2020年6月15日 19:00
今を生きる“女の子たち”への応援歌も 注目の女性詩人による詩集3選
またSNSの隆盛やジェンダー観の変化など生活主体の多様化や揺らぎが顕著になった’10年代は、それに呼応した詩が増え、アーティストとのコラボなど表現にも広がりが。このころ暁方ミセイ、大崎清夏、岡本啓らが登場し、なかでも突出した存在感を放ったのが最果タヒです」
詩に対して構えすぎなくていい、と出本さんは言う。
「今日わからなかった詩が、閃きのように明日わかるかもしれない。10年後にわかる日が来るかもしれない。自分に刺さる一編や好きな詩人と出会っていくうちに、詩の世界の奥深さ面白さにきっと魅入られるはず」
出本さんイチオシの詩集をご紹介。まず気になるのはどれだろう。
水沢なお
フィジカルな感覚と物語性を融合する独自の世界観。
『美しいからだよ』(思潮社、2019年)
「淡い色づかいの画集を思わせる趣、会話体による展開、短編小説のようなテイストが特徴的。
〈これが最後の転生だからね。もう、無理に子孫を残す必要もないんだよ〉(「かいわれ」より)など、身体をもつことへの複雑な感情が全編渦巻いています。BLや百合、ポケモンから着想を得ていたり、感性に未来の可能性を感じます。今年の中原中也賞受賞作」