子育て情報『「え。今日何もしてへんの?」どうして自分だけ…不妊治療、一番苦しめたのは心の闇だった』

2021年3月5日 12:30

「え。今日何もしてへんの?」どうして自分だけ…不妊治療、一番苦しめたのは心の闇だった

 

私のせいで……電車で涙が止まらなかった初期流産

不妊治療


その日から次の受診日まで、意味がないとわかっていても過剰に安静を心掛けた。「通勤の電車が揺れすぎじゃないか」と無駄に精神をすり減らした。

受診日、妊娠が確認できたものの「少し成長が遅いかな?まだ安心はできません」と、翌週の受診まで判断は待つことに。結果は、心拍確認できず初期流産だった。

帰りの電車で一人、涙が止まらなくなった。

「自分がとてもかわいそうに思えてきて。子宮外妊娠したときのことも思い出して、なんで自分ばっかりって……。冷静に考えると流産なんて普通にあることなんですが、最新の医療でも私はだめなの?って落ち込みました。
ただただ本能的に、子どもが育てられないのかという悲しみでした」

日本産科婦人科学会によると、年齢により流産率は大きく異なる。医療機関で確認された妊娠のうち、流産が起こる確率は20代で15%前後だが、40歳以上で50%以上と、決して少なくない。原因のほとんどが染色体異常だ。

かなさんの場合、流産が偶然だったのか母体に原因があったのかを調べるため、手術で組織を取り出し検査した。結果、受精卵の染色体には問題はないと判明した。妊娠を継続しにくい「不育症」の可能性をいくつか指摘された。

「悪気はないとわかってはいましたが、そのときに先生が『男の子だったんだね』とおっしゃって。私の体がポンコツなせいで、この男の子は育つことができなかったんだ!と考えてしまって、さらにつらくなりました」

注射と食事制限で体質を改善心拍確認、出産へ

不育症への対策が始まったが、負担は想像以上だった。
糖尿病予備軍とされ、注射を12時間おきに毎日打つこと、1日1食は炭水化物ゼロ、さらにほかの2食については、食後に血糖値を下げる薬を飲むことが課せられた。

食事制限で目に見えてやせたため、会社の人たちにも不妊治療のことを伝え、毎日の注射は更衣室で打たせてもらった。体質が改善してきたところで、2個目の受精卵を体に戻した。 

2回目の移植では、心拍が確認できた。しかし安堵と不安がマーブル状に入り組んだ。

「心拍が確認できても、また流産の悲しみが待っているのではという気持ちがずっとありました。

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