と衝動買いするのではなく、まずは目標とするライフスタイルに沿っているかどうかを吟味してから選ぶ。そして、1つモノが増えたら、その分1つ減らすなど、許容量を知ってコントロールすることで「なんとなく」モノが増えてしまうことが防げるのです。 ■家計を管理するためには? 実は、部屋の片付けで大切なことと家計管理で大切なことは、まったく同じなのです。 まずはどんな暮らしを送りたいのか、今後起こるライフイベントにはどんなことがあるか、といった 「目標設定」 をします。 次に 「整理」 。目標とするライフイベントのための予算がどれくらい必要か、今不足しているのはどれくらいなのかの「棚卸し」を行い、無計画に消費をするのではなく、自分にとって大切なライフイベントにはしっかりと予算を残すよう「分析」します。 たとえば、子どもの留学という新しい関心事ができた場合、それとほかのライフイベントの優先順位や全体の予算を考えた上で、それを目標として採用するかどうかを考えます。 そして最後に 「収納」 。いつ、何のために使うお金かによって、置き場所を変えます。 すぐに使うお金は流動性のある場所、普通預金へ。3年先以降、時期や額も明確なお金(学費や住宅資金など)は定期預金や貯蓄性の保険など、取り崩しにくく、多少の金利が見込めるところに。 10年以上先で、その時の物価や社会状況によって必要な額が予測しづらい目標(リタイア後の資金など)に関しては、株式や投資信託などの運用を取り入れ、インフレーションとの連動や金利による利回りを見込めるところに(ただし運用に関しては元本割れの可能性もあるのでリスクの理解が必要です)。 これらを実行することで、予算管理しやすく快適な家計になっていきます。 ■目標設定を習慣にして、部屋とお金の片付けをしよう このように部屋の片付けと家計管理、いわばお金の片付けには、共通点が多くあります。両者とも、始めの「目標設定」の作業には頭を使いますが、習慣になったころには気持ちまでスッキリとしていそうですよね。お部屋の片付けに苦手意識がある私も、そう考えると取り組めそうな気がしています。 家計管理が苦手だけれど、部屋の片付けには興味があるという方は、まずは部屋の整理から始めてみてはいかがでしょうか。
2015年02月20日部屋の整理・収納は、多くの人にとって関心の高い分野ではないでしょうか。何を隠そう私もその1人ですが、もともと片付けが得意ではない上に、子どもが産まれてからはより一層「忙しくて時間がない」「モノがどんどん増えてしまう」「片付けてもすぐに子どもが散らかしてしまう」ことを言い訳に、つい整理整頓を後回しにしてしまっています。 雑誌のお片付け特集や片付け術について書かれた本を読んでも、実行・継続するに至らず、自己嫌悪に陥ることも。そんな訳で先日、整理収納の専門家にレクチャーいただく機会を得ましたが、思いがけず、家計管理との共通点を発見したのでここでシェアしたいと思います。 ■部屋が散らかる本当の理由とは? 実は、部屋が散らかるのは個人の片付け能力のせいだけではなく、昔に比べてモノの量が圧倒的に増えたことが原因なのだそうです。 日本は経済成長を経て、便利なモノが国内外から数多く手に入るようになりました。それに加えて、産業が発達し、手作りではなく工場で大量生産されたモノが安価に手に入るようになりました。これにより「どうしても必要なモノ」だけではなく「あると生活にゆとりが生まれるモノ」がどんどん家の中に入るようになったのです。 一般的に、現代の4人家族の暮らしには1日平均10個のモノが入ってくるのだそうです。反面、日本に特有と言われる「もったいない」の意識は残り、使わないモノを捨てることには抵抗を持っています。つまり、片付けが下手なわけではなく、昔とは状況が異なっているにもかかわらず、それに合わせた解決法が広まっていないことが問題なのです。 ■部屋の片付けと家計管理との意外な共通点とは? 昔からの習慣が時代にそぐわなくなっている状況は、家計管理にも当てはまるのではないでしょうか。 少し前まで、家計管理は今ほど複雑ではありませんでした。戦後、人口は増加し、働き手の人口が高齢者の人口をはるかに上回っていました。消費する世代がたくさんいるので、モノやサービスは放っておいても売れます。 売り手(企業など)は売上げ増加により、年功序列・終身雇用でずっと安定した雇用ができますし、現役世代が支えることで退職金も年金も安心。銀行は安心して企業に融資できるので、個人の預金の金利も高くつけることができる。人口が増えるので土地の価値はどんどん値上がりする。 もちろん例外もあるでしょうが、全体的には「管理」という考え方を意識しなくても、収入を支出が超えない程度の生活をしていれば、貯蓄や持ち家といった資産を持てて、老後も安泰な時代だったのです。 反対に、現代はどうでしょう。年金や医療・介護を必要とする高齢者が増える反面、社会保険料や税金を納める働き手の数がどんどん減っているので、そのバランスをとるために、働き手の負担は上がっています。反面、生活レベルを下げることは難しく、教育費や住宅購入の費用は上昇傾向にあります。 その上、クレジットカードやプリペイドカードなどの便利なモノで支払いができるので、現金を使っている実感が薄まり、家計のコントロールがしづらくなっています。 片付けにもいえることですが、貯蓄ができないことを「自分にマネーのセンスがないせい」とか、「浪費傾向が強いのでは」と思っている方はとても多いのですが、それはその方の生まれつきの性質ではないと、私は考えています。 私たちを取り巻く今の状況の中では、以前とは異なる家計管理の基礎知識が必要なのにも関わらず、それが普及していないことが大きな要因なのです。 では、時代の変化に対応した家計管理をするためにはどうしたらよいのでしょう? その心構えについては、次回で考察してみましょう。 <関連リンク> 「部屋の片付け」の考え方に見る、家計管理との共通点とは?(その2)
2015年02月18日前回 は、家計簿なしでも家計管理ができるP.D.C.A法の概要についてお話ししました。今回は具体的な方法をお伝えしていきます。 ■家計簿なしで家計管理、P.D.C.A法4つのステップ 1.Plan(計画):ビジョン・計画の策定 ここで重要なのは将来の見通しを立てることです。表1を参考に、未来の年単位の時系列で今後の収支を予測した表を作成し、子供の受験や入学といった教育関連、住宅の購入やリフォーム、そのほか金額の大きなお買い物などの予定を書き込みます。年号の下に家族の年齢を入れると、イメージがわきやすくなります。 最終的には老後までのプランを作るのがおすすめですが、まずは自分が気になっている時期(たとえば、子どもの独立まで)のものを作ってみましょう。 おそらく、プランを作った段階で、「今の貯蓄ペースでは、ライフイベントややりたいことを実行するには不足している」といったように、何らかの「ギャップ」を感じるはずです。 そうしたら、そのギャップを埋めるための貯蓄額を達成するためには、生活費をどれくらいに抑えればいいのか、その目標を立ててみましょう。ここでは家計簿が苦手な方でも取り組みやすいよう、あえて生活費の項目を細かく分けてはいません。 2.Do(実施・実行):計画に沿って実施 計画に対して必要となる貯蓄額から、月々の貯蓄ペースを逆算して定めたら、毎月その額を「先によけて」貯める仕組みを作ります。後々調整をしながらサイクルを整えるので、ここで金融商品を吟味する必要はなく、初めは普通預金などで構いません。詳しくは、 「今年こそスッキリ整理! 共働き家計のお金の管理」 を参照してください。 そして、残ったお金で1ヵ月間、「ちょっと目標を意識しながら」生活してみましょう。人によってはほんの少し意識を変えただけで嗜好品購入などの無駄使いがなくなることもあります。 3.Check(点検・評価):実施が計画に沿っているかどうかを確認 1ヵ月経った時点で、使った生活費をざっくり計算します。もし、その時点で貯蓄した分を取り崩しているような場合は、貯蓄の計画に無理のある可能性があるので、次のActに進み、分析します。計画に沿っていればそのまま1ヵ月ごとに集計し続けます。 4.Act(処置・改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて処置 もし、プランと実態がかけ離れている場合は、以下の点をチェックしてみましょう。 1)固定費(住宅ローン・車の所有・携帯電話やプロバイダのプラン料金・保険料など)を見直すことはできるか。 2)買い物のときに「これって無駄遣い?」と不安になるような出費がないか。 3)ライフイベントの目標の優先順位によって、額や時期を調整可能か。 4)収入を増やすことやリタイアの時期を延長することは可能か。 5)運用を取り入れることで貯蓄ペースを上げることはできるか。 これらを取り入れた上で、ステップの1番目のPlanからサイクルを継続します。 1)や5)については、ファイナンシャル・プランナーに相談するのもおすすめですが、もちろん自分で考えるとしても、行き当たりばったりの節約や運用を行うよりは、プランを作って考えたほうが、効果的なアイディアを思いつくためのアンテナが立つはずです。 家計簿に比べて日々の労力は少ないのですが、定期的にP.D.C.Aのサイクルを意識することでちゃんと効果が出るのがこの方法のよいところです。まずは未来を具体的にイメージすることから始めてみましょう!
