■これからの母親に必要な力とは?
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木村先生:時代が大きく変わっている今、「母親として、ここだけは外さないで欲しい」と私が思う力は、
復元力です。
イメージとしては、大波に揺られても転覆しない船です。子どもは、大海でいろいろな波に揉まれながら、進んでいくわけです。いろんな波があっても、船が沈まないのは復元力があるからです。復元力は、最近よく使われる言葉として、
「レジリエンス」とも言い換えられます。
私は娘ふたりの母親ですが、上の子と、下の子は、同じ親から生まれ、同じ家で育ったのにまったく違う性格です。上の子は、ありとあらゆることに反抗する子どもでした。とにかく先生の言うことを、聞かない。
先生が、「右に、向きなさい」と言えば、「何で、右に向かなきゃいけないの?」と聞いて、「いいから、右、向きなさい!」などと先生が言おうものなら、「じゃあ、私は左向くわ!」と言って、どこかに行ってしまうような娘でした。下の子は、そんな姉を見ながら、生徒会に入って、「学校改革をしよう!」と言うような子でした。姉が中学3年間でぶっ壊してきた中学を、妹は生徒会の会長になって復活させた。笑い話です。
Aさん:すごいですね…。
木村先生:「勉強をしない」、「素行が良くない友だちと付き合ってる」…。こういったことを長い人生の中で経験することは、私はけっして悪いことではないと思っています。
人が成長する最中には、山あり谷ありであることの方が自然で、子どもが大きな失敗をして親の元に帰ってくることもあるでしょう。
そんな時、
「お母さん、一緒に考えるよ」と、親が言える。こんなレジリエンス(復元力)を親が持っていたのなら、子どもはいろんな曲がり角にぶつかりながらも、最終的には自分らしく幸せな大人になっていくと思うんです。
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Aさん:そんなレジリエンスを持てている親、いるのでしょうか?
木村先生:それを持てるよう、親も子どもと一緒に学ぶのです。学びについては、別の機会に、ゆっくり考えていきましょう。今回、お伝えしたいのは、子どものレジリエンスが育ちづらくなる、親の関わりについてです。
それは「ヘリコプターペアレント」と言われたりする、
過保護になってしまいがちな親の行動です。子どもの様子を逐一把握していないと心配で、必要以上に関わり続けてしまう…。
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「自分の視界」「自分の想定」の範囲に子どもがいないと不安で、結果的に子どもを縛り付けてしまう…。縛りつけておかないと、子どもがどこかに行ってしまうような気がして不安なんでしょうね。そうならないため大切なことは、
大人も周りの同調圧力に負けない覚悟が必要です。
Aさん:覚悟…ですか? 親が覚悟を持つためには、どうしたら良いのでしょう?
木村先生:子どもを信用するしかないですよね。
【木村先生がママたちに伝えたい9のこと】
1.これからのママに必要なのは、レジリエンス(復元力)である
2.復元力とは、子どもが失敗をした時に「一緒に考えるよ」と子どもの味方なる力
3.ヘリコプターペアレントをしている限り、いつまでも不安のままである
次回は、「子どもを信用すること」について、木村先生にお話しを伺います。
■お話を伺った木村先生の書籍
『10年後の子どもに必要な「見えない学力」の育て方』
木村泰子(著)/青春出版社(1,540円(税込))
「見えない学力」が身につけば、結果として「見える学力」(成績)は上がる! 2万人が感動したドキュメンタリー映画『みんなの学校』(「不登校ゼロ」の公立小学校)で話題となった大阪市立大空小学校初代校長が明かす、子どもが自分で考え行動しはじめる「見えない学力」の育て方とは?
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