2020年3月13日 20:30
森見登美彦のデビュー作がコミックに! ならではの魅力は?
あるシーンで悩みすぎて森見さんにお聞きしたら、主人公目線でわからないことはわからないままでいい、と言われて納得しました」
独特の文体が大きな魅力といえるので、原作に愛着がある人ほどマンガ化を無謀だと思うかもしれない。しかし失恋中の貧乏学生の目に映る京都の景色や、夢と現(うつつ)を行き来する脳内など、文字で記されていることだけでなく、行間からも空気やにおいをすくい取るように、マンガならではの表現にこだわっている。
「最初に読んで好きだと思った気持ちのまま、最後まで突っ走った感じです。いい言葉がたくさんありすぎて、泣く泣くカットしたのですが、そのぶん絵でうまく置き換えられたらいいなと思いながら描きました」
原作ファンの期待を裏切らず、マンガから入った人も置いてけぼりを食らわない。森見&かしのワールドにどっぷりハマれる、幸せな出会いが生んだコミカライズといえる。
『太陽の塔』3終わらない失恋の行方はいかに。クライマックスの「クリスマスええじゃないか騒動」は必見。森見さんのあとがきも収録。
原作は新潮文庫(490円)より発売。講談社650円©森見登美彦/新潮社 2003©かしのこおり/講談社
かしのこおりマンガ家。