人様や世間に激しく暴力的な態度をとりたくなったかと思えば、次にはすさまじいまでの自己嫌悪がやってくる。ジェットコースターのように急変化する気分にぶんぶんと振り回され、本気で自分の精神が狂ってしまったんじゃないかと苦しみました。
このまま私はおかしくなっていってしまうんじゃないか。そういう不安で身も心もすくみ、自分を責めてますます落ち込んでいたある日。カンファレンスの仕事で出かけたラスベガスのストリップで信号待ちをしているとき、急に背中から汗とほてりと悪寒が同時にやってきて、恐怖で叫び出したくなりました。
このままでは仕事も生活も成り立たなくなると追い詰められ、初めて病院に行くことを思いつきます。検査してもらったら「女性ホルモンの分泌がほぼなくなっています、更年期ですね」との結果。なるほど、私がおかしくなってしまったのではなく、これは更年期障害なのだ、ホルモンのせいなのだ、とわかったことで、ようやく納得できました。
よく、月経が止まると「女じゃなくなる」といった偏った言説にショックを受けるという世間の話を聞いていましたが、不思議にそうは思いませんでした。子どもを産む機会もなく迎えた50歳。