くらし情報『逸木裕『少女は夜を綴らない』で中学時代の“黒歴史”に触れる』

2017年9月5日 12:00

逸木裕『少女は夜を綴らない』で中学時代の“黒歴史”に触れる

理子はボー研こと、ボードゲーム研究会に所属している。そのボードゲームをめぐるエピソードが有機的に効いていることが、物語が進むにつれ、わかってくる。

「学校にも家庭にも居場所がない理子に、彼女らしくいられる楽しい場所としてどこかないかな、と考えたときに、僕自身も好きな将棋やゲームを小道具としてつなぎました」

孤独な理子に近づいてきたのは、小学6年のとき転落死した加奈子の弟・悠人。彼との関わりが、理子の運命を揺さぶっていくのだが…。

「理子は自分の衝動が恥ずかしく、自分の中に“嫌いな自分”がいる。そうした理解されがたい部分も含めて、認めてくれる誰かにめぐり会いたいという思いは普遍的だと思います。悠人はそれを初めて肯定してくれた相手。“殺人衝動”という部分を除けば、ふたりの関係性に感情移入してもらえるのではないかなと」
逸木裕『少女は夜を綴らない』で中学時代の“黒歴史”に触れる


加奈子の死の真相、理子たちが住む地域のホームレス連続殺人。
理子と悠人による殺人計画。複数の謎を仕掛け、畳みかけるように読ませる。

「書きたいのは、常に、謎が解けたときに人間のドラマが立ち上がってくるようなものです」

本作でも、ラスト数行に、人間への愛しさがこみ上げてくる。

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