■女の子は「いじわるして、いじわるされて」しぶとく育つ
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「女の子のいじめは小さな頃から
精神的な圧迫合戦です」(高濱さん)。男の子は精神的な圧迫をかけるという発想もなければ、そんな考え方に触れることもないまま、一生を終えるのではないかと思います。基本的に、男の子はケンカ、女の子はイジメになりやすいようです。
人生を語っている本には、みな一様に「人間は何がきついかというと、みんなに無視されることである」と書いてあります。学校へ行っても、グループのみんなに無視されるなど、自分が存在していないかのように振る舞われることほど、つらいものはないのです。女の子は、人にとって何が一番きついか、幼くして知っているから神経戦をしかけて、だれかを孤立させようとするのでしょう。
【ママの接し方のコツ】
いじわるされたら「生き抜く練習」と思え!
「いじわるで しぶとく育つ 女かな」という句は、女の子独特の特性をまさに言いえています。
女の子のいじめは、グループ内で順繰りに回ったりします。
これは、男の子にはあまりありません。「次は私にいじめが回ってくるかも」と思いながら、同調圧力をかけあう女子たち。「これを小さいころから経験しているからこそ、社会人になってからも、ちょっとやそっとのことには負けず、本当に
しぶとく生き抜けるのは女の子なのです」(高濱さん)。
娘がいじわるをされているとなれば、ママとしては生きた心地がしません。でも、そんなとき、「しぶとく生き抜く練習をしている」と思えたら、ママの胆力につながるかもしれません。
■女の子は「これ、かわいいね」で友だちができる
男の子の判断基準が「おもしろい」「カッコいい」であることに対して、女の子の判断基準は、何歳になっても、「かわいい」「きれい」「わかる」だとか。「
『共感そのもの』を食して生きているのが女の子、女性なのでしょう」(高濱さん)。
男の高濱さんからすれば、「よくそんなことを共感できるな」と思うことを共感しあっていて、それこそが「女性ワールドなんだなぁ」と思っているそうです。
【ママの接し方のコツ】
ほめると仲良くなれる基本をマスターせよ
高濱さんは小学校1年生の女の子から教えてもらった、あるひと言が忘れられません。それは、「あのね、『これ、かわいいね』とほめると、友達ができるんだよ」。ほとんど金言に近い言葉だったと高濱さんは感慨深げに言います。
「女の子同士の仲良くなる基本が『見せて~』であり、『かわいい!』であり、『きれ~い!』であり、『わかるぅ~』なのでしょう」(高濱さん)。
娘といえども、女同士。こんな「ミニ知識」をママが意識的に使えると、「いざ!」というときに威力を発揮するかもしれません。
■女の子の「よい子でありたい」美学を理解する
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「女の子は、いわゆる『よい子』を演じようとします。「『しっかりとした美学』があり、
『恥』という概念を獲得するのが早いのでしょう」(高濱さん)。
男の子のように下品なことを言って笑いを取ろうとしたり、枠をはずしてみせたりすることはほとんどしません。「あの子は変だ」、「あの子は馬鹿だ」と思われるのがイヤなのです。
だから、たとえば、「マルつけのときにこっそり間違いを消して書き直す子」「ほかの子の方が先に解けるとなると『やらない』と言い出す子」「間違っても『わかりません』とは言わない子」などが出てくるそうです。
【ママの接し方のコツ】
繰り返し問題意識を改善せよ
親としては「たくさん間違うから頭がよくなるんだよ」「できなかったことをできるようにするのが勉強だよ」など繰り返し指導して意識改善をしていく必要があります。
けれども、「恥をさらせる男の子に比べて、『よい子でありたい』という気持ちは、女の子特有だなぁと日々感じています」(高濱さん)。
「「なんでかな よい子でいたい 私なの」という句は、まさに女の子の心情を表しています。「女の子は、そういう生き物なんだ」という気持ちの余裕を持てるといいですね。
いかがでしたか? 高濱さんに「女の子という生き物」を解説してもらうと、「たしかに、それってあるなぁ」と、筆者自身もわが身を省みて思うことだらけでした。
この知識は、娘との関係の上ではもちろん、ママ友、そして、自分自身と付き合う上で役に立ちそうです。
【女の子ってこんな生き物】
●女の子にとってママはモデル(お手本)
娘の口調がママと同じになっている。
●ナンバーワンよりオンリーワン
目の前の人が『自分のために』何かしてくれたら心が満たされる。
●感情で納得する
女の子は「とことんまで心配してくれる」相手の熱い気持ちに反応する。
●いじわるをする/いじめが神経戦
いじわるな世界を生き抜いてきた分、女の子は社会人になってからも、しぶとく生き抜ける。
●「かわいい」「きれい」「わかる」が基準
「これ、かわいいね」で友達をつくっていくのが女の子。
●「よい子」であろうとする
「あの子は変、馬鹿だ」と思われるのが女の子はイヤ。
次回は、「将来を生き抜くために、小3までに身につけたい5つの力」です。
これからの時代、たとえ女の子であろうとも自力で『一生メシを食える』大人に育てるために必要なことについて伺います。
■今回のお話を伺った高濱正伸さんのご著書
『お母さんのための『女の子』の育て方』
(高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別)
●こちらもあわせてどうぞ!
『お母さんのための『男の子』の育て方』
(高濱正伸著/実務教育出版 ¥1,300(税別)
高濱正伸さん
花まる学習会代表・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長・算数オリンピック委員会理事。1959年熊本県生まれ。東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。
ロングセラー『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』ほか、『小3までに育てたい算数脳』『わが子を「メシが食える大人」に育てる』『算数脳パズルなぞぺー』など、著書多数。
花まる学習会公式サイト:
http://www.hanamarugroup.jp/hanamaru/
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Think!Think!とは:
https://think2app.hanamarulab.com/
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