32㎡の仮の住まい 狭さが気になったら増築すればいい
そうしてつくっていった結果、32㎡という大きさになったんです」
浴室やトイレ、洗濯スペースなどもぎりぎりの寸法を割り出していった。こうしたことは一般の人にできることではないが、さらにまた建築家ならではの工夫も。「可動の収納棚はすべて奥行き60cmで設定しているんですが、これを中途半端に45cmとかにするとふつうに1段としてしか使えない。15cm延ばすことによって倍の収納量を確保しています」
テラス側から見る。加藤邸はこの空間のほかに、奥に寝室と浴室、トイレなどがあるのみ。
可変性のある家
必要最低限の大きさを決めるほかに、設計時の基本コンセプトはさらに2つあった。ひとつは可変性で、これは基本的に決められないことは決めないでおくという方針ともなった。「建てる前に机上でぜんぶ決めないといけないのは理不尽ではないかと思っていて、むしろ住んでからわかることのほうがたくさんある。
キッチンの位置とか決めないといけないことは決めるけれどもそうではないものは住みながら自然にここにほしいと思った時に付け加えたりできるようにしています」
奥行き60cmの棚を使った見せる収納。右のクローゼットには今の季節に着るものだけが収まっている。