2019年5月2日 18:00
着物にも注目! “大正の文壇”を描く漫画『エコール・ド・プラトーン』
新興文芸の胎動が聞こえてきた大正末期。東京で新雑誌『文藝春秋』が産声を上げたのと同じ年、大阪では小山内薫が率いるプラトン社が『苦楽』の創刊に着手。永美太郎さんの『エコール・ド・プラトーン』は、そのプラトン社に集う文士たちの群像劇だ。だが、最初に浮かんだアイデアは、少し違っていたそう。
「女性マンガが好きなんです。時代を遡って掘っていくうちに、大正時代の少女雑誌の挿絵や挿絵画家たちに興味が湧いて、そんなマンガを描いてみたいと思ったものの、さすがにテーマがニッチすぎる(笑)。その世界の隣に近代文学があり、こちらの切り口からいこうと思いました」
1巻で活躍するのは、川口松太郎と直木三十五。さらに、芥川龍之介や谷崎潤一郎、菊池寛など、のちに文豪と呼ばれる作家たち。
岡本かの子や夫の一平、少年時代の太郎なども登場する。
「文芸史や大正の文壇については好きでなんとなく読んでいたんですが、連載が決まってから改めて調べ直しました。ネームを組み立てていくうちに『こういうエピソードがあったらいいのに』とアンテナを立てておくと、新しい発見があったりする。ただ『たくさん調べました』というだけの表現はマンガとして面白くないので、史実に忠実でありつつも、肉付けやさじ加減には腐心しています」