2015年01月31日家計管理というと、「家計簿をきちんとつけることから」と思っている方が多いようです。マネー相談で「お金の管理が苦手」と打ち明ける際、「家計簿もつけてなくて…」と恥ずかしそうにおっしゃる方もいます。 ですが、家計簿をつける=家計管理ではありません。家計管理とは、これから将来にわたっての家族のハッピーな生活を守るために、家計の動きを把握し、マネジメントすることです。その中で、特に支出部分を詳しく分析したい場合のツールが家計簿なのであって、支出の額や内訳が大体把握できているのであれば、家計簿は不要といってもいいくらいです。 ■家計簿をつけるのは何のため? お金が貯まらないから家計簿でもつけようか。そんな気持ちで家計簿をつけたことがある人もいるのではないでしょうか。たしかに、無駄な支出を把握するために家計簿が真っ先に思い浮かぶのはよくわかります。 では、どれだけの人がその家計簿をしっかり分析し、「無駄な支出」をカットできているでしょうか? いくら細かく家計簿をつけていても、単に、「お財布から消えたお金を記録する」ことで終わっている場合は、家計簿をつけることはあまり意味のない作業ということになります。 それに、そもそもお金を貯める目的は何ですか? 家計管理の目的は冒頭でもお伝えしたとおり、未来まで家族が幸せに生活できることです。つまり、お金を貯めるのは「将来のライフイベントで必要な支出の準備をするため」ということになります。 ただし、将来に向けていくら貯めておけばよいのか、その額が明確でないと、今の貯蓄ペースが充分という確信は持てません。将来いくら必要なのか、こればかりはいくら家計簿をきちんと分析していたとしても見えてきませんよね。 そこで、視点を、過去から未来にシフトさせることをおすすめします。今回提案するP.D.C.Aサイクルを使った方法は、「将来こんなことがしたい」「この先、こんな生活を送りたい」というプラスのイメージからスタートするものです。 こうした視点は家計管理にとって必要ですし、過去の細かい数字の記録の作業が楽しくない、つまり「家計簿をつけることが面倒である」方にとっても、取り入れやすい要素になるでしょう。 ■家計管理の新発想! 家計簿なしのP.C.D.A法とは? 「P.C.D.A」はもともと事業活動における品質管理や生産管理をするときの用語で、最近はキャリアプランニングや時間管理などにもこの用語が応用されることがあります。それぞれの頭文字は Plan (計画):ビジョン・計画の策定 Do (実施・実行):計画に沿って実施 Check (点検・評価):実施が計画に沿っているかどうかを確認 Act (処置・改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて処置 を指しています。Actをおこなった後で、次の段階のPlanにつなげ、継続的なサイクルで質を上げていくところがポイントになります。次回は、家計管理にこのP.D.C.Aを応用する、具体的な方法をお伝えします。 <関連リンク> 家計簿がつけられない…そんなあなたにおすすめしたい家計簿なしのP.D.C.A法とは(その2)
2015年01月27日前回 は共働きの夫婦ほど家計管理が難しい理由と、それによるデメリットについてお話ししました。とはいえ、共働きに多い ・お互いの収入や貯蓄額を知らない ・毎月の生活費が合計いくらか把握していない ・それぞれが生活費の中で何の支払いを担当しているかも分かっていない という状況を一気にクリアにする作業は、なかなか大変なことです。 仕事と子育ての両立に忙しい夫婦それぞれが、日々の収支を記録し、双方がその情報を共有する時間は取りづらいでしょうし、夫婦とはいえ、お金のことをすべてさらけ出すことに抵抗感を持つ方もいるかもしれません。 そこで今回は、共働き夫婦の個人的な収支をどこまで開示するかは追い追い決めていくとして、まずは家計のコア部分の管理をなるべく自動化できる仕組みづくりを提案します。 ■共働きでも続けられる家計管理の方法とは? 1.【貯蓄編】生活用の「貯蓄」専用口座を作る お金の話をする時間がなく、「今後どんなライフイベントにいくら必要」ということが話し合えていないと、貯蓄に対してのモチベーションも低くなりがちです。また、お互いに「貯金は相手がきっとしているはず」と思い込み、当てにしている場合もなかなか貯蓄ができません。 そこでまずは、夫婦の貯蓄目標額と、それぞれが捻出する割合を決めます。貯蓄目標額の設定は、夫婦それぞれが毎月貯蓄可能な額からで構いません。 そして次に、夫婦それぞれ貯蓄専用の口座を作り、そこに毎月貯蓄をしていきます。いちいち手動で貯蓄口座に移すのは面倒なので、給与や報酬が振り込まれる銀行口座から自動で定期預金などの金融商品の積立ができるサービスをうまく活用しましょう。その口座の合計額が「これから起こる家族のライフイベントのための備え」になります。 共同名義口座は作れないことと、何かあったときにそれぞれが預金を下ろせるよう、夫婦それぞれ口座の開設が必要になりますが、必要なのはそれだけ。お互いに定期的に開示し、個人的な楽しみ(自分の趣味や夢)用の貯蓄・運用口座とは別にしておきましょう。 2.【支出編】生活用の「支出」口座・カードを、個人用とは別にする 相手への相談や承諾なしにお金を使うことに慣れていると、子どもが希望する習い事や塾、仕事が忙しくて頼ってしまう便利家電や外食などに対して「今は支払う余裕があるから」と深く話し合わずに出費を決めてしまいがちです。 そのような出費を重ねていると、いつの間にか生活レベルが上がり、収入が下がった時やリタイアした時に、なかなか生活費を抑えることができなくなります。それもリスクのひとつです。 それらを避けるためには、さらにもうひとつ、生活費用の口座を設定し、水道光熱費や子供の習い事など、家族にかかわる支出の引き落としをそこに集中させます。普段クレジットカードで買い物することが多い方は、家族の食材や消耗品を購入するクレジットカードと個人的な洋服などを購入するためのクレジットカードとを分け、家族用カードの引き落としは生活費用口座に設定します。 どちらか片方の名義で口座とカードを作り、配偶者の家族カードが作れるとより「一元化」しやすくなりますが、それぞれの名義であってもそこから引き落とされる合計額がいわゆる「生活費」となります。その合計額から、夫婦の収入割合や貯蓄額とのバランスに応じて、それぞれが毎月あるいはボーナス時に入金する額を逆算して決めるとよいでしょう。 