何歳から出て行くべき? 子どもが実家暮らしを続けてはいけないワケ
こんにちは。エッセイストで経済思想史家の鈴木かつよしです。
低所得の若者向けの住宅政策がほぼ皆無といってもいいわが国では、賃金の低い(主に非正規雇用の)若者たちが“住”に関して親に依存しなければ生きて行けず、「自力で家賃を払えないので“実家”を出られない 」という状況が生じています。
ただ、今は実家暮らしでよくても、親自体の収入の減少や建物の老朽化、親が介護を要するようになる、高額な医療費がかかるようになる等々の問題は親の加齢に伴って日に日に現実のものとなって来ます。
つまり、親にそれなりの可処分所得がある時期を過ぎると実家を出られない若者の問題が一気に社会問題化してくるおそれがあるのです。
筆者はここ20年ほどのわが国の雇用実態が若者に犠牲を強いていることに憤りを覚える者の一人ですが、一方で、大変でも一定の年齢が来たら一度親元からは離れてみて、自分の生活を自分で設計する訓練をしてみる ことも貴重な経験ではないかと考えております。
この場合の“一定の年齢”とは何歳くらいなのか?パパもママも一緒に考えてみませんか。
●首都圏と地方とでは“実家暮らし”に対する意識がかなり違う
情報サイトの『アットホームボックス』が2016年7月に全国20~59歳の男女1,457名を対象に行った調査で、「実家暮らしは何歳までしてもいいと思いますか?」と質問したところ、26.6%の人が「30歳」と答えました。
「30歳」以外の年齢を答えた人がいずれも20%台にも満たなかったことを考慮すると、かなりの人が「30歳を区切りに実家からは独立するのが望ましい」といったイメージを持っていることがわかります。
この質問への答えの平均が「32歳」であったことも、そのことを裏付けていると言えます。
ただこの質問に対する答えは首都圏と地方でかなり違っています 。
東京に住んでいる人が「実家暮らしをしてもいい」と考える年齢は何と「24.6歳 」まで。
東京に次ぐメトロポリスの神奈川県の住民は「25.5歳」までと回答しており、一般論として大都市周辺の人は“成人し学生生活を終え社会人になったら実家は出るべきだ”と考えていることがわかります。
これに対して地方はどうかというと、岩手県在住の人は「41.6歳 」まで実家暮らしは許容されると答え、次いで高知県民の「39.1歳」までOK、徳島県民の「39.0歳」