オーデトワレ(※)にしては香りの持ちがいいフレグランスで、少し前まで母がいたところには、常にその香水の香りがしていたように思う。
※「オーデ=水の/トワレ=化粧」という意味。日常の中で軽い感覚でつけられるもの。香りの持続時間は2~5時間ほど
母の影響か、私も大人になって最初に香水を買おうと足を伸ばしたお店はゲランだった。20歳の頃、それから2年後、また数年後、と何度かお店を訪れたけれど、これと言ってお気に入りの香りは見つけられなかった。
ところが、去年の秋、ふらっと立ち寄った新宿の百貨店の中のゲランで、「JICKY(ジッキー)」の香りに出会った。1889年に発売されたいわゆる“名香”で、紹介するのもおこがましいくらい有名な香水だ。名前しか聞いたことのなかった私に、スタッフの男性が、「ジッキー」が生まれた由来を教えてくれた。
公式サイトの紹介文を一部引用する。
発表当時、その斬新な香りに女性たちは戸惑いましたが、男性たちの間ではすぐに評判になりました。そして現在、このフレッシュでいきいきとした香りは、ユニセックスなフレグランスとして、男女を問わず愛されています。エメ・ゲランがイギリス留学中に出会った、若く美しい女性ジッキーへの忘れ得ぬオマージュとして捧げられた香りです。