突発的な事態で生活費が通常より大きくオーバーした時にも、お互いのチェックが行き届くようにしておきます。 自分のお小遣い用や個人的なお買い物カードの引き落としには、別な口座を設定しておけば、今まで通り、そこは自由に使って良いお金となります。(ただし、使いすぎた時には自己責任で!) ■まとめ 生活費、貯蓄、個人的な支払いがすべて同じ口座になっているから、家計の全体像がつかみにくいのです。それぞれ口座を分けて管理するようにすれば、自然と「使っていい額」が見えるので、忙しい共働き家庭でも家計管理がしやすくなります。 口座の整理や話し合いなど、最初は手間が必要ですが、一旦仕組み化してしまえば、いちいち計算する必要がないので、だいぶ楽なはず。お互いの口座の開示も、かっちりと日にちを決める必要はありませんが、時々夫婦で口座の残高を照らし合わせることで「年間にそんなに車の費用がかかっていたなんて!」とか「ローンの見直しをしたら貯蓄が増やせない?」といった会話に繋がることもあるでしょう。 家計を一元化することで、家族がひとつのチームとなれば、共働きならではのアイディアもどんどん生まれるはずです。
2015年01月24日新年や新年度など、区切りのタイミングは、気持ちも新たに家計管理に取り組もうと考える方が多い時期です。しかし、いざやってみようとすると、早々に挫折する方が多いのも事実。 家計の管理にくじけてしまう理由としては、大きく2つあります。「家計簿の記帳が面倒だから」というのがひとつ、そしてもうひとつ、特に共働き家計に多いのが、「家計の全体像をつかむことを断念してしまう」ことです。 ■共働き家庭の家計管理が難しい理由とは? もちろん、夫または妻のどちらかしか働いていない家庭であっても、財布を握っているほうだけが家計を把握していて、もう片方はまったく把握していないというケースもあります。共働きの場合は、こうしたケースに加えて、片方だけではなく「双方が」家計の全体像をわかっていないということもよくあります。 具体的には ・共働き家庭では、夫婦がお互いの収入や貯蓄額を知らない ・毎月の生活費が合計いくらか、夫婦共に把握していない ・夫婦それぞれが、生活費の中で何の支払いを担当しているかもわかっていない などがあります。そして、その理由としては、 (1)忙しくて夫婦でお金の話をする時間がない (2)共働きで自立したもの同士、相手の収入や貯蓄額なんて知りたくないし、自分も知られたくない (3)管理などしなくても、それぞれの収入があるので生活が回っているため、生活に危機感がない といったことがあげられます。しかし、家計管理をしないことには大きなデメリットがあるのです。 ■共働き夫婦が家計管理をしないことのデメリットとは 共働きをしている夫婦の中には、相手の自由を尊重し、お互いのお金の使い方に口を出さないというポリシーのご夫婦もいらっしゃいます。たしかに、生活に余裕がある時はそれでもいいかもしれません。ですが、変化や緊急事態が絶対に起こらないとは言い切れません。 家やマンションの購入、子供の受験で出費が増えることもあれば、転職や病気で収入が減るという可能性もあります。また、必ず誰にでもやってくるリタイア後の生活は、現役時代の収入の半分以下の年金だけではままならないこともあるでしょう。 仮に、家庭を会社組織と捉えた場合、それぞれのメンバーが好きなように経費を使っていたら、効率は良いでしょうか? 将来の事業のための資金をプールしたり、先々の収支の波に備えてバランスを取ったりするためには、予算作りや会計管理が必要なことはイメージできるはずです。 ■共働き家庭で、いまさら家計の「一元化」なんて無理? 実際にマネー相談の中でも、世帯収入が高い共働きの家庭なのに、将来の家計をシミュレーションすると、収支のバランスが悪化するリスクが高いパターンに多く出会います。 そのようなリスクに備えるためには、一旦家計の全体像を把握し、管理する必要があり、夫婦の収支や貯蓄の「一元化」がカギとなります。本当は結婚前、あるいは結婚してすぐの時期に、お互いの支出の費目を洗い出したり、貯蓄額を開示したりしながら家計管理のルールを決めておくのが一番良いのですが、なかなかそれも難しいもの。 そこで、共働きで、長年夫婦の収支管理を一元化していなかった家庭でも、リスクに気づいた時から始められて、なおかつ忙しくても無理なく取り入れられる方法を考えてみました。詳しくは次回のコラムでお話しします。 <関連リンク> 今年こそスッキリ整理! 共働き家計のお金の管理(その2)
2015年01月20日人材不足・女性の労働力が社会にとって必要といわれる昨今、働きながら子育てをするための制度やサービスが充実しています。以前は義務化されていなかった時短勤務が浸透していることも、保育園や幼稚園の時間延長サービスがどんどん拡大していることも、私が娘を出産した12年前と比べると、驚くほどの違いです。 マネー相談の際に「時短勤務にして手取り額を減らされるのと、長時間働いて延長保育料を払うのと、どちらを選んだほうが得なのか」というご質問を受けることがあります。「どちらが得か」と言っても、単にお金だけの問題ではないので簡単に比べられるものではなく、ご職場環境やライフスタイルを整理しながら必要なサービスを選択していくことになります。今回は、選択の参考にしていただけるよう、それぞれのメリットと注意点をお伝えしておきましょう。 ■手取り額がいくらになるかを要チェック! 時短勤務のメリットと注意点 「時短」という呼び方が一般的ですが、正式には「短時間勤務制度」といいます。「改正育児・介護休業法」により、会社の規模にかかわらず、条件を満たした人なら男女どちらも利用できます。法定では3歳まで、企業の規定によっては小学校卒業までというところもあります。 必ずしも、時短勤務を選択=子育てを最優先と考えているとは限らず、むしろ「子供がいても仕事はしたい! でも現実的に復帰直後から長時間預けるのは、親子ともどもヘトヘトになってしまう」という理由で選択する方が多いようです。 日本の企業には残業が当然という風潮があり、あえて「時短」を利用しないと、定時では帰りづらい職場もあります。それもどうかと思いますが、しかしながら、昔だったら妊娠・出産を機に退職するしかなかったような職場であっても、この制度によりキャリアを継続できるのは大きなメリットです。 ただし、短縮された時間の分の賃金の保証はないため、その分は給与を支払わないという会社がほとんど。