2017年9月12日 19:40
【臓器移植の実態!】提供する側とされる側、それぞれの現実とは?
だからこそ、そこをどのように描くかを大事にしようと思ったわ。
では、逆に原作と変えたところは?
監督
小説と映画の大きな違いというのは、特に物語の後半の部分。原作では臓器を提供するシモンのほうにウエイトが置かれて描かれていたんだけれど、私は提供する側と提供される側の両方を同列に描くことが重要だと思ったの。それに、死よりも生をより描きたかったし、そのほうが映画的にはいいんじゃないかという思いもあったからなのよ。
シモンとクレールをつなぐ役割を果たしている移植コーディネーターは、誰かの命を救うと同時に誰かの命を終わらせなければいけないという精神的にはかなりきつい職業。
実際に病院で彼らの様子を見て感じたことはありますか?
監督
彼らの仕事ぶりや感情の捉え方を間近に見ることができて、いろいろと新しいことを学べたと思うわ。事前に医学的な知識や臓器移植に関するプロセスというのはそれなりに自分のなかに蓄えてはいたけれど、実際に彼らを観察することで彼らの抱いている感情を知ることができたので、ものすごく細かく、具体的に描写することができたのよ。
それから、移植コーディネーターというのは、死から生へと人々をつなぐメッセンジャーのような役割を果たす神秘的な仕事だとも感じたわ。