モノを即物的に扱い、混在させた家おおらかな自由さの中で居心地よく暮らす
正面にスチールの骨組みと緑
山田邸を訪れてまず目を引くのは、その外構部分だ。スチールで組み上げられた骨組みに階段が組み込まれ、それらの間から緑が顔を出す。そしてその背後にある住居部分が半ば隠れていてその全体像をつかむことができない。
設計したのはこの家に住む建築家の山田紗子(すずこ)さん。この家は夫と息子、そして自らの両親とともに暮らす住まいとしてつくられたものだ。「環境さえつくれば家はどんな感じであってもある程度いいものになるのではないかと楽観的に考えました。なので、その環境の部分――外構というか庭というか――をいかにつくるか、そして家のほうはそれに向かっていかに生活できるようにするかが出発点となりました」と話す。
「適度に都市と細かくつながりながら見え隠れしているようなあり方が面白いのではと思った」(紗子さん)。
玄関周りの外壁面を正面から見る。2つのテラスを結ぶ階段がダイナミックに宙を飛ぶ。
そして「土地の広さが109㎡ほどなので、その半分は庭にしないとそのようにはならないだろう」と、まずは敷地の半分程度を庭にあてて残りを住居のために使うことに。
外構部分のテラスと階段についてはこう説明する。