勤務時間は以前の8割くらいでも、職務手当てをはずされてしまった上、給与天引き額があまり変わらないことで、給与の手取り額が半分くらいになってしまった、という方もいます。 時短制度を利用して勤務する場合、手取りの給与額がどれくらいになるかを確認し、その間の収入でライフプランが達成できるかについて、家計の収支や貯蓄ペースをしっかり検証する必要があるでしょう。 ■保育料+付帯コストに要注意、延長保育のメリットと注意点 延長保育とは、基本保育時間より早い時間や遅い時間を補完する「長時間保育」、「時間延長サービス」などと呼ばれるものです。保育園により時間や利用料の規定が異なりますが、労働時間の多様化から延長保育・夜間保育の予算も付くようになり、認可保育園でもかなり長い時間、延長保育を実施する園が出てきました。 働くママにとって、子どもを遅くまで預けられると「仕事で迷惑をかけなくて済む!」という安心感があるのはたしか。今まで時短制度を使うことで周囲に申し訳なさを感じている方の中には、時短制度の終了とともに延長保育を利用する方もいます。ですが、気をつけて欲しいことが2つあります。 まずは、延長保育の利用料だけではなく、「今日は遅くなったから、夕飯は外で食べよう」と外食が増加するように、付随するコストが発生しがちであること。実際、ファイナンシャルプランナーとしてプランニングしていると、忙しい方ほど支出が多いことを実感します。 そのほか、長時間働くことにより、体が疲れてしまうので休日には鍼灸やマッサージに通ったり、仕事のストレスで買い物が増えたり、という場合もあるので要注意です。 さらに、子どもが成長して長時間保育にも慣れたとほっとしたのもつかの間、「小1の壁」といわれる時期が来てしまうことも覚えておきましょう。小学校に上がると多くの保護者が利用する学童保育の多くには、保育園ほどの延長サービスはありません。 保育園が22時まで預かってくれるからと、めいっぱい延長保育を利用してしまうと、子どもが小学生になっても同様な働き方をするためにはシッターを雇う必要が出てしまうなど、より多くのコストがかかる可能性があります。 ファイナンシャルプランナーとして、私が多くの方におすすめしているのは、子どもが小さいうちは時短制度を活用し、子どもの成長に合わせて定時終了にシフトしていくことです。定時に帰る人が少ない職場では難しく感じるかもしれませんが、効率的な時間の使い方はワーキングマザーの腕のみせどころ。周囲とコミュニケーションをはかりつつ、限られた時間の中で責務をまっとうすることで、周囲の理解や自分自身のスキルアップにつながるはずです。 もちろん必要に応じて延長保育を取り入れる時期があってもいいのですが、定時で帰ることの罪悪感から利用するのではなく、未来の自分や子どもにとってプラスとなる選択であるかどうかをしっかり見極めて、上手に延長保育を活用していきましょう。
2014年12月29日12月は年末を控え、慌ただしい時期であるとともに、ボーナスが出る方にとっては心躍る季節。金融機関も金融商品の金利上乗せ・手数料無料など、さまざまなキャンペーンを打ち出しています。 せっかくのボーナス、お買い物や旅行で派手に使うのもよいですが、上手に活用して、さらに得してみませんか? 今年中に実行しておきたい、「税制でトクする方法」をお伝えします。 ■ボーナスを元手に将来の資金作りをするなら、NISAがおすすめ 今年スタートした NISA (ニーサ/少額投資非課税制度)。年間100万円分までは、投資から発生する運用益が非課税になるという制度です。 NISA口座を開設したものの、年間100万円の非課税投資枠をまだ活用しきれていない方が多くいらっしゃるようで、とてももったいない! この枠は1年ごとに使い切りで繰越できません。ですから、今年分のNISAの投資枠が余っているという人は、NISA口座に投資して、ボーナスを元手に将来の資金作りをしてみるのもよいでしょう。 とはいえ、投資が初めての場合、どうやって銘柄を選んでいいかわからずに、足が止まってしまいますよね。その気持ちはよくわかります。 そんな方への投資のヒントは、「一極集中を避けること」。値動きの異なる銘柄に分散して投資を行えば、資産が一気に下落するリスクは抑えられます。個別株式に投資するのではなく、1ファンドの中に多くの銘柄が含まれる投資信託がおすすめです。 それでも、「自分だけで投資先を決められない」という方は、 初心者向けセミナー に足を運んでみてはいかがでしょうか。 「まだNISA口座を開設していない」という人は、この機会に開設してもよいかもしれません。ただし、口座開設には時間がかかります。新規にNISA口座開設を行う場合は、年内に間に合うかどうか、事前に確認しておきましょう。 ■今すぐリターンが欲しいは、ふるさと納税でご当地グルメと確定申告控除をねらおう ボーナスで将来の利益を得るよりも今すぐ得をしたい! という方は、ふるさと納税をしてみては?「ふるさと」や「納税」と名づけられていますが、実は自分の出身地でなくても、任意の地方自治体に行うことができます。そして、これは納税ではなく「寄付」という性質を持っています。 縁もゆかりもない地方になぜ寄付を? と疑問に思われる方、なんと自治体によっては寄付した額に応じ、お礼の品として、かなり魅力的な特産品がもらえるのです。どんな特産品があるかは、「ふるさと納税」で検索するといくつかポータルサイトがあり、品目別や寄付金額の設定別に情報をまとめているので、ぜひチェックをしてみてください。食べ物が中心となり、まるでお取り寄せグルメのページのようです。 そして、寄付した金額は確定申告で控除されるのもポイント。納税額により寄付金控除の上限がありますが、自己負担額の下限は2,000円、特産品の選び方によっては実質的な収支がプラスになるというわけです。株にも株主優待という制度がありますが、株は元本が値下がりするリスクもあります。ふるさと納税にはその心配がありません。 今年の寄付金控除枠を使うには、今年中に寄付を完了させる必要がありますが、カード決済で手続きができる自治体や、ポータルサイトでYahoo!公金支払いを代行しているところもあるので、スピーディーに手続きが可能です。 税制を活用というと、書類を何枚も作成しなければいけないような面倒な印象がありますが、今回紹介した2つは、そこまで大変な手間をかけずとも可能です。銘柄や特産品選びをネットショッピング感覚で楽しみながら、投資や寄付によるリターンに挑戦してみてはいかがでしょうか?
