2018年8月31日 07:00
高次脳機能障害とは?症状・診断基準・治療法・相談先・周囲の対応法まとめ
高次脳機能障害とは
人は、周囲にあるものを見たり聞いたりして情報を得て、これまでの経験も踏まえながら考え、行動をしています。このような脳の働きを、高次脳機能または認知機能と言います。
病気やけがなどによって、この脳の機能がうまく働かなくなった状態を認知障害と言います。高次脳機能障害は、そのうちの一つです。
高次脳機能障害を起こす主な原因は、脳梗塞などの脳血管疾患や、事故による頭部外傷、窒息などで起こる低酸素脳症、脳炎、脳腫瘍の手術後などがあげられます。これらの病気やけがの後遺症として、高次脳機能障害が起きるのです。
高次脳機能障害の主な症状
出典 : http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10132105814
高次脳機能障害には、主に「記憶障害」「注意障害」「遂行機能障害」「社会行動障害」の4つの症状があります。それぞれ詳しく解説していきましょう。
記憶障害は、物事を覚えられなくなったり、覚えていたことを忘れてしまったりする状態(=健忘)のことを言います。
この健忘には主に2種類あります。
・前向性健忘:脳に障害を負った時点から後に新しい物事を覚えられなくなる状態。受傷から時間が経っていくと、受傷時に近い記憶ほど思い出せなくなる。
・逆向性健忘:脳に障害を負った時点より前のことを思い出せなくなる状態。昔のことほど思い出すことができ、受傷時に近い日の記憶は思い出せない。
軽度であれば、部分的に記憶は維持されており、複雑な出来事でも思い出すことができます。中等度だと、古い記憶や学習したことは思い出せるものの、複雑な記憶や新しい出来事は思い出しにくくなります。
重度になると、前向性健忘と逆向性健忘のどちらも起こり、ほぼ全ての記憶に影響が出てしまいます。
人は、日常生活においてさまざまな情報を選択して注意を向けたり、同時に複数のことに注意をしたりしながら、行動しています。この注意に関する機能が障害されるのが、注意障害です。
注意障害には、以下の2つがあります。
・全般性注意障害:注意を向けるものを選ぶ「選択機能」、向けた注意を維持する「維持機能」、いったん向けた注意を別のものへ移す「転換機能」、複数のものへうまく注意を振り分ける「配分機能」を全般性注意と呼びます。これらが障害され、注意散漫になったり集中力が保てなくなったりする状態です。