赤ちゃんが生まれて100日目前後に行うお食い初め(百日祝い)。「“いつ”やるのが正解なの?」「“どう”やればいいの?」と悩むママ・パパへ、お食い初めについてのやり方、準備、献立、マナー、時短のコツもまとめて解説します。
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■お食い初めとは? いつ、どこで、誰とやる?
赤ちゃんが成長してきて、育児もほんの少し落ち着いてきたころにやってくる「お食い初め」。そもそもお食い初めとは“百日祝い”ともいわれる、生後100日前後に行うお祝いのことです。
「一生食べるものに困らないように」という願いを込めて、赤ちゃんに食べる真似をさせる儀式を行います。
▼お食い初めはいつやる?
基本は100日目に行うとされていますが、101日目でも110日目でも家族の都合のよい日に合わせて行っても問題ありません。100日目に近い週末など、家族が集まりやすい日に行うことも多いようです。
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▼お食い初めはどこでやる?
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お食い初めをやる場所については、必ずこうしなければならないという決まりはありません。赤ちゃんは生後100日前後(3ヶ月)で首が座ってくるころ。まだまだ小さい時期なので、自宅で行うというご家庭も多いかもしれません。
【時短テク】
最近ではホテルやレストラン、個室のあるチェーン展開の料理店などのお食い初めプランも充実しています。
お店によってサービス内容や価格帯もさまざまに設定されているので、準備や片付けが大変だと感じたときや、家族が集まるのに自宅よりも外が適しているときには、自宅にこだわらずに利用してみるのもおすすめです。
▼お食い初めは誰とやる?
お食い初めは基本的に家族で行います。昔は、親族や近所の方など親しい人を大勢呼んで行っていましたが、現在では子どもの祖父母とママ、パパのみで行ったり、ママとパパと兄弟姉妹だけで行ったりすることも多くなってきているようです。
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■お食い初めの歴史や由来
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お食い初めの歴史は、はっきりとは解明されておらず、地域ごとに異なる風習も残っているため、「これ」といった起源や由来はわかっていません。
現在わかっている限りでは、平安時代に“百日”というお餅を赤ちゃんに食べさせる行事があったようだ、ということ。これが鎌倉時代の書物、『平家物語』などに書かれている魚を食べさせた“真魚初め”というお祝いに変わっていったのではないかといわれています。
いずれにしても、現代のお食い初めではお赤飯や鯛を食べる真似をさせるところへつながっているように感じられるエピソードですね。
▼地域によって違うことも
地域によってお食い初めの呼び方が異なることがあります。 “歯固め”“百日の祝い(ももかのいわい)”“箸揃え”などと呼んでいるお祝いがあれば、お食い初めのことなので、地域に合わせた呼び方でお祝いをしましょう。
また、用意する器やお食い初めのやり方にも地域によって違うケースがあるため、お住まいの地域なのか、ママやパパの実家地域の方法なのか、どの方法にのっとってお祝いをするかを事前に話し合っておくようにしましょう。
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■食器(祝い膳)や服など、お食い初め当日までに準備するもの
いよいよお食い初めの時期が近づいてくるころ、どんな準備が必要になるのでしょうか? ここでは、“使うもの”“当日の服”“来客”の3点について紹介します。
▼使うもの
・お食い初めの食器(お祝い膳用)
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お食い初めは、赤ちゃんがはじめて食事(の真似)をするお祝いです。そのため、赤ちゃん用に食器を用意しなければなりません。
地域によっては祝い膳といって、特別な食器を用意することもあるようですが、最近ではその後も使えるような一般的なベビー食器などを使うことも多くあります。
伝統的なお食い初めの食器は、漆器のお膳です。男の子なら朱塗り、女の子なら内側が朱塗り、外側は黒塗りのものを用意します。また、食器を用意するのは母方の実家(ママの実家)からというしきたりもあるため、伝統に従ってお祝いしたい場合にはご実家の家族と相談してみるようにしましょう。
・歯固め石
食器と同じように大切なのが“歯固め石”です。
歯固め石は「石のように強く丈夫な歯が生えて、長生きできますように」という意味が込められているもので、お祝いのときの儀式に使用するもの。
石は、お宮参りをした神社やお寺、近所の河原で拾ってきたものなどを使います。色も形も大きさも好きなものを選んできてOKですが、お祝いの場で使用するので見た目がキレイなものやお祝い膳に置けるようなサイズのものがオススメです。しっかり洗ってから使用するようにしましょう。
