子育て情報『「恋愛ってなに?」大人のASD・宇樹の紆余曲折な恋愛遍歴から――安定した親密な関係を築くために必要なこと』

2020年7月29日 07:00

「恋愛ってなに?」大人のASD・宇樹の紆余曲折な恋愛遍歴から――安定した親密な関係を築くために必要なこと

しかし、性的な関係を経験するようになると、好きになった相手と一気に性的に密着した関係性に踏み込んでしまうか(≒つきあう)、多少気まずくなっただけで二度と会わない・口もきかない(≒別れる)、のどちらかが多くなりました。恋愛関係の前後に中距離の友達関係を作るということがうまくできない。若いころには、「よく考えたら性的に利用されていたなあ」と感じる関係性も経験しました。

これは、私の二次障害である複雑性PTSDの傾向も関わっているとは思いますし、発達障害のない人にも惚れたはれたの関係性は難しいものでしょう。しかし、私のこの困難さには、「白黒はっきりしない事態に対処できない」という、ASDの白黒思考も関わっていたように思います。

私は小学校は共学でしたが、中高は女子校。中学高校を経るうちにだんだんと二次障害が悪化して体調が悪くなったのもあって、大学に入るころにはひきこもり傾向になっていました。

私が部活やサークル、趣味のコミュニティなどに参加する余裕をなくしていく一方で、世間にはインターネットが普及していきました。
それで、人と出会うときのルートがほぼSNSを介してのものになっていきました。

コミュニケーション障害の関係でもともと交友関係が狭くなりがちだった私が、SNSを介してほぼ一対一で相手に出会うことも多くなりました。

私の20代のころの恋愛相手との出会いはほぼSNSをきっかけとしたものです。たまたまそれほど危険な相手には出会いませんでしたし、SNSならではの良い出会いもありました。しかし、親密な相手となる人との出会いの準備段階として「複数人の中距離の友達関係の中で相手のことをゆっくり知っていく」というステップを踏めないことは、根本的にはリスクの高いものだったのではと思っています。

冒頭のほうにも書きましたが、私は、世間で言う恋愛市場的な価値観にうまくなじめませんでした。そんな私には、「性的な暗黙の了解」を理解できない、という困難もありました。

ASDの人のコミュニケーション障害の典型的な傾向として、「暗黙の了解」「明示されないルール」を理解できないというのがあります。
よく例として挙げられるのが、行間を読めないので皮肉や冗談が通じないとか、目上の人からの遠回しな指示が通じずにトラブルになるといったものです。ASDの人の多くは、おそらくこうした困難を「性的な暗黙の了解」

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