2014年12月06日「投資信託」は、少額から投資が始められて、運用は「ファンドマネージャー」と呼ばれる投資のプロが行ってくれる人気の金融商品。株や先物取引のように、日々の値動きを細かくチェックするわずらわしさがないので、すでに始めているという人もいるでしょう。 ■「いくら儲かったのか?」がひと目でわかる、トータルリターン通知制度 しかし、運用をプロにおまかせしている分、定期的な運用状況を検証する習慣がない人も多いのでは。運用状況を定期的にチェックしているという人でも、「金融機関から発行される「運用残高報告書」の見方がよくわからない」という声をよく聞きます。 そうした悩みを解決してくれるのが、2014年12月から新たにスタートする「投資信託のトータルリターン通知制度」です。トータルリターン通知制度とは、ひとことで言うと「いくら儲かったのかがひと目でわかる通知制度」のことです。 損益額が定期的に投資家に通知されるので、投資家にとってこれまでわかりにくかった、自分の所有する銘柄の投資成果を知ることが簡単になります。 ■従来の報告書では、投資信託の実際の損益がわかりにくい なぜ、投資信託の投資成果は把握しにくかったのでしょうか。それは、投資信託の損益計算がややこしいからです。計算をややこしくしている原因の1つが「分配金」です。 <投資信託の分配金とは> 投資信託の分配金とは、運用の利益や、今までの運用による余剰金から、各投資家に分配されるお金のことです。各銘柄の運用方針により、分配が毎月のものもあれば、年1回のものもあります。また、分配額の目安も異なります。 分配金があると、一見儲かっているように見えますが、必ずしも「分配が多い=良い運用をしている」というわけではありません。分配金はあるけれど、儲かったから分配されたのではなく、単に分配されただけで実際の資産は元本割れしている(元金が預けた時の金額を割り込んでいる)ということもあるのです。 投資信託の投資成果を判断するには、分配金の水準だけではなく、基準価額といって元本の現在評価を含めて算出する必要があります。 ■トータルリターン通知制度で、プラスマイナスがひと目でわかるように 分配による影響がどれくらいなのか、投資の結果は結局プラスなのかマイナスなのかを見ただけでわかるようにしたのが、トータルリターン通知制度です。 今までも金融機関から取引残高報告書の発行が義務付けられていましたが、投資信託の損益については、取得価額(取得した価格)と基準価額(現在の時価)しか表示されず、最終的なプラスマイナスはわかりませんでした。 そこで、トータルリターン制度では、総合的な収益を把握できるよう、現在の評価金額だけではなく、途中で受け取った分配金、また追加購入・部分解約があった場合も加味して、購入時から算出基準日までの全期間を通じた損益金額を算出・投資家に通知するようにしたのです。 トータルリターン制度の対象となるのは、原則として2014年12月1日以後に新たに購入した投資信託ですが、一部の販売会社ではそれより前に購入したものにも適用しています。 通知方法は、書面交付、FAX送信、電子メール送信、インターネット等送信のいずれかになります。金額の表示は税込・税引き前のどちらにするか販売会社によって異なりますので、複数の金融機関で投資信託をしている人は、要注意です。 投資は基本的に長期で行うものなので、短期の運用成果だけでよしあしを判断することはできませんが、自分の所有している銘柄がライフスタイルにあっているか検証するためにも、どんな値動きをしているか把握することは重要です。 投資信託を始めたのはいいけれど、儲かっているのかいないのかよくわかっていない、という人こそ、このトータルリターン通知制度をきっかけに、投資への理解を深めましょう。
2014年12月01日今、日本人の2人に1人が何らかのがんになるといわれています。がんになる確率は、男性が約58%で、女性は約43%(公益財団法人がん研究振興財団調べ)。がんは特別ではなく、誰もがなりうる病気だと言えるのでしょう。 がんの原因や予防法の研究も進んでいますが、完全に予防するのは難しいこと。「もしも自分ががんになったら」という心構えを持ち、いざというときによい選択ができるように備えておきましょう。 ■適切な治療をすれば、がんは治る時代 「不治の病」というイメージがあったがんですが、早期発見により適切な治療を行えば、治る可能性は格段に高くなります。では、治療にはどのような種類があるのでしょうか。 従来、がん治療の基本は、外科手術によりがん細胞を取り除くことでしたが、近年は薬物療法(抗がん剤治療)や放射線治療が進歩しています。外科手術、抗がん剤治療、放射線治療の3つを合わせて「3大がん治療」といい、そのいずれかを行った割合は、全体の9割を占めています。 ■自己負担になるがん治療と、ならないがん治療 公的医療保険制度の対象となる診療、つまり保険の効く診療であれば、自己負担額は医療費の3割(70歳以上の場合は所得により1割~2割)のみで、仮に医療費が高額になった場合でも、「高額療養費制度」により一定限度額以上の治療費は、請求すれば戻ってきます。 ですが、がんの場合は、公的医療(保険診療)の対象とならない、全額自己負担の治療もあります。どんな治療が公的医療の対象になり、どんな治療が自己負担になるのか、「標準治療」「自由診療」「先進医療」という3つの用語を整理しながら、確認してみましょう。 (1)標準治療 医学学会で検討され、科学的な根拠に基づいた観点で「患者にとって現在利用できる最良・最善な治療法」とされるもの。がんの種類ごとおよび、それぞれのがんの進行状態ごとに決められています。「標準」とは、その時代で最も良い、基本になる治療という意味で使われ、「標準的・平均的」な治療法のことではありません。 公的医療保険制度の対象 となります。 (2)自由診療 海外ではすでに承認されていても、日本国内では未承認の治療は「自由診療」で受けることになります。「進行がん」や「再発・転移」時には有効な薬を投与しても、徐々に耐性ができ効かなくなるため、自由診療を選択することもあるでしょう。その場合、公的医療保険制度の対象にならないため、 全額自己負担 となります。 (3)先進医療 厚生労働大臣によって定められた高度な医療技術を用いた療養のことで、公的保険適用にするかを評価する段階にある医療を指します。がん治療の場合、「陽子線治療」「重粒子線治療」などが知られています。先進医療そのものにかかる費用は 全額自己負担 ですが、その前段階の診察や検査などでは公的保険が適用されます。 ■治療以外にも、ウィッグや乳房再建など、女性特有の医療費がかかる がんの治療に自由診療や先進医療の治療法を選択した場合、そもそもの費用がそれなりに高額のため、全額自己負担となると、金銭的負担がかなり大きくなります。 女性の場合、抗がん剤の副作用で抜けてしまった髪をカバーするためのウィッグ(医療用かつら。1万~30万円)や、乳房再建術(保険適用の場合、10万円前後、保険適応外のもので50万~100万円くらい)といった費用が、治療費のほかに必要になることもあります。 最初にもお話しした通り、がんはもはや特別な病気ではありません。自分にとって納得のいく治療をするためには、保険での備えがあると安心です。 そして、何といっても早期発見が重要。保険に加入することだけではなく、定期的な健診を受けることも心がけましょう。
