2018年5月18日 20:00
見ておかなくちゃ! 演劇ユニット「iaku」の出色の舞台作品4つ
末期ガンの母親を持つ兄弟と、望まぬ子供を授かった夫婦の2組を軸に、命や家族のあり方を描いた、演劇ユニット・iakuの舞台『粛々と運針』。昨年初演の今作は、正解のない複雑な題材に、さまざまな視点からリアルに迫りつつ、時に笑いを交えて綴った、出色の舞台だった。
「これまで僕は、固定した場のみで物語を展開させる戯曲を書いてきたんです。でももし、人間関係や場所、空間を超えて、他人同士の2組が議論を重ねたとしたら…。これまで課してきた枷を外して、いまの自分の筆致でどんなことがやれるのかチャレンジしたのがこの作品。ときどき、書きながらある種の手応えを感じる時があるんですが、これにもまさにそんな感触がありました」
とは、脚本・演出を手がけた横山拓也さん。この傑作を含め、横山さん脚本の過去4作が「iaku演劇作品集」として一気に上演される。
「ユニットの立ち上げ当初からの方針は、戯曲を使い捨てにしないこと。
作家として、新作を次々やるより、寡作でも先々にまで残っていく強靭な作品を書いていきたいし、それを繰り返し上演していくことで、多くの人に届けたい。今回の試みが、作品をレパートリー化させていく第一歩になればと思っているんです」