2019年3月4日 19:30
普通なのに何かが違う! 料理家絶賛の“ごまのおにぎり”とは?
料理家・冷水希三子さんが愛用している日用品について語ってくださいました。冷水さんが大切にしている品は祖母から受け継いだ「大きなすり鉢」です。
「普通のごまのおにぎりなのに、自分では握れない」
この陶製の大きなすり鉢は母方の祖母が使っていたものです。最初に見た記憶は幼稚園児の頃ですが、たぶん私が生まれる前からあったはず。その頃、自宅近くの母の実家にほぼ毎週末遊びに行っていました。そこには、母屋や離れとは別に炊事場のある小屋が建っていて、祖母一人で家族10人くらいの食事をそこで作っていたんです。朝、昼、晩の三食だから、一日のほとんどをそこで過ごしていたと思います。祖母の作るごはんで一番印象に残っているのがおにぎり。
このすり鉢で白ごまをすって白いご飯を入れ、まぜて握ります。祖母の料理はいろいろ食べたはずなのに、このおにぎりが一番の思い出の味。ごく普通のごまのおにぎりだけど、あの味は自分では握れないんです。
母も祖母のそうめんの出汁は作れても、おにぎりはできないと言います。今見たら握り方がわかるはずですが、幼かったので残念ながら全然覚えていません。その当時はごく自然に食べていて、今思い出すと美味しかったなと。