味・匂い・触感で拒否!子ども時代の食へのこだわり――大人の発達障害の私が振り返る「食べられるようになった理由」
給食が苦手だった子ども時代
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私の小学校では、お昼ごはんは給食でした。
この記事を読んでいる方の中には給食が好きだった方も多いと思いますが、私はその給食がとても苦手で、お昼の時間はいつもゆううつでした。
家では鶏の唐揚げやカレー、麻婆豆腐など、子どもの好きな味の料理が食卓に並ぶことが多かったのですが、給食で出てくる料理は家とは違う味付けや種類のものが多かったのも苦手になった理由です。そのため子どものころの私には味がまったく想像できず、毎日おそるおそる給食を食べていました。
カレー味のものやあんかけ料理などは、匂いから味が想像しやすいため食べられたのですが、反対に味の薄い野菜炒めや焼き魚などはそのままでは食べられず、しょうゆをたくさんかけて味をごまかしていました。
その中でも特に苦手だったのは魚類でした。父が魚釣りが趣味で、家で食べる魚はとれたての新鮮なものが多かったこともあってか、給食で出てくる魚にはどれも生臭さや変な風味を感じ、美味しいとは思えず…
私の小学校では原則的に給食を残すことができなかったので、焼き魚などが給食で出てきたときは昼休みになっても食べきれず、遊んでいるクラスメイトを横目に見ながら嫌々食べていました。
味と匂いと食感が苦手だったナス
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苦手なものが出てきても、食べきらなければいけないというのが通っていた小学校のルール。
実はそれがきっかけで苦手になった食べ物があります。それはナスです。
ある日の給食で、ナスと野菜にゴマだれをかけた料理が出てきました。
洋服のタグを切り取らないと服を着られなかったり、ヌルヌルした感覚が苦手で石鹸で身体を洗うのが嫌で夏でも身体を洗わなかったくらい触覚が過敏だったり、香水の匂いや生臭い匂いなどを嗅ぐと具合が悪くなったりしていた私は、食べものに関してはベチャベチャしているものやヌルヌルしているもの、匂いが強いものが苦手です。そのため、見た目から味がまったく想像できず、さらに箸で触ってみても微妙に柔らかい触感のナスに対してはもともと抵抗感が強く、それまで一度も食べたことがありませんでした。
勇気を出して口に入れてみたところ、やはり食感は変に柔らかくて気持ち悪く、さらにゴマだれと野菜の組み合わせによる匂いや酸味に耐えきれず、食べたとたんに吐き気がして体調不良に…。
このときの強烈な印象が原因となり、それからしばらくは家でも給食でもナスを食べることはありませんでした。
家で麻婆ナスを食べてから大好物に!
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小学校高学年になったある日、家の食卓に麻婆ナスが出てきました。
中華料理が大好きな私は台所から漂ってくる香りにわくわくしていたのですが、出てきた料理にナスが入っているのを見てものすごくがっかりしました。
母が無理して食べなくていいと言ってくれたため、最初はナス以外の具材のみを食べていましたが、薄いナスが大好きな中華の味にひたひたと浸かっているのを目にしたとき、ちょっと食べてみようかなと思いました。「薄いものならそんなにナスの味もしないだろうし、好きな中華の味がしみ込んでいるのだから、試してみる価値があるな」と思ったのです。
そして勇気を出して食べてみたところ、給食のときとはまったく違い、ただただ私の好きな味がしました!食事を終えた後に「おいしかったからまた作って!」と母親にお願いしていたほどです。
それからは徐々に厚めのナスも食べられるようになり、いまでは素揚げしたナスが大好物。外食でも好んで食べています。
子どものころから大好きな納豆と苦手だったとろろ
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ネバネバした触感が苦手な方は多いのではないかと思いますが、私はネバネバはそれほど気になりませんでした。ただ同じネバネバの中でも、味や匂いによって食べられるもの・食べられないものがあります。
中でも、納豆は昔から大好きでした。食感が独特なものや匂いが強い食べものが苦手な私ですが、大好きなごはんと一緒ならネバネバも匂いも気にならずおいしく食べることができたのです。(ちなみに納豆単品では匂いが強すぎるため、いまでもあまり食べられません…)
それなら同じネバネバで独特の匂いがあってごはんにも合うとろろなども食べられそうなものなのですが、こちらは子どものころは好きではありませんでした。
とろろは両親が好きでよく食卓に出ていたため、一度私も食べてみたことがあったのですが、ごはんと一緒でも消しきれない独特の匂いが気になり好きにはなれませんでした。そのときの印象が強かったため、長芋も食わず嫌いのままになっていました。
とろろを食べられるようになったきっかけは、山かけうどん
