2018年11月29日 18:30
宇野亞喜良が『メアリーの総て』に見るヘプバーンとバルドーに並ぶ女優
みたいな女優さんというのがいましたが、彼女がいまの時代の女性なんだろうなという感じも受けました。
人生の転機となった出会いとは?
―メアリーはある運命的な出会いがきっかけとなって愛や苦しみを学び、あらゆる感情を知ることによって才能を開花させていったと思いますが、宇野先生がご自身を語るうえで欠かせない人との出会いや影響を受けた人はいますか?
宇野先生
1960年に「日本デザインセンター」という広告を作る会社に入りましたが、僕の少しあとに入ってきたのが横尾忠則さん。お互いに話が合っておもしろかったので、そこで意気投合しました。
当時は広告が理論的になってきていて、おもしろくなくなってきていると感じていたので、僕と横尾さんで「イラストレーションを主体にしたデザインというのをやりたい」ということで、もうひとりの同僚だった原田維夫さんも含めて3人で会社を辞めて、新しくデザインオフィスを立ち上げたんです。
―まずは横尾さんとの出会いがひとつのきっかけでもあったのですね。
宇野先生
当時はニューヨークをはじめ海外にもイラストレーターでおもしろい人がいっぱいいましたし、世の中がイラストレーションに注目していたということもあって、僕はイラストにウエイトを置いていましたが、彼はイラストレーターとしてだけでなく、デザイナーとしての才能もありましたし、それだけではあきたらなくて、画家宣言もすることになるんですよね。