都市に住まう建築家の選択 家の中と外に、たくさんの居場所を作る
椅子に座って視線を上げると、寝室の窓から空が見えて気持ちいい。
それぞれの窓に機能と役割を分担
開口は、いろいろな風景を楽しみ、様々な役割を持たせて作られている。
「レマン湖のほとりに立つコルビュジエが母親に贈った小さな家は、フレーミングした窓を作り風景を切り取ることで湖の美しさを際立たせていました。この家は雑居ビルと住宅が入り混じる雑多な地域に建っていることもあり、慎重に開口部の位置を調整し、それぞれから見える風景を考えました」
リビングの棚下に開いた窓からは、吹き抜ける風と共に、通りの緑や行き交う人を眺めることができる。テラスに面した窓は庭を楽しみ、道路に面した窓は高い位置に作ることで視線を遮り、流れる雲を眺めることができる。
「模型で検討しても、実際の空間とはずれが必ずあります。現場に入ってからも窓の位置を微調整していました」
リビングから50cm下げた位置にあるキッチンは、にじり口から中に入っていくような感覚。天井が低く、籠もる感じが心地よい。
タイルは光を反射するものを選び、横の窓は住宅地の奥まで見通せる場所を狙って開けている。
リビングの棚の下に開けた小窓から、賑やかな通りを眺める。