2019年9月5日 18:50
命綱なしで断崖を…死と隣り合わせの極限状態に挑む男の過酷な運命
作品に深みを与えたのは女性の視点
―とはいえ、過酷な環境での撮影にあたって、総監督として苦労されたこともあったのではないでしょうか?
監督監督として非常に苦しかったのは、「これを本当に撮るべきなのか」という葛藤と倫理的な責任感。そして、「アレックスが安全に完登するために撮影クルーも失敗できない」「完璧でなければいけない」というプレッシャーに苦労しました。
それから個人的なことでいうと、撮影を始めた時期は2人目の子どもが生まれたばかりだったので、子育てとの両立も実はかなり大変なことではありました。
―本作でアレックスさんの恋人であるサンニさんの言動も印象的でしたが、監督自身もクライマーのパートナーをお持ちですよね。そういう意味でも、サンニさんに共感する部分はありましたか?
監督ドキュメンタリーの作り手として、撮影対象者の感情につねにアンテナを張り、敏感であることは大事にしていました。特に、サンニのそばにはずっといたので、彼女の気持ちを理解することができたと思います。
今回は、彼女の存在によって、女性の視点がこの作品にとって重要なポイントになるだろうと思いながら撮影していましたし、できあがった作品を観ても彼女がこの作品に奥深さを加えてくれたと感じました。