32㎡の仮の住まい 狭さが気になったら増築すればいい
と表現するもうひとつのコンセプトを可能にしている。
「予算が限られていて水栓ひとつとっても高価なものは使えないので、安価なものであっても空間がかっこよくなるようにベースを整えていく」という加藤さんの考え方は、この構造用合板など素材感や色味のある仕上げを使うことで可能になっているのだ。
キッチンに限らず設備類はすべて安価なものを使っているというが、この空間ではそれがチープな印象を与えずまたトータルな印象も乱すことがない。
加藤さんが以前仕事スペースとして使っていた場所にはソファが置かれている。サイズに合うものを購入したという。
いちばん上の棚にあるのは模型ではなく、レゴでつくったサヴォワ邸やファーンズワース邸など。
玄関ドアを開けるとその先に見えるのは奥さんの祖母の家。
玄関のドアを閉めた状態。
洗濯スペース、左に浴室とトイレがある。
寝室には長男用にロフトベッドを増設。また、寝ながら映画が見られるように天井を白く塗ってスクリーンにした。
室内で竹馬をしたりもするが、そうしたことで付いた傷は生活の痕跡としてこの住宅への愛着を生むと考えている。
子どもたちの成長の記録が棚の側板に刻まれているが、この空間では変に浮くこともなく逆にしっくりとおさまって見える。