2014年11月19日老後の生活は公的年金だけでは足りない、という不安をよく聞きます。親世代を見ると、人によっては生活費に充分な額をもらっている方もいるため、ピンと来ませんが、おそらく私たち世代(現在20~40代の世代)が将来受け取る年金額は、生活費を下回ることが多いでしょう。 厚労省が2014年6月27日にまとめた試算によれば、現在40歳以下の世代が受け取る厚生年金の金額は、経済が成長しても、現在年金をもらっている世代の収入の半分強、マイナス成長だと半分以下にとどまるという見通しだそうです。 これが国民年金の場合、20歳から60歳までずっと加入していたとしても、年間受給額は80万円弱(夫婦の場合×2=160万円弱)。少なくとも都市部で生活するには厳しい額です。 そこで、足りない老後の生活費を補うための、「自分年金」の作り方について紹介しましょう。 ■自分年金には、どんなものがあるの? 自分年金とは、民間の金融商品を活用し、自分で老後の資金を作ることを指します。普通預金で積み立てても自分年金と呼べますが、より効率よく老後の準備ができるとして活用されているものを、いくつかご紹介します。 ・個人年金保険(定額・変額) 個人年金保険の契約時に、将来の年金額が決まっているものを「定額年金」、保険料の運用次第で将来の年金額が変動するものを「変額年金」といいます。「定額年金」は大きな利回りは期待できないものの、一定の要件を満たすと保険料の一部が所得控除の対象となり、所得税・住民税の控除枠が使えるため実質利回りが上がるのがポイント。 「変額年金」は、より高いリターンを目指して、リスクのある金融商品(投資信託や外貨預金など)で保険料を運用します。商品によっては元本割れ(運用の結果、元の金額を下回る額になってしまうこと)の可能性もあるので、事前にしっかり確認しましょう。民間の保険会社の商品です。 ・ (個人型)確定拠出年金 2001年に導入され、右肩上がりで導入が増えている制度。自己責任で運用商品の組み合わせを選びます。企業が導入している「企業型」と、個人事業主または勤め先で企業型確定拠出年金や企業型年金、基金に加入していない方が個人で加入できる「個人型」の2つがあります。 この「個人型」は、早ければ2016年度にも主婦や公務員が加入できるよう、厚生労働省が見直しを進めています。加入は、途中解約をしない60歳までの長期保有が基本。掛金は全額所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。国民年金基金連合会が実施し、銀行などが窓口となっています。 ・ 小規模企業共済 個人事業主、一定以下の規模の企業の役員が加入できます。退職金制度の代わりのような意味合いがある、自分年金です。掛金は全額所得控除の対象となり、所得税・住民税が軽減されるほか、廃業や役員を退任した時の受け取りに対する課税も軽減されます。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。 このように、実はいろいろな種類がある自分年金。加入資格の要件もありますが、自分の状況に合ったものを選べば、老後の資金作りにかなり有利になるでしょう。上手に活用して、明るい老後を迎えましょう。
2014年11月16日ここ数年、書店を中心によく見かけるようになった「エンディングノート」。簡単に説明すると、もしもの時のために、人生の終末期についての希望を書きとめておくノートのことです。 遺言書よりも気軽なイメージがあるためでしょうか? 2015年1月からの相続税の改正に伴い、自分の相続が気になるという高齢の方の中にも、まずはエンディングノートを書いてみようと思う方が多いようです。 ■エンディングノートに何を書く? エンディングノートは、項目に沿って記入していくことで、自分の所有しているモノや想いを整理することができる優れたツールです。 多くのエンディングノートに共通する項目は、次のような内容です。 ・自分の情報 自分の歩み、思い出、家族、家系図 趣味・おつきあい 健康状態、病気や介護の際の希望など ・財産 貯蓄・保険・年金・借入 不動産やその他の財産 ・ラストプラン 葬儀・墓 最近はより細かい項目として、パソコンはどう処分して欲しいのかということや、ペットの行きつけのサロンなどを書くものもあります。たしかに残された家族にとっては必要な情報ですね。 ただし、ひとつ気をつけておきたいことがあります。それは、エンディングノートは遺言書とは異なり、法的な効力がないこと。財産やお金絡みのことについて希望がある場合は、きちんと遺言書を作成してください。(ただし、遺言書には記載のルールがあり、それにのっとって書かなければ法的効力を持たなくなってしまう場合があるので気をつけてください。) さて、このエンディングノートですが、「まだまだ相続なんて関係ない」とお考えの若い方にもお勧めしたいメリットがあります。それは以下の通りです。 ■若い世代がエンディングノートを書くメリット (1)自分に必要なリスク対策がわかる エンディングノートには、自分の持っている資産の棚卸しをするための項目と、延命治療や介護時、葬儀の希望の記入欄があります。それを記入するということはつまり、リスク時に家族の暮らしはどうなるのか、どうなって欲しいのかを考えることにもつながります。 私はFP(ファイナンシャルプランナー)として保険の相談を受けることが多いのですが、若くて健康な方ほど、自分に万が一のことがあったときの生活をイメージするのが難しいため、担当者に勧められるままに保険に加入しているケースが見受けられます。 子供の年齢や貯蓄額、ローンの有無によっても必要な保障は異なります。確率が低いからといって、対策が足りていなければ、悔やんでも悔やみきれません。自分の望む状態がかなうようなリスク対策ができているかも検証しましょう。 (2)自分の価値観を明確にできる エンディングノートの記入項目には、普段考えることに慣れていない項目も多いため、すべてを記入するのはそれなりに大変な作業となります。死んだ後、今の住まいをどうするのか、お金はどうするのか、体が不自由になったらどうするのか。悩みながら考えることで「自分の生き方」を整理することにつながります。 それは、単に残された方への情報となるだけではなく、自分自身の思いやこれから成し遂げたいことに気づくきっかけにもなることでしょう。 「死」を意識することには、自分の価値観をはっきりさせ、人生をより充実させる効果があるといわれています。たしかに、東日本大震災の直後、「今を悔いなく生きよう」という人生観に芽生えた方は、私の周りでも多く見受けられました。 人生の終わりを見つめることは、一見すると後ろ向きなことに思われがちです。しかし、実際はそうではなく、これから進むべき道をはっきりとさせるための大切な作業なのかもしれません。 「これからの人生をより豊かにする」効果の高いエンディングノート。若い世代の方も含め、家族全員がそれぞれ書き、状況が変わるたび、あるいは誕生日を迎えるたびなど、定期的な節目に見直しすることをおすすめします。
2014年11月13日少子高齢化が進み、公的年金ってホントにちゃんともらえるの? と不安な方も多いはず。そうした不安の解消と年金制度の維持のため、平成24年8月に成立・公布された「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金機能強化法)の主要項目が平成26年4月以降、順次施行されています。その中で、今回はママに関係のありそうな部分について解説を加えていきます。 ■産前産後休業期間中の保険料免除 産前産後休業(産休)中や育児休業中は、会社からのお給料が出ない場合でも(休業中もお給料が支給される会社もあります)厚生年金保険や健康保険など社会保険への加入は継続されるため、社会保険料を納めなければなりません。収入が減っているのに保険料の納付が続くのは厳しいものです。 そこで、そうした負担を軽くするため、育児休業期間中については、「育児休業保険料免除制度」が設けられていました。 今回の制度により平成26年4月からは、産前産後休業期間中も事業主の申出により保険料の免除が受けられるようになりました。もちろん、将来の年金の計算の際は、その期間も保険料を納めた期間としてカウントされます。 また、産前産後休業終了後に育児などを理由に報酬が低下した場合、保険料負担が改定前のものとならないよう、産前産後休業終了後の3ヵ月間の報酬月額を基に、標準報酬月額が改定されています。 産休中・産休明けは何かと物入りな時期でもあるので、これらの措置によって負担が軽くなるのは嬉しいですね。 ただし、上記に関しての手続きは従業員ではなく事業主(会社側)が行うものなので、小規模な職場などは人事の方の申請漏れなどがないか、確認をしておくのが安心です。 ■遺族基礎年金の支給対象を父子家庭に拡大 いままでは、遺族基礎年金の支給対象は「子のある妻」または「子」でしたが、改正後は父子家庭への支給も行うことになりました。 ※「子」とは18歳に到達した年度末までの子(障害者は20歳未満)のことを指します。 ■短時間労働者に対する厚生年金・健康保険の適用拡大 短時間労働の非正規雇用(パートなど)の方がご主人の社会保険の扶養控除枠を超える働き方をすると、国民年金・国民健康保険に加入しなければならなくなり保険料負担はグッと増えます。にもかかわらず将来もらえる年金額や健康保険でのメリットは専業主婦と変わらないのです。 週30時間以上(日数・時間において正社員のおおむね3/4以上)働く場合には正社員と同様に厚生年金に加入できることになっていますがそれならば、と扶養の範囲内にこだわる方も多いはず。 改正後は、以下の条件が満たされる場合は厚生年金保険が適用されるようになります。 ○労働時間が週20時間以上 ○月額賃金が88,000円以上(年収106万円以上) ○勤務期間が1年以上見込まれる ○従業員が501人以上の企業 これによりパートと正社員間の格差をなくし、女性の就業意欲を促進し、今後の人口減少社会に備える、というのが今回の改正の主旨となっています。ただし、事業者側にとっては保険料負担が増えるわけですから、自分の望む働き方のためのコミュニケーション力も必要となるかもしれませんね。 ※この項目に関しての施行時期は平成28年10月からとなります。 ◆ 平成26年4月から年金機能強化法が施行