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中学生だったある日、弟から「とろろをうどんにかけて食べる『山かけうどん』というものがあるらしい」という情報がわが家に寄せられました。弟いわくとてもおいしかったということだったため、家族で食べてみることになりました。
それまでとろろは「ごはんにかけて食べるもの」という認識で、うどんにかけるという発想がなかった上に、もともとの苦手意識もあり試してみるのは渋っていました。
しかし横で弟がとてもおいしそうにバクバクと山かけうどんを食べているのを見て、勇気を出して食べてみることに。
ほんの少しだけとろろをうどんにかけてみたところ、うどんのつゆがからんでとてもおいしかったのです!うどんのつゆのおかげで苦手だった匂いもなく、ただただおいしく食べることができました。
それからは少しずつごはんにかけても食べられるようになりました。加えて、焼いてほくほくの食感になっている長芋は私の好物になっています。
食べるまでに時間がかかる食べものは基本的に苦手
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最後はもしかしたら私だけかもしれませんが、実は食べるまでに時間がかかる食べものが昔から苦手です。
たとえばジャムなどを塗らなければいけない食パンだったり、みかんやグレープフルーツなどの皮をむかなければならないくだものなどです。
食パンは食卓に出てくることもよくあったのですが、わたしは基本的には食べませんでした。ジャムを塗るのが面倒で、そのまま食べるほうがマシだと思っていたからです。
どうしても食べなければならないときには、何もつけずに牛乳などで流し込むように食べていました。いまでも家で食パンを食べることはありません。
特に苦手な柑橘類たち
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食べるまでに時間がかかるものの中でも特に、皮をむく必要があるくだものは今でも好んでは食べません。
子どものころ、父がよくみかんを箱で買ってきていたので私も食べてみたのですが、飲み込むときに薄皮がのどに詰まりそうになり、とても苦しい思いをしました。この出来事がきっかけで柑橘類は基本的に薄皮までむいて食べるようになったのですが、パンにジャムを塗ることすらめんどくさがる私ですので、当然薄皮をむいて食べるまでが面倒すぎるように感じ、いつの間にかまったく食べなくなりました。
せっかく買ってきても私がまったく食べないので、あるときから母親があらかじめ薄皮までむいた状態で食卓に出すようになりました。その状態であればのどに詰まらせる心配がないので、私もバクバク食べられました。
いまでも皮をむく必要があるくだものを自分で買うことはなく、たまに家に置かれているときには妻を頼り、薄皮までむいてもらっています...。
どうも私は、食卓に座り「食べるぞ!」という気持ちになってから実際に食べるまで時間がかかることにとてもストレスを感じるようです。ですので、カニや殻つきのゆで卵もあまり作りません。どれも味そのものは好きなので、すぐに食べられる状態になっていればバクバクと食べるのが自分でも不思議でなりません。
苦手な食べ物に関する私の経験をまとめてみると…
ここまで記事を書きながら振り返ってみると、子どものころの私が食べられなかったものにはいくつか特徴があるようです。
食感:口に入れたときにベチャベチャしていたりヌルヌルしているもの。
見た目:味が想像できないもの。ベチャベチャ・ヌルヌルしていそうなもの。
匂い:生臭かったり独特な匂いのもの。
これらは私の触覚過敏と、匂いに敏感なことに起因した特徴なのかなと思っています。中でも匂いについては、苦手な匂いに勝る濃い味付けをしたことが、その食材を食べられるようになるきっかけとなった例を紹介しました。もし私と同じように特性による過敏さによって食べられないものがある当事者の方が周りにいる場合、調理方法や味付けを変えてみることで食べられるようになるかもしれません。
それでも私が時間のかかる食べものが食べられないように、どうしてもダメなものもあるかもしれません。
そんなときは本人に、食べられないもののどこがどうダメなのかを直接聞いてみるのも良いかもしれません。私が子どものころは特に聞かれたことがなかったので自分から話した記憶はありませんが、もし両親に何がどうダメかを聞かれていたら話していたのではないかなと思います。
言語化が難しい場合には、お子さんが食べないものの共通点を探したり、特性から考えてみたりすると、そのこだわりについてのヒントが見つかり、食事での困り感やストレスを軽減できるかもしれませんね。
そして私の経験談になりますが、食べられないものがあっても身長が180cm近くまで成長することもありますし、子どものころ食べられなかったものが大人になってから突然食べられるようになることもあります。
お子さんの食べられないものについて、何とか食べられるようにしてあげたい!と毎日いろいろな工夫を重ね、ふと疲れてしまうこともあるのではないでしょうか。そんなときには一度肩の力を抜き、お子さんやこの記事をご覧になっているあなた自身が好きなものを食べて、まず楽しく食卓を囲んでみてほしいなと思います。