2017年10月16日 11:00
「子どもが欲しい病」にかかり不妊治療…考えさせられる新刊とは?
という思い込み。“自分”がどうしたいかではなく、“世間”や“親”などに主語がすり替わり、不自由さを感じていたからこそ本音が漏れてしまったのだ。
「女に生まれたからには産んでおかなきゃっていう内なるプレッシャーがあった、という知人がいるのですが、彼女も自分が産みたいかどうかではなかった。勝手にリミットを設けて焦る人も多いと思うんです」
吉田さんは、封印しておきたかったであろう不妊治療のときの心境や、具体的な費用、夫とのやりとりを赤裸々に綴り、「産む・産まない・産めない」それぞれの立場の間に存在する溝や、両親や夫の胸の内、本書のタイトルになっているドキリとする疑問にも軽やかに切り込んでいく。
「『自分が主語』ってわがままに聞こえるかもしれないけれど、産む産まないに関しては特に、そうしたほうが気が楽になると思うんです。絶対正しい答えなんてない。一方からしか見ていなかったものは、反対側から見たら全然違う!っていうような気づきがあると嬉しいですね」
“自分が主語”という考えは、産む産まないに限らず、家族とのあり方、働き方など、生き方そのものについても共通なのだと気づかされる。豪快だけど繊細な吉田さんの優しさ溢れるメッセージは、女として最強の友を得たような気持ちになれる。