2014年10月07日マネーの相談会を行うとよく受ける質問のひとつに「今は保険にお金をかけたくないので共済に加入しています。どのタイミングで保険に入り直したほうがいいですか?」というものがあります。状況によりアドバイスは異なりますが、その判断材料として、保険と共済はどう違うのかを比較し整理してみましょう。 ■共済の掛け金の安さの秘密 加入する側にとっての共済の魅力は、なんといっても「掛け金の安さ」ではないでしょうか。子育てでお金がかかる時期にはありがたいですよね。掛け金が安いのは組合員向けの非営利の事業であるから、ということは知られていますが、実はもうひとつ理由があります。共済は年齢が上がっても掛け金が変わらない代わりに、一定年齢になると保障額が下がるのです。 一例ですが、こくみん共済総合タイプ(掛金1,800円)の死亡保障は、59歳までは400万円なのに対し60歳を過ぎると100万円に、65歳を超えると50万円に、80歳を超えると20万円になります。入院保障額も同様に減額され、病気入院の保障は70歳以降ゼロになります。(全労災HPより) 死亡率も入院件数も、年齢が上がるほど高くなることを考えると、若い人と高齢者が同じ掛け金・同じ保障だとしたら、高齢者ほどお得で不公平ですよね。ですから共済は、年齢によって保障額を変えているのです。 保険の場合は、保険期間中の保障額は原則変わりません。ただし、加入した時の年齢から保障期間が終わるまでのリスクに応じて保険料が決まるので、30歳より40歳のほうが、保険料が高くなるというわけです。 ■保険と共済、コースメニューか、アラカルトか 共済の基本形は「コースメニュー」というのも大きな特徴です。掛け金別にコースが設定され、死亡保障、入院保障などが決まった組み合わせ・額でセットになっています。最近は共済も進化していて、組み合わせや保障額のアレンジができるものも登場しましたが、いくつかの選択肢からのチョイスとなっているので、さしずめプリフィクスメニュー(選択式メニュー)といったところでしょうか。細かなアレンジはできませんし、保障額も保険と比較すると低めです。 それに対して、保険の場合はアラカルトでの注文ができます。まず、メイン(主契約)を選び、額を決めます。主契約の種類としては死亡保障、入院保障、あるいは生前給付といって特定の病気になった時に一時金でまとまったお金が給付されるものなどがあります。 単品ずつでも加入できるので、たとえば、独身で万が一死亡しても生活に困る家族はいないけれど、自分が重い病気や介護になったときの保障はそれなりに欲しい、というような場合、そのニーズを満たす保障だけを持つことができます。オプション(特約)をつけられる場合も、多くは任意に種類や額を設定できます。 ■共済に向いている人、保険向きの人 以上のことから、それぞれどんな人に向いているか考えてみましょう。 ・共済が向いている人 万が一のことがあったときの備え(貯蓄・ローンのない持家・その他の資産など)がすでにあるので、保障はコンパクトなもので充分という考えの人。 ・保険が向いている人 子どもの教育費や家賃・ローンを払っているなど、何かあった時に大きな保障が必要な人。また、自分に必要な期間、自分に合った保障内容と額をカスタマイズしたい人。 皆さんも、目先の保険料だけにとらわれず、どんなことが起きたらどれくらいのお金が必要なのか、先々はどんな暮らしにしたいのかを考えて、保障の持ち方を選びましょう。
2014年10月06日2014年1月にNISA(ニーサ)制度が導入されましたね。それをきっかけに投資をスタートしたという方もいるのではないでしょうか。さかのぼると2000年くらいから、国は「貯蓄から投資へ」という言葉をスローガン的に掲げてきたわけですが、ここへきてやっと具体的な動きが出てきました。 今回はこの「貯蓄から投資へ」を国が推奨する理由について整理してみたいと思います。考えられる理由は、おもに以下の3つです。 ■1.預貯金では「殖やせない」時代になった かつて、高度経済成長期からバブル期にかけての日本の預貯金の金利は、今では考えられないほど高い水準でした。平成2年前後の定期預金の金利には5%を越えているものもあったほどです。そんな環境ではわざわざリスクをとって運用する必要もありません。 その後バブルがはじけ、預貯金では「殖やす」効果がなくなりました。中には、「ちゃんと貯めているから、別に大きく殖えなくてもいい」という方もいるかもしれません。たしかに、近い将来使うお金は預貯金で堅実に貯めるのがおすすめです。けれども、もっと先の「老後」に備えるお金は、 前回の記事 にも書きましたが、預貯金だとインフレに対応できない可能性があります。 ■2.将来の生活を国や企業に頼れない時代になった 少子高齢化の影響で年金の受給額が下がったり、受給開始年齢が遅れたりする中、将来の生活費を年金だけに頼ることが難しくなりました。さらに、企業の退職金も団塊世代の定年退職によって積立金が大幅に減少してしまったため、今後は退職金もあてにならない時代になりそうです。 ■3.経済成長のために家計の金融資産の有効活用を期待している 日本の家計が保有する金融資産のうち、預貯金が占める割合は半数以上と、他国と比べ、突出して高くなっています(下グラフ参照)。 家計に占める現金・預金の国際比較 (グラフ: 政府広報オンラインより ) この預貯金に代表される家計の資産を、私たちが直接企業に投資することで経済が成長する、国はそれを期待しているのです。 つまり「貯蓄から投資へ」という言葉には「不況や少子高齢化で今までみたいに手厚く国民の面倒を見られなくなったから、後は自己責任・自助努力で頑張ってくださいね。取り組んでくれた人にはNISAなどの税制優遇をしてあげますよ」という国からのメッセージが隠されているわけです。 とはいえ、投資をするのが初めてというのが、いきなりNISAをスタートさせるのは考えもの。元本保証がない分、しっかりした方針を持たずに始めると不安になったり、かえって損をしたりする可能性も高まります。まずは今後のライフイベントを整理した上で、すぐに取り崩す可能性がない将来のための備え部分から、無理のない額でスタートしましょう。