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▼当日の服:赤ちゃん
お食い初めでは、主役となる赤ちゃんは色付きの小袖=和装の平服を着るのが一般的だとされています。
これは昔、赤ちゃんは生まれてからお食い初めまでは白い産着を着て過ごし、この日にはじめて色付きのものを着てお祝いをするという習わしがあったことに由来しているとする風習です。
ただ、赤ちゃんに和装を着せるのは大変ですので肩の上からそっとかけたり、服装にはこだわらずに普段の服装で過ごしたりすることも多くあります。
なかには、お宮参りとお食い初めを同時に行い、白いセレモニードレスなどを着せてお祝いすることも。
【時短テク】
最近ではオールインワンで手軽に着せられる「袴ロンパース」「袴オール」も人気です。安いもので千円前後で手に入るのも魅力。1枚買ってお正月とお食い初めと初節句に使いまわすケースも。
大切なのは、お祝いをする気持ちと、赤ちゃんが気持ちよく過ごせることなので、無理はせずに、できる範囲で用意するのがオススメです。
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▼当日の服:ママ、パパ
ママやパパの服装については特に決まりはありません。お祝いとして写真館などで撮影をする場合には、着物やスーツを着ることもありますが、ママも産後まだ3~4ヶ月の時期で体型が妊娠前の状態に戻っていない可能性も高いです。体調なども考慮しながら服装を選ぶようにしましょう。
自宅でお祝いをする場合には、ママやパパも普段の服装で問題ありません。ただし、レストランやホテルでお食い初めをする場合には、フォーマルな服装を心がけて場に合わせるようにしましょう。
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▼来客にはいつ頃どう伝える?
来客は、赤ちゃんにとっての祖父母を呼ぶのが一般的です。おじ・おばにあたるママやパパの兄弟姉妹や曾祖母が祖父母と住んでいる場合など、来客の範囲はママとパパ、それぞれの実家と相談して決めるようにするとスムーズです。
来客には、お食い初めをする日程と場所が決まったら、なるべく早めに伝えるようにしましょう。ただ赤ちゃんの体調によって急遽変更となる可能性もあるため、その点は事前に伝えておくと安心です。
家族や親族以外の来客を呼ぶ場合にも同様に、「◯日にお食い初めを予定しています。子どもの体調によっては変更があるかもしれませんが、ぜひお越しください」などと伝えておきましょう。
■100日記念の写真はどうする?
生後百日をお祝いするお食い初め。記念に写真を残したい場合、どのような方法があるでしょう。
▼お食い初めの様子を自分たちで撮影
お食い初めの祝い膳の前で、食べる真似に戸惑ったり喜んだりする赤ちゃん。初々しいその姿はもちろん、がんばって用意したお料理もぜひ記念に残しておきましょう。
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【時短テク】
ホテルやレストラン、料理店のお食い初めプランを選んだ場合には、写真撮影サービスがついている場合もあります。事前に確認してみましょう。
▼写真スタジオで本格的な撮影
100日記念の写真はプロにお願いしたいという場合は、やはり写真スタジオが便利です。衣装がレンタルできたり、お食い初め用のお膳を用意してくれるプランのあるスタジオもあり、忙しいママ、パパは助かりますね。
撮影日はお食い初め当日にこだわらず、スタジオ撮影だけ別の日に行ってもよいでしょう。
▼100日祝いの寝相アート写真も人気
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おむつや手作りのデコレーションで「100」を描いた床に赤ちゃんも一緒に寝かせ、俯瞰(ふかん)で撮影する「寝相アート写真」も人気です。アイディアを凝らしながら、自宅で手軽にチャレンジできます。
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■お食い初めの献立と注意点
お食い初めは、食べ物を食べる(真似をさせる)儀式なので、献立は重要です。これも伝統に則る必要はないですが、基本を押さえておき同じ意味になるように別のものを用意するなどで工夫をしていくようにしましょう。
▼お食い初めの献立
お食い初めの一般的な献立は、“赤飯”“(ハマグリの)お吸い物”“尾頭付き魚(鯛)の塩焼き”“煮物”“香の物”です。一汁三菜が基本となります。
お吸い物
お吸い物はハマグリが一般的ですが、それ以外の具でも大丈夫です。
尾頭付きの魚
尾頭付きの魚は、“めでたい”という語呂から鯛を用意することが多いですが地域によっては地場産の魚やエビを使うこともあります。
煮物
煮物は野菜が基本となり、人参・れんこん・たけのこ・しいたけなどが入るものがベースとなりますがかぼちゃなどでも代用可能です。
香の物
香の物は「しわができるまで長生きできるように」の意味を込めて梅干しが用意されることもあります。
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お食い初めのやり方 献立・食器・順番は?
