【番外編】同じ年数サッカーしているのに強さに差が出るのはなぜ? サッカー大国ドイツの育成と日本の大きな違い
いつもは指導者の皆さんからのご相談にお応えしている本連載ですが、今回は番外編としてこの夏池上さんがドイツで視察してきた内容をお伝えします。
ジュニア年代が一番多く、年齢が上がるとともにプレー人口が減るピラミッド型の日本と違い、ドイツは子どもから始めたら大人までやめるプレーヤーがほとんどいない、逆三角形に近い。なぜならサッカーを好きでい続けられる環境や、プレーができる受け皿があるからです。
「日本とは環境が違う」という方もいらっしゃるかもしれませんが、サッカー大国ドイツの育成には、日本の指導現場でも参考にしたいこと、取り入れたい姿勢があります。
(取材・文:島沢優子)
(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)
<<熱くなりすぎて喧嘩してしまう子への対応を教えてください
■普段の練習一つとっても、上達に差が出る要因がある
夏の終わりに、ドイツの育成現場を視察してきました。今年で3回目。ドイツで長年育成コーチを務めている、サカイクでのおなじみの中野吉之伴さんが、案内係を引き受けてくださいました。
今回あらためて感じたのは、子どもたちが何かに煽られて必死でやっている感じがまったく見受けられないことです。ここは日本の小中高校生と大きく違ところです。
小学生が、左右の足で交互でボールを蹴るような練習をしていたときのことです。
全員、交互に蹴っていました。日本で似たような練習をすると、左足は得意じゃないから、右で蹴る、という子が必ずいます。日本の子は自分が下手なのを見せたくないわけです。
ところが、ドイツにはいませんでした。みんな練習をやる意味をちゃんと知っているからです。
冒頭で伝えたように、そんなに必死に全力でやっているようには見えませんが上手くなるためにできないことにも挑戦する姿勢が見受けられるのです。
いかがでしょうか。
言われたことをきちんと理解してやっている子ども。
うまくやらないとコーチから刺激を受けながら、煽られながらやっている子ども。
私は、相当差が出るように思います。
■右足しか使わない日本人、上手くいかなくても左右を使うドイツの子
小学校高学年の練習に、ひとり日本人の子どもが入りました。このときはロングキックの練習で、時計回りで走ってきて蹴る、その逆に回ってきて蹴るといった動作を4か所に分かれて行っていました。