2014年09月22日「預貯金にもリスクがある」という言葉を聞いたことはありますか? 投資の必要性を説く時によく使われる言い回しで、預貯金にお金を置いておくと、インフレがおこった際、預貯金の金利よりも物価上昇率が高くなり、知らないうちに資産が目減りしてしまうという意味です。そんな預貯金のリスクですが、実際のところはどうなのかを考えてみましょう。 ■「インフレ」と「デフレ」とは? 物価が上がることをインフレーション、略してインフレといいます。本来は景気の良い時に、自然と物価が上がる現象を指します。そうした時期は企業の売り上げが増加するので従業員の給料も上昇し、株価や預貯金の金利も上がるため、世の中に好循環をもたらします。 反対にデフレ(デフレーション)とは、不況のもとで物価が下がることを指します。日本ではバブル崩壊後に不況が続き、その間に百均ショップやコストを抑え値段を下げた衣料や雑貨のお店も増え「デフレ」になりました。 デフレで物の値段が下がるのは、一見いいことのように思えますが、企業にとっては売り上げを上げられないため、給与水準も上がらず、世の中にとっては厳しい状況となります。貯金の金利も下がり、株価も低迷します。 こんな中、「インフレ」と言われてもピンとこない方もいるかもしれませんね。現在、安倍政権では景気回復のために物価を2%上げることを目標としています。効果については賛否両論がありますが、原油高などの影響もあり、2014年6月は前年同月に対し3.3%、消費税増税による押し上げ効果を引いて1.3%だそうです(総務省の調査)。 ■預貯金は、インフレによって本当に資産価値が減ってしまうのか さて、本題に戻りますが、預貯金は本当に、インフレによって資産価値が減ってしまうのでしょうか。 インフレとデフレの時期を含んだ1975年から2005年までの30年間の物価上昇率を見ると、お米10kgの値段は1.4倍、ビール大びんは2倍、郵便料金は4倍になっています(内閣府調べ)。それを踏まえると、不況の時期があったとしても長期にわたって物価が上がらない、ということはなさそうです。 また、教育費などは不況期でも上がっていること、日本は食料や資源などを海外からの輸入に頼っているため、原料高や為替の影響などでインフレとなる要因もあることを考えると、長期の資産を預貯金だけで貯めていた場合、物価上昇時に価値が目減りする可能性があることも考えられます。 ■預貯金と投資 ただし、そうは言ってもデフレで物価が下がっている時にも、預貯金は元本割れすることがありません。今後の経済を完全に予測するのは難しいことなので、デフレに備え、預貯金を持っておくのは大切なことです。 預貯金のリスクを補完するために、投資が必要になることもあるでしょう。ですが、投資の特性として、値動きに波があり、特に短期間では元本割れの可能性が高いというリスクを含んでいます。 では、長期の資金ではどうでしょうか。長期の運用は適切な配分をすることによって、物価の上昇に対応する収益を見込むことができます。 もちろん、人によってはリスク許容度が低く、投資に向かない場合もあります。自分にとって投資が本当に必要か、どんな投資が向いているかについては、はじめは分からないもの。ちょうど昨年始まったNISA制度をきっかけに投資を始めた方も増えているので、各証券会社とも初心者向けセミナーや相談会に力を入れています。そんな機会を上手く活用してみてはいかがでしょうか。
2014年09月19日消費税率が上がってから数ヶ月が経過し、8%の計算にもなんとなく慣れてきた方も多いのではないでしょうか。とはいえ、今後また10%にあがればじわじわと家計への影響が…。そんな消費税について、改めて整理してみましょう。 ■なぜ税率が上がったの? ずばり「少子高齢化」が原因です。現在の年金や医療、介護を支える制度は社会保険料に支えられています。それを納める現役世代が減っていて給付を受ける高齢者が増えているため、このままだと制度を維持できなくなってしまいます。そこで、足りない分を「国債」という借金でまかなっています。 家庭に例えると月収30万円なのに、借金が5,143万円あって、さらに毎月23万円借り入れをし続けている(実際にはそんなに借金があったらもう借りられません!)状態です。 親への仕送り(社会保障)は止められず、自分の返しきれない借金を子供たちに残したくない。そのためには収入を増やさなくては、ということで景気に関係なく安定している税収といわれる消費税の税率が上げられることになったわけです。 (図は政府広報オンラインより) ■消費税が上がった分は何に使われるの? いままで消費税は高齢者への保障に使われていましたが、増収分は「社会保障4経費」といってより広い範囲、特に子育ての充実にあてると約束されています。ママとしては嬉しいのですが、今までの子育て政策は「子ども手当」のようにころころ変わってきたことも事実。増税分の予算がきちんと意味のある使われ方をしているかをしっかりチェックしたいものです。 ■もっとあがる可能性があるの? 平成27年10月から10%に上げることが法律で定められていますが、それでも国の収支はマイナスです。今後の税率も経済状況をふまえ検討をおこなうことが決まっています。つまり買い控えによる景気悪化や更なる少子化で、税率は更にあがる可能性もあるのです! ■では、私たちにできることは? 私が、子育て中の方に実践して欲しいと願っていることは2つ。 まずは、「不必要なものを見極め、でも必要なものをしっかり手に入れる力」。節約だけでは消費が落ち込み、景気が悪化してしまいます。かといって使いすぎては意味がありません。具体的にどのように浪費を防ぐかを、このサイトでどんどん発信したいと思います。 そしてもう1つは「主体的な子どもを育てること」。一見お金とは関係ないことに思われるかもしれません。ですが、それなりに厳しい将来を担う子供たちには、自ら考え行動する力が必要とされるはず。勉強を強いるだけではなく、その子の強み、適正を見極めて道を指し示すことも親の役割ではないでしょうか。 私たちが消費税アップを憂うだけではなく、さらに賢い家計管理と子育てを意識し実践したときに、日本の未来はもっと良くなるはず!
2014年07月31日家計簿をつけている人のほうが、つけていない人よりも平均貯蓄額が71万円多いというデータがあります。家計簿で支出の中の無駄を把握することは節約につながっているのでしょう。 でも、家計簿をつけなければ「家計を管理」できないのでしょうか? 私がファイナンシャル・プランナーとしてご相談を受ける中で、家計簿を完璧につけている方でも家計を管理できているとは限らないと感じています。毎月の集計までしていても、年単位での収入・支出・貯蓄ペースを聞くと、即答できなかったりします。また、これからの家族のライフイベントに「いつ、いくら」かかるのかを把握している方は実はごくわずかです。 ■そもそも家計の管理とは? 家族にとって本当に必要なことにお金を使えるよう、計画的に準備することです。会社と違ってつぶれることの出来ない家計にこそ、管理するという考え方が必要です。家計簿をじっくり見たところで、未来の支出やそのための準備がどれくらい出来ているかはわかりません。 では、どうしたらそれを把握できるのでしょうか? 実際のファイナンシャル・プランニングとは異なりますが、まずは自分で簡単にできる方法をお伝えしたいと思います。 STEP 1:貯蓄残高とペースを把握する まずはメモでもかまいません。名義や口座ごとに預金残高を書き出します。そして、毎年どんなペースで増えているか(あるいは減っているか)を把握します。 STEP 2:ライフイベントを書き出す 住宅購入やリフォーム、子どもの教育費、レジャーや起業など、今後のライフイベントを起こる(であろう)時期の順番に書き出しましょう。私のFP相談では老後の費用も考慮し90歳まで(!)のイベントをお伺いしますが、自分で書くなら支出がイメージしやすい時期まででかまいません。(子どもの教育が終わるタイミングやリタイアまでなど)そして、その間にかかる費用もざっくりで良いので書き出してください。 教育費は このサイト で簡単シミュレーションが出来ます。住宅はローンを組む場合、頭金(物件の2割以上が理想!)で計算します。 STEP 3:貯蓄目標を立てる ライフイベントにかかる費用と今の貯蓄残高、毎年の貯蓄の増え方を照らし合わせてみましょう。今のペースだと高校卒業まではいいけど、大学の時期が…とか、あれれ? 2年後の住宅購入に向けてこのペースではまずいな、とか色々見えてきませんか?そのギャップを知った上で貯蓄の目標額を設定しましょう。 STEP 4:予算を立てる 手取り収入から貯蓄目標額を引いた額を月々の予算に振り分けます。実際はボーナスがある方、収入が毎月変動する方など個別の状況があると思いますが、上手に工夫して月の予算を立ててみてくださいね。 現状の支出の見直しが必要な場合、すでに家計簿をつけていれば項目を見つけやすいでしょう。でも家計簿をつけていなくても、まずはここをおさえられそう、というところにアタリをつけてやってみる→うまくいかなければまた違う手を考える、という手順は一緒です。まずは家計簿よりもこのステップを優先してください。 かなりざっくりではありますが、これを実行し、最低年に1回見直していただくと将来の支出への準備が出来てきている実感がわくと思います。そう、それが「家計の管理」です。 どうしても自分で上手く出来ないという場合はプロのFPに相談するのもおすすめですが、上記を行っておくと相談の際もスムーズになるので、ぜひお試しください。
2014年07月30日