2018年3月3日 22:00
瀬戸内寂聴と66歳年下秘書、どうしてこんなに仲がいい?
と思って。そのほうがかえって気が楽だと思ったのね。
――働きはじめた当初から、瀬尾さんは自分でいつか本を出版したいと思っていたのですか?
瀬尾:
小説家志望で入ったわけではないので、まさかそんなこと、考えつきもしませんでした。
寂聴:
ただ時々、この子から手紙が届くんです。一緒に暮らしていたら、面と向かって言えないことも増えてくるじゃないですか。ある時、机の上に手紙が置いてあって、それを読んだら「この子は文才があるかもしれない」と思って。あまりに内容と文章が素直で良かったから、自分の小説にもそのまま引用したくらい。
――そこから、瀬尾さんの人生が少しずつ動きだしたわけですね。
ちなみに、寂聴先生が22~23歳だった頃はというと…?
寂聴:
結婚して子供を産んで、不倫して…いちばん濃い時だったかもしれません。21歳で結婚した夫は古代中国音楽史の学者だったので、「これで学者の妻になるんだ。これからは夫の才能を私が高めよう」とはり切っていたんですが。
瀬尾:
その先生が文学を志すようになったのは、23歳の時?
寂聴:
最初は「小説家になりたい」なんて口では言っていたけれど、タダでなれるとは思っていなかったの。