2021年7月29日 17:00
子どもを望んで数年、夫に原因があることが判明。高額な手術に悩んで… #1
「私の体に何か問題があるのだろうか」とだんだん不安になっていった。
「でもいきなり不妊治療って考えるのはハードルが高くて。夫婦間でも言い出しにくかったです。まずは重い生理痛を軽減しようという目的で、ネットで調べた通勤圏内の婦人科クリニックへ行きました」
検査の結果、夫に不妊の原因があることが判明
志保さんの検査結果は「平均」だった。タイミング療法を試してみようという流れの中で、夫も検査を受けた。
「平均と比べて精子の数値が低いですね。専門のクリニックに紹介状を書くので、行ってみてください」
担当医からの言葉に、夫はあまり動揺を見せなかった。
「生まれたときに大病をしているので自分が原因かもしれない」と考えていたからだ。
でも、「いつか子どもが欲しいね」とあれほど2人で語り合って来た。ショックを受けていないはずはなかった。
「でも落ち込んでばかりではいられないですから。どういう方法が最善なのかなって2人で前向きに考えるようにしました」
夫は一人で精密検査へ
一般的に女性と比べて男性の不妊治療に関する世間の理解は低い。男性不妊に対する公的な助成金も十分とは言えず、まだまだハードルは高いのが現実だ。男性自身の関心が低いケースも少なくない。なかなか核心に迫る悩みは女性より相談しづらいと感じている当事者男性は多く、検査に行くこと自体ちゅうちょする人もいる。
女性の不妊治療の場合、婦人科へ夫婦そろって行くことは珍しいことではないが、男性の場合、妻が付き添うケースはまだまだ一般的ではない。
結局、志保さんの夫は「精密検査は1人で行ってくる」と言い、不安がにじむ夫の背中を祈るような気持ちで見送った。専門クリニックで詳しく検査した結果、「精管が片方しか通っておらず、近くを通っている血管によって精巣が熱せられるため精子の数が少ない」と診断されて帰ってきた。
高額な手術費……夫は手術を決意
前出の「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」は、外科的手術で改善する可能性がある。志保さんの夫の場合、「通っていない精管はどうにもできないが、熱せられる精巣への対処は手術で改善できるかもしれないと医師から言われた」と夫は言った。