2020年7月11日 19:00
『日本沈没2020』湯浅監督「最初は正直アニメにはしづらいテーマだと」
これまで『日本沈没』って何度も映像化されている中で、たぶん個人とか家族にフォーカスをしたのは、今作が初めてだと思います。親、キャリアウーマン、YouTuber、引きこもりの少年、オリンピックを目指す少女などが出てきますが、異なる考え方を持ついろんな人間がいることをこの作品を通じて感じてもらえたら、とてもうれしいですね。
――なぜ今回は、“個”を描こうと思われたのですか?
最初にこのお話をいただいたとき、正直アニメーションにはしづらいテーマだな、と思ったんですよね。天変地異とかビルの倒壊などは、実は、アニメで描くのは相当難しい。描いたとしても、実際の映像を見た人や、それこそ現実を目の当たりにしたことがある人の心を動かす力は、絵にはないのでは、と。また、災害時に国を動かす人たちの話も、アニメ絵で延々会議のシーンを描いても、たぶんおもしろくない。僕がアニメーションをいいと思う理由は、シンプルに、物事をわかりやすく伝えることができるから。実写では情報量が多く視点が定まらない風景でも、アニメの場合は絵なので、見てほしいポイントを明確に提示できる。
描き手の思いをもっとも極端に表現できるのが、僕にとってはアニメなんです。