▼お食い初め料理、つくるときの注意点
お食い初めの料理で気をつけておきたいのが、“鯛の置き方”。頭を左にし、尾が右にくるようにおきます。
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一般的な魚の置き方と同じですが、魚を自宅で焼くときには上側にくるほうはどちらなのかを意識して、見栄えよく焼けるように気をつけましょう。
また、伝統や一般的とされる材料にこだわりすぎると、時期によって手に入りにくい食材もあり、お祝い前に焦って探し回ることになってしまいます。事前に魚屋やスーパーの生鮮売り場などで必要なものを伝えて仕入れをしてもらっておくようにするのがオススメです。
▼通販で購入することも!
お食い初めに使う食器はもちろん、お食い初めの料理も通販で購入可能です。「自宅でお祝いをしたいけど、料理は苦手…」「赤ちゃんのお世話で手一杯でお祝い料理にまで手が回らない」というときには便利な通販を利用するのも一手です。
■お食い初め儀式の順番とやり方
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お食い初めの儀式では、祝い膳の前でお箸を使い、赤ちゃんに食べさせる真似をします。どんなやり方をしてもお祝いする気持ちがあれば十分なのですが、ここでは一般的なやり方を紹介します。
▼お食い初めの順番
お食い初めの儀式には順番があります。
1:ご飯(赤飯)→赤ちゃんの口元へもっていき食べる真似をする
2:吸い物→赤ちゃんの口元へもっていき食べる真似をする
3:ご飯(赤飯)→赤ちゃんの口元へもっていき食べる真似をする
4:魚→赤ちゃんの口元へもっていき食べる真似をする
5:ご飯(赤飯)→赤ちゃんの口元へもっていき食べる真似をする
これを3回繰り返します。その後、最後に歯固めの儀式として、
歯固め石に箸をつけ、その箸を赤ちゃんの歯茎に軽く当てたら終了です。
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赤ちゃんのお祝いごと(2)お食い初め 初誕生祝
▼お食い初めの儀式を行うのは誰?
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お食い初めの儀式は、お祝いに来ている家族や知人のなかでもっとも年長の人が箸をとって行います。赤ちゃんの性別に合わせて男の子なら男性。女の子なら女性が行うというしきたりもあります。
でもせっかくのお祝いなので、来てくれている祖父母が交代で行ったり、ママやパパが行ったりしてみんなで祝ってあげるのもいい方法です。家族みんなが笑顔でお祝いが出来るように工夫をして過ごしましょう。
▼大人やお祝いに来てくれた人は何を食べるの?
赤ちゃんにはお祝い膳としてお食い初めメニューを用意しますが、大人やお祝いに来てくれた人について決まりはないので好きなものを食べるようにしましょう。お祝いなので、お寿司を取ったり、赤ちゃんと似たメニューを大人用にも作ったり、来客の好みなどに合わせて変えると喜ばれます。
また赤ちゃんは本当に食べることはできないので、赤ちゃん用の祝い膳も、儀式が終わったら大人が食べてしまって大丈夫です。
■お食い初めにお祝い金や贈り物をもらったら
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お食い初めにきてくれた家族や知人にお祝い金や贈り物をもらった場合、あるいは家族や知人のお食い初めにお呼ばれされた場合には、どうすればよいでしょう。
▼お祝い金や贈り物をもらったら
我が子のお食い初めのためにお祝いや贈り物をいただいたときのお返し=内祝いは、基本的に不要といわれています。特にお祝いの席にお招きした人からいただい場合にはお食事をおもてなしすることで十分だとされています。
ただし、お祝いの席にいらっしゃらなかった人からのお祝いや贈り物の場合には、3分の1〜2分の1ほどの金額のお菓子や日用品を内祝いとしてお返しするようにしましょう。
▼お祝い金の金額は?
お食い初めにお呼ばれしたときには、食事代を目安にお祝いを包みましょう。お祝いを包む祝儀袋は、紅白または蝶結びの水引のものを選びます。表には“祝御食初”“御初膳御祝”などと記入するのが習わしです。
▼お食い初めの贈り物は何がいい?
お食い初めのお祝いに参加できない場合や、何かお祝いを送りたいときには、これから長く使えるベビー食器やスプーンなどのカトラリーがオススメです。もし御祝い膳用にベビー食器を買ってしまっていると同じものになってしまうので、事前に持っている食器や買う予定のものを聞いておくと安心です。
食器やカトラリーはすでにそろっている場合には、赤ちゃんへおもちゃや絵本などを贈るのもステキですね。
■まとめ
赤ちゃんの成長を感じられるイベント“お食い初め”。ただなんとなく「みんなやるから…」と行うのではなく、その意味まで知ったうえでお祝いをするようにしたいところです。
「元気にすくすく育ってね」の思いを込めて、赤ちゃんにもママやパパにも負担のない形で、お食い初めのお祝いができるようにしていきましょう。